説明

ロック機能付き把持装置

【課題】小型化および軽量化でき、把持部材を密に配置できるようにするロック機能付き把持装置を提供する。
【解決手段】把持装置10のロック機構7は、進退方向と交差するスライド方向にスライド可能な第1および第2のスライド体17,19と、第1および第2のスライド体を互いに逆方向にスライドさせる駆動装置21と、を備える。駆動装置21は、第1および第2のスライド体をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向に第1のスライド体を押し付け、複数の把持部材に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体を押し付け、これにより、複数の把持部材を同時にロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面形状に合う進退方向位置でそれぞれ対象物を把持する複数の把持部材と、複数の把持部材を同時にロックするロック機構と、を備えるロック機能付き把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロック機能付き把持装置は、例えば搬送ロボットのアーム先端に設けられる。図1(A)、(B)は下記特許文献1に記載されたロック機能付き把持装置を示す。図1を参照して、ロック機能付き把持装置により、対象物を把持する動作を説明する。
【0003】
(1)図1(A)のように、搬送ロボットのアームMの動作により、把持装置30が対象物の上方に位置させられる。
(2)次に、前記アームMの動作により、把持装置30が下降すると、各把持部材31が対象物(ワークW)の表面に接触して進退方向に押し戻される。これにより、図1(B)のように、複数の把持部材31の進退方向位置が対象物の表面形状に合った位置となる。この時、把持部材31の進退方向位置が、以降において維持されるようにロックされる。
(3)上記(2)の動作とともに、各把持部材31の先端に設けられた吸着パッド31aが、対象物Wを吸引することで、各把持装置が、対象物Wを把持する。
(4)その後、前記アームMの動作により、対象物Wは、把持部材31に把持されて状態で所定の場所へ搬送される。
【0004】
上記(2)において、把持部材の進退方向位置をロックするロック機構は、例えば、ブレーキパッドを把持部材に押し付けるものである。このようなロック機構は、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0005】
なお、本願の他の先行技術文献として下記特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4106450号
【特許文献2】特開平7−132477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来において、ロック機構は、各把持部材毎に設けられているため(例えば特許文献1)、把持装置が大型化および重量化されてしまう。
また、各把持部材毎に、把持部材に近接してロック機構を設けるスペースを確保する必要があるため、把持部材を密に配置することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、小型化および軽量化でき、把持部材を密に配置できるようにするロック機能付き把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、対象物の表面形状に合う進退方向位置でそれぞれ対象物を把持する把持部材と、前記複数の把持部材を進退方向に移動可能に支持する支持体と、前記複数の把持部材を同時にロックするロック機構と、を備えるロック機能付き把持装置であって、
前記ロック機構は、
前記進退方向と交差するスライド方向にスライド可能な第1および第2のスライド体と、
第1および第2のスライド体を互いに逆方向にスライドさせる駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、第1および第2のスライド体をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に第1のスライド体を押し付け、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体を押し付け、これにより、前記複数の把持部材を同時にロックする、ことを特徴とするロック機能付き把持装置が提供される。
【0010】
上述した本発明の構成では、第1および第2のスライド体をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に第1のスライド体を押し付け、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体を押し付け、これにより、前記複数の把持部材を同時にロックするので、各把持部材毎にロック機構を設ける必要がなくなる。従って、把持装置全体を小型化および軽量化できる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、前記各把持部材は、前記進退方向の先端部に対象物を吸着する吸着部を有する。
【0012】
このように、前記各把持部材が、前記進退方向の先端部に対象物を吸着する吸着部を有する場合には、上述の本発明の構成により、各把持部材毎にロック機構を設けるスペースを確保する必要がなくなるので、複数の把持部材を密に配置できるようになり、その結果、対象物の表面形状に倣った進退方向位置で、密に配置した各把持部材により対象物を吸着把持できる。よって、安定して対象物を把持できる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、各スライド体には、前記複数の把持部材がそれぞれ貫通する貫通孔が形成されており、
