説明

作業機

【課題】故障案内を多言語で表示できる作業機の提供。
【解決手段】作業機であるコンバインは、表示コントローラ110、コラムコントローラ130、エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、脱穀コントローラ190の各コントローラと、これらを相互に接続するCAN通信バス100とを備えている。表示コントローラ110が備えるEEPROM112には、制御プログラムの他、情報をデフォルトの言語により表示するための表示データを格納する。一方、他のコントローラが備えるEEPROMの空き領域には、他言語による故障案内の表示データを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障診断機能を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、田植機、コンバイン等の農業用の作業機には液晶ディスプレイ装置、表示計器等の表示装置が設けられており、これらの表示装置に作業機各部の状態情報を表示させることにより、作業者に対して作業状況を知らせることができるようにしていた(例えば、特許文献1,2参照)
【0003】
このような作業機の海外での使用を想定している場合、その国で使用される言語のデータを予め記憶させておく必要がある。そのため、複数の言語によるデータ、画像データなどの表示データを所定のデータ形式でROMに記憶させておき、ディップスイッチ又は操作パネルから所定の操作を実行することにより、表示言語を設定するようにしていた。
【特許文献1】特開平10−114241号公報
【特許文献2】特開平10−304710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、作業機の表示コントローラを多言語表示仕様にした場合、故障案内を含めて全て仕向け先の言語で表示されるように構成されていた。ところで、多言語表示仕様の作業機において故障が発生した場合、現地駐在のサービスマン、又は別国のサービスマンが赴き、修理にあたることが多いが、サービスマンの言語能力の問題で表示装置の故障案内を理解できない場合があるという問題点を有していた。
【0005】
また、表示データを格納しているROMは、一般的に液晶ディスプレイ装置などの表示装置内に内蔵されるものであり、そのメモリ容量によって表示データ量が制限されている。したがって、表示装置内のROMのメモリ容量によって表示できる画面数が限られ、画面の追加が容易にできないという問題点を有していた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備える作業機において、故障診断結果を第1の言語で表示するための表示データを表示データ記憶部に記憶し、第2の言語で表示するための表示データを制御データ記憶部に記憶する構成とすることにより、表示部が備えるメモリの空き容量が不足しているような状況下であっても、新たなメモリを追加することなく他言語による故障案内を表示することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る作業機は、所定の作業を行う作業部と、該作業部の動作を制御する制御データを記憶する制御データ記憶部と、前記制御データに従って前記作業部の動作を制御する制御部とを備える作業機において、情報を表示する表示部と、該表示部に表示させるべき情報に対応した表示データを記憶する表示データ記憶部と、前記作業部について故障診断を行う手段とを備え、該手段による診断結果を第1の言語で表示すべく前記言語用の表示データを前記表示データ記憶部に記憶してあり、前記第1の言語と異なる第2の言語で表示すべく前記言語用の表示データを前記制御データ記憶部に記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
第1発明にあっては、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備え、故障診断結果を第1の言語で表示するための表示データを表示データ記憶部に記憶し、第2の言語で表示するための表示データを制御データ記憶部に記憶するようにしている。例えば、制御データ記憶部の記憶容量を256Kバイト、制御データを100Kバイトとした場合、制御データ記憶部には156Kバイトの空き容量ができるため、表示データ記憶部に空き容量がない場合であっても、他言語による故障案内の表示データを制御データ記憶部に記憶させることができ、ハードウェアの追加なしに故障案内表示の多言語化が可能となる。
【0009】
第2発明に係る作業機は、前記診断結果を表示させる言語を切替える手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明にあっては、診断結果を表示させる際の言語を切替える手段を備えているため、必要に応じて故障案内表示の言語を変更することができる。
【0011】
第3発明に係る作業機は、前記診断結果を前記表示手段に表示しているか否かを判断する手段と、表示していないと判断した場合、表示させる言語の切替えを禁止する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明にあっては、診断結果を表示しない場合には、表示させる言語の切替えが禁止されるため、通常の作業時に表示する言語は1つに固定され、サービスマン等が故障の修理を行うときに表示言語を切替えられる。
