説明

作業機械用アタッチメント

【課題】 アームを当て回しによって回動させる場合、アームの制動力を長期間一定に保つことが可能な作業機械用アタッチメントを提供すること。
【解決手段】 アーム2を回動させる油圧モータ10内部の油の流れを止めて、この油圧モータ10を制動機構として使用し、油圧モータ10のドレンポート14と油圧シリンダ用配管31aとを分岐接続配管33によって接続する。これにより油圧シリンダ用配管31a側から油圧モータ10へと圧油が自動的に供給されるようになるので、油圧モータ10は常に油で満たされることになり、制動力を長期間一定に保つことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アームによって構造物の破砕を行う建設機械用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械用アタッチメントの1つである破砕機には、自由旋回式破砕機とよばれるものがある。これは、構造物を破砕するアームと、このアームを開閉させる油圧シリンダとが、摺動板を有する自由旋回可能なブラケットに取り付けられていて、アームを回動させる駆動源を有していない破砕機である。そのため、自由旋回式破砕機のアームを回動させて位置を変更する場合、作業機械等を操作しアームを構造物等に衝突させて回動させる、所謂当て回しと呼ばれる作業を行う必要があった。そして、この当て回しでアームを回動させる場合、角度の微調整が難しく、作業機械等を操作するオペレータに高い熟練度が必要であった。
【0003】
さらに、自由旋回式破砕機では、ブラケットに取り付けられた摺動板によって、アームの回動を制動している。この制動力は、アームを支持しているフレームを摺動板に押し付けることにより発生し、制動力の調整は、ナットを締め付けることによってフレームの位置を変位させることにより調整される。しかしながら、この自由旋回式破砕機では、摺動板が比較的短期間で磨耗してしまうため、短期間で制動力が失われてしまう。さらに、制動力の調整には、ナットを締め付けてフレームの位置を変位させる必要があるため、調整の度に破砕作業を停止しなければならず、作業性の低下に繋がっていた。
【0004】
この自由旋回式破砕機に対し、アームを油圧モータにより回動させることによって、アームの位置の微調整を行うことが可能な、油圧旋回式破砕機とよばれるものがある(特許文献1参照)。これは、構造物を破砕するアームと、このアームを開閉させる油圧シリンダとがフレームに支持されており、油圧モータと旋回ベアリングとを有するブラケットに取り付けられていて、アームの回動は油圧モータを駆動させることにより行う破砕機である。これにより、アームを回動させて位置を変更する場合、油圧モータを駆動させるだけで、アームの位置を変更することができ、さらに微調整も簡単に行うことが可能となる。そのため、油圧旋回式破砕機では、上述した高い熟練度を必要としない。
【0005】
【特許文献1】特開平07−127280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した油圧旋回式破砕機では、アームの回動は、油圧モータを駆動させることによって行う。そして、アームを所定の位置に回動させた後は、油圧モータが駆動を停止するように、油圧供給源に設けられている方向切替弁によって圧油を送り込むことを停止し、油圧モータに流れていた油の移動を停止させる。これにより、アームを任意の位置に回動させた後は、油圧モータが駆動しなくなり、逆にアームの回動を制動するようになるので、アームは所定の位置で固定される。さらに、このような油圧旋回式破砕機には、油圧モータにブレーキ弁が設けられているものがあり、圧油の送り込みが停止された場合、このブレーキ弁とカウンタバランス弁によって油圧モータに加えられる油圧を調整することが可能となっている。そして、この油圧の調整により、油圧モータの奏する制動力を一定に保つことが可能となる。これにより、油圧モータを制動機構として使用することが可能となり、自由旋回式破砕機のように、当て回しを行うことが可能となる。さらに、油圧モータが制動機構となるので、摺動板のように磨耗することがなく、調整作業がほぼ必要無くなるため、作業性が向上している。
【0007】
しかしながら、上述した態様で長時間油圧旋回を行わず、当て回しでの回動のみを繰り返した場合、油圧モータに負荷が掛かり続ける為、油圧モータから油が漏れ出して、ドレンポートから排出されてしまう現象が生じる。そして、油圧旋回を行わないため、圧油が油圧モータに送り込まれず、油圧モータ内部に空気が混入してしまい、制動力が失われる現象も生じる。この空気が混入する現象は、漏れた油を排出するドレンポートのない内部ドレン形モータを使用した油圧旋回式破砕機でも発生し、漏れた油は内部ドレン形モータのシャフト等を伝って外部に排出されてしまう。そのため、このような破砕機でも、空気が混入して制動力が失われる現象が生じる。
【0008】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなてされたものであり、その目的は、油圧モータに油圧を加えずにアームを回動させる際に、油圧モータ内部の油の量を一定に保ち、アームの制動力を長期間一定に保つことが可能な作業機械用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的達成のため、本発明の作業機械用アタッチメントでは、開閉して対象物を把持するアームと、前記アームを開閉させる油圧シリンダと、前記アームを回動させる油圧モータと、前記アームの回動を制動するブレーキ弁と、を備えた作業機械用アタッチメントであって、前記油圧シリンダの回路配管と前記油圧モータのドレンポートとの間には、前記回路配管と前記ドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、前記分岐配管の間には、減圧弁が設けられており、前記分岐配管を通じて、前記油圧シリンダの回路配管から前記油圧モータへと圧油を送り込むことを特徴とする。これにより、油圧シリンダ側から油圧モータ側へと圧油を送り込むことが可能となるので、油圧モータに常に油を満たしておくことが可能となる。そのため、油圧モータを制動機構として使用した場合、油漏れによって空気が混入することを防止することが可能となり、長期間一定の制動力を奏する作業機械用アタッチメントを提供することが可能となる。さらに、分岐配管の間に減圧弁を設けているので、油圧シリンダの使用油圧と、油圧モータのドレンポートの耐圧とが異なる場合でも、分岐配管を通じて油圧シリンダ側から油圧モータへと圧油を送り込むことが可能となっている。
【0010】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、開閉して対象物を切断するアームと、前記アームを開閉させる油圧シリンダと、前記アームを回動させる油圧モータと、前記アームの回動を制動するブレーキ弁と、を備えた作業機械用アタッチメントであって、前記油圧シリンダの回路配管と前記油圧モータのドレンポートとの間には、前記回路配管と前記ドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、前記分岐配管の間には、減圧弁が設けられており、前記分岐配管を通じて、前記油圧シリンダの回路配管から前記油圧モータへと圧油を送り込むことを特徴とする。これにより、構造物を切断するカッターであっても、上述した本願の特徴的な作用を奏する作業機械用アタッチメントとして提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記分岐配管には、アキュムレータが設けられていることを特徴とする。これにより、分岐配管に取り付けられた減圧弁のサージ圧や、ドレンポート内部に一時的に発生する高い油圧を吸収することが可能となっている。そのため、耐圧性の低いドレンポートの破損を防ぐことが可能となり、分岐配管からドレンポートを通じて油圧モータへと常に圧油を送り込むことが可能となる。そして、油圧モータを常に油で満たしておくことが可能となるので、長期間一定の制動力を奏する作業機械用アタッチメントを提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記アームと前記油圧シリンダとは、フレームによって支持されていることを特徴とする。そして、前記油圧モータと前記フレームとは、ブラケットによって支持されていることを特徴とする。これにより、油圧モータによって、アームが取り付けられたフレームに制動力を与えることが可能となるので、アームを当て回しによって回動させた場合、油圧モータを制動機構として使用することが可能となる。そのため、本発明の作業機械用アタッチメントでは、当て回しによる回動を長時間行った場合でも、長期間一定の制動力を与えた状態を維持することが可能となる。
【0013】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記フレームと前記ブラケットとの摺動部分には、旋回ベアリングが設けられていることを特徴とする。これにより、フレームを回動させる際に、ブラケットとの摺動部分で発生する摩擦を低減することが可能となっている。そのため、フレームの回動は滑らかになり、長期間一定の制動力を奏する作業機械用アタッチメントを提供することが可能となる。
