説明

不揮発性半導体記憶装置のテスト方法

【課題】 冗長部カラムエリアに割り当てられた機能の合否を判定可能な不揮発性半導体記憶装置のテスト方法を提供する。
【解決手段】 不揮発性半導体記憶装置のテスト方法は、ブロックに対する動作を制限するプロテクトフラグを、制限対象とするブロック内部の所定のページに書き込むステップと、プロテクトフラグを含むページのデータを読み出し、データレジスタに転送するステップと、データレジスタに転送されたデータの内、プロテクトフラグ以外のカラムアドレス領域のデータをマスクするステップと、データレジスタ内の不良ビットを一括検知するステップと、データレジスタ内に不良ビットが検知された場合に、不良ブロックとして登録するステップとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置のテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、プロテクト機能を備える不揮発性半導体記憶装置が知られている。しかしながら、コマンド実行結果を外部から認識できるステータスリード動作には、プロテクト機能のパス/フェイル判定は含まれない。即ち、プロテクト動作後のステータスリード動作では、プロテクトの有無を表す情報しか出力されない。
【0003】
従って、プロテクト機能のパス/フェイル判定を行うためには、ステータスリード動作の結果を期待値と比較し、プロテクトが掛からない(フェイル)領域に関しては、個々に不良ブロックとして登録する必要があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、デバイス試験において、パス/フェイル判定をテスタのフェイルメモリを使って処理させるため、多数個のデバイスの異なる不良領域アドレスをテスタで処理し、またその結果をデバイスに反映させる必要がある。
【0005】
よって、テスタ側に不良領域アドレス保持用のフェイルメモリが無い場合には、プロテクト機能のパス/フェイル判定を行う事ができないという問題があった。更に、個々のデバイスについてステータスリード動作の結果と期待値とを逐一比較する必要があるため、テスト時間も増大する傾向にあった。
【特許文献1】特開2001−273798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、冗長部カラムエリアに割り当てられた機能の合否を判定可能な不揮発性半導体記憶装置のテスト方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置のテスト方法は、独立して消去可能な最小単位であるブロックを複数配列して構成されるメモリセルアレイを有し、各々の前記ブロックは、一括して書き込み及び読み出し可能な最小単位であるページを複数含む不揮発性半導体記憶装置のテスト方法であって、前記ブロックに対する動作を制限するプロテクトフラグを、制限対象とするブロック内部の所定のページに書き込むステップと、前記プロテクトフラグを含む前記ページのデータを読み出し、データレジスタに転送するステップと、前記データレジスタに転送されたデータの内、前記プロテクトフラグ以外のカラムアドレス領域のデータをマスクするステップと、前記データレジスタ内の不良ビットを一括検知するステップと、前記データレジスタ内に不良ビットが検知された場合に、前記不揮発性半導体記憶装置内部に不良ブロックとして登録するステップと、を具備する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冗長部カラムエリアに割り当てられた機能の合否を判定可能な不揮発性半導体記憶装置のテスト方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置として、例えば、NAND型フラッシュメモリを挙げて説明する。本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100は、図1に示すように、例えば、フラッシュコントローラ200により制御される。フラッシュコントローラ200は、外部ホストシステムから受けたコマンドに基づき、NAND型フラッシュメモリ100を制御する。
【0010】