前記駆動装置は、第1および第2のスライド体を、それぞれ、互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、第1のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に押し付け、第2のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第2のスライド方向に押し付ける。
【0014】
このように、各スライド体に、前記複数の把持部材がそれぞれ貫通する貫通孔を形成するという具体的構成により、前記駆動装置は、第1のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に押し付け、第2のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第2のスライド方向に押し付ることで、前記複数の把持部材を同時にロックすることが可能となる。
【0015】
好ましくは、前記内面壁は、樹脂または焼結材により形成されるブレーキシューで区画されている。
【0016】
このように、前記内面壁を、樹脂または焼結材により形成されるブレーキシューで区画することで、より確実に同時ロックを行える。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、第1および第2のスライド体は、前記進退方向に接触して互いに対し摺動するスライド板である。
【0018】
このように、第1および第2のスライド体は、前記進退方向に接触して互いに対し摺動するスライド板としたので、各把持部材をスライド方向に挟み込む第1および第2のスライド体の貫通孔内面壁同士が前記進退方向に近接している。従って、第1および第2のスライド体の貫通孔内面壁で、各把持部材を挟み込む時に把持部材に作用する曲げモーメントを小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によると、小型化および軽量化でき、把持部材を密に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1のロック機能付き把持装置を示す。
【図2】本発明の実施形態によるロック機能付き把持装置を示す。
【図3】(A)は、図2のA−A線矢視図であり、(B)は、図2のB−B線矢視図である。
【図4】(A)は、図3(A)の部分拡大図であり、(B)は、(A)の真下にある第2のスライド体の貫通孔を付近を示す。
【図5】本発明の実施形態による非ロック時のロック機能付き把持装置を示す。
【図6】(A)は、図5のA−A線矢視図であり、(B)は、図5のB−B線矢視図である。
【図7】(A)は、図4(A)に相当するがブレーキシューを設けた場合を示し、(B)は、図4(B)に相当するがブレーキシューを設けた場合を示す。
【図8】本発明の実施形態によるロック機能付き把持装置の動作説明図である。
【図9】図8の状態から同時ロックを行った状態を示す。
【図10】本発明の他の実施形態によるロック機能付き把持装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態によるロック機能付き把持装置10を示す正面図である。図2に示すように、ロック機能付き把持装置10は、複数の把持部材3、支持体5、および、ロック機構7を備える。
【0023】
各把持部材3は、対象物の表面形状に合う進退方向位置(図2の上下方向位置)で対象物を把持するものである。また、各把持部材3は、前記進退方向(図2の上下方向)に延びる棒状部材である。各把持部材3は、前記進退方向の先端部に対象物を吸着する吸着部9を有する。図2の例では、吸着部9は、対象物を吸引吸着するパットである。即ち、吸着部9は、棒状の把持部材3の内部を通る吸引管から吸引することで対象物を把持する。ただし、対象物の種類によっては、吸着部9は、電磁石または永久磁石により対象物を磁気吸着するものであってもよい。
なお、図2において、左右方向は水平方向であり、上下方向は鉛直方向である。各把持部材3が前進および後退する進退方向は、前進方向(図2では、下降方向)と、後退方向(図2では、上昇方向)とを含む。
【0024】
支持体5は、複数の把持部材3を所定の進退方向に移動可能に支持する。図2の例では、支持体5は、各把持部材3毎に、進退方向における2箇所に設けられた支持ブッシュ(軸受)11を有する。支持ブッシュ11は、対応する把持部材3が進退方向に移動可能に把持部材3を支持する。また、図2では、各把持部材3は、進退方向と直交する方向に突出した係止部13を有する。この係止部13は、把持部材3が最大前進位置となった時に、支持体5(この例では、上側の支持ブッシュ11)に係止され、これにより、把持部材3が自重により鉛直下方(前進方向)に支持体5から落下することが防止される。
また、支持体5には、各把持部材3毎に、該把持部材3を前進方向に弾性力を付与する弾性機構15が設けられる。図2の例では、弾性機構15は、支持体5(下側の支持ブッシュ11)と把持部材3の係止部12との間に設けられたコイルバネである。なお、弾性機構15は、コイルバネ以外のものであってもよい。
【0025】
ロック機構7は、前記進退方向と交差(この例では、直交)するスライド方向にスライド可能な第1および第2のスライド体17、19と、第1および第2のスライド体17,19を互いに逆方向にスライドさせる駆動装置21と、を備える。駆動装置21は、第1および第2のスライド体17,19をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向に第1のスライド体17を押し付け、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体19を押し付け、これにより、複数の把持部材3を同時にロックする。
なお、図2(A)において、スライド方向は、この図の左から右へ向かう第1のスライド方向と、この図の右から左へ向かう第2のスライド方向とを含む。
【0026】
以下、ロック機構7について、より詳細に説明する。
【0027】
本実施形態によると、各スライド体17,19には、複数の把持部材3がそれぞれ貫通する貫通孔17a、19aが形成されている。
【0028】
