説明

ロータリ耕耘作業機

【課題】簡易な構成で、ロータリアタッチメントの姿勢を容易に調整できるロータリ耕耘作業機を提供する。
【解決手段】ロータリ耕耘爪軸12に耕耘爪15を取付けて耕耘部14を構成し、内部に前記ロータリ耕耘爪軸12を駆動させる駆動力を伝達するチェーン及びスプロケットを有するチェーンケース11と、前記チェーンケース11の反対側に位置するサイドカバーと、ロータリアタッチメント38と、前記ロータリアタッチメント38を取り付ける取付部40と、を有し、前記取付部40は、前記チェーンケース11又はサイドカバーに取付けられるととともに、前記ロータリアタッチメント38の傾斜位置を調整する傾斜調整部33を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘作業機に係り、特に、培土機等のロータリアタッチメントの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドドライブ式のロータリ耕耘作業機において、チェーンケースに内装されたチェーン伝動機構に連結されて回転するロータリ耕耘爪軸に耕耘爪を取付けて耕耘部を構成し、この耕耘部の上方を覆うメインカバーの両側部にサイドカバーを固設し、耕耘部の後方を覆うとともにメインカバーに対してヒンジを介して上下方向に揺動可能に支持したリヤカバーには、その両側部にリヤサイドカバーを固設し、進行方向前方から見てリヤサイドカバーは、サイドカバーの外側方になるように配置して、耕耘部の左右後側方からの土飛散の防止等を図るようにしたものがある。
【0003】
従来、上記したトラクター作業機において、サイドスキ、サイドディスクや培土機等のロータリアタッチメントを装着する場合、取付部である溶接品のブラケットに取付けていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、取付部であるブラケットが溶接品であるので、ロータリアタッチメントの姿勢を容易に調整できないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、ロータリアタッチメントの姿勢を容易に調整できるロータリ耕耘作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ロータリ耕耘爪軸に耕耘爪を取付けて耕耘部を構成し、内部に前記ロータリ耕耘爪軸を駆動させる駆動力を伝達するチェーン及びスプロケットを有するチェーンケースと、前記チェーンケースの反対側に位置するサイドカバーと、ロータリアタッチメントと、前記ロータリアタッチメントを取り付ける取付部と、を有し、前記取付部は、前記チェーンケース又はサイドカバーに取付けられるととともに、前記ロータリアタッチメントの傾斜位置を調整する傾斜調整部を有することを特徴とするロータリ耕耘作業機を提供する。
【0007】
上記構成によれば、ロータリアタッチメントを取り付ける取付部がロータリアタッチメントの傾斜位置を調整する傾斜調整部を有するので、ロータリアタッチメントの傾斜位置を容易に変更することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記ロータリアタッチメントの前記取付部は、前記ロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定する傾斜固定部を有することを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘作業機を提供する。
【0009】
上記構成によれば、ロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定する傾斜固定部を有するので、傾斜調整部で調整後、容易にロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定することが可能となる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記傾斜調整部はネジにより調整されることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリ耕耘作業機を提供する。
【0011】
上記構成によれば、ネジにより調整可能であるので、微細に調整することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記傾斜固定部はネジにより固定されることを特徴とする請求項1乃至3記載のロータリ耕耘作業機を提供する。
【0013】
上記構成によれば、ネジにより固定することができるので、容易に効率良くロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明により、ロータリアタッチメントの傾斜位置を容易に変更することができる。
【0015】
