説明

体内情報取得装置

【課題】電池21の消耗を防ぐことができるカプセル型内視鏡20を提供する。
【解決手段】カプセル型内視鏡20は、体内情報取得部30と、体内情報取得部30に電力を供給する電池21と、第1の制御信号を受信する第1の受信部24と、第2の制御信号を受信する第2の受信部28と、第1の受信部24が第1の制御信号を受信すると開放状態から導通状態に切り替わる第1のスイッチ25と、第2の受信部28が第2の制御信号を受信すると、開放状態から導通状態に切り替わる第2のスイッチ29と、第1のスイッチ25および第2のスイッチ29が接続され、第1のスイッチ25および第2のスイッチ29が導通状態のときにのみ、電池21から体内情報取得部30に電力を供給する電力供給線40と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の内部に導入する体内情報取得装置に関し、特に内蔵電源の電力により駆動する体内情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においては、飲み込み型のカプセル型内視鏡が登場している。カプセル型内視鏡は被検体の口から飲み込まれることで体内に導入され、自然排出されるまでの間、体腔内、例えば胃または小腸などの臓器の内部を蠕動運動に従って移動し、順次撮像する機能を有する。体腔内を移動する間、カプセル型内視鏡によって体内で撮像された画像データは、順次無線通信により外部に送信され、外部の受信機内に設けられたメモリに蓄積される。患者は、この無線通信機能とメモリ機能とを備えた受信機を携帯することにより、カプセル型内視鏡を飲み込んだ後、排出されるまでの間、自由に行動できる。カプセル型内視鏡は、筐体に内蔵した電池等の電源から駆動電力を得るが、内部回路等が筐体内に密閉された構造のため使用者が筐体外面に配設したスイッチ等を操作して駆動をオン/オフ操作することができない。
【0003】
出願人は、特開2009−89907号公報において、外部からの交流磁界信号を用いて、カプセル型内視鏡の体内情報取得部への電力供給/停止の制御を行う生体観察システムを開示している。
【0004】
しかし、外部からの信号をもとに起動するカプセル型内視鏡は、意図しない信号、例えば、使用開始前の輸送時に偶発的に印加される雑音信号により誤起動し、電池の電力を消耗してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−89907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は電源電力の消耗を防ぐことができる体内情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の体内情報取得装置は、被検体の体内において体内情報を取得する体内情報取得部と、前記体内情報取得部に電力を供給する電源と、第1の制御信号を受信する第1の受信部と、第2の制御信号を受信する第2の受信部と、前記第1の受信部が前記第1の制御信号を受信すると、開放状態から導通状態に切り替わる第1のスイッチと、前記第2の受信部が前記第2の制御信号を受信すると、開放状態から導通状態に切り替わる第2のスイッチと、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが接続され、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが導通状態のときにのみ、前記電源から前記体内情報取得部に電力を供給する電力供給線と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
電源電力の消耗を防ぐことができる体内情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成図である。
【図2】第1実施形態のカプセル型内視鏡の動作を示すタイムチャートである。
【図3】第1実施形態の変形例1のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成図である。
【図4】第1実施形態の変形例2のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成図である。
【図5】第2実施形態のカプセル型内視鏡の動作を示すタイムチャートである。
【図6】第3実施形態のカプセル型内視鏡を有する内視鏡システムの構成図である。
【図7】第3実施形態の一例のカプセル型内視鏡の構成図である。
