説明

二段階硬化ポリイミドオリゴマー

【課題】接着剤およびプリプレグの作製に使用するためのポリアミド酸およびポリイミドオリゴマーの提供。
【解決手段】ポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーを形成する反応において、付加硬化型末端停止物質としてシトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物を使用。得られたオリゴマーから作製されるプリプレグおよび高温接着剤、ならびに、前記プリプレグから作製される高温・低空隙容量複合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2003年9月2日に出願された米国仮特許出願第60/499,849号の優先権を主張する、2004年8月30日に出願された米国特許出願第10/931,070号の一部継続出願である。
【0002】
[技術分野]
本発明は、一般に、ポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーを形成する反応において、付加硬化型末端停止物質としてシトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物を使用する方法に関するものである。本発明はまた、一般に、得られたオリゴマーから作製されるプリプレグおよび高温接着剤、ならびに、前記プリプレグから作製される高温・低空隙容量・繊維強化複合材料に関するものである。
【背景技術】
【0003】
[背景技術]
強化繊維およびマトリックス樹脂から成る繊維強化複合材料は、軽量であり優れた機械的特性を有する。そのため、これらの複合材料は、航空宇宙用品、自動車用品、インフラ補修用品、船舶用品、軍需品、スポーツ用品、または、長年の過酷な使用に耐えるのに十分な強靱性と耐衝撃性を有することが必要とされる他の消費者製品など様々な構造的および非構造的用途に広く用いられてきた。
【0004】
繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として、エポキシ樹脂、ならびに、これより使用頻度は少ないが、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、および、ポリイミド樹脂が採用されてきた。しかし、ポリイミド樹脂マトリックスを含む複合材料の使用が増加しており、今日、これらの材料は、その軽量性と耐荷重特性ならびに高温での酸化安定性により、航空宇宙用途における好ましい構造材料と考えられている。
【0005】
繊維強化複合材料を製造するために、プリプレグ、ハンドレイアップ、フィラメントワインディング、プルトルージョン(pull−trusion)、樹脂トランスファー成形(RTM)、および樹脂注入(RI)などの様々な方法や技術が用いられてきた。
【0006】
ポリイミドからプリプレグおよび複合材料を製造する現在の技術では、これらの樹脂のポリ(アミド)酸由来の溶液を利用する。ポリ(アミド)酸溶液を、各種強化繊維を用いてプリプレグに加工する。これらのポリ(アミド)酸溶液は、固形分が少なく粘度が高い。したがって、これらのタイプの溶液を加工するには、溶媒管理や高粘度溶液の繊維への十分な浸潤といった重要な問題を克服する必要がある。得られたプリプレグは、通常、適切なタック性およびドレープ性を得るため、20〜25重量%の残留溶媒含有量(約2〜3%は熱イミド化反応による水)を必要とする。この残留溶媒は、その後、複合材料の硬化サイクル中に除去しなければならない。この材料は、手作業で積層し複合材料にするため、この種の材料を用いた作業は、非常に労働集約的且つ費用のかかるものである。
【0007】
適切な強化繊維を用いてプリプレグに加工した場合、耐高温性複合材料が得られる従来技術によるプリプレグ溶液の一例は、モンサント・コーポレーション(Monsanto
Corporation)(800 N.リンドバーグ・ブールバード、セントルイス、ミズーリ州 63167(800 N.Lindbergh Blvd.,St.Louis,Missouri 63167))により、商品名スカイボンド(SKYBOND)として1960年代に初めて市販された。スカイボンドプリプレグ溶液は、溶媒としてNMPを用い、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BT
DA)をエタノールとあらかじめ反応させることによって調製された。そして、m−フェニレンジアミン(MPD)または4,4’−メチレンジアニリン(MDA)のいずれかがこの溶液に添加された。末端停止剤は使用されなかった。この種の化学を用いて空隙の少ない複合材料を加工することは困難であった(今も引き続き困難である)。この困難に関してこれまでに提示された理由の一つは、硬化過程でアミン末端基とBTDA部分の架橋カルボニル基との反応により分岐が生じ、その結果マトリックス樹脂が分岐し、処理加工がし難くなることである。
【0008】
これらのポリイミド類の加工性(したがって最終用途適用)は、分子量を低下させることにより、また、反応性末端停止剤を使用し熱硬化性ポリイミドを製造することにより、改善されてきた。
【0009】
これらの熱硬化性ポリイミド類は、もともと1970年代に軍用機用途に開発されたもので、溶媒(例えば、アルコール)中に、芳香族ジアミン、テトラカルボン酸のジアルキルエステル、および単官能性ナジック酸エステル・末端停止剤を溶解させて製造される。
