説明

ワーク搬送装置のフィンガー切換装置

【課題】比較的簡単で且つ占有スペースの小さな設備構成でありながら、フィンガーの切換を確実に行うことができるフィンガー切換装置を提供する。
【解決手段】搬送台車1上に4種類の起倒式のフィンガー6a〜6dを備えた複数の切換式フィンガーユニット3,3‥をピストン−シリンダ型の液圧式動力伝達器12とともに搭載する。動力伝達器12はフィンガー6a〜6dの種類別に独立していて、各フィンガー6a〜6dは対応する動力伝達器12に操作用ケーブル9を介して接続して集約する。切換操作ロボット4により動力伝達器12の操作レバー14をプッシュプル操作することで、各切換式フィンガーユニット3,3‥のフィンガー6a〜6dを一斉に選択的に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の組立ライン等で使用される搬送台車方式のワーク搬送装置に関し、特に複数の種類のワークの搬送に搬送台車を共通して使用するにあたり、その搬送台車上に用意された複数種類のワーク位置決め用のフィンガーを搬送対象となるワークの種別に応じてその都度選択的に切り換えるフィンガー交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のワーク搬送装置のフィンガー切換装置として例えば特許文献1に記載のように、ワークを位置決めするための複数のフィンガーが着脱可能に装着される搬送台車と、ワークの種別に応じた複数種類のフィンガーが整列されるストレージ装置と、搬送すべきワークの種別に応じて搬送台車とストレージ装置との間でフィンガーの入れ替えを行うハンドリングロボットとを備えたものが知られている。
【特許文献1】特許第2559523号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のフィンガー切換装置では、ストレージ装置としてハンドリングロボットと協働するべくいわゆる1ピッチ送り動作が可能なストレージコンベヤが必須であるため、設備費の高騰を招くばかりでなく、その設置に際して大きな占有スペースを必要とし、スペース効率が悪くなる。
【0004】
しかも、フィンガーを1個ずつハンドリングロボットにて移動させる方式であるため、フィンガー交換時間が長くなり、搬送装置本来の設備稼働率が低下することとなって好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、比較的簡単で且つ占有スペースの小さな設備構成でありながら、従来と同等もしくはそれ以上の機能を発揮し得るフィンガー切換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、搬送対象となるワークを位置決めするためにワークの種別に応じた複数種類のフィンガーを搬送台車に搭載するとともに、各フィンガーを該当するワークの位置決め正規位置と退避位置との間でその位置の選択切換を可能とし、搬送すべきワークの種別に応じ該当するワーク用のフィンガーを位置決め正規位置に、それ以外のフィンガーを退避位置にそれぞれ位置させるようにしたワーク搬送装置のフィンガー切換装置であることを前提とする。
【0007】
その上で、各フィンガーにその位置の選択切換操作のための操作用ケーブルの一端を連結する一方、それらの操作用ケーブルの他端をフィンガーの種類別に用意した遠隔操作部に連結してフィンガーの種類別に集約し、上記遠隔操作部の操作により同じ種類のフィンガーの位置の選択切換を遠隔操作にて一斉に行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合、請求項2に記載のように、ワークの種別に応じた複数種類のフィンガーを並設してなる切換式フィンガーユニットを搬送台車の複数箇所に配置する一方、各フィンガーに連結した操作用ケーブルの他端をフィンガーの種類別に用意した遠隔操作部に連結してフィンガーの種類別に集約するようにしても良い。
【0009】
また、請求項3に記載のように、上記フィンガーの種類別の遠隔操作部を搬送台車に設けるとともに、その搬送台車の外部から遠隔操作部の操作を行う産業用ロボット等の切換操作手段を設けるものとする。
【0010】
したがって、請求項1に記載の発明では、ワークの種別に応じてその選択使用が予想される全ての種類のフィンガーを搬送台車に搭載することで、特定の種別のワークの搬送に際して選択使用されない他の種類のフィンガーも搬送台車に常時付帯していることになるものの、操作用ケーブルを使用した遠隔操作による切換動作をもっていずれか一つの種類のフィンガーを位置決め正規位置に位置させる一方で、残りの種類のフィンガーを全て退避位置に位置させることで、汎用型の搬送台車としての所期の機能が発揮されることになる。
【0011】
