説明

中耕除草機

【課題】ディスク方式の中耕除草機において、ディスクの位置を容易に調整する。
【解決手段】中耕除草機10は、圃場の中耕を行う中耕機構30と、中耕機構30を支持するフレーム機構120と、を備える。中耕機構30は、基端部がフレーム機構120に回動可能に連結された第1アーム24と、基端部がフレーム機構120に回動可能に連結された第2アーム26と、第1アーム24に、第1アーム回動軸64から所定の第1間隔L1だけ離間して設けられた第1中耕ディスク12と、第2アーム26に、第2アーム回動軸66から所定の第2間隔L2だけ離間して設けられた第2中耕ディスク14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の条間を進行しながら、条間の土を中耕することで除草を行う中耕除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
中耕除草は、作物の播種または移植後に、条間の表土を耕耘して、作物および土壌中の微生物が必要とする空気や水分を透通しやすくし、また、条間に自生繁茂する雑草を除去することを目的に行われる管理作業である。このような中耕除草のための作業機としては、チゼル爪をけん引する方式のカルチベータと、ロータリ爪を原動機で回転駆動する方式のロータリカルチベータが一般に知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
また、最近では、中耕除草用の作業機として、複数のディスク対を用いて圃場の中耕を行うディスク方式の中耕除草機が提案されている(例えば、特許文献3)。このディスク方式の中耕除草機は、土をディスクでほぐしながら移動させるため、湿潤な土壌条件でも高精度な作業ができる。また、作業速度を高めても連続して土の移動ができるため、作業能率を高めることができる。
【特許文献1】実開昭54−27031号公報
【特許文献2】実開昭61−152205号公報
【特許文献3】特開2004−208645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献3に記載されたようなディスク方式の中耕除草機を用いて作物の条間を中耕する場合、条間距離や土壌条件に応じてディスクの位置を調整する必要がある。このようなとき、ディスクの位置を容易に調整できることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディスク方式の中耕除草機において、ディスクの位置を容易に調整することができる中耕除草機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の中耕除草機は、圃場の中耕を行う中耕機構と、中耕機構を支持するフレームと、を備えた中耕除草機であって、中耕機構は、基端部がフレームに回動可能に連結された第1アームと、基端部がフレームに回動可能に連結された第2アームと、第1アームに、該第1アームの回動中心から所定の第1間隔だけ離間して設けられた第1中耕ディスクと、第2アームに、該第2アームの回動中心から所定の第2間隔だけ離間して設けられた第2中耕ディスクと、を備える。
【0007】
この態様によると、回動可能な第1アーム、第2アームに、第1中耕ディスク、第2中耕ディスクをそれぞれ設けたので、アームの開度を調整することで第1中耕ディスクと第2中耕ディスクの位置を容易に調整できる。
【0008】
第1中耕ディスクおよび第2中耕ディスクは、機体進行方向に対するディスクの角度(以下、ディスク角と呼ぶ)をそれぞれ変化させることができるようにしてもよい。ディスク角を変化させることにより、第1中耕ディスクおよび第2中耕ディスクにより移動される土の量を調整できる。
【0009】
第1間隔と第2間隔は、異なった間隔に設定されてもよい。この場合、第1中耕ディスクおよび第2中耕ディスクのディスク角の可変範囲を広くできる。
【0010】
中耕機構は、第1中耕ディスクより機体進行方向前方のフレームに設けられた第3中耕ディスクと、第2中耕ディスクより機体進行方向前方のフレームに設けられた第4中耕ディスクと、を備えてもよい。この場合、ディスク対を段階的に設けた2連の中耕除草機を構成することができる。
【0011】
第3中耕ディスクおよび第4中耕ディスクは、ディスク角をそれぞれ変化させることができるようにしてもよい。ディスク角を変化させることにより、第3中耕ディスクおよび第4中耕ディスクにより移動される土の量を調整できる。
【0012】
第3中耕ディスクと第4中耕ディスクとは、機体進行方向において互いにずれた位置に設けられていてもよい。この場合、第3中耕ディスクおよび第4中耕ディスクのディスク角の可変範囲を広くできる。