【図8】第3実施形態の一例のカプセル型内視鏡の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施形態の体内情報取得装置であるカプセル型内視鏡(以下「カプセル」ともいう)20を有する内視鏡システム1の構成図である。内視鏡システム1は、被検体の体内に導入されたカプセル20に対して、体外から制御信号を送信する磁界発生装置10を有する。
【0011】
磁界発生装置10は、電源11と、交流磁界信号を発生する送信アンテナ13と、送信アンテナ13を駆動する駆動回路12と、を有する。
【0012】
送信アンテナ13は第1の制御信号である第1の周波数f1の交流磁界信号と、第2の制御信号である第2の周波数f2の交流磁界信号と、を外部に放射する。すなわち第1の制御信号と第2の制御信号とは周波数が異なるため、エネルギー状態が異なる。
【0013】
カプセル20は、電源である電池21と、第1の受信部24と、第1のスイッチ25と、第2の受信部28と、第2のスイッチ29と、体内情報取得部(以下「機能部」ともいう)30と、電力供給線40と、を有する。後述するようにカプセル20は、磁界発生装置10からの制御信号に応じて3種類の動作モード(OFFモード、スタンバイモード、起動モード)に切り替えられる。
【0014】
第1の受信部24は、第1の制御信号を受信する第1の受信センサ22と、第1の受信センサ22が受信した信号を処理し第1のスイッチ25の開閉を制御する第1の受信回路23と、を有する。第2の受信部28は、第2の制御信号を受信する第2の受信センサ26と、第2の受信センサ26が受信した信号を処理し第2のスイッチ29の開閉を制御する第2の受信回路27と、を有する。
【0015】
第1の受信部24および第2の受信部28は交流磁界信号を受電し、直流信号に変換する検波部24DE、28DEを有する。検波部24DE、28DEは、例えば、受信した交流信号を整流するダイオードと、これを平滑する平滑用コンデンサと、平滑用コンデンサに充電された電荷を放電する抵抗とを有する。すなわち、検波部24DE、28DEは交流信号を整流/平滑処理し、交流磁界の印加に応じた直流電圧信号を出力する。
【0016】
第1の受信部24および第2の受信部28は、交流磁界を電磁変換し直流電圧信号を得るために、電池21の電力を消費しない。
【0017】
第1のスイッチ25および第2のスイッチ29は、例えば、P−MOSトランジスタであり、ソース(S)は電力供給線40を介して電池21に、ドレイン(D)はカプセル20の機能部30に、ゲート(G)は第1の受信部24、第2の受信部28に接続されている。
【0018】
第1の受信回路23および第2の受信回路27は、例えば、それぞれの入力端子(ck端子)に信号が入力される2つのD型フリップフロップ回路を有し、第1のフリップフロップ回路の出力(Q端子)は、第1のスイッチ25のゲートに入力されており、第2のフリップフロップ回路の出力(Q端子)は、第2のスイッチ29のゲートに入力されている。このため、第1の受信回路23および第2の受信回路27は、入力信号に応じて出力信号をトグル動作する。
【0019】
機能部30は、CCD等の撮像部を有する撮像回路31と、LED等を有する照明回路32と、撮像した画像を無線送信するRFユニット33と、を有する。カプセル20の筐体は細長いカプセル形状であり、撮像回路31および照明回路32が配設された側の端部は透明材料によって構成されたドーム形状であり、中央の円筒部および反対側のドーム形状の端部は遮光性材料によって構成されている。
【0020】
そして、第1の受信部24の検知周波数と、第2の受信部28の検知周波数とは異なる。すなわち、第1の受信センサ22は共振周波数f1の共振回路のコイルであり、第2の受信センサ26は共振周波数f2の共振回路のコイルである。
【0021】
第1のスイッチ25は第1の受信部24が第1の制御信号を受信すると、ソース(S)−ドレイン(D)間(以下、「SD間」ともいう)が開放状態から導通状態に切り替わる。第2のスイッチ29は第2の受信部28が第2の制御信号を受信すると、SD間が開放状態から導通状態に切り替わる。以下、スイッチの開閉状態とはSD間の状態をいう。第1のスイッチ25および第2のスイッチ29の初期状態は開放状態である。
【0022】
第1の受信回路23および第2の受信回路27は、第1のスイッチ25および第2のスイッチ29を介した電力供給線40により、電池21と接続されている。言い換えれば、カプセル型内視鏡20は、第1のスイッチ25および第2のスイッチ29が直列に接続された、電池21から機能部30に電力を供給する電力供給線40を有する。