図2は、NAND型フラッシュメモリ100の機能構成を示すブロック図である。NAND型フラッシュメモリ100は、入出力制御回路10、ロジック制御回路11、レディー/ビジー制御回路12、ステータスレジスタ13、アドレスレジスタ14、コマンドレジスタ15、高電圧発生回路16、ロウアドレスバッファ17、ロウデコーダ18、カラムアドレスバッファ19、カラムデコーダ20、データレジスタ21、センスアンプ22、メモリセルアレイ23、主制御回路24、及びROMフューズ25を有する。
【0011】
入出力制御回路10は、例えば、8個の入出力端子I/O1…I/O8を介して入力されるコマンド及びアドレスの転送を制御する。また、入出力制御回路10は、8個の入出力端子I/O1…I/O8を介したデータ入出力を制御する。
【0012】
ロジック制御回路11は、フラッシュコントローラ200から入力される各種制御信号、例えば、チップイネーブル信号/CE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、ライトプロテクト信号/WPを受けて、これら各信号の組み合わせに基づき、入出力制御回路10、主制御回路24を制御する。
【0013】
レディー/ビジー制御回路12は、主制御回路24の動作状態(書き込み、読み出し、消去などの各動作状態)に基づき、レディー/ビジー信号RY//BYをフラッシュコントローラ200に出力する。例えば、NAND型フラッシュメモリ100が書き込み、読み出し、消去などの内部動作を行っている最中は、RY//BY=“0”であり、これら内部動作が終了すると、RY//BY=“1”となる。
【0014】
ステータスレジスタ13は、NAND型フラッシュメモリ100の起動時(パワーオンリード時)に、ROMフューズ25に格納されている各種パラメータ情報などを取り込み、一時的に保持する。
【0015】
アドレスレジスタ14は、入出力制御回路10を介して入力されるアドレスを一時的に保持し、ロウアドレスバッファ17、及びカラムアドレスバッファ19に転送する。
【0016】
コマンドレジスタ15は、入出力制御回路10を介して入力されるコマンド(書き込みコマンド、読み出しコマンド、消去コマンド、ステータスリードコマンドなど)を一時的に保持し、主制御回路24に転送する。
【0017】
高電圧生成回路16は、主制御回路24の状態に基づき、書き込み、読み出し、消去などの各動作において必要となる高電圧を生成し、ロウデコーダ18、センスアンプ22、及びメモリセルアレイ23に転送する。
【0018】
ロウアドレスバッファ17は、アドレスレジスタ14を介して入力されるロウアドレスを一時的に保持し、ロウデコーダ18に転送する。
【0019】
ロウデコーダ18は、ロウアドレスバッファ17を介して入力されるロウアドレスに基づきワード線を制御し、書き込み、読み出し動作において、ワード線に対して選択的に電圧を印加する。
【0020】
カラムアドレスバッファ19は、アドレスレジスタ14を介して入力されるカラムアドレスを一時的に保持し、カラムデコーダ20に転送する。
【0021】
カラムデコーダ20は、カラムアドレスバッファ19を介して入力されるカラムアドレスに基づきビット線を制御し、書き込み、読み出し動作において、ビット線に対して選択的に電圧を印加する。
【0022】
データレジスタ21は、入出力制御回路10を介して入力された一定量の書き込みデータ、または、センスアンプ22により判定された一定量の読み出しデータを一時的に保持する。
【0023】
センスアンプ22は、メモリセルアレイ23から読み出したデータを判定・増幅する。センスアンプ22は、例えば、ビット線毎に対応するセンスアンプ回路を有している。
【0024】
メモリセルアレイ23は、複数のメモリセルトランジスタが行列上に配置された構造を有している。メモリセルトランジスタは、例えば、浮遊ゲートに蓄えられた電荷量に応じて定まるトランジスタの閾値電圧の差によってデータを保持する。尚、メモリセルトランジスタは、電荷蓄積層としての窒化膜に電荷を捕獲するMONOS構造を有するものであっても良い。
【0025】
図3は、メモリセルアレイ23の一部を示す等価回路図である。図3に示すように、同一行の複数のメモリセルトランジスタMTの制御ゲート電極は、行方向に延在し共通接続され、ワード線WLを構成している。同一行の複数の選択トランジスタST1の制御ゲート電極は、行方向に延在し共通接続され、選択ゲート線SGDを構成している。同一行の複数の選択トランジスタST2の制御ゲート電極は、行方向に延在し共通接続され、選択ゲート線SGSを構成している。
【0026】
