説明

乗用型芝刈り車両

【課題】乗用型芝刈り車両において、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結し、操作部の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の改良を図ることである。
【解決手段】2個の前輪を支持するフロントフレーム14と、2個の後輪を支持するリアフレーム18と、フロントフレーム14とリアフレーム18とを胴体屈折可能に連結する連結部20と、操作部であるステアリングホイール22の操作に連動して、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機34とを備える。芝刈り機34と集草タンク62との間に接続した排出ダクト60と、芝刈り機34に芝刈り機駆動用モータ46の動力を伝達可能とする動力伝達機構50とを、2個の前輪駆動用電動モータ同士の間に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から芝刈り機を備える芝刈り車両において、人が車両の後側で操作するウォークビハインド式芝刈り車両と、人が乗車して運転する乗用型芝刈り車両とが知られている。また、乗用型芝刈り車両において、走行用動力源により駆動する主駆動輪と、芝刈り機とを備える乗用型芝刈り車両も考えられている。
【0003】
このような乗用型芝刈り車両は、人が乗車して運転しながら、芝刈り機により芝を所定の長さに調節するために利用する。また、このような乗用型芝刈り車両の一種として、フロントフレームに前輪を、リアフレームに後輪を、それぞれ支持して、フロントフレームとリアフレームとを連結部により折れ曲がり可能、すなわち胴体屈折可能に連結する、いわゆるアーティキュレート式の旋回機構を有する乗用型芝刈り車両が考えられている。このようなアーティキュレート式の旋回機構を有する乗用型芝刈り車両の場合、ステアリングホイール等の操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置を備えることが考えられている。
【0004】
また、特許文献1に記載された乗用型芝刈り車両の場合、車体の前側部分と後側部分とを、引っ掛かりアームとボールとを備える連結部分により連結している。前側部分に作業者を乗車可能とし、後側部分にエンジンと発電機とインバータとを搭載している。また、前側部分にモータにより駆動する駆動輪を支持し、後側部分にキャスタ輪を支持している。
なお、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に特許文献2から特許文献4がある。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6591593号明細書
【特許文献2】米国特許第7017327号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/086412号パンフレット
【特許文献4】米国特許第3732671号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から考えられているフロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結するアーティキュレート式の旋回機構を有する乗用型芝刈り車両の場合、車両の空間の有効利用の程度を高める面から改良の余地がある。例えば、従来から考えられている構造の場合、芝刈り機と集草タンクとを接続する集草ダクトと、芝刈り機駆動用モータの動力を芝刈り機に伝達するための動力伝達機構との配置位置に関して改良の余地があり、空間の有効利用の程度を高める面から改良の余地がある。また、省燃費化を図る面および部品の共通化を図る面でも改良の余地がある。
【0007】
これに対して、特許文献1に記載された乗用型芝刈り車両の場合、アーティキュレート式の旋回機構を有することは開示されていない。また、特許文献1に記載された乗用型芝刈り車両は、空間の有効利用の程度を高める面から改良の余地がある。また、部品の共通化を図る面からも改良の余地がある。このように、特許文献1に記載された乗用型芝刈り車両は、改良の余地がある。また、特許文献2から特許文献4に記載された乗用型芝刈り車両は、アーティキュレート式の旋回機構を有するものではない。
【0008】
本発明の目的は、乗用型芝刈り車両において、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結し、操作部の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の改良を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る乗用型芝刈り車両のうち、第1の発明に係る乗用型電動芝刈り車両は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトと、芝刈り機に芝刈り機駆動用モータの動力を伝達可能とする動力伝達機構と、を備え、動力伝達機構は、自在継手を介して連結した複数の動力伝達軸または少なくとも2個のプーリに掛け渡したベルトを備え、2個の前輪のそれぞれの駆動用の2個の前輪駆動用モータ同士の間に、集草用ダクトと、動力伝達機構とのうち、一方または両方を位置させていることを特徴とする乗用型芝刈り車両である。
【0010】
また、本発明に係る乗用型芝刈り車両のうち、第2の発明に係る乗用型電動芝刈り車両は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、リアフレームに、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池と、キャパシタと、インバータとのうち、少なくともいずれか1を固定していることを特徴とする乗用型芝刈り車両である。
【0011】
また、好ましくは、2個の後輪同士の間に、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池とのうち、少なくともいずれか1を位置させる。
【0012】
また、より好ましくは、フロントフレームにおいて、運転席下側に二次電池を固定する。
【0013】
また、本発明に係る乗用型芝刈り車両のうち、第3の発明に係る乗用型電動芝刈り車両は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、芝刈り機を駆動する芝刈り機駆動用モータは、フロントフレームに固定していることを特徴とする乗用型芝刈り車両である。
【0014】
また、本発明に係る乗用型芝刈り車両のうち、第4の発明に係る乗用型電動芝刈り車両は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、走行用電動モータと、内燃機関と、内燃機関により駆動される発電機と、を備え、発電機により発電された電力を直接または蓄電部を介して走行用電動モータに供給可能としており、かつ、内燃機関の動力を動力伝達機構により、芝刈り機に伝達可能としており、動力伝達機構は、動力伝達用回転軸にプーリまたは歯車を固定している中間要素を備え、中間要素は、2個の動力伝達要素の間での動力伝達を可能としており、フロントフレームおよびリアフレームの連結部の揺動中心と、動力伝達用回転軸とを同軸上に位置させていることを特徴とする乗用型芝刈り車両である。
【0015】
また、本発明に係る乗用型芝刈り車両のうち、第5の発明に係る乗用型電動芝刈り車両は、少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、前輪と後輪とのうち、一方または両方は、走行用電動モータにより駆動することを特徴とする乗用型芝刈り車両である。
【0016】
また、好ましくは、2個の前輪と2個の後輪との少なくとも一方は、左右両側で2個の独立した走行用電動モータにより駆動する。
【0017】
また、第5の発明において、好ましくは、2個の前輪と2個の後輪との少なくとも一方は、2個の前輪同士または2個の後輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動する。
【0018】
また、第5の発明において、好ましくは、2個の前輪または2個の後輪は、2個の独立した走行用電動モータにより駆動し、2個の後輪または2個の前輪は、2個の後輪同士または2個の前輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動する。
【0019】
また、第5の発明において、2個の前輪と2個の後輪との少なくとも一方は、2個の前輪同士または2個の後輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動する構成、または、第5の発明において、2個の前輪または2個の後輪は、2個の独立した走行用電動モータにより駆動し、2個の後輪または2個の前輪は、2個の後輪同士または2個の前輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動する構成において、より好ましくは、両側共通走行用電動モータと、1段以上の減速部を有する減速歯車装置と、デファレンシャルギヤ装置とにより、単一のモータユニットを構成し、両側共通走行用電動モータの動力は、減速歯車装置およびデファレンシャルギヤ装置を介して2個の後輪または2個の前輪に伝達可能とする。
【0020】
また、より好ましくは、デファレンシャルギヤ装置に、2個の後輪同士または2個の前輪同士を一体的に同じ回転速度で回転可能とするデフロック機構を設ける。
【0021】
また、より好ましくは、デファレンシャルギヤ装置に、2個の後輪同士または2個の前輪同士の回転速度差またはデファレンシャルギヤ装置への入力トルクに応じた差動制限力を発生させる差動制限機構を設ける。
【0022】
また、より好ましくは、後輪または前輪に固定した車軸を、リアフレームまたはフロントフレームに設けた軸受により回転可能に支持する。
【0023】
また、より好ましくは、両側共通走行用電動モータは、車両の幅方向中央位置からずらせるようにオフセット配置する。
【0024】
また、より好ましくは、運転席の後側に集草タンクを設け、集草タンクは、集草用ダクトにより芝刈り機と接続する。
【0025】