【0014】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記油圧シリンダに対し、圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本発明の作業機械用アタッチメントは、自由旋回式破砕機に適用することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記油圧モータに対し、前記油圧シリンダとは別々に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本発明の作業機械用アタッチメントは、油圧旋回式破砕機に適用することが可能となる。
【0016】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記油圧モータに対し、前記油圧シリンダと一緒に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本発明の作業機械用アタッチメントは、油圧シリンダ側の油圧回路のみを備えている作業機械用の、油圧旋回式破砕機に適用することが可能となる。
【0017】
また、本発明の作業機械用アタッチメントでは、前記油圧モータのドレンポート、もしくは前記分岐配管には、ドレン配管が接続されており、前記ドレン配管と前記分岐配管との接続を切り替える切り替え機が備えられていることを特徴とする。これにより、ドレンポートと作業機械に備えられた油槽へと接続することが可能となる。そのため、切替機を切り替えるだけで、本発明の作業機械用アタッチメントは、油圧旋回使用時の形態と、自由旋回使用時の形態とを切り替えることが可能となる。
【0018】
また、本発明の流体回路では、アームを流体圧によって開閉及び回動させる流体回路であって、前記アームを開閉させる第1のアクチュエータと、前記アームを回動させる第2のアクチュエータと、前記第2のアクチュエータに対して流体の流れが止まっており、かつ前記第2のアクチュエータに外力が与えられた際に、その外力によって流れる流体の量を調整するブレーキ弁とを備えており、前記第1のアクチュエータの回路配管と前記第2のアクチュエータのドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、前記分岐配管の間に減圧弁が設けられていることを特徴とする。これにより、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを接続することができ、第1のアクチュエータから第2のアクチュエータへと流体を送り込むことが可能となる。そのため、第2のアクチュエータに常に流体を満たしておくことが可能となり、第2のアクチュエータを制動機構として使用した場合、液体漏れによって空気が混入することを防止することが可能となる。そして、長期間一定の制動力を奏する流体回路を提供することが可能となる。さらに、分岐配管の間に減圧弁を設けているので、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとで使用する流水圧が異なる場合でも、分岐配管を通じてドレンポートから第2のアクチュエータへと液体を送り込むことが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る油圧旋回式破砕機1(作業機械用アタッチメント)の平面図である。図1に示すように、本実施形態の油圧旋回式破砕機1は、一対のアーム2と、それぞれのアーム2に対応する2つの油圧シリンダ3と、一対のアーム2と2つの油圧シリンダ3を支持するフレーム4と、このフレーム4を回動可能に支持するブラケット5とを備えている。そして、このフレーム4とブラケット5とは、旋回ベアリング12を介して接続されている。また、一対のアーム2は、線対称に配置されており、それぞれに対応する2つのフレーム取付ピン7によって、フレーム4に揺動可能に支持され、油圧シリンダ接続ピン8によってそれぞれ対になる油圧シリンダ3に揺動可能に接続されている。
【0021】
アーム2は、略三角形状の部材であり、先端部にコンクリートを破砕するための先端破砕爪2aが設けられている。そして、フレーム取付ピン7によって揺動可能に支持されている付近に、剪断刃2bがボルト等によって取り付けられ、先端破砕爪2aと剪断刃2bとの中間部に、中間破砕爪2cが設けられている。
【0022】
油圧シリンダ3は、略円筒形状のピストンロッド3aと略円筒形状のシリンダ外筒3bとを備えている。ピストンロッド3aは、フレーム4のブラケット5側に揺動可能に支持されている。そして、シリンダ外筒3bのピストンロッド3aが挿入されている反対側は、油圧シリンダ接続ピン8によってアーム2に接続されている。なお、油圧シリンダ接続ピン8は、アーム2のフレーム取付ピン7が取り付けられている場所より外側に取り付けられている。
【0023】
フレーム4は、平面が略矩形状の支持部4aと、ブラケット5に回動可能に装着される環状フランジ4bとを備えている。この支持部4aは、一対のアーム2をそれぞれのアーム2に対応するフレーム取付ピン7によって揺動可能に支持し、2つの油圧シリンダ3のそれぞれのピストンロッド3aを揺動可能に支持している。そして、支持部4aは、環状フランジ4bの回動に合わせて、一緒に回動する態様となっている。
【0024】
ブラケット5は、油圧旋回式破砕機1を固定する本体部5aと、フレーム4と接続する環状フランジ5bとを備えており、本体部5aには、揺動ピン34(後述する図3参照)等を取り付けるための取付孔5cが設けられている。さらに、本体部5aには、シリンダ用圧油供給口52と、モータ用圧油供給口53と、ドレン配管接続口54とが、設けられている。次に、ブラケット5とフレーム4との関係について、図2を用いて詳細に説明する。
【0025】
図2は、本実施形態のブラケット5とフレーム4との装着部の断面図である。図に示すように、環状フランジ5bには旋回ベアリング12のベアリング外輪12aが、環状フランジ4bには旋回ベアリング12のベアリング内輪12bが、装着ボルト13によって取り付けられ、ベアリング外輪12aとベアリング内輪12bとは、ボール12cによって回動自在に接合されている。また、環状フランジ5bには、油圧モータ10が取り付けられており、油圧モータ10の回動軸にはピニオン11が設けられている。さらに、ベアリング内輪12bの内周面には歯車の歯が形成されており、ピニオン11と噛み合って内歯車を形成する。
【0026】
そして、モータ用圧油供給口53を介して、油圧モータ10へと圧油が送り込まれると、油圧モータ10は駆動を開始し、ピニオン11が回動する。すると、ピニオン11から、ベアリング内輪12bに形成された歯車へと駆動力が伝達される為、環状フランジ4bが回動する。これにより、フレーム4が回動するので、アーム2の位置を移動させることができる。
【0027】
さらに、環状フランジ4bと環状フランジ5bとの装着部の中心には、センタースイベルジョイント9が設けられており、このセンタースイベルジョイント9を介して油圧シリンダ3へと圧油は送り込まれる。そのため、フレーム4を何十回同じ方向に回動させても、油圧シリンダ3へと圧油を送り込むことが可能となっている。これにより、油圧シリンダ3は伸縮し、この伸縮によってアーム2は、図1に示すように、フレーム取付ピン7を揺動中心として開閉を行い、コンクリートを破砕することが可能となっている。
【0028】
なお、ブラケット5には、本実施形態の特徴的な部分である分岐接続配管33(後述する図4参照)と、減圧弁63(後述する図4参照)と、アキュムレータ64(後述する図4参照)と、ドレン接続管65a(後述する図4参照)と、止め弁66(後述する図4参照)とが設けられており、油圧モータ10には、カウンタバランス弁61(後述する図4参照)とブレーキ弁62(後述する図4参照)とが設けられている。これらの部材の詳細については図4にて詳細に説明する。次に、本実施形態の油圧旋回式破砕機1が構造物を破砕する態様について図3を用いて説明する。
【0029】
図3は、本実施形態の油圧旋回式破砕機1を作業機械のひとつである油圧ショベルカー20(作業機械)に取り付けた状態を示す図である。図3に示すように、油圧旋回式破砕機1は、油圧ショベルカー20に取り付けられて構造物40を破砕するための破砕機である。
【0030】
油圧旋回式破砕機1は、油圧ショベルカー20の作業アーム30の先端部にブラケット5を介して取り付けられる。そして、油圧ショベルカー20の油圧シリンダ側配管31a、31bと油圧モータ側配管32a、32bとドレン配管65とがブラケット5に設けられた2つのシリンダ用圧油供給口52と2つのモータ用圧油供給口53とドレン配管接続口54とにそれぞれ接続される。なお、シリンダ用圧油供給口52とモータ用圧油供給口53とは、作業アーム30の逆側にも設けられているが、本実施形態では図示していない。
【0031】
この態様で、油圧旋回式破砕機1は、油圧ショベルカー20より圧油を送り込まれることによって破砕作業を行う。即ち、この油圧旋回式破砕機1は、油圧シリンダ側配管31a、31bから油圧シリンダ3へと圧油が送り込まれることによって、油圧シリンダ3を伸縮させてアーム2を開閉させ、油圧モータ用配管32a、32bから油圧モータ10へと圧油が送り込まれることによって、油圧モータ10を駆動させてフレーム4を回動させる。そして、油圧旋回式破砕機1は、作業アーム30のアームシリンダ30aが伸縮することによって、揺動ピン34を揺動中心とし、図3に示すX1、Y1方向へと揺動する。
