作業機
【課題】 エンジン駆動式作業部を備えた自走可能な1台の作業機を、初心者から上級作業者まで最適な作業形態で使用する。
【解決手段】 作業機10は、機体19に備えた除雪作業部13を駆動するエンジン14と、走行部11L,11Rの走行速度を可変する電動モータ21L,21Rと、エンジン及び電動モータを関連させて走行速度を制御する制御部61とを備える。制御部は、複数の制御モードに基づきエンジン出力と走行部の走行を制御する。制御モードは、エンジン回転数を基に手動操作で制御する第1の制御モード、スロットル弁71の開度の増加量に対し走行速度を緩やかに減少させる第2の制御モード、開度の増加量に対し走行速度を大きく減少させる第3の制御モード、エンジンを停止させて走行部をバッテリ62の電力で作動させる第4の制御モードからなる。
【解決手段】 作業機10は、機体19に備えた除雪作業部13を駆動するエンジン14と、走行部11L,11Rの走行速度を可変する電動モータ21L,21Rと、エンジン及び電動モータを関連させて走行速度を制御する制御部61とを備える。制御部は、複数の制御モードに基づきエンジン出力と走行部の走行を制御する。制御モードは、エンジン回転数を基に手動操作で制御する第1の制御モード、スロットル弁71の開度の増加量に対し走行速度を緩やかに減少させる第2の制御モード、開度の増加量に対し走行速度を大きく減少させる第3の制御モード、エンジンを停止させて走行部をバッテリ62の電力で作動させる第4の制御モードからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走可能な機体にエンジン駆動式作業部を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動式作業部を備えた作業機には、例えばオーガ式除雪機のように、走行速度に応じて作業部にかかる負荷が増大するものがある。オーガ式除雪機は、前進走行しつつ前部のオーガ(作業部)で雪を掻き集めて除雪する作業機である。走行速度が増すと、オーガによる除雪量も増す。この結果、オーガにかかる負荷は増大する。このようなオーガ式除雪機としては、各種のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−42310公報
【0003】
特許文献1に示す従来のオーガ式除雪機を、次の図15に基づいて説明する。図15は従来のオーガ式除雪機の模式図である。
従来のオーガ式除雪機100は、オーガ101及びブロア102からなる作業部103、作業部103を駆動するエンジン104、クローラからなる左右の走行部105,105、走行部105,105を駆動する左右の電動モータ106,106、エンジン104に駆動されて電動モータ106,106やバッテリ107に電力を供給する発電機108、電動モータ106,106を制御する制御部109、制御部109に操作信号を発するための各種操作部材を有する操作盤111を備えたというものである。
【0004】
このようにオーガ式除雪機100は、エンジン104で作業部103を駆動するとともに、電動モータ106,106で走行部105,105を駆動する形式の作業機である。
操作盤111はメインスイッチ112、バッテリモードスイッチ113及び左右の旋回操作スイッチ114,114を備える。旋回操作スイッチ114,114は、左又は右の電磁ブレーキ115,115を操作することによって、オーガ式除雪機100を旋回させるものである。
【0005】
バッテリモードスイッチ113をオン操作する、又は、左右の旋回操作スイッチ114,114を同時に一定時間だけオン操作することによって、エンジン104を運転することなく電動モータ106,106だけを運転して、オーガ式除雪機100を一時的に走行させることができる。いわゆる、「バッテリモード走行」をすることができる。例えば、オーガ式除雪機100を保管場所に出し入れする場合や、保管場所から近くの作業場所へ移動させる場合に、電動モータ106,106だけを運転すればよい。
【0006】
ところで、一般にオーガ式除雪機100による除雪作業においては、作業部103の姿勢調整、走行部105,105の速度調整、エンジン104の回転数調整といった、種々の操作が必要である。このような操作には、ある程度の熟練を要することが多い。作業に不慣れな初心者にとっては、できるだけ操作が簡単であることが好ましく、そのためには、自動化することが求められる。一方、作業に慣れている上級作業者にとって、初心者向けに自動化された機種は自由な操作が制限されてしまう。
このように、初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用できる作業機が求められている。
【0007】
また、バッテリモード走行を可能にするために、バッテリモードスイッチ113を新たに設けたので、操作部材の数量が増す。作業者は多数の操作部材の中から、バッテリモードスイッチ113を選択する必要がある。
一方、旋回操作スイッチ114,114の操作方法において、バッテリモード走行へ切り替えるためには、作業者は本来の旋回操作とは異なる操作をする必要がある。
このようなことから、バッテリモード走行に切り替えるときの操作性をより高める上で、更なる改良の余地がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、(1)自走可能な機体にエンジン駆動式作業部を備えた1台の作業機を、初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができるとともに、(2)エンジンを停止させた状態で、走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させる場合の操作性を、より高めることができる、技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明では、機体に備えた作業部を駆動するエンジンと、機体を走行させる走行部の走行速度を可変する電動モータと、これらのエンジン並びに電動モータを関連させて走行速度を制御する制御部とを備えた作業機であって、制御部は、複数の制御モードに基づいて、エンジンの出力及び走行部の走行を制御する作業機において、
複数の制御モードは、エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、スロットル弁の開度の増加量に対して走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、エンジンを停止させた状態で走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなり、
これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチによって切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、請求項1において、制御部は、作業機のための主電源スイッチがオンであるという条件と、手動式切替スイッチによって第4の制御モードに切り替えたという条件との、2つの条件を満たしたときに、エンジンを停止させるように制御する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2において、制御部は、手動式切替スイッチによって第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたという条件を満たしたときに、エンジンを自動的に始動させるように制御する構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、請求項1又は請求項2において、制御部は、手動式切替スイッチによって第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたという条件と、エンジンを始動操作したという条件との、2つの条件を満たしたときに、エンジンを始動させるように制御する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、4つの制御モードに次のような用途がある。
第1の制御モードは、エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する。
作業部にかかる負荷が増大した場合には、エンジンの回転数が低下する。作業者は、回転数の低下を知覚することによって、負荷が増大したと認識できる。従って、作業者はスロットル弁の開度を手動で適宜増加させて、エンジンの回転数を維持させればよい。つまり、第1の制御モードは、エンジンの回転数による負荷制御のみを行うものであり、作業者にとって、負荷のきっかけが判ればよい場合に、用いることができる。制御部の介入が少ないので、作業者の意志を十分に反映することができる。
このように、負荷の状況の変化に応じて、作業者が作業機を自由に操作したい場合には、第1の制御モードを選択することが好適である。作業に慣れている上級作業者は、第1の制御モードを選択すればよい。
【0014】
第2の制御モードは、エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する。
作業部にかかる負荷が増大した場合には、エンジンの回転数が低下する。これに対して、作業者がスロットル弁の開度を増加させることにより、エンジンの回転数を維持させることができる。つまり、エンジンの動力で作業部を駆動可能である間は、制御部による介入が少ない。
第2の制御モードでは、スロットル弁における開度の増加量に対して、走行速度を緩やかに減少させるように制御する。従って、作業部にかかる負荷が増大したにもかかわらず、走行速度の減少を抑制することができる。このように、作業部にかかる負荷が増大しても、走行速度を大きく下げたくない場合には、第2の制御モードを選択することが好適である。つまり、安定した走行速度で比較的丁寧な作業をすることができる。作業を迅速に効率良く行いたい作業者や、作業にある程度慣れている中級作業者は、第2の制御モードを選択すればよい。
【0015】
第3の制御モードでは、スロットル弁の開度の増加量に対して、走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する。
例えば、作業部にかかる負荷が増大したときに、スロットル弁の開度を自動的に増加させることで、エンジンの回転数を維持させることができる。この場合には、開度の増加量に対して走行速度が大きく減速する。このように、作業部にかかる負荷が増大したときに、これに対応して走行速度は大きく減速する。走行速度を遅くしてもよいから、作業部にかかる負荷を抑制したい場合には、第3の制御モードを選択することが好適である。つまり、丁寧な作業をすることができるとともに、操作が簡単で使い勝手が良い。作業に不慣れな初心者は、第3の制御モードを選択すればよい。
【0016】
第4の制御モードでは、エンジンを停止させた状態で走行部を作動させるように制御する。エンジンを運転することなく走行部だけを運転して、作業機を一時的に短距離だけ走行させることができる。エンジンを運転する作業は不要である。走行部だけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機の取り扱い性をより高めることができる。さらには、必要以上にエンジンを運転する必要がないので、エンジンの耐久性をより高めることができるとともに、エンジンを運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。さらにまた、エンジンを停止させるので、作業機を移動させるときの静粛性を、より一層高めることができる。
【0017】
このように請求項1に係る発明では、制御部の制御モードを、(1)慣れている上級者が使う手動操作式の第1の制御モードと、(2)ある程度慣れている中級作業者が使う半自動式の第2の制御モードと、(3)不慣れな初心者が使う自動式の第3の制御モードと、(4)エンジンを停止させた状態で走行部を作動させる第4の制御モードとの、4つのモードに設定したものである。
【0018】
第1から第3までの制御モードを適宜選択することにより、1台の作業機を初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができる。また、第4の制御モードを選択することにより、エンジンを運転することなく、作業機を自由に走行させることができる。
【0019】
さらに請求項1に係る発明では、単一の手動式切替スイッチによって、第1から第4までの制御モードを適宜選択して自由に切り替え操作するだけなので、モード切替操作が簡単である。
すなわち、第1から第4までの各制御モードの特性上からみて、いずれも作業部を駆動中に他の制御モードに切り替えることはない。つまり、いずれか1つの制御モードで作業を続行するものである。このため、これら4つの制御モードの切替操作をする機能を、単一の手動式切替スイッチに集約することができる。しかも、手動式切替スイッチには、4つの制御モードの切替機能という、単一の機能だけを備えればよい。このようなことから、作業者にとって、第4の制御モードへの切替え操作をはじめ、複数の制御モードへの切替え操作の識別が容易であり、この結果、切替え操作性をより高めることができる。また、第4の制御モードに切り替えるための、別のスイッチを設ける必要はなく、部品数を削減することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、主電源スイッチがオンの状態で、手動式切替スイッチによって第4の制御モードに切り替えることで、エンジンを自動的に停止させることができる。第4の制御モードに切り替えるだけでエンジンが自動的に停止するので、作業者がエンジン停止操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
例えば、作業機を走行しつつエンジンで作業部を駆動して作業を行った後に、手動式切替スイッチで第4の制御モードに切り替えるだけで、エンジンが自動的に停止する。しかも、エンジンが停止しても走行部の走行を中断することなく、そのまま、作業機を任意の場所まで移動させることができる。従って、作業機の使い勝手がより高まるとともに、作業効率がより高まる。