また、同一列の複数のメモリセルトランジスタMTは直列接続されてNANDストリング32を構成し、NANDストリング32の一端は選択トランジスタST1を介してビット線BLに、他端は選択トランジスタST2を介して共通ソース線SLに接続されている。メモリセルアレイ23は、複数のNANDストリング32を配列して構成されている。
【0027】
ここでは、32個のメモリセルトランジスタMT(メモリセルトランジスタMT0乃至MT31)を示しているが、メモリセルトランジスタの個数はこれに限定されるものではない。また、個々のメモリセルトランジスタMTは、2値データを保持する場合の他、4値以上の多値データを保持する構成であっても良い。尚、消去状態のメモリセルトランジスタMTは、“1”データを保持するものとする。
【0028】
同一のワード線WLに共通接続された複数のメモリセルトランジスタMTは、書き込み及び読み出しの最小単位であるページを構成する。即ち、データレジスタ21に保持された1ページ分のデータが一括してメモリセルアレイ23に書き込まれ、また、メモリセルアレイ23から一括して読み出された1ページ分のデータがデータレジスタ21に保持される。
【0029】
図3に示す、選択ゲート線SGD及び選択ゲート線SGSで挟まれた複数のワード線の集合は、消去動作の最小単位であるブロックを構成する。即ち、複数のページの集合がブロックを構成する。また、1つのブロックは、第1領域(メインメモリ領域)30及び第2領域(冗長メモリ領域)31を有する。冗長メモリ領域31には、後述するプロテクト情報が保持される。
【0030】
メインメモリ領域30及び冗長メモリ領域31は、カラムアドレスにより互いに区別される。メインメモリ領域30は、ビット線BL0乃至BLnに接続されるメモリセルトランジスタMTにより構成される。一方、冗長メモリ領域31は、ビット線BL(n+1)乃至BLmに接続されるメモリセルトランジスタMTにより構成される。即ち、各ページにおいて共通の一方のカラムアドレス範囲で指定されるメインメモリ領域30にユーザデータが保持され、他方のカラムアドレス範囲で指定される冗長メモリ領域31に冗長データが保持される。
【0031】
冗長メモリ領域31には、ホスト装置からは直接指定できない内部アドレスが割り当てられており、通常動作ではそのデータ内容を外部に読み出す事は不可能とされている。冗長データの種類としては、例えば、内部動作に必要なフラグデータなどが挙げられる。
【0032】
主制御回路24は、ロジック制御回路11を介して入力される制御信号に基づき、NAND型フラッシュメモリ100内部の書き込み、読み出し、消去などの各種動作を制御する。主制御回路24は、例えば、レディー/ビジー制御回路12、高電圧発生回路16、ロウデコーダ18、カラムデコーダ20、データレジスタ21、センスアンプ22、及びROMフューズ25を制御する。
【0033】
ROMフューズ25は、例えば、メモリセルトランジスタMTと同様の構造を有しており、出荷前のテスト工程で定められた電圧トリミング値などのパラメータ、リダンダンシ情報などを保持している。主制御回路24は、必要に応じてROMフューズ25に保持されたデータを利用する。
【0034】
上述した本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100は、各々のブロックに対して実行可能な動作を制限するブロックプロテクト機能を備えている。ブロックプロテクト機能には、例えば、書き込みプロテクトと消去プロテクトとの2種類があり、それぞれ書込み動作の禁止、消去動作の禁止をブロック単位で行う事ができる。
【0035】
書き込みプロテクトが施されたブロックに対しては、データの書き込みが禁止される。また、消去プロテクトが施されたブロックに対しては、データの消去が禁止される。この様なプロテクト機能を実装する事で、データの種類に応じた管理方法を実現したいというユーザの利便性を向上させる事が可能となる。
【0036】
このブロックプロテクトは、メモリセルアレイ23を構成する各ブロック中の、任意の1ページに含まれる冗長メモリ領域31の一部を使って機能を果たしている。例えば、冗長メモリ領域31中のあるメモリセルトランジスタMTに“0”データが書き込まれていれば、当該メモリセルトランジスタMTを含むブロックにはプロテクトが施されていると定義する事が可能である。プロテクトの有無を示すデータを、以後、プロテクトフラグと称する場合がある。
【0037】
