説明

ロータリ耕耘機のスタンド装置

【課題】ロータリ耕耘機の上昇時にもトラクタへの接触干渉が起こらない状態で当該ロータリ耕耘機に対してスタンド具を保持できるようにし、もってスタンド具の置き忘れなどを防止できるようにする。
【解決手段】ロータリ耕耘機の機枠4に、長手方向を左右方向へ向けたツールバーを後端に有する支持枠14が後方突出状に備えられ、機枠4の左右少なくとも一方側に、接地部50が前後方向に長いスタンド具7を着脱自在に取り付ける取付部8が設けられており、ツールバーに左右一対の保持部9が設けられ、左右各スタンド具7にその長手方向をツールバーに略沿わせた状態で保持部9に着脱自在に保持される被保持部53が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘機のスタンド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロータリ耕耘機は、トラクタの後部に三点リンク機構を介して昇降自在に取り付けられる機枠と、この機枠の下部に左右方向の軸心回りに回転自在に支持された爪軸に複数の耕耘爪を取り付けてなるロータリ耕耘部と、このロータリ耕耘部を覆うロータリカバーとを備えている。
このロータリ耕耘機をトラクタとは別に単体で保管したり、倉庫と圃場との間で移動したりする際の便宜を図るため、従来、ロータリ耕耘機の機枠に対し、その左右両側に前後方向に長いスタンド具を着脱自在に取り付けることが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。このスタンド具は、立上り杆部と、この立上り杆部の下端部から後方へ延びる水平杆部とを有して側面視L型に形成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−98904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタンド具は、耕耘作業時にはロータリ耕耘機から取り外しておく必要があるが、取り外したスタンド具を圃場の周辺などへ置いたのでは、作業の中断時や終了時に置き忘れてしまうおそれがある。そのため前記従来のスタンド具(特許文献1)では、ロータリ耕耘機から外した後、スタンド具を、立上り杆部の上端部が下向きになるように上下逆向きにさせ、その状態でロータリ耕耘機の機枠上へ突き刺しておく(係合させておく)といった対応策が講じられていた。
【0005】
しかし、ロータリ耕耘機上ではスタンド具が上方へ突出する状態になるので、トラクタを旋回させるような場合等にロータリ耕耘機を上昇させると、スタンド具がトラクタと干渉する惧れがある。
このため、機枠に後方突出状に備えられた支持枠後端側のツールバーにスタンド具を取り付けることが考えられる。しかしながら、ロータリ耕耘機にあっては、ツールバーに施肥機等のインプルメントを取り付けて、耕耘作業とインプルメントでの作業との同時作業を行うことがあるが、スタンド具がツールバーから突出するようにして取り付けられると、該スタンド具がインプルメント取付の邪魔物となって、インプルメントのツールバーへの取付が困難となる惧れがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ロータリ耕耘機の上昇時にもトラクタへの接触干渉が起こらない状態で当該ロータリ耕耘機に対してスタンド具を保持できるようにし、もってスタンド具の置き忘れなどを防止できるようにし、また、スタンド具がインプルメントの取り付けの邪魔物となる惧れの少ないロータリ耕耘機のスタンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るロータリ耕耘機1のスタンド装置2は、ロータリ耕耘機1の機枠4に、長手方向を左右方向へ向けたツールバー37を後端に有する支持枠14が後方突出状に備えられ、前記機枠4の左右の少なくとも一方側に、接地部50が前後方向に長いスタンド具7を着脱自在に取り付ける取付部8が設けられており、前記ツールバー37に左右一対の保持部9が設けられ、前記左右各スタンド具7にその長手方向をツールバー37に略沿わせた状態で前記保持部9に着脱自在に保持される被保持部53が設けられていることを特徴としている。
【0008】