図3(A)は図2のA−A線矢視図であり、図3(B)は、図2のB−B線矢視図である。また、図4(A)は、図3(A)の部分拡大図であり、貫通孔17a付近を示す。図4(B)は、図4(A)の貫通孔17aの真下にある貫通孔17b付近を示す。即ち、各貫通孔17a、19a付近の構成は、図3(A),図3(B)の構成であってよい。なお、図4(A)において、破線は貫通孔17aの真下にある貫通孔19aを示す。
【0029】
図5は、ロック機構10が各把持部材3をロックしていない状態を示す。図6(A)は図5のA−A線矢視図であり、図6(B)は図5のB−B線矢視図である。図5の状態から、駆動装置21が、第1および第2のスライド体17,19を、それぞれ、互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、図2のように、第1のスライド体17の複数の貫通孔17aの内面壁23を、それぞれ、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向に押し付け、第2のスライド体19の複数の貫通孔19aの内面壁25を、それぞれ、複数の把持部材3に対し第2のスライド方向に押し付ける。
【0030】
好ましくは、貫通孔17a,19aの内面壁23、25のうち把持部材3に押し付けられる部分を、樹脂または焼結材で形成されたブレーキシュー24により区画する。図7(A)は、図4(A)に相当するが、ブレーキシュー24を設けた場合を示す。図7(B)は、図4(B)に相当するが、ブレーキシュー24を設けた場合を示す。
また、第1および第2のスライド体17,19は、前記進退方向に接触して互いに対し摺動するスライド板である。この例では、上側にある第1のスライド体17は、後述のシリンダ21aと共に、支持体5に対しスライド方向に移動可能であり、このスライド方向移動は、図3(A)のように支持体5に設けられた案内部27(ガイドレール)に案内される。また、この例では、第2のスライド体19は、支持体5に対しスライド方向に移動可能であり、このスライド方向移動は、図3(B)のように支持体5に設けられた案内部27(ガイドレール)に案内される。この例では、案内部27は、第1および第2のスライド板17、19の両側にて、スライド板17、19の側面に接触して前記案内を行う。なお、図2において、第2のスライド体19は、スライド方向に摺動可能に下面が支持体5に接触し、これにより、第2のスライド体19の重量は支持体5に下方から支持される。
【0031】
駆動装置21は、図2の例では、エアシリンダ装置で構成される。エアシリンダ装置21は、シリンダ21a、ピストン21b、およびエア圧制御装置(図示せず)と、を有する。シリンダ21aは、第1のスライド体17に固定される。ピストン21bは、シリンダ21aに対しスライド方向に移動可能であり、第2のスライド体19(この例では、スライド板19の上面から上方に延びた突出部)に先端部が固定される。エア圧制御装置(図示せず)は、シリンダ21a内のシリンダ室にエア圧源から供給するエア圧を制御する。この構成で、シリンダ室へ供給するエア圧を制御することで、第1および第2のスライド体17,19を、それぞれ、互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させる。なお、シリンダ21aは、例えば、支持体5に設けられた案内部28(ガイドレール)に沿って移動するように構成されてよい。図2の例では、上述のシリンダ装置21を、第1および第2のスライド体17,19の両側に、合計2つ設け、2つのシリンダ装置21が連動して動作するように制御しているが、シリンダ装置21を1つだけ設けてもよいし、前記2つのシリンダ装置21のうち一方は、エア制御装置を省略して他方のシリンダ装置21の動作に追従するようにしてもよい。なお、シリンダ装置21は、エア圧の代わりに油圧を用いたものであってもよい。即ち、エア圧制御装置の代わりに、シリンダ21a内のシリンダ室に油圧源から供給する油圧を制御する油圧制御装置が設けられてもよい。この場合、他の構成は、上述と同じであってよい。
【0032】
上述した把持装置10(即ち、支持体5)は、多関節ロボットなどの搬送ロボットのアーム先端部に取り付けられて、搬送ロボットにより3次元的に移動させられてよい。例えば、支持体5は、搬送ロボットにより鉛直方向、第1水平方向、および、第1水平方向とは異なる第2水平方向に移動させられてよい。また、支持体5は、搬送ロボットにより所定の軸を中心に旋回させられてもよい。なお、多関節ロボットは、例えば特許文献1、2に記載されている。
【0033】
次に、上述したロック機能付き把持装置10の動作について説明する。
(1)まず、搬送ロボットのアームの動作により、把持装置10が対象物の上方に位置させられる。
(2)次に、前記アームの動作により、把持装置10が下降すると、各把持部材3は、対象物の表面に接触して、対応する弾性機構15による弾性力に抗して進退方向に押し戻される。これにより、図8のように、複数の把持部材3の進退方向位置が対象物Wの表面形状に合った位置となる。次いで、駆動装置21は、第1および第2のスライド体17,19をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、図9のように、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向に第1のスライド体17を押し付け、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体19を押し付け、これにより、複数の把持部材3を同時にロックする。従って、各把持部材3の進退方向位置が、以降において維持されるようにロックされる。
(3)上記(2)の動作とともに、各把持部材3の先端に設けられた吸着部9が、対象物Wを吸引することで、各把持装置10が、対象物Wを把持する。
(4)その後、前記アームの動作により、対象物Wは、把持部材3に把持されて状態で所定の場所へ搬送される。
【0034】
上述した本発明の実施形態によるロック機能付き把持装置10では、以下の効果(A)〜(D)が得られる。
【0035】