また、より好ましくは、集草タンクの下側に、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池と、キャパシタと、インバータとの少なくとも1を配置する。
【0026】
また、より好ましくは、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、車両を幅方向片側から他側に見た場合において、芝刈り機駆動用モータと、二次電池と、キャパシタとのうちの少なくとも1と、集草用ダクトとを重畳させる。
【0027】
また、より好ましくは、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、集草用ダクトは、少なくとも一部を蛇腹状に構成し、芝刈り機から、2個の前輪同士の間と、運転席の後側と、フロントフレームおよびリアフレームの連結部の上側とを通るように伸びて集草タンクに接続する。
【0028】
また、より好ましくは、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、集草用ダクトは、少なくとも一部を蛇腹状に構成し、芝刈り機から2個の前輪の外側を通るように伸びて集草タンクに接続する。
【0029】
また、より好ましくは、芝刈り機を駆動する芝刈り機駆動装置と、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトと、を備え、芝刈り機駆動装置と集草用ダクトとのうち、少なくとも一方は、車両の幅方向中央からずれるようにオフセット配置する。
【0030】
また、より好ましくは、運転席の下側に、インバータと、DC/DCコンバータと、制御回路部との少なくとも1を配置する。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結し、操作部の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の改良を図れる。例えば、第1の発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトと、芝刈り機に芝刈り機駆動用モータの動力を伝達可能とする動力伝達機構と、を備え、動力伝達機構は、自在継手を介して連結した複数の動力伝達軸または少なくとも2個のプーリに掛け渡したベルトを備え、2個の前輪のそれぞれの駆動用の2個の前輪駆動用モータ同士の間に、集草用ダクトと、動力伝達機構とのうち、一方または両方を位置させているので、2個の前輪駆動用モータ同士の間の空間の有効利用を図れ、空間の有効利用の程度を高めることができる。また、2個の前輪駆動用モータ同士の間に集草用ダクトを位置させる場合には、芝刈り機と集草タンクとをほぼ直線状の集草用ダクトにより接続しやすくでき、集草能力を向上させやすくできる。
【0032】
また、第2の発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、リアフレームに、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池と、キャパシタと、インバータとのうち、少なくともいずれか1を固定しているので、フロントフレームに運転席を設ける場合に、リアフレーム側の空間の有効利用を図れ、空間の有効利用の程度を高めることができる。
【0033】
また、第3の発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、芝刈り機を駆動する芝刈り機駆動用モータは、フロントフレームに固定しているので、芝刈り機を駆動する機構をリアフレーム側に設けずに済み、空間の有効利用の程度を高めることができる。また、芝刈り機駆動用モータと芝刈り機との、車両の長さ方向に関する位置をずらせることにより、芝刈り機とフロントフレームとの間の空間を広くすることができ、空間の有効利用の程度をより高めることができる。すなわち、この空間の広さを従来と同様とすることにより、フロントフレームおよびリアフレームを低くすることができ、車両の下側の空間の有効利用を図れ、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。また、フロントフレームおよびリアフレームを低くできる分、車両の重心を低くできる。さらに、内燃機関から芝刈り機に動力伝達機構により動力を伝達可能とする、従来から考えられている乗用型芝刈り車両の一部の部品を共通化することができ、部品の共通化によるコスト低減を図れる。
【0034】
また、第4の発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、胴体屈折角度の変化にかかわらず、中間要素と芝刈り機との間の距離、および、中間要素と内燃機関との間の距離がいずれも変化しない。このため、内燃機関から芝刈り機に動力伝達機構により動力を伝達可能とする、従来から考えられている乗用型芝刈り車両の一部の部品を共通化することができ、部品の共通化によるコスト低減を図れる。また、2個の動力伝達要素の少なくとも一方を、少なくとも2個のプーリに掛け渡したベルトにより構成する場合でも、ベルトの張力を一定に維持するための張力調節機構が不要となる。また、2個の動力伝達要素の少なくとも一方を、自在継手を介して連結した複数の動力伝達軸により構成することが可能となる。
【0035】
また、第5の発明に係る乗用型芝刈り車両によれば、前輪と後輪とのうち、一方または両方は、走行用電動モータにより駆動するので、フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結し、操作部の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の省燃費化を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
[第1の発明の実施の形態]
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。図1から図2は、第1の実施の形態を示す図である。図1は、本実施の形態の乗用型芝刈り車両である芝刈り車両10の構成を示す略図であり、図2は、図1の略A−A断面図である。なお、以下の説明において、前後は、車両の前後を意味し、例えば、図1、図2の左右である。なお、以下においては、電動モータの電力供給源として二次電池を使用するものを説明するが、二次電池の代わりにキャパシタを使用することもできる。
【0037】
また、車輪駆動用の電動モータは、単に電力を供給して少なくとも主駆動輪に対し回転駆動力を出力する電気モータとしての機能を有するだけのものを使用する場合に限定せず、電気モータとしての機能を有し、また、少なくとも車輪に対し制動がかけられるときに回生エネルギを回収する発電機としての機能も有するものも使用できる。また、本実施の形態の芝刈り車両は、電動モータの電力供給源を電源ユニットであり、蓄電部である二次電池とし、二次電池への電力供給源としてエンジンおよび発電機を用いる、いわゆるハイブリッド式としている。また、電源ユニットとしては、外部から蓄電電力の供給を受ける二次電池の代わりに、燃料電池、太陽電池等のように自己発電機能を有するものも使用できる。例えば、芝刈り車両の車体、フェンダー、サンバイザー、集草タンク等に太陽電池の発電用パネルを設けることもできる。また、以下の説明においては、前輪および後輪のすべてを電動モータにより駆動する四輪駆動式に限定するものではなく、前輪と後輪との一方のみを電動モータにより駆動し、他方を従動輪とする二輪駆動式とすることもできる。
【0038】
芝刈り車両10は、いわゆるアーティキュレート式の旋回機構を有するもので、2個の前輪12を支持するフロントフレーム14と、2個の後輪16を支持するリアフレーム18と、フロントフレーム14とリアフレーム18とを胴体屈折可能に連結する連結部20と、操作部であるステアリングホイール22(図1)の操作に連動して、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折角度を変える操舵装置24(図2)とを備える。
【0039】
連結部20は、図1に示すように、フロントフレーム14の後端部(図1の右端部)の幅方向(図1の裏表方向)中央部に連結したフロント側接続部材26と、リアフレーム18の前端部(図2の左端部)の幅方向中央部に連結した管状のリア側接続部材28と、センタピン30とを備える。フロント側接続部材26は、金属板等の板材の両端を同方向に曲げ形成したもので、内側にリア側接続部材28を配置し、フロント側接続部材26の鉛直方向に支持したセンタピン30の中間部をリア側接続部材28の内側に挿通している。
【0040】
また、操舵装置24は、フロントフレーム14とリアフレーム18との間に連結した旋回用シリンダ32(図2)を備え、ステアリングホイール22(図1)の操作に連動して旋回用シリンダ32を伸縮させることにより、フロントフレーム14をリアフレーム18に対してセンタピン30を基準に屈曲させる、すなわち揺動させるとともに、その胴体屈折角度がステアリングホイール22の回転量に応じて変化するようにしている。また、フロントフレーム14とリアフレーム18との連結部20を構成するセンタピン30を、車両の前後方向(図2の左右方向)に関して、前輪12の回転中心と後輪16の回転中心との車軸間の中央に位置させている。すなわち、前輪12回転中心からセンタピン30までの距離と、後輪16回転中心からセンタピン30までの距離とは、等しく車軸間の長さLの1/2、すなわちL/2である。ただし、センタピン30は、車両の前後方向(図2の左右方向)に関して、前輪12の回転中心と後輪16の回転中心との車軸間の中央からずらせることもできる。
【0041】
なお、図2に示す例では、フロントフレーム14とリアフレーム18との間の車両の幅方向片側(図2の下側)のみに1個の旋回用シリンダ32を設けているが、フロントフレーム14とリアフレーム18との間の車両の幅方向他側(図2の上側)に別の旋回用シリンダを設けることもできる。この場合、2個の旋回用シリンダ32のうち、一方の旋回用シリンダが伸長する場合には他方の旋回用シリンダが縮小するように、両方の旋回用シリンダの内部の2室に圧油を給排する。
【0042】