これによれば、スタンド具7に設けられた被保持部53をツールバー37に形成された保持部9へ装着させることにより、スタンド具7は、その長手方向(機枠4の左右の少なくとも一方側へ取り付けたときに前後方向に沿う方向)がツールバー37に沿う状態(左右方向に沿う状態)に保持されるものとなる。すなわち、スタンド具7は、ツールバー37への保持状態としたとき、上下方向や前後方向で大きく突出するものではなく、コンパクトに収まる。
【0009】
そのため、ロータリ耕耘機1の上昇時にもトラクタへの接触干渉が起こらない状態で当該ロータリ耕耘機1に対してスタンド具7を保持できるようになる。また、ツールバー37にインプルメントを取り付ける場合にも、スタンド具7が邪魔物となる惧れが少なく、インプルメントをツールバー37に取り付けやすくすることができる。
このように、取り外したスタンド具7をロータリ耕耘機1に対して保持できることになるので、スタンド具7の置き忘れなどを防止できるものとなる。
【0010】
また、ロータリ耕耘機1に保持させたスタンド具7が、上方への突出を抑えられている点は、トラクタ側からの後方確認時にスタンド具7が邪魔とならない(後方確認がし易い)という利点にも繋がっている。
前記ツールバー37の保持部9はツールバー37の左右の端部自体で形成され、前記スタンド具7の被保持部53は、ツールバー37の上側にスタンド具7の長手方向を略沿わせた状態で前記保持部9に外嵌する嵌合筒で形成され、且つ該被保持部53は、スタンド具7を前記取付部8に取り付けたときにスタンド具7における機枠4の左右方向中央側へ向く面に配置されているものとするのが好ましい。
【0011】
これによれば、ツールバー37に設けられる保持部9が、ツールバー37自体であることから、構造の簡潔化が図れると共に、既存のロータリ耕耘機1においてツールバー37に特段の改造などを施さなくとも、本発明を実施可能であるという利点に繋がる。
また、スタンド具7の使用状態において、被保持部53がスタンド具7から左右外側方に出っ張っていないことから、被保持部53が突起物とならず、該被保持部53が何かのものに接触する惧れがない。
【0012】
前記スタンド具7は前後接地体50を有する長手部51とこの長手部51の端部部から立ち上がった立上部52とが備えられ、前記長手部51の端部に前記被保持部53が設けられ、前記立上部52の上部に前記取付部8に取り付けられる被取付部54が設けられているものとするのが好ましい。
これによれば、スタンド具7における長手部51の前部に設けられた被保持部53をツールバー37の保持部9へ装着させたとき、スタンド具7の立上部52は前方へ向けて突出する向きとなると共に、この立上部52の前側に被取付部54が位置する状態となり、ツールバー37から上方へ突出することはない(スタンド具7全体として一層コンパクトに収まる)という利点がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るロータリ耕耘機のスタンド装置は、ロータリ耕耘機の上昇時にトラクタとの干渉が起こらない状態で当該ロータリ耕耘機に対してスタンド具をコンパクトに保持することができ、また、スタンド具がツールバーから大きく突出しないので、ツールバーにインプルメントを取り付ける場合に、スタンド具がインプルメント取付の邪魔物となる惧れが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態についてスタンド具をツールバーに保持させた状態にして示した側面図である。
【図2】本発明の一実施形態についてスタンド具を使用状態にして示した側面図である。
【図3】図1のA−A線矢視図である。
【図4】図1のB−B線矢視図である。
【図5】図2のC−C線矢視図である。
【図6】図5のD部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図6は、本発明に係るロータリ耕耘機1のスタンド装置2についてその一実施形態を示している。ロータリ耕耘機1は、三点リンク機構等を介してトラクタ(図示略)に昇降自在に装着される機枠4と、この機枠4の下部に設けられたロータリ耕耘部5と、このロータリ耕耘部5を覆うロータリカバー6とを備えている。
【0016】
スタンド装置2は、このようなロータリ耕耘機1に対して着脱自在とされる左右一対のスタンド具7と、ロータリ耕耘機1における機枠4の左右両側で左右の各スタンド具7を取り付けるための左右の取付部8と、機枠4の後方側で左右の各スタンド具7を仮保持させるための左右の保持部9とを具備している。
