作業機械の操作装置
【課題】
複数の操作レバーを備えた作業機械において、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない操作レバーの誤操作を防止する。
【解決手段】
作業機械には、1対の走行体と、少なくとも1個の作業フロントと、操作者が搭乗するキャブが備えられており、キャブ内には操作装置50a、50bが配置されている。操作装置は、作業フロントと下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバー300a、300bと、第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いたアクチュエータ中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバー54a、54bとを有している。第1の操作レバーが操作中であると判断したときに第2の操作レバーの不感帯を第1の操作レバーの不感帯より大きくする制御装置400を設けた。
複数の操作レバーを備えた作業機械において、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない操作レバーの誤操作を防止する。
【解決手段】
作業機械には、1対の走行体と、少なくとも1個の作業フロントと、操作者が搭乗するキャブが備えられており、キャブ内には操作装置50a、50bが配置されている。操作装置は、作業フロントと下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバー300a、300bと、第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いたアクチュエータ中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバー54a、54bとを有している。第1の操作レバーが操作中であると判断したときに第2の操作レバーの不感帯を第1の操作レバーの不感帯より大きくする制御装置400を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体作業や建築作業、土木作業等に使用される作業機械に係り、特にその操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2本の作業フロントを有した双腕型の作業機械において、運転席の両側に操縦装置を設け、この操縦装置に各作業フロントを操作する作業機操作レバーを備えることが、特許文献1に記載されている。双腕型の作業機では操作軸数が大幅に増加するので、標準的な油圧ショベルの操作装置をそのまま適用することが困難である。そのため、この公報に記載の双腕型の作業機械の操作装置では、運転席の左右両側に揺動自在な操作アームと、横置きの操作レバーと、肘受けなどを備えている。これにより操作者が、第1作業フロント用の操作装置と第2作業フロント用の操作装置のそれぞれを別個に操作すれば、第1作業フロント及び第2作業フロントを同時に独立して簡単に操作できる。なおこの公報に記載の作業機では、一般的な油圧ショベルと同様に、作業機の走行操作を行なうことが可能な走行用操作レバーが運転室内前方に備えられている。
【0003】
双腕型の作業機械において、運転席の左右両側に操作装置を備えた他の例が特許文献2に記載されている。この公報に記載の作業機械では、操作者が長時間の作業をしても疲労が少なくなるように、左右揺動自在に取り付けられた操作アームにアームレストを取り付けている。そしてこのアームレストは、操作者の肘関節部分を支持する肘関節支持部が、操作アームの揺動中心軸線上に位置するように操作アームを保持するアームブラケットに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−070456号公報
【特許文献2】特開2006−252224号公報
【特許文献3】特開2005−178978号公報
【特許文献4】特開2003−276981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の作業機械の操作装置では、作業フロント操作用の操作レバーの他に走行用のレバーが床面から上方に配置されている。そして、双腕型の作業フロントを使用する作業機械への乗降を容易にするために、走行レバーを起立位置と倒伏位置との2位置間で回動可能になっている。しかしながら、この公報に記載の作業機械では、走行レバーを操作する際に、操作者の身体(主として胸部)が意図せず横置きの操作レバーに接触して誤操作が発生するのを防止することに関しては、十分には考慮されていない。
【0006】
また、特許文献2に記載の作業機械の操作装置では、双腕型の作業フロントを操作する際の疲労低減については十分考慮されているものの、走行用のレバー操作の際に、予期せずこの操作装置と操作者が干渉することについては考慮されていない。なお、横置きの操作レバーの代わりに縦置きの操作レバーとすれば、このような誤操作の発生を防止できるが、その場合、操作者の通常動作との対応が図られた直感的な操作性の維持が困難になる。
【0007】
一方、単独操作したい関節の操作信号以外の信号を、操作状態に関わらず無効とする単独操作モードを設けて誤操作を防止することが、特許文献3および特許文献4に開示されている。これらの公報に記載の方法を用いれば、誤操作の発生を防止することができるが、複合操作が不能となり、操作性が悪化し作業効率が大幅に低下する。
【0008】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の操作レバーを備えた作業機械において、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない操作レバーの誤操作を防止することにある。本発明の他の目的は、操作者の操作姿勢の変化により操作者の意図しない操作レバーの操作が発生するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の作業機械の操作装置は、左右に1対設けられた走行体と、この走行体が装架された下部車体と、この下部車体の上方に旋回可能に配置された上部旋回体と、少なくとも1個の作業フロントを有し、前記上部旋回体に操作者が搭乗するキャブを備えた作業機械に設けられ、前記キャブ内に配置されており、前記少なくとも1個の作業フロントと前記下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバーと、前記第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いた前記アクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバーとを設け、前記第1および第2の操作レバーには操作量が予め設定した範囲より小さいときにその操作を無効とする不感帯が設定されており、前記第1の操作レバーが操作中であると判断したときに前記第2の操作レバーの不感帯を前記第2の操作レバーに予め設定した不感帯より大きく設定する制御装置を有することを特徴とする。
【0010】
そしてこの特徴において、前記制御装置は、前記第2の操作レバーの不感帯を前記第1の操作レバーの操作量が増えれば増えるほど大きな値に設定するものであってよく、前記第1の操作レバーが操作するのが前記走行体であり、前記第2の操作レバーが操作するのが前記作業フロントであり、前記第1の操作レバーは前記キャブ内に配置された運転席の前方であって前記キャブの床面から延びた操作レバーであり、前記第2の操作レバーは前記運転席に付設された横置き操作レバーであってもよい。
【0011】
また、前記作業機械は前記作業フロントを2個有する双腕型の作業機械であり、前記第1の操作レバーは左右対称に1対設けられており、前記第2の操作レバーも左右対称に1対設けられていてもよく、前記制御装置に、前記第1の操作レバーの操作に応じて前記第2の操作レバーの不感帯を変化させる不感帯変更モードと前記第1の操作レバーの操作にかかわらず前記第2の操作レバーの不感帯を変化させない固定モードとを選択可能なモード切替手段を設け、前記モード切替手段が不感帯固定モードに切替えられたときは、前記第1の操作レバーの操作状態に関わらず前記第2の操作レバーの不感帯の変更を無効化するようにしてもよい。
【0012】
係る構成の作業機械の操作装置では、第1の操作レバー(例えば走行用レバー)を操作している間は、第2の操作レバー(例えばフロント用レバー)の不感帯を一時的に大きくする。これにより、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業機械の操作装置において、一の操作レバーを操作中に他の操作レバーの不感帯の大きさを一時的に大きくしているので、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止できる。また、操作者の操作姿勢が大きく変化するような操作では、各操作レバーの不感帯を同一にはしていないので、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る作業機械の一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示した作業機械の上面図である。
【図3】図1に示した作業機械が備える運転席の斜視図である。
【図4】図3に示した運転席の上面図である。
【図5】図3に示した運転席に操作者が搭乗した様子を説明する側面図である。
【図6】作業機械の操作装置の動作と作業機械の作業フロントの動作との対応を説明する図である。
【図7】本発明に係る作業機械の操作装置の一実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図8】不感帯を説明する図である。
【図9】不感帯を説明する図である。
【図10】本発明に係る作業機械の操作装置の他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図11】不感帯を説明する図である。
【図12】不感帯を説明する図である。
【図13】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図14】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図15】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図16】図15に示した作業機械の操作装置を備える運転席の斜視図である。
【図17】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る作業機械のいくつかの実施例について、図面を用いて説明する。図1および図2に、本発明に係る作業機械の一実施例を示す。図1は、作業機械200の斜視図であり、図2はその上面図である。本実施例では、双腕型の作業機械200を例にとり説明する。
【0016】