【0023】
すなわち、カプセル型内視鏡20は、第1の受信部24が第1の制御信号を受信し、かつ、第2の受信部が第2の制御信号を受信した場合にのみ、機能部30に電力を供給する電力供給線40を具備する。
【0024】
本実施形態のカプセル型内視鏡20の動作を、図2に示すタイムチャートを用いて説明する。
【0025】
<T0〜T1>OFFモード
初期状態では、第1のスイッチ25と第2のスイッチ29とは非導通(開放)状態であり、第2の受信回路27および機能部30に、電力供給線40を介して電力は供給されていない。この状態をOFFモードという。
【0026】
なお、第1の受信回路23および第2の受信回路27の消費電力は微小であり、ゼロみなすこともできる。すなわち第1の受信回路23および第2の受信回路27は、撮像、照明および画像送信を行う機能部30の消費電力と比較して、非常に小さい。
【0027】
このため、OFFモードでは、消費電力が微小またはゼロである第1の受信回路23にしか電池21からの電力は供給されていないため、電池21はほとんど電力を消耗しない、または全く消耗しない。
【0028】
<T1〜T2>
送信アンテナ13が第1の制御信号を発生すると、カプセル20に第1の周波数f1の交流磁界が印加される。
【0029】
第1の周波数f1は、第1の受信部24では高感度に検知される第1の受信部24の共振周波数であり、共振周波数がf2と異なる第2の受信部28では検知感度が低い周波数である。
【0030】
なお第1の受信回路23は第1の受信センサ22の出力を処理し、出力(N1)を反転させる回路であり、出力(N1)の初期状態はHレベルである。
【0031】
<T2〜T3>スタンバイモード
第1の受信センサ22が第1の周波数f1の交流磁界を受信すると、第1の受信回路23は、その受信結果を処理し、信号受信が終了したT2に出力(N1)をHレベルからLレベルへ反転させる。
【0032】
その結果、P−MOSトランジスタである第1のスイッチ25のゲート(G)−ソース(S)間(以下「GS間」ともいう)に電圧が印加され、第1のスイッチ25が導通状態となり、第2の受信回路27に電力が供給される。この状態をスタンバイモードという。
【0033】
すなわち、スタンバイモードとは、第1の受信回路23と、第2の受信回路27と、に電力が供給されている状態で、体内情報取得部30には電力が供給されていない状態をいう。
【0034】
第2の受信回路27は電力が供給されていない状態では、出力(N3)はLow(L)レベルであるが、電力を供給されると、初期状態はHigh(H)レベルとなる回路である。第2の受信回路27は、体内情報取得部30とは違って、撮像、照明および画像送信を行わない回路であるため、消費電力は非常に小さい。すなわち、スタンバイモードでは、電池21はほとんど消耗しない。
【0035】
また、第2の受信回路27は、第2の受信センサ26の出力を処理し、出力(N3)を反転させる回路である。
【0036】
第1の周波数f1の交流磁界を印加したことにより、第2の受信回路27に電力が供給されたスタンバイモードになると、第2の受信回路27の出力(N3)はLレベルからHレベルになる。
【0037】
ここのとき、P−MOSトランジスタである第2のスイッチ29のソース(S)電圧と第2の受信回路27の出力電圧はHレベルであるため、第2のスイッチ29のGS間は電位差がないために非導通状態が維持される。
【0038】
<T3〜T4>起動モード
送信アンテナ13より第2の周波数f2の交流磁界がカプセル20に印加される。
【0039】
ここで、第2の周波数f2の交流磁界は、第2の受信部28の共振周波数の磁界であるため第2の受信部28により高感度に検知される。しかし、第2の周波数f2は第1の受信部24の共振周波数f1ではないため、第1の受信部24は検知しない。このため、出力(N1)は、その状態を保持する。よって、第1のスイッチ25は導通状態のままである。
【0040】
一方、第2の受信部28は第2の周波数f2の交流磁界を検知し、受信が終了したとき(T4)に出力(N3)をHレベルからLレベルへ反転させる。
【0041】
すると、P−MOSトランジスタである第2のスイッチ29のGS間には電位差が発生し、第2のスイッチ29は導通状態となる。
【0042】
以上の動作により、第1のスイッチ25と第2のスイッチ29がともに導通状態となるため、体内情報取得部30は電力供給線40を介して電力を供給され、起動モードとなる。ここで、起動モード(駆動モード)とは、体内情報取得部30に電力を供給され、撮像回路31、照明回路32およびRFユニット33が駆動している状態をいう。