すなわち、スタンド具7は、ロータリ耕耘機1を単体で保管するような場合等には、取付部8に対してロータリ耕耘機1の機体荷重を支える状態に取り付ける(図2参照)が、圃場などでのロータリ耕耘機1を使用した耕耘作業中には、作業には全く邪魔とならない状態として保持部9に仮保持させる(図1参照)ことができるようになっている。
【0017】
まずロータリ耕耘機1についてその具体構造を詳述する。図5に示すように、機枠4は、左右方向中央のギヤケース10からサポートアーム11を左右に突設し、左側のサポートアーム11の端部に伝動ケース12の上端側を連結すると共に右側のサポートアーム11の端部にサイドフレーム13の上部側を連結して背面視門型状に形成されている。またこの機枠4には、図1及び図2に示すように、後方突出状に支持枠14が備えられている。
【0018】
ギヤケース10の上部には、前後二股状に形成されたトップマスト15が固定され、このトップマスト15の前部の上部側には、三点リンク機構のトップリンクの後端側が連結される(又は三点リンク機構の後端側にヒッチフレームが設けられる場合は、該ヒッチフレーム上部のフック部分に係合する)トップリンクピン16が設けられている。
また、ギヤケース10と左右の各サポートアーム11との各間には、それぞれ連結ブラケット17が固定され、これら連結ブラケット17の前部には、三点リンク機構の左右のロワーリンクの後端側が連結される(又は三点リンク機構の後端側にヒッチフレームが設けられる場合は、該ヒッチフレーム下部の左右両側の連結具が連結される)ロワーリンクピン18が設けられている。
【0019】
なお、トラクタの後部上には、単動型の油圧シリンダからなる作業機昇降装置が設けられ、この昇降装置には、左右のリフトアームが上下揺動自在に設けられている。これら左右のリフトアームは三点リンク機構の左右の各ロワーリンクにリフトロッドを介して連結されている。そのため、昇降装置に圧油を供給するとリフトアームが上方揺動し、ロワーリンクと共にロータリ耕耘機1が上昇するようになり、その後、昇降装置から圧油をドレンすると、ロータリ耕耘機1はその自重によって下降するようになっている。
【0020】
ロータリ耕耘部5は、伝動ケース12とサイドフレーム13との下部間に左右方向の軸心回りに回動自在に支架された爪軸20と、この爪軸20に対し軸方向及び周方向に間隔をおいて取り付けられた多数の耕耘爪21とを有している。
爪軸20には、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント等の伝動部材、PIC軸22、ギヤケース10内の動力伝達機構、左側サポートアーム11内の伝動軸23(図3参照)、伝動ケース12内の動力伝達機構を経て回転動力が伝達される。爪軸20の回転により、耕耘爪21が図2の矢視R方向に回転し、耕起した土を砕土しつつ後方に放てきするようになっている。
【0021】
また、爪軸20にはワイヤ、紐、ロープ等で形成された1本又は周方向に複数本の草巻き付き防止用線状部材25(図5参照)が平行して張設されている。そのため、爪軸20に対する草の巻き付き径が大きくなり、爪軸20の回転時において草の巻き付きを防止するようになっている。
ロータリカバー6は、ロータリ耕耘部5の上方を覆う状態で、伝動ケース12とサイドフレーム13との間に側板26を介して固定された上部カバー27と、この上部カバー27の後端側に支軸28を介して連結されてロータリ耕耘部5の後方を覆うリヤカバー29と、ロータリ耕耘部5の後部の左右両側を覆うサイドカバー30とを有している。
【0022】
なお、リヤカバー29は、側板26に対して支軸28を支点に上下揺動自在となっており、サポートアーム11とリヤカバー29との間には、カバー角調整部31が設けられている。そのため、このカバー角調整部31を操作することで、リヤカバー29の角度(下端高さ)を変更したり、均平圧を調整したり、リヤカバー29を浮動状態に保持したりすることができる。
【0023】
側板26の前端部に、スタンド具7を取り付けるための取付部8が設けられている。本実施形態の取付部8は、側板26に固定される支持ブラケット32の下端で、短尺の角パイプ等を用いた中空角材33を左右方向に向けて保持させるようにしたもので、支持ブラケット32には中空角材33のパイプ孔を左右方向に開通させるための側面視正方形状をした係合口34が形成されている。この係合口34へ、後述するスタンド具7に設けられた被取付部54(角軸状の突起)を差し込むことができるようにしてあり、これによって取付部8が構成されるものである。