【0010】
これらの初期熱硬化性ポリイミド類で最もよく知られているのは、PMR−15であり、これはモノマー反応物質のin−situ重合の略記である。これらの熱硬化性ポリイミド類(すなわち、ベンゾフェノン二無水物//メチレンジアニリン//ナジック酸無水物)は、もともとNASAルイス(Lewis)研究所において軍用機エンジンおよび機体用に開発されたもので、250℃〜300℃(482°F〜572°F)で架橋が生じ、良好な熱的および機械的特性を示す。しかし、PMR−15熱硬化性ポリイミドは、有害化合物メチレンジアニリン(MDA)を含有するため、健康上および安全上の問題がある。
【0011】
PMR−15は縮合反応で硬化するが、これは硬化中にポリマー鎖から水とアルコールが発生し放出されることを意味する。PMR−15はクリーンな二段階硬化を行わない。特に、PMR−15は、揮発物質が除去される際に架橋し、硬化中に分解しシクロペンタジエンを発生させる。さらに、水、メタノール、およびシクロペンタジエン等の除去される溶媒の体積により、最終複合材料中に、その複合材料の体積の2パーセント(%)以上の量の空隙が生じる。
【0012】
化学的性質は極めてよく似ているが、より毒性の少ないモノマーを用いたPMR−15の直接代替物は、ナジック酸で末端を停止したポリイミド類RP−46である。これらの熱硬化性ポリイミド類(すなわち、ベンゾフェノン二無水物//3,4−オキシジアニリン//ナジック酸無水物)は、PMR−15と同様、縮合反応で硬化する。この二段階硬化はクリーンな二段階硬化ではない。また、得られた複合材料は、その複合材料の体積の2%を超える量の空隙を含む。
【0013】
他の非MDA含有ポリイミド類としては、PETI(すなわち、フェニルエチニル末端イミド)樹脂が挙げられ、これは化学的性質が異なるポリイミドである。これらの樹脂は、より高い温度性能とより長期の熱酸化安定性を提供できる構造用マトリックス樹脂に対する需要に応えるために開発された。PMRタイプの材料よりも高価ではあるが、揮発物質を発生させることなく付加反応で硬化するこれらの高温樹脂は、実質的に空隙のない複合材料の製造に使用することができる。残念ながら、これらの樹脂は、それらの分解温度に非常に近い、375℃/707°F前後の極めて高い硬化温度を必要とする。さらに、そのような高い硬化温度のため、一部の製造業者は、専用のオートクレーブまたはプレス装置を必要とする場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、接着剤およびプリプレグの作製に使用するためのポリアミド酸およびポリイミドオリゴマーに対する需要があり、このポリイミドオリゴマーは約370℃以下の温度でクリーンな二段階硬化を提供するものである。
【0015】
よって、本発明の目的は、このようなポリアミド酸およびポリイミドオリゴマーを提供することである。
【0016】
別の目的は、1種以上の前記オリゴマーと有機溶媒とを含む、プリプレグ溶液として、または高温接着剤としての使用に適した溶液を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、本発明のプリプレグ溶液を用いて作製されるプリプレグから製造される高温・低空隙容量・繊維強化複合材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物を使用する方法であって、ポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーを形成する反応においてこれらの材料を付加硬化型末端停止物質として使用することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、ポリアミド酸オリゴマーであって、1種以上の芳香族酸二無水物と、1種以上の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物から成る群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質とを反応させることにより得られるポリアミド酸オリゴマーも提供する。
【0020】
また、本発明は、二段階硬化ポリイミドオリゴマーであって、前記ポリアミド酸オリゴマーを縮合させることによって得られる二段階硬化ポリイミドオリゴマーも提供する。
【0021】
本発明はまた、プリプレグ溶液として、または高温接着剤としての使用に適した溶液であって、上記ポリアミド酸オリゴマーおよび/またはポリイミドオリゴマーと有機溶媒とを含む溶液も提供する。
【0022】
本発明は、さらに、繊維強化材に前記プリプレグ溶液を含浸させたプリプレグを硬化させることにより得られる高温・低空隙容量・繊維強化複合材料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な記述から、当業者には明白であろう。
【0024】
特に断りのない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって一般に理解されているものと同様の意味を有する。本明細書に記載したすべての出版物、特許出願、特許、その他の参考文献は、その全体を引用することにより本明細書の一部とされる。抵触する場合、定義を含む本明細書が基礎となる。さらに材料、方法、および実施例は、単なる例にすぎず、限定を意図するものではない。
【0025】