作業機械200は、無限履帯が装架された左走行体1a及び右走行体1bを備えた下部車体2と、下部車体2上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体3とを有している。上部旋回体3の前部中央付近には、運転室4が取り付けられており、上部旋回体3の側部及び後部には、図示しないエンジンやポンプ等が配置されている。上部旋回体3の前部左側には、上下方向および左右方向に揺動自在に第1作業フロントAが取り付けられている。同様に、上部旋回体3の前部右側には、上下方向および左右方向に揺動自在に第2作業フロントBが取り付けられている。
【0017】
なお、第1作業フロントAと第2作業フロントBの構成および動作は対称的であるので、以下の記載では第1作業フロントAについてのみ記載し、第2作業フロントBの構成については省略する。第2作業フロントBの場合には、各構成要件を示す符号の末尾が第1作業フロントAの場合のaから、bに変更されている。
【0018】
第1作業フロントAは、上部旋回体3の前部左側に設けられたブラケット6aと、ブラケット6aに縦軸周りに左右揺動自在に取り付けられたスイングポスト7aと、スイングポスト7aに上下揺動自在に取り付けられたブーム10aと、ブーム10aに上下揺動自在に取り付けられたアーム12aと、アーム12aに上下回動自在に取り付けられた作業具20aとを有している。そして、これら各部材7a、10a、12a、20aはシリンダにより駆動される。
【0019】
つまり、スイングポスト7aを縦軸回りに左右方向に揺動させるスイングポストシリンダ9aは、その一端部がスイングポスト7aに、他端部が上部旋回体3に連結されている。ブーム10aを上下方向に揺動させるブームシリンダ11aは、その一端部がスイングポスト7aに、他端部がブーム10aに連結されている。アーム12aを上下方向に揺動させるアームシリンダ13aは、その一端部がブーム10aに、他端部がアーム12aに連結されている。また、作業具20aを上下方向に揺動させる作業具シリンダ15aは、その一端部がアーム12aに、他端部が作業具20aに連結されている。
【0020】
なお、作業具20aは作業機械200の作業内容に応じて交換可能である。図1および図2に示したグラップルの他に、カッタやブレーカ、バケット、その他の作業具が用いられ、いずれか1つが第1作業フロントAの先端に取り付けられる。上述したように、第2作業フロントBは第1作業フロントAと対称的に配置されており、上部旋回体3の前部右側にその一端部が取り付けられている。
【0021】
このように構成した作業機械200の運転席49を取り出して、図3ないし図5に示す。図3は運転席49の斜視図であり、図4はその上面図である。図5は、操作者が着座した状態を示す運転席49の側面図であり、同図(a)は第1作業フロントAを操作する場合であり、同図(b)は走行体1bを操作する場合である。
【0022】
運転室4内には運転席49が設置されている。運転席49の前方には、詳細を後述する走行用の走行用レバー装置300a、300bが配置されている。運転席49の左側には、第1作業フロントAを操作するための操作装置50aが、運転席49の右側には、第2作業フロントBを操作するための操作装置50bが、それぞれ対称的に設けられている。操作装置50aと操作装置50bは、本実施例では対称的に形成された同一構造であるので、以下の説明では操作装置50aについてのみ説明する。
【0023】
操作装置50aは、運転席49の左側面に設けられたアームブラケット51aと、アームブラケット51aに垂直に取付けられた揺動装置90aと、アームブラケット51a内を貫通する垂直な線である揺動中心軸線73a回りに左右揺動自在に取り付けられた操作アーム52aと、操作アーム52aに取り付けられたアームレスト53aを備えている。ここで、操作アーム52aは、第1作業フロントAの左右の揺動を指示するのに用いられる。また、アームレスト53aは、操作アーム52aと一体に揺動することで、操作者の疲労を軽減するようになっている。
【0024】
操作装置50aは、さらに第1作業フロントAの上下の揺動を指示するための横置き操作レバー54aを備えている。この横置き操作レバー54aは、操作アーム52aの先端部分に取り付けられており、揺動中心74a回りに上下方向および前後方向に揺動できる。横置き操作レバー54aは、その軸75a回りにも回動自在となっている。
【0025】
図4の上面図に示すように、横置き操作レバー54aの軸方向中間部には、操作者把持点72aが形成される。操作者把持点72aは、操作者350が操作レバー54aを把持した時に把持中心となる点であり、予め決まった位置ではない。操作者350は、アームレスト53aに肘を置き、操作者把持点72aを把持して、操作アーム52aおよび操作レバー54aを揺動操作する(図5(a)参照)。
【0026】
運転席46の前方には一対の対称に形成された走行用レバー装置300a、300bが備えられており、走行用レバー装置300aは左走行体1aの前後への動作を指示するために、走行用レバー装置300bは右走行体1aの前後への動作を指示するために用いられる。右の走行用レバー装置300bの構成および動作が左の走行用レバー装置300aと同様であるので、左の走行用レバー装置300aについて、図5を用いて説明する。
【0027】
走行用レバー装置300aは、床面から上方に延び上部先端部がL字型に曲がって把持部304aが形成された操作アーム301aと、この操作アーム301aの下端部で連結する操作ペダル302aとを備えている。したがって、操作アーム301aと操作ペダル302aは、回転中心303aを中心として、一体となって前後方向に揺動動作する。
【0028】
走行用レバー装置300aを操作する際は、操作アーム301aの把持部304aを操作するか(図5(b))、操作ペダル302aを操作するか(図5(a))を操作者350が任意に選択できる。なお、回転中心303aを中心とした回転量(角度)が同一であれば、同一の操作結果となり、同一の速度で左側の走行体1aが走行する。
【0029】
図6に、操作装置の操作と作業フロントの動作の対応を模式的に示す。説明の便のために、左側の操作装置50aと第1作業フロントAとについてだけ示した図を用いるが、右側の操作装置50bと第2作業フロントBの関係も左側の操作装置50aと第1作業フロントAの関係と同様であるので説明を省略する。
【0030】
操作アーム52aの根元部に配置した揺動装置90aには、図示しない操作量検出器が備えられている。操作アーム52aが揺動操作されると、操作量に比例した速度でスイングポストシリンダ9aが駆動される。すなわち左方向回転を正として、操作アーム52aが左方向にwだけ揺動操作されると、スイングポスト7aが縦軸回りに左方向にWだけ揺動される。操作アーム52aが右方向に−wだけ揺動操作された場合には、スイングポスト7aが縦軸回りに右方向に−Wだけ揺動される。
【0031】
横置き操作レバー54aにも、図示しない操作量検出器が備えられている。横置き操作レバー54aは、上下方向(y方向)の操作でブーム10aの上下揺動(Y)を、前後方向(x方向)の操作でアーム12aのブーム10aに対する上下揺動(X)を、各々指示する。
【0032】
すなわち、横置き操作レバー54aを上方向へyだけ操作すると、ブームシリンダ11aが伸び方向に駆動され、ブーム10aはスイングポスト7aに対して上方向へYだけ揺動される。横置き操作レバー54aを下方向へ−yだけ操作すると、ブームシリンダ11aが縮み方向に駆動され、ブーム10aはスイングポスト7aに対して下方向へ−Yだけ揺動される。
【0033】
同様に、横置き操作レバー54aを前方向へxだけ操作すると、アームシリンダ13aが縮み方向に駆動され、アーム12aはブーム10aに対して上方向へXだけ揺動される。横置き操作レバー54aを後方向へ−xだけ操作すると、アームシリンダ13aが伸び方向に駆動され、アーム12aはブーム10aに対して下方向へ−Xだけ揺動される。横置き操作レバー54aを軸75a回りにzだけ回動操作すると、作業具20aがZだけ上下に揺動する。作業具20aの上下揺動方向は、操作レバー54aの軸75a回りの回動操作方向と同一になっている。
【0034】
走行用レバー装置300aの回転中心303aには、図示しない操作量検出器が備えられている。走行用レバー装置300aの操作アーム301aが揺動操作されると、操作量に比例した速度で、左走行体1aが駆動される。同様に、走行用レバー装置300bの回転中心303bには、図示しない操作量検出器が備えられている。走行用レバー装置300bの操作アーム301bが揺動操作されると、操作量に比例した速度で右走行体1bが駆動される。
【0035】
したがって、図1に示した下部車体2を前進させる場合には、左側の走行用レバー装置300aと右側の走行用レバー装置300bの双方を、同量だけ前方へ操作すればよい。下部車体2を後進させる場合には、左側の走行用レバー装置300aと右側の走行用レバー装置300bの双方を、同量だけ後方へ操作すればよい。下部車体2を右方向へカーブさせる場合には、左側の走行用レバー装置300aの操作量を右側の走行用レバー装置300aの操作量より多く前方へ操作する。下部車体2を左方向へカーブさせる場合には、右側の走行用レバー装置300bの操作量を左側の走行用レバー装置300bの操作量より多く前方へ操作する。なお、一方の走行用レバー装置300aまたは300bだけを操作すれば、いわゆる信地旋回を実現できる。
【0036】
次に、このように構成した操作装置50a、50bと走行用レバー装置300a、300bを有する作業機械200の操作制御系について、図7以下を用いて、いくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0037】
図7ないし図9は、本発明に係る作業機械200の操作制御系の第1の実施例に関する図であり、図7は操作制御系の入出力信号を併記したブロック図、図8および図9はこの操作制御系が制御する各シリンダ9a、9b、11a、11b、13a、13b、15a、15bおよび走行体1a、1bの動作を説明するグラフである。
【0038】
操作制御系の中心をなす制御装置400には、第1、第2作業フロントA、Bを操作するための入力信号として、操作アーム52a、52bからの操作信号401a、401b、横置き操作レバー54a,54bからの上下操作信号402a、402b、前後操作信号403a、403b、回動操作信号404a、404bが入力される。また、走行体1a、1bを操作するための入力信号として、走行用レバー操作信号405a、405bも入力される。これらは、図示しない操作量検出器から検出される操作信号である。
【0039】
制御装置400はこれら入力信号に基づいて各種演算を実行した後、スイングポストシリンダ9a、9bへは駆動信号601a、601bを、ブームシリンダ11a、11bには駆動信号602a、602bを、アームシリンダ13a、13bには駆動信号603a、603bを、作業具シリンダ15a、15bには駆動信号604a、604bを出力する。また、左右の走行体1a、1bには駆動信号605a、605bを出力する。
【0040】