請求項2に係る発明により、容易にロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定することが可能となる。
【0016】
請求項3に係る発明により、ロータリアタッチメントの傾斜を微細に調整することができる。
【0017】
請求項4に係る発明により、容易に効率良くロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るロータリ耕耘作業機の実施例を図1乃至図3を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るロータリ耕耘作業機を示す側面図、図2は、本発明に係るロータリ耕耘作業機におけるロータリアタッチメントの取付部を示す側面図、図3は、本発明に係るロータリ耕耘作業機におけるロータリアタッチメントの取付部を示す正面図である。
【0019】
ロータリ耕耘作業機1は、トラクタ2の後方に、トップリンク3が1本、ロワリンク4が2本を持つ3点リンク機構等の連結機構を介して昇降及び左右傾動自在に装着される。中央上部に配置されたべベルギヤボックス5の上方にマスト6が設けられ、べベルギヤボックス5から左右両側方(図の紙面に垂直方向)に延出されたメインビーム7の各中途部には支持プレート8が固設されて、マスト6の前端にトップリンク3の後端が枢支され、各支持プレート8の前端にロワリンク4の後端が各々枢支されている。
【0020】
トップリンク3、各ロワリンク4は油圧装置に連携しており、ロータリ耕耘作業機1は、油圧装置によって昇降作動されるようになっている。支持プレート8の後端にはデプスフレーム9が枢支されている。また、トラクタ2のPTO軸(動力取出し軸)がユニバーサルジョイント付ドライブ軸を介してべベルギヤボックス5に突設された入力軸10に連結され、PTO軸からの動力が入力軸10に伝達されるようになっている。
【0021】
べベルギヤボックス5内には、べベルギヤ群が設けられ、べベルギヤボックス5から一側方に延出したメインビーム7の端部にチェーンケース11が取付けられ、他側方に延出したメインビーム7の端部にはサイドフレームが取付けられている。また、チェーンケース11の下部とサイドフレームの下部との間に、各々軸受を介してロータリ耕耘爪軸12が回動自在に軸架されている。
【0022】
チェーンケース11には、入力スプロケット、チェーン及び出力スプロケット等からなるチェーン伝導機構が内装され、その入力スプロケットはべベルギヤ群のギヤ出力を伝動する伝動軸に固定され、出力スプロケットはロータリ耕耘爪軸12に連携する出力スプロケット軸に固定されている。
【0023】
このようにして、ロータリ耕耘爪軸12は、トラクタ2のPTO軸からの動力により、入力軸10、べベルギヤ群、伝動軸13及びチェーン伝動機構等を介して回転駆動されるようになっている。このロータリ耕耘爪軸12には、複数の耕耘爪15が放射状に取付けられて耕耘部14が構成されている。そして、耕耘爪15がA―A矢印方向に回動することになる。
【0024】
耕耘部の直上方には、この耕耘部14の上方を覆うロータリカバー16が設けられている。ロータリカバー16は、両側板部の部分でチェーンケース11の内側及びサイドフレームに、各々ボルト締結等により固定されている。ロータリカバー16の前方には、耕耘部の前方を覆うフロントカバー17が、メインビーム7から延出されたステー22にボルト締結により取付けられている。
【0025】
また、ロータリカバー16の後部上面にはボルト締結によりブラケット23が斜め後方上方に向けて取付けられ、このブラケット23の上端部即ち当該ブラケット23及びロータリカバー16等を介して作業機本体側に設けられた摺動部18とリヤカバーの後方寄りの上面側との間に、ハンガーロッド19が、リヤカバーを釣支するように設けられている。ハンガーロッド19の一端はリヤカバーの後方寄りの上面側に枢支され、他端側は摺動自在に支持されており、リヤカバーと連動してハンガーロッド19が摺動する。
【0026】
チェーンケース11の外側上部に取付板30が備えれらている。この取付板30には、取付ナット部31が備えられ取付ボルト部32が回動挿入可能になっている。これらの取付ナット部31及び取付ボルト部32が傾斜調整部33を構成している。即ち、この傾斜調整部33における取付ボルト部32の回転作用により傾斜が決められる。その後、取付ボルト部32と螺合している第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35により所定の傾斜位置に固定される。即ち、傾斜固定部36を構成する第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35の螺合・回転により取付ボルト部32が固定され取付挿入部37の傾斜角度が固定・決定される。取付挿入部37には培土機であるロータリアタッチメント38の取付棒が挿入され固定される。
【0027】