【0032】
上述した各動作を組み合わせて行うことにより、本実施形態の油圧旋回式破砕機1は、構造物40を破砕する。例えば、構造物40の鉄筋コンクリート平板40aを破砕する場合、アーム2を鉄筋コンクリート平板40aの端部から挟み込ませ、アーム2を閉じる。すると、先端破砕爪2aが鉄筋コンクリート平板40aに当接し、そのまま当接位置に集中して応力がかかるので、この位置を中心にひびが発生し、鉄筋コンクリート平板40aの一部を破砕することができる。
【0033】
そして、鉄筋コンクリート平板40aを破砕した後に残る鉄筋40bは、アーム2の剪断刃2bで切断する。ただし、アーム2に対して平行な向きに配置された鉄筋40bは、剪断刃2bの向きと同一になってしまい、そのままでは切断できないので、アーム2を当接させて折り曲げた後に剪断刃2bで切断する。上述した鉄筋コンクリート平板40aの破砕と鉄筋40bの切断を繰り返すことにより、鉄筋コンクリート平板40aを全て破砕することができる。さらに、鉄筋コンクリート柱40cのように、地表に対して略垂直に配置されている構造物を破砕する場合、フレーム4を回動させて、アーム2を地表に対し略水平な態様にすれば、鉄筋コンクリート平板40aと同じように全て破砕することが可能となっている。
【0034】
なお、油圧旋回式破砕機1では、フレーム4を回動させる場合、油圧モータ10の駆動によって回動させる以外に、アーム2を構造物40に当接させて押圧し、フレーム4を回動させる、所謂当て回しを行うことも可能である。この場合、フレーム4が回動する際に油圧モータ10によって制動を行う。この制動に関しては後に図5を用いて詳細に説明する。
【0035】
次に、本実施形態の油圧旋回式破砕機1の油圧旋回式油圧回路60について、図4を用いて説明する。
【0036】
図4は、本実施形態の油圧旋回式破砕機1と油圧ショベルカー20との油圧旋回式油圧回路60の概要図である。図4に示すように、油圧旋回式油圧回路60の油圧ショベルカー20側には、油を蓄えて置くための油槽21と、シリンダ側ポンプ22と、モータ側ポンプ23と、シリンダ側方向切替弁24と、モータ側方向切替弁25とを備えている。さらに、シリンダ側ポンプ22は、シリンダ側リリーフ弁26、モータ側ポンプ23には、モータ側リリーフ弁27とがそれぞれ備えられている。
【0037】
シリンダ側ポンプ22は、油槽21に蓄えられた油を油圧シリンダ3に送り込むポンプである。このシリンダ側ポンプ22には、シリンダ側リリーフ弁26が設けられており、油圧シリンダ3側の回路配管等を、急激に発生する油圧等から保護している。
【0038】
モータ側ポンプ23は、油槽21に蓄えられた油を油圧モータ10に送り込むポンプである。このモータ側ポンプ23には、モータ側リリーフ弁27が設けられており、油圧モータ10側の回路配管等を、急激に発生する油圧等から保護している。
【0039】
シリンダ側方向切替弁24は、シリンダ側ポンプ22から油圧シリンダ3への圧油の送り込みを切り替える為の弁である。このシリンダ側方向切替弁24は、平行流路24a、中立流路24b、交差流路24c、との3つの流路を備えており、この流路を切り替えることによって、圧油の送り込みを切り替えている。
【0040】
モータ側方向切替弁25は、モータ側ポンプ23から油圧モータ10への圧油の送り込みを切り替える為の弁である。このシリンダ側方向切替弁25は、平行流路25aと、中立流路25bと、交差流路25cとの3つの流路を備えており、この流路を切り替えることによって、圧油の送り込みを切り替えている。
【0041】
油圧旋回式油圧回路60の油圧旋回式破砕機1側には、上述したように、油圧シリンダ3と、センタースイベルジョイント9と、油圧モータ10とが備えられている。そして、油圧モータ10には、ドレンポート14が設けられており、油圧モータ10側の回路配管には、カウンタバランス弁61と、ブレーキ弁62とが備えられている。そして、油圧旋回式油圧回路60の油圧旋回式破砕機1側には、本実施形態の特徴的な部分である、分岐接続配管33(分岐配管)が設けられている。
【0042】
カウンタバランス弁61は、アーム2の回動が行われていない場合、油圧モータ10側の回路を閉鎖して油の流れを止め、油圧モータ10の回動を防止するための弁である。このカウンタバランス弁61は、正流路61aと、閉鎖流路61bと、逆流路61cとの3つの流路を備えており、油圧モータ10の回動方向や、停止態様に合わせて流路が切り替わるようになっている。
【0043】
ブレーキ弁62は、2つのリリーフバルブ62aによって形成されており、この2つのリリーフバルブ62aは、油圧モータ10に対して並列に正逆両方向に、設けられている。このブレーキ弁62は、油圧モータ10の回路内の油に抵抗を与えて、油圧モータ10を介してフレーム4の回動に制動力を与えることが可能となっている。
【0044】
ドレンポート14は、油圧モータ10に備えられた孔であり、油圧モータ10から漏れ出した油を外部へ逃がすことが可能となっている。
【0045】
本実施形態の特徴的な部分である、分岐接続配管33は、油圧シリンダ側配管31aと、油圧モータ10のドレンポート14とを接続する為の配管である。この分岐接続配管33には、減圧弁63と、アキュムレータ64と、止め弁66とドレン接続管65aとが設けられている。そして、分岐接続配管33によって、油圧旋回式破砕機1では、破砕作業を行っている最中に油圧シリンダ側配管31a側から油圧モータ10に自動的に圧油を送り込むことが可能となっている。
【0046】
減圧弁63は、分岐接続配管33の間に設けられた、油圧シリンダ側配管31a側から油圧モータ10のドレンポート14側へと送り込まれる圧油を減圧するための弁である。この減圧弁63によって、シリンダ側ポンプ22から送り込まれる圧油が、ドレンポート14の耐圧より高圧である場合でも、その圧油を減圧できるため、耐圧性の低いドレンポート14を介して油圧モータ10へと圧油を送り込むことが可能となっている。
【0047】
アキュムレータ64は、分岐接続配管33上の減圧弁63とドレンポート14との間に設けられた減圧弁63のサージ圧やドレンポート14内に一時的に発生する高圧を吸収するための部材である。減圧弁63では、サージ圧が発生することがあり、このサージ圧は、図4の矢印aのように分岐接続配管33を通って、ドレンポート14へと到達する可能性がある。その場合、ドレンポート14は耐圧性が低いため、破損してしまう可能性がある。逆に、油圧モータ10に油が満たされている状態で、油圧モータ10に衝撃的な負荷が発生した場合、ドレンポート14内に一時的に高い圧力が発生する場合がある。その場合、図4の矢印bのように、発生した圧力は分岐接続配管33を通って、減圧弁63へと到達する可能性があり、耐圧性が低いドレンポート14の他に、減圧弁63や分岐接続配管33、さらには油圧モータ10自体が破損してしまう可能性がある。
【0048】
アキュムレータ64は、上述したサージ圧や、一時的に発生する高い圧力を吸収するために設けられている。そして、このアキュムレータ64によってそれらの圧力が吸収されるため、油圧モータ10や、油圧モータ10に備えられたドレンポート14、減圧弁63、分岐接続配管33等の破損率を低減することが可能となる。これによって、上述した各部材の寿命を延ばすことが可能となっている。
【0049】
ドレン接続管65aは、分岐接続配管33上の、減圧弁63とアキュムレータ64との間にある配管から分岐された回路配管であり、油圧ショベルカー20側のドレン接続管65へと接続される。そして、このドレン接続管65aによって、油圧モータ10から漏れ出した油を、油槽21へと戻すことが可能となっている。
【0050】
止め弁66は、分岐接続配管33上の減圧弁の近傍に設けられた圧油を止めるための弁である。この止め弁66は、油圧モータ10の使用態様に合わせて切り替えるようになっており、この止め弁66を切り替えることによって、油圧旋回式の使用形態と自由旋回式の使用形態とを切り替えることが可能となっている。
【0051】
次に、本実施形態の油圧旋回式油圧回路60の動作について説明する。アーム2で構造物40を破砕する場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を平行流路24aへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より平行流路24aを介して圧油が油圧シリンダ側配管31bへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがX2方向へと押されるため、ピストンロッド3aはX2方向へと移動し、油圧シリンダ3は伸びることになる。そのため、図1に示すように一対のアーム2は閉じる方向へと揺動して、構造物40を挟み込んで破砕する。
【0052】
次に、アーム2を開く場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を交差流路24cへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より交差流路24cを介して圧油が油圧シリンダ側配管31aへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがY2方向へと押されるため、ピストンロッド3aはY2方向へと移動し、油圧シリンダ3は縮むことになる。そのため、図1に示すように一対のアーム2は開く方向へと揺動する。