例えば、ビット線BL(n+1)に接続されたメモリセルトランジスタMTに“0”データが書き込まれている場合は、当該ブロックに対する書き込み動作を禁止し、ビット線BL(n+2)に接続されたメモリセルトランジスタMTに“0”データが書き込まれている場合は、当該ブロックに対する消去動作を禁止すると定義しても良い。
【0038】
また、1つのメモリセルトランジスタMTに書き込みプロテクト、消去プロテクトの両方を代表させ、例えば、ビット線BL(n+1)に接続されたメモリセルトランジスタMTに“0”データが書き込まれている場合は、当該ブロックに対する書き込み動作、および消去動作を共に禁止すると定義しても良い。
【0039】
また、1つのメモリセルトランジスタMTでプロテクトの有無を判定するとした場合に、信頼性上課題がある場合は、複数(偶数個)のメモリセルトランジスタMTの多数決により、プロテクト状態を判定する事としても良い。例えば、4個中2個以上のメモリセルトランジスタMTが“0”データを保持している場合に、プロテクトが施されていると判定すれば良い。
【0040】
また、本実施形態では、各ブロック中の任意の1ページにプロテクトフラグを書き込む事としたが、これに限らず、複数ページに亘り同一のプロテクト情報を書き込む事としても良い。例えば、ブロックを構成する全ページに同一のプロテクト情報を書き込んでも良い。
【0041】
また、必ずしも書き込みプロテクトと消去プロテクトとの2種類の機能を設ける必要は無く、何れか一方のプロテクト機能のみを設ける事としても良い。一方、書き込みプロテクトと消去プロテクトに加え、更に、読み出し動作を禁止する読み出しプロテクトなどの機能を別途設ける事としても良い。
【0042】
次に、上述した構成を備えるNAND型フラッシュメモリ100において、各々のブロックに対するプロテクトが正常に機能しているか否かを判定するための、ブロックプロテクト判定試験について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るブロックプロテクト判定試験のシーケンスを示すフローチャートである。
【0043】
先ず、NAND型フラッシュメモリ100とコンタクタとの接続を確立し、外部テスタが、ブロックプロテクト判定試験の開始を意味するテスト信号を入力する。テスト信号の入力を受けたNAND型フラッシュメモリ100は、主制御回路24などの制御下において、ブロックプロテクト判定試験を実行する。ブロックプロテクト判定試験は、ウェハ状態で実施しても良いし、パッケージされた状態で実施しても良い(ステップS100)。
【0044】
次に、主制御回路24は、内部リセットコマンドを生成する。内部リセットコマンドが生成されると、NAND型フラッシュメモリ100内部の全ての内部動作(書き込み、読み出し、消去動作など)が停止し、NAND型フラッシュメモリ100はウェイト状態に遷移する(ステップS101)。
【0045】
次に、主制御回路24は、プロテクトファンクションを実行する。即ち、冗長メモリ領域31のブロックプロテクトで使用するカラム領域に、プロテクトフラグ(“0”データ)を書き込む。プロテクトフラグが書き込まれていない場合、メモリセルトランジスタMTは、消去状態の“1”データを保持したままである(ステップS102)。
【0046】
次に、主制御回路24は、プロテクトフラグを含むページに保持されたデータを読み出し、データレジスタ21に転送する。メモリセルトランジスタMTに保持されたデータと、データレジスタ21に転送されたデータとは一対一対応していれば良く、例えば、反転データをラッチする構成とされる(ステップS103)。
【0047】
次に、主制御回路24は、データレジスタ21に格納された、プロテクトフラグ用カラムアドレス領域以外のデータを、パスデータでマスクする。ここでパスデータとは、プロテクトフラグが冗長メモリ領域31に正常に書き込まれた場合に、データレジスタ21が保持すべき値であり、例えば、“1”データである(ステップS104)。
【0048】
次に、主制御回路24は、データレレジスタ21内部に保持されたデータ中の不良ビットを一括検知する。NAND型フラッシュメモリ100は一般的に書き込みベリファイ機能を備えており、ベリファイ結果のパス/フェイルを判定するために、例えば、フェイルビットが存在する場合のフェイル電流を利用した不良ビットの一括検知を行う。ここでは、データレジスタ21に保持されるデータ中の“0”データの有無を判定する(ステップS105)。
