位置合わせ装置および位置合わせ方法
【課題】 2つの基体を容易かつ迅速に位置合わせさせることが可能な位置合わせ装置および位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】 駆動パネル20を封止パネル10に対向させた状態において、XステージおよびYステージを使用して、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が封止パネル10に設けられている特定のアライメントマークM10Aの位置と一致するように、X軸方向およびY軸方向に駆動パネル20を移動させたのち、θステージを使用して、駆動パネル20に設けられている他のアライメントマークM20Bの位置が封止パネル10に設けられている他のアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として駆動パネル20を回転させる。駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより、その駆動パネル20が封止パネル10に対して高精度に位置合わせされる。
【解決手段】 駆動パネル20を封止パネル10に対向させた状態において、XステージおよびYステージを使用して、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が封止パネル10に設けられている特定のアライメントマークM10Aの位置と一致するように、X軸方向およびY軸方向に駆動パネル20を移動させたのち、θステージを使用して、駆動パネル20に設けられている他のアライメントマークM20Bの位置が封止パネル10に設けられている他のアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として駆動パネル20を回転させる。駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより、その駆動パネル20が封止パネル10に対して高精度に位置合わせされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせに代表される2つの基体を互いに位置合わせさせるために使用される位置合わせ装置および位置合わせ方法に係り、特に、2つの基体のそれぞれに設けられた位置合わせ用のマーク(位置合わせマーク)に基づいて、それらの2つの基体を互いに位置合わせさせる位置合わせ装置および位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRT(Cathode-Ray Tube)に代わるディスプレイとして、多様な表示機構を有するディスプレイが知られている。中でも、有機発光素子の発光現象、いわゆる有機EL(Electro-Luminescence)現象を利用して映像を表示する有機ELディスプレイは、例えば、自発光型であるために視野角が広く、かつ消費電力が低い点において優れている。
【0003】
有機ELディスプレイは、主に、2つの基体が対向配置された構成を有しており、具体的には駆動用基板の一面に有機発光素子および駆動素子(例えばTFT(Thin Film Transistor))などが設けられた構成を有する一方の基体としての駆動パネルと、封止用基板の一面にカラーフィルタなどが設けられた構成を有する他方の基体としての封止パネルとが対向され、それらの駆動パネルと封止パネルとが接着剤を介して互いに貼り合わされた構成を有している。
【0004】
この有機ELディスプレイの製造工程では、一般に、封止パネルと駆動パネルとを互いに貼り合わせる際に、有機発光素子の位置とカラーフィルタの位置とが所定の位置関係となるように封止パネルと駆動パネルとを互いに位置合わせさせる必要がある。具体的には、例えば、色の3原色に対応して3色(R;Red ,G;Green ,B;Blue)に発光可能な3種類の有機発光素子を使用する場合には、その3種類の有機発光素子がカラーフィルタ中の3色(R,G,B)の領域に対応してそれぞれ位置するように、封止パネルに対して駆動パネルを位置合わせさせなければならない。この駆動パネルおよび封止パネルの位置合わせは、一般に、移動機構や回転機構を有する位置合わせ装置(アライナー)を使用し、封止パネルおよび駆動パネルのそれぞれに設けられた位置合わせマーク(アライメントマーク)に基づいて、封止パネルまたは駆動パネルを必要に応じて移動および回転させることにより実施されている。
【0005】
図13および図14は従来のアライナーの構成を表しており、図13は側面構成(Y軸方向から見た構成)を示し、図14は平面構成(Z軸方向から見た構成)を示している。このアライナーは、例えば、二角部に2つのアライメントマークM110A,M110B(図14中の白い十字印)が設けられた矩形型の封止パネル110と、同様に二角部に2つのアライメントマークM120A,M120B(図14中の黒い十字印)が設けられた矩形型の駆動パネル120とを互いに位置合わせさせるために使用されるものであり、ベース101によりZステージ102およびアーム103を介して支持された上ホルダ104と、同様にベース101によりXステージ105、Yステージ106およびθステージ107を介して支持された下ホルダ108と、図示しない支持機構により支持された顕微鏡109とを備えている。上ホルダ104および下ホルダ108は、それぞれ封止パネル110および駆動パネル120を保持可能に対向配置されており、θステージ107は、下ホルダ108のほぼ中心に対応して位置する回転軸Jを有している。
【0006】
このアライナーを使用して封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせる場合には、上ホルダ104および下ホルダ108にそれぞれ封止パネル110および駆動パネル120を保持させた状態において、Xステージ105およびYステージ106を使用して下ホルダ108をX軸方向およびY軸方向に移動させると共に、θステージ107を使用して下ホルダ108を回転軸Jを中心として回転させることにより、封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせることが可能である。この際、顕微鏡109を使用してアライメントマークM110A,M110B,M120A,M120Bを観察しながら下ホルダ108を移動および回転させることにより、アライメントマークM120Aの位置がアライメントマークM110Aの位置と一致すると共に同様にアライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように、封止パネル110に対して駆動パネル120が位置合わせされる。
【0007】
なお、上記した封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせに使用されるアライナーとは異なるものの、そのアライナーと同様に移動機構および回転機構を有する装置としては、例えば、フォトレジストが設けられた半導体基板に対して露光マスクを位置合わせさせることにより、その露光マスクを使用してフォトレジストを露光する露光装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この露光装置では、半導体基板に対して露光マスクを位置合わせさせる際に、その露光マスクを移動させると同時に回転させることが可能である。
【特許文献1】特開昭60−037732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、有機ELディスプレイの製造工程において量産性を確保するためには、例えば、アライナーを使用して封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせる際に、位置合わせ精度を確保することは当然として、容易かつ迅速に位置合わせさせることが可能であることが重要である。なぜなら、位置合わせの容易さおよび迅速さは、有機ELディスプレイの製造効率に大きく寄与するからである。しかしながら、従来のアライナーでは、主に構造的要因に起因して位置合わせに手間および時間を要するため、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、2つの基体を容易かつ迅速に位置合わせさせることが可能な位置合わせ装置および位置合わせ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る位置合わせ装置は、少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体とを互いに位置合わせさせるためのものであり、第1の基体を保持する第1の保持部と、第1の保持部に対向配置され、第2の基体を保持する第2の保持部と、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークに対応する位置に回転軸を有し、その回転軸を中心として第2の保持部を回転させる回転機構と、回転軸と直交する面内において第2の保持部を移動させる移動機構とを備え、移動機構が、特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸と直交する面内において第2の保持部を移動させるものであり、回転機構が、移動機構により第2の保持部が移動させられたのちに、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸を中心として第2の保持部を回転させるものである。
【0011】
本発明に係るアライメント方法は、少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体とを互いに位置合わせさせる方法であり、第2の基体を第1の基体に対向させた状態において、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、所定の面内において第2の基体を移動させたのち、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、特定の第2の位置合わせマークに対応して位置すると共に所定の面に直交する回転軸を中心として第2の基体を回転させるようにしたものである。
【0012】
なお、「特定の第2の位置合わせマーク」とは、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の1つであり、位置合わせ時に最初に位置合わせ用の基準として使用されるものである。同様に、「特定の第1の位置合わせマーク」とは、第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうち、特定の第2の位置合わせマークに対応して位置している特定の1つであり、その特定の第2の位置合わせマークと共に位置合わせ時に最初に位置合わせ用の基準として使用されるものである。また、「他の第2の位置合わせマーク」とは、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうち、特定の第2の位置合わせマーク以外の他の1つであり、位置合わせ時に最後に位置合わせ用の基準として使用されるものである。同様に、「他の第1の位置合わせマーク」とは、第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうち、他の第2の位置合わせマークに対応して位置している、特定の第1の位置合わせマーク以外の他の1つであり、その他の第2の位置合わせマークと共に位置合わせ時に最後に位置合わせ用の基準として使用されるものである。
【0013】