【発明の効果】
【0013】
第1発明による場合は、制御データを記憶する制御データ記憶部と、制御データに従って作業部の動作を制御する制御部と、情報を表示する表示部とを備え、故障診断結果を第1の言語で表示するための表示データを表示データ記憶部に記憶し、第2の言語で表示するための表示データを制御データ記憶部に記憶するようにしている。例えば、制御データ記憶部の記憶容量を256Kバイト、制御データを100Kバイトとした場合、制御データ記憶部には156Kバイトの空き容量ができるため、表示データ記憶部に空き容量がない場合であっても、他言語による故障案内の表示データを制御データ記憶部に記憶させることができ、ハードウェアの追加なしに故障案内表示の多言語化を実現することができる。
【0014】
第2発明による場合は、診断結果を表示させる際の言語を切替える手段を備えている。したがって、必要に応じて故障案内表示の言語を変更することができる。
【0015】
第3発明による場合は、診断結果を表示しない場合には、表示させる言語の切替えが禁止されるため、通常の作業時に表示する言語を1つに固定し、サービスマン等が故障の修理を行うときにのみ表示言語を切替えることができるようにすることができる。したがって、表示言語が不用意に変わることを防止することがき、作業者及びサービスマンの双方にとって作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係るコンバインの平面図であり、図2は同じく左側側面図である。図中1は左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体であり、走行機体1の進行方向右側には、操縦座席、走行機体1を操向操作するための操向ハンドル、刈取作業、脱穀作業、排出作業等を指示するための各種コントローラを備える操縦室3が設けられている。また、その後方には収穫した穀物を貯留するための穀物タンク7が設けられている。更に、操縦室3の下部にはエンジンが設けられており、エンジンの動力を走行用ミッションケースを介して走行クローラ2に伝達させることにより、走行機体1を走行させるように構成されている。
【0017】
走行機体1の前部には、複数組の分草体41、穀稈引起装置42、及び刈刃43、並びに穀稈搬送装置44を備えた刈取部4が昇降シリンダ45を介して昇降可能に装着されている。また、走行機体1の左側には、フィードチェーン51が装備された脱穀装置5が配設されており、刈取部4から搬送された穀稈の根元部をフィードチェーン51にて受け継いで挟持搬送すると共に、その穀稈の穂先部を脱穀装置5内の扱胴52及び処理胴53にて脱穀するようにしている。なお、排藁は、フィードチェーン51の後端で排藁チェーン55に受け継がれ、走行機体1の後端から圃場に排出される。扱胴52の下方には、チャフシーブ等による搖動選別と唐箕ファンの風による風選別とを行うための選別装置56が設けられている。選別装置56にて選別されて集積された穀粒は、図示しない揚穀コンベアによって穀物タンク7内に集められる。穀物タンク7内に集められた穀粒は、エンジンの動力にて回転するスクリューコンベアを装備した底コンベア71から、排出オーガ8を介して、穀物搬送用のトラックの荷台等に排出される。
【0018】
次に、操縦室3内に配置されている各種操作用のレバー、スイッチ類の構成について説明する。図3は操縦室3の概略構成を示す斜視図である。運転席31前方のフロントコラム32から突出するハンドル軸には、走行機体1を操向操作するための操向ハンドル33が取付けられている。
【0019】
フロントコラム32の上端部位には、表示手段としての液晶表示装置60が、平面視で操向ハンドル33における略半円形状のハンドルホイル33aの内側に位置するように取付けられている。この液晶表示装置60は、操向ハンドル33には連結されておらず、フロントコラム32のみに固定されているため、操向ハンドル33を回動させた場合であっても液晶表示装置60は動かないように構成されている。また、操向ハンドル33近傍の左右側方には、操作パネル34,34が配設されている。これらの操作パネル34,34には、選別調節ダイヤル、刈取自動昇降スイッチ等の各種スイッチ類が配置されている。更に、操向ハンドル33のハンドルホイル33a内側の左右対称位置には、機体水平制御用、刈取昇降自動制御用・扱深さ自動制御用などの操作スイッチがそれぞれ設けられている。
【0020】
運転席31の左方には、前後に長いサイドコラム35が配設されており、このサイドコラム35には、車速を無段階変速させる主変速レバー36、作業状態に応じて走行駆動部の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー37が設けられている。これらのレバー36,37は前後回動可能に構成されている。なお、主変速レバー36の握り部36aには、刈取部4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ、刈取部を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ、刈取部4の昇降移動を手動操作するための刈取昇降スイッチ等の複数のスイッチが設けられている。