【0024】
図3に示すように、支持枠14は、機枠4における左右のサポートアーム11に対し、その後方へ突出する状態で設けられており、長手方向を前後方向へ向けた左右一対の支持アーム36と、これら左右の支持アーム36の後端に連結されて長手方向を左右方向に向けたツールバー37とを有している。
左右の支持アーム36は、左右のサポートアーム11に固定された連結ブラケット17に対し、枢軸38を介して左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結された外軸39と、この外軸39に摺動自在な状態で嵌合した内軸40とを有して、これら両軸間の相対的な伸縮により長さ調節可能とされている。
【0025】
左右の支持アーム36は、外軸39同士が連結杆41によって連結されており、この連結杆41の左右方向中央部とトップマスト15との間に、図1及び図2に示すように、昇降操作装置42が設けられている。
この昇降操作装置42は、伸縮自在な伸縮ロッド43と、この伸縮ロッド43の先端側で径方向に張り出したり折り畳んだりすることができる状態で設けられた操作ハンドル44とを備えている(図1及び図2は折り畳み状態を示している)。この操作ハンドル44を径方向の張り出し状態にし、伸縮ロッド43の軸心まわりで回転操作すると、伸縮ロッド43を伸ばしたり縮めたりできる。
【0026】
伸縮ロッド43の先端側がトップマスト15の後部上端側に対して左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられ、伸縮ロッド43の基端側がツールバー37に設けられた連結杆46に設けられたブラケット片45に対して左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられている。従って、操作ハンドル44の回転操作で伸縮ロッド43を伸縮させれば、支持枠14が枢軸38を支点として上下方向に揺動し、これに伴ってツールバー37が昇降するようになっている。
【0027】
ツールバー37における左右の各端部に、スタンド具7を仮保持させるための保持部9が設けられている。本実施形態の保持部9は、ツールバー37を角パイプ等の中空角材によって形成することで、当該ツールバー37の左右両端部が側面視正方形状の外郭形状を呈するようにさせてある。これら左右の端部へ、後述するスタンド具7に設けられた被保持部53(角パイプ状の部材)を差し込むことができるようにしてあり、これによってツールバー37の左右各端部自体で保持部9が構成されるものである。
【0028】
次にスタンド具7について具体構造を詳述する。図2に示すように、スタンド具7は、ロータリ耕耘機1の機体荷重を支えるために取付部8に取り付けられるときに、長手方向を前後方向へ向ける長手部51と、この長手部51の前部(前側の端部)から立ち上がった立上部52とを有している。長手部51の前後両端部には前後の接地体50aが設けられており、これら接地体50aによって前後方向に長い接地部50を構成している。
【0029】
そして、長手部51の前部に、保持部9に対して仮保持させるための被保持部53が設けられ、立上部52の上部に、取付部8に対して取り付けるための被取付部54が設けられている。
接地体50aは、本実施形態では縦軸回りに首振り自在(旋回自在)とされたキャスターが用いられている。長手部51には、前後の接地体50aを取り付けるために前後のブラケット55,56が溶接などにより固定されているが、ロータリ耕耘機1の安定性を高めるために前部のブラケット55は、長手部51から前方へ延出する形状を有したものとしてあり、その前端寄りに前部の接地体50aを配置できるようにしてある。この前部のブラケット55には、ブラケット55上へ足や土などが引っ掛かるのを防止し、また当該ブラケット55の補強(高剛性化)を兼ねる目的で、前端から上方突出状に前板57が折曲形成されたものとしてある。
【0030】
なお、接地体50aは首振り自在なものとするか否かは特に限定されるものではなく、またキャスターをホイル径の大きな車輪に置換したり、接地状態を不動にする脚などに置換したりすることも任意に変更可能である。また、接地部50は、前後方向に長いソリ状の板材によって形成してもよい。また、長手部51の下面で接地部を構成してもよい(この場合、長手部51の下面側をソリ状にしてもよい)。
【0031】