本発明に係る位置合わせ装置または位置合わせ方法では、第2の基体が第1の基体に対向された状態において、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマークの位置が、その特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸と直交する面内において第2の基体が移動される。こののち、第2の基体に設けられている他の第2の位置合わせマークの位置が、その他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸を中心として第2の基体が回転されることにより、第1の基体と第2の基体とが互いに位置合わせされる。他の第2の位置合わせマークの位置が他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように第2の基体が回転される際に、特定の第1の位置合わせマークおよび特定の第2の位置合わせマークに基づいて既に位置合わせされた第1の基体と第2の基体との間の位置関係が維持されるため、それらの第1の基体と第2の基体との間の位置合わせ関係を維持したまま、他の第1の位置合わせマークおよび他の第2の位置合わせマークに基づいて第1の基体に対して第2の基体が位置合わせされる。これにより、第2の基体が一度だけ移動されると共に一度だけ回転されることにより第1の基体に対して高精度に位置合わせされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る位置合わせ装置または位置合わせ方法によれば、第2の基体が第1の基体に対向された状態において、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマークの位置が第1の基体に設けられている特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように回転軸と直交する面内において第2の基体が移動されたのち、第2の基体に設けられている他の第2の位置合わせマークの位置が第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように回転軸を中心として第2の基体が回転されることにより、第1の基体と第2の基体とが互いに位置合わせされる手順的特徴に基づき、第2の基体が一度だけ移動されると共に一度だけ回転されることにより第1の基体に対して高精度に位置合わせされるため、2つの基体を容易かつ迅速に位置合わせさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る位置合わせ装置としてのアライナーの構成について説明する。図1〜図3はアライナーの構成を表しており、図1および図3は側面構成(Y軸方向から見た構成)を示し、図2は平面構成(Z軸方向から見た構成)を示している。図1および図3では、図1が使用時の状態を示し、図3が非使用時の状態を示している。なお、本発明の位置合わせ方法は本実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順において実現されるため、その位置合わせ方法については以下で併せて説明する。
【0017】
本実施の形態に係るアライナーは、2つの基体を互いに位置合わせさせるために使用されるものであり、より具体的には少なくとも2つの一方のアライメントマーク(第1の位置合わせマーク)設けられた一方の基体(第1の基体)と、その一方のアライメントマークに対応して少なくとも2つの他方のアライメントマーク(第2の位置合わせマーク)が設けられた他方の基体(第2の基体)とを使用し、それらの2種類のアライメントマークを位置合わせ用の基準として利用することにより第1の基体と第2の基体とを互いに位置合わせさせるものである。ここでは、例えば、2つの基体として、二角部に2つのアライメントマークM10A,M10B(図2に示した白い十字印;第1の位置合わせマーク)が設けられた矩形型の封止パネル10(第1の基体)と、同様に二角部に2つのアライメントマークM20A,M20B(図2に示した黒い十字印;第2の位置合わせマーク)が設けられた矩形型の駆動パネル20(第2の基体)とを使用する場合について説明する。
【0018】
このアライナーは、例えば、図1〜図3に示したように、ベース1によりZステージ2およびアーム3を介して支持された上ホルダ4と、同様にベース1によりXステージ5、Yステージ6およびθステージ7を介して支持された下ホルダ8と、図示しない支持機構により支持された顕微鏡9とを備えている。
【0019】
ベース1は、アライナー全体を支持するための土台である。
【0020】
Z軸ステージ2は、例えば、ベース1により支持された状態においてZ軸方向(後述する回転軸Jと平行な方向)に伸縮可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用して伸縮することによりアーム3と共に上ホルダ4をZ軸方向に移動させる補助移動機構である。すなわち、Z軸ステージ2は、Z軸方向に上ホルダ4を移動させることにより、その上ホルダ4と下ホルダ8との間の間隔を変化させることが可能である。より具体的には、Zステージ2は、例えば、図1に示したように、アライナーの使用時に収縮することにより上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように配置させると共に、図3に示したように、アライナーの非使用時(例えば停止時)に延伸することにより上ホルダ4を下ホルダ8から遠ざけるように配置させることが可能になっている。
【0021】
アーム3は、Z軸ステージ2の伸縮動作を上ホルダ4に伝達させるものであり、一端側においてZ軸ステージ2に連結されていると共に他端側において上ホルダ4に連結されている。
【0022】
上ホルダ4は、封止パネル10を保持する第1の保持部であり、下ホルダ8に対向配置されている。この上ホルダ4は、例えば、図示しないバキューム機構を搭載しており、そのバキューム機構を利用して封止パネル10を吸引することにより保持することが可能になっている。
【0023】
Xステージ5は、ベース1により支持された状態においてX軸方向にスライド可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用してスライドすることによりYステージ6およびθステージ7と共に下ホルダ8をX軸方向に移動させる移動機構である。すなわち、Xステージ5は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたままX軸方向に移動させることが可能になっている。
【0024】
Yステージ6は、ベース1により支持された状態においてY軸方向にスライド可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用してスライドすることによりθステージ7と共に下ホルダ8をY軸方向に移動させる移動機構である。すなわち、Yステージ6は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたままY軸方向に移動させることが可能になっている。
【0025】
θステージ7は、ベース1により支持された状態において回転軸Jを中心として回転可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用して回転することにより回転軸Jを中心として下ホルダ8を回転させる回転機構である。このθステージ7の回転動作を規定する回転軸Jは、下ホルダ8のほぼ中心に対応して位置しておらずに、その下ホルダ8の一角部に対応して位置しており、具体的には駆動パネル20に設けられている2つのアライメントマークM20A,M20Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Aに対応して位置している。すなわち、θステージ7は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたまま回転させることが可能になっている。特に、θステージ7は、Xステージ5およびYステージ6による移動動作時に下ホルダ8を併せて回転させずに、Xステージ5およびYステージ6による移動動作が完了したのちに下ホルダ8を回転させるようになっている。
【0026】
下ホルダ8は、駆動パネル20を保持する第2の保持部であり、上ホルダ4に対向配置されている。この下ホルダ8は、例えば、上ホルダ4と同様に図示しないバキューム機構を搭載しており、そのバキューム機構を利用して駆動パネル20を吸引することにより保持することが可能になっている。特に、下ホルダ8は、Xステージ5およびYステージ6により、互いに直交する2つの方向(X軸方向およびY軸方向)に移動させられ、すなわち回転軸Jと直交する面(X軸およびY軸の双方を含む面;XY面)内において移動させられるようになっている。
【0027】
顕微鏡9は、封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせる際に、その封止パネル10に設けられているアライメントマークM10A,M10Bを観察すると共に、駆動パネル20に設けられているアライメントマークM20A,M20Bを封止パネル10越しに観察するために使用される観察機器である。この顕微鏡9は、例えば、上記したように、図示しない支持機構により支持されており、図2に示したように、XY面内において、位置合わせ完了時にアライメントマークM10A,M20Aが位置することなる位置近傍に対応して配置されている。特に、顕微鏡9は、例えば、上記した支持機構により支持された状態で、Y軸方向において、位置合わせ完了時にアライメントマークM10A,M20Aが位置することなる位置近傍に対応した位置P1と、同様に位置合わせ完了時にアライメントマークM10B,M20Bが位置することとなる位置近傍に対応した位置P2との間を移動することが可能になっている。なお、顕微鏡9は、例えば、図3に示したように、上記した支持機構により支持された状態において、上ホルダ4と同様にZ軸方向に移動することも可能になっている。
【0028】
なお、アライナーを使用して位置合わせされる封止パネル10および駆動パネル20の構成は、例えば、以下の通りである。すなわち、封止パネル10は、例えば、封止用基板の一面に、3色(R,G,B)のフィルタ領域を有するカラーフィルタなどが設けられた構成を有するものであり、透光性を有している。一方、駆動パネル20は、例えば、駆動用基板の一面に、3色(R,G,B)に発光可能な3種類の有機発光素子や、その有機発光素子を発光させるための駆動素子(例えばTFT(Thin Film Transistor))などが設けられた構成を有するものであり、封止パネル10と同様に透光性を有している。
【0029】
次に、図1〜図6を参照して、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ手順について説明する。図4〜図6は図1〜図3に示したアライナーを使用した位置合わせ手順を説明するためのものであり、いずれも図2に対応する平面構成を示している。なお、図4〜図6では、図示内容を簡略化するためにアライナーの図示を省略しており、封止パネル10および駆動パネル20のみを示している。
【0030】
アライナーを使用して封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせる際には、例えば、図3に示したように、上ホルダ4および顕微鏡9の双方が下ホルダ8から遠ざけられた状態において、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させることにより、その上ホルダ4により保持された封止パネル10と下ホルダ8により保持された駆動パネル20とを互いに対向させたのち、まず、Zステージ2を使用して上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように移動させると共に、同様に顕微鏡9を下ホルダ8に近づくように移動させる。
【0031】
上ホルダ4に封止パネル10を保持させる際には、例えば、上ホルダ4により封止パネル10のうちのほぼ中央部分が保持されるように、その上ホルダ4に対して封止パネル10を配置させる。また、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる際には、例えば、顕微鏡9を位置P1(図2参照)に移動させたのち、その顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察することにより、その駆動パネル20に設けられている2つのアライメントマークM20A,M20Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Aが回転軸Jに対応して位置するように、下ホルダ8に対して駆動パネル20を配置させる。なお、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる場合には、アライメントマークM20Aが厳密に回転軸Jに対応して位置していなければならないわけではなく、そのアライメントマークM20Aと回転軸Jとの間の位置関係は、アライナーを使用して位置合わせ作業を実施する作業者(以下、単に「作業者」という。)が顕微鏡9を使用して目視で設定できる程度で十分である。ここでは、例えば、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させた状態において、封止パネル10と駆動パネル20との間の位置関係が図4に示した状態になったとする。
【0032】
続いて、顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察しながら、Xステージ5およびYステージ6を使用して、図5に示したように、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が、その特定のアライメントマークM20Aに対応して封止パネル10に設けられている2つのアライメントマークM10A,M10Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM10Aの位置と一致するように、XY面内においてX軸方向およびY軸方向に下ホルダ8を移動させる。これにより、アライメントマークM10A,M20Aに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる。なお、図5に示した破線は、アライメントマークM10A,M20Aに基づく位置合わせ前の駆動パネル20の位置(図4に示した駆動パネル20の位置)を参考までに示している。
