説明

作業機械

【課題】異物の除去性能に優れ、給油作業も比較的楽に行える燃料供給装置を備えた作業機械を提供する。
【解決手段】作業現場で燃料タンク6に燃料を供給するための燃料供給装置15が設けられた油圧ショベル等の作業機械である。燃料供給装置15には、燃料ホース26や燃料ポンプ27、濾過装置28などが備えられている。濾過装置28には、フィルタ45を取り替え可能に収容する第1濾過器35や、圧力センサ36の計測値が所定値を超えると燃料ポンプ27を停止するポンプ停止制御装置37などが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関し、その中でも作業機械に搭載された燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機械には、作業現場でドラム缶等から直接燃料を給油することができるように燃料供給装置を備えた作業機械がある(特許文献1〜4)。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃料タンクの前方に、先端にストレーナが取り付けられた長尺のホースと、このホースに接続されたポンプと、ポンプのオンオフスイッチとからなる燃料補給機器を備え、この燃料補給機器を格納ケースに収納した燃料供給装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、給油作業時にホースを丸めたり伸ばしたりしないで済むように、ホースを短くして燃料タンクの側面に設けた凹溝に嵌め込み、ホースの大部分が伸びた状態で格納できるようにした燃料供給装置が開示されている。
【0005】
特許文献3や特許文献4には、機械カバーに設けられた階段の下側や、燃料タンクの下側に設置して邪魔にならないようにした燃料供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−266377号公報
【特許文献2】特開2008−196234号公報
【特許文献3】特開2008−095326号公報
【特許文献4】特開2008−195345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
作業現場で給油する場合、例えば細かな異物が多量に混ざっているような粗悪な燃料を使用しなければならない場合がある。そこで、特許文献1や特許文献2の燃料供給装置では、ホースの先端にストレーナを取り付け、そのストレーナで異物を取り除くようにしている。
【0008】
ところが、特許文献1のような長尺なホースの場合、異物の除去性能を向上させるためにストレーナの孔径を小さくすると、ポンプの吸引力が不足して燃料の吸引に時間がかかるし、ストレーナが直ぐに目詰まりを起こして給油できなくなるおそれがある。ストレーナを大きくすれば改善はできるが、大きくすればそれだけ作業性が悪くなってしまう。
【0009】
その点、特許文献2のような短いホースであれば、長尺のホースに比べてポンプの吸引力不足は幾分軽減はされるものの、ストレーナが目詰まりし易い点では同じであるし、ホースの届く場所にドラム缶等を運ばなければならず、給油作業に難がある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料に含まれる異物の除去性能に優れ、給油作業も比較的楽に行える作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、燃料供給装置に燃料を濾過する濾過装置を設けて、濾過装置の内圧が所定値になると燃料ポンプを停止するようにした。
【0012】
具体的には、下部走行体の上に上部支持体を備え、この上部支持体に、燃料タンクと、この燃料タンクに燃料を供給する燃料供給装置とが設けられた作業機械であって、前記燃料供給装置が、引き出し可能な燃料ホースと、燃料を送液する燃料ポンプと、燃料を濾過する濾過装置と、を有し、前記濾過装置が、フィルタを取り替え可能に収容する第1濾過器と、この第1濾過器の内圧変化を計測する圧力センサと、この圧力センサの計測値が所定値になると前記燃料ポンプを停止するポンプ停止制御手段と、を有していることを特徴とする。
【0013】
そうすれば、フィルタが目詰まりして燃料の供給ができなくなってもフィルタを取り替えるだけで簡単に燃料の供給を再開することができる。フィルタが目詰まりすれば、第1濾過器の内圧が大きく変化するので、その内圧変化を圧力センサで計測することでフィルタの交換時期を的確に判断することができる。そして、その圧力センサの計測値がフィルタの目詰まりを示す所定値になれば、ポンプ停止制御手段が自動的に燃料ポンプを停止するため、安心して燃料供給作業を行うことができる。
【0014】
