説明

二次元運動機構及び旋回台装置

【課題】複数旋回運動の軌跡の合成によって、相対的に運動する台の運動軌跡を好適に可変できる二次元運動機構及び旋回台装置を提供すること。
【解決手段】第1の台210と、その第1の台210と対面して配される第2の台220と、第1の台210と第2の台220とを連携してその第1の台210と第2の台220のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をするように設けられた複数の連携手段と、第1の台210と第2の台220とが分離することを防止して分離防止手段とを備える旋回運動機構200が、実質的に複数段に積層され、各旋回運動機構200のそれぞれに旋回条件を可変可能な駆動装置230とその駆動装置230を制御する制御装置240を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元運動機構及び旋回台装置に関する。より詳細には、第1の台と、その第1の台と対面して配される第2の台とを備え、第1の台と第2の台のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をする旋回運動機構によって構成される二次元運動機構及び旋回台装置、さらにそれを利用した運動器具及び椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旋回台92を、向きが変わることのない(自転しない)旋回運動させる旋回台装置91としては、図36示す原理のものが知られている。これは、複数(4個)のクランク部材93を構成要素とする。
各クランク部材93は、旋回台92に回転可能に軸着された上部軸93aと、固定台91に軸着された下部軸93bと、上部軸93aと下部軸93bとの軸線が所定の間隔をおいて平行に位置する状態となるように両者の間に設けられたクランクアーム部93cとから構成されている。また、各クランク部材93には、各上部軸93aにスプロケット94が固定されている。
【0003】
96は駆動モータであり、旋回台92に設置されている。この駆動モータ96の出力軸にもスプロケット94が固定されている。そして、以上の5つのスプロケット94には、チェーン95が掛け回されている。
これにより、駆動モータ96を駆動させると、各上部軸93aが同期して回転され、固定台91に対して旋回台92が相対的に旋回運動をする。つまり、旋回台92は向きを一定方向に向けたまま(自転することなく)、円運動をする。すなわち、旋回台92上の任意の点は、どの点においても固定台91に対して上部軸93aと下部軸93bとの偏位距離(離間距離)を半径とする旋回円運動をする。
【0004】
このような旋回台装置90は、様々な用途に使用される。
例えば、旋回台92上に、回転駆動する複数のかき出し部材を備えたきのこ培基のかき出し装置がある(特許文献1参照)。これによれば、瓶口が下方を向くように倒立状態に保持された複数のきのこ栽培瓶内のそれぞれへ、かき出し部材が挿入される。そのかき出し部材は回転してきのこ培基をかき出す。そして、クランク部材93によって旋回台92が旋回運動することで、かき出し部材が水平方向へ一定の距離を移動することができる。これによって、きのこ培基を全体的に好適にかき出すことができる。
【特許文献1】特開2000−316378号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の旋回台装置90においては、旋回台は単純に旋回円運動をするだけで、旋回軌跡を可変することができなかった。また、所定の平面内で、固定台に対する旋回台の位置決めができる二次元運動機構として利用することができなかった。
そこで、本発明の目的は、自転しない旋回運動を発生させる旋回台装置を構成要素とし、旋回台の旋回軌跡を可変でき、所定の平面内で旋回台の位置決めが可能な二次元運動機構及び旋回動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる旋回台装置の一形態によれば、第1の台と、該第1の台と対面して配される第2の台と、前記第1の台と前記第2の台とを連携して該第1の台と第2の台のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をするように設けられた複数の連携手段と、前記第1の台と前記第2の台とが分離することを防止して前記の連携状態を保持できるように設けられた分離防止手段とを備える旋回運動機構が、実質的に複数段に積層され、該複数段の旋回運動機構によって所望の二次元運動が合成されるべく、各旋回運動機構のそれぞれに旋回条件を可変可能な駆動装置と該駆動装置を制御する制御装置を具備する。
【0007】
また、本発明にかかる二次元運動機構の一形態によれば、前記旋回運動機構が上下2段に積層され、下段側の下側に位置する前記第1の台又は前記第2の台のどちらか一方の台が固定台として設けられ、上段側の上側に位置する前記第1の台又は前記第2の台のどちらか一方の台が旋回台として設けられ、固定台と旋回台の中間に下段側の他方の台と上段側の他方の台の機能を備えて一体的に設けられた中間台を具備することを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる二次元運動機構の一形態によれば、前記連携手段は、前記第1の台の前記第2の台に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられた第1のループ溝と、前記第2の台の前記第1の台に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられ前記第1のループ溝に対応して配された第2のループ溝と、前記第1のループ溝と前記第2のループ溝とが運動軌跡の接点で重なるように該第1のループ溝と第2のループ溝とに転動可能に嵌められた球体とを具備することを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる二次元運動機構の一形態によれば、前記分離防止手段は、前記第1の台に架け渡される状態に設けられた第1の架橋部と、前記第2の台に前記第1の架橋部と交差する向きに架け渡される状態に設けられ前記第2の台が対向する前記第1の架橋部の面と反対側の面へ対向する分離防止部を備える第2の架橋部とを具備することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる二次元運動機構の一形態によれば、前記分離防止手段は、前記第1の台に設けられた第1の開口又は凹部と、該第1の開口又は凹部に架け渡される状態に設けられた第1の架橋部と、前記第2の台に設けられた第2の開口又は凹部と、該第2の開口又は凹部に前記第1の架橋部と交差する向きに架け渡される状態に設けられ前記第2の台が対向する前記第1の架橋部の面と反対側の面へ対向する分離防止部を備える第2の架橋部とを具備することを特徴とすることもできる。
【0010】
また、本発明にかかる旋回台装置によれば、上記いずれか記載の二次元運動機構の旋回する台が、物が載置される台であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる運動器具によれば、上記いずれか記載の二次元運動機構の旋回する台が、人が乗る台であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる椅子によれば、上記運動器具の前記人が乗る台に椅子の座が設けられたことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の二次元運動機構及び旋回台装置によれば、第1の台と第2の台のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をする旋回運動機構が、実質的に複数段に積層され、各旋回運動機構のそれぞれに旋回条件を可変可能な駆動装置と該駆動装置を制御する制御装置を具備する。
このため、相対的に運動する台の運動軌跡は、複数段の旋回運動機構による運動の合成となり、その運動軌跡は好適に可変できる。また、所定の平面内において、運動する台の位置決めをすることが可能となる。
そして、この二次元運動機構及び旋回台装置を利用して、好適な運動器具及び椅子を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の二次元運動機構及び旋回台装置に係る最良の形態の一例を添付図面と共に詳細に説明する。
図1は、本発明の二次元運動機構を適用した旋回台装置の平面図である。また、図2は図1の正面図である。この旋回台装置は椅子の運動機構として利用されるものである。
200は旋回運動機構であり、第1の台210と、その第1の台210と対面して配される第2の台220と、第1の台210と第2の台220とを連携してその第1の台210と第2の台220のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をするように設けられた複数の連携手段と、第1の台210と第2の台220とが分離することを防止して前記の連携状態を保持できるように設けられた分離防止手段とを備える。
なお、連携手段と分離防止手段の構成の詳細については、図6以下の図面に基づいて実施例の説明の欄で詳細に説明する。
sは、ある。この旋回運動機構200が、図1及び2に示すように、実質的に複数段(本形態では2段)に積層され、その複数段の旋回運動機構200によって合成される平面の運動範囲内で、両端に位置する台(上段の第2の台220と下段の第1の台210)の相互間について相対的に二次元の位置決め及び運動を可能とすべく、各旋回運動機構220のそれぞれに旋回条件を可変可能な駆動装置230とその駆動装置230を制御する制御装置240を具備する。この駆動装置230と制御装置240によって、駆動手段が構成されている。