【0033】
最後に、顕微鏡9を位置P1から位置P2に移動させたのち、その顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察しながら、θステージ7を使用して、図6に示したように、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20A以外の他のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Bの位置が、その他のアライメントマークM20Bに対応して封止パネル10に設けられている他のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として下ホルダ8を回転させる。これにより、アライメントマークM20A,M20Bに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる結果、封止パネル10に対する駆動パネル20の位置合わせが完了し、すなわちアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる。なお、図6に示した破線は、アライメントマークM10B,M20Bに基づく位置合わせ前の駆動パネル20の位置(図5に示した駆動パネル20の位置)を参考までに示している。
【0034】
本実施の形態に係る位置合わせ装置(アライナー)および位置合わせ方法では、下ホルダ8により保持された駆動パネル20を上ホルダ4により保持された封止パネル10に対向させた状態において、Xステージ5およびYステージ6を使用して、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が封止パネル10に設けられている特定のアライメントマークM10Aの位置と一致するように、X軸方向およびY軸方向に駆動パネル20を移動させたのち、θステージ7を使用して、駆動パネル20に設けられている他のアライメントマークM20Bの位置が封止パネル10に設けられている他のアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として駆動パネル20を回転させるようにしたので、以下の理由により、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができる。
【0035】
図7〜図9は従来のアライナー(図13および図14参照)を使用した位置合わせ手順に関する問題点を説明するためのものであり、それぞれ図4〜図6に対応する平面構成を表している。従来のアライナーを使用して、本実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順と同様の手順を経て位置合わせした場合には、上記したように、主にアライナーの構造的要因に起因して位置合わせに手間および時間を要するため、容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となる。
【0036】
すなわち、従来のアライナーを使用した場合には、例えば、上ホルダ104に封止パネル110を保持させると共に下ホルダ108に駆動パネル120を保持させることにより、封止パネル110と駆動パネル120との間の位置関係が図7に示した状態になった場合に、図8に示したように、Xステージ105およびYステージ106を使用してアライメントマークM120Aの位置がアライメントマークM110Aの位置と一致するように下ホルダ108を移動させたのちに、θステージ107を使用してアライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように下ホルダ108を回転させても、図9に示したように、封止パネル110に対して駆動パネル120が位置合わせされない。より具体的には、アライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように下ホルダ108を回転させると、θステージ107の回転軸Jが下ホルダ108のほぼ中心に対応して位置している構造的要因に起因して、そのθステージ107の回転動作に応じてアライメントマークM120A,M120Bが並進移動する結果、既にXステージ105およびYステージ106を使用してアライメントマークM110A,M120Aに基づいて位置合わせさせた封止パネル110と駆動パネル120との間の位置関係が崩れるため、それらの封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせ関係を維持したまま、アライメントマークM110B,M120Bに基づいて封止パネル110に対して駆動パネル120を位置合わせさせることができない。これにより、駆動パネル120を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル110に対して位置合わせさせることができないため、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となるのである。
【0037】
なお、従来のアライナーを使用した場合には、図7および図9から明らかなように、Xステージ105およびYステージ106を使用した下ホルダ108の移動動作およびθステージ107を使用した下ホルダ108の回転動作を経ることにより、封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせが図7に示した状態から図9に示した状態へ進行し、すなわちアライメントマークM120A,M120BがアライメントマークM110A,M110Bにそれぞれ近づくこととなるため、上記した下ホルダ108の移動動作および回転動作を複数回に渡って繰り返せば、最終的に封止パネル110に対して駆動パネル120を位置合わせさせることが可能であるものと見込まれる。しかしながら、この場合には、下ホルダ108の回転動作および回転動作を複数回に渡って繰り返さなければならない点において位置合わせに手間および時間を要するため、上記したように、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となるのである。確認までに説明しておくと、従来のアライナーを使用した場合には、上記したように下ホルダ108の移動動作および回転動作をこの順に経る手順を使用する場合に限らず、その手順と異なる他の手順を使用する場合においても同様に位置合わせに手間および時間を要してしまうことは言うまでもない。
【0038】
これに対して、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合には、上記したように下ホルダ8の移動動作および回転動作をこの順に経る手順を使用することにより位置合わせする際に、図5に示したように、Xステージ5およびYステージ6を使用してアライメントマークM20Aの位置がアライメントマークM10Aの位置と一致するように下ホルダ8を移動させたのちに、θステージ7を使用してアライメントマークM20Bの位置がアライメントマークM10Bの位置と一致するように下ホルダ8を移動させたとしても、図6に示したように、θステージ7が下ホルダ8の一角部に対応して位置し、具体的にはθステージ7の回転軸JがアライメントマークM20Aに対応して位置している構造的特徴に基づき、そのθステージ7の回転動作に応じてアライメントマークM20Aが静止したままでアライメントマークM20Bのみが回転移動する。この場合には、既にXステージ5およびYステージ6を使用してアライメントマークM10A,M20Aに基づいて位置合わせさせた封止パネル10と駆動パネル20との間の位置関係が維持されるため、それらの封止パネル10と駆動パネル20との間の位置合わせ関係を維持したまま、アライメントマークM10B,M20Bに基づいて封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせることが可能となる。したがって、本実施の形態では、従来の場合とは異なり、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能なため、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができるのである。
【0039】
ここで、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合に得られる効果(位置合わせの容易化および迅速化)に関して補足しておくと、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合には、厳密には、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる際に、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jと正確に一致するように駆動パネル20を下ホルダ8に対して配置させた場合に限り、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能となる。すなわち、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させた際に、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jからずれていた場合には、封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせるために、従来のアライナーを使用した場合と同様に、下ホルダ8の移動動作および回転動作をそれぞれ複数回に渡って繰り返す必要がある。しかしながら、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合と従来のアライナーを使用した場合との間において、一度の移動動作および一度の回転動作を経ることにより進行する位置合わせ度、すなわち封止パネルに設けられているアライメントマークと駆動パネルに設けられているアライメントマークとの間のずれ距離の収束度を比較すると、その位置合わせ度の進行具合(ずれ距離の収束割合)は従来のアライナーを使用した場合よりも本実施の形態に係るアライナーを使用した場合において向上し、すなわち一度の移動動作および一度の回転動作を経ることにより減少するずれ距離の減少割合が増加するため、本実施の形態に係るアライナーを使用すれば、より少ない移動回数および回転回数で、可能な限り手間および時間を要せずに位置合わせを完了させることが可能である。
【0040】
なお、上記では、位置合わせの厳密性に関する問題を説明する上で、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jと正確に一致するように下ホルダ8に対して駆動パネル20を配置させた場合に限り、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能であると説明したが、現実的には必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、アライメントマークM20Aの位置と回転軸Jとの位置合わせ精度に余裕があり、すなわちアライメントマークM20Aの位置が位置合わせ精度の範囲内であれば回転軸Jからずれていても、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ精度に大きな影響が及ばない場合には、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して高精度に位置合わせさせることが可能となる。したがって、この観点から見ても、本実施の形態に係るアライナーを使用することにより、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができるのである。
【0041】
また、参考までに、封止パネル10および駆動パネル20に設けられたアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20B間の位置関係と、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ精度との間の関係について説明しておくと、その位置合わせ精度は、特定のアライメントマークM10A,M20Aと他のアライメントマークM10B,M20Bとの間の距離が大きく、かつ一連のアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bの位置と封止パネル10および駆動パネル20のそれぞれの中心との間の距離が大きいほど向上する。なぜなら、その距離が大きいほど、上記した位置合わせ度の進行具合(ずれ距離の収束割合)が向上するからである。
【0042】