【0013】
第1中耕ディスクおよび第2中耕ディスクより機体進行方向前方にチゼルを備えてもよい。この場合、チゼルが膨軟にした土を第1中耕ディスクおよび第2中耕ディスクにより中耕することができるので、より効果的に中耕除草作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ディスク方式の中耕除草機において、ディスクの位置を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態を示す図面中の矢印Fは機体進行方向を示す。明細書中の「左」または「右」の記載は、機体後部から機体進行方向を向いた場合の方向を意味する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る中耕除草機10の側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る中耕除草機10の平面図である。この中耕除草機10は、トラクタの後部に連結され、作物の条間を進行しながら、複数のディスクによって条間の土を中耕することで除草を行うことができる。また、中耕除草機10は、ディスクの位置や方向を変えることにより、条間の土を作物の茎周辺に移動させる培土作業を行うことができる。
【0017】
図1、図2に示すように、中耕除草機10は、機体進行方向に直交する方向に伸びるツールバー54に、連結機構70、耕深調整機構110およびフレーム機構120が取り付けられた構造となっている。そしてフレーム機構120には、圃場の中耕を行う中耕機構30が取り付けられている。なお、本実施の形態に係る中耕除草機10は、3条の条間分の中耕を行うことができる中耕除草機であるが、図2では、1条間分の中耕機構30のみを示している。実際の中耕除草機10では、図2に示した中耕機構30の左右にそれぞれ中耕機構30と同様の構成の中耕機構が備えられる。
【0018】
連結機構70は、トラクタの後部に装備された3点リンクヒッチ機構に連結するための機構である。連結機構70は、アッパリンク連結部102と、ロアリンク連結部104と、を備える。アッパリンク連結部102は、一端部がツールバー54の中央部に接続され、他端部が3点リンクヒッチ機構のアッパリンクに接続される。ロアリンク連結部104は、一端部がツールバー54に接続され、他端部が3点リンクヒッチ機構のロアリンクに接続される。ロアリンク連結部104は、アッパリンク連結部102を挟んで左右対称に設けられている。
【0019】
耕深調整機構110は、中耕の耕深を調整するための機構である。図1に示すように、耕深調整機構110は、定規輪32と、定規輪支持ロッド34と、定規輪調整支持部78と、定規輪アーム106と、を備える。定規輪アーム106は、一端部がツールバー54に接続され、他端部には定規輪調整支持部78が設けられている。定規輪調整支持部78には、定規輪32を支持する定規輪支持ロッド34が、高さ調整可能に取り付けられている。定規輪支持ロッド34に設けた孔34aを定規輪調整支持部78に設けた孔78aに合わせ、ピンで固定することによって定規輪32の高さ調整を行うことができる。耕深調整機構110は、ツールバー54の左右両端部に設けられる。
【0020】
フレーム機構120は、中耕機構30を支持するための機構である。フレーム機構120は、第1フレーム122と、第2フレーム124と、フレーム連結部材126と、支持フレーム50と、中耕機構支持ロッド28と、を備える。第1フレーム122は、ツールバー54から機体下方に延設されている。この第1フレーム122は、リンク機構を有するフレーム連結部材126を介して第2フレーム124に接続されている。支持フレーム50は、ツールバー54から機体の後斜め上方に延設されている。支持フレーム50の先端は、中耕機構支持ロッド28に接続されている。中耕機構支持ロッド28の一端部は、第2フレーム124に接続されている。中耕機構支持ロッド28には、衝撃吸収用バネ48が外嵌されている。このように構成されたフレーム機構120は、中耕機構30を支持するとともに、中耕機構30の上下動を吸収する懸架装置として機能する。
【0021】
本実施の形態に係る中耕除草機10は、中耕機構30として第1ディスク対42と第2ディスク対44の2つのディスク対を備えた2連の中耕除草機である。この2連の中耕除草機10は、作物の条間を進行したときに、第1ディスク対42によって移動した土をさらに第2ディスク対44によって移動させるなどの作業を行うことができる。
【0022】