具体的には、前記燃料ホースが前記燃料ポンプの吸引口側に接続され、前記濾過装置が前記燃料ポンプの吐出口と前記燃料タンクとの間に接続されているのが好ましい。
【0015】
そうすれば、燃料ホースは燃料ポンプの吸込口側に接続されていて、濾過装置は燃料ポンプの吐出口側に接続されているため、燃料に異物が多く含まれているような場合であっても燃料ポンプまでは余計な負荷を生じることなく送液することができ、燃料ポンプの吸引力が不足せずに済む。
【0016】
そして、濾過装置が燃料ポンプの吐出口と燃料タンクとの間に接続されているため、燃料ポンプの吐出圧を効率よく濾過装置に作用させることができ、それだけ濾過装置の濾過性能を効果的に発揮させることができる。
【0017】
更には、前記第1濾過器の下端部に開閉可能な残液流出口が設けられ、前記残液流出口から流出する残液を前記上部支持体の外側に案内する残液流路が設けられているようにしておくとよい。
【0018】
そうすれば、フィルタの交換の際には、残液流出口を開けば、第1濾過器の内部に残存する燃料を残液流路を介して上部支持体の外側に排出させることができ、フィルタの交換が容易になるとともに、収納ケース内を燃料で汚さずに済む。
【0019】
また、前記上部支持体の上に、更に、作動油を貯留する作動油タンクと、作動油を濾過する第2濾過器とが設けられていて、前記第2濾過器にフィルタが取り替え可能に収容され、前記第1濾過器のフィルタと前記第2濾過器のフィルタとが共用可能になっているものとするのが好ましい。
【0020】
そうすれば、予備のフィルタをそれぞれ別々に備えておく必要がなくなるため、利便性に優れる。
【0021】
また、前記燃料タンクの近傍に備品収納用の収納ケースが設けられ、前記収納ケース内に、前記燃料ホースと、前記燃料ポンプと、前記濾過装置とが、それぞれ互いに近接するように配設されているようにするとよい。
【0022】
そうすれば、収納ケースに燃料供給装置がコンパクトに設置されているため、収納ケースの内部は、燃料供給装置が設置されて狭くなるものの、限られた空間を効率よく利用でき、比較的大きな備品も収容できるし、備品の出し入れの邪魔にならずに済む。
【0023】
なお、この場合、上部支持体に取り付けられる支持プレートに燃料供給装置を設置してユニット化すれば、収納ケースに収容可能である限り、既存の油圧ショベルにも簡単に組み込むことができるし、不要な場合には取り外すことも可能であり、汎用性に優れる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の作業機械によれば、燃料に含まれる異物の除去性能に優れ、給油作業も比較的楽に行える燃料供給装置が設けられているので、作業現場で給油する場合でも、常に品質の安定した燃料を供給することができ、安心して給油できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した作業機械の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した作業機械の要部を示す斜視図である。
【図3】収納ケースの内部を示す斜視図である。
【図4】燃料供給装置ユニットを示す斜視図である。
【図5】収納ケースの内部を示す概略断面図である。
【図6】燃料供給装置ユニットの裏面側を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1に、本発明を適用した油圧ショベル(作業機械)を示す。この油圧ショベルは、クローラ型の下部走行体1の上に、上部旋回体2(上部支持体)が旋回可能に備えられており、その上部旋回体2のフレーム上に、キャブ3やアタッチメント4、エンジン室5、燃料タンク6、作動油タンク7、収納ケース8などが設けられている。尚、前後や左右等の方向は、図1の基本姿勢にある油圧ショベルを基準に説明する。
【0028】
キャブ3は、上部旋回体2の左前方部分に配設された縦長な箱形状をした運転室であり、その前後面や左右側面には比較的大きなウインド10が設けられ、その内部にはオペレータが着座するシートや操作機器などが備えられている。そして、このキャブ3の右側面に隣接するように、上部旋回体2の前部における左右方向の中間部分にはアタッチメント4が配設されている。
【0029】
アタッチメント4は、上部旋回体2のフレームに起伏可能に支持された略く字形状のブーム11と、このブーム11の長手方向に延びて、その基端部側が、ブーム11の先端部に設けられた第1横軸回りに回動可能に支持されたアーム12と、このアーム12の先端部に設けられた第2横軸回りに回動可能に支持されたバケット13とを有している。
【0030】
エンジン室5は、上部旋回体2の後部の左右両側間にわたって配設されており、そのエンジン室5内には、図示しないがエンジンやラジエータ、油圧ポンプなどが搭載されている。