【0021】
さらに、副変速レバーの後方部位には作業クラッチレバー38が設けられている。作業クラッチレバー38は平面視逆L字状のガイド溝に沿って移動可能に構成されており、ガイド溝の後端左寄り位置に作業クラッチレバー38が位置するときには、刈取スイッチ及び脱穀スイッチが切り作動して刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「切り」の状態となる。左右反対側となる後端右寄り位置では脱穀スイッチのみが入り作動して刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「入り」状態となり、ガイド溝の前端である位置では脱穀スイッチとともに刈取スイッチが入り作動して刈取クラッチ「入り」かつ脱穀クラッチ「入り」の状態となるように構成されている。
【0022】
図4は操縦室3に設けられている液晶表示装置60の構成を示す模式図である。液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できる表示手段としての液晶パネル60aと、これを収納するケース60bとにより構成されている。液晶パネル60aとしては、モノクロ又はカラーのドットマトリクスパネルを用いることができる。本実施の形態に係るコンバインは、作業者に対して報知すべき情報を予め設定された言語で液晶パネル60aに表示するようにしているが、コンバインを構成するハードウェア各部の故障診断を行い、故障診断の結果(故障案内)を表示する場合、予め設定された言語と異なる言語で故障案内を表示できるように構成している。なお、本実施の形態では、予め設定されている表示言語が中国語であり、故障案内を日本語又は英語で行えるようにしたコンバインについて説明する。
【0023】
液晶パネル60aは、ケース60b表面の前後左右略中央に配置されている。液晶パネル60aの近傍外周部には、液晶パネル60aに表示する画面の切替操作を行うための画面切替スイッチ61〜64が左右各2つずつ設けられており、液晶パネル60aの上側には、液晶パネル60aに故障案内を表示する際の言語を切替えるためのサービス切替スイッチ65が設けられている。画面切替スイッチ61〜64は、一回の押下操作により一つのオンパルス信号が出力されるいわゆるプッシュスイッチであり、ノンロックタイプのものである。サービススイッチ65は、例えば、3つのディップスイッチ65a,65b,65cからなり、各スイッチ65a,65b,65cのオン・オフの状態によって言語を切替えるように構成されている。
【0024】
図5はサービススイッチ65による表示言語の選択状態を示す概念図である。前述したようにサービススイッチ65が備える3つのディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態に応じて故障案内を表示する際の表示言語が選択される。例えば、3つのディップスイッチ65a〜65cが全てオフである場合、予め設定されている表示言語(中国語)が選択される。また、3つのディップスイッチ65a〜65cのうち1つ(例えば、ディップスイッチ65c)がオンとなっている場合、故障案内の表示言語として日本語が選択され、他の1つが(例えば、ディップスイッチ65b)がオンとなっている場合、故障案内の表示言語として英語が選択される。なお、ディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態と選択される表示言語との関係は、後述する表示コントローラ110内のEEPROM112に格納されている制御プログラムによって定義されているものとする(図6参照)。
【0025】
次に、コンバインの制御系の構成について説明する。図6はコンバインの制御系の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るコンバインの制御系は、表示コントローラ110、コラムコントローラ130、エンジンコントローラ150、走行コントローラ170、及び脱穀コントローラ190の各コントローラと、これらを相互に接続するCAN通信バス100とにより構成されている。
【0026】
表示コントローラ110は、内蔵された各種ハードウェアを制御するための制御プログラムを格納したEEPROM112を備えている。EEPROM112は、例えば、1024Kバイトの容量を有しており、制御プログラムの他、液晶パネル60aに表示する表示データが格納されている。本実施の形態では、情報を中国語で表示するために中国用の表示データと、情報を画像により表示するための画像データとをEEPROM112に格納している。ここで、中国語用の表示データとは、中国語の文字コードとその文字コードに対応したドットデータが含まれる。また、画像データには、表示言語に依存しないマーク、ピクトグラムなどの画像データが含まれる。例えば、図4に示した例では、「負荷モニタ」、「タンク」、「車高左」、「車高右」、「副変速」、「刈取変速」などを意味する情報が中国語により表示されており、タンクのレベル表示、車速のレベル表示、車高のレベル表示、燃料の残量レベル表示を意味する情報が画像によって表示されている。