【0049】
次に、主制御回路24は、ブロックプロテクトが正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、ステップS105における一括検知の結果、不良ビットが検出されたか否かにより判定を行う。ステップS103でプロテクトフラグ用カラムアドレス領域以外のデータをパスデータでマスクしているので、一括検知の結果は、プロテクトフラグのデータ状態と対応するからである(ステップS106)。
【0050】
ステップS106でパスと判定された場合は、プロテクトフラグを消去する。即ち、主制御回路24は、プロテクトフラグを含むブロックに対して消去動作を実行する。尚、ブロックプロテクトを施した状態で出荷するのであれば、必ずしもここでプロテクトフラグを消去する必要はない(ステップS107)。
【0051】
ステップS106でフェイルと判定された場合は、主制御回路24は、NAND型フラッシュメモリ100内部に使用不可アドレス領域(バッドブロック)として登録する。バッドブロックとして登録する方法は、例えば、バッドブロックの所定領域に、使用不可である事を意味するデータ(例えば“0”データ)を書き込んでおく、ROMフューズ25にバッドブロックのアドレスを書き込んでおく、など様々な方法を採用し得る(ステップS108)。
【0052】
次に、主制御回路24は、全テスト対象エリアの試験が終了したか否かを判定する(ステップS109)。ステップS109で全テスト対象エリアの試験が終了していないと判定された場合は、ステップS102に戻り、ブロックプロテクト判定試験を継続する。
【0053】
ステップS109で全テスト対象エリアの試験が終了したと判定された場合は、主制御回路24は、再度、内部リセットコマンドを生成する(ステップS110)。
【0054】
以上のシーケンスにより、ブロックプロテクト判定試験を終了する(ステップS111)。
【0055】
尚、上述したテストシーケンスにおける個々の動作は、テストコマンドの入力を受けた主制御回路24が、予め設定された内部コードに従って行っても良いし、主制御回路24とは別に、BIST(Built In Self Test)論理回路を実装し、当該BIST論理回路にテスト開始信号を入力する事で、内部で自動的にテスト機能を実行する事としても良い。
【0056】
次に、ステップS103乃至S105の詳細について、図5を参照して説明する。図5は、ブロックプロテクト判定試験のシーケンスの一部を示す模式図である。ここでは、メモリセルアレイ23を構成するブロック(Block_0乃至Block_n)中の、ブロック2(Block_2)に施したプロテクトが正常に機能しているか否かを判定する場合について説明する。
【0057】
上述したように、メモリセルアレイ23は大きくメインメモリ領域30と冗長メモリ領域31とに分割されている。冗長メモリ領域31の一部のカラム領域が、ブロックプロテクトで使用される。図5は、例えば、各ブロックの先頭ページにプロテクトフラグを書き込む場合について示している。
【0058】
先ず、ステップS103で、ブロック2のテスト対象ページ(本実施形態では、先頭ページ)のデータを読み出し、データレジスタ21へ転送する。
【0059】
一括検知を行うデータレジスタ21は、ブロックプロテクトで使用するカラムアドレス領域に保持されるデータ以外のデータも一括して判定するので、ステップS104で、ブロックプロテクトで使用するカラムアドレス領域に保持されるデータ以外の、不要なデータをパスデータでマスクする。
【0060】
ステップS105で、データレジスタ21に格納されたデータ内に不良ビットがないか検知を行う。プロテクトフラグが正常に書き込まれていれば、データレジスタ21内の全データはパスデータであるから、一括検知結果もパスとなる。一方、プロテクトフラグが正常に書き込まれていなければ、データレジスタ21内のブロックプロテクトで使用するカラムアドレス領域に保持されるデータは不良ビットであるから、一括検知結果もフェイルとなる。
【0061】
上述したブロックプロテクト判定試験は、出荷前のテスト工程で行う事を前提として説明したが、出荷後、ユーザのコマンド入力により上記判定試験を行っても良い。例えば、ユーザがブロックプロテクト判定コマンドを入力した場合に、NAND型フラッシュメモリ100内部で上記シーケンスを実行すれば良い。これら一連の動作を1つのコマンド入力で実行する事で、ユーザが容易にブロックプロテクト機能のテストを行う事ができる。