上記出力信号を得るため、制御装置400は、スイング駆動信号生成部501a、501bで操作アーム操作信号401a、401bからスイングポストシリンダ駆動信号601a、601bを生成する。同様に、ブーム駆動信号生成部502a、502bでは、横置き操作レバー上下操作信号402a、402bからブームシリンダ駆動信号602a、602bを生成する。アーム駆動信号生成部503a、503bでは、横置き操作レバー前後操作信号403a、403bからアームシリンダ駆動信号603a、603bを生成する。作業具駆動信号生成部504a、504bでは、作業具シリンダ駆動信号604a、604bを生成する。また、走行駆動信号生成部505a、505bでは、走行用レバー操作信号405a、405bから走行体駆動信号605a、605bを生成する。
【0041】
ここで本発明の特徴的構成として、制御装置400の各シリンダ駆動信号生成部501a〜504bには、不感帯の設定を変更するか否かの信号が不感帯選択部507を介して入力されている。この詳細を、以下に説明する。
【0042】
制御装置400が有する走行駆動信号生成部505a、505bでは、走行用レバー操作信号405a、405bを入力して走行体駆動信号605a、605bを生成するとともに、走行用レバー操作信号405a、405bを操作有無判定部506に入力する。これは、操作者350による作業機械200の操作が、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bから走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bに変更になったか否かを判断するためである。
【0043】
操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bの操作であれば、操作者350の姿勢は図5(a)に示した姿勢であり、走行用レバー装置300a、300bに触れるおそれはない。これに対し、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの操作であれば、操作者350の姿勢は図5(b)に示した姿勢となり、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bに触れるおそれが生じる。
【0044】
そこで操作有無判定部506は、走行駆動信号生成部505a、505bから入力された信号が所定値より大きければ、走行用レバー装置300a、300bが操作されたと判断する。そして、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54b側からの入力が予め定めた値以上でなければ、操作者350の意図する操作ではないものと判断する。つまり、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bからの操作信号に対して、不感帯を設けている。この不感帯の設定を、上記不感帯選択部507から各駆動信号生成部501a〜504bに送信する。
【0045】
具体的な不感帯の設定を、図8および図9を用いて説明する。図8は、各駆動信号生成部501a〜505bにおける信号処理の一例を示した図である。横軸は、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作量であり、縦軸はそのときの各操作量に対応するシリンダ速度の指令値である。横置き操作レバー54a、54bは3自由度を有するので、対応するシリンダも上述したように3軸分備えられている。操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作量に比例したシリンダ速度指令値が各駆動信号として算出されている。
【0046】
なお、実際の運用では、操作者350が意図しない、各操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの微小な操作が発生する場合がある。そこで、各操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作を有効とする下限の操作量を規定し、不感帯X1と設定する。本実施例では、この不感帯X1を、10%に設定した。
【0047】
一方、一対の走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかが上記不感帯X1を超えて操作されると、操作者350の操作姿勢が変更されたことになる。そこで、図7に示した不感帯選択部507は、操作アーム52a、52bおよび横置き操作レバー54a、54bの不感帯をさらに大きな値として操作者が意図せずに操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに触れて操作した操作量を無効化する。この新たな不感帯の設定を、図9に示す。
【0048】
図9は、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの駆動信号生成部501a〜504bにおける信号処理の一例を示す図であり、図8と同様の図である。操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの操作量に比例したシリンダ速度指令値が、駆動信号として算出される。その際、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの操作が有効となる下限の操作量を、不感帯X2と規定し、不感帯X2を不感帯X1より大きい20%に設定している。
【0049】
本実施例では、走行用レバー装置300aと走行用レバー装置300bの少なくともいずれかが操作されたと判定したときに、駆動信号生成部501a〜504bの全ての信号処理について、図9に示した処理が選択され、不感帯がX2となる。走行用レバー装置300a、300bが両方とも操作されていないと判定された場合には、駆動信号生成部501a〜504bの全ての信号処理として図8の処理が選択され、不感帯がX1となる。すなわち、走行用レバー装置300aと走行用レバー装置300bの少なくともいずれかが操作されていれば、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯の設定値は、X1からX2に増大される。
【0050】
本実施例によれば、作業機械200の操作装置50a、50bにおいて、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bを操作しているときには、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯を一時的に大きくしている。その結果、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bを操作する際に、操作者350の身体(主として胸部)が意図せずに横置き操作レバー54a、54bに接触しても、誤操作が発生するのを低減できる。横置き操作レバー54a、54bの不感帯は大きくなるが、第1の操作レバーと第2の操作レバーの操作そのものは無効化されないので、第1の操作レバーと第2の操作レバーを組み合わせて操作することが可能であり、操作性を大きく損なうことはない。また、操作者の意図しない誤操作を防止できる。
【実施例2】
【0051】
本発明の他の実施例を、図10ないし図12を用いて説明する。本実施例が実施例1と異なるのは、図10に示すように、制御装置400に設けた不感帯選択部507の代わりに、不感帯設定演算部517を有することである。図10は、本実施例が備える制御系のブロック図であり、図11は不感帯設定演算部517の動作を説明するためのグラフであり、図12は、図8、9に示したと同様の不感帯の設定グラフである。
【0052】
図11の横軸は走行用レバー装置300a、300bの操作量であり、縦軸はその操作量に応じた不感帯の設定値である。走行用レバー装置300a、300bのいずれかが操作されたときに、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯を大きくする点では実施例1と同様であるが、走行用レバー装置300a、300bの操作量が大きくなるにつれて、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯の値そのものも増大させている。これは、走行用レバー装置300a、300bの操作量が大きくなるにつれ、操作者350の前傾度が進み、操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに接触するおそれが増大することを考慮したものである。
【0053】
不感帯設定演算部517は、図11に示した信号処理を行ない、操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに新たに不感帯X3として設定する。横軸の走行用レバー操作量としては、走行用レバー装置300a、300bのいずれか操作量が大きい方を選択して用いればよい。各駆動信号生成部501a〜504bでは、図12に示すように不感帯X3を可変に設定する。図12の信号処理における不感帯では、不感帯設定演算部517で演算した不感帯X3が反映されている。
【0054】
このように構成した実施例2によれば、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bを操作している間に、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯X3が、第1の操作レバーの操作量に比例して一時的に大きく設定される。上述したように、走行用レバー装置300a、300bの前方への操作量が大きくなるにしたがい、操作者の身体(主として胸部)が意図せずに横置き操作レバー54a、54bに接触し易くなり、誤操作の発生確率が上昇する。本実施例2によれば、走行用レバー装置300a、300bの前方への操作量が大きくなる場合においても、横置き操作レバー54a、54b発生する誤操作を低減でき、実施例1の効果に加え、さらに誤操作のない作業機械が得られる。
【実施例3】
【0055】
図13を用いて、本発明に係る作業機械200のさらに他の実施例について説明する。本実施例が上記実施例1と異なるのは、制御装置400が備える操作有無判定部506の代わりに操作有無・方向判定部516を有することにある。走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの操作では、前方方向への操作(プラス側)と後方方向(マイナス側)では、操作者350の姿勢に大きな違いが生じる。走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの後方方向への操作では、操作者350が操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bから遠ざかる方向へ移動するので、これらに接触する機会はほとんど無い。
【0056】
そこで、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの前方への操作時にのみ、実施例1または実施例2に示した不感帯X2、X3の設定変更を実施する。図13に示すように、操作有無判定部506を操作有無・方向判定部516として、走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかが、前方へ操作されたか否かを判定する。