本発明により、二段階硬化ポリイミド用の新規な付加硬化型末端停止物質が特定された。この新規な末端停止物質、すなわち、シトラコン酸無水物(CA)およびイタコン酸無水物(IA)により、簡単な硬化スケジュールを用いた、ポリイミド含浸プリプレグからの空隙容量の極めて低い複合材料の製造が可能となる。上記のように、縮合硬化ポリイミド樹脂からの硬化揮発物質の発生は、構造用複合材料におけるポリイミド類の使用を制限
する要因として周知となっている。本発明は、複合材料の製造中に揮発物質の除去を可能にする適切な反応性を有する新規な付加硬化型末端停止物質を提供することにより、この問題を解決する。この新規な末端停止物質はまた、分子量を制御したり、高温で架橋剤として作用したりもする。
【0026】
本発明のポリアミド酸オリゴマーは、1種以上の芳香族酸二無水物と、1種以上の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物からなる群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質とを反応させることにより得られる。
【0027】
本発明のポリアミド酸オリゴマーの調製における使用に適していると考えられる芳香族酸二無水物は、一般に、その構造中に二つ以上の芳香環を有する二無水物であり、たとえば以下の式(I)、
【0028】
【化3】

【0029】
または以下の一般式(II)、
【0030】
【化4】

【0031】
(ただし、Zは−CO−、−O−、−SO2−または直接結合を表す)によって表される
ような二無水物である。構造(I)を有する芳香族酸二無水物は、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物、すなわちPMDA)であり、構造(II)を有する芳香族酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、1,1’,2,2’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(OPDA)および3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)が挙げられる。
【0032】
本発明のポリアミド酸オリゴマーの調製には、1種以上の二無水物を使用する。2種の二無水物を使用する場合、第一の二無水物(例えば、BTDA)は、2種の二無水物の総重量に対して約5〜約40重量%(より好ましくは、約10〜約25重量%、最も好ましくは約20〜約25重量%)の範囲の量で存在しているのが好ましく、一方、第二の二無水物(例えば、BPDA)は、2種の二無水物の総重量に対して約60〜約95重量%(より好ましくは、約75〜約90重量%、最も好ましくは約75〜約80重量%)の範囲の量で存在しているのが好ましい。
【0033】
本発明における使用に適していると考えられる芳香族ジアミンは、一般に、その構造中に少なくとも一つのエーテル結合を有するジアミンであり、たとえば、3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA)、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS−M)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)および1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)が挙げられる。
【0034】
本発明のポリアミド酸オリゴマーの調製には、1種以上のジアミンを使用する。2種のジアミンを使用する場合、少なくとも1種のジアミンが1つ以上の酸素結合を有しており、且つ、このジアミンが2種のジアミンの総重量に対して少なくとも約50重量%の量で存在しているのが好ましい。
【0035】
精選した実施形態において、芳香族ジアミンは、ゴム成分との組み合わせで使用される。好適なゴム成分としては、アミンを末端に有するゴムが挙げられるが、これに制限されるわけではない。好ましい実施形態では、アミンを末端に有するシリコーンゴム(SR)を用いて本発明のオリゴマーを調製する。この好ましい実施形態において、このゴムは芳香族ジアミンとゴム成分との総重量に対して約30重量%未満、より好ましくは約20重量%未満の量で存在する。
【0036】
本発明のポリアミド酸オリゴマーの調製における使用に適した付加硬化型末端停止物質は、メチルマレイン酸無水物(シトラコン酸無水物)および2−メチレンコハク酸無水物(イタコン酸無水物)からなる群から選択される。下記にさらに詳しく述べるが、これらの付加硬化型末端停止物質は、硬化中、揮発物質を抑制する働きをする。
【0037】
ポリアミド酸オリゴマーの調製は、本発明の教示によれば、基本的に、下記工程を含む。
(1)少なくとも1種の二無水物(例えば、BPDA)と少なくとも一種のジアミン(例えば、BAPP)を、別々の反応容器に仕込み、
(2)一定量の適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP))を各反応容器に添加し、一方の容器では二無水物のスラリーまたは溶液を形成させ、他方の容器ではジアミンのスラリーまたは溶液を形成させ、
(3)各反応容器中のスラリーまたは溶液を、約50〜約120℃の範囲の温度まで加熱し、前記二無水物およびジアミンを溶解し、
(4)各反応容器中の溶液を周囲の温度または室温まで冷却し、