特に、遠隔操作部を搬送台車上に設けた上で外部から産業用ロボット等の切換操作手段にてその操作を行うようにすれば、搬送台車上に多数のフィンガーが搭載されていながらも、各フィンガーの位置を切り換えるためのアクチュエータや各種の配線,配管等も一切付帯させる必要がなくなる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、搬送すべきワークの種別に応じて必要とされる全ての種類のフィンガーが搬送台車に搭載されているので、従来のように占有スペースの大きなストレージ装置を設ける必要がなくなり、設備費の低減と併せてスペース効率も改善される。また、同じ種類のフィンガーの切換動作が一斉に行われることで、そのフィンガーの切換に要する時間を大幅に短縮することが可能であり、設備稼働率も向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜6は本発明に係るフィンガー切換装置のより具体的な第1の実施の形態を示しており、例えば自動車の車体組立ラインにおいてそのボデーをワークとして位置決め支持した上で搬送する際に使用される搬送装置の例を示している。そして、特に図1は搬送台車1の平面図を、図2は同じくその正面図を、図3は図1における遠隔操作部たる動力伝達器12の詳細をそれぞれ示している。
【0014】
図1,2に示すように、車輪2を備えた略矩形状の搬送台車1の上には合計8台の切換式フィンガーユニット3,3‥を搭載してある。ここで、搬送台車3はレール等の図示しない軌道の上を走行するものであり、後述するフィンガー6a〜6dの切換が必要になると切換操作手段たる切換操作ロボット(産業用ロボット)4が待機しているフィンガー切換ステージSで一旦停止することになる。
【0015】
各切換式フィンガーユニット3,3‥には、例えばA〜D車種の合計4種類のワークの搬送に対応するべくヒンジピン5を回転中心とする旋回式もしくは起倒式の4種類のフィンガー6a,6b,6c,6dをブラケット7上に横一連に並べて配置してある。各フィンガー6a〜6dは位置決め支持すべきワークの種別に応じてワーク受け面8の形状が微妙に異なるものであり、例えば図2に示す正立もしくは起立位置を位置決め正規位置P1とする一方、その位置から90度倒れた位置を退避位置P2とするものであり、それらの両位置の間で各フィンガー6a〜6dの姿勢が選択切換可能で、且つその両位置で各フィンガー6a〜6dの姿勢を自己保持することが可能となっている。
【0016】
そして、各フィンガー6a〜6dにはその位置の切換を遠隔操作にて行うための操作用ケーブル9の一端を連結してある。この操作用ケーブル9は、図2に示すようにアウタチューブ10内に所定のインナケーブル11を摺動可能に内挿したいわゆるプッシュプルケーブルタイプのものであり、アウタチューブ10の端部をブラケット7に固定するとともに、インナケーブル11の端部を各フィンガー6a〜6dに連結してある。
【0017】
また、搬送台車1上のほぼ中央部には遠隔操作部として機能するピストン−シリンダ型の動力伝達器12を配置してある。この動力伝達器12は、図3に示すように、メインシリンダチューブ13内に操作レバー14に連結されたメインピストン15を収容配置する一方、メインシリンダチューブ13に連通しつつこれに直交する8個のサブシリンダチューブ16,16‥内にサブピストン17を個別に収容配置したものであり、これらのメインシリンダチューブ13やサブシリンダチューブ16、メインピストン15およびサブピストン17で隔離形成された流体室としての液圧室18には非圧縮性流体として作動油等の液体を封入してある。なお、各サブピストン17とサブシリンダチューブ16との間にはリターンスプリング19を介在させてある。
【0018】
ここで、図1,3では8個のサブシリンダチューブ16,16‥を備えた1つの動力伝達器12のみを図示してあるが、全ての切換式フィンガーユニット3,3‥に付帯するフィンガー6a〜6dを遠隔操作にてその位置の切換を行うためにはフィンガー6a〜6dの総数と同数のサブシリンダチューブ16,16‥が必要であり、したがって図示した動力伝達器12以外に同じ構造の3つの動力伝達器22,32,42を互いに重ね合わせるか、もしくは横一連に並べるようにして配置してある。そして、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうち種類が同じフィンガー、例えばA車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6aに接続された操作用ケーブル9の他端、すなわち図2に示したインナケーブル11の他端を動力伝達器12のサブピストン16,16‥に個別に連結して、種類が同じフィンガー6a,6a‥に接続された操作用ケーブル9の他端を共通の動力伝達器12に集約してある。
【0019】
したがって、図2から明らかなように、各操作用ケーブル9を押圧操作(プッシュ操作)すればフィンガー6a,6a‥が位置決め正規位置P1に保持され、他方、各操作用ケーブル9を牽引操作(プル操作)すればフィンガー6a,6a‥が退避位置P2に保持されることになる。