【0057】
このように構成した本実施例によれば、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかを前方に操作している場合だけ、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯を、一時的に大きく設定する。操作者の身体が意図せずに横置きの操作レバーに接触し易い走行用レバー装置300a、300bの前方への操作の場合にだけ不感帯を変更し後方への操作では不感帯を変更しないので、実施例1の効果に加え、操作性が向上する。
【実施例4】
【0058】
上記各実施例では、第1の操作レバーとして走行用レバー装置300a、300bを、第2の操作レバーとして横置き操作レバー54a、54bを設定したが、第1の操作レバーおよび第2の操作レバーの組み合わせはこれに限るものではない。例えば、第1の操作レバーを左側の横置き操作レバー54aとし、第2の操作レバーを右側の横置き操作レバー54bとすることも可能である。この場合、左側の横置き操作レバー54aを操作しているときに、右側の横置き操作レバー54bの誤操作を低減できる。
【0059】
双腕型の作業機械200の操作者は、第1、第2作業フロントA、Bを速やかに駆動するため、図4示す操作者把持点72a、72bを常時把持している。そして、第1作業フロントAだけを操作しようとして意識を左側の横置き操作レバー54aに集中していると、意図せずに右側の横置き操作レバー54bも操作することがある。
【0060】
本実施例によれば、第1の操作レバーである左側の横置き操作レバー54aを操作して第1作業フロントAだけを駆動するときに、誤って第2の操作レバーである右側の横置き操作レバー54bを操作しても、第2作業フロントBが駆動されることがなく第2作業フロントBの誤動作の発生を防止できる。なお、主動作をする第1の操作レバーと副動作をする第2の操作レバーの組み合わせは、これらに限らず、目的に応じて種々の組み合わせが可能である。
【実施例5】
【0061】
本発明のさらに他の実施例を、図14を用いて説明する。図14は、作業機械200の制御系のブロック図である。本発明が上記実施例と異なるのは、不感帯を制御装置400が備える不感帯選択部527で設定する際に、走行用レバー操作信号405a、405bだけではなく、外部の信号である不感帯モード信号701をも用いて設定することにある。上記各実施例では、作業機械200において不感帯を変更することは常に許可されていたが、本実施例では、不感帯固定モードと不感帯変更モードを選択できるようにしている。
【0062】
例えば、制御装置400に不感帯モード信号701を入力可能な図示しない選択スイッチを取り付ける。不感帯選択部527では、不感帯モード信号701が不感帯固定モードである場合には、操作有無判定部506の状態に関わらず、実施例1の図8に示した信号処理である不感帯X1(デフォルト値)を選択する。不感帯モード信号701が不感帯変更モードになったときのみ、実施例1に示したような不感帯X2への変更処理を実行する。
【0063】
このように構成した本実施例によれば、操作者が不感帯を変更したいときだけ不感帯を変更するので、操作者の体格等により横置き操作レバー54a、54bに接触する機会の少ない場合には、操作性の低下をきたすことが無く、作業機械200を操作できる。
【実施例6】
【0064】
上記各実施例は双腕型の作業機械について適用しているが、作業機械は双腕型に限るものではなく、単腕型の作業機械にも適用できる。単腕型の作業機械に適用する場合には、第1作業フロントAと第2作業フロントBの何れか一方のみを用い、選択されなかった作業フロントに対応する左側または右側の横置き操作レバーを省いた構成とする。この場合でも第1の操作レバーとして走行レバー装置を、第2の操作レバーとして横置き操作レバーを設定すれば、上記実施例1ないし3、実施例5に示した手法を適用できる。
【実施例7】
【0065】
上記各実施例では、作業フロントの動作とそれに対する横置き操作レバーの操作を、図6に示すように設定していたが、これらの対応関係を変更することも可能である。例えば、上記各実施例では、横置き操作レバー54aの上下方向の操作でブーム10aの上下揺動を、前後方向の操作でアーム12aのブーム10aに対する上下揺動を各々指示しているが、上下方向の操作でアーム12aを、前後方向の操作でブーム10aを指示するようにしてもよい。作業内容等に応じて、操作を変えることも可能である。ただし、操作の熟練の観点からは、対応関係を一律にした方が好ましい。
【実施例8】
【0066】
本発明のさらに他の実施例を、図15を用いて説明する。図15は、作業機械200の制御系のブロック図である。本発明が上記各実施例と異なるのは、上記各実施例では不感帯X1、X2の値を制御装置400内に予め設定していたが、不感帯X1、X2の設定値を可変としたことにある。そのため、図15に示すように、不感帯設定モニタ801を制御装置400に取り付けている。作業者350は不感帯設定モニタ801を用いて、不感帯の値を任意に設定する。不感帯設定モニタ801で設定された不感帯は、各駆動信号生成部501a〜505b内の信号処理における不感帯X1、X2に反映される。
【0067】
本実施例によれば、操作者が作業内容に応じて所望に不感帯を変更できるので、上記各実施例の効果に加えて、操作者の感性や技量に応じた操作が可能になり、作業機械の操作性が向上する。
【実施例9】
【0068】
本発明のさらに他の実施例を、図16および図17を用いて説明する。図16は、運転席49回りの斜視図であり、図17は作業機械200の制御系のブロック図である。本実施例が実施例1と異なるのは、走行用レバー装置300a、300bの操作アーム301a、301bの把持部304a、304bに、操作アーム把持検出スイッチ901a、901bを設けたことにある。操作者350の操作が、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bでなされたか、操作ぺダル302a、302部でなされたかを区別できるようにしている。
【0069】
操作アーム把持検出スイッチ901a、901bを設けたので、図17に示すように、操作アーム把持検出スイッチ901a、901bが検出した操作アーム把持信号911を、制御装置400の不感帯選択部537に入力する。操作アーム把持信号911が把持無しを出力しているときは、操作有無判定部506の状態に関わらず、実施例1の図8に示した信号処理である不感帯X1(デフォルト値)が選択される。操作アーム把持信号911が把持有りを出力しているときは、実施例1と同様に、不感帯X2への変更処理が実行される。
【0070】
このように構成した本実施例によれば、操作者の身体が意図せずに横置きの操作レバー54a、54bに接触し易くなる、操作アーム301a、301bの把持部304a、304bの操作時のみ不感帯を変更し、操作ペダル302a、302bで操作する場合には不感帯を変更しないので、不感帯の変更の場合が少なくなり、実施例1の効果に加え作業者の操作性が向上する。
【符号の説明】
【0071】
1a、1b…走行体、2…下部車体、3…上部旋回体、4…運転室、6a、6b…ブラケット、7a、7b…スイングポスト、9a、9b…スイングポストシリンダ、10a、10b…ブーム、11a、11b…ブームシリンダ、12a、12b…アーム、13a、13b…アームシリンダ、15a、15b…作業具シリンダ、20a、20b…作業具、49…運転席、50a、50b…操作装置、51a、51b…アームブラケット、52a、52b…操作アーム、53a、53b…アームレスト、54a、54b…操作レバー、72a、72b…把持点、73a、73b…揺動中心軸線、74a、74b…揺動中心、75a、75b…操作レバー軸90a、90b…揺動装置、200…作業機械、300a、300b…走行用レバー装置、301a、301b…操作アーム、302a、302b…操作ペダル、303a、303b…回転中心、304a、304b…把持部、350…操作者、400…制御装置、401a、401b…操作アーム操作信号、402a、402b…横置き操作レバー上下操作信号、403a、403b…横置き操作レバー前後操作信号、404a、404b…横置き操作レバー回転操作信号、405a、405b…走行用レバー操作信号、501a、501b…スイング駆動信号生成部、502a、502b…ブーム駆動信号生成部、503a、503b…アーム駆動信号生成部、504a、504b…作業具駆動信号生成部、505a、505b…走行駆動信号生成部、506…操作有無判定部、507…不感帯選択部、516…操作有無・方向判定部、517…、527…不感帯選択部、537…不感帯選択部、601a、601b…スイングポストシリンダ駆動信号、602a、602b…ブームシリンダ駆動信号、603a、603b…アームシリンダ駆動信号、604a、604b…作業具シリンダ駆動信号、605a、605b…走行体駆動信号、701…不感帯モード信号、801…不感帯設定モニタ、901a、901b…操作アーム把持検出スイッチ、911…操作アーム把持信号、A…第1作業フロント、B…第2作業フロント。
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体作業や建築作業、土木作業等に使用される作業機械に係り、特にその操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2本の作業フロントを有した双腕型の作業機械において、運転席の両側に操縦装置を設け、この操縦装置に各作業フロントを操作する作業機操作レバーを備えることが、特許文献1に記載されている。双腕型の作業機では操作軸数が大幅に増加するので、標準的な油圧ショベルの操作装置をそのまま適用することが困難である。そのため、この公報に記載の双腕型の作業機械の操作装置では、運転席の左右両側に揺動自在な操作アームと、横置きの操作レバーと、肘受けなどを備えている。これにより操作者が、第1作業フロント用の操作装置と第2作業フロント用の操作装置のそれぞれを別個に操作すれば、第1作業フロント及び第2作業フロントを同時に独立して簡単に操作できる。なおこの公報に記載の作業機では、一般的な油圧ショベルと同様に、作業機の走行操作を行なうことが可能な走行用操作レバーが運転室内前方に備えられている。
【0003】
双腕型の作業機械において、運転席の左右両側に操作装置を備えた他の例が特許文献2に記載されている。この公報に記載の作業機械では、操作者が長時間の作業をしても疲労が少なくなるように、左右揺動自在に取り付けられた操作アームにアームレストを取り付けている。そしてこのアームレストは、操作者の肘関節部分を支持する肘関節支持部が、操作アームの揺動中心軸線上に位置するように操作アームを保持するアームブラケットに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−070456号公報
【特許文献2】特開2006−252224号公報
【特許文献3】特開2005−178978号公報