【0062】
ここで、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のテスト方法で得られる効果についてより詳細に説明するため、以下、比較例に係るブロックプロテクト判定試験について説明する。
【0063】
(比較例)
比較例に係るブロックプロテクト判定試験について、図6を参照して説明する。図6は、比較例に係るブロックプロテクト判定試験のシーケンスを示すフローチャートである。
【0064】
先ず、NAND型フラッシュメモリ100とコンタクタとの接続を確立し、ブロックプロテクト判定試験を開始する(ステップS200)。
【0065】
次に、外部テスタは、NAND型フラッシュメモリ100にリセットコマンドを入力する(ステップS201)。
【0066】
次に、プロテクトファンクションを実行する(ステップS202)。
【0067】
次に、外部テスタは、NAND型フラッシュメモリ100にステータスリードコマンドを入力する。ステータスリードコマンドの入力を受けたNAND型フラッシュメモリ100は、書き込み、読み出しなどの各種動作が正常に終了したか否かを示す情報と共に、ブロックプロテクトの有無を示す情報を出力する(ステップS203)。
【0068】
次に、テスト対象のブロックに対するブロックプロテクトが正常に機能しているか否かを判定する。具体的には、ステップS203におけるステータスリードの結果と、テスタに保持された期待値とを比較する(ステップS204)。
【0069】
ステップS204で、ブロックプロテクトが正常に機能していない(Not Protected)と判定された場合は、外部テスタのフェイルメモリに使用不可アドレス領域(バッドブロック)として登録する(ステップS205)。
【0070】
ステップS204で、ブロックプロテクトが正常に機能している(Protected)と判定された場合、または、ステップS204でブロックプロテクトが正常に機能していないと判定された後、外部テスタのフェイルメモリにバッドブロック登録を行った場合は、全テスト対象エリアの試験が終了したか否かを判定する(ステップS206)。
【0071】
ステップS206で全テスト対象エリアの試験が終了していないと判定された場合は、ステップS202に戻り、ブロックプロテクト判定試験を継続する。
【0072】
ステップS206で全テスト対象エリアの試験が終了したと判定された場合は、外部テスタは再度、NAND型フラッシュメモリ100に対してリセットコマンドを入力する(ステップS207)。
【0073】
次に、外部テスタのフェイルメモリに保持されているバッドブロックアドレスを、NAND型フラッシュメモリ100内部に登録する(ステップS208)。
【0074】
以上のシーケンスにより、ブロックプロテクト判定試験を終了する(ステップS209)。
【0075】
上記比較例では、プロテクト機能の有無という情報しか得られないステータリードコマンドの入力により、ブロックプロテクト機能が正常に機能しているか否かを判定するために、テスタ側で期待値を保持しておく必要がある。また、多数個のデバイスについて同時試験を行う場合、異なる不良エリアアドレスを外部テスタで処理し、その結果を再度、個々のデバイスに戻して登録する必要がある。
【0076】
一方、第1の実施形態に係るテスト方法では、冗長メモリ領域にプロテクト機能を持たせたデバイスにおいて、データレジスタにおける一括検知機能を利用して、デバイス内部で冗長カラムアドレス領域のテストを行うため、外部テスタが期待値を保持する必要が無く、また、フェイルメモリを備える必要が無い。これにより、比較的安価な試験装置でもプロテクト機能の判定が可能となる。また、ステータスリードコマンドを外部から入力する必要がないため、テスト時間の短縮を図ることが可能となる。
【0077】
尚、本実施形態では、書き込みプロテクト、消去プロテクトなどのブロックプロテクト機能を冗長メモリ領域で実現する場合について説明したが、必ずしもプロテクト機能に限らず、冗長メモリ領域を使用してその機能を果たす場合には、本実施形態に係るテスト方法を適用できる。
【0078】