【0027】
また、コラムコントローラ130は、例えば、256Kバイトの記憶容量を有するEEPROM132を備えている。そのうち、100Kバイト程度は、コラムコントローラ130に内蔵された各種ハードウェアを制御するための制御プログラムを格納するための記憶領域として利用され、残りは、故障案内を日本語で表示するための表示データ(故障案内データ1)を格納する記憶領域として利用されている。このEEPROM132に格納されている表示データは、表示コントローラ110からの要求がある場合に読出され、CAN通信バス100を介して表示コントローラ110へ送信される。
【0028】
同様に、エンジンコントローラ150は、例えば、256Kバイトの記憶容量を有するEEPROM132を備えている。そのうち、100Kバイト程度は、コラムコントローラ130に内蔵された各種ハードウェアを制御するための制御プログラムを格納するための記憶領域として利用され、残りは、故障案内を英語で表示するための表示データ(故障案内データ2)を格納する記憶領域として利用されている。このEEPROM132に格納されている表示データは、表示コントローラ110からの要求がある場合に読出され、CAN通信バス100を介して表示コントローラ110へ送信される。
【0029】
走行コントローラ170及び脱穀コントローラ190についても、それぞれが制御プログラムを格納したEEPROM172,192を備えている。一般に、他のコントローラ(コラムコントローラ130,エンジンコントローラ150)に搭載されているものと同じ容量のEEPROMが使用される。制御プログラムは100Kバイト程度であるため、これらのコントローラ170,190にも空き容量ができている。したがって、日本語又は英語以外の言語で故障案内を表示する必要がある場合、その言語に対応した表示データを格納することも可能である。なお、これらのコントローラ110〜190が備えるEEPROM112〜192としてはフラッシュメモリが使用される。
【0030】
以下、各コントローラの構成について説明する。
図7は表示コントローラ110の内部構成、及び表示コントローラ110に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。表示コントローラ110は、CPU111、EEPROM112、RAM113、CANコントローラ114、入力インタフェース115、出力インタフェース116を備える。
【0031】
入力インタフェース115に接続されている入力機器としては、前述した液晶表示装置60に設けられている画面切替スイッチ61〜64及びサービススイッチ65が挙げられる。また、出力インタフェース116に接続されている出力機器としては、液晶パネル60aが挙げられる。
【0032】
CPU111は、EEPROM112に格納されている制御プログラムを実行することにより、CANコントローラ114又は入力インタフェース115を通じて入力される信号に従って表示すべき画面を生成し、液晶パネル60aに適宜の情報を表示させる。
【0033】
図8はコラムコントローラ130の内部構成、及びコラムコントローラ130に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。コラムコントローラ130は、CPU131、EEPROM132、RAM133、CANコントローラ134、入力インタフェース135、出力インタフェース136を備える。
【0034】
入力インタフェース135に接続されている入力機器としては、前述した主変速レバー36、副変速レバー37の他、オートリフトスイッチ141、オートセットスイッチ142、刈取昇降スイッチ143、刈取スイッチ144、脱穀スイッチ145、副変速位置検出センサ146などが挙げられる。また、出力インタフェース136に接続されている出力機器としては、ブザー147が挙げられる。
【0035】
CPU131は、EEPROM132に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース135を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ134を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じてブザー147を作動させて警報音を出力させる。
【0036】
図9はエンジンコントローラ150の内部構成、及びエンジンコントローラ150に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。エンジンコントローラ150は、CPU151、EEPROM152、RAM153、CANコントローラ154、入力インタフェース155、出力インタフェース156を備える。
【0037】
入力インタフェース155に接続されている入力機器としては、エンジン回転数センサ161、エンジンオイル量センサ162、エンジン水温センサ163、燃料噴射ポンプラック位置センサ164、エンジンスタータスイッチ165などが挙げられる。また、出力インタフェース156に接続されている出力機器としては、燃料噴射ポンプラックアクチュエータ166、エンジンスタータリレー167などが挙げられる。