【0043】
<T5〜T6>スタンバイモード
起動モードにおいて、第2の周波数f2の交流磁界がカプセル20に印加されると、第2の受信回路27の出力(N3)は、交流磁界の受信が終了したT6にLレベルからHレベルに反転するため、第2のスイッチ29は非導通状態となり、スタンバイモードとなる。
【0044】
<T7〜T8>起動モード
スタンバイモードにおいて第2の周波数f2の第2の制御信号がカプセル20に印加されると、第2の受信回路27の出力(N3)は、信号受信を終了したT8にHレベルからLレベルに反転するため、第2のスイッチ29が導通状態となり、カプセル型内視鏡20は、体内を観察する起動モード(駆動状態)となる。
【0045】
すなわち、カプセル型内視鏡20は、2種類の周波数f1、f2の制御信号が印加された場合にのみ、起動モードとなるために、輸送時の雑音(ノイズ)による誤起動を防止することができる。
【0046】
言い換えれば直列接続された第1のスイッチ25および第2のスイッチ29が導通状態のときにのみ、電池21から体内情報取得部30に電力を供給する電力供給線40を有するカプセル型内視鏡20は、第1の周波数f1の交流磁界および第2の周波数f2の交流磁界の両方が印加されない限り、駆動状態(起動モード)となることはない。2つの異なる周波数の交流磁界が偶発的にカプセル20に印加されることはない。このため、カプセル型内視鏡20は、輸送時の雑音による誤起動を防止し、電池21の電力の消耗を防ぐことができる。
【0047】
なお、カプセル型内視鏡20の使用時には、体外で第1の周波数f1の交流磁界をカプセル20に印加してOFFモードからスタンバイモードに切り替えた後、カプセル型内視鏡20を被検者が嚥下し、所定の時間経過後に、体内のカプセル20に第2の周波数f2の交流磁界を印加して起動モードに切り替え、観察を開始してもよい。そして体外に送信される観察画像をもとに所望の部位にカプセル型内視鏡20が到達していた場合には、そのまま観察状態(起動モード)を続け、所望の部位に到達していない場合には、再度、第2の制御信号を体内のカプセル20に印加してスタンバイモードに戻すこともできる。
【0048】
なお、カプセル型内視鏡の第1の受信部24と第2の受信部28とは、検知する物理量が異なっていてもよい。例えば、第1の受信部は交流磁界を検知し、第2の受信部は音波、例えば超音波を検知してもよい。異なる物理量を検知する2つの受信部を有するカプセル型内視鏡は、さらに意図しない起動を防止する効果が高い。
【0049】
また、第1の受信部24と、第2の受信部28とが、それぞれ異なるパターンの信号のみを検知するようにしてもよい。ここで、異なる信号パターンとしては、例えば、AM変調波とFM変調波とがあげられる。
【0050】
そして、第1の受信部は、第1の信号パターンのみを検知し、それ以外の信号パターンは検知せず、第2の受信部は、第2の信号パターンのみ検知し、それ以外の信号パターンは検知しないようにする。異なるパターンのみを検知する複数の受信部を有するカプセル型内視鏡は、さらに意図しない起動、すなわち起動モードになることを防止する効果が高い。
【0051】
さらに、実施形態では、スイッチおよび受信部が、それぞれ2個の場合について説明したが、スイッチおよび受信部の数は、これに限定されず、複数であれば良い。すなわち、異なるエネルギー状態の制御信号を、それぞれが検知する3個以上の受信部および3個以上のスイッチを有しているカプセル型内視鏡は、意図しない起動を、より確実に防止できる。
【0052】
<第1実施形態の変形例1>
次に第1実施形態の変形例のカプセル型内視鏡20Aについて説明する。本変形例のカプセル型内視鏡20Aは第1実施形態のカプセル型内視鏡20と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0053】
第1実施形態のカプセル型内視鏡20では、第1のスイッチと25、第2のスイッチ29とは直列に接続されており、第1のスイッチ25が導通状態となると、スタンバイモードになり、第1のスイッチ25および第2のスイッチ29が導通状態となると、起動モードとなった。
【0054】
これに対して、図3に示すように、内視鏡システム1Aのカプセル型内視鏡20Aでは、第1のスイッチ25Aと、第2のスイッチ29Aとが、電力供給線40Aにおいて並列に接続されている。なお、第2の受信回路27の出力(N3)の初期状態はHになるように設定されている。
【0055】
カプセル型内視鏡20Aでは、第1の周波数f1の交流磁界を第1の受信センサ22が受信し、第1のスイッチ25Aが導通状態となると、第2の受信部28に電力供給線40を介して電力が供給され、スタンバイモードとなる。