【0013】
本形態にかかる旋回台装置によれば、旋回運動機構200が上下2段に積層され、下段側の下側に位置する第1の台210が固定台として設けられ、上段側の上側に位置する第2の台220が旋回台として設けられている。また、その固定台(第1の台210)と旋回台(第2の台220)の中間に下段側の旋回台(第2の台220)と上段側の固定台(第1の台210)とが張り合わされた状態に固定されて一体的に設けられた中間台215を具備する。つまり、中間台215は、下段側の旋回台(第2の台220)と上段側の固定台(第1の台210)の両方の機能を備えて一体的に設けられている。
駆動装置230の動力部としては、減速機付サーボモータ、ステッピングモータ、ブレーキ付モータなどの回転条件を適宜に制御可能な駆動モータ231を採用することができる。駆動装置230の駆動機構としては、クランク機構や、内歯ギヤとピニオンギヤから成る機構などを採用できる。なお、本形態では図2に示すように、駆動モータ231の回転軸232に、ピン部236が設けられた円板235が固定されて、実質的にクランク機構を構成している。
また、制御装置240としては、上記駆動モータ231に付属するコントローラなどのコンピュータ制御装置を利用できる。本形態では、制御装置240の一例である2軸コントローラによって、2つの駆動装置230を関連づけて制御している。
【0014】
以上の構成からなる旋回台装置によれば、各旋回運動機構200の旋回条件を可変すべく、各駆動装置230を制御装置240で制御することができる。これにより、旋回台(上段の第2の台220)を、固定台(下段の第1の台210)に対して所望の軌跡を描いて運動させることができる。つまり、一段目と2段目の旋回運動機構200の運動軌跡の交点が、運動が合成されて決定される位置の点となる。
旋回条件としては、半径比、角速度比(回転方向、回転速度)、位相差がある。また、可変可能な旋回条件としては、駆動装置230の回転条件(角速度比、位相差)がある。
以下に、旋回条件を種々に設定した場合の運動軌跡の例(1)〜(9)について説明する。この運動軌跡の例では、各旋回運動機構200の描く軌跡が円形の場合であって、その径が同一の場合と、異なる場合について示してある。なお、半径比とは、上下の段の旋回運動機構にかかる旋回半径の比(下段:上段)をいう。角速度比とは、回転方向と角速度の比(下段:上段)であり、マイナスが逆回転を意味する。また、位相差とは、回転開始時の下段に対する上段の旋回運動機構のずれ角度である。
【0015】
(1).最大径の円運動の軌跡は、半径比=1:1、角速度比=1:1、位相差=0度、の場合に描かれる。
(2).最大径の半分の円運動の軌跡は、半径比=1:1、角速度比=1:1、位相差=120度、の場合に描かれる。
(3).楕円運動(例えば、左右方向が長径で長径と短径の比が2:1の場合)の軌跡は、半径比=3:1、角速度比=1:−1、位相差=0度、の場合に描かれる。なお、位相差180度の場合は前後方向が長径となる。
(4).向きの角度が回転変化する楕円運動(例えば、長径と短径の比が2:1の場合) の軌跡は、半径比=3:1、角速度比=1:−1.2(例)、位相差=任意、の場合に描かれる。なお、角速度比を大きくすると速く変化する。
(5).直線往復運動(例えば、左右方向)の軌跡は、半径比=1:1、角速度比=1:−1、位相差=0度、の場合に描かれる。なお、位相差180度の場合は前後方向の直線往復運動となる。
(6).旋回半径をゼロから最大の間で拡大縮小変化させる渦巻き状の旋回運動の軌跡は、半径比=1:1、角速度比=1:1.2(例)、位相差=任意、の場合に描かれる。なお、角速度比を大きくすると速く変化する。
(7).図3に示すような三つ葉状の運動の軌跡は、半径比=1:1、角速度比=1:−2、位相差=任意、の場合に描かれる。
(8).図4に示すような三角形状の運動の軌跡は、半径比=3:1、角速度比=1:−2、位相差=任意、の場合に描かれる。
(9).図5に示すような星印状の運動の軌跡は、半径比=2:1、角速度比=1:−1.5、位相差=任意、の場合に描かれる。
【0016】
ステッピングモータなどを採用して各旋回運動機構200を制御すれば、合成される旋回運動の最大径を限度として所定の平面内の範囲で、所望の位置に位置決めをすることも可能である。このような機能を利用すれば、二次元運動機構として種々の用途に使用することができる。
なお、連携手段は、以下に詳細に説明する薄型化したクランク機構、又はループ溝と球体によって構成される球体連携機構によって構成できる他に、通常のクランク機構によっても構成できる。
また、分離防止手段は、以下に詳細に説明する薄型化などしたクランク機構、又は種々の形態の分離防止部によって構成することができる他に、連携手段を兼ねた通常のクランク機構によっても構成できる。
また、本形態では旋回運動機構を2段に重ねた場合を説明したが、さらに3段以上に重ねても同様に好適な二次元運動を得ることができる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明の二次元運動機構及び旋回台装置に適用できる旋回運動機構(一段の旋回台装置、駆動装置を構成要素としない旋回台装置など)の実施例を説明する。
図6は旋回台装置10を示す断面図である。また、図7はその旋回台装置10を説明する平面図であり、図8はその旋回台装置10の旋回運動の原理を模式的に説明する平面図である。
20は固定台であり、第1の台又は第2の台に相当する。30は旋回台であり、固定台20と対面して配され、第2の台又は第1の台に相当する。この旋回台30に人の乗る部位を設ければ、運動器具として利用できる。40は連携手段であり、固定台20と旋回台30とを連携して固定台20に対して旋回台30が自転しない旋回運動をするように、複数が設けられている。また、50は分離防止手段であり、固定台20と旋回台30とが分離することを防止して前記連携状態を保持できるように設けられている。
【0018】
41は第1のループ溝であり、固定台20の旋回台30に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられている。42は第2のループ溝であり、旋回台30の固定台20に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられ第1のループ溝41に対応して同一の配列状態で配されている。つまり、固定台20と旋回台30の部材面上における複数のループ溝41、42の配列は、相互に鏡で映した状態の対称性を備えている。また、45は球体であり、第1のループ溝41と第2のループ溝42とが運動軌跡の接点で重なるように、第1のループ溝41と第2のループ溝42とに転動可能に嵌められている。
すなわち、旋回台30の旋回運動をする平面に対して直交する方向から見た場合、固定台20と旋回台30の位置関係は、第1のループ溝41と第2のループ溝42とがその中心を球体45の運動する直径分ずらし、球体45を介して重なりあった状態となっている。
以上の第1のループ溝41、第2のループ溝42及び球体45を構成要素として連携手段40が構成されている。
なお、本実施例では、第1のループ溝41及び第2のループ溝42は、強度を得るために金属材で型形成され、樹脂材で形成された本体部へ圧入して固定されている。
【0019】
このように連携手段40が構成されているため、球体45が第1のループ溝41と第2のループ溝42内で両溝41、42に沿って、転動しながら旋回円運動をする。その状態を図8と共に説明する。なお、本形態では、第1のループ溝41と第2のループ溝42とは同形状に形成されている。
21は第1のループ溝の中心であり、点で示してある。22は固定台における球体中心の軌跡であり、一点鎖線で示してある。また、31は第2のループ溝の中心であり、点で示してある。32は旋回台における球体中心の軌跡であり、二点鎖線で示してある。また、43は接点であり、固定台における球体中心の軌跡22と旋回台における球体中心の軌跡32とが接する点である。そして、矢印は、旋回台(第2のループ溝の中心31)の運動軌跡を示している。Rは旋回台30の旋回半径である。また、球体45が180°旋回したときの状態を点線で示してある。
【0020】
この図から明らかなように、静止している固定台20に対して、旋回台30は旋回半径Rで旋回することになる。このとき、球体45は、上記旋回半径Rの半分の半径で旋回円運動をすることになる。また、この第1のループ溝41又は第2のループ溝42に沿って運動する球体中心の軌跡の直径と比較すると、旋回台30の旋回直径は倍になる。従って、本構成による連携手段40によれば、旋回運動を好適に拡大できる効果がある。
また、本実施例では、第1のループ溝41の直径と、第2のループ溝42の直径とが同じため、球体45は好適に転動する。摩擦抵抗が非常に小さくなり、旋回台30は非常に滑らかな旋回運動をすることができる。
【0021】
この連携手段40は、複数であれば良く、3個以上であると安定した旋回運動を得ることができる。なお、本実施例では、後述する分離防止手段に組み込まれたものを含め、5個が設けられている。また、連携手段40の数が多くなればなるほど、重量物をバランス良く好適に支持できる。
さらに、本実施例では、第1のループ溝41と第2のループ溝42とが、同形で円形のリング状に形成されているが、これに限定されるものではない。第1のループ溝41と第2のループ溝42とが、楕円形の閉ループ状に形成されていても同様の効果を得ることができる。この場合でも、直線的な揺動運動(往復運動)の場合に生じる衝撃的な方向転換がなされない。すなわち、閉ループ状の場合であれば、スムーズな一種の揺動運動を得ることができる。