(5)前記二無水物溶液を前記ジアミン溶液に、約10〜約60分間かけて徐々に添加し、
(6)付加硬化型末端停止物質溶液(例えば、NMP中シトラコン酸無水物(CA))を前記反応容器に添加し、そして
(7)前記溶液を約15〜約120分間攪拌し、アミド酸溶液を形成させ、この場合、このアミド酸溶液中の二無水物対ジアミン対付加硬化型末端停止物質のモル比が、約1.0/1.95/2.10〜約1.0/2.1/2.0の範囲にある。
【0038】
本発明により、反応温度を制御しながら、溶解した二無水物反応体を、溶解したジアミン反応体に徐々に添加することにより、得られる樹脂の分子量が減少し、ひいてはその融点および溶融粘度が好ましく低下することが分かった。
【0039】
本発明の方法での使用に適した溶媒としては、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN−メチルカプロラクタムなどのアミド系溶媒が挙げられ、このうちNMPおよびN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
【0040】
二無水物対ジアミン対付加硬化型末端停止物質のモル比は、前記溶液を攪拌することにより、少なくとも一つの末端停止ラジカルを有し、融点が約250℃未満であり、250℃での溶融粘度が約25000cps未満のポリイミドを形成するための鎖延長および架橋結合に適した低分子量プリポリマーが形成されるようなモル比である。通常、これらのプリポリマーは、重量平均分子量が、1モル当り約10000グラム未満(g/mol)であり、一般的には約5000g/mol未満である。
【0041】
好ましい実施形態において、二無水物:ジアミン:付加硬化型末端停止物質のモル比は、1.0/2.0/2.01であり、より好ましくは、このモル比は、n/n+1/2である。
【0042】
本発明のポリイミドオリゴマーまたは樹脂は、ポリアミド酸オリゴマーを化学的または熱的手段によってイミド化し、脱水および環化を生じさせることによって得られる。一実施形態において、イミド粉末形態のポリイミドオリゴマーの合成は、化学イミド化によって行われ、その際、強酸を用いて閉環を促進し、共沸剤を用いて共沸水を除去する。好ましい一実施形態においては、メタンスルホン酸等の強酸を触媒として使用し、トルエン等の第三級アミン共溶媒の使用により共沸水を除去する。より具体的には、イミド粉末は、以下の工程により調製される。
(1)約20〜約40重量%(好ましくは約25〜約35重量%)のアミド酸溶液および約60〜約80重量%(好ましくは約65〜約75重量%)の共沸剤(例えば、トルエン)を反応容器に入れ、
(2)約0.05〜約0.5重量%(好ましくは約0.1〜約0.2重量%)の強酸性触媒(例えば、メタンスルホン酸)を反応容器に仕込み、混合物を形成し、
(3)反応容器中の混合物を、約100〜約130℃(好ましくは約120〜約125℃)の温度になるまで約2〜約6時間加熱し、
(4)前記混合物を周囲の温度または室温まで冷却し、
(5)反応容器から共沸剤を除去し、そして
(6)反応容器中に含まれる残留溶液から固形物、すなわちイミド粉末を単離し回収する。
【0043】
さらに、本発明により、強酸および共沸剤は、上記の量で使用した場合、閉環温度を効果的に制御する働きをすることも分かった。より具体的には、強酸はより多くの水を生成させ、一方、共沸剤はこの系の還流点を低下させる。
【0044】
BPDAまたはBTDAを、3,4’−ODA、4,4’−ODA、BAPPおよびAPBからなる群から選択されるジアミンと反応させ、すべての残留アミン基をCAまたはIAで末端停止することによりオリゴマーを調製する場合、とくに有利なポリイミドオリゴマーまたは樹脂が提供される。たとえば、本発明により、(とりわけ)以下のオリゴマーが考えられる。
(i) BPDA//3,4’−ODA/BAPP//CA、
(ii) BPDA//4,4’−ODA/BAPP//CA、
(iii)BTDA//3,4’−ODA/BAPP//CA、
(iv) BPDA//3,4’−ODA/m−APB//CA、および
(v) BPDA//3,4’−ODA/BAPP//IA。
【0045】
プリプレグ溶液として、または接着剤としての使用に適した、本発明により考えられる溶液は、上記のポリアミド酸オリゴマーおよび/またはポリイミドオリゴマーならびに有機溶媒を含む。好ましい一実施形態において、この溶液中のオリゴマーの濃度は、約25重量%以上(好ましくは約25〜約40重量%)、この溶液の粘度は、約10〜約140ポアズ(好ましくは約25〜約70ポアズ)の範囲である。
【0046】
複合材料用のプリプレグは、適切な布(fabric)または他の強化材に上記プリプレグ溶液を含浸させる従来の方法により作製してもよい。
【0047】
複合材料用のプリプレグは、下記に詳述するように、布の層と、本発明のオリゴマーを含む樹脂フィルムの層とを交互に積層した後、得られた積層材料の積層体に対し、単純硬化スケジュールまたはサイクルを実施することにより作製してもよい。
【0048】
さらに別の方法によれば、本発明のオリゴマーを紡績して繊維とし、強化材料の繊維とともに製織してプリプレグを製造してもよい。このプリプレグを、積層したオリゴマーフィルムと布層とから複合材料を形成する方法と同様の方法で硬化させる。
【0049】