【0053】
また、使用者が、シリンダ側方向切替弁24を中立流路24bへと切り替えた場合、油圧シリンダ配管31a、31bへと圧油が送り込まれなくなる。そのため、油圧シリンダ3の伸縮は停止し、アーム2の開閉は停止する。そして、油圧シリンダ3内部の油が移動しなくなるため、アーム2の停止態様を維持する。
【0054】
次に、フレーム4を回動させる場合、まず、モータ側方向切替弁25を平行流路25aへと切り替える。すると、モータ側ポンプ23より平行流路25aを介して油圧モータ側配管32bへと圧油が送り込まれ、カウンタバランス弁61のパイロットが油圧モータ側配管32bの圧力を検知する。そして、カウンタバランス弁61は、正流路61aへと切り替わり、正流路61aを介して油圧モータ10へと圧油が送り込まれ、油圧モータ10が一方向に回動し、フレーム4を回動させる。
【0055】
また、フレーム4を逆方向に回動させる場合、まず、モータ側方向切替弁25を交差流路25cへと切り替える。すると、モータ側ポンプ23より交差流路25cを介して油圧モータ側配管32aへと圧油が送り込まれ、カウンタバランス弁61のパイロットが油圧モータ側配管32aの圧力を検知する。そして、カウンタバランス弁61は、逆流路61cへと切り替わり、逆流路61cを介して油圧モータ10へと圧油が送り込まれ、油圧モータ10が逆方向に回動し、フレーム4を逆方向に回動させる。
【0056】
なお、上述したように油圧モータ10を駆動させ、フレーム4を回動させる場合、本実施形態の特徴的な部分である分岐接続配管33では、止め弁66を閉じてドレン接続管65aとドレン配管65とを接続する。これによって、ドレンポート14と油槽21とを、分岐接続配管33、ドレン接続管65a、ドレン配管65を介して接続することになり、通常の油圧旋回式破砕機のドレン配管と同等の役割を果たすことが可能となっている。
【0057】
以上、上述したように、油圧旋回式破砕機1では、アーム2の開閉と回動を、シリンダ側ポンプ22とモータ側ポンプ23との2つのポンプにより行うことが可能である。次に、本実施形態の油圧旋回式破砕機1での、当て回し動作について図5を用いて詳細に説明する。
【0058】
図5は、本実施形態の油圧旋回式破砕機1の、油圧による制動について説明するための第1の図である。図5に示すように、本実施形態の油圧旋回式破砕機1では、フレーム4の当て回しを行う際、上述したように、油圧モータ10によって制動力を与える必要がある。そのため、モータ側方向切替弁25は、中立流路25bに切り替えられる。すると、油圧モータ側配管32a、32bへと圧油が送り込まれないため、カウンタバランス弁61のパイロットは、油圧モータ側配管32a、32bの圧力を検知しない。そのため、カウンタバランス弁61は、閉鎖流路61bへと切り替わる。これによって、油圧モータ10側の回路配管内での油の移動が停止する。
【0059】
そのため、油圧モータ10の回動は停止し、その時点でのフレーム4の回動は停止することになる。しかし、油圧モータ10の回動が完全に停止させられてしまうと、アーム2等を介してフレーム4に負荷が与えられた場合、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損してしまう恐れがある。そのため、油圧モータ10にはブレーキ弁62が設けられており、ブレーキ弁62の2つのリリーフバルブ62aによって油圧モータ10に対するパイロット圧を調整することにより、油圧モータ10に一定以上の負荷が与えられた場合にのみ、油圧モータ10内部の油が移動する態様となっている。そして、油圧モータ10内部の油によって、フレーム4には、回動に対する一定の制動力を与えられるため、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損することを防止している。
【0060】
しかしならが、カウンタバランス弁61が閉鎖回路61bへと切り替わり、ドレンポート14と油槽21とが繋がれ、油圧モータ10によってフレーム4に制動力を与えた状態で、長期間当て回しによるアーム2の回動を行った場合、油圧モータ10に負荷がかかり続けることになる。そのため、油圧モータ10から油が漏れ出して油槽21へと送られたり、油圧モータ10のシャフトから油が染み出して油圧モータ10内部に空気が混入してしまい、制動力が失われる現象が生じていた。
【0061】
そして、この制動力が失われた状態を解消するためには、そのつどモータ側ポンプ23から油圧モータ10へと圧油を送り込む必要がある。このため、フレーム4は、当て回しで連続的に回動させることができず、作業性を向上させることが困難であった。
【0062】
そこで、本実施形態の油圧旋回式破砕機1では、分岐接続配管33を設けて、破砕作業を行っている最中に自動的に圧油を送り込み、油圧モータ10の油の漏れ出しと空気の混入を防止することが可能となっている。次に、この分岐接続配管33を使用する際の態様について説明する。
【0063】
まず、分岐接続配管33の止め弁66を開き、ドレン配管接続口54を、プラグを取り付けて封止し、油圧シリンダ側配管31aとドレンポート14とを接続する。これにより、ドレン配管65へと油が流れない為、ドレンポート14と油槽21との接続が切られ、油圧モータ10から漏れ出した油が油槽21へと送られることがなくなる。
【0064】
なお、本実施形態では、ドレン配管接続口54を、プラグを取り付けて封止しているが、ドレン配管65にストップバルブが備えられている場合には、このストップバルブを切り替えるだけで、ドレン配管接続口54を封止したのと同様の作用を奏することが可能となる。
【0065】
このような態様の油圧旋回式油圧回路60において、油圧シリンダ3のピストンロッド3aをY2方向へと移動させる場合、図5に示すように圧油は、シリンダ側ポンプ22から交差流路24cを介して、油圧シリンダ側配管31aへと送り込まれ、そして油圧シリンダ3へと送り込まれてピストンロッド3aをY2方向へと移動させる。また、それまで油圧シリンダ3に満たされていた油は、油圧シリンダ側配管31aから送り込まれてきた圧油に押され、油圧シリンダ側配管31b、交差流路24cを介して油槽21へと戻されてくる。
【0066】
同時に、油圧シリンダ側配管31aに設けられている分岐接続配管33から、減圧弁63によって油圧モータ10や油圧モータ10に備えられたドレンポート14を破損しないように減圧された圧油が、ドレンポート14を介して油圧モータ10へと送り込まれる。つまり、油圧モータ10から油が漏れ出した場合、分岐接続配管33から自動的に圧油が供給される態様となっている。これにより、油圧モータ10のシャフト等から油が漏れ出してしまった場合でも、素早く圧油を再供給することが可能となり、常に油圧モータ10に油を満たしておくことが可能となる。そのため、油圧モータ10の制動力が、空気が混入することによって失われず、連続的に当て回しによる破砕作業を行うことが可能となる。
【0067】
上述した本実施形態の油圧旋回式破砕機1では、油圧モータ10に自動的に圧油を送り込むことが可能となっている。これにより、アーム2を当て回しによって回動させて位置を移動させる作業を繰り返しても、油圧モータ10に常に油を満たしておくことが可能となるので、油圧モータ10に空気が混入し、制動力が失われることがない。さらにアキュムレータ64によって各部材の寿命を延ばすことも可能となり、部材の交換を行う回数も低下する。これにより、油圧旋回式破砕機1では、アーム2の制動力を長期間一定に保つことが可能となっている。なお、本実施形態の分岐接続配管33は、モータ側ポンプ23から油圧モータ10へと圧油を送り込んでフレーム4を回動する際にも併用可能である。
【0068】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と重複する構成については同一番号を付し説明を省略し、作業機械用アタッチメントの第1の実施形態とは異なる、本実施形態の特徴的な部分である自由旋回式破砕機101に係る部分についてのみ説明するものとする。
【0069】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る自由旋回式破砕機101(作業機械用アタッチメント)を作業機械のひとつである油圧ショベルカー120に取り付けた状態を示す図である。図6に示すように、自由旋回式破砕機101は、油圧ショベルカー120等の作業機械等に取り付けられて構造物40を破砕するための破砕機である。なお、自由旋回式破砕機101は、第1の実施形態の油圧旋回式破砕機1と同一であるので、以下図1乃至図3等をも併せて参照する。
【0070】
自由旋回式破砕機101は、図1乃至図3及び図6に示すように油圧ショベルカー120の作業アーム30の先端部にブラケット5を介して取り付けられる。そして、油圧ショベルカー120の油圧シリンダ側配管131a、131b(後述する図7参照)がブラケット5に設けられた2つのシリンダ用圧油供給口52に接続される。また、油圧ショベルカー120は、油圧モータ側配管とドレン配管とを備えていないため、自由旋回式破砕機101の2つのモータ用圧油供給口53、ドレン配管接続口54は、プラグを取り付けることによって封止される。なお、シリンダ用圧油供給口52、モータ用圧油供給口53は、作業アーム30の逆側にも設けられているが、本実施形態では図示していない。