【0022】
次に、図6及び図7に基づいて、分離防止手段50について説明する。
この分離防止手段50は、固定台20又は旋回台30の少なくともいずれか一方の台に、その一方の台が対向する他方の台の面と反対側の面へ対向する分離防止部を備える形態となっている。
25は第1の凹部であり、固定台20に設けられる第1の開口又は凹部の一例である。51は第1の架橋部であり、第1の凹部25に架け渡される状態に設けられている。35は第2の凹部であり、旋回台30に設けられる第2の開口又は凹部の一例である。また、52は第2の架橋部であり、第2の凹部35に第1の架橋部51と交差する向きに架け渡される状態に設けられている。また、この第2の架橋部52は、旋回台30が対向する第1の架橋部51の面と反対側の面へ対向する分離防止部54を備える。反対に同様の部位(分離防止部53)が第1の架橋部51に存在している。
なお、55はビスであり、第1の架橋部51を固定台20へ、及び第2の架橋部52を旋回台30へそれぞれ固定する。77は透孔であり、ビス55をねじ込む際に利用される。
【0023】
本実施例では、分離防止手段50(分離防止部53、54)が、旋回台装置10の略中央部に設けられている。このため、バランスが良く、旋回台30が滑らかに運動できる。これは、分離防止手段50が中央にあることで、種々の力が全方向に好適に分散し易いためである。また、中央部にあることで、分離防止手段50を好適に内蔵して薄型化できる。
また、本実施例では、分離防止手段50にも、前述した連携手段40が組み込まれている。その連携手段40については、前述した符号と同一の符号を付して説明を省略する。これによっても、旋回台30が滑らかに運動できる。なお、本実施例では、分離防止手段50に設けられた連携手段40も含めて全ての連携手段40が、同一平面内に配された形態となっている。このため、好適に荷重を受けることができると共に、旋回台装置10を好適に薄型化できる。また、薄型化のため安定性が高く、攪拌器、研磨装置等の用途にも好適である。
なお、分離防止手段50は、一つに限定されるものではなく、複数を適宜配設してもよいのは勿論である。
さらに、第1の架橋部51及び第2の架橋部52を棒状に形成して、棒と棒の点接触で分離を防止する構成とすることも可能である。両架橋部51、52の形状は、板状と板状、棒状と板状など適宜選択可能であり、特に限定されるものではない。
【実施例2】
【0024】
また、図9に示すように、固定台20又は旋回台30のどちらか一方のみに開口又は凹部を設け、二つの架橋部が、その開口又は凹部内で交差して分離を防止するように形成されても良い。図9は、分離防止手段の実施の一形態を示す断面図であり、前記実施の形態の構成と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。25aは開口であり、固定台20に設けられている。この開口25aに架け渡された状態で、第1の架橋部51が両端で固定台20に固定されている。なお、第1の架橋部51は、固定台20を構成する材料の一部として、固定台20と一体的に形作られても良い。また、第2の架橋部52は、その両端で旋回台30の下面の平坦部に固定されている。
さらに、球体45の径が大きい場合などで固定台20と旋回台30の間が十分にある場合には、上記のような開口や凹部を設けることなく、第1の架橋部を固定台20の平坦面などに固定して形成してもよい。
【実施例3】
【0025】
次に、図10に基づいて分離防止手段にかかる他の実施の形態について説明する。
図10は、分離防止手段150が、装置の中央部に配設された旋回台装置110を示す断面図である。以上に説明した実施の形態の構成と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
151は回転軸である。152は円板部であって、回転軸151の下端に径の大きい円板状に設けられている。この回転軸151及び円板部152は、旋回台30に設けられた構成要素である。このうち円板部152は、旋回台30に対向する固定台20の面と反対側の面20aへ対向する分離防止部となっている。
また、回転軸151は、旋回台30にベアリング154を介して回転(自転)自在に装着されている。155はストッパ部であり、回転軸151の上端部で径の大きいフランジ状に形成されている。これにより、回転軸151及び円板部152が脱落することを防止できる。
【0026】
160は開口であり、回転軸151が挿通されている。この開口160は、旋回台30の運動に伴う回転軸151の旋回運動が阻害されない程度の大きさに形成されている。この開口160により、円板部152が分離防止部として位置できる。
161は凹部であり、固定台20の旋回台30に対向する面とは反対の面に設けられている。この凹部161は、円板部152を収納することができ、装置を薄型且つコンパクトに構成できる。
【0027】
これによれば、円板部152によって、固定台20と旋回台30とが分離することを防止できる。回転軸151が回転できるため、旋回台30の旋回運動に対して抵抗とならない。また、旋回台30上に荷重が加わった際には、中央部が撓む。このため、凹部161の内底面と円板部152の上面との接触部が離れるように作用し、旋回台30の旋回運動に対してより抵抗とならない。
また、以上の分離防止手段150によれば、比較的構成が簡単で好適な機能を有する。また、本実施例では、分離防止手段150を装置の中央部に設けたが、これに限定されるものではない。また、複数を適宜設けることも可能である。
【実施例4】
【0028】
次に、分離防止手段と、駆動手段とを一体化した実施例について説明する。
図11は、図10の実施例と上下を逆にする(固定台20と旋回台30が反対になる)と共に、下側に駆動モータ65を装着した状態の断面図である。以上に説明した実施例の構成と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
151は回転軸であり、駆動モータ65の回転軸となっている。円板部152の下面と凹部161の内底面とが接触している。このため、駆動モータ65の駆動により回転軸151を介して円板部152が回転駆動されると、その駆動力が旋回台30に伝達される。
【0029】
旋回台30は連携手段40により一定の自転しない旋回運動のみができるように規制されている。このため、その駆動力の伝達により、旋回台30が自転しない旋回運動をする。
円板部152の下面と凹部161の内底面の連結度により、動力の伝達に差異が生じる。
両面にかかる圧接力が大きいほど、各面の滑り抵抗が大きいほど、摩擦抵抗が大きくなり、動力が伝達されやすい。両面にかかる圧接力を大きくするには、回転軸151の自重を含む重り、弾性部材、コイルスプリング、板バネ等の付勢手段を用いることができる。また、磁石(磁力)を利用することもできる。
【0030】
この構成によれば、駆動モータ65に過負荷が加えられた際には、円板部152の下面と凹部161の内底面がスリップし、その連結が分離される。従って、過負荷時の逃げとなり、装置の安全性を向上できる。
また、本実施例によれば、分離防止手段と駆動手段とを一体化できるため、装置の構成を簡略化及びコンパクト化できる効果がある。
【0031】
分離防止手段としては、以上に説明した構成の他に、固定台20に設けられた第1の磁力手段と、その第1の磁力手段に対応して旋回台30に設けられた第2の磁力手段とを具備するものを好適に用いることも可能である。
【実施例5】
【0032】
以上の実施例では、連携手段40において、第1のループ溝41と第2のループ溝42が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。旋回台30または固定台20のいずれか一方のみにループ溝を設ける構成とすることも可能である。
例えば、図12に示すような構成の連携手段とすることができる。24は突起状部であり、固定台20の旋回台30に対面する面に突起状に設けられている。44はループ溝であり、旋回台30の固定台20に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられている。このループ溝44は、突起状部24が嵌ってその突起状部24の運動を案内するように構成されている。なお、突起状部24を旋回台30に、ループ溝44を固定台20に設けることも可能である。
【0033】
本実施例では、収容部26に収容された球体(ボール45a)によって、突起状部24が設けられている。収容部26は、内球面が断面180°以上となるように上面を開口して設けられ、固定台20に装着されている。収容部26には、ボール45aが転動可能且つ離脱しないように収容されている。ボール45aは、上部の球面部が収容部26から露出し、その上部の球面部が旋回台30のループ溝44に嵌っている。このように突起状部24の構成要素にボール45aを用いることで、摩擦をより低減できる。なお、ボール45aが収容部26内でより滑らかに転動するためには、ベアリング構造を採用することも可能である。
以上のように構成された連携手段によっても、旋回台30は自転しない旋回運動をすることができる。但し、旋回台30の旋回半径は、ループ溝44の大きさに依存することになり、突起状部24のボール中心の旋回半径と同じくなる。つまり、旋回台30の旋回半径は図1の形態に比べて小さくなる。
【0034】
次に、以上の実施例にかかる旋回台装置10を利用した運動器具について説明する。