なお、本実施の形態に係るアライナーに関しては、例えば、図10に示したように、下ホルダ8のうちの顕微鏡9の配置位置に対応する箇所に孔31を設け、その孔31に光源32および光拡散板33を埋設するようにしてもよい。光源32は、封止パネル10および駆動パネル20の双方へ向けて光Lを放出する光放出素子であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子である。光拡散板33は、光源32から放出された光Lを拡散させることにより、その光Lの照射範囲を拡大させるためのものである。なお、下ホルダ8に光源32および光拡散板33を埋設する場合には、例えば、その下ホルダ8のうち、顕微鏡9による2つの観察位置、すなわち図2を参照して説明した顕微鏡9の配置位置P1,P2に対応する箇所に孔31を2つ設け、それぞれの孔31に光源32および光拡散板33を埋設させるのが好ましい。なお、孔31の設置位置や光源32および光拡散板33の設置個数は自由に設定可能である。この場合には、顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察する際に、光源32から放出される光Lに基づいて視野内の明るさを確保しながらアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bを観察することが可能になると共に、光拡散板33が光Lの照射範囲を拡大させることに基づいて明るさが確保された視野が広がるため、それらのアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bを明瞭に観察することができる。なお、図10では、下ホルダ8の構成を見やすくするために、その下ホルダ8についてのみ断面構成を示している。図10に示したアライナーに関する上記以外の構成は、図1に示した場合と同様である。
【0043】
また、本実施の形態に係るアライナーを使用すれば、例えば、図11および図12に示したように、単純に封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせるだけでなく、その位置合わせ後において封止パネル10と駆動パネル20とを互いに固定させることも可能である。具体的には、まず、例えば、図11に示したように、上ホルダ4が下ホルダ8から遠ざけられた状態において、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させたのち、その駆動パネル20上に接着剤40を供給する。この接着剤40としては、例えば、即時に接着性を発揮するものではなく、電子線や紫外線などが照射されることにより事後的に接着性を発揮するものを使用するのが好ましい。ここでは、例えば、電子線に基づいて接着性を発揮する電子線硬化型の接着剤40を使用すると共に、その接着剤40を駆動パネル20上に複数箇所に渡って供給する。続いて、図12に示したように、Zステージ2を使用して上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように移動させることにより、上記実施の形態において説明した位置合わせ手順を経て封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせたのち、接着剤40が封止パネル10および駆動パネル20により挟まれた状態において、その接着剤40に電子線を照射して硬化させることにより、封止パネル10を接着剤40を介して駆動パネル20に接着させる。これにより、位置合わせ済みの封止パネル10および駆動パネル20が接着剤40を介して固定される。この場合には、位置合わせ済みの封止パネル10および駆動パネル20が接着剤40を介して固定されるため、上ホルダ4および下ホルダ8から取り外したのちにおいても封止パネル10と駆動パネル20との間の位置合わせ関係を維持することができる。なお、上記した接着剤40を使用した封止パネル10と駆動パネル20との間の接着処理は、封止パネル10と駆動パネル20とを最終的に固定させる本固定処理であってもよいし、あるいは封止パネル10と駆動パネル20とを一時的に固定させる仮固定処理であってもよい。図11および図12に示したアライナーに関する上記以外の構成は、いずれも図1に示した場合と同様である。
【0044】
また、本実施の形態では、図2に示したように、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれアライメントマークが2つずつ設けられている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれ設けられるアライメントマークの数は、上記したように、いずれも2つ以上の範囲内において自由に変更可能である。もちろん、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれアライメントマークが2つ以上設けられている場合に、いずれのアライメントマークを「特定のアライメントマーク」および「他のアライメントマーク」として選択するかは自由に設定可能である。確認までに説明しておくと、上記した「特定のアライメントマーク」とは、Xステージ5およびYステージ6の移動動作を利用して最初に位置合わせされるアライメントマーク(上記実施の形態において説明したアライメントマークM10A,20Aに相当するアライメントマーク)であり、「他のアライメントマーク」とは、θステージ7の回転動作を利用して最後に位置合わせされるアライメントマーク(上記実施の形態において説明したアライメントマークM10B,M20Bに相応するアライメントマーク)である。封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれ設けられるアライメントマークの数を変更した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
以上、実施の形態を挙げて本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の位置合わせ装置の構成や位置合わせ方法の手順などは、上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
【0046】
特に、上記実施の形態では、位置合わせの対象となる2つの基体として、有機ELディスプレイを構成する封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせに関して本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法を適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法は、封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせ以外の他の2つの基体に関しても適用することが可能である。この「他の2つの基体」としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device )受像機やLCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイおよびカラーフィルタの組み合わせ、あるいはフォトマスクおよびフォトレジスト膜(例えばフォトレジストが塗布されることによりフォトレジスト膜が形成された基板)の組み合わせなど、2次元的に正確な位置合わせが必要な基体同士の組み合わせが挙げられる。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る位置合わせ装置および位置合わせ方法は、例えば有機ELディスプレイの製造工程において封止パネルと駆動パネルとを互いに位置合わせさせるために適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアライナーの使用時の側面構成(Y軸方向から見た側面構成)を表す側面図である。
【図2】図1に示したアライナーの平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を表す平面図である。
【図3】図1に示したアライナーの非使用時の側面構成(Y軸方向から見た側面構成)を表す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順を説明するための平面図である。
【図5】図4に続く手順を説明するための平面図である。
【図6】図5に続く手順を説明するための平面図である。
【図7】従来のアライナーを使用した位置合わせ手順に関する問題点を説明するための平面図である。
【図8】図7に続く手順を説明するための平面図である。
【図9】図8に続く手順を説明するための平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るアライナーの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順に関する変形例を説明するための側面図である。
【図12】図11に続く手順を説明するための側面図である。
【図13】従来のアライナーの側面構成を表す側面図である。
【図14】図13に示した従来のアライナーの平面構成を表す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ベース、2…Zステージ、3…アーム、4…上ホルダ、5…Xステージ、6…Yステージ、7…θステージ、8…下ホルダ、9…顕微鏡、10…封止パネル、20…駆動パネル、31…孔、32…光源、33…光拡散板、40…接着剤、J…回転軸、L…光、M10A,M10B,M20A,M20B…アライメントマーク、P1,P2…位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせに代表される2つの基体を互いに位置合わせさせるために使用される位置合わせ装置および位置合わせ方法に係り、特に、2つの基体のそれぞれに設けられた位置合わせ用のマーク(位置合わせマーク)に基づいて、それらの2つの基体を互いに位置合わせさせる位置合わせ装置および位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRT(Cathode-Ray Tube)に代わるディスプレイとして、多様な表示機構を有するディスプレイが知られている。中でも、有機発光素子の発光現象、いわゆる有機EL(Electro-Luminescence)現象を利用して映像を表示する有機ELディスプレイは、例えば、自発光型であるために視野角が広く、かつ消費電力が低い点において優れている。
【0003】
有機ELディスプレイは、主に、2つの基体が対向配置された構成を有しており、具体的には駆動用基板の一面に有機発光素子および駆動素子(例えばTFT(Thin Film Transistor))などが設けられた構成を有する一方の基体としての駆動パネルと、封止用基板の一面にカラーフィルタなどが設けられた構成を有する他方の基体としての封止パネルとが対向され、それらの駆動パネルと封止パネルとが接着剤を介して互いに貼り合わされた構成を有している。
【0004】
この有機ELディスプレイの製造工程では、一般に、封止パネルと駆動パネルとを互いに貼り合わせる際に、有機発光素子の位置とカラーフィルタの位置とが所定の位置関係となるように封止パネルと駆動パネルとを互いに位置合わせさせる必要がある。具体的には、例えば、色の3原色に対応して3色(R;Red ,G;Green ,B;Blue)に発光可能な3種類の有機発光素子を使用する場合には、その3種類の有機発光素子がカラーフィルタ中の3色(R,G,B)の領域に対応してそれぞれ位置するように、封止パネルに対して駆動パネルを位置合わせさせなければならない。この駆動パネルおよび封止パネルの位置合わせは、一般に、移動機構や回転機構を有する位置合わせ装置(アライナー)を使用し、封止パネルおよび駆動パネルのそれぞれに設けられた位置合わせマーク(アライメントマーク)に基づいて、封止パネルまたは駆動パネルを必要に応じて移動および回転させることにより実施されている。
【0005】
図13および図14は従来のアライナーの構成を表しており、図13は側面構成(Y軸方向から見た構成)を示し、図14は平面構成(Z軸方向から見た構成)を示している。このアライナーは、例えば、二角部に2つのアライメントマークM110A,M110B(図14中の白い十字印)が設けられた矩形型の封止パネル110と、同様に二角部に2つのアライメントマークM120A,M120B(図14中の黒い十字印)が設けられた矩形型の駆動パネル120とを互いに位置合わせさせるために使用されるものであり、ベース101によりZステージ102およびアーム103を介して支持された上ホルダ104と、同様にベース101によりXステージ105、Yステージ106およびθステージ107を介して支持された下ホルダ108と、図示しない支持機構により支持された顕微鏡109とを備えている。上ホルダ104および下ホルダ108は、それぞれ封止パネル110および駆動パネル120を保持可能に対向配置されており、θステージ107は、下ホルダ108のほぼ中心に対応して位置する回転軸Jを有している。