【特許文献4】特開2003−276981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の作業機械の操作装置では、作業フロント操作用の操作レバーの他に走行用のレバーが床面から上方に配置されている。そして、双腕型の作業フロントを使用する作業機械への乗降を容易にするために、走行レバーを起立位置と倒伏位置との2位置間で回動可能になっている。しかしながら、この公報に記載の作業機械では、走行レバーを操作する際に、操作者の身体(主として胸部)が意図せず横置きの操作レバーに接触して誤操作が発生するのを防止することに関しては、十分には考慮されていない。
【0006】
また、特許文献2に記載の作業機械の操作装置では、双腕型の作業フロントを操作する際の疲労低減については十分考慮されているものの、走行用のレバー操作の際に、予期せずこの操作装置と操作者が干渉することについては考慮されていない。なお、横置きの操作レバーの代わりに縦置きの操作レバーとすれば、このような誤操作の発生を防止できるが、その場合、操作者の通常動作との対応が図られた直感的な操作性の維持が困難になる。
【0007】
一方、単独操作したい関節の操作信号以外の信号を、操作状態に関わらず無効とする単独操作モードを設けて誤操作を防止することが、特許文献3および特許文献4に開示されている。これらの公報に記載の方法を用いれば、誤操作の発生を防止することができるが、複合操作が不能となり、操作性が悪化し作業効率が大幅に低下する。
【0008】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の操作レバーを備えた作業機械において、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない操作レバーの誤操作を防止することにある。本発明の他の目的は、操作者の操作姿勢の変化により操作者の意図しない操作レバーの操作が発生するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の作業機械の操作装置は、左右に1対設けられた走行体と、この走行体が装架された下部車体と、この下部車体の上方に旋回可能に配置された上部旋回体と、少なくとも1個の作業フロントを有し、前記上部旋回体に操作者が搭乗するキャブを備えた作業機械に設けられ、前記キャブ内に配置されており、前記少なくとも1個の作業フロントと前記下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバーと、前記第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いた前記アクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバーとを設け、前記第1および第2の操作レバーには操作量が予め設定した範囲より小さいときにその操作を無効とする不感帯が設定されており、前記第1の操作レバーが操作中であると判断したときに前記第2の操作レバーの不感帯を前記第2の操作レバーに予め設定した不感帯より大きく設定する制御装置を有することを特徴とする。
【0010】
そしてこの特徴において、前記制御装置は、前記第2の操作レバーの不感帯を前記第1の操作レバーの操作量が増えれば増えるほど大きな値に設定するものであってよく、前記第1の操作レバーが操作するのが前記走行体であり、前記第2の操作レバーが操作するのが前記作業フロントであり、前記第1の操作レバーは前記キャブ内に配置された運転席の前方であって前記キャブの床面から延びた操作レバーであり、前記第2の操作レバーは前記運転席に付設された横置き操作レバーであってもよい。
【0011】
また、前記作業機械は前記作業フロントを2個有する双腕型の作業機械であり、前記第1の操作レバーは左右対称に1対設けられており、前記第2の操作レバーも左右対称に1対設けられていてもよく、前記制御装置に、前記第1の操作レバーの操作に応じて前記第2の操作レバーの不感帯を変化させる不感帯変更モードと前記第1の操作レバーの操作にかかわらず前記第2の操作レバーの不感帯を変化させない固定モードとを選択可能なモード切替手段を設け、前記モード切替手段が不感帯固定モードに切替えられたときは、前記第1の操作レバーの操作状態に関わらず前記第2の操作レバーの不感帯の変更を無効化するようにしてもよい。
【0012】
係る構成の作業機械の操作装置では、第1の操作レバー(例えば走行用レバー)を操作している間は、第2の操作レバー(例えばフロント用レバー)の不感帯を一時的に大きくする。これにより、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業機械の操作装置において、一の操作レバーを操作中に他の操作レバーの不感帯の大きさを一時的に大きくしているので、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止できる。また、操作者の操作姿勢が大きく変化するような操作では、各操作レバーの不感帯を同一にはしていないので、操作性を損なうことなく、操作者の意図しない誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る作業機械の一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示した作業機械の上面図である。
【図3】図1に示した作業機械が備える運転席の斜視図である。
【図4】図3に示した運転席の上面図である。
【図5】図3に示した運転席に操作者が搭乗した様子を説明する側面図である。
【図6】作業機械の操作装置の動作と作業機械の作業フロントの動作との対応を説明する図である。
【図7】本発明に係る作業機械の操作装置の一実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図8】不感帯を説明する図である。
【図9】不感帯を説明する図である。
【図10】本発明に係る作業機械の操作装置の他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図11】不感帯を説明する図である。
【図12】不感帯を説明する図である。
【図13】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図14】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図15】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【図16】図15に示した作業機械の操作装置を備える運転席の斜視図である。
【図17】本発明に係る作業機械の操作装置のさらに他の実施例が備える制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る作業機械のいくつかの実施例について、図面を用いて説明する。図1および図2に、本発明に係る作業機械の一実施例を示す。図1は、作業機械200の斜視図であり、図2はその上面図である。本実施例では、双腕型の作業機械200を例にとり説明する。
【0016】
作業機械200は、無限履帯が装架された左走行体1a及び右走行体1bを備えた下部車体2と、下部車体2上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体3とを有している。上部旋回体3の前部中央付近には、運転室4が取り付けられており、上部旋回体3の側部及び後部には、図示しないエンジンやポンプ等が配置されている。上部旋回体3の前部左側には、上下方向および左右方向に揺動自在に第1作業フロントAが取り付けられている。同様に、上部旋回体3の前部右側には、上下方向および左右方向に揺動自在に第2作業フロントBが取り付けられている。
【0017】
なお、第1作業フロントAと第2作業フロントBの構成および動作は対称的であるので、以下の記載では第1作業フロントAについてのみ記載し、第2作業フロントBの構成については省略する。第2作業フロントBの場合には、各構成要件を示す符号の末尾が第1作業フロントAの場合のaから、bに変更されている。
【0018】
第1作業フロントAは、上部旋回体3の前部左側に設けられたブラケット6aと、ブラケット6aに縦軸周りに左右揺動自在に取り付けられたスイングポスト7aと、スイングポスト7aに上下揺動自在に取り付けられたブーム10aと、ブーム10aに上下揺動自在に取り付けられたアーム12aと、アーム12aに上下回動自在に取り付けられた作業具20aとを有している。そして、これら各部材7a、10a、12a、20aはシリンダにより駆動される。
【0019】
つまり、スイングポスト7aを縦軸回りに左右方向に揺動させるスイングポストシリンダ9aは、その一端部がスイングポスト7aに、他端部が上部旋回体3に連結されている。ブーム10aを上下方向に揺動させるブームシリンダ11aは、その一端部がスイングポスト7aに、他端部がブーム10aに連結されている。アーム12aを上下方向に揺動させるアームシリンダ13aは、その一端部がブーム10aに、他端部がアーム12aに連結されている。また、作業具20aを上下方向に揺動させる作業具シリンダ15aは、その一端部がアーム12aに、他端部が作業具20aに連結されている。
【0020】
なお、作業具20aは作業機械200の作業内容に応じて交換可能である。図1および図2に示したグラップルの他に、カッタやブレーカ、バケット、その他の作業具が用いられ、いずれか1つが第1作業フロントAの先端に取り付けられる。上述したように、第2作業フロントBは第1作業フロントAと対称的に配置されており、上部旋回体3の前部右側にその一端部が取り付けられている。
【0021】
このように構成した作業機械200の運転席49を取り出して、図3ないし図5に示す。図3は運転席49の斜視図であり、図4はその上面図である。図5は、操作者が着座した状態を示す運転席49の側面図であり、同図(a)は第1作業フロントAを操作する場合であり、同図(b)は走行体1bを操作する場合である。
【0022】
運転室4内には運転席49が設置されている。運転席49の前方には、詳細を後述する走行用の走行用レバー装置300a、300bが配置されている。運転席49の左側には、第1作業フロントAを操作するための操作装置50aが、運転席49の右側には、第2作業フロントBを操作するための操作装置50bが、それぞれ対称的に設けられている。操作装置50aと操作装置50bは、本実施例では対称的に形成された同一構造であるので、以下の説明では操作装置50aについてのみ説明する。
【0023】
操作装置50aは、運転席49の左側面に設けられたアームブラケット51aと、アームブラケット51aに垂直に取付けられた揺動装置90aと、アームブラケット51a内を貫通する垂直な線である揺動中心軸線73a回りに左右揺動自在に取り付けられた操作アーム52aと、操作アーム52aに取り付けられたアームレスト53aを備えている。ここで、操作アーム52aは、第1作業フロントAの左右の揺動を指示するのに用いられる。また、アームレスト53aは、操作アーム52aと一体に揺動することで、操作者の疲労を軽減するようになっている。