【0056】
次に、第2の周波数f2の交流磁界を第2の受信センサ26が受信し、第2のスイッチ29Aが導通状態となると、機能部30に電力供給線40Aを介して電力が供給され、起動モードとなる。
【0057】
すなわち、本変形例のカプセル型内視鏡20Aは、並列接続された第1のスイッチ25Aおよび第2のスイッチ29Aが導通状態のときにのみ、電池21から体内情報取得部30に電力を供給する電力供給線40Aを有するが、第1実施形態のカプセル型内視鏡20と同じ機能を有する。
【0058】
<第1実施形態の変形例2>
次に第1実施形態の変形例2のカプセル型内視鏡20Bについて説明する。本実施形態のカプセル型内視鏡20Bは第1実施形態のカプセル型内視鏡20と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0059】
図4に示すように、内視鏡システム1Bのカプセル型内視鏡20Bは、第2の受信部26Bの第2の受信センサ26Bが、磁界検出方向が互いに垂直な3つの受信コイル26B1、26B2、26B3で構成されている。受信コイル26B1、26B2、26B3は、例えば、ソレノイド型の巻線コイルである。
【0060】
受信センサがコイルの場合には、磁界検出方向であるコイルの磁路方向と印加される磁界方向とが直交すると磁界は検出されない。例えば、細長い筐体の長軸方向が受信センサの磁界検出方向のカプセル型内視鏡では、筐体の長軸方向と一致しない方向の磁界では印加された磁界のうち、長軸方向成分しか検出されない。すなわち、筐体単軸方向の磁界は検出できない。
【0061】
しかし、カプセル型内視鏡20Bでは、第2の受信センサ26Bが互いに磁界検出方向が垂直な3つの受信コイル26B1、26B2、26B3で構成されているため、どの方向から磁界が印加されても、少なくとも一の受信コイルが効率良く磁界を検知する。そして第2の受信回路27Bは3つの受信コイルからの信号を処理する。
【0062】
したがって、体内でカプセル20Bの姿勢がどのようであっても、言い換えればカプセル20Bの長軸方向が、どの方向であっても、スタンバイモードから起動モードに確実に切り替えることができる。
【0063】
なお、上記説明は第2の受信センサ26Bを磁界検出方向が互いに垂直な3つの受信コイル26B1、26B2、26B3で構成する例であるが、第1の受信センサを3つの受信コイルで構成しても良いし、第1の受信センサおよび第2の受信センサの両方を3つの受信コイルで構成しても良い。また受信センサとしてMRセンサ、MIセンサ、またはFGセンサ等を用いてもよい。
【0064】
本変形例のカプセル型内視鏡20Bは、カプセル型内視鏡20等が有する効果を有し、さらに生体内でのカプセル20Bの姿勢に関わらず、動作モードを確実に制御することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のカプセル型内視鏡20Cについて説明する。本実施形態のカプセル型内視鏡20Cは第1実施形態のカプセル型内視鏡20と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0066】
第1実施形態のカプセル型内視鏡20では、第1の受信部24と、第2の受信部28とが、それぞれ異なる周波数f1、f2の磁界信号を受信した。これに対して内視鏡システム1Cのカプセル型内視鏡20Cでは、第1の受信部24Cと、第2の受信部28Cとは、検知周波数、すなわち共振周波数は同じであるが、検知感度が異なる。
【0067】
すなわち、カプセル型内視鏡20Cでは、第2の受信部28Cの検知感度を、第1の受信部24Cの検知感度よりも高く設定することにより、第1の周波数と第2の周波数とが同じでも、カプセル型内視鏡20と同様の効果を得ることができる。
【0068】
なお、第1の受信部24Cと第2の受信部28Cとは、それぞれが受信センサであるコイルを有していてもよいが、1つの巻回コイルを分割して用いることにより、巻回数の多い高感度の第2の受信センサ26Cと、巻回数の少ない低感度の第1の受信センサ22Cと、を構成してもよい。
【0069】
ここで、図5のフローチャートを用いてカプセル型内視鏡20Cの動作について説明する。
【0070】
<T0〜T12>OFFモード
初期状態では、第1のスイッチ25と第2のスイッチ29とは非導通(開放)状態であり、第2の受信部28Cおよび機能部30に電力は供給されていないOFFモードである。
【0071】
<T12〜T14>スタンバイモード