【0021】
請求項3に係る発明では、手動式切替スイッチで第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたときに、エンジンを自動的に始動させることができる。作業者がエンジン始動操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
【0022】
請求項4に係る発明では、手動式切替スイッチで第4の制御モードから他の制御モードに切り替えるとともに、エンジンを始動操作することによって、エンジンを始動させることができる。作業者は、第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたことを確認した後に、エンジンを始動操作することができるので、他の制御モードに切り替わったことを、より明確に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側を示す。
図1は本発明に係る除雪機(作業機)の側面図である。図2は本発明に係る除雪機の模式的平面図兼制御系統図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、除雪機10は、左右の走行部11L,11Rを備えた走行フレーム12に、オーガ式の作業部13及びこの作業部13を駆動するエンジン14を備えた車体フレーム15の後部を上下スイング可能に取付け、車体フレーム15の前部を昇降駆動機構16によって昇降するようにし、さらに、走行フレーム12の後部から後方上部へ左右2本の操作ハンドル17L,17Rを延し、これらの操作ハンドル17L,17Rの先端にグリップ18L,18Rを設けた、自走可能な作業機である。
【0025】
このような除雪機10はオーガ式除雪機と言われている。以下、作業部13のことを除雪作業部13と言う。作業者は、除雪機10に連れて歩行しながら、操作ハンドル17L,17Rで除雪機10を操作することができる。
【0026】
走行フレーム12及び車体フレーム15の組合せ構造は機体19をなす。走行フレーム12は、走行部11L,11Rを駆動する左右の電動モータ21L,21Rを備える。左右の走行部11L,11Rは、左右のクローラベルト22L,22R、走行輪として後部に配置された左右の駆動輪23L,23R、及び、前部に配置された左右の転動輪24L,24Rからなる。
左の電動モータ21Lの駆動力で、左の駆動輪23Lを介して左のクローラベルト22Lを駆動することができる。右の電動モータ21Rの駆動力で、右の駆動輪23Rを介して右のクローラベルト22Rを駆動することができる。
【0027】
除雪作業部13は、オーガハウジング25、オーガハウジング25の背面と一体のブロアケース26、オーガハウジング25に備えたオーガ27、ブロアケース26に備えたブロア28及びシュータ29からなる。
【0028】
図1に示すように、エンジン14は、電磁クラッチ31及び伝動機構32を介して除雪作業部13を駆動する除雪用駆動源である。
伝動機構32は、エンジン14のクランクシャフト14aに取り付けられた電磁クラッチ31から、オーガ用伝動軸33にベルトにて動力を伝達する、ベルト式伝動機構である。エンジン14の動力は、クランクシャフト14a→電磁クラッチ31→伝動機構32→オーガ用伝動軸33の経路でオーガ27及びブロア28に伝わる。オーガ27で掻き集めた雪を、ブロア28によってシュータ29を介して遠くへ飛ばすことができる。
なお、オーガハウジング25は、後下端にスクレーパ35及び左右のそり36L,36Rを備える。
【0029】
昇降駆動機構16は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。このアクチュエータは、電動モータ16a(図2参照)にて図示せぬ油圧ポンプから発生させた油圧によって、ピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ16aは、昇降駆動機構16のシリンダの側部に一体に組込んだ、昇降用駆動源である。
【0030】
このような除雪機10は、走行フレーム12に、オーガハウジング25及びブロアケース26をローリング可能に取付け、オーガハウジング25をローリング駆動機構38で左右にローリング(横揺れ)させるようにした構成である。
詳しく説明すると、前後に延びるオーガ用伝動軸33をオーガハウジング25及びブロアケース26で回転可能に支承し、ブロアケース26を車体フレーム15の前端部に左右回転可能(ローリング可能)に取付けたものである。
【0031】
上述のように、走行フレーム12は車体フレーム15を取り付けた構成である。このため、走行フレーム12にオーガハウジング25及びブロアケース26をローリング可能に取付けたことになる。この結果、走行フレーム12に対して、オーガハウジング25は昇降可能且つローリング可能である。
【0032】
ローリング駆動機構38は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。このアクチュエータは、電動モータ38a(図2参照)にて図示せぬ油圧ポンプから発生させた油圧によって、ピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ38aは、ローリング駆動機構38のシリンダの側部に一体に組込んだ、ローリング用駆動源である。
【0033】
ところで、左右の操作ハンドル17L,17R間には、操作部40、制御部61、バッテリ62を配置したものである。以下、操作部40について説明する。
【0034】
図3は本発明に係る操作部の斜視図である。図4は本発明に係る操作部の平面図である。図3及び図4に示すように操作部40は、左右の操作ハンドル17L,17Rの間に設けた操作ボックス41と、グリップ18Lの近傍で左の操作ハンドル17Lに設けた走行準備レバー42並びに左の旋回操作レバー43Lと、グリップ18Rの近傍で右の操作ハンドル17Rに取付けた右の旋回操作レバー43Rとからなる。
【0035】
走行準備レバー42は、走行準備スイッチ42a(図2参照)に作用する走行準備部材であり、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になれば走行準備スイッチ42aはオフになる。作業者の左手で走行準備レバー42を握ってグリップ18L側に下げれば、走行準備スイッチ42aはオンとなる。
【0036】
左右の旋回操作レバー43L,43Rは、左右のグリップ18L,18Rを握った手でそれぞれ操作する旋回操作部材であり、それぞれ対応する旋回スイッチ43La,43Ra(図2参照)に作用する機構である。
これら左右の旋回操作レバー43L,43Rは、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になれば旋回スイッチ43La,43Raはオフになる。作業者の左手で左の旋回操作レバー43Lを握ってグリップ18L側に上げれば、左の旋回スイッチ43Laはオンとなる。右の旋回スイッチ43Raについても同様である。このように、左右の旋回操作レバー43L,43Rが握られているか否かは旋回スイッチ43La,43Raで検出することができる。
【0037】
上記図2も参照しつつ説明すると、操作ボックス41はその背面41a(作業者側の面)に、メインスイッチ44及びオーガスイッチ45(「クラッチ操作スイッチ45」とも言う)を備える。
【0038】
メインスイッチ44を回してオンにすることで、エンジン14を始動させることができる。このようなメインスイッチ44は、例えば、キー挿入孔にメインキー(図示せず)を差込んで回すことでエンジン14を始動することのできる周知のイグニッションスイッチであり、キー挿入孔を中心として「オフ位置OFF」、「オン位置ON」及び「スタート位置ST」を、時計回りにこの順に配列したものである。
【0039】
メインキーをオフ位置OFFに合せたときには、エンジン14を停止させるとともに、除雪機10における全ての電気系統を遮断させることができる。メインキーをオフ位置OFFからオン位置ONに切換えたときには、エンジン14を停止状態にさせることができる。メインキーをスタート位置STに合せたときには、エンジン14を始動させることができる。メインキーをスタート位置STからオン位置ONに切換えたときには、始動したエンジン14をそのまま本運転に移行することができる。
【0040】
なお、メインキーをオン位置ONに合わせたときには、バッテリ62から電動モータ21L,21Rに給電する電気系統は接続状態にある。このときには、エンジン14が停止状態であっても、電動モータ21L,21Rを駆動して除雪機10を走行させることができる(いわゆる、「バッテリモード走行」ができる。)。
以上の説明から明らかなように、メインスイッチ44は除雪機10のための主電源スイッチである。
【0041】
オーガスイッチ45は、電磁クラッチ31をオン・オフ切替えする手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなる。
【0042】
さらに操作ボックス41はその上面41bに、モード切替スイッチ51、スロットルレバー52、方向速度レバー53、リセットスイッチ54、オーガハウジング姿勢操作レバー55及びシュータ操作レバー56を、この順に左側から右側へ配列して、備えたものである。
より具体的に述べると、操作ボックス41の上面41bのうち、車幅中心CLの左隣に方向速度レバー53を配置するとともに、車幅中心CLの右隣にリセットスイッチ54を配置した。
【0043】
モード切替スイッチ51は、制御部61における走行制御モードを切り替える手動式切替スイッチであり、例えばロータリスイッチからなる。ノブ51aを図反時計回りに回すことで第1制御位置P1、第2制御位置P2、第3制御位置P3及び第4制御位置P4に切り替えることができる。これらの各位置P1,P2,P3,P4に切り替えたときに、モード切替スイッチ51はそれぞれ対応するスイッチ信号を発する。
【0044】
第1制御位置P1は、制御部61に「第1の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第2制御位置P2は、制御部61に「第2の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第3制御位置P3は、制御部61に「第3の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第4制御位置P4は、制御部61に「第4の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。
【0045】
スロットルレバー52は、電子式ガバナ(電気式ガバナとも言う。)の制御モータ72を制御することによって、スロットル弁71を開閉制御するための操作部材であり、作業者の手で、矢印De,Inの如く前後方向へ往復させることができ、ポテンショメータ52aでポジションに応じた電圧を発生させる。スロットルレバー52を矢印De方向へ倒せばスロットル弁71を全閉まで閉じることができ、スロットルレバー52を矢印In方向へ倒せばスロットル弁71を全開まで開けることができる。この結果、エンジン14の回転数を調節することができる。
【0046】
方向速度レバー53は、電動モータ21L,21Rの回転を制御するための操作部材であり、その詳細については後述する(図5参照)。
【0047】
リセットスイッチ54(オーガ原位置自動復帰スイッチ54)は、オーガハウジング25の姿勢(位置)を、予め設定されている原点に復帰させるための手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなり、表示灯57を備える。
【0048】
オーガハウジング姿勢操作レバー55は、オーガハウジング25の姿勢を変えるための、操作部材である。つまり、オーガハウジング姿勢操作レバー55は、オーガ27で除雪作業時にオーガハウジング25を雪面に合わせて昇降並びにローリングさせるべく、昇降駆動機構16やローリング駆動機構38を操作するための、操作部材である。オーガハウジング姿勢操作レバー55を前側Frs、後側Rrs、左側Les及び右側Risにスイング操作しているときに、それぞれ対応するスイッチをオンにすることができる。
シュータ操作レバー56は、シュータ29(図1参照)の向きを変えるための、操作部材である。
【0049】
図5は本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図である。
図5に示すように、方向速度レバー53(「前後進速度調節レバー53」とも言う)は、作業者の手で、矢印Ad,Baの如く前後に往復させることができ、「中立範囲」より「前進」側へ倒せば除雪機10(図1参照)を前進させることができ、且つ「前進」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲」より「後進」側へ倒せば除雪機10を後進させることができ、且つ「後進」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。
【0050】
この例では、図の左端に付記した通りに、後進の最高速が0V(ボルト)、前進の最高速が5V、中立範囲が2.3V〜2.7Vになるようにポテンショメータ53a(図2参照)でポジションに応じた電圧を発生させる。1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー53と名付けた。
【0051】
次に、除雪機10の制御系統について図2に基づき説明する。除雪機10の制御系統は、制御部61に中心に集約されたものである。制御部61はメモリ63を内蔵し、このメモリ63に記憶されている各種の情報を適宜読み出して制御する構成である。
【0052】
先ず、除雪作業部13の系統の作動を説明する。
エンジン14の吸気系は、スロットル弁71を制御モータ72で開閉制御するとともに、チョーク弁73を制御モータ74で開閉制御する構成である。つまり、制御部61の信号に基づいて、電子式ガバナ65の制御モータ72がスロットル弁71の開度を自動的に調整するとともに、電子式ガバナ65の制御モータ74がチョーク弁73の開度を自動的に調整する構成である。