【0020】
同様にして、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちB車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6b,6b‥に接続された操作用ケーブル9の他端を動力伝達器22のサブピストン16,16‥に、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちC車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6c,6c‥に接続された操作用ケーブル9の他端を動力伝達器32のサブピストン16,16‥に、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちD車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6d,6d‥に接続された操作用ケーブル9の他端を動力伝達器42のサブピストン16,16‥に個別に連結して、種類が同じフィンガー6b,6c,6dに接続された操作用ケーブル9の他端を種類ごとに独立した動力伝達器22,32,42のいずれかにそれぞれ集約してある。
【0021】
ここで、図3に示す操作レバー14の先端には係合孔20を形成してある一方、切換操作ロボット4のアーム先端に装着したハンド21には図4に示すように操作ピン23を持たせてあり、図5,6に示すように切換操作ロボット4はその操作ピン23を操作レバー14側の係合孔20に挿入した上でその操作レバー14ひいてはメインピストン15のプッシュ操作もしくはプル操作を行うようになっている。
【0022】
このような構造によれば、例えばA車用のワークの搬送に対応するべくフィンガー6a,6a‥を位置決め正規位置P1に起立させる切換操作を行う場合には、切換操作ロボット4のハンドにて動力伝達器12の操作レバー14をプッシュ操作して、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちA車種用のフィンガー6aのみを正立もしくは起立位置である位置決め正規位置P1に保持させる一方、それまで位置決め正規位置P1にて正立もしくは起立していたフィンガー6b〜6dのうちのいずれかのフィンガーを退避位置P2に戻すべく、残り三つの全ての動力伝達器22,32,42の操作レバー14をプル操作して、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちB,C,D車種用のフィンガー6b〜6dを退避位置P2に保持させる。
【0023】
より詳しくは、図4に示したように、各動力伝達器12,22,32,42の操作レバー14をプッシュ操作もしくはプル操作する場合には、ハンド21側の操作ピン23を操作レバー14側の係合孔20に挿入した上で行う。例えばA車種用の動力伝達器12について、その操作レバー14にて図3のメインピストン15を押圧操作すると、その押圧力は動力伝達器12内部の液体を介して各サブピストン17,17‥に作用して、各サブピストン17,17‥は操作用ケーブル9をプッシュ操作することから、その結果として操作用ケーブル9のプッシュストロークに応じてA車種用のフィンガー6a,6a‥が起立して位置決め正規位置P1に保持されて、その状態を自己保持することになる。
【0024】
同様に、残り三つの動力伝達器22,32,42について、その操作レバー14にてメインピストン15を牽引操作すると、図3に示すようにその牽引力は液圧室18内を減圧させるように作用することから、各サブピストン17,17‥に連結されている操作用ケーブル9はリターンスプリング19の力にて各サブピストン17,17‥とともにサブシリンダチューブ16側に引き戻され、その結果として操作用ケーブル9のプルストロークに応じてB,C,D車種用のフィンガー6b,6c,6dが倒れるように旋回して退避位置P2に保持されて、その状態を自己保持することになる。
【0025】
ここで、図4に示すように、それぞれの動力伝達器12,22,32,42の近傍であって、且つ操作レバー14のプッシュ操作もしくはプル操作のストローク限位置には、ばね24にて付勢された出没可能なプランジャタイプのストッパピン25を設けてある。これにより、図5,6に示すように、操作レバー14のプッシュもしくはプルストロークに応じて操作レバー14側の係合孔20とストッパピン23との位置が合致すれば両者が係合して操作レバー14がその位置に位置決めされて拘束されることから、その状態をもってハンド21の退避動作が可能となる。
【0026】
以上により、各切換式フィンガーユニット3,3‥について、遠隔操作をもって各フィンガー6a,6a‥を位置決め正規位置P1に位置させるための切換操作が完了する。