【0006】
このアライナーを使用して封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせる場合には、上ホルダ104および下ホルダ108にそれぞれ封止パネル110および駆動パネル120を保持させた状態において、Xステージ105およびYステージ106を使用して下ホルダ108をX軸方向およびY軸方向に移動させると共に、θステージ107を使用して下ホルダ108を回転軸Jを中心として回転させることにより、封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせることが可能である。この際、顕微鏡109を使用してアライメントマークM110A,M110B,M120A,M120Bを観察しながら下ホルダ108を移動および回転させることにより、アライメントマークM120Aの位置がアライメントマークM110Aの位置と一致すると共に同様にアライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように、封止パネル110に対して駆動パネル120が位置合わせされる。
【0007】
なお、上記した封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせに使用されるアライナーとは異なるものの、そのアライナーと同様に移動機構および回転機構を有する装置としては、例えば、フォトレジストが設けられた半導体基板に対して露光マスクを位置合わせさせることにより、その露光マスクを使用してフォトレジストを露光する露光装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この露光装置では、半導体基板に対して露光マスクを位置合わせさせる際に、その露光マスクを移動させると同時に回転させることが可能である。
【特許文献1】特開昭60−037732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、有機ELディスプレイの製造工程において量産性を確保するためには、例えば、アライナーを使用して封止パネル110と駆動パネル120とを互いに位置合わせさせる際に、位置合わせ精度を確保することは当然として、容易かつ迅速に位置合わせさせることが可能であることが重要である。なぜなら、位置合わせの容易さおよび迅速さは、有機ELディスプレイの製造効率に大きく寄与するからである。しかしながら、従来のアライナーでは、主に構造的要因に起因して位置合わせに手間および時間を要するため、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、2つの基体を容易かつ迅速に位置合わせさせることが可能な位置合わせ装置および位置合わせ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る位置合わせ装置は、少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体とを互いに位置合わせさせるためのものであり、第1の基体を保持する第1の保持部と、第1の保持部に対向配置され、第2の基体を保持する第2の保持部と、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークに対応する位置に回転軸を有し、その回転軸を中心として第2の保持部を回転させる回転機構と、回転軸と直交する面内において第2の保持部を移動させる移動機構とを備え、移動機構が、特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸と直交する面内において第2の保持部を移動させるものであり、回転機構が、移動機構により第2の保持部が移動させられたのちに、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸を中心として第2の保持部を回転させるものである。
【0011】
本発明に係るアライメント方法は、少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体とを互いに位置合わせさせる方法であり、第2の基体を第1の基体に対向させた状態において、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、所定の面内において第2の基体を移動させたのち、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、特定の第2の位置合わせマークに対応して位置すると共に所定の面に直交する回転軸を中心として第2の基体を回転させるようにしたものである。
【0012】
なお、「特定の第2の位置合わせマーク」とは、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の1つであり、位置合わせ時に最初に位置合わせ用の基準として使用されるものである。同様に、「特定の第1の位置合わせマーク」とは、第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうち、特定の第2の位置合わせマークに対応して位置している特定の1つであり、その特定の第2の位置合わせマークと共に位置合わせ時に最初に位置合わせ用の基準として使用されるものである。また、「他の第2の位置合わせマーク」とは、第2の基体に設けられている少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうち、特定の第2の位置合わせマーク以外の他の1つであり、位置合わせ時に最後に位置合わせ用の基準として使用されるものである。同様に、「他の第1の位置合わせマーク」とは、第1の基体に設けられている少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうち、他の第2の位置合わせマークに対応して位置している、特定の第1の位置合わせマーク以外の他の1つであり、その他の第2の位置合わせマークと共に位置合わせ時に最後に位置合わせ用の基準として使用されるものである。
【0013】
本発明に係る位置合わせ装置または位置合わせ方法では、第2の基体が第1の基体に対向された状態において、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマークの位置が、その特定の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸と直交する面内において第2の基体が移動される。こののち、第2の基体に設けられている他の第2の位置合わせマークの位置が、その他の第2の位置合わせマークに対応して第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、回転軸を中心として第2の基体が回転されることにより、第1の基体と第2の基体とが互いに位置合わせされる。他の第2の位置合わせマークの位置が他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように第2の基体が回転される際に、特定の第1の位置合わせマークおよび特定の第2の位置合わせマークに基づいて既に位置合わせされた第1の基体と第2の基体との間の位置関係が維持されるため、それらの第1の基体と第2の基体との間の位置合わせ関係を維持したまま、他の第1の位置合わせマークおよび他の第2の位置合わせマークに基づいて第1の基体に対して第2の基体が位置合わせされる。これにより、第2の基体が一度だけ移動されると共に一度だけ回転されることにより第1の基体に対して高精度に位置合わせされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る位置合わせ装置または位置合わせ方法によれば、第2の基体が第1の基体に対向された状態において、第2の基体に設けられている特定の第2の位置合わせマークの位置が第1の基体に設けられている特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように回転軸と直交する面内において第2の基体が移動されたのち、第2の基体に設けられている他の第2の位置合わせマークの位置が第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように回転軸を中心として第2の基体が回転されることにより、第1の基体と第2の基体とが互いに位置合わせされる手順的特徴に基づき、第2の基体が一度だけ移動されると共に一度だけ回転されることにより第1の基体に対して高精度に位置合わせされるため、2つの基体を容易かつ迅速に位置合わせさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る位置合わせ装置としてのアライナーの構成について説明する。図1〜図3はアライナーの構成を表しており、図1および図3は側面構成(Y軸方向から見た構成)を示し、図2は平面構成(Z軸方向から見た構成)を示している。図1および図3では、図1が使用時の状態を示し、図3が非使用時の状態を示している。なお、本発明の位置合わせ方法は本実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順において実現されるため、その位置合わせ方法については以下で併せて説明する。
【0017】
本実施の形態に係るアライナーは、2つの基体を互いに位置合わせさせるために使用されるものであり、より具体的には少なくとも2つの一方のアライメントマーク(第1の位置合わせマーク)設けられた一方の基体(第1の基体)と、その一方のアライメントマークに対応して少なくとも2つの他方のアライメントマーク(第2の位置合わせマーク)が設けられた他方の基体(第2の基体)とを使用し、それらの2種類のアライメントマークを位置合わせ用の基準として利用することにより第1の基体と第2の基体とを互いに位置合わせさせるものである。ここでは、例えば、2つの基体として、二角部に2つのアライメントマークM10A,M10B(図2に示した白い十字印;第1の位置合わせマーク)が設けられた矩形型の封止パネル10(第1の基体)と、同様に二角部に2つのアライメントマークM20A,M20B(図2に示した黒い十字印;第2の位置合わせマーク)が設けられた矩形型の駆動パネル20(第2の基体)とを使用する場合について説明する。
【0018】
このアライナーは、例えば、図1〜図3に示したように、ベース1によりZステージ2およびアーム3を介して支持された上ホルダ4と、同様にベース1によりXステージ5、Yステージ6およびθステージ7を介して支持された下ホルダ8と、図示しない支持機構により支持された顕微鏡9とを備えている。
【0019】
ベース1は、アライナー全体を支持するための土台である。
【0020】
Z軸ステージ2は、例えば、ベース1により支持された状態においてZ軸方向(後述する回転軸Jと平行な方向)に伸縮可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用して伸縮することによりアーム3と共に上ホルダ4をZ軸方向に移動させる補助移動機構である。すなわち、Z軸ステージ2は、Z軸方向に上ホルダ4を移動させることにより、その上ホルダ4と下ホルダ8との間の間隔を変化させることが可能である。より具体的には、Zステージ2は、例えば、図1に示したように、アライナーの使用時に収縮することにより上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように配置させると共に、図3に示したように、アライナーの非使用時(例えば停止時)に延伸することにより上ホルダ4を下ホルダ8から遠ざけるように配置させることが可能になっている。
【0021】
アーム3は、Z軸ステージ2の伸縮動作を上ホルダ4に伝達させるものであり、一端側においてZ軸ステージ2に連結されていると共に他端側において上ホルダ4に連結されている。
【0022】
上ホルダ4は、封止パネル10を保持する第1の保持部であり、下ホルダ8に対向配置されている。この上ホルダ4は、例えば、図示しないバキューム機構を搭載しており、そのバキューム機構を利用して封止パネル10を吸引することにより保持することが可能になっている。
【0023】
Xステージ5は、ベース1により支持された状態においてX軸方向にスライド可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用してスライドすることによりYステージ6およびθステージ7と共に下ホルダ8をX軸方向に移動させる移動機構である。すなわち、Xステージ5は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたままX軸方向に移動させることが可能になっている。
【0024】