また、芝刈り車両10は、作業機である芝刈り機(モア)34を備え、前輪12と後輪16とによって地面を走行する。作業者の座る運転席35付近には、芝刈り機34の操作や、芝刈り車両10の加速や制動を行うための操作部を設けている。また、運転席35付近に設けたステアリングホイール22をいずれかの方向に回転することにより、ステアリングホイール22の操作量に応じた大きさ分旋回用シリンダが伸長または縮小するようにしている。これにより、フロントフレーム14とリアフレーム18とがセンタピン30を中心としていずれかの側に、ステアリングホイール22の回転量に応じた角度分胴体屈曲して、芝刈り車両10が旋回するようにしている。
【0043】
芝刈り車両10は、駆動源として用いられる内燃機関であるエンジン36と、エンジン36の出力軸に接続されエンジン36から供給される駆動力によって回転する発電機38と、発電機38から電力を供給され、その電力を蓄電する二次電池40(図2参照)と、前輪12と後輪16とをそれぞれ独立して駆動するための前側、後側それぞれ2個ずつの前輪駆動用電動モータ42と後輪駆動用電動モータ44とを備える。前輪駆動用電動モータ42、後輪駆動用電動モータ44は、それぞれ走行用電動モータに対応する。
【0044】
エンジン36は、出力軸の端部に発電機38を構成する駆動軸を連結するか、またはエンジン36の出力軸と発電機38の駆動軸とを共通の軸により一体に構成する。なお、エンジン36の出力軸の端部に駆動プーリを固定するとともに、この駆動プーリと、ベルトと、発電機38の駆動軸に固定した従動プーリとを介して、エンジン36により発電機38を駆動可能とすることもできる。
【0045】
また、各電動モータ42,42は、二次電池40から供給される電力により駆動する。前輪駆動用電動モータ42と、後輪駆動用電動モータ44とをそれぞれ構成するケースは、フロントフレーム14とリアフレーム18とにそれぞれ固定している。また、フロントフレーム14に、前輪12よりも前側に位置するように、図示しない支持機構を介して芝刈り機34を支持している。芝刈り機34は、芝刈り機34駆動用の動力源である芝刈り機駆動用モータ46と作動的に連結している。芝刈り機駆動用モータ46は、フロントフレーム14に、フロントフレーム14の下側位置で、芝刈り機34を構成するカバーであるデッキ48とは、車両の長さ方向、すなわち前後方向に関して後側(図1の右側)にずれた位置に固定している。
【0046】
芝刈り機駆動用モータ46は、例えば電動モータまたは油圧モータである。図示の例の場合には、芝刈り機駆動用モータ46と芝刈り機34との間に動力伝達機構50を設けている。芝刈り機34は、デッキ48の内側に支持した、鉛直方向の軸を中心に回転駆動する1個または複数の芝刈ブレード(図1、図2では図示せず)を備える。動力伝達機構50は、芝刈り機34に芝刈り機駆動用モータ46の動力を伝達可能とする。動力伝達機構50は、芝刈り機駆動用モータ46の回転軸に固定した駆動プーリ52と、芝刈りブレードの駆動軸に固定した従動プーリ54とにベルト56を掛け渡すことにより構成している。すなわち、芝刈り機34は芝刈り機駆動用モータ46に、動力伝達機構50により、作動的に、すなわち動力の伝達を可能に連結される。芝刈り機駆動用モータ46と、動力伝達機構50とにより、芝刈り機駆動装置58を構成している。
【0047】
芝刈り機34は、図示しない作業機昇降アクチュエータにより、高さ調節を可能としている。例えば、作業機昇降アクチュエータを、油圧シリンダを備える構成とし、油圧シリンダに圧油を供給する油圧源の油圧ポンプを、電動モータまたはエンジン36により駆動可能とすることもできる。また、芝刈り機34に、図示しない補助キャスタ輪を設けることもできる。また、芝刈り機34に、刈り取った草を後方に排出するための集草用ダクトである、排出ダクト60を接続している。排出ダクト60は、一部を蛇腹状に構成し、デッキ48の後端部の幅方向中央部に前端を接続して、デッキ48の後端部から2個の前輪12同士の間と、フロントフレーム14およびリアフレーム18の連結部20の上側と、運転席35の後側とを通るように斜め上方に伸びて集草タンク62に接続している。このため、集草タンク62は、排出ダクト60により芝刈り機34、すなわち、芝刈り機34を構成するデッキ48の後端部と接続される。なお、芝刈りブレードは、先端部等に鋼製またはポリアミド樹脂等の樹脂製のワイヤを設けた構成とすることもできる。芝刈りブレードの先端部にワイヤを設ける場合、ワイヤをデッキ48の側方に突出させた状態で、ワイヤを振り回すことにより芝を刈りやすくする。また、芝刈り機駆動用モータ46の動力を芝刈りブレードに伝達する動力伝達機構において、1段以上の減速歯車部等の減速部を有する減速装置を設けることもできる。
【0048】
また、右左2個の前輪駆動用電動モータ42同士の間に、排出ダクト60と動力伝達機構50との両方を位置させている。なお、右左2個の前輪駆動用電動モータ42同士の間に、排出ダクト60と動力伝達機構50との一方のみを位置させることもできる。また、芝刈り車両10を幅方向片側から他側(図1の表側から裏側、図2の下側から上側)に見た場合において、芝刈り機駆動用モータ46と排出ダクト60とを重畳させている。なお、芝刈り車両10を幅方向片側から他側に見た場合において、芝刈り機駆動用モータ46と、二次電池40と、キャパシタとのうちの少なくとも1と、排出ダクト60とを重畳させることもできる。また、図2に示すように、芝刈り機駆動装置58を、芝刈り車両10の幅方向中央から幅方向にずれるようにオフセット配置している。なお、芝刈り機駆動装置58と排出ダクト60とのうちの一方または両方を、芝刈り車両10の幅方向中央から幅方向にずれるようにオフセット配置することもできる。
【0049】
また、図2に示すように、エンジン36および発電機38と二次電池40とは、リアフレーム18を構成する平板状の横板部の下側に固定している。すなわち、エンジン36および発電機38と二次電池40とは、集草タンク62(図1)の下側に位置させている。なお、リアフレーム18に、エンジン36と発電機38と二次電池40と燃料電池とキャパシタとインバータとのうち、少なくともいずれか1を固定することもできる。また、集草タンク62(図1)の下側に、エンジン36と発電機38と二次電池40(図2)と燃料電池とキャパシタとインバータとの少なくとも1を位置させることもできる。また、2個の後輪16同士の間に、エンジン36および発電機38と二次電池40とを位置させている。なお、2個の後輪16同士の間に、エンジン36と発電機38と二次電池40と燃料電池とキャパシタとインバータとのうち、少なくともいずれか1を位置させることもできる。
【0050】
また、エンジン36と二次電池40との下端は、後輪16の回転中心軸O(図1)と上下方向に関して同じ位置か、または後輪16の回転中心軸Oよりも下側に位置するようにしている。また、リアフレーム18またはリアフレーム18に固定の部材に対し、二次電池40をクランプ等により、容易に取り外し可能とすることもできる。なお、二次電池40とキャパシタと燃料電池との少なくとも一方を、リアフレーム18(またはフロントフレーム14)またはリアフレーム18(またはフロントフレーム14)に固定の部材に対しクランプ等により、容易に取り外し可能に支持することもできる。
【0051】
また、エンジン36の大小に関して、電動モータを介さずにエンジンの動力により前輪と後輪との一方または両方を駆動する、ハイブリッド型でない一般的な芝刈り車両の場合に比べて、本実施の形態では小さいエンジン36を使用する。また、ガソリン等の燃料タンクに関しても、一般的な芝刈り車両の場合に比べて、小さい燃料タンクを使用する。
【0052】
また、車両の幅方向片側から他側に見た場合において、エンジン36と二次電池40とを互いに重畳させている。また、車両の幅方向片側から他側に見た場合において、エンジン36と二次電池40と、それぞれ冷却装置であるラジエータ64と、後輪16とを重畳させている。ラジエータ64は、エンジン36冷却用の冷却水を冷却する。また、ラジエータ64の後方に、エンジン36潤滑用または電動モータ42,44冷却用のオイルを冷却するオイルクーラ65を設けている。なお、リアフレーム18に二次電池40を固定するとともに、またはこれに代えて、フロントフレーム14の運転席下側に別の二次電池を配置することもできる。
【0053】
また、二次電池40、前輪駆動用電動モータ42、後輪駆動用電動モータ44等の各構成要素の動作を総合的に制御するモータ制御ユニット66を、フロントフレーム14の上面側で運転席35の下側位置に配置している。モータ制御ユニット66は、制御回路部であるコントローラと、インバータと、DC/DCコンバータとを備える。なお、運転席35の下側に、コントローラと、インバータと、DC/DCコンバータとのうち、少なくとも1を配置することもできる。
【0054】
前輪駆動用電動モータ42、後輪駆動用電動モータ44は、それぞれDCブラシレスモータ等で、正逆両方向に回転駆動することを可能としている。また、それぞれの電動モータ42,44の回転数を制御可能としている。
【0055】
モータ制御ユニット66は、それぞれの電動モータ42,44に対応する、電動モータ用駆動回路を含む。電動モータ用駆動回路は、CPUからの制御信号により、電動モータ42,44を駆動する。電動モータ42,44からは、モータ制御ユニット66に、回転数、回転方向、電流値等を表す信号をフィードバックする。また、電動モータ42,44に対応して、前輪12または後輪16を制動するための電動で作動する図示しないブレーキユニットを設けており、モータ制御ユニット66からの制御信号により制御するようにしている。電動モータ42,44へは、発電機38により発電した電力を、直接または二次電池40を介して供給可能としている。なお、前輪12と後輪16との一方または両方の制動に対応して、対応する電動モータ42,44が発電機の役目を果たし、発電された電力がそれぞれの電動モータ42,44に対応する電力回生ユニットを介して二次電池40に蓄電されるようにすることもできる。
【0056】
二次電池40は、電気エネルギを蓄え、必要に応じて、電動モータ42,44等の負荷に電力を供給する機能を有するもので、鉛蓄電池、リチウムイオン組電池、ニッケル水素組電池等を用いることができる。
【0057】