また、ポリマー粉末添加方法または技術を用いてプリプレグを調製してもよい。このような無溶媒法または技術の1つでは、繊維束を広げ、粉末をその繊維束内に分散させたのち、その繊維束を収縮させて粉末を適切な位置に保持させることにより乾燥粉末を繊維束に含有させる。つぎに、この粉末含有繊維束をオーブン内を通過させ、プリプレグを調製する。
【0050】
本発明の低空隙容量複合材料は、従来の方法または技術(例えば、ホットプレス法)および単純硬化スケジュールを用いて、ポリイミド含浸プリプレグから製造してもよい。
【0051】
上記のように本発明のポリイミドオリゴマーまたは樹脂は、約370℃以下(好ましくは、約350℃以下)の温度で、縮合反応ではなく付加反応によって硬化するため、硬化中、揮発物質を抑制する。本発明のポリイミドオリゴマーまたは樹脂の硬化温度は、PETI樹脂に関して上述した温度より低い。
【0052】
本発明の複合材料の硬化スケジュールまたはサイクルは、二段階から成る。すなわち、揮発物質除去後、圧密を行う第一段階、および完全に硬化させる第二段階である。第一段階において、例えば、ホットプレス機により、プリプレグの温度を約250℃まで上昇させ、この温度で約1〜約4時間保持し、揮発物質を除去するのが好ましい。その後、ホットプレス機によりプリプレグに圧力を加え、圧密させて空隙を除去し、このとき圧力は約4.2〜約6.0メガパスカル(MPa)まで増加させる。同時に、プリプレグの温度は、約350℃まで上昇させる。第二段階では、この圧密プリプレグの温度を、約1〜約4時間350℃で維持し、不揮発性物質生成反応により架橋結合させる。
【0053】
本発明の新規な付加硬化型末端停止物質を有するポリイミドオリゴマーまたは樹脂が、前記二段階硬化サイクルの第一段階の間、十分低い粘度(すなわち2500ポアズ以下)を維持することにより、揮発性物質を有効に除去した後この複合材料を圧密させ、空隙を排除することが可能となる。前記二段階硬化サイクルの第二段階では、不揮発物質生成反応によって架橋結合が生じる。すなわち、本発明のポリイミドオリゴマーまたは樹脂は「クリーンな」二段階硬化を生じさせる。
【0054】
本発明により得られる高温複合材料は、硬化後、これらの複合材料を、航空宇宙、軍事、およびインフラ補修用途といった多岐にわたる用途における使用に適したものにする望ましい性質の組み合わせを示す。より具体的には、これらの高温複合材料は、約200℃を越える使用温度を示し、さらに約210℃〜約300℃(好ましくは約210℃〜約275℃)の範囲のTg、約400〜約1200MPaの範囲の曲げ強度(ASTM D−790)、強靱性、耐微小クラック性、耐溶媒性および耐湿性、損傷許容性、ならびに高温/湿潤条件下で良好に保持される機械的特性を示す。
【0055】
本発明の複合材料はまた、低空隙容量を有する。「低空隙容量」とは、複合材料の空隙容量、すなわちその複合材料の空間容積が、その複合材料の体積の約1〜約2(好ましくは約0.5〜約1.5、より好ましくは約0.5〜約1.0)パーセント(%)であることを意味する。本発明の複合材料の空隙容量は、PMR−15およびRP−46複合材料に関して上述したものより低い。
【0056】
本発明の複合材料に用いるのに適した強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、石英繊維が挙げられる。
【0057】
本発明の溶液はまた、大面積の実質的に空隙の無い接着を可能にすることにより、実質的に空隙の無い積層体の製造を可能にする接着剤としても使用し得る。その例として、カーボンまたはガラス布等の材料を、本発明の溶液をこれらの布の表面に塗布することにより積層し、この布層を作製した後、作製した層に対し上記の二段階硬化スケジュールまたはサイクルを実施する。当業者には容易に理解されるように、従来技術のポリイミド積層体の硬化中の揮発物質発生に起因する剥離の問題は、本発明によって解決される。
【実施例】
【0058】
つぎに、以下の具体的実施例を参照しながら本発明を説明する。しかしながら、これらの実施例は、総じて広範囲に及ぶ本発明を制限することを意図するものではない。
【0059】
各実施例では、以下の検査方法に従って曲げ強度およびガラス転移温度を検査した。
曲げ強度(MPa):
曲げ強度は、ASTM D−790に従って測定した。
ガラス転移温度(Tg):
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて窒素雰囲気中2℃/分の昇温速度で測定した。
【0060】
特に記載のない限り、BPDA/CA//3,4’−ODA/BAPPプリプレグ溶液および複合材料の調製に関して下記に詳述する手順や条件などは、本実施例において、実施例9〜17のその他のプリプレグ溶液および複合材料の調製にも使用した。
【0061】
[実施例1〜8]
BPDA/CA(83/34)//3,4’−ODA/BAPP(85/15)
実施例1〜8において、成分3,4’−ODA(34.000g、0.170mol)、BAPP(12.300g、0.030mol)およびNMP(104.15g)を、機械攪拌機およびヒータを備えた500ミリリッター(ml)の三つ口フラスコに添加した。得られた混合物を完全に溶解し、溶液とした。BPDA(48.804g、0.166mol)を、NMP(104.15g)に分散させ、得られた分散液を上記三つ口フラスコ内の溶液に添加した。つぎに、得られた混合物を、毎分80回転(rpm)の速度で、60℃で8時間攪拌し、溶液を得た。最後に、NMP(10.0g)中CA(7.616g、0.068mol)溶液を前記三つ口フラスコ内の溶液に添加し、得られた混合物を60℃で2時間攪拌した。固形分30重量%、粘度31ポアズのプリプレグ溶液を得た。