磁界発生装置10Cが送信アンテナ13が第1の制御信号を発生すると、カプセル20Cに第1の周波数の第1の強度(第1の振幅)の交流磁界が印加される。するとカプセル20Cの第1の受信センサ22Cが交流磁界を検知し、第1の受信回路部24Cは出力(N1)をHレベルからLレベルへ反転させる。
【0072】
その結果、第1のスイッチ25のGS間に電圧が印加され、第1のスイッチ25が導通状態となり、第2の受信回路27に電力が供給されカプセル型内視鏡20Cはスタンバイモードとなる。
【0073】
<T14〜T16>起動モード
スタンバイモードにおいて、カプセル20Cに第1の周波数の第2の強度(振幅)の交流磁界である第2の制御信号が磁界発生装置10Cの送信アンテナ13を介して印加される。ここで第2の制御信号は、第1の受信部24Cは検知できないが、第2の受信部28Cは検知できる強度に調整されている。
【0074】
すなわち、磁界発生装置10Cは強度の異なる2種類の交流磁界を発生する。第1の制御信号と、第2の制御信号とは、強度(振幅)が異なるが同じ周波数の信号である。
【0075】
第1の受信部24の第1の受信センサ22Cは検知感度が低いため、小さい強度の第2の制御信号を検出できないため、出力(N1)は、その状態を保持する。よって、第1のスイッチ25は導通状態のままである。
【0076】
一方、第2の受信部28Cの第2の受信センサ26Cは検知感度が高いため、小さい強度の第2の制御信号であっても検出し、出力(N3)をHレベルからLレベルへと反転させる。すると、第2のスイッチ29のGS間には電圧が印加され、第2のスイッチ29は導通状態となる。第1のスイッチ25と第2のスイッチ29とが導通状態となると、機能部30には電力供給線40を介して電力を供給され、カプセル型内視鏡20Cは起動モードとなる。
【0077】
<T16〜T18>スタンバイモード
起動モードにおいて、第1の制御信号よりも小さい強度(振幅)の第2の制御信号が印加されると、第2の受信回路27Cの出力は、LレベルからHレベルに反転し、第2のスイッチ29は非導通状態となり、カプセル型内視鏡20Cはスタンバイモードとなる。
【0078】
<T18〜>起動モード
スタンバイモードにおいて、小さな強度の第2の制御信号がカプセル20Cに印加されると、第2の受信回路27Cの出力は、HレベルからLレベルに反転し、第2のスイッチ29は導通状態となり、カプセル型内視鏡20Cは起動モードとなる。
【0079】
ここで、第1の受信部24Cと第2の受信部28Cの両方が検知できる強度の交流磁界(第1の制御信号)がカプセル20Cに2回印加された場合を考えてみる。1回目の交流磁界(第1の制御信号)印加により、カプセル型内視鏡20Cはスタンバイモードになるが、機能部30には電力が供給されていないので、電池21の電力の消耗は少ない。
【0080】
そして、スタンバイモード時に、2回目の交流磁界(第1の制御信号)がカプセル20Cに印加されると、第1の受信部24Cと第2の受信部28Cの両方が検知をするが、第1のスイッチ25が非導通状態となるため、カプセル型内視鏡20CはOFFモードとなる。すなわち、第1の受信部24Cと第2の受信部28Cの両方が検知できる強度(振幅)の交流磁界が複数回印加された場合には、OFFモードとスタンバイモードとの切り替えが行われるだけであるため、機能部30には電力は供給されず、その間の電池電力の消耗は非常に少ない。
【0081】
なお、カプセル型内視鏡20Cを用いた診断(観察)のときには、まず、体外において、強い交流磁界(第1の制御信号)がカプセル20に印加されると、カプセル型内視鏡20CはOFFモードからスタンバイモードに切り替えられる。その後、被検者がスタンバイモードのカプセル型内視鏡20Cを嚥下する。そして、所定の時間経過後に、体内のカプセル20Cに交流磁界(第2の制御信号)が印加されると、カプセル型内視鏡20Cをスタンバイモードから起動モードに切り替えられる。
【0082】
なお、第2の受信部28Cは検知感度が高いので、送信アンテナ13とカプセル型内視鏡20Cとの間の距離が長い場合でも確実にカプセル型内視鏡20Cを起動停止できる。
【0083】
異なる振幅の第1の交流磁界信号および第2の交流磁界信号により制御可能な、本実施の形態のカプセル型内視鏡20Cは、第1の実施の形態のカプセル型内視鏡20等が有する効果を有し、さらに異なる周波数の交流磁界使用する必要がないため構成が簡単である。
【0084】
また、第1の制御信号と第2の制御信号が、周波数および強度(振幅)が異なっていてもよい。周波数および強度が異なる複数の制御信号を用いるカプセル型内視鏡は、より確実に動作モードを切替制御できる。