芝刈り機34関係の動力源である芝刈り機駆動用モータ46は、例えば、二次電池40から電力を供給される。芝刈り機駆動用モータ46の作動は、運転席35(図1)の近くに設けられる芝刈り機起動スイッチ(図示せず)のオン・オフによって制御される。例えば、芝刈り機駆動用モータ46を電動モータとする場合、モータ制御ユニット66が図示しない芝刈り機起動スイッチのオン・オフ状態を検出し、その検出によって、芝刈り機駆動用モータ46駆動用の回路の作動を制御して、芝刈り機駆動用モータ46を作動させ、あるいは停止させる。このように芝刈り機駆動用モータ46を電動モータとする場合には、エンジン36を停止させた状態で芝刈り機34を駆動することができ、芝刈り作業時の騒音を小さくできる。
【0058】
また、ステアリングホイール22の操作に対応する、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折に応じて、電動モータ42、44(図2)の左右両側同士の間で、回転速度を変えるようにすることもできる。例えば、車両が左側(または右側)に旋回する場合には、右側の前輪12、後輪16が旋回時の外側(または内側)となり、左側の前輪12、後輪16が旋回時の内側(または外側)となるため、右側の前輪12、後輪16の回転速度が左側の前輪12、後輪16の回転速度よりも高く(または低く)なるように、それぞれに対応する電動モータ42,44の回転速度を制御する。ステアリングホイール22(図1)の操作量は、操作量検出部である、操作量センサを用いて、モータ制御ユニット66に伝送され、それぞれの電動モータ42,44の作動が制御される。これとともに、ステアリングホイール22の操作方向および操作量に応じて、アクチュエータを介して旋回用シリンダ32が、対応する伸縮量分伸縮するようにする。なお、ステアリングホイール22(図1)の操作力を軽減するためにパワーステアリング装置を設けるとともに、パワーステアリング装置を構成する油圧シリンダに圧油を供給する油圧源の油圧ポンプを、電動モータまたはエンジン36により駆動する構成とすることもできる。
【0059】
本実施の形態の乗用型芝刈り車両によれば、前輪12を支持するフロントフレーム14と、後輪16を支持するリアフレーム18と、フロントフレーム14とリアフレーム18とを胴体屈折可能に連結する連結部20と、ステアリングホイール22の操作に連動して、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折角度を変える操舵装置24とを備えるため、旋回時に前輪12の向きと後輪16の向きとを変えることができ、前輪12および後輪16の滑りを抑えることができる。なお、連結部20は、フロントフレーム14とリアフレーム18とを互いに前後方向の回転軸中心に揺動可能とする図示しない機構を有している。これにより、不整地を走行する場合でも、4個の前輪12、後輪16の接地状態を保つことができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、フロントフレーム14とリアフレーム18とを胴体屈折可能に連結し、ステアリングホイール22の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の改良を図れる。まず、芝刈り機34と集草タンク62との間に接続した排出ダクト60と、芝刈り機34に芝刈り機駆動用モータ46の動力を伝達可能とする動力伝達機構50とを備え、動力伝達機構50は、2個の駆動プーリ52、従動プーリ54に掛け渡したベルト56を備える。また、2個の前輪12のそれぞれの駆動用の2個の前輪駆動用電動モータ42(図2)同士の間に、排出ダクト60と動力伝達機構50との両方を位置させている。このため、2個の前輪駆動用電動モータ42同士の間の空間の有効利用を図れ、空間の有効利用の程度を高めることができる。また、芝刈り機34と集草タンク62(図1)とをほぼ直線状の排出ダクト60により接続しやすくでき、集草能力を向上させやすくできる。
【0061】
また、リアフレーム18に、エンジン36と、発電機38と、二次電池40(図2)とを固定しているので、本実施の形態のように、フロントフレーム14に運転席35(図1)を設ける場合に、リアフレーム18側の空間の有効利用を図れ、空間の有効利用の程度を高めることができる。
【0062】
また、芝刈り機34を駆動する芝刈り機駆動用モータ46は、フロントフレーム14に固定しているので、芝刈り機34を駆動する機構をリアフレーム18側に設けずに済み、空間の有効利用の程度を高めることができる。また、芝刈り機駆動用モータ46と芝刈り機34との、車両の長さ方向、すなわち前後方向に関する位置をずらせることにより、芝刈り機34とフロントフレーム14との間の空間を広くすることができ、空間の有効利用の程度をより高めることができる。すなわち、この空間の広さを従来と同様とすることにより、フロントフレーム14およびリアフレーム18を低くすることができ、車両の下側の空間の有効利用を図れ、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。また、フロントフレーム14およびリアフレーム18を低くできる分、車両の重心を低くできる。さらに、エンジン36から芝刈り機34に動力伝達機構により動力を伝達可能とする、従来から考えられている乗用型芝刈り車両の一部の部品、例えば従動プーリ54等のアタッチメントを共通化することができ、部品の共通化によるコスト低減を図れる。
【0063】
また、前輪12と後輪16との両方を、前輪駆動用電動モータ42、後輪駆動用電動モータ44によりそれぞれ駆動するので、フロントフレーム14とリアフレーム18とを胴体屈折可能に連結し、ステアリングホイール22の操作に連動して胴体屈折角度を変えることができる構造の省燃費化を図れる。
【0064】
また、エンジン36と二次電池40との下端は、後輪16の回転中心軸O(図1)と同じ位置か、または後輪16の回転中心軸Oよりも下側に位置するようにしている。このため、芝刈り車両10の重心を低くできるとともに、芝刈り車両10の下側の空間の有効利用を図れ、芝刈り車両10の空間の有効利用の程度を高めることができる。また、フロントフレーム14とリアフレーム18とに、それぞれ前輪駆動用電動モータ42と後輪駆動用電動モータ44とを固定し、それぞれの電動モータ42,44のケースに対し前輪および後輪を回転可能に支持しているため、前輪12および後輪16のすべてのタイヤを共通化しやすくできる。
【0065】
[第2の発明の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す、図2の右端部に対応する図である。本実施の形態では、上記の第1の実施の形態において、2個の後輪16を、2個の後輪16同士で共通の両側共通走行用電動モータである、後輪駆動用電動モータ44aにより駆動可能としている。このために、リアフレーム18の下側に単一のモータユニット68を固定している。モータユニット68は、2個の後輪16の駆動のために共通して使用する後輪駆動用電動モータ44aと、1段以上の減速部を有する減速歯車装置70と、デファレンシャルギヤ装置72とを備え、減速歯車装置70およびデファレンシャルギヤ装置72の全体を覆うギヤケース74と、後輪駆動用電動モータ44aを構成するケース76とを、一体的に固定している。
【0066】
後輪駆動用電動モータ44aは、リアフレーム18において、車両の幅方向(図3の上下方向)中央位置から幅方向片側(図3の上側)にずらせるようにオフセット配置している。また、モータユニット68も、リアフレーム18において、車両の幅方向中央位置から(図示の例の場合は右側(図10の上側)の後輪16側に)ずらせるようにオフセット配置している。このようにモータユニット68を、車両の幅方向中央位置からずらせるようにオフセット配置することにより、リアフレーム18において、車両の幅方向に関してモータユニット68を設ける側とは反対側にエンジン36を搭載しやすくでき、空間の有効利用の程度の向上を図れる。また、このように単一のモータユニット68を後輪16駆動用に使用することで、2個の後輪16駆動のために互いに別の電動モータを設ける必要がなくなり、コスト低減を図れる。また、モータユニット68の上下方向(図3の表裏方向)の寸法を前後方向(図3の左右方向)の寸法よりも小さくすることにより、芝刈り車両10の下側の空間の有効利用の程度を高くできる。
【0067】
また、デファレンシャルギヤ装置72のデファレンシャルサイドギヤに係合させた左右両側の車軸78に、左右の後輪16をそれぞれ固定している。それぞれの車軸78は、複数の連結軸を、等速ジョイントを介して連結することにより構成している。後輪駆動用電動モータ44aの動力は、減速歯車装置70、デファレンシャルギヤ装置72、左右両側の車軸78を介して左右両側の後輪16に伝達可能としている。また、リアフレーム18の幅方向両端部に一対の軸受80を直接設けて、すなわち、軸受80の外輪をリアフレーム18に直接固定して、車軸78の中間部をこれらの軸受80によりそれぞれ回転可能に支持している。右側(図3の上側)の車軸78は左側(図3の下側)の車軸78よりも短くしている。
【0068】
また、後輪駆動用電動モータ44aの回転軸と減速歯車装置70を構成する回転軸との間に、手動または自動で断接可能な、嵌脱可能クラッチ82を設けている。嵌脱可能クラッチ82は両側の動力伝達を切断することにより、例えば後輪駆動用電動モータ44aの故障時に車両の移動が容易に行えるようにする。また、減速歯車装置70の一部に制動部84を設けて、制動部84により後輪駆動用電動モータ44aの回転軸の回転を停止できるようにしている。制動部84は、例えば減速歯車装置70を構成する回転軸に固定したディスクの外周部に設けて、ディスクの外周部を制動部84により両側から狭持可能としている。制動部84は、作業者の操作部の操作、または自動で作動されるようにする。また、デファレンシャルギヤ装置72を構成する、駆動軸86と噛合するリングギヤと片側(図3の上側)の車軸78との間に、デフロック機構88を設けている。デフロック機構88は、作業者のデフロックオンオフスイッチのオン操作に応じて、クラッチによりデファレンシャルギヤ装置72の差動をロックし、2個の後輪16同士を一体的に同じ回転速度で回転可能とする。これにより、右左の片側の後輪16がぬかるみ等の低摩擦路に入り込んだ場合でも、後輪16の空転を防止しやすくできる。
【0069】