Yステージ6は、ベース1により支持された状態においてY軸方向にスライド可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用してスライドすることによりθステージ7と共に下ホルダ8をY軸方向に移動させる移動機構である。すなわち、Yステージ6は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたままY軸方向に移動させることが可能になっている。
【0025】
θステージ7は、ベース1により支持された状態において回転軸Jを中心として回転可能な駆動機構を有し、その駆動機構を利用して回転することにより回転軸Jを中心として下ホルダ8を回転させる回転機構である。このθステージ7の回転動作を規定する回転軸Jは、下ホルダ8のほぼ中心に対応して位置しておらずに、その下ホルダ8の一角部に対応して位置しており、具体的には駆動パネル20に設けられている2つのアライメントマークM20A,M20Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Aに対応して位置している。すなわち、θステージ7は、下ホルダ8が上ホルダ4に対向配置されている状態において、その下ホルダ8を上ホルダ4と対向させたまま回転させることが可能になっている。特に、θステージ7は、Xステージ5およびYステージ6による移動動作時に下ホルダ8を併せて回転させずに、Xステージ5およびYステージ6による移動動作が完了したのちに下ホルダ8を回転させるようになっている。
【0026】
下ホルダ8は、駆動パネル20を保持する第2の保持部であり、上ホルダ4に対向配置されている。この下ホルダ8は、例えば、上ホルダ4と同様に図示しないバキューム機構を搭載しており、そのバキューム機構を利用して駆動パネル20を吸引することにより保持することが可能になっている。特に、下ホルダ8は、Xステージ5およびYステージ6により、互いに直交する2つの方向(X軸方向およびY軸方向)に移動させられ、すなわち回転軸Jと直交する面(X軸およびY軸の双方を含む面;XY面)内において移動させられるようになっている。
【0027】
顕微鏡9は、封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせる際に、その封止パネル10に設けられているアライメントマークM10A,M10Bを観察すると共に、駆動パネル20に設けられているアライメントマークM20A,M20Bを封止パネル10越しに観察するために使用される観察機器である。この顕微鏡9は、例えば、上記したように、図示しない支持機構により支持されており、図2に示したように、XY面内において、位置合わせ完了時にアライメントマークM10A,M20Aが位置することなる位置近傍に対応して配置されている。特に、顕微鏡9は、例えば、上記した支持機構により支持された状態で、Y軸方向において、位置合わせ完了時にアライメントマークM10A,M20Aが位置することなる位置近傍に対応した位置P1と、同様に位置合わせ完了時にアライメントマークM10B,M20Bが位置することとなる位置近傍に対応した位置P2との間を移動することが可能になっている。なお、顕微鏡9は、例えば、図3に示したように、上記した支持機構により支持された状態において、上ホルダ4と同様にZ軸方向に移動することも可能になっている。
【0028】
なお、アライナーを使用して位置合わせされる封止パネル10および駆動パネル20の構成は、例えば、以下の通りである。すなわち、封止パネル10は、例えば、封止用基板の一面に、3色(R,G,B)のフィルタ領域を有するカラーフィルタなどが設けられた構成を有するものであり、透光性を有している。一方、駆動パネル20は、例えば、駆動用基板の一面に、3色(R,G,B)に発光可能な3種類の有機発光素子や、その有機発光素子を発光させるための駆動素子(例えばTFT(Thin Film Transistor))などが設けられた構成を有するものであり、封止パネル10と同様に透光性を有している。
【0029】
次に、図1〜図6を参照して、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ手順について説明する。図4〜図6は図1〜図3に示したアライナーを使用した位置合わせ手順を説明するためのものであり、いずれも図2に対応する平面構成を示している。なお、図4〜図6では、図示内容を簡略化するためにアライナーの図示を省略しており、封止パネル10および駆動パネル20のみを示している。
【0030】
アライナーを使用して封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせる際には、例えば、図3に示したように、上ホルダ4および顕微鏡9の双方が下ホルダ8から遠ざけられた状態において、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させることにより、その上ホルダ4により保持された封止パネル10と下ホルダ8により保持された駆動パネル20とを互いに対向させたのち、まず、Zステージ2を使用して上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように移動させると共に、同様に顕微鏡9を下ホルダ8に近づくように移動させる。
【0031】
上ホルダ4に封止パネル10を保持させる際には、例えば、上ホルダ4により封止パネル10のうちのほぼ中央部分が保持されるように、その上ホルダ4に対して封止パネル10を配置させる。また、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる際には、例えば、顕微鏡9を位置P1(図2参照)に移動させたのち、その顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察することにより、その駆動パネル20に設けられている2つのアライメントマークM20A,M20Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Aが回転軸Jに対応して位置するように、下ホルダ8に対して駆動パネル20を配置させる。なお、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる場合には、アライメントマークM20Aが厳密に回転軸Jに対応して位置していなければならないわけではなく、そのアライメントマークM20Aと回転軸Jとの間の位置関係は、アライナーを使用して位置合わせ作業を実施する作業者(以下、単に「作業者」という。)が顕微鏡9を使用して目視で設定できる程度で十分である。ここでは、例えば、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させた状態において、封止パネル10と駆動パネル20との間の位置関係が図4に示した状態になったとする。
【0032】
続いて、顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察しながら、Xステージ5およびYステージ6を使用して、図5に示したように、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が、その特定のアライメントマークM20Aに対応して封止パネル10に設けられている2つのアライメントマークM10A,M10Bのうちの特定のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM10Aの位置と一致するように、XY面内においてX軸方向およびY軸方向に下ホルダ8を移動させる。これにより、アライメントマークM10A,M20Aに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる。なお、図5に示した破線は、アライメントマークM10A,M20Aに基づく位置合わせ前の駆動パネル20の位置(図4に示した駆動パネル20の位置)を参考までに示している。
【0033】
最後に、顕微鏡9を位置P1から位置P2に移動させたのち、その顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察しながら、θステージ7を使用して、図6に示したように、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20A以外の他のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM20Bの位置が、その他のアライメントマークM20Bに対応して封止パネル10に設けられている他のアライメントマーク、ここでは例えばアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として下ホルダ8を回転させる。これにより、アライメントマークM20A,M20Bに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる結果、封止パネル10に対する駆動パネル20の位置合わせが完了し、すなわちアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bに基づいて駆動パネル20が封止パネル10に対して位置合わせされる。なお、図6に示した破線は、アライメントマークM10B,M20Bに基づく位置合わせ前の駆動パネル20の位置(図5に示した駆動パネル20の位置)を参考までに示している。
【0034】
本実施の形態に係る位置合わせ装置(アライナー)および位置合わせ方法では、下ホルダ8により保持された駆動パネル20を上ホルダ4により保持された封止パネル10に対向させた状態において、Xステージ5およびYステージ6を使用して、駆動パネル20に設けられている特定のアライメントマークM20Aの位置が封止パネル10に設けられている特定のアライメントマークM10Aの位置と一致するように、X軸方向およびY軸方向に駆動パネル20を移動させたのち、θステージ7を使用して、駆動パネル20に設けられている他のアライメントマークM20Bの位置が封止パネル10に設けられている他のアライメントマークM10Bの位置と一致するように、回転軸Jを中心として駆動パネル20を回転させるようにしたので、以下の理由により、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができる。
【0035】
図7〜図9は従来のアライナー(図13および図14参照)を使用した位置合わせ手順に関する問題点を説明するためのものであり、それぞれ図4〜図6に対応する平面構成を表している。従来のアライナーを使用して、本実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順と同様の手順を経て位置合わせした場合には、上記したように、主にアライナーの構造的要因に起因して位置合わせに手間および時間を要するため、容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となる。
【0036】
すなわち、従来のアライナーを使用した場合には、例えば、上ホルダ104に封止パネル110を保持させると共に下ホルダ108に駆動パネル120を保持させることにより、封止パネル110と駆動パネル120との間の位置関係が図7に示した状態になった場合に、図8に示したように、Xステージ105およびYステージ106を使用してアライメントマークM120Aの位置がアライメントマークM110Aの位置と一致するように下ホルダ108を移動させたのちに、θステージ107を使用してアライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように下ホルダ108を回転させても、図9に示したように、封止パネル110に対して駆動パネル120が位置合わせされない。より具体的には、アライメントマークM120Bの位置がアライメントマークM110Bの位置と一致するように下ホルダ108を回転させると、θステージ107の回転軸Jが下ホルダ108のほぼ中心に対応して位置している構造的要因に起因して、そのθステージ107の回転動作に応じてアライメントマークM120A,M120Bが並進移動する結果、既にXステージ105およびYステージ106を使用してアライメントマークM110A,M120Aに基づいて位置合わせさせた封止パネル110と駆動パネル120との間の位置関係が崩れるため、それらの封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせ関係を維持したまま、アライメントマークM110B,M120Bに基づいて封止パネル110に対して駆動パネル120を位置合わせさせることができない。これにより、駆動パネル120を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル110に対して位置合わせさせることができないため、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となるのである。
【0037】
