説明

ワイヤレスセンサ

【課題】検知信号をコントローラに確実に送信できて、コントローラを警戒状態にした直後の送信禁止時間が短く抑えられると共に、コントローラの解除中に多数のセンサ入力が発生しても送信回数を少なくして電池の消耗を低減させるワイヤレスセンサを提供する。
【解決手段】コントローラへの検知信号の送信を許可する送信許可タイマ及び送信を禁止する送信禁止タイマを備え、センサ入力が発生した場合に検知信号を送信して送信許可タイマを起動させると共に、送信許可タイマの設定時間が経過する前に次のセンサ入力が発生した場合に、検知信号を送信して送信禁止タイマを起動させ該送信禁止タイマの設定時間が経過するまで検知信号の送信を禁止することを特徴とする。前記送信禁止タイマの起動中にセンサ入力が発生した場合には、検知信号は送信せず当該タイマに一定時間を加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を用いて検知信号を送信するワイヤレスの防犯システムの端末機器として使用可能なワイヤレスセンサに係わり、特に、該センサで使用される電池の消耗を最低限に抑えることが可能なワイヤレスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホームセキュリティシステム等の防犯システムにおいては、コントローラに接続される端末機器として複数のワイヤレスセンサが使用され、この各ワイヤレスセンサには該センサを作動させるための電池が内蔵されている。そして、このようなワイヤレスセンサの場合、電池の消耗をできるだけ少なくするために、例えば図5にタイミングチャートで検知信号を送信する送信規制機能が設けられている。
【0003】
この送信規制機能は、通常状態において(a)に示すようにセンサ入力が発生した場合に、(b)に示すように検知信号をコントローラに送信すると同時に、(c)に示すようにタイマを起動させて予め設定した時間Tのカウントダウンが開始される。そして、このタイマのカウントダウン中に次のセンサ入力が発生しても検知信号は送信せず、また、時間Tが経過してカウントオーバーすると通常状態に戻り次の検知信号の発生を待つようになっている。また、時間Tは、センサ入力が発生しても残り時間が変化せず、予め設定した時間Tが常にカウントされるようになっている。なお、ワイヤレスセンサを利用して警戒/解除を行い、その解除中に信号を送信しないようにして、電池の消耗を押さえるようした文献としては、例えば特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−135162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなワイヤレスセンサにあっては、一度検知信号を送信すると予め設定した時間Tが経過しない間、次の検知信号を送信しないため、コントローラが何らかの理由で検知信号を受信できない状態の場合等に、侵入者を検知できない虞がある。また、例えば人の出入りが激しい警戒エリアのようにセンサ入力が間断なく発生する状況においては、時間Tの間隔で検知信号を送信することから、例えば時間Tを長く設定した場合は、検知信号を送信してコントローラを警戒状態にした直後のセンサ入力が反応しない時間が長くなって侵入者を検知できない可能性が高くなり、また逆に、時間Tを短く設定した場合は、検知信号を送信する回数が増加して電池の消耗が激しくなり易い。また、特許文献1のワイヤレスセンサの場合は、解除中の送信禁止により複数のワイヤレスセンサのうち個々のワイヤレスセンサの電池の消耗はある程度押さえることができるものの、各ワイヤレスセンサの警戒/解除の情報を互いに得ることができないため、各ワイヤレスセンサの電池の消耗を十分に抑えることが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、検知信号をコントローラに確実に送信できて、コントローラを警戒状態にした直後の送信禁止時間が短く抑えられると共に、コントローラの解除中に多数のセンサ入力が発生しても送信回数を少なくして電池の消耗を低減させるワイヤレスセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、コントローラへの検知信号の送信を許可する送信許可タイマ及び送信を禁止する送信禁止タイマを備え、センサ入力が発生した場合に検知信号を送信して前記送信許可タイマを起動させると共に、前記送信許可タイマの設定時間が経過する前に次のセンサ入力が発生した場合に、検知信号を送信して前記送信禁止タイマを起動させ該送信禁止タイマの設定時間が経過するまで検知信号の送信を禁止することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記送信禁止タイマの起動中にセンサ入力が発生した場合に、検知信号は送信せず当該タイマに一定時間を加算することを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記送信禁止タイマに上限値を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、センサ入力が発生した場合に検知信号を送信して送信許可タイマを起動させると共に、送信許可タイマの設定時間が経過する前に次のセンサ入力が発生した場合に、検知信号を送信して送信禁止タイマを起動させ該タイマの設定時間が経過するまで検知信号の送信を禁止するため、送信許可タイマにより2回目までのセンサ入力に対しては送信を許可できて、検知信号をコントローラに確実に送信できると共に、侵入者の検知精度を高めることができ、かつコントローラの解除中に多数のセンサ入力が発生しても送信回数を少なくして電池の消耗を低減させその寿命を延長させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、送信禁止タイマの起動中にセンサ入力が発生した場合に、検知信号は送信せず当該タイマに一定時間を加算するため、センサ入力が間断なく発生する状況では、送信禁止タイマがその都度延長されて検知信号の送信回数を確実に減らすことができ、また、センサ入力が稀にしか発生しない状況では、検知信号をその都度確実に送信することができて、侵入者の検知精度を一層高めることができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、送信禁止タイマに上限値が設けられているため、設定した上限値により、検知信号でコントローラを警戒状態にした後の送信禁止を長時間継続すること等がなくなり、侵入者の検知精度をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係わるワイヤレスセンサの一実施形態を示し、図1がそのブロック図、図2がその運用形態の説明図、図3が動作を説明するためのフローチャート、図4がそのタイミングチャートである。
【0012】
図1に示すように、ワイヤレスセンサ1は、マイコンからなる制御手段2を有し、この制御手段2の入力側には、センサ部3がセンサ信号処理手段4を介して接続され、制御手段2の出力側には、アンテナ5aを有する無線送信ユニット5が接続されている。また、制御手段2及び無線送信ユニット5等には電池6が接続されている。なお、制御手段2には、後述する時間Ta1、Tb1、Tb2、Tb3等を設定可能な送信許可タイマ及び送信禁止タイマが設けられると共に、後述するプログラム等を記憶する記憶部や演算処理部(いずれも図示せず)等が設けられている。
【0013】
そして、このワイヤレスセンサ1は、図2に示すようにして運用される。すなわち、例えば複数個(図では4個)のワイヤレスセンサ1が各警戒エリアに設置されて、その無線信号が無線送信ユニット5のアンテナ5aからコントローラ7のアンテナ8に送信される。また、コントローラ7には、その出力側にベル9等が接続されると共に音声またはデータの通報回線10が接続されている。そして、コントローラ7は、警戒状態の場合にワイヤレスセンサ1から検知信号を受信すると、ベル9等を鳴動させて侵入者を威嚇したり、電話回線等の通報回線10を介してその情報を音声またはデータで通報するようになっている。
【0014】
次に、前記ワイヤレスセンサ1の動作の一例を図3のフローチャート及び図4のタイミングチャートに基づいて説明する。図3に示すように、ワイヤレスセンサ1の電源が投入(S10)されると、各ワイヤレスセンサ1が検知可能状態に設定されて通常状態となり、この通常状態で1回目の検知待機(S11)に移る。このステップS11で検知待機が開始されると、センサ入力が有りか否かが判断(S12)され、この判断S12で「YES」の場合、すなわちワイヤレスセンサ1が人体(侵入者等)を検知した場合は、人体検知信号電波をコントローラ7に送信(S13)して、制御手段2内の送信許可タイマ(図3ではタイマa)が起動(S14)する。一方、判断S12で「NO」の場合、すなわちワイヤレスセンサ1が人体を検知しない場合は、検知待機S11に戻る。
【0015】
そして、ステップS14で送信許可タイマが起動すると、2回目の検知待機(S15)に移り、センサ入力が有りか否かが判断(S16)され、この判断S16で「YES」の場合は、人体検知信号電波をコントローラ7に送信(S17)し、制御手段2内の送信禁止タイマ(図3ではタイマb)が起動(S18)する。一方、判断S16で「NO」の場合は、送信許可タイマがタイムオーバーか否かが判断(S19)され、この判断S19で「YES」の場合、すなわち1回目の検知信号が発生してからセンサ入力のない状態が送信許可タイマの時間Ta1をオーバーした場合は、1回目の検知待機S11に戻る。一方、判断S19で「NO」の場合、すなわち1回目の検知信号が発生してからセンサ入力がない状態が送信許可タイマの時間Ta1をオーバーしていない場合は、2回目の検知待機S15に戻る。
【0016】
前記ステップS18で送信禁止タイマが起動すると、送信禁止期間(S20)に移り、センサ入力が有りか否かが判断(S21)され、この判断S21で「YES」の場合は、送信禁止タイマに時間Tb2を加算する処理(S22)を行い、送信禁止期間S20に戻る。この時の加算処理は、送信禁止タイマに予め設定した所定時間Tb2を加算する処理であり、この場合、所定時間Tb2を加算することで予め設定した最大値(上限値)Tb3を超える場合には、送信禁止タイマの時間を最大値である時間Tb3に設定するようになっている。
【0017】
一方、判断S21で「NO」の場合は、送信禁止タイマがタイムオーバーか否かが判断(S23)され、この判断S23で「YES」の場合、すなわち送信禁止タイマが起動してからセンサ入力のない状態が送信禁止タイマの時間Tb2をオーバーした場合は、1回目の検知待機S11に戻り、判断S21で「NO」の場合、すなわち送信禁止タイマが起動してからセンサ入力のない状態が送信禁止タイマの時間Tb2をオーバーしていない場合は、送信禁止期間S20に戻る。
【0018】