【0027】
図7は本発明の第2の実施の形態を示し、各切換式フィンガーユニット3,3‥に付帯しているフィンガーの数をA車種用およびB車種用の二種類のフィンガー6a,6bとし、それらのフィンガー6a,6bを二者択一的に切り換える場合の例を示している。そして、この実施例では、フィンガー6a,6bの切換が二者択一的であるが故に、操作手段としての動力伝達器52,62を二つ直列に配置するとともに、それら二つの動力伝達器52,62を同時作動させるようにしたものである。なお、図1,3に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0028】
より詳しくは、図7,8に示すように、搬送台車1上に図1のものと同様の二つの動力伝達器52,62を直列に配置し、各動力伝達器52,62のメインピストン15,35同士を連結バー26にて相互に連結してあるとともに、各動力伝達器52,62の液圧室18には非圧縮性流体として作動油等の液体を封入してある。そして、操作レバー14を押圧操作(プッシュ操作)したときには、一方の動力伝達器52側ではメインピストン15が液圧室18内の液体を加圧しつつ各サブピストン17,17‥を一斉にプッシュ操作する一方、他方の動力伝達器62側ではメインピストン35が液圧室18内の液体を減圧しつつ各サブピストン17,17‥をプル操作するように、各動力伝達器52,62のメインピストン15,35の位置を設定してある。
【0029】
その上で、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうち種類が同じA車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6a,6a‥に接続された操作用ケーブル9の他端、すなわち図2に示したインナケーブル11の他端を一方の動力伝達器52のサブピストン17,17‥に個別に連結するとともに、B車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6b,6b‥に接続された操作用ケーブル9の他端を他方の動力伝達器62のサブピストン17,17‥に個別に連結して、種類が同じフィンガー6a,6a‥または6b,6b‥に接続された操作用ケーブル9の他端をそれぞれに独立した動力伝達器52または62に集約してある。
【0030】
したがって、この第2の実施の形態によれば、操作レバー14を押圧操作した時には、一方の動力伝達器52の各サブピストン17,17‥がそれに連結された操作用ケーブル9とともにプッシュ操作されることから、図2と同様に各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちのA車種のワークを位置決め支持するための各フィンガー6a,6a‥が一斉に起立して位置決め正規位置P1に保持されることになる。同時に、操作レバー14の押圧操作力は、他方の動力伝達器62側では液圧室18を減圧させる力として作用する故に、その他方の動力伝達器62の各サブピストン17,17‥がそれに連結された操作用ケーブル9とともにプル操作されて、各切換式フィンガーユニット3,3‥のうちのB車種のワークを位置決め支持するための各フィンガー6b,6b‥が一斉に倒れ方向に旋回して図2と同様の退避位置P2に保持されることになる。
【0031】
これらの関係は、操作レバー14を牽引操作した時には当然に逆になり、A車種のワークを位置決め支持するための各フィンガー6a,6a‥が一斉に倒れ方向に旋回して退避位置P2に保持される一方、B車種のワークを位置決め支持するための各フィンガー6b,6b‥が一斉に起立動作して図2と同様の位置決め正規位置P1に保持されることになる。
【0032】
このように本実施の形態によれば、一方の種類のフィンガー6a,6a‥または6b,6b‥の位置決め正規位置P1への起立動作と、他方の種類のフィンガー6b,6b‥または6a,6a‥の退避位置P2への旋回倒れ動作とが連動して同時に行われることになる。
【0033】
図9,10は本発明の第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態では、各切換式フィンガーユニット3,3‥の構造および配置は図1に示した第1の実施の形態のものと同様であり、動力伝達器72の構造のみが異なっている。すなわち、第1の実施の形態では、切換式フィンガーユニット3,3‥でのフィンガー6a〜6dの切換がいわゆる4車種切換方式であるために合計4つの動力伝達器12,22,32,42が必要であるのに対して、本実施の形態では単一のマルチタイプの動力伝達器72をもって上記の4車種切換方式に対応できるようにしたものである。なお、図1と共通する部分には同一符号を付してある。
【0034】