【0031】
収納ケース8や燃料タンク6、作動油タンク7は、アタッチメント4を挟んでキャブ3と左右に対向するように、上部旋回体2の右前方部分に配設されている。詳しくは、これら燃料タンク6等は上部旋回体2のフレームの右側部分(サイドフレーム2aともいう)の上に組み付けられている。図2は、その上部旋回体2の右前方部分を示したものであるが、収納ケース8、燃料タンク6、作動油タンク7は、この順に前側から一列に連なるように配置されている。
【0032】
作動油タンク7は、エンジン室5の右前部に接するように配設された四角箱型のタンクであり、その内部には油圧系統へ供給する作動油が貯留されるようになっている。作動油タンク7の内部には、図2に破線で示すように、作動油を濾過するための濾過器14(第2濾過器)が設けられていて、そこにはフィルタ14aが取り替え可能に収容されている。
【0033】
一方、燃料タンク6は、作動油タンク7の前面に接するように配設された、作動油タンク7よりも容量の大きい四角箱型のタンクであり、その内部にはエンジンへ供給する燃料が貯留されるようになっている。燃料タンク6は作動油タンク7よりも前後寸法が大きい点を除けば、上下や左右の寸法はほぼ同じに形成されていて、見栄えよくするために、各タンクの外面が段差なく連なるように設計されている。
【0034】
収納ケース8は、例えばエンジンオイルなどが入ったペール缶や予備フィルタ等の備品が収容できるように設けられたものであり、燃料タンク6の前面に接するように配設されている。そして、この収納ケース8の内部には、図3に示すように、燃料タンク6に燃料を供給するための燃料供給装置15が配設されている(この燃料供給装置15については後述する)。
【0035】
収納ケース8は、燃料タンク6とほぼ同様の前後及び左右の各方向の寸法と、燃料タンク6の略半分の上下寸法とからなる四角箱形状のケース本体18と、ケース本体18の上部の後側からケース本体18の左右間にわたって上方に延びるように立設されたカバー体19とを有している。
【0036】
ケース本体18は、図3に示すように、左右一対の側壁部18a,18aと、これら側壁部18a,18aの前端間に連なる前壁部18bと、両側壁部18a,18a及び前壁部18bの上端に連なってケース本体18の上面を塞ぐ上壁部18cとを有している。この上壁部18cの後端には、開口18dが切り欠き形成されていて、この開口18dの周りから立ち上がるようにカバー体19が設けられている。また、上壁部18cには揺動可能に支持された開閉ドア20が設けられている(図2、図5参照)。
【0037】
カバー体19は、フロントカバー部19aと、フロントカバー部19aの左右両側及び上側に連なるサイドカバー部19bとを有し、これらフロントカバー部19a及びサイドカバー部19bの下端がケース本体18の上壁部18cの後端に接合されている。そして、このカバー体19とケース本体18の後部とで燃料タンク6の前面が覆われることにより、燃料タンク6の前側に各種装置の配設空間が形成されている。
【0038】
収納ケース8はサイドフレーム2aの前隅部に位置しており、そのサイドフレーム2aの前隅部の前側、つまり収納ケース8の前方下側には、前方に突出するように踏み台21が設けられている。また、燃料タンク6の上面の前部右隅と収納ケース8の上壁部18cの前部右隅との間には、パイプで形成された手摺り22が設けられている。すなわち、踏み台21、収納ケース8、及び燃料タンク6は昇降ステップともなっていて、作業者は手摺り22に掴まって簡単に燃料タンク6や作動油タンク7の上に上り下りできるようになっている。
【0039】
燃料供給装置15は、図4に示すように、支持プレート25上に予め主要な各部材が組み付けられた1つのユニットとして構成されていて(燃料供給装置ユニット)、燃料ホース26や燃料ポンプ27、濾過装置28などを備えている。
【0040】
支持プレート25は、鋼板のプレス加工品であり、四角板状のベース部25aと、ベー
ス部25aの四方の側端部のそれぞれを下方に屈曲して形成された脚壁部25bとを有し、ケース本体18の前後及び左右の内寸法よりもひとまわり小さく形成されている。
【0041】
支持プレート25はサイドフレーム2aの前隅部にボルトBで取り外し可能に締結されていて、この支持プレート25を覆うように収納ケース8がサイドフレーム2aに取り外し可能に取り付けられている。つまり、収納ケース8の底面はこの支持プレート25によって区画形成されるようになっている。
【0042】