図6に示すように、被取付部54は、立上部52の上部から、機枠4の左右方向内方(機体4の左右方向中央側、図6の左方)へ向けて突出する配置で設けられた突起であって、外郭形状が側面視正方形状に形成されており、機枠4の側板26に設けられた取付部8の係合口34(中空角材33のパイプ孔)に対し、ガタツキの無い嵌合状態を保持させて差し込むことができる。
【0032】
本実施形態では、取付部8の構成に用いた中空角材33に比べて一まわり細い角パイプ(中空角材33のパイプ孔に嵌合するもの)により、被取付部54を形成させてある。
取付部8の係合口34が側面視正方形状の開口形状をしているのに対し、被取付部54が側面視正方形状の外郭形状をしているので、嵌合時に被取付部54が回転することはなく、これによって機枠4に対するスタンド具7の取付角度(長手部51が水平になって前後の接地体50aが同時に接地する状態)は常に維持されるものとなる。
【0033】
なお、取付部8及び被取付部54には、これら両者の嵌合時に互いに合致する配置であって且つ嵌合方向に直交して両者を貫通するようになるピン孔が設けられており、これら両ピン孔を串刺しするように抜止ピン58(図2参照)を突き刺し、更に突き抜けた抜止ピン58の先端に割りピン59等を差し込むことで、取付部8から被取付部54が脱出することがないようにしてある。
【0034】
被保持部53は、長手部51の前端部であって且つ機枠4の左右方向内方(機体4の左右方向中央側)へ向く長手部51の側面に設けられていると共に、該長手部51の長手方向と同じ向きに筒孔を向けた嵌合筒として形成されている。
この被保持部53は、図1、図3及び図4に示すように、スタンド具7(の長手部51)の長手方向をツールバー37の長手方向に略沿わせるようにして、該スタンド具7(の長手部51)をツールバー37の上側に近接して平行状に配置した(載せた)とき、ツールバー37に設けられた保持部9(ツールバー37の左右の端部)に対し、ガタツキの無い嵌合状態を保持させて外嵌することができる。
【0035】
本実施形態では、保持部9の構成に用いた角パイプに比べて一まわり太い角パイプにより、被保持部53を形成させてある。
保持部9が側面視正方形状の外郭形状をしているのに対し、被保持部53の嵌合筒内が側面視正方形状の開口形状をしているので、嵌合時に被保持部53が回転することはなく、これによってツールバー37に対するスタンド具7の保持姿勢(長手部51がツールバー37と略平行する状態)は常に維持されるものとなる。
【0036】
なお、保持部9及び被保持部53には、これら両者の嵌合時に互いに合致する配置であって且つ嵌合方向に直交して両者を貫通するようになるピン孔が設けられており、これら両ピン孔を串刺しするように抜止ピン58(図4参照)を突き刺し、更に突き抜けた抜止ピン58の先端に割りピン59等を差し込むことで、保持部9から被保持部53が脱出することがないようにしてある。
【0037】
言うまでもなく、保持部9に対する被保持部53の脱出防止に使用する抜止ピン58や割ピン59は、取付部8に対する被取付部54の脱出防止に使用する抜止ピン58や割ピン59をそのまま利用(共通使用)すればよい。なお、別のものを使用することも可能である。
次に、本発明に係るロータリ耕耘機1のスタンド装置2における使用状況を説明する。ロータリ耕耘機1をトラクタとは別に単体で保管したり、倉庫と圃場等との間で移動したりする際には、図2及び図5に示すように、機枠4における左右両側の取付部8に形成された係合口34に対して、左右の各スタンド具7に設けられた被取付部54を嵌合させる。
【0038】
そのうえで、取付部8及び被取付部54間において互いに合致した状態のピン孔へ抜止ピン58を串刺し状に突き刺し、更に突き抜けた抜止ピン58の先端に割りピン59等を差し込む。このようにして、左右のスタンド具7をロータリ耕耘機1の機体荷重を支える状態に取り付ける。
一方、ロータリ耕耘機1をトラクタの後部に取り付け、圃場などで耕耘作業を行う際には、機枠4における左右両側の取付部8から被取付部54を脱出させることで左右のスタンド具7を外す。そして図1、図3及び図4に示すように、ツールバー37の左右両端部に設けられた保持部9に対して、左右の各スタンド具7に設けられた被保持部53を外嵌させる。
【0039】
そのうえで、保持部9及び被保持部53間において互いに合致した状態のピン孔へ抜止ピン58を串刺し状に突き刺し、更に突き抜けた抜止ピン58の先端に割りピン59等を差し込む。このようにして、左右のスタンド具7を耕耘作業には全く邪魔とならない状態としてツールバー37に仮保持させる。