【0053】
スロットル弁71の開度についてはスロットルポジションセンサ75で検出し、チョーク弁73の開度についてはチョークポジションセンサ76で検出し、これらの各検出信号を制御部61に発するようにした。
エンジン14の回転速度(回転数)については、エンジン回転センサ77にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0054】
メインスイッチ44にキーを差込み、回してスタート位置にすることにより、セルモータ(スタータ)78の回転によりエンジン14を始動させる。
エンジン14の出力の一部で発電機81を回し、得た電力をバッテリ62に供給するとともに、左右の電動モータ21L,21Rや他の電装品に供給する。エンジン14の出力の残部は、オーガ27及びブロア28の回転に充てる。
【0055】
走行準備レバー42を握るとともに、オーガスイッチ45を操作することにより、電磁クラッチ31を接続(オン)し、エンジン14の動力でオーガ27及びブロア28を回転させることができる。なお、走行準備レバー42をフリーにするか、又は、オーガスイッチ45を操作することにより、電磁クラッチ31を断(オフ)状態にすることができる。
【0056】
次に走行部11L,11Rの系統の作動を説明する。
本発明の除雪機10は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ82L,82Rを備える。具体的には、左右の電動モータ21L,21Rの各モータ軸を左右の電磁ブレーキ82L,82Rによって制動するようにした。これらの電磁ブレーキ82L,82Rは、駐車中は制御部61の制御により、ブレーキ状態(オン状態)にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ82L,82Rを開放する。
【0057】
メインスイッチ44がオン位置にあること、及び、走行準備レバー42が握られていることの2つの条件が満たされ、方向速度レバー53を前進又は後進に切換えると、電磁ブレーキ82L,82Rはオフ状態になる。
【0058】
方向速度レバー53の位置情報をポテンショメータ53aから得た制御部61は、左右のモータドライバ84L,84Rを介して左右の電動モータ21L,21Rを回転させ、電動モータ21L,21Rの回転速度(回転数)をモータ回転センサ83L,83Rで検出して、その検出信号に基づいて回転速度が所定値になるようにフィードバック制御を実行する。この結果、左右の駆動輪21L,21Rが所望の方向に、所定の速度で回り、走行状態となる。
【0059】
走行中の制動は次の手順で行う。モータドライバ84L,84Rは、回生ブレーキ回路85L,85R及び短絡ブレーキ回路86L,86Rを含む。短絡ブレーキ回路86L,86Rはブレーキ手段である。
【0060】
左の旋回操作レバー43Lを握って左の旋回スイッチ43Laをオン操作している間は、そのスイッチオンのスイッチ信号に基づいて制御部61は左の回生ブレーキ回路85Lを作動させ、左の電動モータ21Lの速度を下げる。
右の旋回操作レバー43Rを握って右の旋回スイッチ43Raをオン操作している間は、そのスイッチオンのスイッチ信号に基づいて制御部61は右の回生ブレーキ回路85Rを作動させ、右の電動モータ21Rの速度を下げる。
すなわち、左の旋回操作レバー43Lを握っている間だけ、除雪機10を左旋回させることができる。また、右の旋回操作レバー43Rを握っている間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
【0061】
そして、(1)走行準備レバー42を離すか、(2)メインスイッチ44をオフ位置に戻すか、(3)方向速度レバー53を中立位置に戻すかの、何れかにより走行を停止させることができる。
【0062】
オーガハウジング姿勢操作レバー55を前後にスイング操作することで、電動モータ16aは正逆転し、昇降駆動機構16のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング25及びブロアケース26は昇降する。オーガハウジング25の昇降位置については、ハイト位置センサ87(上下動検出部87)にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0063】
オーガハウジング姿勢操作レバー55を左右にスイング操作することで、電動モータ38aは正転し、ローリング駆動機構38のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング25及びブロアケース26は左右にローリングする。オーガハウジング25のローリング位置については、ローリング位置センサ88(左右傾動検出部88)にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0064】
次に、除雪機10を前進走行させつつ除雪作業部13で除雪作業を行う場合、すなわち、方向速度レバー53のポジションが前進側Adにあり、且つ、オーガスイッチ45がオンであるという条件の場合における、制御部61の制御形態について、図6〜図13に基づき説明する。
【0065】
この制御については、上記図2に示す制御部61をマイクロコンピュータとした場合の制御フローで説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。以下、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0066】
図6は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)であり、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御するためのメインルーチンを示す。
ST01;メインスイッチ44のスイッチ信号を読み込む。
ST02;メインスイッチ44が「オン位置ON」(図3参照)にあるか否かを調べ、NOならST01に戻り、YESならST03に進む。
ST03;モード切替スイッチ51のスイッチ信号を読み込む。
ST04;モード切替スイッチ51の切替位置を調べ、第1制御位置P1ならST05に進み、第2制御位置P2ならST06に進み、第3制御位置P3ならST07に進み、第4制御位置P4ならST08に進む。
【0067】
ST05;第1の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST05を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図7にて示す。
ST06;第2の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST06を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図9にて示す。
【0068】
ST07;第3の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST07を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図11にて示す。
ST08;第4の制御モードを実行することにより、エンジン14を停止させた状態で電動モータ21L,21Rをバッテリ62から供給される電力によってのみ作動させるように制御した後に、ST03に戻る。このST08を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図13にて示す。
【0069】
図7は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)であり、上記図6のステップST05に示す第1の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST101;スロットルレバー52の操作量Sopを読み込む。操作量Sopについては、スロットルレバー52のポジションに応じた電圧をポテンショメータ52aで検出すればよい。
ST102;スロットルレバー52の操作量Sopから、エンジン14の目標回転数Esを求める。
【0070】
ST103;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。操作量Ropについては、方向速度レバー53のポジションに応じた電圧をポテンショメータ53aで検出すればよい。
ST104;方向速度レバー53の操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0071】
ST105;メモリ63に記憶されている、第1の基準加速度及び第1の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第1の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST106;メモリ63に記憶されている、第1の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第1の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0072】
ST107;エンジン14の実際の回転数Ne(以下、「実回転数Ne」と言う)を検出する。実回転数Neについては、エンジン回転センサ77で検出すればよい。
ST108;メモリ63に記憶されている、図8に示す第1の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0073】
ここで、図8に基づき第1の負荷制御マップについて説明する。
図8は本発明に係る第1の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をエンジンの実回転数Ne(rpm)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、実回転数Neに対応する減速度Rdを得る、第1の負荷制御マップを示す。
【0074】
なお、本発明において「減速度Rd」とは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度が減少する割合のことを言い、減速補正係数とも言う(以下同じ)。走行用電動モータ21L,21Rの実際の回転速度をMnrとしたときに、回転速度Mnrは減速度Rd分だけ減速することになる。減速した後の走行用電動モータ21L,21Rの回転速度Mdrは、次の式で求めることができる。
Mdr=Mnr×(100−Rd)/100
【0075】
この第1の負荷制御マップの特性は直線で表したものであり、実回転数Neが目標回転数Esと同一のときに減速度Rdが0%であり、実回転数Neが0まで低下したときに減速度RdがRd1%である。Rd1の値は比較的小さく設定してある。第1の負荷制御マップによれば、エンジン14の実回転数Neの低下に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdを若干増して減速させることができる。
【0076】
走行中における、電動モータ21L,21Rの実際の回転速度をMnrとして、具体的に述べると次の通りである。
減速度Rd=0%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=Mnr」である。つまり、電動モータ21L,21Rの回転速度Mnrを全く減速させない。
減速度Rd=Rd1%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=Mnr×(100−Rd1)/100」である。
減速度Rd=100%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=0」である。つまり、電動モータ21L,21Rの回転速度Mnrを全減速(停止)させる。
【0077】
図7に戻って説明を続ける。
ST109;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST110;目標走行速度Ms、第1の基準加・減速度、第1の基準PID、第1の負荷制御マップに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST05にリターンする。
このST110では、エンジン14の目標回転数Esに対して、実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第1の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0078】
図9は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)であり、上記図6のステップST06に示す第2の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST201;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。
ST202;操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0079】
ST203;メモリ63に記憶されている、第2の基準加速度及び第2の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第2の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST204;メモリ63に記憶されている、第2の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第2の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0080】
ST205;スロットル弁71の開度Saを検出する。開度Saについては、スロットルポジションセンサ75で検出すればよい。
ST206;メモリ63に記憶されている、図10に示す第2の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0081】