なお、従来のアライナーを使用した場合には、図7および図9から明らかなように、Xステージ105およびYステージ106を使用した下ホルダ108の移動動作およびθステージ107を使用した下ホルダ108の回転動作を経ることにより、封止パネル110と駆動パネル120との間の位置合わせが図7に示した状態から図9に示した状態へ進行し、すなわちアライメントマークM120A,M120BがアライメントマークM110A,M110Bにそれぞれ近づくこととなるため、上記した下ホルダ108の移動動作および回転動作を複数回に渡って繰り返せば、最終的に封止パネル110に対して駆動パネル120を位置合わせさせることが可能であるものと見込まれる。しかしながら、この場合には、下ホルダ108の回転動作および回転動作を複数回に渡って繰り返さなければならない点において位置合わせに手間および時間を要するため、上記したように、封止パネル110および駆動パネル120を容易かつ迅速に位置合わせさせることが困難となるのである。確認までに説明しておくと、従来のアライナーを使用した場合には、上記したように下ホルダ108の移動動作および回転動作をこの順に経る手順を使用する場合に限らず、その手順と異なる他の手順を使用する場合においても同様に位置合わせに手間および時間を要してしまうことは言うまでもない。
【0038】
これに対して、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合には、上記したように下ホルダ8の移動動作および回転動作をこの順に経る手順を使用することにより位置合わせする際に、図5に示したように、Xステージ5およびYステージ6を使用してアライメントマークM20Aの位置がアライメントマークM10Aの位置と一致するように下ホルダ8を移動させたのちに、θステージ7を使用してアライメントマークM20Bの位置がアライメントマークM10Bの位置と一致するように下ホルダ8を移動させたとしても、図6に示したように、θステージ7が下ホルダ8の一角部に対応して位置し、具体的にはθステージ7の回転軸JがアライメントマークM20Aに対応して位置している構造的特徴に基づき、そのθステージ7の回転動作に応じてアライメントマークM20Aが静止したままでアライメントマークM20Bのみが回転移動する。この場合には、既にXステージ5およびYステージ6を使用してアライメントマークM10A,M20Aに基づいて位置合わせさせた封止パネル10と駆動パネル20との間の位置関係が維持されるため、それらの封止パネル10と駆動パネル20との間の位置合わせ関係を維持したまま、アライメントマークM10B,M20Bに基づいて封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせることが可能となる。したがって、本実施の形態では、従来の場合とは異なり、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能なため、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができるのである。
【0039】
ここで、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合に得られる効果(位置合わせの容易化および迅速化)に関して補足しておくと、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合には、厳密には、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させる際に、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jと正確に一致するように駆動パネル20を下ホルダ8に対して配置させた場合に限り、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能となる。すなわち、下ホルダ8に駆動パネル20を保持させた際に、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jからずれていた場合には、封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせるために、従来のアライナーを使用した場合と同様に、下ホルダ8の移動動作および回転動作をそれぞれ複数回に渡って繰り返す必要がある。しかしながら、本実施の形態に係るアライナーを使用した場合と従来のアライナーを使用した場合との間において、一度の移動動作および一度の回転動作を経ることにより進行する位置合わせ度、すなわち封止パネルに設けられているアライメントマークと駆動パネルに設けられているアライメントマークとの間のずれ距離の収束度を比較すると、その位置合わせ度の進行具合(ずれ距離の収束割合)は従来のアライナーを使用した場合よりも本実施の形態に係るアライナーを使用した場合において向上し、すなわち一度の移動動作および一度の回転動作を経ることにより減少するずれ距離の減少割合が増加するため、本実施の形態に係るアライナーを使用すれば、より少ない移動回数および回転回数で、可能な限り手間および時間を要せずに位置合わせを完了させることが可能である。
【0040】
なお、上記では、位置合わせの厳密性に関する問題を説明する上で、アライメントマークM20Aの位置が回転軸Jと正確に一致するように下ホルダ8に対して駆動パネル20を配置させた場合に限り、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して位置合わせさせることが可能であると説明したが、現実的には必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、アライメントマークM20Aの位置と回転軸Jとの位置合わせ精度に余裕があり、すなわちアライメントマークM20Aの位置が位置合わせ精度の範囲内であれば回転軸Jからずれていても、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ精度に大きな影響が及ばない場合には、駆動パネル20を一度だけ移動させると共に一度だけ回転させることにより封止パネル10に対して高精度に位置合わせさせることが可能となる。したがって、この観点から見ても、本実施の形態に係るアライナーを使用することにより、封止パネル10および駆動パネル20を容易かつ迅速に位置合わせさせることができるのである。
【0041】
また、参考までに、封止パネル10および駆動パネル20に設けられたアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20B間の位置関係と、封止パネル10および駆動パネル20の位置合わせ精度との間の関係について説明しておくと、その位置合わせ精度は、特定のアライメントマークM10A,M20Aと他のアライメントマークM10B,M20Bとの間の距離が大きく、かつ一連のアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bの位置と封止パネル10および駆動パネル20のそれぞれの中心との間の距離が大きいほど向上する。なぜなら、その距離が大きいほど、上記した位置合わせ度の進行具合(ずれ距離の収束割合)が向上するからである。
【0042】
なお、本実施の形態に係るアライナーに関しては、例えば、図10に示したように、下ホルダ8のうちの顕微鏡9の配置位置に対応する箇所に孔31を設け、その孔31に光源32および光拡散板33を埋設するようにしてもよい。光源32は、封止パネル10および駆動パネル20の双方へ向けて光Lを放出する光放出素子であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子である。光拡散板33は、光源32から放出された光Lを拡散させることにより、その光Lの照射範囲を拡大させるためのものである。なお、下ホルダ8に光源32および光拡散板33を埋設する場合には、例えば、その下ホルダ8のうち、顕微鏡9による2つの観察位置、すなわち図2を参照して説明した顕微鏡9の配置位置P1,P2に対応する箇所に孔31を2つ設け、それぞれの孔31に光源32および光拡散板33を埋設させるのが好ましい。なお、孔31の設置位置や光源32および光拡散板33の設置個数は自由に設定可能である。この場合には、顕微鏡9を使用して封止パネル10越しに駆動パネル20を観察する際に、光源32から放出される光Lに基づいて視野内の明るさを確保しながらアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bを観察することが可能になると共に、光拡散板33が光Lの照射範囲を拡大させることに基づいて明るさが確保された視野が広がるため、それらのアライメントマークM10A,M10B,M20A,M20Bを明瞭に観察することができる。なお、図10では、下ホルダ8の構成を見やすくするために、その下ホルダ8についてのみ断面構成を示している。図10に示したアライナーに関する上記以外の構成は、図1に示した場合と同様である。
【0043】
また、本実施の形態に係るアライナーを使用すれば、例えば、図11および図12に示したように、単純に封止パネル10と駆動パネル20とを互いに位置合わせさせるだけでなく、その位置合わせ後において封止パネル10と駆動パネル20とを互いに固定させることも可能である。具体的には、まず、例えば、図11に示したように、上ホルダ4が下ホルダ8から遠ざけられた状態において、上ホルダ4に封止パネル10を保持させると共に下ホルダ8に駆動パネル20を保持させたのち、その駆動パネル20上に接着剤40を供給する。この接着剤40としては、例えば、即時に接着性を発揮するものではなく、電子線や紫外線などが照射されることにより事後的に接着性を発揮するものを使用するのが好ましい。ここでは、例えば、電子線に基づいて接着性を発揮する電子線硬化型の接着剤40を使用すると共に、その接着剤40を駆動パネル20上に複数箇所に渡って供給する。続いて、図12に示したように、Zステージ2を使用して上ホルダ4を下ホルダ8に近づけるように移動させることにより、上記実施の形態において説明した位置合わせ手順を経て封止パネル10に対して駆動パネル20を位置合わせさせたのち、接着剤40が封止パネル10および駆動パネル20により挟まれた状態において、その接着剤40に電子線を照射して硬化させることにより、封止パネル10を接着剤40を介して駆動パネル20に接着させる。これにより、位置合わせ済みの封止パネル10および駆動パネル20が接着剤40を介して固定される。この場合には、位置合わせ済みの封止パネル10および駆動パネル20が接着剤40を介して固定されるため、上ホルダ4および下ホルダ8から取り外したのちにおいても封止パネル10と駆動パネル20との間の位置合わせ関係を維持することができる。なお、上記した接着剤40を使用した封止パネル10と駆動パネル20との間の接着処理は、封止パネル10と駆動パネル20とを最終的に固定させる本固定処理であってもよいし、あるいは封止パネル10と駆動パネル20とを一時的に固定させる仮固定処理であってもよい。図11および図12に示したアライナーに関する上記以外の構成は、いずれも図1に示した場合と同様である。
【0044】
また、本実施の形態では、図2に示したように、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれアライメントマークが2つずつ設けられている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれ設けられるアライメントマークの数は、上記したように、いずれも2つ以上の範囲内において自由に変更可能である。もちろん、封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれアライメントマークが2つ以上設けられている場合に、いずれのアライメントマークを「特定のアライメントマーク」および「他のアライメントマーク」として選択するかは自由に設定可能である。確認までに説明しておくと、上記した「特定のアライメントマーク」とは、Xステージ5およびYステージ6の移動動作を利用して最初に位置合わせされるアライメントマーク(上記実施の形態において説明したアライメントマークM10A,20Aに相当するアライメントマーク)であり、「他のアライメントマーク」とは、θステージ7の回転動作を利用して最後に位置合わせされるアライメントマーク(上記実施の形態において説明したアライメントマークM10B,M20Bに相応するアライメントマーク)である。封止パネル10および駆動パネル20にそれぞれ設けられるアライメントマークの数を変更した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
以上、実施の形態を挙げて本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の位置合わせ装置の構成や位置合わせ方法の手順などは、上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
【0046】