そして、この支持プレート25の上面は、図4において2点鎖線で示すように、備品を収納するための領域25c(備品収納領域)と、燃料供給装置15を設置するための領域25d(装置設置領域)とに区画されていて、その装置設置領域25dに、燃料ホース26や燃料ポンプ27、濾過装置28がそれぞれ互いに近接するようにコンパクトに配設されている。本実施形態では、装置設置領域25dが支持プレート25の右寄りの部分に設けられ、備品収納領域25cが支持プレート25の左寄りの部分に設けられている。従って、収納ケース8の内部は、燃料供給装置15が設置されて狭くはなっているものの、限られた空間が効率よく利用されているため、ペール缶等、比較的大きな備品であっても支障なく収容できるようになっている。
【0043】
燃料ホース26は、伸ばせば数mにもなる比較的長尺な耐油性、柔軟性に優れたホースからなり、その先端には、比較的大きな異物を除去するためにストレーナ29が取り付けられていて、その基端部は、本実施形態では燃料ポンプ27に直接接続されている。
【0044】
このような燃料ホース26を収納し易くするために、燃料供給装置15には、ホース収納部30aと、ストレーナ収納部30bとからなる燃料ホース収納具30が、支持プレート25の右側端の縁に沿うように配設されている。
【0045】
ホース収納部30aは、左右方向に比べて相対的に前後方向及び上下方向が大きく形成された箱型の容器であり、その上面は開放されている。従って、燃料ホース26を適宜丸めて上方からホース収納部30aに入れ込めば、簡単に燃料ホース26を収納することができる。
【0046】
ストレーナ収納部30bは、縦長な有底筒状の容器であり、ホース収納部30aの一側面に取り付けられ、ホース収納部30aに収納された燃料ホース26の先端のストレーナ29を差し込んで収納できるようになっている。ストレーナ収納部30bの底面には、収納時にストレーナ29に残っていた燃料がストレーナ収納部30bに溜まらないように排液管31が接続されている。排液管31の下端は支持プレート25に形成された貫通孔に接続されている。
【0047】
燃料ポンプ27は、比較的小型の横長な電動ポンプであり、燃料ホース収納具30の左前部近傍の装置設置領域25dに前後方向に延びるように配設されている。燃料ポンプ27のポンプ部には、燃料を吸い込む吸込口27aと、燃料を吐出する吐出口27bとがいずれも上方に向いた状態で左右横並びに設けられていて、その吸込口27aに燃料ホース26の基端部が接続され、吐出口27bに比較的短寸の中継ホース32の一端が接続されている。燃料ポンプ27の左側には、燃料ポンプ27を保護するための保護枠33が取り付けられている。
【0048】
濾過装置28は、第1濾過器35や圧力センサ36、ポンプ停止制御装置37(ポンプ停止制御手段)などを有し、その主体は、燃料ホース収納具30の左後部近傍の装置設置領域25dにおいて、燃料ポンプ27と前後に隣接するように配設されている。
【0049】
第1濾過器35は、有底円筒状の容器本体35aと、この容器本体35aの上部開口を塞ぐ蓋体35bとを有する圧力容器であり、蓋体35bは、容器本体35aの上端縁から外方に張り出したフランジ部35cにボルトで取り外し可能に締結されている。容器本体35aの上部には、中継ホース32の他端が接続されていて、そこから燃料が第1濾過器35に供給されるようになっている。第1濾過器35は、支持プレート25に固定された支持枠38によって支持プレート25から上方に所定距離離れた位置に支持されている。
【0050】
そして、その容器本体35aの下端部には、管状の残液流出管39が下方に突出するように設けられていて、その残液流出管39の基端は容器本体35aの底面に形成された残液流出口40に接続され、残液流出管39の先端はプラグ41によって開閉可能になっている。
【0051】
また、容器本体35aの下端部には、図5に示すように、第1濾過器35で濾過された燃料が流出する燃料流出部42が設けられていて、そこに燃料タンク6の上部に連通する燃料配管43が接続されている。
【0052】
第1濾過器35には、図4に示すように、燃料に含まれる比較的細かな異物を除去することのできるフィルタ45が取り替え可能に収容されている。このフィルタ45は、例えば、デプスフィルタなどの異物量が多少多くても濾過できるように構成されたフィルタであり、ストレーナ29との組み合わせによって目詰まりを抑制しながらバランスよく異物を除去できるように設定されている。
【0053】
そして、このフィルタ45には作動油タンク7に設けられた第2濾過器14のフィルタ14aと同じものが用いられていて、互いに共用できるようになっている。従って、予備のフィルタをそれぞれ別々に備えておく必要がなくなるため、利便性に優れている。
【0054】
圧力センサ36は、第1濾過器35の内圧(本実施形態ではフィルタ45の一次側の圧力)を計測するために容器本体35aの壁面に設けられていて、圧力センサ36で計測された圧力値は連続的にポンプ停止制御装置37に入力されるように構成されている。
【0055】