ここで、図10に基づき第2の負荷制御マップについて説明する。
図10は本発明に係る第2の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をスロットル弁の開度Sa(%)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、開度Saに対応する減速度Rdを得る、第2の負荷制御マップを示す。
この第2の負荷制御マップの特性は、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdが増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では小さく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では大きく設定したことを特徴とする。
【0082】
詳しく述べると、スロットル弁71の開度Saにおいて、開度Sa1は0%(全閉)より大きく、開度Sa2は開度Sa1より大きく且つ100%(全開)より小さい。開度Sa1のときに減速度Rdを0%、開度Sa2のときに減速度をRd2、開度100%のときに減速度をRd3に設定した。
【0083】
開度SaがSa1からSa2まで増大する直線の前半特性線Q1の勾配はきつく、開度SaがSa2から100%まで増大する直線の後半特性線Q2の勾配は緩い。つまり、第2の負荷制御マップの特性は、特性線Q1,Q2により、図10において概ね上方へ凸となる湾曲した曲線状の特性である。
【0084】
このように、開度Saが0%からSa2へ増大するまでの前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。一方、開度SaがSa2から100%へ増大するまでの後半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。
第2の負荷制御マップによれば、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下することに伴い、スロットル弁71の開度Saを増すことになるので、この結果、開度Saの増加に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)を弱めに減速させることができる。
【0085】
図9に戻って説明を続ける。
ST207;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST208;目標走行速度Ms、第2の基準加・減速度、第2の基準PID、第2の負荷制御マップに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST06にリターンする。
このST208では、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第2の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0086】
図11は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その4)であり、上記図6のステップST07に示す第3の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST301;メモリ63に記憶されている、エンジン14の目標回転数Esを求める。
ST302;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。
ST303;操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0087】
ST304;メモリ63に記憶されている、第3の基準加速度及び第3の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第3の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST305;メモリ63に記憶されている、第3の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第3の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0088】
ST306;スロットル弁71の開度Saを検出する。
ST307;走行用電動モータ21L,21Rの回転速度に、予め設定された一定の速度制限を設ける。第3の制御モードにおいては、第1・第2制御モードに比べて、より安定した走行をしつつ、より丁寧な除雪作業をするために、走行部11L,11Rの走行速度を半分程度に制限するように、電動モータ21L,21Rの回転速度を制限することにした。
ST308;メモリ63に記憶されている、図12に示す第3の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0089】
ここで、図12に基づき第3の負荷制御マップについて説明する。
図12は本発明に係る第3の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をスロットル弁の開度Sa(%)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、開度Saに対応する減速度Rdを得る、第3の負荷制御マップを示す。
この第3の負荷制御マップの特性は、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdが増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では大きく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では小さく設定したことを特徴とする。
【0090】
詳しく述べると、スロットル弁71の開度Saにおいて、開度Sa3は0%(全閉)より大きく、開度Sa4は開度Sa3より大きく且つ100%(全開)より小さい。開度Sa3のときに減速度Rdを0%、開度Sa4のときに減速度をRd4、開度100%のときに減速度を100%に設定した。
【0091】
開度SaがSa3からSa4まで増大する直線の前半特性線Q3の勾配は緩く、開度SaがSa4から100%まで増大する直線の後半特性線Q4の勾配はきつい。つまり、第3の負荷制御マップの特性は、特性線Q3,Q4により、図12において概ね下方へ凸となる湾曲した曲線状の特性である。
【0092】
このように、開度Saが0%からSa4へ増大するまでの前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。一方、開度SaがSa4から100%へ増大するまでの後半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。
第3の負荷制御マップによれば、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下することに伴い、スロットル弁71の開度Saを増すことになるので、この結果、開度Saの増加に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)を強めに減速させることができる。
【0093】
図11に戻って説明を続ける。
ST309;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST310;目標走行速度Ms、第3の基準加・減速度、第3の基準PID、第3の負荷制御マップ、走行速度の制限に基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST07にリターンする。
このST310では、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第3の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0094】
ところで、上記ST105,ST205,ST304に示す、基準となる加速度及び減速度の定数については、次の通りである。
第2の基準加速度及び第2の基準減速度を標準とし、第1の基準加速度及び第1の基準減速度を第2の基準加・減速度より大きく設定し、第3の基準加速度及び第3の基準減速度を第2の基準加・減速度より小さく設定した。
つまり、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度が、第1の制御モードでは高速、第2の制御モードでは中速、第3の制御モードでは低速となるように、基準となる加速度及び減速度の定数を設定した。
【0095】
また、走行速度のPID制御(比例動作、積分動作及び微分動作の3つの動作を含む制御方式)で用いるPID定数については、第1の制御モード及び第2の制御モードのレスポンス(応答)が速く、これに対して、第3の制御モードのレスポンスが遅くなるように、上記ST106,ST206,ST305で設定した。
【0096】
第1〜第3の制御モードにおけるエンジン14の回転数Neの調整については、次の通りである。
第1の制御モードにおいては、オーガスイッチ45のオン・オフにかかわらず、スロットルレバー52を手動操作することにより、エンジン14の回転数Neを任意に調整することができる。なお、オーガスイッチ45がオンであるときだけ、手動操作によりエンジン14の回転数Neを調整可能としてもよい。
【0097】
第2の制御モードにおいては、オーガスイッチ45がオフであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の低速値で維持し、また、オーガスイッチ45がオンであるときに、スロットルレバー52を手動操作することにより、エンジン14の回転数Neを任意に調整することができる(最大値はエンジン14の最大動力にほぼ対応する)。
【0098】
第3の制御モードにおいては、オーガスイッチ45がオフであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の低速値で維持し、また、オーガスイッチ45がオンであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の高速値(エンジン14の最大トルクにほぼ対応する高速値)で維持する。
【0099】
以上の説明から明らかなように、除雪負荷と走行速度との関係を考慮して、オーガスイッチ45がオンのときだけ、各負荷制御マップに基づいて走行部11L,11Rの走行速度を制御するようにした。
【0100】
図13は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その5)であり、上記図6のステップST08に示す第4の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST401;エンジン14を停止させる(停止状態で維持させることを含む。)。
【0101】
ST402;各スイッチのスイッチ信号を読み込む。例えば、走行準備スイッチ42aのスイッチ信号、モード切替スイッチ51のスイッチ信号、方向速度レバー53の操作方向並びに操作量Ropを読み込む。
方向速度レバー53の操作方向並びに操作量Ropは、方向速度レバー53のポジションにより定まる。すなわち、方向速度レバー53から制御部61に発した、電動モータ21L,21Rの走行目標速度指令を読み込む。
【0102】
ST403;走行準備スイッチ42aがオンであるか(すなわち、走行準備レバー42を握ったか)否かを調べ、YESならST404に進み、NOならST407に進む。
ST404;方向速度レバー53の操作方向が「前進位置」又は「後進位置」にあるか否かを調べ、YESならST405に進み、NOならST407に進む。
ST405;方向速度レバー53の操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0103】
ST406;目標走行速度Msに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御する。
ST407;走行用電動モータ21L,21Rを停止させる。
ST408;モード切替スイッチ51の切替位置が第4制御位置P4にあるか否かを調べ、YESならST402に戻り、NOならST409に進む。
ST409;エンジン14を自動的に始動させた後に、図6のST08にリターンする。
【0104】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
作業機10(除雪機10)は、機体19に備えた作業部13(除雪作業部13)を駆動するエンジン14と、機体19を走行させる走行部11L,11Rの走行速度を可変する電動モータ21L,21Rと、これらのエンジン14並びに電動モータ21L,21Rを関連させて走行速度を制御する制御部61とを備えた作業機10であって、制御部61は、複数の制御モードに基づいて、エンジン14の出力及び走行部11L,11Rの走行を制御するものである。
【0105】
上記複数の制御モードは、エンジン14の回転数Neを基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、エンジン14用のスロットル弁71における開度Saの増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、エンジン14を停止させた状態で走行部11L,11Rをバッテリ62から供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなることを特徴とする。
【0106】
本発明は、これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチ51(モード切替スイッチ51)によって切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0107】
従って、4つの制御モードに次のような用途がある。