図6及び図12の実施例の旋回台30を、人が乗る台として利用すれば、運動器具になる。特に図6の実施例では、球体45が好適に転動するため、旋回台30は、非常に滑らかに旋回することができる。従って、例えば、人が旋回台30の上に腰を掛けて腰を振ると、容易に向きを変えない(自転しない)旋回運動を得ることができる。これにより、腹筋などの筋肉を優しく鍛えることができる。
【実施例6】
【0035】
また、図13には、旋回台装置を多段にして運動器具に利用する実施例を示す。
この運動器具は、以上に説明した旋回台装置10が二段に積層された状態に設けられている。20は固定台であり、最下段の旋回台装置11を構成する二つの台のうちの下段側の台に相当する。30は旋回台であり、最上段の旋回台装置12を構成する二つの台のうちの上段側の台に相当する。そして、この旋回台30の上面は、人の乗る部位として設けられている。29は中間台であり、最下段の旋回台装置11としては旋回台として機能し、最上段の旋回台装置12としては固定台として機能する。つまり、その二つの台としての機能が、一つの中間台29に一体的に設けられている。
【0036】
このように旋回台装置10を二段にした状態の旋回台装置によれば、旋回台30の振れ幅を大きくできる。一段の場合と比較して最大の旋回半径が倍になる。
また、二段にしたことで運動の自由度が拡大し、静止摩擦抵抗がほとんどないような感覚で始動できる。動き出しのきっかけとなる力が極めて軽くても、旋回台30を動かすことができる。例えば、人が旋回台30の上に腰掛けた場合、人の重心移動だけで、極めて簡単に旋回台30が運動を開始する。
【0037】
また、このように二段にした状態の旋回台装置でも、最上段の旋回台30はその向きを変えることなく旋回運動をする。これは、一段目と二段目の旋回台装置11、12のどちらの運動も向きを変えない旋回運動であり、旋回台30の運動が、その一段目と二段目の運動の合成になるためである。そして、旋回台30は、最大で一段目と二段目の旋回台装置11、12の旋回半径の和に相当する最大旋回半径で運動できる。
【0038】
また、旋回台30の運動が一段目と二段目の旋回台装置11、12の合成運動であり、力のかけかた次第では、旋回台30に複雑な運動をさせることができる。単純な自転しない旋回運動だけではなく、場合によっては直線的な運動も可能である。すなわち、旋回台30は、最大旋回半径という外縁の定まった面内の範囲において、自由に運動をすることができる。しかし、そのような運動の場合も、旋回台30は向きを変えることはない。
この向きを変えない運動(自転しない運動)は、人間(生物)にとって、好適な振動(波動)となる。従って、本実施の形態の運動器具は、健康増進用具としても好適である。座った姿勢でも立ち姿勢でも利用できる。
なお、図13の実施例は運動器具だけでなく、他の旋回動を必要とする装置にも好適に利用できるのは勿論である。例えば、多段式の旋回台装置として攪拌器等にも応用できる。また、本実施の形態では二段であるが、三段以上にしてもよい。一段の旋回台装置の基本形態が薄型化されており、多段にしても高さ方向の寸法が小さく、安定性のある装置を提供できる。
【実施例7】
【0039】
次に、図14に基づいて他の実施例の旋回台装置13を説明する。図14(a)は旋回台装置13の平面図であり、14(b)は断面図である。なお、以上の実施例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、連携手段及び分離防止手段が、クランク装置(クランク連携機構49)によって構成されている。
60はクランク部材であり、軸心同士が所定の距離を離して平行に位置する円柱状の第1の軸61と第2の軸62とを備え、第1の軸61が第1の台(固定台20)に回転自在且つ離脱不能に軸着され、第2の軸62が第2の台(旋回台30)に回転自在且つ離脱不能に軸着されている。
【0040】
また、このクランク部材60は、図15に示すように、端面64が軸心に対して直角に設けられる円柱同士を端面同士64で合わせた場合に形作られる形状と外観において同等である。また、第1の軸61と第2の軸62の直径が同一又は両者の半径の差が軸心同士の距離よりも小さい関係にあって、第1の軸61と第2の軸62とがクランクアーム部を兼ねている。このように、独立したクランクアーム部がないため、装置の薄型化ができる。
なお、クランク部材60は削り出し(切削加工)で一体的に成形できる。第1の軸61と第2の軸62の直径が同一であると、力を好適に分散でき、バランスが良い。また、同径のベアリングが利用できるなど、部品の共用化ができる。
【0041】
また、65は駆動モータであり、第1の台と第2の台とを相対的に旋回運動させる動力源となる。本実施例では、固定台20に対して旋回台30が旋回運動をするように動力を発生する駆動手段として機能する。
この駆動モータ65は、回転軸66がクランク部材60に固定されている。その回転軸66の回転駆動によって、クランク部材60が旋回することで、他のクランク部材60も従動して旋回台30が旋回する。
【0042】
また、このクランク部材60を構成要素とするクランク装置では、分離防止手段としての機能を好適に得ることができる。図16にその構成の一例を示してある。なお、図14に基づいて説明した構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
63は鍔部であり、67は蓋板、68はベアリング、68aはベアリング用固定板、69はビスである。第1の軸61及び第2の軸62は共に、鍔部63と蓋板67とに挟まれて、ベアリング68を介して固定台20又は旋回台30に軸着されている。ベアリング68はベアリング用固定板68aとビス69を介して固定台20及び旋回台30に固定されている。また、第1の軸61及び第2の軸62の中央(軸心)に蓋板67を挟む状態で固定されたビス69によって、両軸61、62が固定台20及び旋回台30から離脱しないように構成されている。
これにより、第1の軸61は蓋板67と共に固定台20に対して自転でき、第2の軸62は蓋板67と共に旋回台30に対して自転できると共に、分離することを防止できる。
【実施例8】
【0043】
次に、図17に基づいて他の実施例の旋回台装置14を説明する。図17(a)は旋回台装置14の平面図であり、17(b)は断面図である。なお、以上の実施例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、連携手段及び分離防止手段が、球体連携機構40aとクランク連携機構49によって構成されている。すなわち、図6の実施の形態と図14の実施の形態の連携機構40(球体連携機構40a)及びクランク連携機構49を足し合わせた形態となっている。クランク連携機構49は、分離防止手段として機能すると共に、連携手段としても機能する。クランク部材60が、薄型に形成されているため、球体連携機構40aと混合して同時に構成できる。
【0044】
本実施例では、球体連携機構40aとクランク連携機構49をそれぞれ5個ずつ設けたが、その数については限定されるものではない。総計で2個以上であれば、旋回台30についての自転しない旋回運動を得ることができる。総計3個以上であれば、安定的な運動を得ることができる。球体連携機構40aの数を増やせば、高荷重に対応することができる。また、クランク連携機構49を主に分離防止手段として用いるのであれば、本実施例に限らず、強度的に劣るものを使用しても差し支えない。また、球体連携機構40aとクランク連携機構49の配置についても、適宜選択的に設計できるのは勿論である。
また、この形態においても人の乗る部位を設けることで運動器具として利用できる。
【実施例9】
【0045】
次に、上記運動器具(旋回台装置)の人の乗る部位が椅子の座であることを特徴とする椅子70について、図18に基づいて説明する。
図18は、以上に説明した旋回台装置を用いた椅子を説明する斜視図である。
固定台20が脚部73の上部に固定されている。この固定台20に手すり71と背もたれ72を配設し、旋回台30を座として一般的な事務用の椅子の形態にしたものである。固定台20の下面に駆動モータ75が配設され、旋回台30を旋回駆動する。
また、背もたれ72や手すり71は、旋回台30の旋回運動を妨げないよう固定台20に固定され配設されている。脚部73は図に示す高さ調整機構74を有している。なお、この高さ調整機構74に限らず、他の周知の機構を利用できるのは勿論である。
【0046】
使用者は、通常の椅子と同様、座である旋回台30の上に腰掛ける。そして、旋回台30を旋回運動させて運動器具として使用する。この際、使用者は、旋回台30の旋回運動に抵抗して姿勢を保とうとするので、筋肉を使い運動をすることができる。使用の際には、手すり71や背もたれ72に凭れかかることもでき、身体の負担を減らすことができる。背もたれ72や手すり71は、旋回台30に固定されて配設されても良いが、この場合、背もたれ72の旋回運動に伴って使用者の頭部が揺動され、なかには酔ってしまう人がいる。この点、固定台20に背もたれ72や手すり71を固定すると、頭部の揺動が抑えられるので、酔いを防止することができる。
【0047】
このような構成による運動器具は、通常は事務用の椅子として使用し、必要に応じて運動器具をして使用する事ができるので、利便性がある。
さらに、旋回台30の上面略中央に、圧力スイッチなどからなる人体感知スイッチ78を配設してもよい。旋回台30上に使用者が座ると人体感知スイッチが作動し、駆動モータ75が始動して旋回台30が旋回運動をするように構成してもよい。
【0048】
このような椅子70において、使用者は、駆動モータ75の始動、停止用スイッチや、回転スピードを調整するコントロールスイッチを用いて、旋回台30の旋回運動を直接制御するようにしてもよい。これらのスイッチは、使用者が操作しやすいように、適宜付設すればよい。