第1ディスク対42は、第3中耕ディスク16と、第4中耕ディスク18と、を有する。第2ディスク対44は、第1中耕ディスク12と、第2中耕ディスク14と、を有する。図1に示すように、第3中耕ディスク16は、第1中耕ディスク12より機体進行方向前方に設けられ、第4中耕ディスク18は、第2中耕ディスク14より機体進行方向前方に設けられる。また、図2に示すように、第1中耕ディスク12および第3中耕ディスク16は、中耕機構30の中央線Cよりも左側に設けられ、第2中耕ディスク14および第4中耕ディスク18は、中央線Cよりも右側に設けられる。
【0023】
各ディスクは、ディスク中央部が窪んだ浅皿状に形成されている。ディスクの窪んだ側の面を凹面と、窪んだ側の面と反対側の面を凸面と呼ぶ。中耕除草や培土を行う際には、ディスクの凹面が条間の土を移動する作用面として機能する。第1ディスク対42は、中耕除草作業時、培土作業時ともに、ディスクの凹面が機体外側を向くように定められる。一方、第2ディスク対44は、培土作業時にはディスクの凹面が機体外側を向くように定められ、中耕除草作業時にはディスクの凹面が機体内側を向くように定められる。各ディスクには、凹面と凸面のそれぞれの面に、作業時にディスクに付着した土を掻き落とすためのスクレーパ56が設けられている。
【0024】
図1に示すように、第1ディスク対42は、第1ディスク対支持機構74を介して第1ディスク対支持ロッド46に接続されている。この第1ディスク対支持ロッド46は、第2フレーム124から機体上方に延設された第1ディスク対支持部47に固定される。第1ディスク対支持ロッド46に設けた孔46aを第1ディスク対支持部47に設けた孔47aに合わせ、ピンで固定することによって、第1ディスク対42の高さ調整を行うことができる。
【0025】
図3(a)、(b)は、第1ディスク対支持機構74の構成を示す平面図である。図3(a)は、第3中耕ディスク16および第4中耕ディスク18の機体進行方向に対するディスクの角度θ(以下、ディスク角θと呼ぶ)が最小の状態を示している。図3(b)は、第3中耕ディスク16および第4中耕ディスク18のディスク角θが最大の状態を示している。
【0026】
第1ディスク対支持機構74は、第3中耕ディスク16に接続された第3ディスク角調整板144と、第4中耕ディスク18に接続された第4ディスク角調整板146と、支持フレーム150と、第1ディスク対支持ロッド取付部148と、を備える。
【0027】
第3ディスク角調整板144は、中耕機構30の中心軸Cに沿って設けられた支持フレーム150の一端部に、第3ディスク回動軸140を中心として回動可能に連結されている。第4ディスク角調整板146は、支持フレーム150の他端部に、第4ディスク回動軸142を中心として回動可能に連結されている。第3ディスク角調整板144、第4ディスク角調整板146には、それぞれ長孔144a、長孔146aが開けられており、これらの長孔に固定ボルト152を挿入することによってディスク角θを固定することができるようになっている。第3中耕ディスク16、第4中耕ディスク18は、凹面がともに機体外側を向くように設けられる。
【0028】
本実施の形態に係る中耕除草機10では、第3中耕ディスク16と第4中耕ディスク18とは、機体進行方向において互いにずれて設けられている。すなわち、第3中耕ディスク16は、第4中耕ディスク18よりも機体後方に位置している。第3中耕ディスク16と第4中耕ディスク18をずらさずに機体進行方向に設けた場合には、ディスク同士が接触するのでディスク角θの可変範囲が狭くなる。第3中耕ディスク16と第4中耕ディスク18を互いにずらして配設することにより、ずらさずに配設した場合よりもディスク角θの可変範囲を広げることができる。
【0029】
第3中耕ディスク16および第4中耕ディスク18は、それぞれのディスクの先端部16a、18aを、出来るだけ中耕機構30の中心線Cに近接するように位置させることが好ましい。第3中耕ディスク16、第4中耕ディスク18を中心線Cに近接した位置に配置することにより、中耕機構30の中心線Cの近傍に存在する土も残すことなく中耕することができる。
【0030】
本実施の形態に係る中耕除草機10によれば、第3中耕ディスク16と第4中耕ディスク18とが、機体進行方向において互いにずれて設けられているので、それぞれのディスクの先端部を出来るだけ中耕機構30の中心線Cに近接させつつ、ディスク角θの可変範囲を広くとることができる。第3中耕ディスク16と第4中耕ディスク18の機体進行方向におけるずれ量は、ディスク直径の1/4〜2/3程度とすることが好ましい。
【0031】