ポンプ停止制御装置37は、燃料ポンプ27の上側に配設されていて、そこには燃料ポンプ27の電気配線やCPU、ROM等の各種電装部品とともに制御プログラムが実装されていて、圧力センサ36から入力される圧力値と、フィルタ45に応じて予め設定された閾値とを比較して、圧力値が閾値を超えた場合に燃料ポンプ27を停止する機能を備えている。
【0056】
支持プレート25における容器本体35aの下端部と対向している部分には、残液流出管39から流れ出る燃料の残液が流れ広がらないように残液受部46が設けられている。この残液受部46は周囲を囲む枠体と、この枠体で囲まれた支持プレート25の一部とでトレイ状に形成されていて、その底面を区画している支持プレート25の一部には貫通孔46aが形成されている。
【0057】
そして、支持プレート25の裏面には、図6に示すように、一端がその貫通孔46aを覆って他端が支持プレート25の端部まで延びる、略密閉された筒状の樋部47が設けられている。この樋部47は、帯板状の底板47aと、この底板47aの両側に連なる一対の側板等とを有し、支持プレート25の裏面に一体に固定されている。底板47aは、貫通孔46aのある一端側よりも他端側が下方に位置するように一端側から他端側に向かって下り傾斜している。そして、その最も下方に位置する底板47aの他端部には、ドレン流出孔48が開口しており、そこに上部旋回体2の外側まで導出可能なドレンホース49が接続されている。また、樋部47には、ストレーナ収納部30bの底面に接続された排
液管31が連通するように配設されている。
【0058】
支持プレート25の裏面から樋部47の最下部までの寸法は、支持プレート25の脚壁部25bの突出寸法よりも小さく設定されていて、仮に支持プレート25を平面に載置しても樋部47は当接せず、サイドフレーム2aに取り付ける際に樋部47が邪魔にならないようになっている。尚、支持プレート25の裏面の四隅から突出しているのは、サイドフレーム2aに締結するボルトBを支持案内するボス50である。
【0059】
このような燃料供給装置15を備えた油圧ショベルは、例えば作業現場で燃料を補給する必要が生じた場合には、燃料の品質を気にせず簡単な作業でドラム缶などから直接燃料を燃料タンク6に供給することができる。
【0060】
すなわち、図5に示すように、まず、収納ケース8の開閉ドア20を開けて燃料ホース26を収納ケース8から引き出す。そうして、燃料ホース26の先端部をドラム缶内に差し込み、燃料ポンプ27を駆動させれば、燃料を燃料タンク6に送液することができる。燃料ホース26を伸ばせばドラム缶が多少離れた場所にあっても給油できるため、作業性に優れる。
【0061】
その際、比較的大きな異物はストレーナ29で除去され、ストレーナ29を通過する細かな異物は濾過装置28で確りと除去することができるため、燃料に含まれる異物を効果的に除去することができる(2段濾過)。燃料に多少多くの異物が含まれる場合であっても、ストレーナ29とフィルタ45とでバランスよく異物を除去できるため、燃料ポンプ27の吸引力不足を軽減することができ、長時間支障なく燃料供給することができる。
【0062】
長尺の燃料ホース26であっても、燃料ポンプ27までは余計な負荷を生じることなく送液することができるため、燃料ポンプ27の吸引力が不足せずに済む。
【0063】
燃料ポンプ27の吐出口27bと燃料タンク6との間に濾過装置28が接続されていて、燃料ポンプ27の吐出圧を効率よく濾過装置28に作用させることができるようになっているので、それだけフィルタ45の濾過性能を効果的に発揮させることができ、また、圧力センサ36によるフィルタ45の目詰まりの検出も簡単にできる。
【0064】
給油作業の終了後は、燃料ホース26を丸めて燃料ホース収納具30に収納すればよい。燃料の残液も排出されるようになっているため、収納ケース8内を汚すこともない。
【0065】
そして、圧力センサ36がフィルタ45の目詰まりを検出すると、ポンプ停止制御装置37によって燃料ポンプ27が停止されることとなる。
【0066】
そうした場合、フィルタ45の交換が必要となるが、フィルタ45の交換作業も簡単に汚さず行えるように工夫されている。
【0067】
すなわち、作業者は、第1濾過器35に設けられた残液流出管39の先端のプラグ41を緩めて残液流出口40を開く。そうして、容器本体35aから蓋体35bを取り外せば、第1濾過器35内に残存していた燃料は、残液流出管39、樋部47、ドレンホース49で構成される流路(残液流路)を経て、収納ケース8内を汚すことなく回収することができる。ストレーナ29に残った燃料も排液管31、樋部47、ドレンホース49を経て回収することができる。
【0068】
第1濾過器35内に燃料の残液が無くなれば、後はフィルタ45を取り外して、予備のフィルタと交換すればよい。予備のフィルタも作動油タンク7のフィルタ14aと共用で