また、制御装置80を設けても良い。本実施例では、制御装置80が駆動モータ75の外側面に付設され、モータ回転軸の回転が制御される。制御装置80は、モータ回転軸の回転スピード、回転時間、回転方向等の異なるプログラムを複数備え、これに応じて駆動モータ75のモータ回転軸の回転を制御するものとすることができる。
駆動モータ75の始動、停止用のスイッチ、コントロールスイッチ或いは使用者がプログラムを選択するための操作パネル等は、椅子(旋回台装置)に付設して固定しても良いが、使用者が手元で操作可能なように、配線でつながったリモコン型に形成してもよい。勿論、コードレスのリモコンも好適である。
【0049】
このような構成からなる椅子70は、その座に座って一種の運動器具として使用する。使用者は、旋回運動に対して座った状態の姿勢を保とうと身体に力を入れ、反射的に運動をすることになる。この運動は、反射的であるが筋肉を使うので、筋肉の衰えを防止することができる。このような運動は、歩行や立つことの困難な人の歩行訓練の前段階としても有効である。また、リラックスした状態で血流を良くする軽い運動をすることになり、疲労回復にも効果がある。また、体内脂肪を燃焼させるための全身的な運動をすることになり、シェープアップ効果がある。さらに、この運動は、腸の働きを活発化する助けともなり、ダイエット効果もある。また、特に、便秘解消のためにも有効である。
【0050】
実際に、この椅子を、パーキンソン氏病の患者が用いたところ病状に改善が見られた。
また、身体の不自由な人は高齢者が使用したところ、全く歩行できなかった人が何回か使用するうちに、伝い歩きができるようになった。
さらに、4〜5人が一緒に乗って使用できる椅子(ベンチ)の場合、会話をしながら楽しく運動ができるので、寝たきりの状態の人や身体の不自由な高齢者などに好評であった。
【実施例10】
【0051】
次に、以上に説明した運動器具(旋回台装置)の人の乗る部位がベッドの一部であることを特徴とするベッドについて、図19に基づいて説明する。
図19は、旋回台装置10を用いた運動器具を兼ねるベッド81の側面図である。旋回台装置10は、以上に説明した実施例と同等のものであり、説明を省略する。
ベッド81は、旋回台装置10の固定台20を固定フレーム82上に固定し、旋回台30上にカバー台83を載せて形成されたものである。使用者は、カバー台83の上に位置して使用する。
【0052】
これは、人の乗る部分がベッド状であるが、自転しない旋回運動をするので、運動器具の一種として利用できる。
カバー台83は、その上で人が仰臥姿勢をとることができる十分な大きさに形成されている。使用者28はカバー台83の上で仰臥、横臥或いは伏臥姿勢になり、旋回台30を旋回運動させて運動器具を使用する。このとき使用者28は、カバー台83の旋回運動に対して姿勢を保とうとして反射的に身体に力を入れるので、筋肉の衰えを防止することができる。特に立つことの困難な人にとって好適な運動となる。また、床擦れ防止にも有効である。勿論、カバー台83を用いず、旋回台30を人が仰臥姿勢をとれる十分な大きさに形成し、旋回台30上に人が直接乗り込む構成にしてもよい。
【実施例11】
【0053】
さらに、仰臥姿勢で使用する運動器具兼用のベッドとしては、図20に示すようなものも好適である。これは、図19に示したものと同様の構成からなる旋回台装置の固定台20が、カバー台83の両側方(図15の左右方向)へ延長されている。その延長部分84の高さがカバー台83の高さと略同一か或いはカバー台83の高さより若干高く形成されているものである。
【0054】
使用者28は、頭部と脚を延長部分84に、胴体部分をカバー台83の上に載せて仰臥或いは横臥姿勢で運動器具として使用する。
このようにベッドを使用すれば、頭部と脚が揺動されないので、機械による運動に酔いやすい使用者であっても酔いを防ぐことができる。また、腰部を中心に部分的に揺動させることができるので、腰痛等の治療にも効果的である。また、床擦れ防止にも有効である。
なお、カバー台83と、延長部84の大きさ及び高さは、運動の目的に合わせて適宜設定すれば良い。また、手すりを設けて使用者がベッドから転落することを防止しても良いのは勿論である。
【実施例12】
【0055】
以下、本発明に提供できる旋回台装置及び運動器具等に係る実施例(第12実施例)を添付図面と共に詳細に説明する。
図21は、旋回台装置510の断面図である。図22は、図21に示した旋回台装置の平面図である。固定台514を実線で表し、旋回台511を点線で表している。
この旋回台装置510は、旋回台511に対して固定台514が平行に、対向するように配設され、両者の間に4つの球体(ボール512)を介在させて形成されている。また、旋回台511と固定台514は、分離防止のため、2つの連結手段により連結されている。
そして、静止している固定台514に対して、その上方に位置する旋回台511が、駆動手段の駆動によって相対的に旋回運動をする。旋回台装置510は、旋回台511の上面が載置面526となっており、その上に物が載せられる。或いはその上に物が固定されて使用される。
【0056】
旋回台511と固定台514は、金属、木或いはプラスチック等から成り、略同一形状の板状に形成されている。
旋回台511の下面及び固定台514の上面の、互いに対応する位置には閉ループ溝(ボール溝511a、514a)が、それぞれ4個ずつ配設されている。
略同一形状からなるボール溝511aとボール溝514aは、円環状に、つまり断面円弧状の溝が一周して円状に(図22参照)形成されているものである。
【0057】
そして、旋回台511のボール溝511aと固定台514のボール溝514aとを対向させ、この間にボール512を1個ずつ介在させて旋回台511と固定台514が連携(連結)されている。このとき、図23に示すようにボール溝511a、514aの深さは、ボール512の高さ(直径)hの10分の3程度に形成されるとよい。このため、ボール512がボール溝511a、514aにそれぞれ嵌め入れられた際、ボール512の高さhの10分の4程度が、旋回台511と固定台514の間で露出するように形成するとよい。
【0058】
上記のように、旋回台511と固定台514とは、各ボール溝511aとボール溝514aを対向させて配置され、各対向するボール溝511aとボール溝514aの各組内にそれぞれ1個ずつボール512が配置されている。このため、旋回台511は、固定台514に対して一定の向きを保ったまま円を描く旋回運動をすることが可能になる。すなわち、自転しない円運動をすることが可能となるのである。
ボール溝511a、ボール溝514a及びボール512の断面円の円弧の大きさを略同じ大きさにすることによって、旋回台511は、ボール溝511a、514a、ボール512に規制されてほとんどガタつくことなく、固定台514に対して旋回運動する。
なお、旋回台511と固定台514とは、相対的に旋回動可能である。
【0059】
旋回台511上に載置された駆動モータ519のモータ回転軸519aは、旋回台511を貫通して下方に突出している。つまり、旋回台511には透孔があって、モータ回転軸519aがその透孔から下方へ突き出ている。そして、そのモータ回転軸519aの先端部には外側に歯を有する駆動ギヤ519bが固定されている。
これに対して、固定台514には円形状の凹部が設けられ、その凹部内周に駆動ギヤ519bと噛合する歯を有した内歯ギヤ519cが形成されている。
そして、旋回台511が固定台514に対して上記の旋回運動をする際、駆動ギヤ519bが内歯ギヤ519cに沿って転動する関係に形成されている。すなわち、駆動モータ519による回転駆動によって、駆動ギヤ519bが内歯ギヤ519cの内周に沿って公転しつつ自転する。すると、静止状態である固定台514に対して旋回台511が相対的に旋回運動し、4つのボール512は旋回台511の回転に伴ってボール溝511a、514a内で転動する。
このとき、内歯ギヤ519cの軸線と、モータ回転軸519aの軸線は、偏心距離gを有して偏心する状態に配設する(両者の軸線は、距離gを有して平行になっている)。また、前述のボール溝511a、514aにおける円弧の中心同士の距離(ピッチ距離d)は、偏心距離gと同一に設定する。
【0060】
上記構成により、静止状態の固定台514に対して旋回台511が相対的に旋回運動をするように配設された旋回台装置510は、2つの分離防止手段(連結手段)によって旋回台511と固定台514との分離が防止されている。
2つの連結手段のうちの1つは、ケース521である。ケース521は、図21に示されるように旋回台511の上面を覆って旋回台511と一体化され、固定台514の下面にまわり込んで固定台514と旋回台511を挟み込む。そして、ケース521は、旋回台511の旋回運動を阻止することなく、旋回台511と一体化して固定台514に対して相対的に旋回運動をする。なお、旋回台511と固定台514とが分離するように力が作用するとき、ケース521の外縁のまわり込み部521aは、固定台514を旋回台511側へ押しつけ、両者の分離を防止するように作用する。ケース521が、固定台514に対する旋回台511の相対的な旋回運動を許容する大きさに設けられるのは勿論である。
なお、ケース521のまわり込み部521aと固定台514との間に前述した連携手段40を配し、滑りを良くしても良い。
【0061】
他の連結手段は、互いに引き合う磁石装置を利用して形成されている。つまり、固定台514の上面に永久磁石522を配設し、これに対向する位置の旋回台511の下面に鉄板523を配設する。
これにより、旋回台511と固定台514を対向させて組み合わせた際には、永久磁石522と鉄板523とが引き合い、旋回台511の固定台514に対する旋回運動を阻止することなく、旋回台511と固定台514を連結する。