【0024】
操作装置50aは、さらに第1作業フロントAの上下の揺動を指示するための横置き操作レバー54aを備えている。この横置き操作レバー54aは、操作アーム52aの先端部分に取り付けられており、揺動中心74a回りに上下方向および前後方向に揺動できる。横置き操作レバー54aは、その軸75a回りにも回動自在となっている。
【0025】
図4の上面図に示すように、横置き操作レバー54aの軸方向中間部には、操作者把持点72aが形成される。操作者把持点72aは、操作者350が操作レバー54aを把持した時に把持中心となる点であり、予め決まった位置ではない。操作者350は、アームレスト53aに肘を置き、操作者把持点72aを把持して、操作アーム52aおよび操作レバー54aを揺動操作する(図5(a)参照)。
【0026】
運転席46の前方には一対の対称に形成された走行用レバー装置300a、300bが備えられており、走行用レバー装置300aは左走行体1aの前後への動作を指示するために、走行用レバー装置300bは右走行体1aの前後への動作を指示するために用いられる。右の走行用レバー装置300bの構成および動作が左の走行用レバー装置300aと同様であるので、左の走行用レバー装置300aについて、図5を用いて説明する。
【0027】
走行用レバー装置300aは、床面から上方に延び上部先端部がL字型に曲がって把持部304aが形成された操作アーム301aと、この操作アーム301aの下端部で連結する操作ペダル302aとを備えている。したがって、操作アーム301aと操作ペダル302aは、回転中心303aを中心として、一体となって前後方向に揺動動作する。
【0028】
走行用レバー装置300aを操作する際は、操作アーム301aの把持部304aを操作するか(図5(b))、操作ペダル302aを操作するか(図5(a))を操作者350が任意に選択できる。なお、回転中心303aを中心とした回転量(角度)が同一であれば、同一の操作結果となり、同一の速度で左側の走行体1aが走行する。
【0029】
図6に、操作装置の操作と作業フロントの動作の対応を模式的に示す。説明の便のために、左側の操作装置50aと第1作業フロントAとについてだけ示した図を用いるが、右側の操作装置50bと第2作業フロントBの関係も左側の操作装置50aと第1作業フロントAの関係と同様であるので説明を省略する。
【0030】
操作アーム52aの根元部に配置した揺動装置90aには、図示しない操作量検出器が備えられている。操作アーム52aが揺動操作されると、操作量に比例した速度でスイングポストシリンダ9aが駆動される。すなわち左方向回転を正として、操作アーム52aが左方向にwだけ揺動操作されると、スイングポスト7aが縦軸回りに左方向にWだけ揺動される。操作アーム52aが右方向に−wだけ揺動操作された場合には、スイングポスト7aが縦軸回りに右方向に−Wだけ揺動される。
【0031】
横置き操作レバー54aにも、図示しない操作量検出器が備えられている。横置き操作レバー54aは、上下方向(y方向)の操作でブーム10aの上下揺動(Y)を、前後方向(x方向)の操作でアーム12aのブーム10aに対する上下揺動(X)を、各々指示する。
【0032】
すなわち、横置き操作レバー54aを上方向へyだけ操作すると、ブームシリンダ11aが伸び方向に駆動され、ブーム10aはスイングポスト7aに対して上方向へYだけ揺動される。横置き操作レバー54aを下方向へ−yだけ操作すると、ブームシリンダ11aが縮み方向に駆動され、ブーム10aはスイングポスト7aに対して下方向へ−Yだけ揺動される。
【0033】
同様に、横置き操作レバー54aを前方向へxだけ操作すると、アームシリンダ13aが縮み方向に駆動され、アーム12aはブーム10aに対して上方向へXだけ揺動される。横置き操作レバー54aを後方向へ−xだけ操作すると、アームシリンダ13aが伸び方向に駆動され、アーム12aはブーム10aに対して下方向へ−Xだけ揺動される。横置き操作レバー54aを軸75a回りにzだけ回動操作すると、作業具20aがZだけ上下に揺動する。作業具20aの上下揺動方向は、操作レバー54aの軸75a回りの回動操作方向と同一になっている。
【0034】
走行用レバー装置300aの回転中心303aには、図示しない操作量検出器が備えられている。走行用レバー装置300aの操作アーム301aが揺動操作されると、操作量に比例した速度で、左走行体1aが駆動される。同様に、走行用レバー装置300bの回転中心303bには、図示しない操作量検出器が備えられている。走行用レバー装置300bの操作アーム301bが揺動操作されると、操作量に比例した速度で右走行体1bが駆動される。
【0035】
したがって、図1に示した下部車体2を前進させる場合には、左側の走行用レバー装置300aと右側の走行用レバー装置300bの双方を、同量だけ前方へ操作すればよい。下部車体2を後進させる場合には、左側の走行用レバー装置300aと右側の走行用レバー装置300bの双方を、同量だけ後方へ操作すればよい。下部車体2を右方向へカーブさせる場合には、左側の走行用レバー装置300aの操作量を右側の走行用レバー装置300aの操作量より多く前方へ操作する。下部車体2を左方向へカーブさせる場合には、右側の走行用レバー装置300bの操作量を左側の走行用レバー装置300bの操作量より多く前方へ操作する。なお、一方の走行用レバー装置300aまたは300bだけを操作すれば、いわゆる信地旋回を実現できる。
【0036】
次に、このように構成した操作装置50a、50bと走行用レバー装置300a、300bを有する作業機械200の操作制御系について、図7以下を用いて、いくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0037】
図7ないし図9は、本発明に係る作業機械200の操作制御系の第1の実施例に関する図であり、図7は操作制御系の入出力信号を併記したブロック図、図8および図9はこの操作制御系が制御する各シリンダ9a、9b、11a、11b、13a、13b、15a、15bおよび走行体1a、1bの動作を説明するグラフである。
【0038】
操作制御系の中心をなす制御装置400には、第1、第2作業フロントA、Bを操作するための入力信号として、操作アーム52a、52bからの操作信号401a、401b、横置き操作レバー54a,54bからの上下操作信号402a、402b、前後操作信号403a、403b、回動操作信号404a、404bが入力される。また、走行体1a、1bを操作するための入力信号として、走行用レバー操作信号405a、405bも入力される。これらは、図示しない操作量検出器から検出される操作信号である。
【0039】
制御装置400はこれら入力信号に基づいて各種演算を実行した後、スイングポストシリンダ9a、9bへは駆動信号601a、601bを、ブームシリンダ11a、11bには駆動信号602a、602bを、アームシリンダ13a、13bには駆動信号603a、603bを、作業具シリンダ15a、15bには駆動信号604a、604bを出力する。また、左右の走行体1a、1bには駆動信号605a、605bを出力する。
【0040】
上記出力信号を得るため、制御装置400は、スイング駆動信号生成部501a、501bで操作アーム操作信号401a、401bからスイングポストシリンダ駆動信号601a、601bを生成する。同様に、ブーム駆動信号生成部502a、502bでは、横置き操作レバー上下操作信号402a、402bからブームシリンダ駆動信号602a、602bを生成する。アーム駆動信号生成部503a、503bでは、横置き操作レバー前後操作信号403a、403bからアームシリンダ駆動信号603a、603bを生成する。作業具駆動信号生成部504a、504bでは、作業具シリンダ駆動信号604a、604bを生成する。また、走行駆動信号生成部505a、505bでは、走行用レバー操作信号405a、405bから走行体駆動信号605a、605bを生成する。
【0041】
ここで本発明の特徴的構成として、制御装置400の各シリンダ駆動信号生成部501a〜504bには、不感帯の設定を変更するか否かの信号が不感帯選択部507を介して入力されている。この詳細を、以下に説明する。
【0042】
制御装置400が有する走行駆動信号生成部505a、505bでは、走行用レバー操作信号405a、405bを入力して走行体駆動信号605a、605bを生成するとともに、走行用レバー操作信号405a、405bを操作有無判定部506に入力する。これは、操作者350による作業機械200の操作が、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bから走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bに変更になったか否かを判断するためである。
【0043】
操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bの操作であれば、操作者350の姿勢は図5(a)に示した姿勢であり、走行用レバー装置300a、300bに触れるおそれはない。これに対し、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの操作であれば、操作者350の姿勢は図5(b)に示した姿勢となり、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bに触れるおそれが生じる。
【0044】
そこで操作有無判定部506は、走行駆動信号生成部505a、505bから入力された信号が所定値より大きければ、走行用レバー装置300a、300bが操作されたと判断する。そして、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54b側からの入力が予め定めた値以上でなければ、操作者350の意図する操作ではないものと判断する。つまり、操作アーム52a、52bや操作レバー54a、54bからの操作信号に対して、不感帯を設けている。この不感帯の設定を、上記不感帯選択部507から各駆動信号生成部501a〜504bに送信する。
【0045】
具体的な不感帯の設定を、図8および図9を用いて説明する。図8は、各駆動信号生成部501a〜505bにおける信号処理の一例を示した図である。横軸は、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作量であり、縦軸はそのときの各操作量に対応するシリンダ速度の指令値である。横置き操作レバー54a、54bは3自由度を有するので、対応するシリンダも上述したように3軸分備えられている。操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作量に比例したシリンダ速度指令値が各駆動信号として算出されている。
【0046】
なお、実際の運用では、操作者350が意図しない、各操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの微小な操作が発生する場合がある。そこで、各操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54b、走行用レバー装置300a、300bの操作を有効とする下限の操作量を規定し、不感帯X1と設定する。本実施例では、この不感帯X1を、10%に設定した。