図9のほか図10に示すように、動力伝達器72はメインシリンダチューブ13の外周に一列8個のサブシリンダチューブ16a,16a‥と16b,16b‥のほか16c,16c‥および16d,16d‥をそれぞれ円周方向に4列にわたって放射状もしくは星形状に配置してあり、各サブシリンダチューブ16a〜16d内にはサブピストン17を収容配置してある。
【0035】
一方、メインシリンダチューブ13内には経路切換機構として中空円筒状の切換チューブ27を内挿してあり、この切換チューブ27の中に操作レバー14に連結されたメインピストン15を収容配置してあるとともに、切換チューブ27には一列8個分のサブシリンダチューブ16a,16a‥同士のピッチに対応する連通穴28,28‥を横一列に形成してある。したがって、切換チューブ27を回転させることによりいずれの列のサブシリンダチューブ16a〜16dにも対応可能となっている。なお、メインピストン15と一体の操作レバー14は切換チューブ27に対してその軸心方向にはスライド可能であるものの、両者の相対回転は不能となっていて、操作レバー14をその軸心周りに回転させれば切換チューブ27も一体的に回転する構造となっている。
【0036】
その上で、それぞれの切換式フィンガーユニット3,3‥のうち種類が同じA車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6a,6a‥に接続された操作用ケーブル9の他端を動力伝達器72のうち同じ列のサブシリンダチューブ16a,16a‥内のサブピストン17に個別に連結して集約するとともに、B車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6b,6b‥に接続された操作用ケーブル9の他端を隣りの列のサブシリンダチューブ16b,16b‥内のサブピストン17に個別に連結して集約してある。同様に、C車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6c,6c‥に接続された操作用ケーブル9の他端を別の列のサブシリンダチューブ16c,16c‥内のサブピストン17に個別に連結して集約するとともに、D車種のワークを位置決め支持するためのフィンガー6d,6d‥に接続された操作用ケーブル9の他端をさらに別の列のサブシリンダチューブ16d,16d‥内のサブピストン17に個別に連結して集約してある。
【0037】
したがって、本実施の形態によれば、切換動作させるべきフィンガー6a〜6dの種別に応じて切換チューブ27を回転させて、連通穴28,28‥を4列のサブシリンダチューブ16a〜16dのうち該当する列のサブシリンダチューブの位置に割り出したた上で操作レバー14をプッシュ操作もしくはプル操作すれば、各サブピストン17,17‥に連結されている操作用ケーブル9を介してフィンガー6a〜6dの種別ごとにそれらのフィンガー6a〜6dを一斉に位置決め正規位置P1もしくは退避位置P2に保持させることができる。
【0038】
このように本実施の形態によれば、4種類のフィンガー6a〜6dの切換を1つのマルチタイプの動力伝達器72をもって行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るフィンガー切換装置の第1の実施の形態を示す図で、複数の切換式フィンガーユニットを備えた搬送台車の平面説明図。
【図2】図1の示す搬送台車の正面説明図。
【図3】図1に示す動力伝達器の拡大説明図。
【図4】図3に示す操作レバーの位置を位置を規制するストッパピンの拡大断面図。
【図5】(A),(B)共に図4に示すストッパピンの作動説明図。
【図6】A),(B)共に図5の動作に続くストッパピンの作動説明図。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す搬送台車の平面説明図。
【図8】図7に示す動力伝達器の拡大説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す搬送台車の平面説明図。
【図10】(A)は図9に示す動力伝達器の拡大説明図、(B)は同図(A)の左側面説明図。
【符号の説明】
【0040】
1…搬送台車
3…切換式フィンガーユニット
4…切換操作ロボット(切換操作手段)
6a,6b,6c,6d…フィンガー
7…ブラケット
9…操作用ケーブル
12…動力伝達器(遠隔操作部)
14…操作レバー
15…メインピストン
17…サブピストン
18…液圧室(流体室)
21…ハンド
22…動力伝達器(遠隔操作部)
23…操作ピン
27…切換チューブ(経路切換機構)
32…動力伝達器(遠隔操作部)
42…動力伝達器(遠隔操作部)
52…動力伝達器(遠隔操作部)
62…動力伝達器(遠隔操作部)
72…動力伝達器(遠隔操作部)
P1…位置決め正規位置