(A)第1および第2のスライド体17,19をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向に第1のスライド体17を押し付け、複数の把持部材3に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体19を押し付け、これにより、複数の把持部材3を同時にロックするので、各把持部材3毎にロック機構7を設ける必要がなくなる。従って、把持装置全体を小型化および軽量化できる。
【0036】
(B)各把持部材3は、前記進退方向の先端部に対象物を吸着する吸着部9を有する場合には、上述の本発明の構成により、各把持部材3毎にロック機構7を設けるスペースを確保する必要がなくなるので、複数の把持部材3を密に配置できるようになり、その結果、対象物の表面形状に倣った進退方向位置で、密に配置した各把持部材3により対象物を吸着把持できる。よって、安定して対象物を把持できる。
【0037】
(C)内面壁23,25を、樹脂または焼結材により形成されるブレーキシュ−24で区画することで、より確実に同時ロックを行える。
【0038】
(D)第1および第2のスライド体17,19は、前記進退方向に接触して互いに対し摺動するスライド板としたので、各把持部材3をスライド方向に挟み込む第1および第2のスライド体17,19の貫通孔17a、19aの内面壁23,25同士が前記進退方向に近接している。従って、第1および第2のスライド体17,19の貫通孔17a、19aの内面壁23,25で、各把持部材3を挟み込む時に把持部材3に作用する曲げモーメントを小さく抑えることができる。
【0039】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0040】
駆動装置21は、上述では、シリンダ装置21で構成されたが、他のもので構成されてもよい。即ち、駆動装置21は、第1および第2のスライド体17,19をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることができる構成であればよい。例えば、駆動装置21は、ボールナットを用いた構成であってもよいし、リニアアクチュエータで構成されてもよいし、他のもので構成されてもよい。
他の一例として、ボールナットを用いて駆動装置21を構成した場合を図10に示す。図10において、駆動装置21は、第1のスライド体17に固定され正逆回転可能なモータ21c(例えばサーボモータ)と、該モータ21cにより回転させられるネジ部材21dと、ネジ部材21dに螺合し第2のスライド体19に固定されたナット21eと、を有する。この構成で、ネジ部材21dの回転により、第1および第2のスライド体17,19をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させる。
【符号の説明】
【0041】
3 把持部材、5 支持体、7 ロック機構、9 吸着部、
10 ロック機能付き把持装置、11 支持ブッシュ、
12 係止部、13 係止部、15 弾性機構、
17 第1のスライド体、17a 貫通孔、19 第2のスライド体、
19a 貫通孔、21 駆動装置(シリンダ装置)、
21a シリンダ、21b ピストン、23,25 内面壁、
24 ブレーキシュー、27、28 案内部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面形状に合う進退方向位置でそれぞれ対象物を把持する把持部材と、前記複数の把持部材を進退方向に移動可能に支持する支持体と、前記複数の把持部材を同時にロックするロック機構と、を備えるロック機能付き把持装置であって、
前記ロック機構は、
前記進退方向と交差するスライド方向にスライド可能な第1および第2のスライド体と、
第1および第2のスライド体を互いに逆方向にスライドさせる駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、第1および第2のスライド体をそれぞれ互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に第1のスライド体を押し付け、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向と逆向きの第2のスライド方向に第2のスライド体を押し付け、これにより、前記複数の把持部材を同時にロックする、ことを特徴とするロック機能付き把持装置。
【請求項2】
前記各把持部材は、前記進退方向の先端部に対象物を吸着する吸着部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロック機能付き把持装置。
【請求項3】
各スライド体には、前記複数の把持部材がそれぞれ貫通する貫通孔が形成されており、
前記駆動装置は、第1および第2のスライド体を、それぞれ、互いに逆向きの第1および第2のスライド方向に移動させることで、第1のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第1のスライド方向に押し付け、第2のスライド体の複数の貫通孔の内面壁を、それぞれ、前記複数の把持部材に対し第2のスライド方向に押し付ける、ことを特徴とする請求項1または2に記載のロック機能付き把持装置。
【請求項4】
前記内面壁は、樹脂または焼結材により形成されるブレーキシューで区画されている、ことを特徴とする請求項3に記載のロック機能付き把持装置。
【請求項5】
第1および第2のスライド体は、前記進退方向に接触して互いに対し摺動するスライド板である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のロック機能付き把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−188436(P2010−188436A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32284(P2009−32284)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】