なお、図22では、複数(5個)の永久磁石522を固定台514の中央付近に配置している。
【0062】
また、駆動手段については、図24に示すような構成も利用できる。図24(a)は駆動手段の断面図、図24(b)はクランク部品(駆動軸513)の斜視図である。
旋回台511に固定された駆動モータ519のモータ回転軸519aは旋回台511の透孔を通って下方へ延出されている。そして、そして、ボール溝のピッチ距離dと等しい偏心距離でモータ回転軸519aと駆動軸513を偏心して(モータ回転軸と駆動軸の両者の軸線が距離d隔てて平行になるように配設する)一体化させ、固定台514側にこの駆動軸513をその軸線を中心に回転可能に軸支させる。駆動軸513にはモータ回転軸519aが挿入される貫通孔が設けられ、キー溝が設けられている。図示しないキーによって駆動軸513とモータ回転軸519aが連結されている。
なお、駆動軸513は、固定台514に設けられたベアリング525によって軸受されている。これにより、駆動モータ519による回転駆動によって旋回台511が旋回運動するようになる。また、モータ回転軸519aと駆動軸513は共に円柱状であり、両者によって一種のクランク部材が構成されている。
【0063】
また、上記構成とは反対に、駆動モータ519を固定台514の下面に固定させて旋回台装置の下方に配設してもよい。この場合、固定台514を貫通して上方へと延出されるモータ回転軸519aを上記と同様に駆動軸513と偏心して連結する。そして、駆動軸513を旋回台511に配設されたベアリング525内に挿入し、軸線を中心として回転可能に配設する。これによると、駆動モータ519は、固定台514に固定された状態となって旋回運動をしないので、固定台514の下方に空間がある場合はこの構成を採用すると有利である。
前述のギヤ構成による駆動手段においても、駆動モータ519を固定台514の下面に固定し、内歯ギヤ519cを旋回台511側に設けることができる。
【0064】
また、モータ回転軸519aと駆動軸513の連結は、直接連結してもよいし、クランクアーム等を介して連結してもよい。
そして、旋回台511の旋回運動は、モータ回転軸の回転方向、スピード等を図示しない制御手段で制御することにより逆方向に回転させたり、回転速度を減速したり加速させたりして調整できる。
【実施例13】
【0065】
次に旋回台装置に係る実施例(第13実施例)について、図25〜27に基づいて説明する。
図25(a)は、旋回台装置527の底面図であり、図25(b)はその断面図である。図26(a)は分離防止手段(連結手段)に用いられる連結部の平面図であり、図26(b)はその断面図である。そして、図26(c)は、連結部を2つ組み合わせることで構成される連結手段の断面図である。また、図27(a)は、略同一形状に形成される旋回台524と固定台525の平面図であり、図27(b)は旋回台と固定台を組み合わせた際の底面図である。
【0066】
金属板からなる旋回台524と固定台525は、略同一の形状に形成されており(図27(a)参照)、中央に略長方形の開口部528が設けられている。開口部528は、その長辺の中央で幅の広がる拡幅部528aが形成されている。ここで、長辺の長さをM、拡幅部528の幅をWとすると、幅Wよりも長辺の長さMは大きく設定される。
また、旋回台524と固定台525の開口部528の周囲には、複数(図25では12個)の透孔(貫通穴529)が配設されている。そして、複数の貫通穴529には、図25(b)に示されるようにそれぞれ円盤型のボール支持部(ボール受け部530)がそれぞれ嵌入されて固定されている。ボール受け部530は、その一端面530b側が鍔状に外方に延出し、フランジ部530aが形成されている。このフランジ部530aが貫通穴529の縁に係止されて固定されている。
【0067】
また、ボール受け部530の一端面530bには、第12実施例で説明したものと同様の円環状のボール溝511a、514aが配設されている。
こうして、複数のボール溝511a、514aが配設された旋回台524と固定台525が形成され、固定台525は、旋回台524の下方でその旋回台524に対して平行に対向するよう配設される。
そして、旋回台524側のボール溝各々に、固定台525側のボール溝を対向させ、この間にそれぞれボール512を1個ずつ介在させて旋回台524と固定台525とが連携され、旋回台装置が形成される。このとき、旋回台524及び固定台525は、両者それぞれに配設された開口部528が重なるよう連結される。また、その開口部528同士は、平面的には図27に示されるように、互いに相手側に対して交差して配置される。つまり、両者の向き(矢印A、B)は、直交する(90°異なる)方向となっている。
【0068】
旋回台524と固定台525の連携(連結)は、同一形状の2枚の連結部材533(第1の連結部材、第2の連結部材)を有した分離防止手段(連結手段532)によってなされる。
連結部材533は、旋回台524及び固定台525と同一の厚さを有した金属板からなり、略直角に曲折された両端側の起立片部533j及び連結片部533dで構成され、全体に断面コの字状に形成されている(図26(a)、(b)参照)。
また、連結片533dの中央には、貫通穴533bが形成されている。この貫通穴533bには、前述したものと同様のボール受け部534が、ボール溝534aをコの字の凹部内底面に設けて固定される。
【0069】
さらに、連結部材の長さLは、旋回台524及び固定台525の開口部28の長辺の長さMより若干小さく、拡幅部の幅Wよりも大きく設定される。
また、連結片533dの長さNは、拡幅部の幅Wより若干小さく設定されている。
【0070】
2枚の連結部材533g(第2の連結部材)、533h(第1の連結部材)は、互いのボール溝511a、514aを対向させてボール512をその間に介在させ、平面形状が十字型になるよう組み合わされる(図25、図26(c)参照)。つまり、2つの連結部材の、コの字の凹部内底面を対向させるようにして、且つ十字状をなすように互いに相手側に対して交差して組み合わされる。
こうして組み合わされた2枚の連結部材533g、533hは、両者の間に介在するボール512によって、平行となるように(図25(b)参照)配設される。つまり、2枚の連結部材は、連結部材533g(第2の連結部)の連結片部533dが旋回台524と平行に揃い、連結部材533h(第1の連結部)の連結片部533dが固定台525と平行に揃うように、それぞれ、旋回台524及び固定台525の開口部528内に配置される。このとき、第2の連結部材533gの両起立片部533jの端部533aが、固定台525の開口部528の開口縁部に、その固定台525の外側面に当接して掛止され、第1の連結部材533hの両起立片部533jの端部533aが、旋回台524の開口部528の開口縁部に、その旋回台524の外側面に当接して掛止される。
【0071】
ボールが介在されて、2枚の連結部材533g、533hが、互いに相対的に旋回運動可能に設けられた連結手段532は、旋回台524及び固定台525を、中央部に配設した開口部528において挟み込み、両者の分離を防止すると共に、旋回台524の固定台525に対する相対的な旋回運動に連動して一方の連結部材が旋回運動可能となっている。
【0072】
具体的な連結部材533g、533hの旋回台524と固定台525への組み込み方法は、縦横別方向に向いた状態で組み合わされた旋回台524と固定台525(図27(b)参照)に対して、2枚の連結部材533g、533hを、それぞれ外側から連結部材533g、533hの長さ方向を開口部528の長辺方向に合わせて、開口部528へ嵌め込む。そして、2枚の連結部材533g、533hを十字状にして対向させ、両者のボール溝511a、514aの間にボール512を介在させた状態で両者を同時に90°回転させる。このとき、2枚の連結部材533g、533hの、それぞれの両端部533aを、旋回台524と固定台525の外側面に当接させて掛止させる。拡幅部528aは切り欠き部528bが形成されて徐々に拡幅されているので、連結部材533g、533hの回転を円滑に行うことができる。
【0073】
この旋回台装置も、第12実施例で述べたように、駆動モータを設けて自動的に旋回台524が旋回運動をするように形成できる。
例えば、第12実施例のように、旋回台524上に駆動モータを配設し、モータの回転軸の先端に固定された駆動ギヤを固定台525側の内歯ギヤ内で公転しながら自転するよう設けてもよい。
また、第12実施例について図24で説明した駆動手段を利用することも可能である。
【0074】
以上の実施例で説明した旋回台装置510、527によると、ボールが旋回台の旋回運動に連動して転動しながら旋回台を支持するので、旋回台上に重量の重いものを載せても良好に旋回運動をすることができる。また、ボールは簡単な構成でありながら強度があり、旋回台を良好に旋回運動させることができる。
また、旋回台と固定台のボール溝の数を増やして、その間に配設されるボールの数を増やすことで、より強度を増すことができ、旋回台の載置面の面積も増やすことができる。
さらに、ボールの径を小さくすることで旋回台と固定台の間を狭くして、旋回台装置をより薄く形成することができる。
【0075】
また、介在するボールの配設される位置を変えることでも、旋回台上にかけられる荷重に対応することができる。
さらに、連結手段が旋回運動を妨げることなく旋回台と固定台を連結させているので、旋回台と固定台が簡単に分離されることがない。従って、旋回台を持ち上げることより、固定台が落下し、破損することを防止できる。