【0038】
CPU151は、EEPROM152に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース155を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ154を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて燃料噴射ポンプラックアクチュエータ166、エンジンスタータリレー167などを作動させる。
【0039】
図10は走行コントローラ170の内部構成、及び走行コントローラ170に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。走行コントローラ170は、CPU171、EEPROM172、RAM173、CANコントローラ174、入力インタフェース175、出力インタフェース176を備える。
【0040】
入力インタフェース175に接続されている入力機器としては、車速センサ181、走行ハンドルリミットスイッチ182、昇降ポジションセンサ183、超音波センサ184、穀稈搬送センサ185、扱い深さセンサ186などが挙げられる。また、出力インタフェース176に接続されている出力機器としては、扱い深さ制御モータ制御回路187、オーガクラッチモータ制御回路188などが挙げられる。
【0041】
CPU171は、EEPROM172に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース175を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ174を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて扱い深さ制御モータ制御回路187、オーガクラッチモータ制御回路188などへ制御信号を出力する。
【0042】
図11は脱穀コントローラ190の内部構成、及び脱穀コントローラ190に接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。脱穀コントローラ190は、CPU191、EEPROM192、RAM193、CANコントローラ194、入力インタフェース195、出力インタフェース196を備える。
【0043】
入力インタフェース195に接続されている入力機器としては、燃料センサ201、車高センサ202、籾流量センサ203、旋回角センサ204、上下回動角センサ205、オーガクラッチセンサ206、扱胴回転センサ207、処理胴回転センサ208、排出オーガ過負荷センサ209、摺動選別過負荷センサ210などが挙げられる。また、出力インタフェース196に接続されている出力機器としては、刈取昇降用油圧シリンダ用電磁ソレノイド211、上下回動用油圧シリンダ用電磁ソレノイド212、FCクラッチ駆動回路213、排出オーガブレーキ214、摺動選別駆動モータ215などが挙げられる。
【0044】
CPU191は、EEPROM192に格納されている制御プログラムを実行することにより、入力インタフェース195を通じて入力された各種の情報をCANコントローラ194を通じて表示コントローラ110に通知すると共に、必要に応じて刈取昇降用油圧シリンダ用電磁ソレノイド211、上下回動用油圧シリンダ用電磁ソレノイド212、FCクラッチ駆動回路213、排出オーガブレーキ214、摺動選別駆動モータ215などを作動させる。
【0045】
次に、故障案内を表示する際の処理手順について説明する。図12は液晶パネル60aに故障案内を表示する際に表示コントローラ110が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。まず、表示コントローラ110のCPU111は、RAM113に記憶されているデータの消去などを実行して、ハードウェアの初期化を行う(ステップS1)。そして、CANコントローラ114及び入力インタフェース115に入力される信号に基づいて故障診断を行う(ステップS2)。
【0046】
次いで、CPU111は、故障診断の結果に基づいて、故障を検出したか否かを判断する(ステップS3)。故障を検出していない場合(S3:NO)、CPU111は、処理をステップS2へ戻す。
【0047】
故障を検出したと判断した場合(S3:YES)、CPU111は、サービススイッチ65を構成するディップスイッチ65a〜65cのオン・オフの状態を検出することにより表示言語を特定し(ステップS4)、表示言語を変更するか否かを判断する(ステップS5)。サービススイッチ65を構成するディップスイッチ65a〜65cが全てオフである場合、表示言語をデフォルトの言語として設定しているため、表示言語を変更しないと判断し(S5:NO)、表示データを表示コントローラ110のEEPROM112から読出す(ステップS6)。
【0048】