P2…退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象となるワークを位置決めするためにワークの種別に応じた複数種類のフィンガーを搬送台車に搭載するとともに、各フィンガーを該当するワークの位置決め正規位置と退避位置との間でその位置の選択切換を可能とし、搬送すべきワークの種別に応じ該当するワーク用のフィンガーを位置決め正規位置に、それ以外のフィンガーを退避位置にそれぞれ位置させるようにしたワーク搬送装置のフィンガー切換装置であって、
各フィンガーにその位置の選択切換操作のための操作用ケーブルの一端を連結する一方、
それらの操作用ケーブルの他端をフィンガーの種類別に用意した遠隔操作部に連結してフィンガーの種類別に集約し、
上記遠隔操作部の操作により同じ種類のフィンガーの位置の選択切換を遠隔操作にて一斉に行うようにしたことを特徴とするワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項2】
ワークの種別に応じた複数種類のフィンガーを並設してなる切換式フィンガーユニットを搬送台車の複数箇所に配置する一方、
各フィンガーに連結した操作用ケーブルの他端をフィンガーの種類別に用意した遠隔操作部に連結してフィンガーの種類別に集約してあることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項3】
上記フィンガーの種類別の遠隔操作部を搬送台車に設けるとともに、その搬送台車の外部から遠隔操作部の操作を行う切換操作手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項4】
上記フィンガーの種類別に用意した遠隔操作部は、操作レバーの機械的変位を非圧縮性流体を介して操作用ケーブルのプッシュプル変位に変換するピストン−シリンダ型の動力伝達器をもって形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項5】
上記フィンガーの種類別に用意した動力伝達器は、操作レバーに連結されたメインピストンと、そのメインピストンが臨んでいる流体室と、その流体室に臨んでいる複数のサブピストンとを備えていて、
各サブピストンに、同じ種類のフィンガーに接続された操作用ケーブルの他端を個別に連結してあることを特徴とする請求項4に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項6】
2種類のフィンガーの種類別に用意した二つの動力伝達器を直列に配置するとともに、各動力伝達器のメインピストン同士を連結し、操作レバーの操作に基づき、いずれか一方の種類のフィンガーについての退避位置から位置決め正規位置への切換動作と、他方の種類のフィンガーについての位置決め正規位置から退避位置への切換動作を同時に行うものであることを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項7】
上記各フィンガーは、位置決め正規位置である起立位置とその起立位置からから所定角度だけ回転変位した退避位置との間でその位置の切換が可能な旋回式もしくは起倒式のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項8】
上記フィンガーの種類別の遠隔操作部に代えて搬送台車上のフィンガーの全種類が共有する単一の遠隔操作部を搬送台車に設けるとともに、全てのフィンガーに連結された操作用ケーブルの他端を遠隔操作部に連結して集約し、
この単一の遠隔操作部での操作をもって全ての種類のフィンガーの位置の選択切換を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項9】
上記単一の遠隔操作部は、操作レバーの機械的変位を非圧縮性流体を介して操作用ケーブルのプッシュプル変位に変換するピストン−シリンダ型の動力伝達器をもって形成してあることを特徴とする請求項8に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。
【請求項10】
上記動力伝達器は、操作レバーに連結されたメインピストンと、そのメインピストンが臨んでいる流体室と、その流体室に臨んでいるとともに各フィンガーに接続された操作用ケーブルの他端を個別に連結してある複数のサブピストンと、内部の動力伝達経路をフィンガーの種類別に切り換える経路切換機構とを備えていて、
上記経路切換機構の切換動作に基づき、いずれか一つの種類のフィンガーの位置の選択切換が可能となっていることを特徴とする請求項9に記載のワーク搬送装置のフィンガー切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−167892(P2006−167892A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367101(P2004−367101)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】