【0047】
一方、一対の走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかが上記不感帯X1を超えて操作されると、操作者350の操作姿勢が変更されたことになる。そこで、図7に示した不感帯選択部507は、操作アーム52a、52bおよび横置き操作レバー54a、54bの不感帯をさらに大きな値として操作者が意図せずに操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに触れて操作した操作量を無効化する。この新たな不感帯の設定を、図9に示す。
【0048】
図9は、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの駆動信号生成部501a〜504bにおける信号処理の一例を示す図であり、図8と同様の図である。操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの操作量に比例したシリンダ速度指令値が、駆動信号として算出される。その際、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの操作が有効となる下限の操作量を、不感帯X2と規定し、不感帯X2を不感帯X1より大きい20%に設定している。
【0049】
本実施例では、走行用レバー装置300aと走行用レバー装置300bの少なくともいずれかが操作されたと判定したときに、駆動信号生成部501a〜504bの全ての信号処理について、図9に示した処理が選択され、不感帯がX2となる。走行用レバー装置300a、300bが両方とも操作されていないと判定された場合には、駆動信号生成部501a〜504bの全ての信号処理として図8の処理が選択され、不感帯がX1となる。すなわち、走行用レバー装置300aと走行用レバー装置300bの少なくともいずれかが操作されていれば、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯の設定値は、X1からX2に増大される。
【0050】
本実施例によれば、作業機械200の操作装置50a、50bにおいて、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bを操作しているときには、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯を一時的に大きくしている。その結果、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bを操作する際に、操作者350の身体(主として胸部)が意図せずに横置き操作レバー54a、54bに接触しても、誤操作が発生するのを低減できる。横置き操作レバー54a、54bの不感帯は大きくなるが、第1の操作レバーと第2の操作レバーの操作そのものは無効化されないので、第1の操作レバーと第2の操作レバーを組み合わせて操作することが可能であり、操作性を大きく損なうことはない。また、操作者の意図しない誤操作を防止できる。
【実施例2】
【0051】
本発明の他の実施例を、図10ないし図12を用いて説明する。本実施例が実施例1と異なるのは、図10に示すように、制御装置400に設けた不感帯選択部507の代わりに、不感帯設定演算部517を有することである。図10は、本実施例が備える制御系のブロック図であり、図11は不感帯設定演算部517の動作を説明するためのグラフであり、図12は、図8、9に示したと同様の不感帯の設定グラフである。
【0052】
図11の横軸は走行用レバー装置300a、300bの操作量であり、縦軸はその操作量に応じた不感帯の設定値である。走行用レバー装置300a、300bのいずれかが操作されたときに、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯を大きくする点では実施例1と同様であるが、走行用レバー装置300a、300bの操作量が大きくなるにつれて、操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bの不感帯の値そのものも増大させている。これは、走行用レバー装置300a、300bの操作量が大きくなるにつれ、操作者350の前傾度が進み、操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに接触するおそれが増大することを考慮したものである。
【0053】
不感帯設定演算部517は、図11に示した信号処理を行ない、操作アーム52a、52bや横置き操作レバー54a、54bに新たに不感帯X3として設定する。横軸の走行用レバー操作量としては、走行用レバー装置300a、300bのいずれか操作量が大きい方を選択して用いればよい。各駆動信号生成部501a〜504bでは、図12に示すように不感帯X3を可変に設定する。図12の信号処理における不感帯では、不感帯設定演算部517で演算した不感帯X3が反映されている。
【0054】
このように構成した実施例2によれば、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bを操作している間に、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯X3が、第1の操作レバーの操作量に比例して一時的に大きく設定される。上述したように、走行用レバー装置300a、300bの前方への操作量が大きくなるにしたがい、操作者の身体(主として胸部)が意図せずに横置き操作レバー54a、54bに接触し易くなり、誤操作の発生確率が上昇する。本実施例2によれば、走行用レバー装置300a、300bの前方への操作量が大きくなる場合においても、横置き操作レバー54a、54b発生する誤操作を低減でき、実施例1の効果に加え、さらに誤操作のない作業機械が得られる。
【実施例3】
【0055】
図13を用いて、本発明に係る作業機械200のさらに他の実施例について説明する。本実施例が上記実施例1と異なるのは、制御装置400が備える操作有無判定部506の代わりに操作有無・方向判定部516を有することにある。走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの操作では、前方方向への操作(プラス側)と後方方向(マイナス側)では、操作者350の姿勢に大きな違いが生じる。走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの後方方向への操作では、操作者350が操作アーム52a、52bと横置き操作レバー54a、54bから遠ざかる方向へ移動するので、これらに接触する機会はほとんど無い。
【0056】
そこで、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bの前方への操作時にのみ、実施例1または実施例2に示した不感帯X2、X3の設定変更を実施する。図13に示すように、操作有無判定部506を操作有無・方向判定部516として、走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかが、前方へ操作されたか否かを判定する。
【0057】
このように構成した本実施例によれば、第1の操作レバーである走行用レバー装置300a、300bの少なくともいずれかを前方に操作している場合だけ、第2の操作レバーである横置き操作レバー54a、54bの不感帯を、一時的に大きく設定する。操作者の身体が意図せずに横置きの操作レバーに接触し易い走行用レバー装置300a、300bの前方への操作の場合にだけ不感帯を変更し後方への操作では不感帯を変更しないので、実施例1の効果に加え、操作性が向上する。
【実施例4】
【0058】
上記各実施例では、第1の操作レバーとして走行用レバー装置300a、300bを、第2の操作レバーとして横置き操作レバー54a、54bを設定したが、第1の操作レバーおよび第2の操作レバーの組み合わせはこれに限るものではない。例えば、第1の操作レバーを左側の横置き操作レバー54aとし、第2の操作レバーを右側の横置き操作レバー54bとすることも可能である。この場合、左側の横置き操作レバー54aを操作しているときに、右側の横置き操作レバー54bの誤操作を低減できる。
【0059】
双腕型の作業機械200の操作者は、第1、第2作業フロントA、Bを速やかに駆動するため、図4示す操作者把持点72a、72bを常時把持している。そして、第1作業フロントAだけを操作しようとして意識を左側の横置き操作レバー54aに集中していると、意図せずに右側の横置き操作レバー54bも操作することがある。
【0060】
本実施例によれば、第1の操作レバーである左側の横置き操作レバー54aを操作して第1作業フロントAだけを駆動するときに、誤って第2の操作レバーである右側の横置き操作レバー54bを操作しても、第2作業フロントBが駆動されることがなく第2作業フロントBの誤動作の発生を防止できる。なお、主動作をする第1の操作レバーと副動作をする第2の操作レバーの組み合わせは、これらに限らず、目的に応じて種々の組み合わせが可能である。
【実施例5】
【0061】
本発明のさらに他の実施例を、図14を用いて説明する。図14は、作業機械200の制御系のブロック図である。本発明が上記実施例と異なるのは、不感帯を制御装置400が備える不感帯選択部527で設定する際に、走行用レバー操作信号405a、405bだけではなく、外部の信号である不感帯モード信号701をも用いて設定することにある。上記各実施例では、作業機械200において不感帯を変更することは常に許可されていたが、本実施例では、不感帯固定モードと不感帯変更モードを選択できるようにしている。
【0062】
例えば、制御装置400に不感帯モード信号701を入力可能な図示しない選択スイッチを取り付ける。不感帯選択部527では、不感帯モード信号701が不感帯固定モードである場合には、操作有無判定部506の状態に関わらず、実施例1の図8に示した信号処理である不感帯X1(デフォルト値)を選択する。不感帯モード信号701が不感帯変更モードになったときのみ、実施例1に示したような不感帯X2への変更処理を実行する。
【0063】
このように構成した本実施例によれば、操作者が不感帯を変更したいときだけ不感帯を変更するので、操作者の体格等により横置き操作レバー54a、54bに接触する機会の少ない場合には、操作性の低下をきたすことが無く、作業機械200を操作できる。
【実施例6】
【0064】
上記各実施例は双腕型の作業機械について適用しているが、作業機械は双腕型に限るものではなく、単腕型の作業機械にも適用できる。単腕型の作業機械に適用する場合には、第1作業フロントAと第2作業フロントBの何れか一方のみを用い、選択されなかった作業フロントに対応する左側または右側の横置き操作レバーを省いた構成とする。この場合でも第1の操作レバーとして走行レバー装置を、第2の操作レバーとして横置き操作レバーを設定すれば、上記実施例1ないし3、実施例5に示した手法を適用できる。
【実施例7】