【0071】
この態様で、自由旋回式破砕機101は、油圧ショベルカー120より圧油を送り込まれることによって破砕作業を行う。即ち、この自由旋回式破砕機101は、油圧シリンダ側配管131a、131bから油圧シリンダ3へと圧油が送り込まれることによって、油圧シリンダ3を伸縮させてアーム2を開閉させる。そして、自由旋回式破砕機101は、油圧旋回式破砕機1と同様に、作業アーム30のアームシリンダ30aが伸縮することによって、揺動ピン34を揺動中心とし、図6に示すX3、Y3方向へと揺動する。
【0072】
また、自由旋回式破砕機101では、油圧モータ側配管がないため油圧モータ10には圧油が供給されず、油圧モータ10が駆動しないためフレーム4を油圧によって回動させることができない。そこで、自由旋回式破砕機101では、アーム2を構造物40に当接させて押圧し、フレーム4を回動させる、所謂当て回しによってフレーム4を回動させる。この場合、油圧モータ10には、油が流れないようにした状態で油を満たしておき、油圧モータ10によって、フレーム4の回動に対して制動を行う。この制動に関しては後に図8を用いて詳細に説明する。
【0073】
上述した各動作を組み合わせて行うことにより、本実施形態の自由旋回式破砕機101は、構造物40を破砕することが可能となる。なお、破砕する場合の自由旋回式破砕機101の動きは、油圧旋回式破砕機1と略同様となるので、ここでは説明を省略する。次に、本実施形態の自由旋回式破砕機101の自由旋回式油圧回路160について、図7を用いて説明する。
【0074】
図7は、本実施形態の自由旋回式破砕機101と油圧ショベルカー120との自由旋回式油圧回路160の概要図である。図7に示すように、自由旋回式油圧回路160では、油圧ショベルカー120側に、第1の実施形態の油圧旋回式油圧回路60では備えられていたモータ側ポンプ23と、モータ側方向切替弁25と、モータ側リリーフ弁27とが備えられていない。それ以外の部材に関しては、第1の実施形態の油圧旋回式油圧回路60と同じ部材が、自由旋回式油圧回路160には備えられているため、各部材の説明については省略する。
【0075】
次に、本実施形態の油圧旋回式油圧回路160の動作について説明する。アーム2で構造物40を破砕する場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を平行流路24aへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より平行流路24aを介して圧油が油圧シリンダ側配管131bへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがX4方向へと押されるため、ピストンロッド3aはX4方向へと移動し、油圧シリンダ3は伸びることになる。そのため、図6に示すように一対のアーム2は閉じる方向へと揺動して、構造物40を挟み込んで破砕する。
【0076】
次に、アーム2を開く場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を交差流路24cへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より交差流路24cを介して圧油が油圧シリンダ側配管131aへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがY4方向へと押されるため、ピストンロッド3aはY4方向へと移動し、油圧シリンダ3は縮むことになる。そのため、図6に示すように一対のアーム2は開く方向へと揺動する。
【0077】
また、シリンダ側方向切替弁24を中立流路24bへと切り替えた場合、油圧シリンダ側配管131a、131bへと圧油が送り込まれなくなる。そのため、油圧シリンダ3の伸縮は停止し、その時点でのアーム2の開閉は停止することになる。そして、油圧シリンダ3内部の油が移動しなくなるため、アーム2の停止態様を維持する。
【0078】
以上、上述したように、自由旋回式破砕機101では、アーム2の開閉のみを、シリンダ側ポンプ22により行う。次に、本実施形態の自由旋回式破砕機101で、当て回しを行う際の制動について図8を用いて詳細に説明する。
【0079】
図8は、本実施形態の自由旋回式破砕機101の、油圧による制動について説明するための図である。図8に示すように、本実施形態の自由旋回式破砕機101では、フレーム4の当て回しを行う際、第1の実施形態と同様に、油圧モータ10によって制動力を与える必要がある。そのため、2つのモータ用圧油供給口53にプラグを取り付けて、油圧モータ10側の回路配管を閉鎖し、油圧モータ10内部に油を満たした態様で、油圧モータ10側の回路配管内での油の移動を停止させる。
【0080】
これにより、油圧モータ10の回動は停止し、その時点でのフレーム4の回動は停止することになる。しかし、油圧モータ10の回動が完全に停止させられてしまうと、アーム2等を介してフレーム4に負荷が与えられた場合、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損してしまう虞がある。そのため、油圧モータ10にはブレーキ弁62が設けられており、ブレーキ弁62の2つのリリーフバルブ62aによって油圧モータ10に対するパイロット圧を調整することにより、油圧モータ10に一定以上の負荷が与えられた場合にのみ、油圧モータ10内部の油が移動する態様となっている。そして、油圧モータ10内部の油によって、フレーム4には、回動に対する一定の制動力を与えられるため、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損することを防止している。
【0081】
しかしならが、油圧モータ10によってフレーム4に制動力を与えた状態で、長期間当て回しによるアーム2の回動を行った場合、油圧モータ10に負荷がかかり続けることになる。そのため、油圧モータ10から油が漏れ出して油圧モータ10のシャフトから油が染み出し、油圧モータ10内部に空気が混入してしまい、制動力が失われる現象が生じていた。そして、この制動力が失われた状態を解消するためには、そのつど油圧モータ10へ油を足さなければならず、フレーム4を連続的に当て回しを行うことによって回動させることができない。このため、油圧モータ10を制動装置として使用しただけでは、作業性を向上させることができない。
【0082】
そこで、本実施形態の自由旋回式破砕機101では、分岐接続配管133を設けて、破砕作業を行っている最中に自動的に油を送り込み、油圧モータ10の油の漏れ出しと空気の混入を防止することが可能となっている。次に、この分岐接続配管133を使用する際の態様について説明する。
【0083】
まず、自由旋回式油圧回路160では、分岐接続配管133で、油圧シリンダ側配管131aとドレンポート14とを接続する。この際、分岐接続配管133の止め弁66は開かれており、ドレン配管接続口54は、プラグを取り付けて封止する。
【0084】
このような態様で、油圧シリンダ3のピストンロッド3aをY4方向へと移動させる場合、上述したように圧油はシリンダ側ポンプ22から、交差流路24cを介して、油圧シリンダ側配管131aへと送り込まれ、そして油圧シリンダ3へと送り込まれてピストンロッド3aをY4方向へと移動させる。また、それまで油圧シリンダ3に満たされていた油は、油圧シリンダ側配管131aから送り込まれてきた圧油に押され、油圧シリンダ側配管131b、交差流路24cを介して油槽21へと戻されてくる。
【0085】
同時に、油圧シリンダ側配管131aに設けられている分岐接続配管133から、減圧弁63によって油圧モータ10や油圧モータ10に備えられたドレンポート14を破損しないように減圧された圧油が、ドレンポート14を介して油圧モータ10へと送り込まれる。つまり、油圧モータ10から油が漏れ出した場合、分岐接続配管133から自動的に圧油が供給される態様となっている。これにより、油圧モータ10のシャフト等から油が漏れ出してしまった場合でも、素早く圧油を再供給することが可能となり、常に油圧モータ10に油を満たしておくことが可能となる。そのため、油圧モータ10の制動力が、空気が混入することによって失われず、連続的に当て回しによる破砕作業を行うことが可能となる。
【0086】
上述した本実施形態の自由旋回式破砕機101では、油圧モータ10に自動的に圧油を送り込むことが可能となっている。これにより、アーム2を当て回しによって回動させて位置を移動させる作業を繰り返しても、油圧モータ10に常に油を満たしておくことが可能となるので、油圧モータ10に空気が混入し、制動力が失われることがない。さらにアキュムレータ64によって各部材の寿命を延ばすことも可能となり、部材の交換を行う回数も低下する。これにより、自由旋回式破砕機101では、アーム2の制動力を長期間一定に保つことが可能となっている。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。尚、第3実施形態では、上述した第1、第2の実施形態と重複する構成については同一番号を付し説明を省略し、作業機械用アタッチメントの第1、第2の実施形態とは異なる、本実施形態の特徴的な部分である油圧旋回式破砕機201に係る部分についてのみ説明するものとする。