以上のステップをタイミングチャートで示したのが図4である。この図4の「A」が検知信号の送信時期を示し、「B」が送信許可タイマの起動時期を示し、「C」が送信禁止タイマの起動時期を示している。また、図4の「D」は、前記ステップS22の加算処理を行う時期を示している。この図4からも明らかなように、センサ入力が継続して発生する状況では、その間検知信号を送信しない場合があり、この場合、最後のセンサ入力から通常状態に戻るまでの時間Tは、Tb1(または時間Tb2)とTb3の間の時間となる。
【0019】
つまり、以上の動作においては、通常状態から2回目までの信号は送信禁止の対象とならないことから、コントローラ7で検知信号を受信できない確率が極めて低くなり、また、センサ入力が間断なく発生する状況においては、送信禁止タイマがカウントオーバーする機会が少なくなることから、電波送信回数を大幅に減少させることができる。また、センサ入力が稀にしか発生しない状況においては、送信禁止タイマが起動する機会が極めて少なくなり、仮に起動したとしても送信禁止タイマの時間が最大値Tb3以上に大きくならないことから、「センサ入力信号がある度に検知信号を出力する」という防犯システム本来の姿に極めて近い状態で運用が可能となる。
【0020】
このように、上記実施形態のワイヤレスセンサ1にあっては、センサ入力が発生した場合に検知信号を送信して送信許可タイマを起動させると共に、送信許可タイマの設定時間が経過する前に次のセンサ入力が発生した場合に、検知信号を送信して送信禁止タイマを起動させ該タイマの時間Tb1が経過するまで検知信号の送信を禁止するため、送信許可タイマにより2回目までのセンサ入力に対しては送信を許可できて、検知信号をコントローラに確実に送信できる。また同時に、侵入者の検知精度を高めることができると共に、コントローラ7の解除中に多数のセンサ入力が発生しても送信回数を少なくして電池6の消耗を低減させその寿命を延長させることができる。
【0021】
また、送信禁止タイマの起動中にセンサ入力が発生した場合に、検知信号は送信せず当該タイマに一定の所定時間Tb2を加算するため、センサ入力が間断なく発生する状況では、送信禁止タイマのタイマ時間がその都度延長されて検知信号の送信回数を確実に減らすことができて、電池6の寿命を一層延長させることができると共に、センサ入力が稀にしか発生しない状況では、検知信号をその都度確実に送信することができて、人体の検知精度を一層高めることができる。
【0022】
特に、送信禁止タイマに上限値Tb3が設けられているため、設定した上限値Tb3により、検知信号でコントローラ7を警戒状態にした後の送信禁止を長時間継続することがなくなり、侵入者の検知精度をより一層高めることができる。また、送信許可タイマと送信禁止タイマとして制御手段2内の各タイマを使用できるため、構成を簡略化させると共に、各タイマの時間設定等を容易に行うことができる等、構成簡易にして高い検知精度を有するワイヤレスセンサ1を提供することが可能となる。
【0023】
なお、上記実施形態においては、ワイヤレスセンサ1の制御手段2に送信許可タイマと送信禁止タイマを設けたが、本発明はこの構成に限定されず、別途専用のタイマを設ける等、適宜に変更することができるし、上記したフローチャートやタイミングチャートの動作、ワイヤレスセンサのブロック構成図、各ワイヤレスセンサの動作等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、ホームセキュリティシステム等の防犯システム用のワイヤレスセンサに限らず、他の全ての防犯システム用のワイヤレスセンサにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係わるワイヤレスセンサの一実施形態を示すブロック図
【図2】同その運用形態の説明図
【図3】同動作の一例を示すフローチャート
【図4】同そのタイミングチャート
【図5】従来のワイヤレスセンサの動作を示すタイミングチャート
【符号の説明】
【0026】
1・・・ワイヤレスセンサ、2・・・制御手段、3・・・センサ部、4・・・センサ信号処理手段、5・・・無線送信ユニット、5a・・・アンテナ、6・・・電池、7・・・コントローラ、8・・・アンテナ、9・・・ベル、10・・・通報回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラへの検知信号の送信を許可する送信許可タイマ及び送信を禁止する送信禁止タイマを備え、
センサ入力が発生した場合に検知信号を送信して前記送信許可タイマを起動させると共に、前記送信許可タイマの設定時間が経過する前に次のセンサ入力が発生した場合に、検知信号を送信して前記送信禁止タイマを起動させ該送信禁止タイマの設定時間が経過するまで検知信号の送信を禁止することを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項2】
前記送信禁止タイマの起動中にセンサ入力が発生した場合は、検知信号は送信せず当該タイマに一定時間を加算することを特徴とする請求項1に記載のワイヤレスセンサ。
【請求項3】
前記送信禁止タイマに上限値を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤレスセンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−123146(P2008−123146A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304699(P2006−304699)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】