また、円環状のボール溝は、旋回台或いは固定台のどちらか一方側に設けられれば良い。つまり、他方には、旋回台の旋回運動に伴う一方側のボール溝内でのボールの転動を妨げることなく、ボールを収容する形状のもの(ボール収納部)を配設すればよい。例えば、ボール収容部は、ボールが転動可能に収容される球面状に窪んだ形状でもよい。
また、円環状のボール溝は断面円弧状としたが、これに限定されない。断面V字状としてもよい。
以上の実施例による旋回台装置は、比較的広い載置面に重い物を載せて旋回運動をする装置として有効である。この好適な用途の例として、運動器具、健康増進用器具、攪拌器等がある。
【0076】
また、以下に説明する運動器具の旋回台として、以上の実施例で述べた旋回台511、524を直接利用しても良いが、この旋回台511、524上にカバー板を一体化させて形成したものを旋回台としてもよい。また、第1実施例の連結用のケース521を用いる場合も、ケース521と一体化したものを旋回台として使用してもよい。
さらに、以上の実施例で説明した旋回台装置を小型に形成するなどしてユニット化し、これを複数平面的に並べて組み付け、一つの旋回台を旋回運動させる一つの旋回台装置としてもよいのは勿論である。
【実施例14】
【0077】
次に、図28に基づいて運動器具に係る実施例(第14実施例)を説明する。
図28に示す運動器具114は、駆動モータが配設されていない旋回運動装置を、小型にユニット化して旋回台装置ユニット102を形成し、これを複数利用して形成した椅子(ベンチ)形の運動器具である。
113は、板上の座席部314(固定台)と4本の脚103とから成るベンチであり、旋回台装置ユニット102が2つベンチ113上に設けられている。
さらに、カバー台(旋回台311)の一端面には、手すり101が固定されている。
【0078】
運動器具114を使って使用者28は、手すり101によって旋回台311を揺動させるという運動をすることができる。この運動は、旋回台311の旋回運動範囲が限定されているので、キャスター付の押し車を押すような運動よりも使用者28の負担を軽くすることができる。従って、立つことはできるが、歩くことが困難な人等に有効である。
さらに、旋回台311上に1人或いは複数人が腰掛けた状態で、運動器具を使用しても良い。積極的に運動をすることなく単に腰掛けている人も、旋回台311の旋回運動に対して座った姿勢を保持しようと身体に力を入れるので、筋肉の衰えを防止することができる。
【0079】
また、旋回台装置ユニット102を多数並べて配設することで、大きな面積の旋回台311を有した多人数用のベンチ形の運動器具を簡単に形成することができる。
また、運動器具114の、複数の旋回台装置ユニット102のうちの少なくとも一つに駆動モータを設け、旋回台が自動的に旋回運動するようにしても良いのは勿論である。
【実施例15】
【0080】
次に、図29に基づいて車椅子に係る実施例(第15実施例)を説明する。
図29は、駆動モータを用いない旋回台装置を、車椅子に組み込んで形成した運動器具の側面図である。この運動器具115は、手動で2つの車輪104を回転させることにより移動する通常の車椅子の、座席部105上に、旋回台装置ユニット102が固定されているものである。
つまり、車椅子の座席部105に旋回台装置ユニット102の固定台20が固定され、旋回台30が車椅子の座となっている。
【0081】
さらに、1つの車輪104の回転運動を旋回台装置ユニット102に伝達する伝達手段が配設されている。これにより、車輪104が回転すると、旋回台装置ユニット102の旋回台30が車椅子上で旋回運動する。
なお、伝達手段は、車輪に接触するローラ106と、プーリーとベルト又はスプロケットとチェーン等で構成できる。
【実施例16】
【0082】
次に、図30に基づいて運動器具85にかかる実施例(第16実施例)を説明する。
図30は運動器具の一実施例である。本発明にかかる旋回台装置10の旋回台30上に補助棒27が垂直に立設されている。使用者は、その補助棒27につかまった状態で、旋回運動する旋回台30の載置面36上に乗る。旋回台30は、駆動モータ65の動力によって、固定台20に対して自転しない旋回運動をする。使用者28は、この旋回台30の動きに対応して反射的に筋肉を使うことになり、結果的に運動をすることになる。
【0083】
従来の室内ランニング又は歩行用等の運動用具は、ある程度自由に運動ができる人を対象としている。従って、そのような運動用具を、立つことが難しい人や、立つことが限度で足の上げ下げが難しい人が利用することは支障がある。
そして、従来、自由に運動することが難しい人が、適度に身体を動かして筋肉の衰えを防止し、歩行訓練の前段階において無理なく利用できる運動器具は好適なものがなかったと考えられる。
【0084】
これに対し、本発明による運動器具85は、自由に運動することが難しい人を含めて好適に利用できる。使用者は自転しない旋回運動をする旋回台30の上に乗って、足に力を入れて踏みこたえたりすることで、筋肉の衰えを防止したり、バランス感覚を鍛えることができる。旋回台装置は薄く、小型に形成できるので、家庭で手軽に運動をすることができる。特に、歩行訓練の前段階における機能回復にも有効である。
【0085】
補助棒27に、駆動モータ65の回転開始、停止用のスイッチや、回転スピードを調整するコントロールスイッチを配設すると、使用者28が手元で簡単に運動器具85の動作を制御できる。
また、使用者の運動能力に応じた旋回台30の旋回運動が自動的になされるように、制御装置を設けても良い。制御装置は、駆動モータの、モータ回転軸の回転方向、回転スピード、回転時間等の異なるプログラムを複数備え、これに応じてモータ回転軸の回転を制御するものである。
使用者28は、補助棒27に配設され、制御装置に信号を送る操作パネルによって自身の運動能力に応じた訓練メニューを選択する。すると、これに対応したプログラムによってモータ回転軸の回転スピードや時間等が制御され、旋回台30がモータ回転軸の回転に応じて旋回運動をする。
【0086】
また、補助棒27が必要のない使用者に対しては、旋回台装置10そのものを運動器具として有効に利用できる。使用者は旋回運動する旋回台30に乗ることにより、バランス感覚を養うことができる。
さらに、旋回台装置は、駆動モータ65の配設されていないものであっても良い。この場合は、旋回台30に乗り込んだ使用者が、壁等に手をついて押した反動を利用するなどして旋回台30を旋回運動させる。これによると、身体全体を使用して前述の運動器具85よりもより激しい運動をすることができる。勿論、補助者が、使用者の乗り込んだ旋回台30を揺らして旋回運動させて使用する方法でもよい。
【0087】
また、前記実施例において、駆動モータを設けない場合は、図31に示すように固定台20に補助棒29aを取り付け、使用者が、補助棒29aを動かすことによって旋回台30を旋回運動させる構成にしてもよい。補助棒29aの下端にはボール部29bが設けられており、ボール部29bは固定台20に配設された軸受86内に回動自在に嵌入されている。そして、補助棒29aは、固定台20から旋回台30の貫通孔を通過して上方に延出されている。貫通孔は補助棒29aに対してある程度余裕を持って設けられる。
【0088】
このような構成の運動器具は、旋回台30上に乗り込んだ使用者が旋回台30を抉るように補助棒29aを回動させると、旋回台30がその方向へ押されて移動し、旋回運動をするようになる。これにより、使用者は脚ばかりでなく、腕の筋肉の衰えも防止することができる。
また、駆動モータを用いないこれらの運動器具によると、機械的な回転が苦手で、旋回する台に乗ると酔ってしまうような人であっても、障害の程度にあった運動をすることができる。
【実施例17】
【0089】
次に、図32に基づいて第17実施例を説明する。
図32は、運動器具として、旋回台装置10と補助器87を組み合わせた構成としたものを示す。補助器87は、人の起立を補助するものであり、鉄製等のパイプを所定の形状に曲折させたり結合させたりして、上部に手すり88を設けてフレーム状に形成したものである。フレームの中央に設けられた空間内に入った使用者28は、手すり88に体重をかけることができる。このため、歩行機能に障害のある人等の補助となることができる。
なお、補助器87の下部にはそれぞれキャスター89が配設されている。補助器87を傾けることで移動可能となる。
【実施例18】
【0090】
次に、図33に基づいて第18実施例を説明する。以上に説明した構成と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例は、駆動手段を手動としたものである。水平面内でハンドル46を回転させることによって、クランク部材60を旋回させるものである。48は回転軸であり、ハンドル46とクランク部材60との間に連結され、ハンドル46の回転力をクランク部材60に伝達する。これにより、旋回台30の自転しない旋回運動を得ることができる。
【実施例19】
【0091】
次に、図34に基づいて第19実施例を説明する。以上に説明した構成と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例も、駆動手段を手動としたものである。垂直面内でハンドル46aを回転させることによって、クランク部材60を旋回させるものである。47はベベルギヤを組み合わせた歯車機構である。これは、垂直面内の回転を起立する回転軸48aの回転に変換して駆動を伝達する。これによっても、旋回台30の自転しない旋回運動を得ることができる。
【実施例20】
【0092】