【0088】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る油圧旋回式破砕機201(作業機械用アタッチメント)を作業機械のひとつである油圧ショベルカー220に取り付けた状態を示す図である。図9に示すように、油圧旋回式破砕機201は、油圧ショベルカー220等の作業機械等に取り付けられて構造物40を破砕するための破砕機である。なお、油圧旋回式破砕機201には、第1の実施形態の油圧旋回式破砕機1の、油圧モータ10側の回路配管にシーケンス弁29(後述する図10参照)と絞り弁15(後述する図10参照)とチェック弁17(後述する図10参照)とが追加されており、モータ用圧油供給口53、ドレン配管接続口54が備えられていない。それ以外の部材については第1の実施形態の油圧旋回式破砕機1と略同一であるので、以下図1乃至図3等をも併せて参照する。また、シーケンス弁29と、絞り弁15と、チェック弁17との作用については、後に図10を用いて詳細に説明する。
【0089】
油圧旋回式破砕機201は、図1乃至図3および図9に示すように、油圧ショベルカー220の作業アーム30の先端部にブラケット5を介して取り付けられる。そして、油圧ショベルカー220の油圧シリンダ側配管231a、231b(後述する図10参照)がブラケット5に設けられた2つのシリンダ用圧油供給口52に接続される。そして、油圧シリンダ側配管231a、231bにはそれぞれ、油圧モータ側分岐供給管232a、232b(後述する図10参照)が接続されている。なお、シリンダ側圧油供給口52は、作業アーム30の逆側にも設けられているが、本実施形態では図示していない。
【0090】
この態様で、油圧旋回式破砕機201は、油圧ショベルカー220より圧油を送り込まれることによって破砕作業を行う。即ち、油圧旋回式破砕機201は、油圧旋回式破砕機1と同様に、油圧シリンダ側配管231a、231bから油圧シリンダ3へと圧油が送り込まれることによって、油圧シリンダ3を伸縮させてアーム2を開閉させ、油圧モータ側分岐供給管232aから油圧モータ10へと圧油が送り込まれることによって、油圧モータ10を駆動させてフレーム4を回動させる。そして、油圧旋回式破砕機201は、作業アーム30のアームシリンダ30aが伸縮することによって、揺動ピン34を揺動中心とし、図9に示すX5、Y5へと揺動する。
【0091】
上述した各動作を組み合わせて行うことにより、本実施形態の油圧旋回式破砕機201は、構造物40を破砕することが可能となる。なお、破砕する場合の油圧旋回式破砕機201の動きは、第1の実施形態の油圧旋回式破砕機1と略同様となるので、ここでは説明を省略する。
【0092】
また、油圧旋回式破砕機201では、フレーム4を回動させる場合、油圧モータ10の駆動によって回動させる以外に、アーム2を構造物40に当接させて押圧し、フレーム4を回動させる、所謂当て回しを行うことも可能である。この場合、フレーム4の制動は、油圧モータ10で行う。この制動に関しては後に図11を用いて詳細に説明する。次に、本実施形態の油圧旋回式破砕機201の油圧旋回式油圧回路260について、図10を用いて説明する。
【0093】
図10は、本実施形態の油圧旋回式破砕機201と油圧ショベルカー220との油圧旋回式油圧回路260の概要図である。図10に示すように、油圧旋回式油圧回路260では、油圧ショベルカー220に、第2の実施形態の自由旋回式油圧回路160と同様にモータ側ポンプ23と、モータ側方向切替弁25と、モータ側リリーフ弁27とが備えられていない。また、油圧旋回式破砕機201側では、第1の実施形態の油圧旋回式油圧回路60で備えられていた部材に加えて、シーケンス弁29と絞り弁15とチェック弁17とが設けられており、分岐接続配管233に、止め弁66が設けられていない。
【0094】
シーケンス弁29は、油圧旋回式油圧回路260の圧油の流れをコントロールする弁であり、シーケンス弁29に加えられる油圧が一定値を超えると、シーケンス弁29を介して圧油が流れる態様となっている。シーケンス弁29は、油圧モータ側分岐供給管232a上に設けられており、油圧旋回式油圧回路260では、油圧シリンダ3のピストンロッド3aがY6方向に移動した後に、油圧モータ10が駆動を開始する態様になっている。
【0095】
絞り弁15は、油圧モータ側分岐供給管232a上に設けられた圧油の流量を調整するための弁である。これにより、油圧モータ10に流れる圧油の量を調整して、油圧モータ10の駆動速度を調整する。
【0096】
チェック弁17は、油圧モータ側分岐供給管232b上に設けられた、油圧シリンダ側配管231bから油圧モータ側分岐供給管232bへの圧油の流入を防ぐための弁である。これにより、油圧シリンダ3のピストンロッド3aがX6方向へ移動した場合に、圧油が油圧モータ側分岐供給管232bへ流れ込んで、油圧モータ10を逆転させないようになっている。
【0097】
次に、本実施形態の油圧旋回式油圧回路260の動作について説明する。アーム2で構造物40を破砕する場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を平行流路24aへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より平行流路24aを介して圧油が油圧シリンダ側配管231bへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがX6方向へと押されるため、ピストンロッド3aはX6方向へと移動し、油圧シリンダ3は伸びることになる。そのため、図9に示すように一対のアーム2は閉じる方向へと揺動して、構造物40を挟み込んで破砕する。
【0098】
次に、アーム2を開く場合、使用者は、シリンダ側方向切替弁24を交差流路24cへと切り替える。これにより、シリンダ側ポンプ22より交差流路24cを介して圧油が油圧シリンダ側配管231aへと送り込まれ、油圧シリンダ3へと送り込まれる。そして、送り込まれた圧油によってピストンロッド3aがY6方向へと押されるため、ピストンロッド3aはY6方向へと移動し、油圧シリンダ3は縮むことになる。そのため、図9に示すように一対のアーム2は開く方向へと揺動する。
【0099】
また、使用者が、シリンダ側方向切替弁24を中立流路24bへと切り替えた場合、油圧シリンダ配管231a、231bへと圧油が送り込まれなくなる。そのため、油圧シリンダ3の伸縮は停止し、アーム2の開閉は停止する。そして、油圧シリンダ3内部の油が移動しなくなるため、アーム2の停止態様を維持する。
【0100】
次に、フレーム4を回動させる場合、まず、シリンダ側方向切替弁24を交差流路24cへと切り替える。すると、上述したように圧油が油圧シリンダ3へと送り込まれ、ピストンロッド3aはY6方向へと移動し、油圧シリンダ3は縮むことになる。その後、ピストンロッド3aの移動が完了し、油圧シリンダ3が限界まで縮むと、シーケンス弁29に油圧が加えられ、シーケンス弁29を介して圧油が油圧モータ10側へと送り込まれる。そして、カウンタバランス弁61のパイロットが、油圧モータ側分岐供給管232aの圧力を検知すると、カウンタバランス弁61は、正流路61aへと切り替わり、正流路61aを介して油圧モータ10へと圧油が送り込まれる。これにより、油圧モータ10が一方向に回動し、フレーム4を回動させる。
【0101】
また、カウンタバランス弁61のパイロットが、油圧モータ側分岐供給管232aの圧力を検知しなくなると、カウンタバランス弁61は閉鎖流路61bへと切り替わり、油圧モータ10への圧油の供給が停止するため、油圧モータ10は回動を停止する。
【0102】
そして、本実施形態の油圧旋回式破砕機201では、油圧モータ10が逆転しないように、油圧モータ側分岐供給管232bにチェック弁17を設けており、このチェック弁17によって、圧油の流れ込みを防止しているため、油圧モータ10は一方向にしか駆動しない態様となっている。
【0103】
以上、上述したように、本実施形態の油圧旋回式破砕機201では、アーム2の開閉とフレーム4の回動とを、シリンダ側ポンプ22だけで行うことが可能となっている。次に、本実施形態の油圧旋回式破砕機201で、当て回しを行う際の制動について図11を用いて詳細に説明する。
【0104】
図11は、本実施形態の油圧旋回式破砕機201の、油圧による制動について説明するための図である。図11に示すように、本実施形態の油圧旋回式破砕機201では、フレーム4の当て回しを行う際、油圧モータ10によって制動力を与える必要がある。そのため、油圧モータ10内部での油の移動を停止させる。
【0105】
これによって、油圧モータ10の回動は停止し、その時点でのフレーム4の回動は停止することになる。しかし、油圧モータ10の回動が完全に停止させられてしまうと、アーム2等を介してフレーム4に負荷が与えられた場合、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損してしまう恐れがある。そのため、油圧モータ10にはブレーキ弁62が設けられており、ブレーキ弁62の2つのリリーフバルブ62aによって油圧モータ10に対するパイロット圧を調整することにより、油圧モータ10に一定以上の負荷が与えられた場合にのみ、油圧モータ10内部の油が移動する態様となっている。そして、油圧モータ10内部の油によって、フレーム4には、回動に対する一定の制動力を与えられるため、油圧モータ10若しくはピニオン11、ベアリング内輪12bが破損することを防止している。