次に、上記構成を有する本発明に係るロータリ耕耘作業機1の作用を説明する。
ロータリ耕耘爪軸12が、トラクタ2のPTO軸(動力取出し軸)からの動力により、入力軸10、べベルギヤ群、伝動軸13及びチェーン伝動機構等を介して回転駆動される。このロータリ耕耘爪軸12に取付けられた複数の耕耘爪15が回転し耕耘作業が行われていく。これらの耕耘爪15の回転により、耕耘された土はロータリアタッチメントである培土機24により、培土作業が行われていく。
【0028】
図2及び図3に示されるように、ロータリアタッチメントである培土機24の取付軸39が取付挿入部37に挿入されピン42によりピン止めされ固定されている。第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35を緩めて取付挿入部37の傾斜角度を調整することができる。即ち、第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35を緩めた後、取付ナット部31に螺合している取付ボルト部32を回転させることにより取付挿入部37の傾斜角度を調整することができる。その後、第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35を締めると取付挿入部37の傾斜角度を固定することができる。
【0029】
上述した如く、本発明に係るロータリ耕耘作業機1は、ロータリアタッチメントである培土機24の取付軸39が取付挿入部37に挿入され固定されているので、第一傾斜固定ナット34及び第二傾斜固定ナット35を緩めて取付挿入部37の傾斜角度を調整することができる。従って、ロータリアタッチメントである培土機24の作業姿勢を容易に調整することができる。
【0030】
このように、作業するときは最適な作業姿勢に調整し固定することができ、逆に、作業しないときはロータリアタッチメントを反転・保持させるため、図3の矢印の如く、取付挿入部37を反転させることも可能である。
【0031】
上記実施例においては、ロータリアタッチメント24として、培土機を使用したが、サイドスキやサイドディスクを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るロータリ耕耘作業機を示す側面図。
【図2】本発明に係るロータリ耕耘作業機におけるロータリアタッチメントの取付部を示す側面図。
【図3】本発明に係るロータリ耕耘作業機におけるロータリアタッチメントの取付部を示す正面図。
【符号の説明】
【0033】
1 ロータリ耕耘作業機
2 トラクタ
3 トップリンク
4 ロワリンク
5 べベルギヤボックス
6 マスト
7 メインビーム
8 支持プレート
9 デプスフレーム
10 入力軸
11 チェーンケース
12 ロータリ耕耘爪軸
13 伝動軸
14 耕耘部
15 耕耘爪
16 ロータリカバー
17 フロントカバー
18 摺動部
19 ハンガーロッド
22 ステー
23 ブラケット
26 調整ハンドル
30 取付板
31 取付ナット部
32 取付ボルト部
33 傾斜調整部
34 第一傾斜固定ナット
35 第二傾斜固定ナット
36 傾斜固定部
37 取付挿入部
38 ロータリアタッチメント(培土機)
39 取付軸
40 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ耕耘爪軸に耕耘爪を取付けて耕耘部を構成し、内部に前記ロータリ耕耘爪軸を駆動させる駆動力を伝達するチェーン及びスプロケットを有するチェーンケースと、前記チェーンケースの反対側に位置するサイドカバーと、ロータリアタッチメントと、前記ロータリアタッチメントを取り付ける取付部と、を有し、前記取付部は、前記チェーンケース又はサイドカバーに取付けられるととともに、前記ロータリアタッチメントの傾斜位置を調整する傾斜調整部を有することを特徴とするロータリ耕耘作業機。
【請求項2】
前記ロータリアタッチメントの前記取付部は、前記ロータリアタッチメントの傾斜を所定位置に固定する傾斜固定部を有することを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘作業機。
【請求項3】
前記傾斜調整部はネジにより調整されることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリ耕耘作業機。
【請求項4】
前記傾斜固定部はネジにより固定されることを特徴とする請求項1乃至3記載のロータリ耕耘作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−34164(P2006−34164A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218252(P2004−218252)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】