【0085】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態のカプセル型内視鏡20Dについて説明する。本実施形態のカプセル型内視鏡20Dは第1実施形態のカプセル型内視鏡20等と類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0086】
図6に示すように、内視鏡システム1Dは、電圧発生装置52と、電圧発生装置52と接続された送信電極である外部電極51と、筐体の外表面に露出した受信電極53を有する電圧信号を検出する第2の受信部28Dと、を有するカプセル型内視鏡20Dと、を具備する。
【0087】
電圧発生装置52は、第2の制御信号として交流電圧信号を発生する。交流電圧信号は、被検者50に悪影響を及ぼさないように、例えば±15V、周波数1kHz〜1MHzである。外部電極51は被検者50の外表面である皮膚に貼り付けられ、導体である被検者50の体内組織に交流電圧信号を印加する。そして、カプセル型内視鏡20Dでは受信電極53が、体内組織を介して伝送された第2の制御信号を受信する第1の受信センサ26Dである。
【0088】
すなわち、第2の受信部28Dは受信電極53と、受信電極53が受信した交流電圧信号を処理し、第2のスイッチ29の開閉を制御する第2の受信回路27Dと、を有する。
【0089】
なお、第1の受信部24は、第1実施形態のカプセル型内視鏡20と同様に、磁界発生装置10からの交流磁界を受信し、第1のスイッチ25の開閉を制御する第1の受信回路27を有する。
【0090】
例えば、内視鏡システム1Dでは、カプセル20Dは体外で、磁界発生装置10から送信された第1の制御信号である交流磁界が印加される。第1の制御信号は、第1の受信センサ22Dにより受信され、第1の受信回路13により所定の処理がなされ、第1のスイッチ25が導通状態となる。すると。第2の受信回路27Dに電力が供給され、第2の受信回路27Dの出力(N1)はLレベルからHレベルとなる。すなわち、カプセル型内視鏡20Dはスタンバイモードとなる。
【0091】
次に、被検者50がスタンバイモードのカプセル20Dを嚥下した後、カプセル20Dが所定の体内の観察部位に到達したときに、電圧発生装置52により、外部電極51を介して交流電圧信号が体内に印加される。すると、被検者50の体内組織を介して、受信電極53に電圧信号が伝達される。
【0092】
受信電極53に伝達された電圧信号は、第2の受信回路27Dにより所定の処理がなされ、第2の受信回路27Dの出力(N3)が反転される。このため、第2のスイッチ29が導通状態となり、機能部30に電力が供給され、カプセル型内視鏡20Dは起動モードとなる。
【0093】
カプセル型内視鏡20Dは第1の実施形態のカプセル型内視鏡20が有する効果を有し、さらに第2の制御信号が生体内を介して伝送されるために、確実にスタンバイモードから起動モードとすることができる。
【0094】
なお、上記説明では第2の制御信号が外部電極51を介して生体内を伝送される交流電圧信号であり、第1の受信部が交流磁界信号である第1の制御信号を受信する例を示したが、第1の制御信号または第2の制御信号の少なくともいずれかが交流電圧信号であり、第1の受信部または第2の受信部の少なくともいずれかがが交流電圧信号を受信してもよい。
【0095】
すなわち、第1の受信部または第2の受信部の少なくともいずれかが、体内情報取得部30等を収納する筐体45の表面に受信電極を有していていればよい。
【0096】
なお、図7に示すように、筐体45内に収納された第2の受信センサ26Dは、受信電極53と第2の受信回路27Dとの間に、インダクタ55とコンデンサ54が並列に接続された共振回路を有していることが好ましい。第2の受信部28Dの共振回路は、共振周波数以外の電圧信号では、インピーダンスが低いために、電圧信号を受信しない。そのため、共振周波数以外の雑音の電圧信号が被検者の体内に印加されても、誤動作しない。一方、共振周波数の電圧信号が入力された場合には、共振回路のインピーダンスが高くなるため、確実に第2の受信回路27Dに効率的に電圧信号が入力される。
【0097】
また、図8に示すように、受信電極53Aはカプセル20DAの筐体45A側面の全周にわたって配設されていることが好ましい。受信電極53が筐体側面の全周に配設されているカプセル型内視鏡20Dは生体との接触面積が多い。したがって、電圧発生装置52からの生体内を介して伝送される制御信号をより確実に第2の受信回路27Dに伝達することができる。