【0106】
しかしならが、油圧モータ10によってフレーム4に制動力を与えた状態で、長期間当て回しによるアーム2の回動を行った場合、油圧モータ10に負荷がかかり続けることになる。そのため、油圧モータ10から油が漏れ出して油圧モータ10のシャフトから油が染み出し、油圧モータ10内部に空気が混入してしまい、制動力が失われる現象が生じていた。そして、この制動力が失われた状態を解消するためには、そのつど油圧モータ10へ油を足さなければならず、フレーム4を連続的に当て回しを行うことによって回動させることができない。そのため、連続的に当て回しを行うと制動性能が著しく低下する現象が起きる場合があった。
【0107】
そこで、本実施形態の油圧旋回式破砕機201では、分岐接続配管233を設けて、破砕作業を行っている最中に自動的に圧油を送り込み、油圧モータ10の油の漏れ出しと空気の混入を防止することが可能となっている。次に、この分岐接続配管233を使用する際の態様について説明する。
【0108】
油圧旋回式油圧回路260において、油圧シリンダ3のピストンロッド3aをY6方向へと移動させる場合、図11に示すように圧油はシリンダ側ポンプ22から、交差流路24cを介して、油圧シリンダ側配管231aへと送り込まれ、そして油圧シリンダ3へと送り込まれてピストンロッド3aをY6方向へと移動させる。また、それまで油圧シリンダ3に満たされていた油は、油圧シリンダ側配管231aから送り込まれてきた圧油に押され、油圧シリンダ側配管231b、交差流路24cを介して油槽21へと戻されてくる。
【0109】
同時に、油圧シリンダ側配管231aに設けられている分岐接続配管233から、減圧弁63によって油圧モータ10や油圧モータ10に備えられたドレンポート14を破損しないように減圧された圧油が、ドレンポート14を介して油圧モータ10へと送り込まれる。つまり、油圧モータ10から油が漏れ出した場合、分岐接続配管233から自動的に圧油が供給される態様となっている。これにより、油圧モータ10のシャフト等から油が漏れ出してしまった場合でも、素早く圧油を再供給することが可能となり、常に油圧モータ10に油を満たしておくことが可能となる。そのため、油圧モータ10の制動力が、空気が混入することによって失われず、連続的に当て回しによる破砕作業を行うことが可能となる。
【0110】
上述した本実施形態の油圧旋回式破砕機201では、油圧モータ10に自動的に圧油を送り込むことが可能となっている。これにより、アーム2を当て回しによって回動させて位置を移動させる作業を繰り返しても、油圧モータ10に常に油を満たしておくことが可能となるので、油圧モータ10に空気が混入し、制動力が失われることがない。さらにアキュムレータ64によって各部材の寿命を延ばすことも可能となり、部材の交換を行う回数も低下する。これにより、油圧旋回式破砕機201では、アーム2の制動力を長期間一定に保つことが可能となっている。
【0111】
なお、本実施形態の分岐接続配管33、133、233は、油圧シリンダ側配管31a、131a、231aと接続しているが、これは本発明の必須の構成ではない。例えば、分岐接続配管33、133、233は、油圧シリンダ側配管31b、131b、231bと接続されていても構わない。また、本実施形態の分岐接続配管33、133、233には、アキュムレータ64が設けられているが、このアキュムレータ64は本発明の必須の構成ではない。ただし、油圧回路内の保護の観点から、このアキュムレータ64を設けているほうが本発明の実施には好ましい。
【0112】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101では、アーム2を開閉させる油圧シリンダ3の数は2つとしていたが、別に1つでも構わないし、3つ以上でも構わない。
【0113】
また、本実施形態の作業機械用アタッチメントは、アーム2を開閉して構造物40を破砕する油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101としていたが、本発明は破砕機に限定されるものではない。例えば、鉄骨や材木を切断するカッターを備えた切断機であっても構わない。
【0114】
さらに、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、自由旋回式破砕機101では、共通の部材を多数使用していることからも判るように、油圧シリンダ3のみに圧油を送り込む作業機械、油圧シリンダ3と油圧モータ10との2つに別々に圧油を送り込む作業機械、どちらにも同一のアタッチメントを適用して、本実施形態の特徴的な作用を奏することが可能である。
【0115】
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態に係る油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101は、分岐接続配管33、133、233を通じて、油圧シリンダ3の油圧シリンダ側配管31a、131a、231aから油圧モータ10へと圧油を送り込むことを特徴とする。これにより、油圧シリンダ3側から油圧モータ10側へと圧油を送り込むことが可能となるので、油圧モータ10に常に油を満たしておくことが可能となる。そのため、油圧モータ10を制動機構として使用した場合、油漏れによって空気が混入することを防止することが可能となり、長期間一定の制動力を奏する油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101を提供することが可能となる。さらに、油圧シリンダ3の使用油圧と、油圧モータ10のドレンポート14の耐圧とが異なる場合でも、分岐接続配管33、133、233を通じて油圧シリンダ3側から油圧モータ10へと圧油を送り込むことが可能となっている。
【0116】
また、本実施形態の切断機では、分岐接続配管33、133、233を通じて、油圧シリンダ3の油圧シリンダ側配管31a、131a、231aから油圧モータ10へと圧油を送り込むことを特徴とする。これにより、鉄骨や木材を切断するカッターを備えた切断機であっても、上述した本願の特徴的な作用を奏する切断機として提供することが可能となる。
【0117】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101では、分岐接続配管33、133、233には、アキュムレータ64が設けられていることを特徴とする。これにより、分岐接続配管33、133、233に取り付けられた減圧弁63のサージ圧や、ドレンポート14内部に一時的に発生する高い油圧を吸収することが可能となっている。そのため、耐圧性の低いドレンポート14の破損を防ぐことが可能となり、分岐接続配管33、133、233からドレンポート14を通じて油圧モータ10へと常に圧油を送り込むことが可能となる。そして、油圧モータ10を常に油で満たしておくことが可能となるので、長期間一定の制動力を奏する油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101を提供することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101では、アーム2と油圧シリンダ3とは、フレーム4によって支持されていることを特徴とする。そして、油圧モータ10とフレーム4とは、ブラケット5によって支持されていることを特徴とする。これにより、油圧モータ3によって、アーム2が取り付けられたフレーム4に制動力を与えることが可能となるので、アーム2を当て回しによって回動させた場合、油圧モータ10を制動機構として使用することが可能となる。そのため、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101では、当て回しによる回動を長時間行った場合でも、長期間一定の制動力を与えた状態を維持することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101では、フレーム4とブラケット5との摺動部分には、旋回ベアリング12が設けられていることを特徴とする。これにより、フレーム4を回動させる際に、ブラケット5との摺動部分で発生する摩擦を低減することが可能となっている。そのため、フレーム4の回動は滑らかになり、長期間一定の制動力を奏する油圧旋回式破砕機1、201、自由旋回式破砕機101を提供することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態の自由旋回式破砕機101では、油圧シリンダ3に、圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本実施形態の自由旋回式破砕機101は、油圧ショベルカー120に適用することが可能となる。
【0121】