このような本実施の形態によれば、リアフレーム18の幅方向両端部に一対の軸受80を設けて、車軸78の中間部をこれらの軸受80により回転可能に支持しているので、モータユニット68を構成するギヤケース74と車軸78との間の回転支持部に、過度の負荷が加わることを有効に防止できる。なお、デファレンシャルギヤ装置72に、2個の後輪16同士の間の回転速度差またはデファレンシャルギヤ装置72への入力トルクに応じた差動制限力を発生させる差動制限機構である、リミテッドスリップデフ機構(LSD)を設けることもできる。例えば、油圧で摩擦板に作用する圧力を調整することにより差動制限効果を得るリミテッドスリップデフ機構を採用することもできる。その他の構成および作用については、上記の第1の実施の形態と同様であるため、同等部分に関する図示および説明を省略する。なお、本実施の形態において、左右両側の車軸78のうち、いずれか片側の車軸78を、等速ジョイントにより連結した複数の連結軸により構成するのではなく、単一の車軸により構成することもできる。
【0070】
なお、本実施の形態では、後輪16駆動用に単一のモータユニット68を設ける場合について説明したが、これとともに、またはこれに代えて、前輪駆動用に同様の単一のモータユニットを設けることもできる。また、前輪駆動用と後輪16駆動用とにそれぞれ単一のモータユニット68を設ける場合、モータユニット68として同じ構造を有するものを使用することにより、部品の共通化を図ることもできる。また、前輪駆動用に単一のモータユニットを設ける場合、後輪16駆動用と同様に、嵌脱可能クラッチ、制動部、デフロック機構、リミテッドスリップデフ機構の少なくとも1を設けたり、フロントフレームの幅方向両端部に一対の軸受を設けて、一対の軸受により前輪に固定した車軸を回転可能に支持することもできる。また、デフロック機構は、作業者が手動で操作するデフロックオンオフスイッチに連動する構成とする場合に限定せず、車輪のスリップを検知して、この検知により自動的に作動するような構成とすることもできる。
【0071】
[第3の発明の実施の形態]
図4は、本発明の第3の実施の形態を示す、上記の図2に対応する図である。本実施の形態では、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態において、2個の前輪12を、2個の前輪12同士で共通の両側共通走行用電動モータである、前輪駆動用電動モータ42aにより駆動可能としている。このために、フロントフレーム14の下側に単一のモータユニット68aを固定している。モータユニット68aは、上記の図3に示した第2の実施の形態の場合のモータユニット68と同様の構成を有するもので、2個の前輪12の駆動のために共通して使用する前輪駆動用電動モータ42aと、1段以上の減速部を有する減速歯車装置70(図3参照)と、デファレンシャルギヤ装置72(図3参照)とを備え、減速歯車装置70およびデファレンシャルギヤ装置72の全体を覆うギヤケース74と、前輪駆動用電動モータ42aを構成するケース76とを、一体的に固定している。前輪駆動用電動モータ42aは、フロントフレーム14において、車両の幅方向中央位置から幅方向片側(図4の上側)にずらせるようにオフセット配置している。また、モータユニット68aも、リアフレーム18において、車両の幅方向中央位置から幅方向片側にずらせるようにオフセット配置している。
【0072】
また、デファレンシャルギヤ装置72(図3参照)のデファレンシャルサイドギヤに係合させた左右両側の車軸89(図4)に、左右の前輪12をそれぞれ固定している。それぞれの車軸89は、複数の連結軸を、等速ジョイントを介して連結することにより構成している。前輪駆動用電動モータ42aの動力は、減速歯車装置70(図3参照)、デファレンシャルギヤ装置72(図3参照)、左右両側の車軸89を介して左右両側の前輪12に伝達可能としている。また、フロントフレーム14の幅方向両端部に一対の軸受80を直接設けて、すなわち、軸受80の外輪をフロントフレーム14に直接固定して、車軸89の中間部をこれらの軸受80によりそれぞれ回転可能に支持している。
【0073】
また、本実施の形態では、図4に示すように、芝刈り機34を構成するデッキ48と集草タンク62との間に接続した排出ダクト60aは、デッキ48から2個の前輪12の外側を通るように車両の幅方向外側から、後方に伸びて集草タンク62に接続している。その他の構成および作用は、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態または上記の図3に示した第2の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0074】
[第4の発明の実施の形態]
図5は、本発明の第4の実施の形態の芝刈り車両10の構成を示す略図である。本実施の形態では、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態において、芝刈り機34を構成する芝刈りブレード(図示せず)を、エンジン36からの動力により駆動可能としている。このために、連結部20を構成する、動力伝達用回転軸であるセンタピン30の下端部で、フロント側接続部材26の下端から突出した部分をギヤケース90に回転可能に支持するとともに、センタピン30の下端部に第1中間プーリ92を固定している。
【0075】
また、ギヤケース90内に存在する、センタピン30の下端部に従動かさば歯車(図示せず)を固定するとともに、水平方向に配置した動力伝達軸94の前端部(図5の左端部)に固定した駆動かさば歯車(図示せず)と従動かさば歯車とを噛合させている。動力伝達軸の後端部(図5の右端部)に第2中間プーリ96を固定している。また、エンジン36の出力軸に固定した駆動プーリと第2中間プーリ96とにベルト98を掛け渡すとともに、第1中間プーリ92と芝刈りブレードの駆動軸に固定した従動プーリ54とにベルト56を掛け渡している。センタピン30に固定した従動かさば歯車と動力伝達軸94に固定した駆動かさば歯車とにより、かさば歯車機構を構成している。また、第1中間プーリ92を固定したセンタピン30により中間要素99を構成している。中間要素99は、2個の動力伝達要素である動力伝達軸94とベルト56との間での動力伝達を可能としている。フロントフレーム14およびリアフレーム18の連結部20の揺動中心とセンタピン30とは同軸上に位置している。
【0076】
エンジン36により芝刈り機34を駆動する場合、駆動プーリと第2中間プーリ96とに掛け渡したベルト98、動力伝達軸94、かさば歯車機構、第1中間プーリ92と従動プーリ54とに掛け渡したベルト56を介して、エンジン36から芝刈り機34に動力を伝達する。駆動プーリと第2中間プーリ96とに掛け渡したベルト98、動力伝達軸94、かさば歯車機構、第1中間プーリ92と従動プーリ54とに掛け渡したベルト56により、エンジン36の動力を芝刈り機34に伝達可能とする動力伝達機構を構成している。また、フロントフレーム14の運転席35下側に、二次電池40を固定している。
【0077】
このような本実施の形態によれば、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折角度の変化にかかわらず、中間要素99と芝刈り機34との間の距離、および、中間要素99とエンジン36との間の距離がいずれも変化しない。このため、エンジン36から芝刈り機34に動力伝達機構により動力を伝達可能とする、従来から考えられている乗用型芝刈り車両の一部の部品を共通化することができ、部品の共通化によるコスト低減を図れる。また、中間要素99により動力を伝達する、2個の動力伝達要素の一方の動力伝達要素を、従動プーリ54と第1中間プーリ92とに掛け渡したベルト56により構成するのにかかわらず、ベルト56の張力を一定に維持するための張力調節機構が不要となる。その他の構成および作用は、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0078】
[第5の発明の実施の形態]
図6は、本発明の第5の実施の形態を示す、上記の図5の左端部に対応する図である。本実施の形態では、上記の図5に示した第4の実施の形態において、芝刈り機34を構成する芝刈りブレード(図示せず)を、エンジン36(図5参照)からの動力により駆動可能としている。このために、連結部20を構成する、動力伝達用回転軸であるセンタピン30の下端部で、フロント側接続部材26の下端から突出した部分をギヤケース90に回転可能に支持するとともに、センタピン30の下端部に2個のかさば歯車を固定している。動力伝達軸94の前端部に固定したかさば歯車と、ギヤケース90内の2個のかさば歯車のうち、上側のかさば歯車とを噛合させている。
【0079】
また、3本の動力伝達軸102a,102b,102cを、自在継手を介して動力の伝達可能に連結するとともに、3本の動力伝達軸102a,102b,102cのうち、後端側の動力伝達軸102cに固定したかさば歯車と、ギヤケース90内の2個のかさば歯車のうち、下側のかさば歯車とを噛合させている。これによりエンジン36の動力が、芝刈りブレードの駆動軸に伝達可能となる。
【0080】
このような本実施の形態では、2個のかさば歯車を固定したセンタピン30により中間要素99aを構成している。中間要素99aは、2個の動力伝達要素である2個の動力伝達軸94,102cの間での動力伝達を可能としている。
【0081】
このような本実施の形態の場合も、フロントフレーム14とリアフレーム18との胴体屈折角度の変化にかかわらず、中間要素99aと芝刈り機34との間の距離、および、中間要素99aとエンジン36との間の距離がいずれも変化しない。このため、エンジン36から芝刈り機34に動力伝達機構により動力を伝達可能とする、従来から考えられている乗用型芝刈り車両の一部の部品を共通化することができ、部品の共通化によるコスト低減を図れる。また、中間要素99aにより動力の伝達を可能とする、2個の動力伝達要素の一方を、自在継手を介して連結した複数の動力伝達軸102a,102b,102cにより構成することが可能となる。その他の構成および作用は、上記の図5に示した第4の実施の形態と同様であるため、重複する図示および説明を省略する。
【0082】
[第6の発明の実施の形態]
図7は、本発明の第6の実施の形態において、芝刈り機34および芝刈り機駆動用モータ104を示す部分断面図で、図8は図7の上方から下方に見た図である。本実施の形態の場合、芝刈り機34を構成するデッキ48の上側に、モータ支持部材106を固定している。モータ支持部材106の上側に芝刈り機駆動用モータ104を構成するケースを固定するとともに、モータ支持部材106の内側に芝刈り機駆動用モータ104の回転軸の下端部を挿入している。芝刈り機駆動用モータ104は、その回転軸が鉛直方向に向くように、芝刈り機34、すなわち芝刈り機34のデッキ48の上側に配置している。また、芝刈り機駆動用モータ104の軸方向の全長Laを、芝刈り機駆動用モータ104を構成するケースの外径Daよりも小さくしている(La<Da)。