【0065】
上記各実施例では、作業フロントの動作とそれに対する横置き操作レバーの操作を、図6に示すように設定していたが、これらの対応関係を変更することも可能である。例えば、上記各実施例では、横置き操作レバー54aの上下方向の操作でブーム10aの上下揺動を、前後方向の操作でアーム12aのブーム10aに対する上下揺動を各々指示しているが、上下方向の操作でアーム12aを、前後方向の操作でブーム10aを指示するようにしてもよい。作業内容等に応じて、操作を変えることも可能である。ただし、操作の熟練の観点からは、対応関係を一律にした方が好ましい。
【実施例8】
【0066】
本発明のさらに他の実施例を、図15を用いて説明する。図15は、作業機械200の制御系のブロック図である。本発明が上記各実施例と異なるのは、上記各実施例では不感帯X1、X2の値を制御装置400内に予め設定していたが、不感帯X1、X2の設定値を可変としたことにある。そのため、図15に示すように、不感帯設定モニタ801を制御装置400に取り付けている。作業者350は不感帯設定モニタ801を用いて、不感帯の値を任意に設定する。不感帯設定モニタ801で設定された不感帯は、各駆動信号生成部501a〜505b内の信号処理における不感帯X1、X2に反映される。
【0067】
本実施例によれば、操作者が作業内容に応じて所望に不感帯を変更できるので、上記各実施例の効果に加えて、操作者の感性や技量に応じた操作が可能になり、作業機械の操作性が向上する。
【実施例9】
【0068】
本発明のさらに他の実施例を、図16および図17を用いて説明する。図16は、運転席49回りの斜視図であり、図17は作業機械200の制御系のブロック図である。本実施例が実施例1と異なるのは、走行用レバー装置300a、300bの操作アーム301a、301bの把持部304a、304bに、操作アーム把持検出スイッチ901a、901bを設けたことにある。操作者350の操作が、走行用レバー装置300a、300bの把持部304a、304bでなされたか、操作ぺダル302a、302部でなされたかを区別できるようにしている。
【0069】
操作アーム把持検出スイッチ901a、901bを設けたので、図17に示すように、操作アーム把持検出スイッチ901a、901bが検出した操作アーム把持信号911を、制御装置400の不感帯選択部537に入力する。操作アーム把持信号911が把持無しを出力しているときは、操作有無判定部506の状態に関わらず、実施例1の図8に示した信号処理である不感帯X1(デフォルト値)が選択される。操作アーム把持信号911が把持有りを出力しているときは、実施例1と同様に、不感帯X2への変更処理が実行される。
【0070】
このように構成した本実施例によれば、操作者の身体が意図せずに横置きの操作レバー54a、54bに接触し易くなる、操作アーム301a、301bの把持部304a、304bの操作時のみ不感帯を変更し、操作ペダル302a、302bで操作する場合には不感帯を変更しないので、不感帯の変更の場合が少なくなり、実施例1の効果に加え作業者の操作性が向上する。
【符号の説明】
【0071】
1a、1b…走行体、2…下部車体、3…上部旋回体、4…運転室、6a、6b…ブラケット、7a、7b…スイングポスト、9a、9b…スイングポストシリンダ、10a、10b…ブーム、11a、11b…ブームシリンダ、12a、12b…アーム、13a、13b…アームシリンダ、15a、15b…作業具シリンダ、20a、20b…作業具、49…運転席、50a、50b…操作装置、51a、51b…アームブラケット、52a、52b…操作アーム、53a、53b…アームレスト、54a、54b…操作レバー、72a、72b…把持点、73a、73b…揺動中心軸線、74a、74b…揺動中心、75a、75b…操作レバー軸90a、90b…揺動装置、200…作業機械、300a、300b…走行用レバー装置、301a、301b…操作アーム、302a、302b…操作ペダル、303a、303b…回転中心、304a、304b…把持部、350…操作者、400…制御装置、401a、401b…操作アーム操作信号、402a、402b…横置き操作レバー上下操作信号、403a、403b…横置き操作レバー前後操作信号、404a、404b…横置き操作レバー回転操作信号、405a、405b…走行用レバー操作信号、501a、501b…スイング駆動信号生成部、502a、502b…ブーム駆動信号生成部、503a、503b…アーム駆動信号生成部、504a、504b…作業具駆動信号生成部、505a、505b…走行駆動信号生成部、506…操作有無判定部、507…不感帯選択部、516…操作有無・方向判定部、517…、527…不感帯選択部、537…不感帯選択部、601a、601b…スイングポストシリンダ駆動信号、602a、602b…ブームシリンダ駆動信号、603a、603b…アームシリンダ駆動信号、604a、604b…作業具シリンダ駆動信号、605a、605b…走行体駆動信号、701…不感帯モード信号、801…不感帯設定モニタ、901a、901b…操作アーム把持検出スイッチ、911…操作アーム把持信号、A…第1作業フロント、B…第2作業フロント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に1対設けられた走行体と、この走行体が装架された下部車体と、この下部車体の上方に旋回可能に配置された上部旋回体と、少なくとも1個の作業フロントを有し、前記上部旋回体に操作者が搭乗するキャブを備えた作業機械に設けられ、前記キャブ内に配置された作業機械の操作装置において、
前記少なくとも1個の作業フロントと前記下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバーと、前記第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いた前記アクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバーとを備え、前記第1および第2の操作レバーには操作量が予め設定した範囲より小さいときにその操作を無効とする不感帯が設定されており、前記第1の操作レバーが操作中であると判断したときに前記第2の操作レバーの不感帯を前記第2の操作レバーに予め設定した不感帯より大きく設定する制御装置を有することを特徴とする作業機械の操作装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2の操作レバーの不感帯を前記第1の操作レバーの操作量が増えれば増えるほど大きな値に設定することを特徴とする請求項1に記載の作業機械の操作装置。
【請求項3】
前記第1の操作レバーが操作するのが前記走行体であり、前記第2の操作レバーが操作するのが前記作業フロントであり、前記第1の操作レバーは前記キャブ内に配置された運転席の前方であって前記キャブの床面から延びた操作レバーであり、前記第2の操作レバーは前記運転席に付設された横置き操作レバーであることを特徴とする請求項1または2に記載の作業機械の操作装置。
【請求項4】
前記作業機械は前記作業フロントを2個有する双腕型の作業機械であり、前記第1の操作レバーは左右対称に1対設けられており、前記第2の操作レバーも左右対称に1対設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の作業機械の操作装置。
【請求項5】
前記制御装置に、前記第1の操作レバーの操作に応じて前記第2の操作レバーの不感帯を変化させる不感帯変更モードと前記第1の操作レバーの操作にかかわらず前記第2の操作レバーの不感帯を変化させない固定モードとを選択可能なモード切替手段を設け、前記モード切替手段が不感帯固定モードに切替えられたときは、前記第1の操作レバーの操作状態に関わらず前記第2の操作レバーの不感帯の変更を無効化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の作業機械の操作装置。
【請求項1】
左右に1対設けられた走行体と、この走行体が装架された下部車体と、この下部車体の上方に旋回可能に配置された上部旋回体と、少なくとも1個の作業フロントを有し、前記上部旋回体に操作者が搭乗するキャブを備えた作業機械に設けられ、前記キャブ内に配置された作業機械の操作装置において、
前記少なくとも1個の作業フロントと前記下部走行体とで構成されるアクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第1の操作レバーと、前記第1の操作レバーが操作するアクチュエータを除いた前記アクチュエータ群の中のいずれかのアクチュエータを操作する第2の操作レバーとを備え、前記第1および第2の操作レバーには操作量が予め設定した範囲より小さいときにその操作を無効とする不感帯が設定されており、前記第1の操作レバーが操作中であると判断したときに前記第2の操作レバーの不感帯を前記第2の操作レバーに予め設定した不感帯より大きく設定する制御装置を有することを特徴とする作業機械の操作装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2の操作レバーの不感帯を前記第1の操作レバーの操作量が増えれば増えるほど大きな値に設定することを特徴とする請求項1に記載の作業機械の操作装置。
【請求項3】
前記第1の操作レバーが操作するのが前記走行体であり、前記第2の操作レバーが操作するのが前記作業フロントであり、前記第1の操作レバーは前記キャブ内に配置された運転席の前方であって前記キャブの床面から延びた操作レバーであり、前記第2の操作レバーは前記運転席に付設された横置き操作レバーであることを特徴とする請求項1または2に記載の作業機械の操作装置。
【請求項4】
前記作業機械は前記作業フロントを2個有する双腕型の作業機械であり、前記第1の操作レバーは左右対称に1対設けられており、前記第2の操作レバーも左右対称に1対設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の作業機械の操作装置。
【請求項5】
前記制御装置に、前記第1の操作レバーの操作に応じて前記第2の操作レバーの不感帯を変化させる不感帯変更モードと前記第1の操作レバーの操作にかかわらず前記第2の操作レバーの不感帯を変化させない固定モードとを選択可能なモード切替手段を設け、前記モード切替手段が不感帯固定モードに切替えられたときは、前記第1の操作レバーの操作状態に関わらず前記第2の操作レバーの不感帯の変更を無効化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の作業機械の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−14981(P2013−14981A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149880(P2011−149880)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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