以上、本願発明の説明を行ったが、本願発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、適宜変形例と組み合わせても良いし、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形する事が可能である。また、本実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、本実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリとフラッシュコントローラとの関係を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリの内部構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態に係るメモリセルアレイを構成する各々のブロックの等価回路図。
【図4】第1の実施形態に係るブロックプロテクト判定試験のシーケンスを示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態に係るブロックプロテクト判定試験のシーケンスの一部を示す模式図。
【図6】比較例に係るブロックプロテクト判定試験のシーケンスを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
100…NAND型フラッシュメモリ
10…入出力制御回路
11…ロジック制御回路
12…レディー/ビジー制御回路
13…ステータスレジスタ
14…アドレスレジスタ
15…コマンドレジスタ
16…高電圧発生回路
17…ロウアドレスバッファ
18…ロウデコーダ
19…カラムアドレスバッファ
20…カラムデコーダ
21…データレジスタ
22…センスアンプ
23メモリセルアレイ
24…主制御回路
25…ROMフューズ
30…メインメモリ領域
31…冗長メモリ領域
32…NANDストリング
WL…ワード線
BL…ビット線
SL…ソース線
SGD、SGS…選択ゲート線
MT…メモリセルトランジスタ
ST1、ST2…選択トランジスタ
200…フラッシュコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して消去可能な最小単位であるブロックを複数配列して構成されるメモリセルアレイを有し、各々の前記ブロックは、一括して書き込み及び読み出し可能な最小単位であるページを複数含む不揮発性半導体記憶装置のテスト方法であって、
前記ブロックに対する動作を制限するプロテクトフラグを、制限対象とするブロック内部の所定のページに書き込むステップと、
前記プロテクトフラグを含む前記ページのデータを読み出し、データレジスタに転送するステップと、
前記データレジスタに転送されたデータの内、前記プロテクトフラグ以外のカラムアドレス領域のデータをマスクするステップと、
前記データレジスタ内の不良ビットを一括検知するステップと、
前記データレジスタ内に不良ビットが検知された場合に、前記不揮発性半導体記憶装置内部に不良ブロックとして登録するステップと、
を具備する事を特徴とする不揮発性半導体記憶装置のテスト方法。
【請求項2】
前記データレジスタ内に不良ビットが検知されなかった場合に、前記プロテクトフラグを消去するステップと、
を更に具備する事を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置のテスト方法。
【請求項3】
前記プロテクトフラグは、ユーザデータを保持するメインメモリ領域とは異なる、冗長メモリ領域に保持される事を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置のテスト方法。
【請求項4】
前記プロテクトフラグが書き込まれているブロックに対しては、書き込み動作が禁止される事を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置のテスト方法。
【請求項5】
前記プロテクトフラグが書き込まれているブロックに対しては、消去動作が禁止される事を特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置のテスト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−27181(P2010−27181A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190804(P2008−190804)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】