特に、上記実施の形態では、位置合わせの対象となる2つの基体として、有機ELディスプレイを構成する封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせに関して本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法を適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明の位置合わせ装置および位置合わせ方法は、封止パネルおよび駆動パネルの組み合わせ以外の他の2つの基体に関しても適用することが可能である。この「他の2つの基体」としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device )受像機やLCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイおよびカラーフィルタの組み合わせ、あるいはフォトマスクおよびフォトレジスト膜(例えばフォトレジストが塗布されることによりフォトレジスト膜が形成された基板)の組み合わせなど、2次元的に正確な位置合わせが必要な基体同士の組み合わせが挙げられる。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る位置合わせ装置および位置合わせ方法は、例えば有機ELディスプレイの製造工程において封止パネルと駆動パネルとを互いに位置合わせさせるために適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアライナーの使用時の側面構成(Y軸方向から見た側面構成)を表す側面図である。
【図2】図1に示したアライナーの平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を表す平面図である。
【図3】図1に示したアライナーの非使用時の側面構成(Y軸方向から見た側面構成)を表す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順を説明するための平面図である。
【図5】図4に続く手順を説明するための平面図である。
【図6】図5に続く手順を説明するための平面図である。
【図7】従来のアライナーを使用した位置合わせ手順に関する問題点を説明するための平面図である。
【図8】図7に続く手順を説明するための平面図である。
【図9】図8に続く手順を説明するための平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るアライナーの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るアライナーを使用した位置合わせ手順に関する変形例を説明するための側面図である。
【図12】図11に続く手順を説明するための側面図である。
【図13】従来のアライナーの側面構成を表す側面図である。
【図14】図13に示した従来のアライナーの平面構成を表す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ベース、2…Zステージ、3…アーム、4…上ホルダ、5…Xステージ、6…Yステージ、7…θステージ、8…下ホルダ、9…顕微鏡、10…封止パネル、20…駆動パネル、31…孔、32…光源、33…光拡散板、40…接着剤、J…回転軸、L…光、M10A,M10B,M20A,M20B…アライメントマーク、P1,P2…位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、前記第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体と、を互いに位置合わせさせるための位置合わせ装置であって、
前記第1の基体を保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部に対向配置され、前記第2の基体を保持する第2の保持部と、
前記第2の基体に設けられている前記少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークに対応する位置に回転軸を有し、その回転軸を中心として前記第2の保持部を回転させる回転機構と、
前記回転軸と直交する面内において前記第2の保持部を移動させる移動機構と、を備え、
前記移動機構が、前記特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている前記少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記第2の保持部を移動させるものであり、
前記回転機構が、前記移動機構により前記第2の保持部が移動させられたのちに、前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記第2の保持部を回転させるものである
ことを特徴とする位置合わせ装置。
【請求項2】
前記移動機構が、互いに直交する2つの方向に前記第2の保持部を移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記第1の基体が透光性を有するものであり、
さらに、前記第1の基体に設けられている前記特定の第1の位置合わせマークおよび前記他の第1の位置合わせマークを観察すると共に、前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマークおよび前記他の第2の位置合わせマークを前記第1の基体越しに観察するために使用される観察機器を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記第2の基体が透光性を有するものであり、
前記第2の保持部に、前記第1の基体および前記第2の基体の双方へ向けて光を放出する光放出素子が付設されている
ことを特徴とする請求項3記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
さらに、前記回転軸と平行な方向に前記第1の保持部を移動させる補助移動機構を備え、
前記補助移動機構が、前記回転軸と平行な方向に前記第1の保持部を移動させることにより、その第1の保持部と前記第2の基体との間の間隔を変化させるものである
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記補助移動機構が、前記第1の保持部により保持された前記第1の基体と前記第2の保持部により保持された前記第2の基体との間に接着剤が供給された状態において、前記第2の保持部に近づくように前記第1の保持部を移動させることにより、それらの第1の基体と第2の基体とを前記接着剤を介して固定させる
ことを特徴とする請求項5記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、前記第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体と、を互いに位置合わせさせる位置合わせ方法であって、
前記第2の基体を前記第1の基体に対向させた状態において、
前記第2の基体に設けられている前記少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている前記少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、所定の面内において前記第2の基体を移動させたのち、
前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記特定の第2の位置合わせマークに対応して位置すると共に前記所定の面に直交する回転軸を中心として前記第2の基体を回転させる
ことを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項1】
少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、前記第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体と、を互いに位置合わせさせるための位置合わせ装置であって、
前記第1の基体を保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部に対向配置され、前記第2の基体を保持する第2の保持部と、
前記第2の基体に設けられている前記少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークに対応する位置に回転軸を有し、その回転軸を中心として前記第2の保持部を回転させる回転機構と、
前記回転軸と直交する面内において前記第2の保持部を移動させる移動機構と、を備え、
前記移動機構が、前記特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている前記少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記第2の保持部を移動させるものであり、
前記回転機構が、前記移動機構により前記第2の保持部が移動させられたのちに、前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記第2の保持部を回転させるものである
ことを特徴とする位置合わせ装置。
【請求項2】
前記移動機構が、互いに直交する2つの方向に前記第2の保持部を移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記第1の基体が透光性を有するものであり、
さらに、前記第1の基体に設けられている前記特定の第1の位置合わせマークおよび前記他の第1の位置合わせマークを観察すると共に、前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマークおよび前記他の第2の位置合わせマークを前記第1の基体越しに観察するために使用される観察機器を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記第2の基体が透光性を有するものであり、
前記第2の保持部に、前記第1の基体および前記第2の基体の双方へ向けて光を放出する光放出素子が付設されている
ことを特徴とする請求項3記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
さらに、前記回転軸と平行な方向に前記第1の保持部を移動させる補助移動機構を備え、
前記補助移動機構が、前記回転軸と平行な方向に前記第1の保持部を移動させることにより、その第1の保持部と前記第2の基体との間の間隔を変化させるものである
ことを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記補助移動機構が、前記第1の保持部により保持された前記第1の基体と前記第2の保持部により保持された前記第2の基体との間に接着剤が供給された状態において、前記第2の保持部に近づくように前記第1の保持部を移動させることにより、それらの第1の基体と第2の基体とを前記接着剤を介して固定させる
ことを特徴とする請求項5記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
少なくとも2つの第1の位置合わせマークが設けられた第1の基体と、前記第1の位置合わせマークに対応して少なくとも2つの第2の位置合わせマークが設けられた第2の基体と、を互いに位置合わせさせる位置合わせ方法であって、
前記第2の基体を前記第1の基体に対向させた状態において、
前記第2の基体に設けられている前記少なくとも2つの第2の位置合わせマークのうちの特定の第2の位置合わせマークの位置がその特定の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている前記少なくとも2つの第1の位置合わせマークのうちの特定の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、所定の面内において前記第2の基体を移動させたのち、
前記第2の基体に設けられている前記特定の第2の位置合わせマーク以外の他の第2の位置合わせマークの位置がその他の第2の位置合わせマークに対応して前記第1の基体に設けられている他の第1の位置合わせマークの位置と一致するように、前記特定の第2の位置合わせマークに対応して位置すると共に前記所定の面に直交する回転軸を中心として前記第2の基体を回転させる
ことを特徴とする位置合わせ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−23356(P2006−23356A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199178(P2004−199178)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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