きるようになっているため、効率よく予備のフィルタを準備しておくことができ、利便性に優れる。緊急時には、作動油タンク7のフィルタ14aで代用することも可能である。
【0069】
燃料供給装置15が支持プレート25上にユニット化されていて、その支持プレート25が収納ケース8に簡単に組み付けることができるようになっているため、汎用性にも優れている。例えば、その燃料供給装置ユニットが収納ケース8に収容可能である限り、既存の油圧ショベルにも簡単に組み込むことができる。
【0070】
なお、本発明にかかる作業機械は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0071】
例えば、支持プレート25上の装置設置領域25dは、支持プレート25の周囲に沿うように区画してあってもよい。収納ケース8内に、区画壁を設けて、装置設置空間と備品収納空間とに区画してもよい。そうすれば、より備品が収納し易くなるし、燃料供給装置15を更に保護することができる。樋部47は配管で形成してあってもよい。また、ドレンホース49は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0072】
1 下部走行体
2 上部旋回体(上部支持体)
3 キャブ
4 アタッチメント
5 エンジン室
6 燃料タンク
7 作動油タンク
8 収納ケース
14 第2濾過器
14a フィルタ
15 燃料供給装置
18 ケース本体
19 カバー体
20 開閉ドア
25 支持プレート
25a ベース部
25b 脚壁部
25c 備品収納領域
25d 装置設置領域
26 燃料ホース
27 燃料ポンプ
27a 吸込口
27b 吐出口
28 濾過装置
29 ストレーナ
30 燃料ホース収納具
30a ホース収納部
30b ストレーナ収納部
31 排液管
32 中継ホース
35 第1濾過器
36 圧力センサ
37 ポンプ停止制御装置
39 残液流出管
40 残液流出口
43 燃料配管
45 フィルタ
46 残液受部
47 樋部
48 ドレン流出孔
49 ドレンホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体の上に上部支持体を備え、この上部支持体に、燃料タンクと、この燃料タンクに燃料を供給する燃料供給装置とが設けられた作業機械であって、
前記燃料供給装置が、引き出し可能な燃料ホースと、燃料を送液する燃料ポンプと、燃料を濾過する濾過装置と、を有し、
前記濾過装置が、フィルタを取り替え可能に収容する第1濾過器と、この第1濾過器の内圧変化を計測する圧力センサと、この圧力センサの計測値が所定値になると前記燃料ポンプを停止するポンプ停止制御手段と、を有していることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械であって、
前記燃料ホースが前記燃料ポンプの吸引口側に接続され、前記濾過装置が前記燃料ポンプの吐出口と前記燃料タンクとの間に接続されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の作業機械であって、
前記第1濾過器の下端部に開閉可能な残液流出口が設けられ、
前記残液流出口から流出する残液を前記上部支持体の外側に案内する残液流路が設けられていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の作業機械であって、
前記上部支持体の上に、更に、作動油を貯留する作動油タンクと、作動油を濾過する第2濾過器とが設けられていて、
前記第2濾過器にフィルタが取り替え可能に収容され、前記第1濾過器のフィルタと前記第2濾過器のフィルタとが共用可能になっていることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の作業機械であって、
前記燃料タンクの近傍に備品収納用の収納ケースが設けられ、
前記収納ケース内に、前記燃料ホースと、前記燃料ポンプと、前記濾過装置とが、それぞれ互いに近接するように配設されていることを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−173590(P2011−173590A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86955(P2011−86955)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2009−50601(P2009−50601)の分割
【原出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】