この状態では、スタンド具7の長手部51はツールバー37の上側に平行状に近接配置され、スタンド具7の立上部52は前方へ向けて突出する向きとなり、被取付部54は下方を向く状態となる。
【0040】
ツールバー37にインプルメントを取り付ける場合にも、スタンド具7が邪魔物となる惧れが少なく、インプルメントをツールバー37に取り付けやすくすることができる。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、立上部52は、長手部51の後部(後側の端部)から上方に立ち上がるように設けてもよい。また、機枠4において取付部8はロータリーカバー6の側板26を介して支持ブラケット32を取り付け、この支持ブラケット32において形成させるようにしたが、例えば伝動ケース12やサイドフレーム13やサイドカバー30に適宜ブラケット構造を介して形成させるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、スタンド具7を機枠4の左右両側に取り付け得るようにした例を示したが、前記構成のスタンド具7を機枠4の左右一方側に取り付け得るようにしてもよい。この場合、前記構成のスタンド具7を機枠4の左右一方に取付可能とし、機枠4の左右他方に、他の形式の(簡易な)スタンド具を取付可能とされる。
また、取付部8とスタンド具7の被取付部54との取付構造についても、嵌合構造と抜止ピン58、割ピン59を用いた構造にすることが限定されるものではなく、係合構造やボルト止め構造などに置換することができる。
【0042】
支持枠14のツールバー37に対して被保持部53を設ける位置は、ツールバー37の端部以外としてもよい。例えば、ツールバー37の長手方向中途部に、スタンド具7の被保持部53と嵌合関係を生じさせる嵌合部材(即ち、これを被保持部53とする)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ロータリ耕耘機
2 スタンド装置
4 機枠
7 スタンド具
8 取付部
9 保持部
14 支持枠
37 ツールバー
50 接地部
51 長手部
52 立上部
53 被保持部
54 被取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ耕耘機(1)の機枠(4)に、長手方向を左右方向へ向けたツールバー(37)を後端に有する支持枠(14)が後方突出状に備えられ、前記機枠(4)の左右少なくとも一方側に、接地部(50)が前後方向に長いスタンド具(7)を着脱自在に取り付ける取付部(8)が設けられており、
前記ツールバー(37)に保持部(9)が形成され、
前記スタンド具(7)にその長手方向をツールバー(37)に略沿わせた状態で前記保持部(9)に着脱自在に保持される被保持部(53)が設けられていることを特徴とするロータリ耕耘機のスタンド装置。
【請求項2】
前記ツールバー(37)の保持部(9)はツールバー(37)の左右の端部自体で形成され、
前記スタンド具(7)の被保持部(53)は、ツールバー(37)の上側にスタンド具(7)の長手方向を略沿わせた状態で前記保持部(9)に外嵌する嵌合筒で形成され、且つ該被保持部(53)は、スタンド具(7)を前記取付部(8)に取り付けたときに該スタンド具(7)における機枠(4)の左右方向中央側へ向く面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘機のスタンド装置。
【請求項3】
前記スタンド具(7)は前後接地体(50)を有する長手部(51)とこの長手部(51)の端部から立ち上がった立上部(52)とが備えられ、前記長手部(51)の端部に前記被保持部(53)が設けられ、前記立上部(52)の上部に前記取付部(8)に取り付けられる被取付部(54)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリ耕耘機のスタンド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−125243(P2011−125243A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285333(P2009−285333)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】