さらに、本実施形態の油圧旋回式破砕機1では、油圧モータ10に、油圧シリンダ3とは別々に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本実施形態の油圧旋回式破砕機1は、油圧ショベルカー20に適用することが可能となる。
【0122】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機201は、油圧モータ10に、油圧シリンダ3と一緒に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする。これにより、本実施形態の油圧旋回式破砕機201は、油圧シリンダ3側の油圧シリンダ用配管231a、231bのみを備えている油圧ショベルカー220の、油圧旋回式破砕機に適用することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態の油圧旋回式破砕機1、自由旋回式破砕機101では、油圧モータ10のドレンポート14、もしくは分岐接続配管33、133には、ドレン接続管65aが接続されており、ドレン接続管65aと分岐接続配管33、133との接続を切り替える止め弁66が備えられていることを特徴とする。これにより、止め弁66を切り替えるだけで、本実施形態の作業機械用アタッチメントは、油圧旋回使用時の形態と、自由旋回使用時の形態とを切り替えることが可能となるので、油圧旋回式破砕機1、自由旋回式破砕機101、どちらにも使用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
流体回路を備えた作業機械用アタッチメントであれば、破砕機に限らず、各種のアタッチメント、例えば、グラップル、鉄骨カッター、木材カッターであっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る油圧旋回式破砕機1の平面図である。
【図2】本実施形態のブラケット5とフレーム4との装着部の断面図である。
【図3】油圧旋回式破砕機1を油圧ショベルカー20に取り付けた状態を示す図である。
【図4】油圧旋回式油圧回路60の概要図である。
【図5】油圧旋回式破砕機1の、油圧による制動について説明するための第1の図である。
【図6】自由旋回式破砕機101を油圧ショベルカー120に取り付けた状態を示す図である。
【図7】自由旋回式油圧回路160の概要図である。
【図8】自由旋回式破砕機101の、油圧による制動について説明するための図である。
【図9】油圧旋回式破砕機201を油圧ショベルカー220に取り付けた状態を示す図である。
【図10】油圧旋回式油圧回路260の概要図である。
【図11】油圧旋回式破砕機201の、油圧による制動について説明するための図である。
【符号の説明】
【0126】
1 油圧旋回式破砕機(作業機械用アタッチメント)、
2 アーム、
2a 先端破砕爪、
2b 剪断刃、
2c 中間破砕爪、
3 油圧シリンダ、
3a ピストンロッド、
3b シリンダ外筒、
4 フレーム、
4a 支持部、
4b 環状フランジ、
5 ブラケット、
5a 本体部、
5b 環状フランジ、
5c 取付孔、
7 フレーム取付ピン、
8 油圧シリンダ接続ピン、
10 油圧モータ、
11 ピニオン、
12 旋回ベアリング、
12a ベアリング外輪
12b ベアリング内輪
12c ボール
13 装着ボルト、
14 ドレンポート、
15 絞り弁
17 チェック弁
20 油圧ショベルカー(作業機械)、
21 油槽、
22 シリンダ側ポンプ、
23 モータ側ポンプ、
24 シリンダ側方向切替弁、
24a 平行流路、
24b 中立流路、
24c 交差流路、
25 モータ側方向切替弁、
25a 平行流路、
25b 中立流路、
25c 交差流路、
26 シリンダ側リリーフ弁、
27 モータ側リリーフ弁、
29 シーケンス弁
30 作業アーム、
30a アームシリンダ
31a、31b 油圧シリンダ側配管、
32a、32b 油圧モータ側配管、
33 分岐接続配管(分岐配管)、
34 揺動ピン、
40 構造物、
40a 鉄筋コンクリート平板、
40b 鉄筋、
40c 鉄筋コンクリート柱、
52 シリンダ用圧油供給口、
53 モータ用圧油供給口、
54 ドレン配管接続口、
60 油圧旋回式油圧回路、
61 カウンタバランス弁、
61a 正流路、
61b 閉鎖流路、
61c 逆流路、
62 ブレーキ弁、
62a リリーフバルブ、
63 減圧弁、
64 アキュムレータ、
65 ドレン配管、
65a ドレン接続管
66 止め弁(切替機)、
101 自由旋回式破砕機(作業機械用アタッチメント)、
120 油圧ショベルカー(作業機械)、
131a、131b 油圧シリンダ側配管、
133 分岐接続配管(分岐配管)、
160 自由旋回式油圧回路、
201 油圧旋回式破砕機(作業機械用アタッチメント)、
220 油圧ショベルカー(作業機械)、
231a、231b 油圧シリンダ側配管、
232a、232b 油圧モータ側分岐供給管
233 分岐接続配管(分岐配管)、
260 油圧旋回式油圧回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉して対象物を把持するアームと、
前記アームを開閉させる油圧シリンダと、
前記アームを回動させる油圧モータと、
前記アームの回動を制動するブレーキ弁と、
を備えた作業機械用アタッチメントであって、
前記油圧シリンダの回路配管と前記油圧モータのドレンポートとの間には、前記回路配管と前記ドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、
前記分岐配管の間には、減圧弁が設けられており、
前記分岐配管を通じて、前記油圧シリンダの回路配管から前記油圧モータへと圧油を送り込むことを特徴とする作業機械用アタッチメント。
【請求項2】
開閉して対象物を切断するアームと、
前記アームを開閉させる油圧シリンダと、
前記アームを回動させる油圧モータと、
前記アームの回動を制動するブレーキ弁と、
を備えた作業機械用アタッチメントであって、
前記油圧シリンダの回路配管と前記油圧モータのドレンポートとの間には、前記回路配管と前記ドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、
前記分岐配管の間には、減圧弁が設けられており、
前記分岐配管を通じて、前記油圧シリンダの回路配管から前記油圧モータへと圧油を送り込むことを特徴とする作業機械用アタッチメント。
【請求項3】
前記分岐配管には、アキュムレータが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項4】
前記アームと前記油圧シリンダとは、フレームによって支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項5】
前記油圧モータと前記フレームとは、ブラケットによって支持されていることを特徴とする請求項4に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項6】
前記フレームと前記ブラケットとの摺動部分には、旋回ベアリングが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項7】
前記油圧シリンダに対し、圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項8】
前記油圧モータに対し、前記油圧シリンダとは別々に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする請求項7に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項9】
前記油圧モータに対し、前記油圧シリンダと一緒に圧油を送り込む作業機械に適用することを特徴とする請求項7に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項10】
前記油圧モータのドレンポート、もしくは前記分岐配管には、ドレン配管が接続されており、前記ドレン配管と前記分岐配管との接続を切り替える切り替え機が備えられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の作業機械用アタッチメント。
【請求項11】
アームを流体圧によって開閉及び回動させる流体回路であって、
前記アームを開閉させる第1のアクチュエータと、
前記アームを回動させる第2のアクチュエータと、
前記第2のアクチュエータに対して流体の流れが止まっており、かつ前記第2のアクチュエータに外力が与えられた際に、その外力によって流れる流体の量を調整するブレーキ弁とを備えており、
前記第1のアクチュエータの回路配管と前記第2のアクチュエータのドレンポートとを接続する分岐配管が設けられ、前記分岐配管の間に減圧弁が設けられていることを特徴とする流体回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−186886(P2007−186886A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5223(P2006−5223)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(502145276)株式会社アイヨンテック (5)
【Fターム(参考)】