第1の制御モードは、エンジン14の回転数を基に手動操作にて制御する、いわゆる、手動モードである。
作業部13にかかる負荷が増大した場合には、エンジン14の回転数Neが低下する。作業者は、回転数Neの低下を知覚することによって、負荷が増大したと認識できる。従って、作業者はスロットル弁71の開度Saを手動で適宜増加させて、エンジン14の回転数Neを維持させればよい。つまり、第1の制御モードは、エンジン14の回転数Neによる負荷制御のみを行うものであり、作業者にとって、負荷のきっかけが判ればよい場合に、用いることができる。制御部61の介入が少ないので、作業者の意志を十分に反映することができる。
このように、負荷の状況の変化に応じて、作業者が作業機10を自由に操作したい場合には、第1の制御モードを選択することが好適である。作業に慣れている上級作業者は、第1の制御モードを選択すればよい。
【0108】
第2の制御モードは、スロットル弁71における開度Saの増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する、いわゆる、パワーモードである。
作業部13にかかる負荷が増大した場合には、エンジン14の回転数Neが低下する。これに対して、作業者がスロットル弁71の開度Saを増加させることにより、エンジン14の回転数Neを維持させることができる。つまり、エンジン14の動力で除雪作業部13を駆動可能である間は、制御部61による介入が少ない。
【0109】
第2の制御モードでは、スロットル弁71における開度Saの増加量に対して、走行速度を緩やかに減少させるように制御する。従って、除雪作業部13にかかる負荷が増大したにもかかわらず、走行速度の減少を抑制することができる。このように、除雪作業部13にかかる負荷が増大しても、走行速度を大きく下げたくない場合には、第2の制御モードを選択することが好適である。つまり、安定した走行速度で比較的丁寧な作業をすることができる。作業を迅速に効率良く行いたい作業者や、作業にある程度慣れている中級作業者は、第2の制御モードを選択すればよい。
第2の制御モードでは、スロットルレバー52を操作してエンジン14の回転数Neを増減させることにより、シュータ29からの投雪距離を調節することもできる。
【0110】
第3の制御モードでは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する、いわゆる、オートモード(自動モード)である。
例えば、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときに、スロットル弁71の開度Saを自動的に増加させることで、エンジン14の回転数Neを維持させることができる。この場合には、開度Saの増加量に対して走行速度が大きく減速する。このように、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときに、これに対応して走行速度は大きく減速する。走行速度を遅くしてもよいから、除雪作業部13にかかる負荷を抑制したい場合には、第3の制御モードを選択することが好適である。つまり、丁寧な作業をすることができるとともに、操作が簡単で使い勝手が良い。作業に不慣れな初心者は、第3の制御モードを選択すればよい。
【0111】
第4の制御モードでは、エンジン14を停止させた状態で走行部11L,11Rを作動させるように制御する。つまり、エンジン14を停止させた状態で走行用電動モータ21L,21Rを作動させるように制御することで、この結果、走行部11L,11Rの走行速度を制御することができる。エンジン14を運転することなく走行部11L,11Rだけを運転して、作業機10を一時的に短距離だけ走行させることができる。
【0112】
エンジン14を運転する作業は不要である。走行部11L,11Rだけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機10の取り扱い性をより高めることができる。さらには、必要以上にエンジン14を運転する必要がないので、エンジン14の耐久性をより高めることができるとともに、エンジン14を運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。さらにまた、エンジン14を停止させるので、作業機10を移動させるときの静粛性を、より一層高めることができる。
【0113】
このように制御部61の制御モードを、(1)慣れている上級者が使う手動操作式の第1の制御モードと、(2)ある程度慣れている中級作業者が使う半自動式の第2の制御モードと、(3)不慣れな初心者が使う自動式の第3の制御モードと、(4)エンジンを停止させた状態で走行部を作動させる第4の制御モードとの、4つのモードに設定したものである。
【0114】
第1から第3までの制御モードを適宜選択することにより、1台の作業機10を初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができる。また、第4の制御モードを選択することにより、エンジン14を運転することなく、作業機10を自由に走行させることができる。
【0115】
さらには、単一の手動式切替スイッチ51によって、第1から第4までの制御モードを適宜選択して自由に切り替え操作するだけなので、モード切替操作が簡単である。
すなわち、第1から第4までの各制御モードの特性上からみて、いずれも除雪作業部13を駆動中に他の制御モードに切り替えることはない。つまり、いずれか1つの制御モードで作業を続行するものである。このため、これら4つの制御モードの切替操作をする機能を、単一の手動式切替スイッチ51に集約することができる。しかも、手動式切替スイッチ51には、4つの制御モードの切替機能という、単一の機能だけを備えればよい。このようなことから、作業者にとって、第4の制御モードへの切替え操作をはじめ、複数の制御モードへの切替え操作の識別が容易であり、この結果、切替え操作性をより高めることができる。また、第4の制御モードに切り替えるための、別のスイッチを設ける必要はなく、部品数を削減することができる。
【0116】
さらに本発明は、第1の制御モードは、エンジン14の回転数Neの低下に応じて走行速度の減速度を増すように設定したモードであり、
第2の制御モードは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度の減速度が増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では小さく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では大きく設定したモードであり、
第3の制御モードは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度の減速度が増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では大きく且つ開度Saが大きい後半の開度域では小さく設定したモードであることを特徴とする。
【0117】
従って、第1、第2、第3の各制御モードを任意に選択することによって、作業者の好みに応じた作業内容にすることができる。すなわち、
第1の制御モードは、負荷が過大になったことを、作業者に喚起するだけのモードであるから、エンジン14の回転数Neの低下に応じて、走行速度の減速度を増すだけでよい。第1の制御モードを選択したときには、除雪作業部13にかかる負荷が過大になると、エンジン14の回転数Neが低下し、これに応じて走行速度の減速度が増す。作業者は、減速したことを知覚することによって、負荷が過大になったと認識できる。作業者は負荷の状況の変化に応じて、作業機10をより自由に操作することができる。
【0118】
第2の制御モードを選択したときには、現在の走行速度を余り減少させることなく(つまり、作業機10を概ね現在の走行速度で走行させつつ)、スロットル弁71の開度Saを増して、エンジン能力の限界近くまで作業部に大きい負荷をかけ続けることができる。この結果、作業を迅速に効率良く行うことができる。
【0119】
第2の制御モードを選択したときについて、より具体的に説明する。図10に示す第2の負荷制御マップのように、スロットル弁71の開度Saが0%から全開に近いSa2まで変化しても、減速度Rdは0%からRd2までしか変化しない。つまり、前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。開度Saが、全開に近いSa2から100%まで変化する領域、つまり、後半の開度域に入ってから、開度Saの変化に対して減速度Rdが大きく変化する。
【0120】
例えば、除雪機10においては、エンジン14が高速回転するほどオーガ27及びブロア28が高速回転するので、オーガ27で雪を掻き集める能力が増すとともに、掻き集めた雪をブロア28によってシュータ29を介して遠くへ飛ばす能力が増す。この結果、除雪作業部13の処理能力が増す。エンジン14を高速回転させるには、スロットル弁71の開度Saを増せばよい。開度Saを大きく増しても、減速度Rdが増す割合は小さい。このように、エンジン14にかかる負荷が増大しても、除雪機10の走行速度を余り減速させなくてすむ。
除雪機10を概ね現在の走行速度で走行させつつ、スロットル弁71を大きく開けて、エンジン14の能力の限界近くまで除雪作業部13に大きい負荷をかけ続けることができる。この結果、除雪作業を迅速に効率良く行うことができる。
【0121】
第3の制御モードを選択したときには、スロットル弁71の開度Saが少し増しただけで、作業機10の現在の走行速度は大きく減少する。この結果、除雪作業部13にかかる負荷は抑制される。従って、エンジン14の負担を軽減することができる。
【0122】
第3の制御モードを選択したときについて、より具体的に説明する。図12に示す第3の負荷制御マップのように、スロットル弁71の開度Saが0%からSa4まで変化したときに、減速度Rdは0%から100パーセントに近いRd4まで変化する。つまり、前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。開度Saが、全開に近いSa4から100%まで変化する領域、つまり、後半の開度域に入ってから、開度Saの変化に対して減速度Rdの変化は比較的小さい。開度Saが100%のときには、減速度Rdも100%になるので、作業機10は走行を停止する。
【0123】
例えば、除雪機10においては、高速走行であるほど除雪作業部13で処理しなければならない除雪量が増大する。つまり、除雪作業部13にかかる負荷が増大する。これに対応して、より安定した除雪作業をするには、(1)スロットル弁71の開度Saを増してエンジン14の回転数Neを維持させる方法と、(2)除雪機10の走行速度を下げて負荷を低減する方法がある。
【0124】
そこで、第3の制御モードを選択した場合、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときには、スロットル弁71の開度Saを増加させるとともに、その増加量に応じて除雪機10の走行速度を大きく下げるようにした。除雪機10の走行速度を下げてもよいから、除雪作業部13にかかる負荷の増大並びに変動を抑制することで、より安定した丁寧な除雪作業をすることができる。しかも、エンジン14に過大な負荷をかけないので、燃費を高めることができる。
【0125】
このように使い勝手に即した最適な制御を行うことができる。従って、作業機10を初心者から上級作業者まで、どんな作業者であっても、より操作し易い作業機とすることができる。
【0126】
さらに本発明は、除雪作業部13を、オーガ27並びにブロア28からなる除雪作業部としたので、走行部11L,11Rの速度調整やエンジンの回転数調整を、除雪作業の初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に操作できる。
【0127】
さらに制御部61は、作業機10のための主電源スイッチ44がオンであるという条件、つまりメインスイッチ44をオン位置ONに合わせたという条件(図6のST02)と、手動式切替スイッチ51によって前記第4の制御モードに切り替えたという条件(図6のST04)との、2つの条件を満たしたときに、エンジン14を停止させる(停止状態を維持する場合を含む。)ように制御する(図13のST401)構成であることを特徴とする。
【0128】
主電源スイッチ44がオンの状態で、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードに切り替えることで、エンジン14を自動的に停止させることができる。第4の制御モードに切り替えるだけでエンジン14が自動的に停止するので、作業者がエンジン停止操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
【0129】
例えば、作業機10を走行しつつエンジン14で作業部13を駆動して作業を行った後に、手動式切替スイッチ51で第4の制御モードに切り替えるだけで、エンジン14が自動的に停止する。しかも、エンジン14が停止しても走行部11L,11Rの走行を中断することなく、そのまま、作業機10を任意の場所まで移動させることができる。従って、作業機10の使い勝手がより高まるとともに、作業効率がより高まる。
【0130】
さらに制御部61は、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードから他の第1・第2・第3の制御モードに切り替えたという条件(図13のST408)を満たしたときに、エンジン14を自動的に始動させる(図13のST409)ように制御する構成であることを特徴とする。
【0131】
手動式切替スイッチ51で第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたときに、エンジン14を自動的に始動させることができる。作業者がエンジン始動操作を行う必要がない。従って、作業機10の使い勝手が、より高まる。
【0132】
次に、上記図13に示す第4の制御モードの変形例について図14に基づき説明する。