図1および図2に戻り、中耕機構30についてさらに説明する。図2に示すように、中耕機構30は、第1アーム24と、第2アーム26と、を備える。第1アーム24と第2アーム26は中心線Cを挟んで設けられている。第1アーム24は、その基端部が第2フレーム124に回動可能に連結されている。すなわち、第1アーム24は、第1アーム回動軸64を中心として回動可能である。第2アーム26は、その基端部が第2フレーム124に回動可能に連結されている。すなわち、第2アーム26は、第2アーム回動軸66を中心として回動可能である。第1アーム回動軸64と第2アーム回動軸66は、機体進行方向に直交する同一直線上に配設されている。
【0032】
図2に示すように、第1アーム24、第2アーム26には、アームの中間部にそれぞれアーム角調整孔112が設けられている。このアーム角調整孔112を、第2フレーム124に固定されたアーム角調整板62に設けられた調整孔62aに合わせ、固定ピンを挿入することによって機体進行方向に対するアームの角度θ(以下、アーム角θと呼ぶ)を調整することができる。図2では、アーム角θは0°である。アーム角調整板62には、アーム角θを変えられるように複数の調整孔62aが設けられている。
【0033】
第1アーム24のアーム角調整孔112より後方部には、第1中耕ディスク支持ロッド20を介して第1中耕ディスク12が設けられる。この第1中耕ディスク12は、第1アーム回動軸64から所定の第1間隔L1だけ離間した位置に設けられる。また、第2アーム26のアーム角調整孔112より後方部には、第2中耕ディスク支持ロッド22を介して第2中耕ディスク14が設けられる。この第2中耕ディスク14は、第2アーム回動軸66から所定の第2間隔L2だけ離間した位置に設けられる。
【0034】
図4は、図2に示す第1中耕ディスク12の取付部のA−A断面図である。以下の説明では第1中耕ディスク12の取付部について説明するが、第2中耕ディスク14の取付部も同様の構成である。なお、図4に示すディスク固定ボルト76は実際のA−A断面図では表れないが、説明の便宜上図示している。
【0035】
図4に示すように、第1中耕ディスク支持ロッド20は、円筒部材84に外嵌された状態で第1中耕ディスク支持ロッド挿入孔86に挿入されている。円筒部材84は、ディスク角調整板58と溶接され、ディスク角調整部材88として一体に形成されている。ディスク角調整部材88と第1中耕ディスク支持ロッド20は、ディスク固定ボルト76を締めることによって固定することができる。ディスク角調整板58には、複数のディスク角調整孔58aが設けられており、ディスク角調整孔58aを第1アーム24に設けられたピン挿入孔82に合わせ、ディスク固定ピン80を挿入することによって第1中耕ディスク支持ロッド20が第1アーム24に固定されるようになっている。
【0036】
第1中耕ディスク12のディスク角θを図2に示す培土仕様から、図5〜図7に示す中耕除草仕様に変更するとき、あるいはその逆の変更を行う場合には、まずディスク固定ボルト76を緩めて第1中耕ディスク支持ロッド20を回転させる。そしてほぼ目標の位置に合わせた段階でディスク固定ボルト76を締めてディスク角調整部材88と第1中耕ディスク支持ロッド20を固定する。その後、ディスク角θの微調整が必要な場合には、第1中耕ディスク12をディスク角調整板58とともに回転させ、適切なディスク角調整孔58aにピン挿入孔82を合わせてディスク固定ピン80で固定する。図2に示すディスク角調整板58には、約7.5°刻みでディスク角θが変えられるようにディスク角調整孔58aが設けられている。このように、本実施の形態に係る中耕除草機10は、ディスク角調整板58を用いることにより、第1中耕ディスク12および第2中耕ディスク14のディスク角θを容易に微調整することができる。
【0037】
第1アーム回動軸64から第1中耕ディスク12までの第1間隔L1と、第2アーム回動軸66から第2中耕ディスク14までの第2間隔L2は、異なった間隔に設定されることが好ましい。第1間隔L1と第2間隔L2を同じ間隔に設定した場合には、アーム角θが小さいときに、ディスク同士が接触することにより、ディスク角θの可変範囲が狭くなる。第1間隔L1と第2間隔L2を異なった間隔に設定することにより、第1間隔L1と第2間隔L2を同じ間隔に設定した場合よりもディスク角θの可変範囲を広くすることができる。また、中耕機構30の中心線Cの近傍に存在する土も残すことなく中耕することができる。第1間隔L1と第2間隔L2は、ディスク直径の1/4〜2/3程度異なっていることが好ましい。
【0038】
第2フレーム124には、チゼル支持アーム36、チゼル取付部37を介してチゼル38が設けられている。チゼル38は、土中に貫入して土を膨軟にする。このチゼル38は、第1ディスク対42、第2ディスク対44よりも機体進行方向前方に設けられているので、チゼル38が膨軟にした土を各ディスクによって中耕することができる。図2に示す中耕除草機10は、3本のチゼル38を備えているが、チゼル38は1本または2本であってもよい。