【0098】
なお、上記説明では、制御信号とし交流磁界信号または交流電圧信号を用いた例を示したが、制御信号はこれに限るものではなく、複数の制御信号が、異なるエネルギー状態であれば、よい。すなわち制御信号は、光信号、超音波を含む音信号、または無線信号のいずれかひとつ、または2以上の組み合わせを用いてもよいし、直流信号であってもよい。
【0099】
また上記説明は、カプセル型内視鏡を例に説明したが、本発明の体内観察システムは、消化器液採取用カプセル型医療装置または嚥下型のカプセル型pHセンサのような各種カプセル型体内観察装置に適用できる。
【0100】
本発明は、上述した実施形態または変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、組み合わせ、および改変等ができる。
【符号の説明】
【0101】
1、1A〜1D…内視鏡システム
10…磁界発生装置
11…電源
12…駆動回路
13…送信アンテナ
13…受信回路
20、20A〜20D…カプセル型内視鏡
21…電池
22…第1の受信センサ
23…第1の受信回路
24…第1の受信部
25…第1のスイッチ
26…第2の受信センサ
27…第2の受信回路
28…第2の受信部
29…第2のスイッチ
30…体内情報取得部
31…撮像回路
32…照明回路
33…ユニット
40…電力供給線
50…被検者
51…外部電極
52…電圧発生装置
53…受信電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内において体内情報を取得する体内情報取得部と、
前記体内情報取得部に電力を供給する電源と、
第1の制御信号を受信する第1の受信部と、
第2の制御信号を受信する第2の受信部と、
前記第1の受信部が前記第1の制御信号を受信すると、開放状態から導通状態に切り替わる第1のスイッチと、
前記第2の受信部が前記第2の制御信号を受信すると、開放状態から導通状態に切り替わる第2のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが接続され、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが導通状態のときにのみ、前記電源から前記体内情報取得部に電力を供給する電力供給線と、を具備することを特徴とする体内情報取得装置。
【請求項2】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号が、周波数または振幅の少なくともいずれかが異なる交流信号であることを特徴とする請求項1に記載の体内情報取得装置。
【請求項3】
前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とが、それぞれ、交流磁界信号または超音波を含む音波のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の体内情報取得装置。
【請求項4】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号が、交流磁界信号であることを特徴とする請求項3に記載の体内情報取得装置。
【請求項5】
前記第1の受信部または前記第2の受信部の少なくともいずれかが、受信する前記交流磁界信号を直流信号に変換する検波部を有し、前記直流信号により、前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチの少なくともいずれかが切り替わることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の体内情報取得装置。
【請求項6】
前記第1の制御信号または前記第2の制御信号の少なくともいずれかが、前記被検体の外表面に配設された送信電極から体内に伝送される交流電圧信号であることを特徴とする請求項2に記載の体内情報取得装置。
【請求項7】
前記第1の受信部または前記第2の受信部の少なくともいずれかが、前記体内情報取得部を収納する筐体の外表面に、前記交流電圧信号を受信する受信電極を有することを特徴とする請求項6に記載の体内情報取得装置。
【請求項8】
カプセル型内視鏡であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の体内情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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