【0062】
つぎに、サイテック・エンジニアド・マテリアルズ社(Cytec Engineered Materials、Inc.)(1440 N.クレーマー・ブールバード、アナハイム、カリフォルニア州 92806(1440 N. Kraemer Blvd.,Anaheim,CA 92806))(「サイテック・エンジニアド・マテリアルズ(Cytec Engineered Materials)」)から入手したカーボン織布シート8枚に、下記の条件下で前記プリプレグ溶液を含浸させた。各シートを前記プリプレグ溶液でぬらした後、80℃で20分間乾燥させた。つぎに、各シートを前記プリプレグ溶液で再度ぬらし、再び80℃で20分間乾燥させた。つぎに、乾燥させたシートを以下のスケジュールに従ってイミド化した。すなわち、120℃で1時間、150℃で0.5時間、200℃で1時間、および250℃で1時間。つぎに、イミド化した8枚のシートを、株式会社東洋精機製作所製の11×18センチメートル(cm)ホットプレス機(モデルNo.MP−SCH)に並べ、初期圧力4.2メガパスカル(MPa)をかけ、下記の表1に記載した硬化処理を行った。この初期圧力は、硬化温度の上昇に伴い、経時的に5〜6MPaまで増加させた。このプロセスを7回繰り返した。得られた複合材料の硬化樹脂とカーボン布の合計に対する硬化樹脂の重量パーセント([硬化樹脂]/{[硬化樹脂]+[カーボン布]})は、30〜35重量%の範囲であった。これらの複合材料は、調製後、曲げ強度およびガラス転移温度の検査を行い、その結果を表1に示した。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例1〜8は、高度の曲げ強度(曲げ強度平均値=826)を示した。各複合材料(実施例7の複合材料を除く)の表面は滑らかであり、良好な樹脂流動および良好な加工窓(processing window)を示した。また、これらの複合材料のガラス転移温度(Tg平均値=227℃)は低く、実際、同一のプリプレグ溶液をキャスティングしたフィルムについて得られたものより低かった。
【0065】
[実施例9]
BPDA/CA(83/34)//4,4’−ODA/BAPP(85/15)
本実施例では、芳香族ジアミン3,4’−ODAの代わりに、芳香族ジアミン4,4’−ODAを使用した。プリプレグ溶液は、固形分が30重量%であり、粘度は64ポアズであった。複合材料検査結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例9は、許容レベルの曲げ強度を示したが、表面はいくぶん粗く、最適な樹脂流動には及ばないことを示した。この複合材料のガラス転移温度は、上記実施例1〜8の平均値より高かった。
【0068】
[実施例10〜13]
BPDA/CA(80/40)//4,4’−ODA/BAPP(50/50)
これらの実施例では、芳香族酸二無水物の末端停止物質に対する比率および芳香族ジアミン4,4’−ODAの芳香族ジアミンBAPPに対する比率を、それぞれ80/40および50/50に変更した。プリプレグ溶液は、固形分が30重量%であり、粘度は28ポアズであった。複合材料検査結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例10〜13は、高度の曲げ強度(曲げ強度平均値=765)を示した。各複合材料表面は滑らかであり、良好な樹脂流動および良好な加工窓を示した。また、これらの複合材料のガラス転移温度(Tg平均値=219℃)は、先の実施例よりやや低く、同一のプリプレグ溶液をキャスティングしたフィルムについて得られたものより低かった。
【0071】
[実施例14および15]
BTDA/CA(83/34)//3,4’−ODA/BAPP(85/15)
実施例1〜8で使用した芳香族酸二無水物BPDAの代わりに、これらの実施例では、芳香族酸二無水物BTDAを使用した。プリプレグ溶液は、固形分が30重量%であり、粘度は32ポアズであった。複合材料検査結果を表4に示す。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例14および15も、高度の曲げ強度(曲げ強度平均値=718)を示したが、表面はいくぶん粗く、最適な樹脂流動には及ばないことを示した。これらの複合材料のガラス転移温度(Tg平均値=248℃)は、上記実施例1〜8の平均値よりやや高かった。
【0074】
[実施例16]
BPDA/CA(83/34)//3,4’−ODA/m−APB(85/15)
実施例1〜8で使用した芳香族ジアミンBAPPの代わりに、本実施例では、芳香族ジアミンm−APBを使用した。プリプレグ溶液は、固形分が30重量%であり、粘度は33ポアズであった。複合材料検査結果を表5に示す。
【0075】
【表5】

【0076】
実施例16は、高度の曲げ強度を示した。この複合材料の表面は滑らかであり、良好な樹脂流動および良好な加工窓を示した。また、この複合材料のガラス転移温度は、先の実
施例で得られた平均ガラス転移温度より低く、同一のプリプレグ溶液をキャスティングしたフィルムについて得られたものより低かった。
【0077】
[実施例17]
BPDA/IA(83/34)//3,4’−ODA/BAPP(85/15)