【0039】
以上のように構成された中耕除草機10の動作について説明する。図2は、培土作業を行うときの中耕除草機10の状態を示している。培土作業を行うとき、図2に示すように第2ディスク対44は、ハの字型に定められる。このとき、第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14の凹面は、ともに機体外側を向くように定められる。
【0040】
このように設定された中耕除草機10が作物の条間を進行すると、チゼル38によって膨軟にされた条間の土は、第1ディスク対42によって左右方向に移動され、培土がなされる。また、第1ディスク対42による培土後に、第2ディスク対44によっても土が左右方向に移動され、培土が繰り返しなされるので、培土作業の効率を向上することができる。
【0041】
この様な培土作業を行う場合、土壌状態や条間距離に応じて第2ディスク対44の第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14の左右方向の位置を適切に設定する必要がある。本実施の形態に係る中耕除草機10は、回動可能な第1アーム24、第2アーム26に、第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14をそれぞれ設けたので、アームの開度を調整するだけで第1中耕ディスク12と第2中耕ディスク14の位置を容易に調整することができる。例えば、条間距離が狭い場合には、アーム角θを小さく設定する。逆に、条間距離が広い場合には、アーム角θを大きく設定する。
【0042】
また、本実施の形態に係る中耕除草機10は、ディスク角θを変化させることができるので、各ディスクによる土の移動量を調整することができる。例えば、培土を行う土の量を多くする場合には、ディスク角θを大きく設定し、培土を行う土の量を少なくする場合には、ディスク角θを小さく設定する。このように、本実施の形態に係る中耕除草機10は、ディスク角θおよびアーム角θを変更することで、様々な条件の培土作業に対応できる。
【0043】
図5は、中耕除草を行うときの中耕除草機10の状態の一例を示す。中耕除草を行うとき、図5に示すように、第2ディスク対44は逆ハの字型に定められる。このとき、第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14の凹面は、ともに機体内側、すなわち中央線C側を向くように定められる。
【0044】
このように設定された中耕除草機10が作物の条間を進行すると、チゼル38によって膨軟にされた条間の土は、第1ディスク対42によって左右方向に移動される。第1ディスク対42によって移動された土は、その後、第2ディスク対44によって中耕機構30の中央線Cの方向に移動される。これにより、第1ディスク対42によって除草された雑草を、第2ディスク対44によって土の下に埋没させ、雑草が活着することを防ぐことができる。
【0045】
このような中耕除草作業を行う場合も、土壌状態や条間距離に応じて第2ディスク対44の第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14の位置を適切に変える必要がある。本実施の形態に係る中耕除草機10は、回動可能な第1アーム24、第2アーム26に、第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14をそれぞれ設けたので、アームの開度を調整するだけで第1中耕ディスク12と第2中耕ディスク14の位置を容易に調整できる。
【0046】
図5では、アーム角θを最大にした状態を示している。アーム角θを最大に設定するとき、アーム角調整孔112はアーム角調整板62の最外に設けられた調整孔62aに合わせられ、固定ピンを挿入することによって固定される。このように、本実施の形態に係る中耕除草機10は、アーム角θを大きくすることによって、条間距離が広い場合でも適切に中耕除草を行うことができる。
【0047】
図6は、中耕除草を行うときの中耕除草機10の状態の他の例を示す。図6に示す中耕除草機10は、図5に示した中耕除草機10よりもアーム角θを小さく設定している。例えば、条間距離が狭いときには、このようなアーム角θに設定する。また、図6に示す中耕除草機10では、ディスク角θを最小に設定している。ディスク角θを最小に設定することで、第2ディスク対44による土の移動量を最小にすることができる。
【0048】