【0083】
また、デッキ48内に設けた芝刈りブレード108の駆動軸に固定された従動プーリ54と、芝刈り機駆動用モータ104の回転軸に固定された駆動プーリ52とに、ベルト56を掛け渡している。図8に示すように、芝刈りブレード108は2本を備え、それぞれの芝刈りブレード108に固定の従動プーリ54と、駆動プーリ52とにベルト56を掛け渡している。また、ベルト56にテンションプーリ110を、ばね等の弾力付与手段の弾力により押し付け、ベルト56の張力を所望の大きさに維持できるようにしている。これにより、芝刈り機駆動用モータ104が駆動すると、芝刈り機駆動用モータ104の動力が駆動プーリ52、ベルト56、従動プーリ54を介して芝刈りブレード108に伝達され、芝刈り機34が駆動する。
【0084】
このような本実施の形態の場合、芝刈り機駆動用モータ104により駆動する芝刈り機34を備え、芝刈り機駆動用モータ104の軸方向の全長Laを外径Daよりも小さくしており、芝刈り機34を構成する芝刈りブレード108よりも上側の、芝刈り機34を構成するデッキ48の上側に、芝刈り機駆動用モータ104を、その回転軸が鉛直方向に向くように配置している。このため、芝刈り機駆動用モータ104を芝刈り機34のデッキ48上に配置するのにもかかわらず、芝刈り機駆動用モータ104の上端を低くできる。このため、芝刈り機34のデッキ48とフロントフレーム14(図1参照)との間の空間を広くでき、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。すなわち、この空間の広さを従来と同様とすることにより、フロントフレーム14およびリアフレーム18(図1参照)を低くでき、車両の下側の空間の有効利用を図れ、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。また、フロントフレーム14およびリアフレーム18を低くできる分、車両の重心を低くできる。その他の構成および作用については、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示ならびに説明を省略する。
【0085】
なお、本実施の形態において、芝刈り機駆動用モータ104と芝刈り機34との間の動力伝達部を、1段以上の減速部を有する歯車機構、または少なくとも2個のスプロケットに巻き掛けたチェーンを備えるものとすることもできる。なお、芝刈り機駆動用モータ104と芝刈り機34との間の動力伝達部に歯車機構を設ける場合に、この歯車機構として、ウォーム減速機構、遊星歯車減速機構等を有するものも使用できる。
【0086】
[第7の発明の実施の形態]
図9は、本発明の第7の実施の形態において、芝刈り機34および芝刈り機駆動用モータ104を示す断面図である。本実施の形態の場合、芝刈り機34を構成するデッキ48の上側に、歯車カバー112を固定している。また、デッキ48の上側に芝刈り機駆動用モータ104を構成するケースを、歯車カバー112と一体に固定している。芝刈り機駆動用モータ104は、その回転軸が水平方向に向くようにデッキ48上に配置するとともに、回転軸の先端部を歯車カバー112の内側に挿入している。また、芝刈り機駆動用モータ104の軸方向の全長Laを、芝刈り機駆動用モータ104を構成するケースの外径Daよりも大きくしている(La>Da)。
【0087】
また、デッキ48内に設けた芝刈りブレード108の駆動軸に従動かさば歯車114を固定するとともに、芝刈り機駆動用モータ104の回転軸に駆動かさば歯車116を固定し、さらに従動かさば歯車114と駆動かさば歯車116とを噛合させている。また、従動かさば歯車114と、図示しない別の芝刈りブレードに固定した従動かさば歯車とを、直接または図示しない歯車を介して噛合させている。これにより、芝刈り機駆動用モータ104が駆動すると、芝刈り機駆動用モータ104の動力が駆動かさば歯車116、従動かさば歯車114を介して芝刈りブレード108に伝達され、芝刈り機34が駆動する。駆動かさば歯車116、従動かさば歯車114等の歯車は、歯車カバー112の内側に配置している。また、駆動かさば歯車116の歯数を従動かさば歯車114の歯数よりも少なくして、1段の減速機構を有する減速部としている。また、駆動かさば歯車116と従動かさば歯車114との間に別の歯車を設ける等により、2段以上の減速部を設けることもできる。
【0088】
このような本実施の形態の場合、芝刈り機駆動用モータ104により駆動する芝刈り機34を備え、芝刈り機駆動用モータ104の軸方向の全長Laを外径Daよりも大きくしており、芝刈り機34を構成する芝刈りブレード108よりも上側の、芝刈り機34を構成するデッキ48の上側に、芝刈り機駆動用モータ104を、その回転軸が水平方向に向くように配置している。このため、上記の図7から図8に示した第6の実施の形態と同様に、芝刈り機駆動用モータ104を芝刈り機34のデッキ48上に配置するのにもかかわらず、芝刈り機駆動用モータ104の上端を低くできる。このため、芝刈り機34のデッキ48とフロントフレーム14(図1参照)との間の空間を広くでき、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。すなわち、この空間の広さを従来と同様とすることにより、フロントフレーム14およびリアフレーム18(図1参照)を低くでき、車両の下側の空間の有効利用を図れ、車両の空間の有効利用の程度を高めることができる。また、フロントフレーム14およびリアフレーム18を低くできる分、車両の重心を低くできる。その他の構成および作用については、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示ならびに説明を省略する。
【0089】
なお本実施の形態において、芝刈り機駆動用モータ104と芝刈り機34との間の動力伝達部を、少なくとも2個のプーリに掛け渡したベルト、または少なくとも2個のスプロケットに巻き掛けたチェーンを備えるものとすることもできる。なお、芝刈り機駆動用モータ104と芝刈り機34との間の動力伝達部に歯車機構を設ける場合に、この歯車機構として、ウォーム減速機構、遊星歯車減速機構等を有するものも使用できる。
【0090】
[第8の発明の実施の形態]
図10は、本発明の第8の実施の形態において、芝刈り機34および芝刈り機駆動用モータ104を示す断面図である。本実施の形態の場合、芝刈り機34を構成するデッキ48の側方(図10の右方)に、底板部を有するモータ支持部118を固定している。モータ支持部118の底板部上に芝刈り機駆動用モータ104を構成するケースを固定するとともに、ケースの上方に芝刈り機駆動用モータ104の回転軸を突出させている。芝刈り機駆動用モータ104は、その回転軸が鉛直方向に向くように、芝刈り機34のデッキ48の側方に位置させている。また、デッキ48内に設けた芝刈りブレード108の駆動軸に固定された従動プーリ54と、芝刈り機駆動用モータ104の回転軸に固定された駆動プーリ52とに、ベルト56を掛け渡している。その他の構成および作用については、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態、または、上記の図7から図8に示した第6の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示ならびに説明を省略する。
【0091】
なお、上記の図7から図10に示した第6の実施の形態から第8の実施の形態において、芝刈り機駆動用モータ104にブレーキ機構を設けることもできる。ブレーキ機構は、例えば、芝刈り機駆動用モータ104の回転軸に固定の摩擦ディスクの両側に押圧部を配置して、電気式または油圧式または機械式に押圧部により摩擦ディスクを狭持可能な構成とする。このようなブレーキ機構により、芝刈り機駆動用モータ104の回転軸の回転を停止させることが可能となる。例えば、電気式に押圧部により摩擦ディスクを狭持する場合、作業者の操作部の操作による信号に対応してコイルの内側に配置した可動鉄心を軸方向に変位させることにより、可動鉄心に固定の押圧部と、別の押圧部との間で摩擦ディスクを狭持するように構成できる。なお、このようなブレーキ機構は、上記の図1、図2に示した第1の実施の形態、または図4に示した第3の実施の形態の芝刈り車両10を構成する芝刈り機駆動用モータ46に設けることもできる。また、上記の図7から図10に示した第6の実施の形態から第8の実施の形態において、芝刈り機駆動用モータ104は、電動モータと油圧モータとのいずれとしてもよい。
【0092】
また、上記の図7から図10に示した第6の実施の形態から第8の実施の形態において、上記の図3から図4に示した第2の実施の形態から第3の実施の形態と組み合わせることもできる。
【0093】
[第9の発明の実施の形態]
図11は、本発明の第9の実施の形態において、片側の前輪12(または後輪16、本実施の形態において以下同様)の駆動部分を示す断面図である。本実施の形態の場合、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態において、前輪駆動用電動モータ42(または後輪駆動用電動モータ44、本実施の形態において以下同様)の回転軸120の回転力を2段式の遊星歯車機構122a、122bを介して前輪12に伝達可能としている。すなわち、第1段の遊星歯車機構122aは、回転軸120の一端部(図11の右端部)に設けたサンギヤと、サンギヤと噛合するピニオンギヤ124と、ピニオンギヤ124と噛合するリングギヤ126とを備える。また、ピニオンギヤ124を支持するピニオン軸をキャリア128に支持するとともに、回転軸120と同軸で、かつ、互いの相対回転を可能に支持した第2回転軸130の外周面に設けた第2サンギヤに、キャリア128を係合させている。
【0094】