実施例1〜8で使用した末端停止物質CAの代わりに、本実施例では、末端停止物質IAを使用した。プリプレグ溶液は、固形分が30重量%であり、粘度は31ポアズであった。複合材料検査結果を表6に示す。
【0078】
【表6】

【0079】
実施例17も高度の曲げ強度を示した。この複合材料の表面は滑らかであり、良好な樹脂流動および良好な加工窓を示した。また、この複合材料のガラス転移温度は、実施例16と同じであり、同一のプリプレグ溶液をキャスティングしたフィルムについて得られたものより低かった。
【0080】
上記実施例は、本発明の教示に従って調製されたポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーはTgが低く良好な加工窓を有している一方、本発明の複合材料は、高い曲げ強度という形で良好な曲げ特性を示すことを実証するものである。
【0081】
[比較例C−1〜C−3]
スカイボンド(SKYBOND)1000
これらの比較例では、サイテック・エンジニアド・マテリアルズから入手したカーボン織布シート8枚に、インダストリアル・サミット・テクノロジー社(Industrial Summit Technology Corporation)(500 チーズクエーク・ロード、パーリン、ニュージャージー州 08859(500 Cheesequake Road,Parlin,NJ 08859))から製品名スカイボンド1000として入手したポリイミド前駆体の溶液を以下の条件で含浸させた。すなわち、各シートをスカイボンド1000プリプレグ溶液でぬらした後、80℃で20分間乾燥させた。つぎに、この乾燥させたシートを以下のスケジュールに従ってイミド化した。すなわち、120℃で1時間、150℃で0.5時間、200℃で1時間、および225℃で1時間。つぎに、この乾燥させイミド化したシートを、株式会社東洋精機製作所製の11×18cmホットプレス機(モデルNo.MP−SCH)に並べ、初期圧力4.2MPaをかけ、下記の表7に記載した硬化処理を行った。この初期圧力は、硬化温度の上昇に伴い、経時的に5〜6MPaまで増加させた。このプロセスを2回繰り返した。得られた複合材料の硬化樹脂とカーボン布の合計に対する硬化樹脂の重量パーセント([硬化樹脂]/{[硬化樹脂]+[カーボン布]})は、35〜40重量%の範囲であった。これらの複合材料は、調製後、曲げ強度およびガラス転移温度の検査を行い、その結果を表7に示した。
【0082】
【表7】

【0083】
比較例C−1〜C−3は、低い曲げ強度(曲げ強度平均値=543)を示した。これらの複合材料の表面は粗く、最適な樹脂流動に及ばないことを示した。さらに、これらの複合材料のガラス転移温度(Tg平均値=308℃)は、上記実施例1〜17の平均値よりかなり高かった。
【0084】
[比較例C−4〜C−8]
スカイボンド(SKYBOND)2000
スカイボンド1000プリプレグ溶液の代わりに、比較例C−4〜C−8では、実施例C−1〜C−3に関して詳細に上述した手順、条件などに従ってスカイボンド(SKYBOND)2000プリプレグ溶液を用いて調製した。複合材料検査結果を表8に示す。
【0085】
【表8】

【0086】
比較例C−4〜C−8も、低い曲げ強度(曲げ強度平均値=660)を示した。比較例C−4の表面は粗かった。これらの複合材料のガラス転移温度(Tg平均値=266℃)も、上記実施例1〜17の平均値より高かった。
【0087】
本発明の様々な実施形態を上述したが、当然のことながら、これらの実施形態は単なる例にすぎず、限定するものではない。このように、広範囲に渡る本発明は、いずれの例示的実施形態によっても限定されるべきではない。
【0088】
このように、本発明を説明してきたが、特許請求の範囲は別途記載したとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物を使用する方法であって、ポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーを形成する反応において、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物を付加硬化型末端停止物質として使用することを含む方法。
【請求項2】
ポリアミド酸オリゴマーであって、1種以上の芳香族酸二無水物と、1種以上の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物から成る群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質とを反応させることにより得られるポリアミド酸オリゴマー。
【請求項3】
前記芳香族酸二無水物が、その化学構造中に二つ以上の芳香環を有する、請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項4】
前記芳香族酸二無水物が、以下の式(I)または以下の一般式(II)によって表される、請求項3に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【化1】

【化2】

(ただし、Zは−CO−、−O−、−SO2−または直接結合を表す。)
【請求項5】
前記芳香族酸二無水物が、式(I)によって表され、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を含む、請求項4に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項6】