一方、サービススイッチ65を構成するディップスイッチ65a〜65cの1つ以上がオンとなっている場合、表示言語を変更すると判断し(S5:YES)、他のコントローラ(本実施の形態では、コラムコントローラ130又はエンジンコントローラ)の1つから表示データを読出す(ステップS7)。例えば、ステップS4で特定した表示言語が日本語である場合、CPU111は故障案内に対応した日本語の表示データに対応する読出し要求コマンドを生成し、生成したコマンドをCANコントローラ114を介してコラムコントローラ130へ送信する。そして、CAN通信バス100を通じて送信されてくる表示データを受信することで日本語の故障案内に対応した表示データを取得する。他の言語の故障案内の表示データを取得する場合についても同様である。
【0049】
表示データの読出しを行った後、CPU111は、液晶パネル60aに表示すべき故障案内画面の生成を行う(ステップS8)。そして、CPU111は、生成した故障案内画面のデータを出力インタフェース116から出力して液晶パネル60aに表示させる(ステップS9)。中国語表示及び日本語表示による故障案内画面の一例をそれぞれ図13及び図14の模式図に示す。
【0050】
次いで、CPU111は、液晶表示装置60の電源オフなどによる割込み処理があるか否かを判断する(ステップS10)。割込み処理がないと判断した場合(S10:NO)、CPU111は処理をステップS2へ戻し、割込み処理があると判断した場合(S10:YES)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0051】
このように本発明では、表示コントローラ110が大容量のメモリを備えていない場合であっても、他のコントローラの空き容量を利用することにより、多言語の故障案内表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係るコンバインの平面図である。
【図2】本実施の形態に係るコンバインの左側側面図である。
【図3】操縦室の概略構成を示す斜視図である。
【図4】操縦室に設けられている液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図5】サービススイッチによる表示言語の選択状態を示す概念図である。
【図6】コンバインの制御系の全体構成を示すブロック図である。
【図7】表示コントローラの内部構成、及び表示コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図8】コラムコントローラの内部構成、及びコラムコントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図9】エンジンコントローラの内部構成、及びエンジンコントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図10】走行コントローラの内部構成、及び走行コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図11】脱穀コントローラの内部構成、及び脱穀コントローラに接続される入出力機器の構成を示すブロック図である。
【図12】液晶パネルに故障案内を表示する際に表示コントローラが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【図13】中国語表示による故障案内画面の一例を示す模式図である。
【図14】日本語表示による故障案内画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0053】
60a 液晶パネル
100 CAN通信バス
110 表示コントローラ
111 CPU
112 EEPROM
113 RAM
114 CANコントローラ
115 入力インタフェース
116 出力インタフェース
130 コラムコントローラ
150 エンジンコントローラ
170 走行コントローラ
190 脱穀コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業部と、該作業部の動作を制御する制御データを記憶する制御データ記憶部と、前記制御データに従って前記作業部の動作を制御する制御部とを備える作業機において、
情報を表示する表示部と、該表示部に表示させるべき情報に対応した表示データを記憶する表示データ記憶部と、前記作業部について故障診断を行う手段とを備え、該手段による診断結果を第1の言語で表示すべく前記言語用の表示データを前記表示データ記憶部に記憶してあり、前記第1の言語と異なる第2の言語で表示すべく前記言語用の表示データを前記制御データ記憶部に記憶するようにしてあることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記診断結果を表示させる言語を切替える手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記診断結果を前記表示手段に表示しているか否かを判断する手段と、表示していないと判断した場合、表示させる言語の切替えを禁止する手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−244210(P2007−244210A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67981(P2006−67981)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】