図14は本発明に係る変形例の制御部の制御フローチャートであり、上記図13の代わりに、上記図6のステップST08に示す第4の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
なお、図14に示す変形例の制御部61の制御フローチャートは、図13に示すステップのうち、ST401〜ST408が同一であり、ST409の代わりにST501〜ST505を実行することを特徴とする。ST401〜ST407については説明を省略する。
【0133】
ST408;モード切替スイッチ51の切替位置が第4制御位置P4にあるか否かを調べ、YESならST402に戻り、NOならST501に進む。
ST501;制御部61から報知器58(図2参照)に、エンジン始動要求の報知信号を発する。この結果、報知器58はエンジン14を始動させるように作業者に報知する。なお、報知器58は表示器や報音器からなり、操作ボックス41に配置すればよい。
【0134】
ST502;メインスイッチ44のスイッチ信号を読み込む。
ST503;メインスイッチ44の操作位置を判断する。操作位置がオフ位置OFFであればST504に進み、操作位置がスタート位置STであればST505に進み、操作位置がオン位置ONであればST502に戻る。
ST504;報知器58をオフにした後に、図6のST08にリターンする。
ST505;作業者がメインスイッチ44をスタート位置STに操作したので、スタート位置STの信号を受けてエンジン14を始動させた後に、図6のST08にリターンする。なお、作業者は、エンジン14の回転が安定した後に、メインスイッチ44の操作位置をオン位置ONに切換えればよい。
【0135】
この変形例については、上記図1〜図13に示す実施例の作用、効果を奏するとともに、更に次の作用、効果を有する。
すなわち制御部61は、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードから他の第1・第2・第3の制御モードに切り替えたという条件(図14のST408)と、エンジンを始動操作したという条件(図14のST503)との、2つの条件を満たしたときに、エンジン14を始動させる(図14のST505)ように制御する構成であることを特徴とする。
【0136】
手動式切替スイッチ51で第4の制御モードから他の制御モードに切り替えるとともに、エンジン14を始動操作することによって、エンジン14を始動させることができる。作業者は、第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたことを確認した後に、エンジン14を始動操作することができるので、他の制御モードに切り替わったことを、より明確に認識することができる。
【0137】
なお、上記各制御フローにおいて、左右の電動モータ21L,21Rの駆動制御方式は、例えば、モータ端子にパルス電圧を供給するパルス幅変調方式(PWM方式)である。制御部61の制御信号に応じて、モータドライバ84L,84Rはパルス幅が制御されたパルス信号を発して、電動モータ21L,21Rの回転を制御することができる。
【0138】
なお、本発明は実施の形態では、作業機10は走行速度に応じて作業部13にかかる負荷が増大するものであればよく、オーガ式除雪機に限定されるものではない。
【0139】
また、走行部11L,11Rの駆動源は電動モータ21L,21Rに限定されるものではなく、例えばエンジン14を駆動源とし、エンジン14の動力を静油圧式無断変速機を介して走行部11L,11Rに動力を伝達する構成であってもよい。静油圧式無断変速機は、入力軸から取り入れた動力に対して、左右の出力軸の回転を独立して正転、逆転、停止させることが可能な周知の無断変速機である。
つまり、電動モータ21L,21Rは、走行部11L,11Rの走行速度を可変する構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の作業機10は、作業部13をエンジン14で駆動するとともに、走行部11L,11Rの走行速度を電動モータ21L,21Rで可変するようにし、エンジン14並びに電動モータ21L,21Rを関連させて走行速度を制御するものであって、走行速度に応じて作業部13にかかる負荷が増大する自走式作業機である。このような作業機10は、前進走行しつつ前部のオーガで雪を掻き集めて除雪するオーガ式除雪機に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明に係る除雪機(作業機)の側面図である。
【図2】本発明に係る除雪機の模式的平面図兼制御系統図である。
【図3】本発明に係る操作部の斜視図である。
【図4】本発明に係る操作部の平面図である。
【図5】本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図である。
【図6】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。
【図7】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)である。
【図8】本発明に係る第1の負荷制御マップの説明図である。
【図9】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)である。
【図10】本発明に係る第2の負荷制御マップの説明図である。
【図11】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その4)である。
【図12】本発明に係る第3の負荷制御マップの説明図である。
【図13】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その5)である。
【図14】本発明に係る変形例の制御部の制御フローチャートである。
【図15】従来のオーガ式除雪機の模式図である。
【符号の説明】
【0142】
10…作業機(除雪機)、11L,11R…走行部、13…作業部(除雪作業部)、14…エンジン、19…機体、21L,21R…電動モータ、27…オーガ、28…ブロア、44…主電源スイッチ(メインスイッチ)、51…手動式切替スイッチ(モード切替スイッチ)、61…制御部、62…バッテリ、71…スロットル弁、Ne…エンジンの回転数(実回転数)、P1…第1制御位置、P2…第2制御位置、P3…第3制御位置、P4…第4制御位置、Rd…減速度、Sa…スロットル弁の開度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走可能な機体にエンジン駆動式作業部を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動式作業部を備えた作業機には、例えばオーガ式除雪機のように、走行速度に応じて作業部にかかる負荷が増大するものがある。オーガ式除雪機は、前進走行しつつ前部のオーガ(作業部)で雪を掻き集めて除雪する作業機である。走行速度が増すと、オーガによる除雪量も増す。この結果、オーガにかかる負荷は増大する。このようなオーガ式除雪機としては、各種のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−42310公報
【0003】
特許文献1に示す従来のオーガ式除雪機を、次の図15に基づいて説明する。図15は従来のオーガ式除雪機の模式図である。
従来のオーガ式除雪機100は、オーガ101及びブロア102からなる作業部103、作業部103を駆動するエンジン104、クローラからなる左右の走行部105,105、走行部105,105を駆動する左右の電動モータ106,106、エンジン104に駆動されて電動モータ106,106やバッテリ107に電力を供給する発電機108、電動モータ106,106を制御する制御部109、制御部109に操作信号を発するための各種操作部材を有する操作盤111を備えたというものである。
【0004】
このようにオーガ式除雪機100は、エンジン104で作業部103を駆動するとともに、電動モータ106,106で走行部105,105を駆動する形式の作業機である。
操作盤111はメインスイッチ112、バッテリモードスイッチ113及び左右の旋回操作スイッチ114,114を備える。旋回操作スイッチ114,114は、左又は右の電磁ブレーキ115,115を操作することによって、オーガ式除雪機100を旋回させるものである。
【0005】
バッテリモードスイッチ113をオン操作する、又は、左右の旋回操作スイッチ114,114を同時に一定時間だけオン操作することによって、エンジン104を運転することなく電動モータ106,106だけを運転して、オーガ式除雪機100を一時的に走行させることができる。いわゆる、「バッテリモード走行」をすることができる。例えば、オーガ式除雪機100を保管場所に出し入れする場合や、保管場所から近くの作業場所へ移動させる場合に、電動モータ106,106だけを運転すればよい。
【0006】
ところで、一般にオーガ式除雪機100による除雪作業においては、作業部103の姿勢調整、走行部105,105の速度調整、エンジン104の回転数調整といった、種々の操作が必要である。このような操作には、ある程度の熟練を要することが多い。作業に不慣れな初心者にとっては、できるだけ操作が簡単であることが好ましく、そのためには、自動化することが求められる。一方、作業に慣れている上級作業者にとって、初心者向けに自動化された機種は自由な操作が制限されてしまう。
このように、初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用できる作業機が求められている。
【0007】
また、バッテリモード走行を可能にするために、バッテリモードスイッチ113を新たに設けたので、操作部材の数量が増す。作業者は多数の操作部材の中から、バッテリモードスイッチ113を選択する必要がある。
一方、旋回操作スイッチ114,114の操作方法において、バッテリモード走行へ切り替えるためには、作業者は本来の旋回操作とは異なる操作をする必要がある。
このようなことから、バッテリモード走行に切り替えるときの操作性をより高める上で、更なる改良の余地がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、(1)自走可能な機体にエンジン駆動式作業部を備えた1台の作業機を、初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができるとともに、(2)エンジンを停止させた状態で、走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させる場合の操作性を、より高めることができる、技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明では、機体に備えた作業部を駆動するエンジンと、機体を走行させる走行部の走行速度を可変する電動モータと、これらのエンジン並びに電動モータを関連させて走行速度を制御する制御部とを備えた作業機であって、制御部は、複数の制御モードに基づいて、エンジンの出力及び走行部の走行を制御する作業機において、
複数の制御モードは、エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、スロットル弁の開度の増加量に対して走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、エンジンを停止させた状態で走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなり、
これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチによって切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、請求項1において、制御部は、作業機のための主電源スイッチがオンであるという条件と、手動式切替スイッチによって第4の制御モードに切り替えたという条件との、2つの条件を満たしたときに、エンジンを停止させるように制御する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2において、制御部は、手動式切替スイッチによって第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたという条件を満たしたときに、エンジンを自動的に始動させるように制御する構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、請求項1又は請求項2において、制御部は、手動式切替スイッチによって第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたという条件と、エンジンを始動操作したという条件との、2つの条件を満たしたときに、エンジンを始動させるように制御する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、4つの制御モードに次のような用途がある。
第1の制御モードは、エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する。
作業部にかかる負荷が増大した場合には、エンジンの回転数が低下する。作業者は、回転数の低下を知覚することによって、負荷が増大したと認識できる。従って、作業者はスロットル弁の開度を手動で適宜増加させて、エンジンの回転数を維持させればよい。つまり、第1の制御モードは、エンジンの回転数による負荷制御のみを行うものであり、作業者にとって、負荷のきっかけが判ればよい場合に、用いることができる。制御部の介入が少ないので、作業者の意志を十分に反映することができる。
このように、負荷の状況の変化に応じて、作業者が作業機を自由に操作したい場合には、第1の制御モードを選択することが好適である。作業に慣れている上級作業者は、第1の制御モードを選択すればよい。
【0014】
第2の制御モードは、エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する。