前記芳香族酸二無水物が、式(II)によって表され、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1’,2,2’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項4に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項7】
樹脂が、2種の芳香族酸二無水物と、1種以上の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物から成る群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質との反応生成物であり、第一の二無水物は、前記2種の芳香族酸二無水物の総重量に対して約5〜約40重量%の範囲の量で存在し、第二の二無水物は、前記2種の芳香族酸二無水物の総重量に対して約60〜約95重量%の範囲の量で存在している、請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項8】
前記芳香族ジアミンが、その化学構造中に少なくとも一つのエーテル結合を有する、請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項9】
前記芳香族ジアミンが、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、m−フェニレンジアミン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項8に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項10】
前記オリゴマーが、1種以上の芳香族酸二無水物と、2種の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物から成る群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質との反応生成物であり、少なくとも1種のジアミンが、その化学構造中に一つ以上の酸素結合を有しており、前記2種の芳香族ジアミンの総重量に対して少なくとも50重量%の量で存在している、請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項11】
前記芳香族ジアミンが、ゴム成分との組み合わせで使用される、請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項12】
前記ゴム成分が、アミンを末端に有するゴムである、請求項11に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項13】
前記アミンを末端に有するゴムが、アミンを末端に有するシリコーンゴムである、請求項12に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項14】
前記アミンを末端に有するシリコーンゴムが、前記芳香族ジアミンおよびシリコーンゴムの総重量に対して約30重量%未満の量で存在する、請求項13に記載のポリアミド酸オリゴマー。
【請求項15】
請求項2に記載のポリアミド酸オリゴマーを縮合させることによって得られるポリイミドオリゴマーであって、前記ポリイミドオリゴマーが、約370℃以下の温度で硬化する、ポリイミドオリゴマー。
【請求項16】
(a)ポリアミド酸オリゴマーおよびポリイミドオリゴマーのうち少なくとも1つと、(b)1種以上の有機溶媒とを含む溶液であって、前記ポリアミド酸オリゴマーが、1種以上の芳香族酸二無水物と、1種以上の芳香族ジアミンと、シトラコン酸無水物およびイタコン酸無水物から成る群から選択される1種以上の付加硬化型末端停止物質とを反応させることにより得られ、前記ポリイミドオリゴマーが、前記ポリアミド酸オリゴマーの縮合生成物である、溶液。
【請求項17】
前記オリゴマーが、約25重量%以上の濃度で前記溶液中に存在し、前記溶液の粘度が、約10〜約140ポアズの範囲である、請求項16に記載の溶液。
【請求項18】
繊維強化材に請求項16に記載の溶液を含浸させたプリプレグを圧密硬化させることにより得られる高温・低空隙容量・繊維強化複合材料。
【請求項19】
前記複合材料の体積の約1〜約2パーセントの範囲の空隙容量を有する、請求項18に記載の高温・低空隙容量・繊維強化複合材料。
【請求項20】
前記複合材料の体積の約0.5〜約1.5パーセントの範囲の空隙容量を有する、請求項19に記載の高温・低空隙容量・繊維強化複合材料。
【請求項21】
請求項16に記載の溶液から製造される接着剤。

【公開番号】特開2012−46753(P2012−46753A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205915(P2011−205915)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【分割の表示】特願2008−547404(P2008−547404)の分割
【原出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(504332528)アイ.エス.ティー.(エムエー)コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】