図7は、中耕除草を行うときの中耕除草機10の状態の他の例を示す。図7に示す中耕除草機10は、図6に示した中耕除草機10とアーム角θは等しいが、ディスク角θを最大に設定している。ディスク角θを最大に設定することで、第2ディスク対44による土の移動量を最大にすることができる。
【0049】
本実施の形態に係る中耕除草機10では、上述したように第1アーム回動軸64から第1中耕ディスク12までの第1間隔L1と、第2アーム回動軸66から第2中耕ディスク14までの第2間隔L2は、異なった間隔に設定されている。第1間隔L1と第2間隔L2とが同じ間隔に設定されている場合には、第1中耕ディスク12と第2中耕ディスク14が接触してしまうため、図7に示すようなディスク角θに設定することは不可能である。本実施の形態に係る中耕除草機10は、第1間隔L1と第2間隔L2が異なる間隔に設定されているので、第1間隔L1と第2間隔L2を同じ間隔に設定した場合よりもディスク角θの可変範囲を広くとることができる。
【0050】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る中耕除草機の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中耕除草機の平面図である。
【図3】(a)は、第3中耕ディスク、第4中耕ディスクのディスク角θが最小の状態を示す図である。(b)は、第3中耕ディスク、第4中耕ディスクのディスク角θが最大の状態を示す図である。
【図4】図2に示す第1中耕ディスク取付部のA−A断面図である。
【図5】中耕除草を行うときの中耕除草機の状態の一例を示す平面図である。
【図6】中耕除草を行うときの中耕除草機の状態の他の例を示す平面図である。
【図7】中耕除草を行うときの中耕除草機の状態の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 中耕除草機、 12 第1中耕ディスク、 14 第2中耕ディスク、 16 第3中耕ディスク、 18 第4中耕ディスク、 24 第1アーム、 26 第2アーム、 30 中耕機構、 38 チゼル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の中耕を行う中耕機構と、前記中耕機構を支持するフレームと、を備えた中耕除草機であって、
前記中耕機構は、
基端部が前記フレームに回動可能に連結された第1アームと、
基端部が前記フレームに回動可能に連結された第2アームと、
前記第1アームに、該第1アームの回動中心から所定の第1間隔だけ離間して設けられた第1中耕ディスクと、
前記第2アームに、該第2アームの回動中心から所定の第2間隔だけ離間して設けられた第2中耕ディスクと、
を備えることを特徴とする中耕除草機。
【請求項2】
前記第1中耕ディスクおよび前記第2中耕ディスクは、機体進行方向に対するディスクの角度をそれぞれ変化させることができることを特徴とする請求項1に記載の中耕除草機。
【請求項3】
前記第1間隔と前記第2間隔は、異なった間隔に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の中耕除草機。
【請求項4】
前記中耕機構は、前記第1中耕ディスクより機体進行方向前方の前記フレームに設けられた第3中耕ディスクと、前記第2中耕ディスクより機体進行方向前方の前記フレームに設けられた第4中耕ディスクと、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の中耕除草機。
【請求項5】
前記第3中耕ディスクおよび前記第4中耕ディスクは、機体進行方向に対するディスクの角度をそれぞれ変化させることができることを特徴とする請求項4に記載の中耕除草機。
【請求項6】
前記第3中耕ディスクと前記第4中耕ディスクとは、機体進行方向において互いにずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の中耕除草機。
【請求項7】
前記第1中耕ディスクおよび前記第2中耕ディスクより機体進行方向前方にチゼルを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の中耕除草機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−259812(P2007−259812A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92073(P2006−92073)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】