次に、図35に基づいて第20実施例を説明する。以上に説明した構成と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施例は、差し込み式の運動器具である。自転しない旋回運動を発生させる旋回台装置10を設け、その旋回台装置10の固定台20から固定薄板部57を延設し、旋回台30から旋回薄板部58を延設してある。この固定薄板部57と旋回薄板部58とによって、差し込み部59が構成されている。固定薄板部57と旋回薄板部58は摩擦抵抗が少ない表面を有し、適宜な剛性を有するものを利用すればよい。
ベッド76に寝ている人に用いるときは、その人とベッド76の間に差し込み部59を差し込み、旋回台装置10を駆動させる。これにより、前述したベッドと同等の効果を得ることができる。
【0093】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる二次元運動機構及び旋回台装置は、以上に説明したもの、及び健康の維持・増進を目的とする運動用具、リハビリテーション用器具、身体訓練用運動用具等の運動器具の他に、攪拌装置、多軸回転動発生装置、研磨装置、巻線装置、振動発生装置、きのこ培基のかき出し装置、その他の装置の運動機構に適用できる。
特に研磨装置については、通常の回転研磨盤では内周と外周とで速度差があるのに対し、本発明の二次元運動機構及び旋回台装置を用いた研磨盤ではどの点においても同一の旋回運動を得ることができる。このため、大型平面を均一に研磨するための研磨装置の運動機構として好適である。
なお、以上の装置の運動機構として使用される場合、本発明の二次元運動機構及び旋回台装置の第1の台と第2の台の位置関係は上下を逆にしても良いのは勿論である。すなわち、旋回台が、上側に位置する場合もあるし、下側に位置する場合もある。
また、以上の装置に適用する場合は、二次元運動機構及び旋回台装置が、本発明のごとく複数段の旋回運動機構によって構成される場合も勿論であるが、一段の場合も好適に適用できる。さらにまた、二次元運動機構及び旋回台装置を、鉛直に立てる形態で使用しても良いし、所定の角度に配置して使用しても良いのは勿論である。
【0095】
上記の技術分野の中で上下に台が重なる場合であって、各台の重量が大きい場合、その台の重量自体が前記の分離防止手段となる。従って、分離防止手段については、特別に構成される機構が設けられない場合がある。特に、球体連携機構を用いる場合、高荷重に耐え得る形態であり、例えば重量のある研磨装置などの工作機械の場合、特別な分離防止の機構を要しない場合もある。これによれば、台の重量が分離防止手段であり、簡易に構成できる。
なお、上記の技術分野においても場合によっては、分離防止手段(特別に構成される分離防止機構)を複数適宜に配列してもよい。これによれば、傾きを防止できるなど、よりバランスのとれた好適な運動を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る旋回台装置の一形態を示す平面図である。
【図2】図1の旋回台装置の正面図である。
【図3】本発明に係る運動軌跡の例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る運動軌跡の例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る運動軌跡の例を示す平面図である。
【図6】第1実施例の一段の旋回台装置の断面図である。
【図7】第1実施例の旋回台装置を説明する平面図である。
【図8】第1実施例の旋回台装置の旋回運動を模式的に説明する平面図である。
【図9】第2実施例の分離防止手段の断面図である。
【図10】第3実施例の旋回台装置の側面図である。
【図11】第4実施例の旋回台装置の側面図である。
【図12】第5実施例の旋回台装置の断面図である。
【図13】第6実施例の旋回台装置の一部断面を含む側面図である。
【図14】第7実施例の旋回台装置の平面及び断面図である。
【図15】第7実施例のクランク部材の一形態を示す斜視図である。
【図16】第7実施例のクランク連携機構の一形態を示す断面図である。
【図17】第8実施例の旋回台装置の平面及び断面図である。
【図18】第9実施例の椅子の斜視図である。
【図19】第10実施例のベッドの側面図である。
【図20】第11実施例のベッドの側面図である。
【図21】第12実施例の断面図である。
【図22】第12実施例の平面図である。
【図23】ボール受け部の実施例を示す断面を含む側面図である。
【図24】駆動手段の実施例を示す断面図及び斜視図である。
【図25】第13実施例の底面図及び断面図である。
【図26】第13実施例に係る連結手段の実施例を説明する説明図である。
【図27】第13実施例に係る各台の実施例を説明する説明図である。
【図28】第14実施例の平面図及び側面図である。
【図29】第15実施例の側面図である。
【図30】第16実施例の側面図である。
【図31】補助棒の実施例を示す断面図である。
【図32】第17実施例の側面図である。
【図33】第18実施例の側面図である。
【図34】第19実施例の一部断面を含む側面図である。
【図35】第20実施例の一部断面を含む側面図である。
【図36】従来技術を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
10 旋回台装置
20 固定台
24 突起状部
25 第1の凹部
26 収容部
29 中間台
30 旋回台
35 第2の凹部
40 連携手段
40a 球体連携機構
41 第1のループ溝
42 第2のループ溝
43 接点
44 ループ溝
45 球体
49 クランク連携機構
50 分離防止手段
51 第1の架橋部
52 第2の架橋部
54 分離防止部
60 クランク部材
61 第1の軸
62 第2の軸
63 鍔部
64 端面
65 駆動モータ
66 回転軸
68 ベアリング
69 ビス
70 椅子
75 駆動モータ
80 制御装置
81 ベッド
200 旋回運動機構
210 第1の台
215 中間台
220 第2の台
230 駆動装置
240 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の台と、該第1の台と対面して配される第2の台と、前記第1の台と前記第2の台とを連携して該第1の台と第2の台のどちらか一方に対して他方が自転しない旋回運動をするように設けられた複数の連携手段と、前記第1の台と前記第2の台とが分離することを防止して前記の連携状態を保持できるように設けられた分離防止手段とを備える旋回運動機構が、実質的に複数段に積層され、該複数段の旋回運動機構によって所望の二次元運動が合成されるべく、各旋回運動機構のそれぞれに旋回条件を可変可能な駆動装置と該駆動装置を制御する制御装置を具備することを特徴とする二次元運動機構。
【請求項2】
前記旋回運動機構が上下2段に積層され、下段側の下側に位置する前記第1の台又は前記第2の台のどちらか一方の台が固定台として設けられ、上段側の上側に位置する前記第1の台又は前記第2の台のどちらか一方の台が旋回台として設けられ、固定台と旋回台の中間に下段側の他方の台と上段側の他方の台の機能を備えて一体的に設けられた中間台を具備することを特徴とする請求項1記載の二次元運動機構。
【請求項3】
前記連携手段は、前記第1の台の前記第2の台に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられた第1のループ溝と、前記第2の台の前記第1の台に対面する面に溝状で閉ループ状に設けられ前記第1のループ溝に対応して配された第2のループ溝と、前記第1のループ溝と前記第2のループ溝とが運動軌跡の接点で重なるように該第1のループ溝と第2のループ溝とに転動可能に嵌められた球体とを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の二次元運動機構。
【請求項4】
前記分離防止手段は、前記第1の台に架け渡される状態に設けられた第1の架橋部と、前記第2の台に前記第1の架橋部と交差する向きに架け渡される状態に設けられ前記第2の台が対向する前記第1の架橋部の面と反対側の面へ対向する分離防止部を備える第2の架橋部とを具備することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の二次元運動機構。
【請求項5】
前記分離防止手段は、前記第1の台に設けられた第1の開口又は凹部と、該第1の開口又は凹部に架け渡される状態に設けられた第1の架橋部と、前記第2の台に設けられた第2の開口又は凹部と、該第2の開口又は凹部に前記第1の架橋部と交差する向きに架け渡される状態に設けられ前記第2の台が対向する前記第1の架橋部の面と反対側の面へ対向する分離防止部を備える第2の架橋部とを具備することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の二次元運動機構。
【請求項6】
請求項1から5いずれか記載の二次元運動機構の旋回する台が、物が載置される台であることを特徴とする旋回台装置。
【請求項7】
請求項1から5いずれか記載の二次元運動機構の旋回する台が、人が乗る台であることを特徴とする運動器具。
【請求項8】
請求項7記載の運動器具の前記人が乗る台に椅子の座が設けられたことを特徴とする椅子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公開番号】特開2006−144938(P2006−144938A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336824(P2004−336824)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(391052736)株式会社カルチアマシーン (1)
【Fターム(参考)】