また、第2段の遊星歯車機構122bを構成する第2ピニオンギヤ132を、第2サンギヤと第2リングギヤ134とに噛合させ、第2ピニオンギヤ132に支持した第2ピニオン軸136により、前輪12が回転するようにしている。また、図11のように、前輪12および前輪12の駆動部分を、回転中心軸を含む仮想平面で切断した断面で見た場合に、前輪12の外端P,Qを含む仮想円の内側に回転軸120を含む前輪駆動用電動モータ42が収まるようにしている。
【0095】
また、第1段の遊星歯車機構122aを構成するリングギヤ126と、第2段の遊星歯車機構122bを構成する第2リングギヤ134とを、前輪12の内側に支持したハウジング138に固定している。このために、ハウジング138の一部に形成した孔に複数個のピンを挿通し、ピンの内径側端部をリングギヤ126および第2リングギヤ134の外周面に設けた凹部に係止している。また、ピンの外径側端部に一対の軸受の内輪を対向させて、ハウジング138に対するピンの抜け止めを図っている。これにより、ハウジング138に対し回転不能にリングギヤ126と第2リングギヤ134とが支持される。
【0096】
また、第1段の遊星歯車機構122aと第2段の遊星歯車機構122bとの、減速比を互いに同じとする一方、第2段の遊星歯車機構122bの第2ピニオンギヤ132の歯幅W1を、第1段の遊星歯車機構122aのピニオンギヤ124の歯幅W2よりも大きくしている(W1>W2)。
【0097】
また、回転軸120の他端側(図11の左側)にブレーキ装置140を設けている。ブレーキ装置140は、ブレーキレバー142を備え、ブレーキレバー142に接続した図示しないケーブルを押し引きすることにより、ブレーキレバー142が揺動するようにしている。この揺動により、カム機構等を介して変異部材144が円周方向に拡張し、回転軸120に固定の環状部材を押圧して前輪12が制動されるようにしている。このような本実施の形態によれば、回転軸120の回転が2段の遊星歯車機構122a、122bにより2段階に減速される。なお、図11では図示しない他側の前輪12(または後輪16)部分の構成についても、上記の構成と左右が逆になる以外同様である。その他の構成および作用は、上記の図1から図2に示した第1の実施の形態と同様であるため、重複する図示および説明を省略する。
【0098】
なお、電動モータ42,44の回転力を前輪12または後輪16に伝達する部分の構成において、本実施の形態のように2段式の減速部を備える構成とする以外に、1段式の減速部または3段以上の減速部を介して、電動モータ42,44の回転力を前輪12または後輪16に伝達可能な構成とすることもでき、また、電動モータ42,44の回転力を減速部を介さず前輪12または後輪16に伝達可能な構成とすることもできる。
【0099】
なお、上記の各実施の形態において、運転席35の後側に設けていた集草タンク62は省略することもできる。この場合には、リアフレーム18に固定していた二次電池40を大型化し、二次電池40の容量を、集草タンク62を設ける場合よりも大きくできる。また、集草タンク62の省略に伴って、排出ダクト60も省略できる。芝刈り機34で刈り取られた草は、芝刈り車両の幅方向に向いた、芝刈り機34の側方に排出可能とする。また、部品の共通化によるコスト低減を図るため、芝刈り車両10のメーカーにおいて、集草タンク62なしの芝刈り車両と集草タンク62付の芝刈り車両10との両方を製造可能とするとともに、集草タンク62なしの芝刈り車両と集草タンク62付の芝刈り車両10とで、フロントフレーム14およびリアフレーム18を共通化することもできる。
【0100】
また、上記の各実施の形態において、エンジン36を設けず、二次電池40から前輪駆動用電動モータ42,42aおよび後輪駆動用電動モータ44,44aの一方または両方に電力を供給することにより、前輪12および後輪16の一方または両方を駆動可能とする、いわゆるオール電動型とすることもできる。二次電池40は外部からの電力供給により蓄電する。例えば、二次電池40は、プラグインの方法で、外部電源から充電電力供給を受けられるようにする。また、部品共通化によるコスト低減を図るため、芝刈り車両10のメーカーにおいて、エンジン36と発電機38と電動モータ42,42a、44,44aとを備えるハイブリッド型の芝刈り車両10と、エンジン36と発電機38とを省略したオール電動型の芝刈り車両との両方を製造可能とするとともに、ハイブリッド型の芝刈り車両10とオール電動型の芝刈り車両とで、フロントフレーム14およびリアフレーム18を共通化することもできる。
【0101】
また、上記の各実施の形態において、前輪12または後輪16をエンジン36により駆動し、後輪16または前輪12を電動モータにより駆動するようにすることもできる。
【0102】
また、上記の各実施の形態において、前輪駆動用電動モータ42および後輪駆動用電動モータ44等の電動式のモータは、永久磁石式の同期型モータ、リラクタンストルクを利用するシンクロナスリラクタンスモータ、円盤状等のステータの両側に一対のロータを所定の空隙をもって軸方向に対向させる等のアキシャルギャップ型モータ、バーチカルソリッド軸型(Vertical Solid Shaft)のモータ等、種々の構造のものを使用できる。バーチカルソリッド軸型モータは、固定軸に固定した、巻き線を巻回した固定子と、固定子の周囲に配置した円形または円筒状の永久磁石製の回転子とを備える。固定子は、複数の固定子グループを備え、それぞれの固定子グループは、径方向に突出する突出電磁極を有する。モータを永久磁石式の同期型モータ、またはシンクロナスリラクタンスモータとすることにより、モータのトルク容量を大きくしたり、小型化を図れる。
【0103】
また、上記の各実施の形態において、前輪駆動用電動モータ42および後輪駆動用電動モータ44等の電動式のモータは、インバータ、コントローラの一方または両方とともにケース内に設けてモータユニットとした状態で、芝刈り車両10に搭載することもできる。
【0104】
また、上記の各実施の形態において、前輪駆動用電動モータ42および後輪駆動用電動モータ44等の電動式のモータ、ステアリングホイール22等の操作部の操作量を検出するセンサ等、車両の各部の部品を統合制御するための車載ネットワークの方式として、CANbus、FlexRay等の規格を採用することもできる。車載ネットワークは、1本の配線に複数の部品を制御するための信号を多重通信により伝送可能とするもので、CANbusは、必要に応じてネットワークに接続されたデバイスが伝送を行う。これに対して、FlexRayは、予め定められたタイミングでデバイス毎に送信権が与えられるタイムトリガ型と呼ばれる多重通信方式を採用するものであり、CANbus規格を採用する場合よりも、各部品をより即時的に(よりリアルタイムで)作動させることができるとともに、信号が高速で伝送可能となる点で有利になる。特に、X−by−Wireと呼ばれる、車両のステアリングホイール、ブレーキ、アクセルペダル等の操作量に応じて、対応する電動モータ等、電気部品を電気的に制御可能とする場合に、信号伝達にFlexRay規格を採用することは、その採用により得られる効果がより顕著になる面から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の芝刈り車両の構成を示す略図である。
【図2】図1の略A−A断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態の芝刈り車両を示す、図2の右端部に対応する図である。
【図4】同じく第3の実施の形態を示す、図2に対応する図である。
【図5】同じく第4の実施の形態の芝刈り車両の構成を示す略図である。
【図6】同じく第5の実施の形態の芝刈り車両を示す、図5の左端部に対応する図である。
【図7】同じく第6の実施の形態において、芝刈り機および芝刈り機駆動用モータを示す断面図である。
【図8】図7の上方から下方に見た図である。
【図9】本発明に係る第7の実施の形態において、芝刈り機および芝刈り機駆動用モータを示す断面図である。
【図10】同じく第8の実施の形態において、芝刈り機および芝刈り機駆動用モータを示す断面図である。
【図11】同じく第9の実施の形態において、片側の前輪または後輪の駆動部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
10 芝刈り車両、12 前輪、14 フロントフレーム、16 後輪、18 リアフレーム、20 連結部、22 ステアリングホイール、24 操舵装置、26 フロント側接続部材、28 リア側接続部材、30 センタピン、32 旋回用シリンダ、34 芝刈り機(モア)、35 運転席、36 エンジン、38 発電機、40 二次電池、42,42a 前輪駆動用電動モータ、44,44a 後輪駆動用電動モータ、46 芝刈り機駆動用モータ、48 デッキ、50 動力伝達機構、52 駆動プーリ、54 従動プーリ、56 ベルト、58 芝刈り機駆動装置、60,60a 排出ダクト、62 集草タンク、64 ラジエータ、65 オイルクーラ、66 モータ制御ユニット、68,68a モータユニット、70 減速歯車装置、72 デファレンシャルギヤ装置、74 ギヤケース、76 ケース、78 車軸、80 軸受、82 嵌脱可能クラッチ、84 制動部、86 駆動軸、88 デフロック機構、89 車軸、90 ギヤケース、92 第1中間プーリ、94 動力伝達軸、96 第2中間プーリ、98 ベルト、99,99a 中間要素、102a,102b,102c 動力伝達軸、104 芝刈り機駆動用モータ、106 モータ支持部材、108 芝刈りブレード、110 テンションプーリ、112 歯車カバー、114 従動かさば歯車、116 駆動かさば歯車、118 モータ支持部、120 回転軸、122a,122b 遊星歯車機構、124 ピニオンギヤ、126 リングギヤ、128 キャリア、130 第2回転軸、132 第2ピニオンギヤ、134 第2リングギヤ、136 第2ピニオン軸、138 ハウジング、140 ブレーキ装置、142 ブレーキレバー、144 変異部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、
少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、
フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、
操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、
芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、
芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトと、
芝刈り機に芝刈り機駆動用モータの動力を伝達可能とする動力伝達機構と、を備え、
動力伝達機構は、自在継手を介して連結した複数の動力伝達軸または少なくとも2個のプーリに掛け渡したベルトを備え、
2個の前輪のそれぞれの駆動用の2個の前輪駆動用モータ同士の間に、集草用ダクトと、動力伝達機構とのうち、一方または両方を位置させていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項2】
少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、
少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、
フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、
操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、
芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、
リアフレームに、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池と、キャパシタと、インバータとのうち、少なくともいずれか1を固定していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項3】
請求項2に記載の乗用型芝刈り車両において、
2個の後輪同士の間に、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池とのうち、少なくともいずれか1を位置させていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の乗用型芝刈り車両において、
フロントフレームにおいて、運転席下側に二次電池を固定していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項5】
少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、
少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、
フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、
操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、
芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、
芝刈り機を駆動する芝刈り機駆動用モータは、フロントフレームに固定していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項6】
少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、
少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、
フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、
操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、
芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、
走行用電動モータと、
内燃機関と、
内燃機関により駆動される発電機と、を備え、
発電機により発電された電力を直接または蓄電部を介して走行用電動モータに供給可能としており、
かつ、内燃機関の動力を動力伝達機構により、芝刈り機に伝達可能としており、
動力伝達機構は、動力伝達用回転軸にプーリまたは歯車を固定している中間要素を備え、中間要素は、2個の動力伝達要素の間での動力伝達を可能としており、
フロントフレームおよびリアフレームの連結部の揺動中心と、動力伝達用回転軸とを同軸上に位置させていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項7】
少なくとも2個の前輪を支持するフロントフレームと、
少なくとも2個の後輪を支持するリアフレームと、
フロントフレームとリアフレームとを胴体屈折可能に連結する連結部と、
操作部の操作に連動して、フロントフレームとリアフレームとの胴体屈折角度を変える操舵装置と、
芝刈り機と、を備える乗用型芝刈り車両であって、
前輪と後輪とのうち、一方または両方は、走行用電動モータにより駆動することを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項8】
請求項7に記載の乗用型芝刈り車両において、
2個の前輪と2個の後輪との少なくとも一方は、左右両側で2個の独立した走行用電動モータにより駆動することを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項9】
請求項7に記載の乗用型芝刈り車両において、
2個の前輪と2個の後輪との少なくとも一方は、2個の前輪同士または2個の後輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動することを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項10】
請求項7に記載の乗用型芝刈り車両において、
2個の前輪または2個の後輪は、2個の独立した走行用電動モータにより駆動し、2個の後輪または2個の前輪は、2個の後輪同士または2個の前輪同士で共通の両側共通走行用電動モータにより駆動することを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の乗用型芝刈り車両において、
走行用電動モータと、1段以上の減速部を有する減速歯車装置と、デファレンシャルギヤ装置とにより、単一のモータユニットを構成しており、
両側共通走行用電動モータの動力は、減速歯車装置およびデファレンシャルギヤ装置を介して2個の後輪または2個の前輪に伝達可能としていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項12】
請求項11に記載の乗用型芝刈り車両において、
デファレンシャルギヤ装置に、2個の後輪同士または2個の前輪同士を一体的に同じ回転速度で回転可能とするデフロック機構を設けていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の乗用型芝刈り車両において、
デファレンシャルギヤ装置に、2個の後輪同士または2個の前輪同士の回転速度差またはデファレンシャルギヤ装置への入力トルクに応じた差動制限力を発生させる差動制限機構を設けていることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項14】
請求項10から請求項13のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
後輪または前輪に固定した車軸を、リアフレームまたはフロントフレームに設けた軸受により回転可能に支持していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項15】
請求項10から請求項14のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
両側共通走行用電動モータは、車両の幅方向中央位置からずらせるようにオフセット配置していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
運転席の後側に集草タンクを設けており、
集草タンクは、集草用ダクトにより芝刈り機と接続していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項17】
請求項16に記載の乗用型芝刈り車両において、
集草タンクの下側に、内燃機関と、発電機と、二次電池と、燃料電池と、キャパシタと、インバータとの少なくとも1を配置していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、
車両を幅方向片側から他側に見た場合において、芝刈り機駆動用モータと、二次電池と、キャパシタとのうちの少なくとも1と、集草用ダクトとが重畳していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、
集草用ダクトは、少なくとも一部を蛇腹状に構成し、芝刈り機から、2個の前輪同士の間と、運転席の後側と、フロントフレームおよびリアフレームの連結部の上側とを通るように伸びて集草タンクに接続していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトを備え、
集草用ダクトは、少なくとも一部を蛇腹状に構成し、芝刈り機から2個の前輪の外側を通るように伸びて集草タンクに接続していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
芝刈り機を駆動する芝刈り機駆動装置と、
芝刈り機と集草タンクとの間に接続した集草用ダクトと、を備え、
芝刈り機駆動装置と集草用ダクトとのうち、少なくとも一方は、車両の幅方向中央からずれるようにオフセット配置していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1に記載の乗用型芝刈り車両において、
運転席の下側に、インバータと、DC/DCコンバータと、制御回路部との少なくとも1を配置していることを特徴とする乗用型芝刈り車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−263920(P2008−263920A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114745(P2007−114745)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】