作業部にかかる負荷が増大した場合には、エンジンの回転数が低下する。これに対して、作業者がスロットル弁の開度を増加させることにより、エンジンの回転数を維持させることができる。つまり、エンジンの動力で作業部を駆動可能である間は、制御部による介入が少ない。
第2の制御モードでは、スロットル弁における開度の増加量に対して、走行速度を緩やかに減少させるように制御する。従って、作業部にかかる負荷が増大したにもかかわらず、走行速度の減少を抑制することができる。このように、作業部にかかる負荷が増大しても、走行速度を大きく下げたくない場合には、第2の制御モードを選択することが好適である。つまり、安定した走行速度で比較的丁寧な作業をすることができる。作業を迅速に効率良く行いたい作業者や、作業にある程度慣れている中級作業者は、第2の制御モードを選択すればよい。
【0015】
第3の制御モードでは、スロットル弁の開度の増加量に対して、走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する。
例えば、作業部にかかる負荷が増大したときに、スロットル弁の開度を自動的に増加させることで、エンジンの回転数を維持させることができる。この場合には、開度の増加量に対して走行速度が大きく減速する。このように、作業部にかかる負荷が増大したときに、これに対応して走行速度は大きく減速する。走行速度を遅くしてもよいから、作業部にかかる負荷を抑制したい場合には、第3の制御モードを選択することが好適である。つまり、丁寧な作業をすることができるとともに、操作が簡単で使い勝手が良い。作業に不慣れな初心者は、第3の制御モードを選択すればよい。
【0016】
第4の制御モードでは、エンジンを停止させた状態で走行部を作動させるように制御する。エンジンを運転することなく走行部だけを運転して、作業機を一時的に短距離だけ走行させることができる。エンジンを運転する作業は不要である。走行部だけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機の取り扱い性をより高めることができる。さらには、必要以上にエンジンを運転する必要がないので、エンジンの耐久性をより高めることができるとともに、エンジンを運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。さらにまた、エンジンを停止させるので、作業機を移動させるときの静粛性を、より一層高めることができる。
【0017】
このように請求項1に係る発明では、制御部の制御モードを、(1)慣れている上級者が使う手動操作式の第1の制御モードと、(2)ある程度慣れている中級作業者が使う半自動式の第2の制御モードと、(3)不慣れな初心者が使う自動式の第3の制御モードと、(4)エンジンを停止させた状態で走行部を作動させる第4の制御モードとの、4つのモードに設定したものである。
【0018】
第1から第3までの制御モードを適宜選択することにより、1台の作業機を初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができる。また、第4の制御モードを選択することにより、エンジンを運転することなく、作業機を自由に走行させることができる。
【0019】
さらに請求項1に係る発明では、単一の手動式切替スイッチによって、第1から第4までの制御モードを適宜選択して自由に切り替え操作するだけなので、モード切替操作が簡単である。
すなわち、第1から第4までの各制御モードの特性上からみて、いずれも作業部を駆動中に他の制御モードに切り替えることはない。つまり、いずれか1つの制御モードで作業を続行するものである。このため、これら4つの制御モードの切替操作をする機能を、単一の手動式切替スイッチに集約することができる。しかも、手動式切替スイッチには、4つの制御モードの切替機能という、単一の機能だけを備えればよい。このようなことから、作業者にとって、第4の制御モードへの切替え操作をはじめ、複数の制御モードへの切替え操作の識別が容易であり、この結果、切替え操作性をより高めることができる。また、第4の制御モードに切り替えるための、別のスイッチを設ける必要はなく、部品数を削減することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、主電源スイッチがオンの状態で、手動式切替スイッチによって第4の制御モードに切り替えることで、エンジンを自動的に停止させることができる。第4の制御モードに切り替えるだけでエンジンが自動的に停止するので、作業者がエンジン停止操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
例えば、作業機を走行しつつエンジンで作業部を駆動して作業を行った後に、手動式切替スイッチで第4の制御モードに切り替えるだけで、エンジンが自動的に停止する。しかも、エンジンが停止しても走行部の走行を中断することなく、そのまま、作業機を任意の場所まで移動させることができる。従って、作業機の使い勝手がより高まるとともに、作業効率がより高まる。
【0021】
請求項3に係る発明では、手動式切替スイッチで第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたときに、エンジンを自動的に始動させることができる。作業者がエンジン始動操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
【0022】
請求項4に係る発明では、手動式切替スイッチで第4の制御モードから他の制御モードに切り替えるとともに、エンジンを始動操作することによって、エンジンを始動させることができる。作業者は、第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたことを確認した後に、エンジンを始動操作することができるので、他の制御モードに切り替わったことを、より明確に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側を示す。
図1は本発明に係る除雪機(作業機)の側面図である。図2は本発明に係る除雪機の模式的平面図兼制御系統図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、除雪機10は、左右の走行部11L,11Rを備えた走行フレーム12に、オーガ式の作業部13及びこの作業部13を駆動するエンジン14を備えた車体フレーム15の後部を上下スイング可能に取付け、車体フレーム15の前部を昇降駆動機構16によって昇降するようにし、さらに、走行フレーム12の後部から後方上部へ左右2本の操作ハンドル17L,17Rを延し、これらの操作ハンドル17L,17Rの先端にグリップ18L,18Rを設けた、自走可能な作業機である。
【0025】
このような除雪機10はオーガ式除雪機と言われている。以下、作業部13のことを除雪作業部13と言う。作業者は、除雪機10に連れて歩行しながら、操作ハンドル17L,17Rで除雪機10を操作することができる。
【0026】
走行フレーム12及び車体フレーム15の組合せ構造は機体19をなす。走行フレーム12は、走行部11L,11Rを駆動する左右の電動モータ21L,21Rを備える。左右の走行部11L,11Rは、左右のクローラベルト22L,22R、走行輪として後部に配置された左右の駆動輪23L,23R、及び、前部に配置された左右の転動輪24L,24Rからなる。
左の電動モータ21Lの駆動力で、左の駆動輪23Lを介して左のクローラベルト22Lを駆動することができる。右の電動モータ21Rの駆動力で、右の駆動輪23Rを介して右のクローラベルト22Rを駆動することができる。
【0027】
除雪作業部13は、オーガハウジング25、オーガハウジング25の背面と一体のブロアケース26、オーガハウジング25に備えたオーガ27、ブロアケース26に備えたブロア28及びシュータ29からなる。
【0028】
図1に示すように、エンジン14は、電磁クラッチ31及び伝動機構32を介して除雪作業部13を駆動する除雪用駆動源である。
伝動機構32は、エンジン14のクランクシャフト14aに取り付けられた電磁クラッチ31から、オーガ用伝動軸33にベルトにて動力を伝達する、ベルト式伝動機構である。エンジン14の動力は、クランクシャフト14a→電磁クラッチ31→伝動機構32→オーガ用伝動軸33の経路でオーガ27及びブロア28に伝わる。オーガ27で掻き集めた雪を、ブロア28によってシュータ29を介して遠くへ飛ばすことができる。
なお、オーガハウジング25は、後下端にスクレーパ35及び左右のそり36L,36Rを備える。
【0029】
昇降駆動機構16は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。このアクチュエータは、電動モータ16a(図2参照)にて図示せぬ油圧ポンプから発生させた油圧によって、ピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ16aは、昇降駆動機構16のシリンダの側部に一体に組込んだ、昇降用駆動源である。
【0030】
このような除雪機10は、走行フレーム12に、オーガハウジング25及びブロアケース26をローリング可能に取付け、オーガハウジング25をローリング駆動機構38で左右にローリング(横揺れ)させるようにした構成である。
詳しく説明すると、前後に延びるオーガ用伝動軸33をオーガハウジング25及びブロアケース26で回転可能に支承し、ブロアケース26を車体フレーム15の前端部に左右回転可能(ローリング可能)に取付けたものである。
【0031】
上述のように、走行フレーム12は車体フレーム15を取り付けた構成である。このため、走行フレーム12にオーガハウジング25及びブロアケース26をローリング可能に取付けたことになる。この結果、走行フレーム12に対して、オーガハウジング25は昇降可能且つローリング可能である。
【0032】
ローリング駆動機構38は、シリンダからピストンが進退可能なアクチュエータである。このアクチュエータは、電動モータ38a(図2参照)にて図示せぬ油圧ポンプから発生させた油圧によって、ピストンを伸縮させる型式の電動油圧シリンダである。電動モータ38aは、ローリング駆動機構38のシリンダの側部に一体に組込んだ、ローリング用駆動源である。
【0033】
ところで、左右の操作ハンドル17L,17R間には、操作部40、制御部61、バッテリ62を配置したものである。以下、操作部40について説明する。
【0034】
図3は本発明に係る操作部の斜視図である。図4は本発明に係る操作部の平面図である。図3及び図4に示すように操作部40は、左右の操作ハンドル17L,17Rの間に設けた操作ボックス41と、グリップ18Lの近傍で左の操作ハンドル17Lに設けた走行準備レバー42並びに左の旋回操作レバー43Lと、グリップ18Rの近傍で右の操作ハンドル17Rに取付けた右の旋回操作レバー43Rとからなる。
【0035】
走行準備レバー42は、走行準備スイッチ42a(図2参照)に作用する走行準備部材であり、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になれば走行準備スイッチ42aはオフになる。作業者の左手で走行準備レバー42を握ってグリップ18L側に下げれば、走行準備スイッチ42aはオンとなる。
【0036】
左右の旋回操作レバー43L,43Rは、左右のグリップ18L,18Rを握った手でそれぞれ操作する旋回操作部材であり、それぞれ対応する旋回スイッチ43La,43Ra(図2参照)に作用する機構である。
これら左右の旋回操作レバー43L,43Rは、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になれば旋回スイッチ43La,43Raはオフになる。作業者の左手で左の旋回操作レバー43Lを握ってグリップ18L側に上げれば、左の旋回スイッチ43Laはオンとなる。右の旋回スイッチ43Raについても同様である。このように、左右の旋回操作レバー43L,43Rが握られているか否かは旋回スイッチ43La,43Raで検出することができる。
【0037】
上記図2も参照しつつ説明すると、操作ボックス41はその背面41a(作業者側の面)に、メインスイッチ44及びオーガスイッチ45(「クラッチ操作スイッチ45」とも言う)を備える。
【0038】
メインスイッチ44を回してオンにすることで、エンジン14を始動させることができる。このようなメインスイッチ44は、例えば、キー挿入孔にメインキー(図示せず)を差込んで回すことでエンジン14を始動することのできる周知のイグニッションスイッチであり、キー挿入孔を中心として「オフ位置OFF」、「オン位置ON」及び「スタート位置ST」を、時計回りにこの順に配列したものである。
【0039】
メインキーをオフ位置OFFに合せたときには、エンジン14を停止させるとともに、除雪機10における全ての電気系統を遮断させることができる。メインキーをオフ位置OFFからオン位置ONに切換えたときには、エンジン14を停止状態にさせることができる。メインキーをスタート位置STに合せたときには、エンジン14を始動させることができる。メインキーをスタート位置STからオン位置ONに切換えたときには、始動したエンジン14をそのまま本運転に移行することができる。
【0040】
なお、メインキーをオン位置ONに合わせたときには、バッテリ62から電動モータ21L,21Rに給電する電気系統は接続状態にある。このときには、エンジン14が停止状態であっても、電動モータ21L,21Rを駆動して除雪機10を走行させることができる(いわゆる、「バッテリモード走行」ができる。)。
以上の説明から明らかなように、メインスイッチ44は除雪機10のための主電源スイッチである。
【0041】
オーガスイッチ45は、電磁クラッチ31をオン・オフ切替えする手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなる。
【0042】
さらに操作ボックス41はその上面41bに、モード切替スイッチ51、スロットルレバー52、方向速度レバー53、リセットスイッチ54、オーガハウジング姿勢操作レバー55及びシュータ操作レバー56を、この順に左側から右側へ配列して、備えたものである。
より具体的に述べると、操作ボックス41の上面41bのうち、車幅中心CLの左隣に方向速度レバー53を配置するとともに、車幅中心CLの右隣にリセットスイッチ54を配置した。
【0043】
モード切替スイッチ51は、制御部61における走行制御モードを切り替える手動式切替スイッチであり、例えばロータリスイッチからなる。ノブ51aを図反時計回りに回すことで第1制御位置P1、第2制御位置P2、第3制御位置P3及び第4制御位置P4に切り替えることができる。これらの各位置P1,P2,P3,P4に切り替えたときに、モード切替スイッチ51はそれぞれ対応するスイッチ信号を発する。
【0044】
第1制御位置P1は、制御部61に「第1の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第2制御位置P2は、制御部61に「第2の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第3制御位置P3は、制御部61に「第3の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第4制御位置P4は、制御部61に「第4の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。
【0045】
スロットルレバー52は、電子式ガバナ(電気式ガバナとも言う。)の制御モータ72を制御することによって、スロットル弁71を開閉制御するための操作部材であり、作業者の手で、矢印De,Inの如く前後方向へ往復させることができ、ポテンショメータ52aでポジションに応じた電圧を発生させる。スロットルレバー52を矢印De方向へ倒せばスロットル弁71を全閉まで閉じることができ、スロットルレバー52を矢印In方向へ倒せばスロットル弁71を全開まで開けることができる。この結果、エンジン14の回転数を調節することができる。
【0046】
方向速度レバー53は、電動モータ21L,21Rの回転を制御するための操作部材であり、その詳細については後述する(図5参照)。
【0047】
リセットスイッチ54(オーガ原位置自動復帰スイッチ54)は、オーガハウジング25の姿勢(位置)を、予め設定されている原点に復帰させるための手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなり、表示灯57を備える。
【0048】
オーガハウジング姿勢操作レバー55は、オーガハウジング25の姿勢を変えるための、操作部材である。つまり、オーガハウジング姿勢操作レバー55は、オーガ27で除雪作業時にオーガハウジング25を雪面に合わせて昇降並びにローリングさせるべく、昇降駆動機構16やローリング駆動機構38を操作するための、操作部材である。オーガハウジング姿勢操作レバー55を前側Frs、後側Rrs、左側Les及び右側Risにスイング操作しているときに、それぞれ対応するスイッチをオンにすることができる。
シュータ操作レバー56は、シュータ29(図1参照)の向きを変えるための、操作部材である。
【0049】
図5は本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図である。
図5に示すように、方向速度レバー53(「前後進速度調節レバー53」とも言う)は、作業者の手で、矢印Ad,Baの如く前後に往復させることができ、「中立範囲」より「前進」側へ倒せば除雪機10(図1参照)を前進させることができ、且つ「前進」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲」より「後進」側へ倒せば除雪機10を後進させることができ、且つ「後進」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。
【0050】
この例では、図の左端に付記した通りに、後進の最高速が0V(ボルト)、前進の最高速が5V、中立範囲が2.3V〜2.7Vになるようにポテンショメータ53a(図2参照)でポジションに応じた電圧を発生させる。1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー53と名付けた。
【0051】
次に、除雪機10の制御系統について図2に基づき説明する。除雪機10の制御系統は、制御部61に中心に集約されたものである。制御部61はメモリ63を内蔵し、このメモリ63に記憶されている各種の情報を適宜読み出して制御する構成である。
【0052】
先ず、除雪作業部13の系統の作動を説明する。
エンジン14の吸気系は、スロットル弁71を制御モータ72で開閉制御するとともに、チョーク弁73を制御モータ74で開閉制御する構成である。つまり、制御部61の信号に基づいて、電子式ガバナ65の制御モータ72がスロットル弁71の開度を自動的に調整するとともに、電子式ガバナ65の制御モータ74がチョーク弁73の開度を自動的に調整する構成である。
【0053】
スロットル弁71の開度についてはスロットルポジションセンサ75で検出し、チョーク弁73の開度についてはチョークポジションセンサ76で検出し、これらの各検出信号を制御部61に発するようにした。
エンジン14の回転速度(回転数)については、エンジン回転センサ77にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0054】
メインスイッチ44にキーを差込み、回してスタート位置にすることにより、セルモータ(スタータ)78の回転によりエンジン14を始動させる。
エンジン14の出力の一部で発電機81を回し、得た電力をバッテリ62に供給するとともに、左右の電動モータ21L,21Rや他の電装品に供給する。エンジン14の出力の残部は、オーガ27及びブロア28の回転に充てる。
【0055】
走行準備レバー42を握るとともに、オーガスイッチ45を操作することにより、電磁クラッチ31を接続(オン)し、エンジン14の動力でオーガ27及びブロア28を回転させることができる。なお、走行準備レバー42をフリーにするか、又は、オーガスイッチ45を操作することにより、電磁クラッチ31を断(オフ)状態にすることができる。
【0056】
次に走行部11L,11Rの系統の作動を説明する。
本発明の除雪機10は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ82L,82Rを備える。具体的には、左右の電動モータ21L,21Rの各モータ軸を左右の電磁ブレーキ82L,82Rによって制動するようにした。これらの電磁ブレーキ82L,82Rは、駐車中は制御部61の制御により、ブレーキ状態(オン状態)にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ82L,82Rを開放する。
【0057】
メインスイッチ44がオン位置にあること、及び、走行準備レバー42が握られていることの2つの条件が満たされ、方向速度レバー53を前進又は後進に切換えると、電磁ブレーキ82L,82Rはオフ状態になる。
【0058】
方向速度レバー53の位置情報をポテンショメータ53aから得た制御部61は、左右のモータドライバ84L,84Rを介して左右の電動モータ21L,21Rを回転させ、電動モータ21L,21Rの回転速度(回転数)をモータ回転センサ83L,83Rで検出して、その検出信号に基づいて回転速度が所定値になるようにフィードバック制御を実行する。この結果、左右の駆動輪21L,21Rが所望の方向に、所定の速度で回り、走行状態となる。
【0059】
走行中の制動は次の手順で行う。モータドライバ84L,84Rは、回生ブレーキ回路85L,85R及び短絡ブレーキ回路86L,86Rを含む。短絡ブレーキ回路86L,86Rはブレーキ手段である。
【0060】
左の旋回操作レバー43Lを握って左の旋回スイッチ43Laをオン操作している間は、そのスイッチオンのスイッチ信号に基づいて制御部61は左の回生ブレーキ回路85Lを作動させ、左の電動モータ21Lの速度を下げる。
右の旋回操作レバー43Rを握って右の旋回スイッチ43Raをオン操作している間は、そのスイッチオンのスイッチ信号に基づいて制御部61は右の回生ブレーキ回路85Rを作動させ、右の電動モータ21Rの速度を下げる。
すなわち、左の旋回操作レバー43Lを握っている間だけ、除雪機10を左旋回させることができる。また、右の旋回操作レバー43Rを握っている間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
【0061】
そして、(1)走行準備レバー42を離すか、(2)メインスイッチ44をオフ位置に戻すか、(3)方向速度レバー53を中立位置に戻すかの、何れかにより走行を停止させることができる。
【0062】
オーガハウジング姿勢操作レバー55を前後にスイング操作することで、電動モータ16aは正逆転し、昇降駆動機構16のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング25及びブロアケース26は昇降する。オーガハウジング25の昇降位置については、ハイト位置センサ87(上下動検出部87)にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0063】
オーガハウジング姿勢操作レバー55を左右にスイング操作することで、電動モータ38aは正転し、ローリング駆動機構38のピストンを伸縮させる。この結果、オーガハウジング25及びブロアケース26は左右にローリングする。オーガハウジング25のローリング位置については、ローリング位置センサ88(左右傾動検出部88)にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
【0064】
次に、除雪機10を前進走行させつつ除雪作業部13で除雪作業を行う場合、すなわち、方向速度レバー53のポジションが前進側Adにあり、且つ、オーガスイッチ45がオンであるという条件の場合における、制御部61の制御形態について、図6〜図13に基づき説明する。
【0065】
この制御については、上記図2に示す制御部61をマイクロコンピュータとした場合の制御フローで説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。以下、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0066】
図6は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)であり、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御するためのメインルーチンを示す。
ST01;メインスイッチ44のスイッチ信号を読み込む。
ST02;メインスイッチ44が「オン位置ON」(図3参照)にあるか否かを調べ、NOならST01に戻り、YESならST03に進む。
ST03;モード切替スイッチ51のスイッチ信号を読み込む。
ST04;モード切替スイッチ51の切替位置を調べ、第1制御位置P1ならST05に進み、第2制御位置P2ならST06に進み、第3制御位置P3ならST07に進み、第4制御位置P4ならST08に進む。
【0067】
ST05;第1の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST05を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図7にて示す。
ST06;第2の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST06を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図9にて示す。
【0068】
ST07;第3の制御モードを実行することにより、エンジン14及び電動モータ21L,21Rを制御した後に、ST03に戻る。このST07を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図11にて示す。
ST08;第4の制御モードを実行することにより、エンジン14を停止させた状態で電動モータ21L,21Rをバッテリ62から供給される電力によってのみ作動させるように制御した後に、ST03に戻る。このST08を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図13にて示す。
【0069】
図7は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)であり、上記図6のステップST05に示す第1の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST101;スロットルレバー52の操作量Sopを読み込む。操作量Sopについては、スロットルレバー52のポジションに応じた電圧をポテンショメータ52aで検出すればよい。
ST102;スロットルレバー52の操作量Sopから、エンジン14の目標回転数Esを求める。
【0070】
ST103;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。操作量Ropについては、方向速度レバー53のポジションに応じた電圧をポテンショメータ53aで検出すればよい。
ST104;方向速度レバー53の操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0071】
ST105;メモリ63に記憶されている、第1の基準加速度及び第1の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第1の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST106;メモリ63に記憶されている、第1の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第1の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0072】
ST107;エンジン14の実際の回転数Ne(以下、「実回転数Ne」と言う)を検出する。実回転数Neについては、エンジン回転センサ77で検出すればよい。
ST108;メモリ63に記憶されている、図8に示す第1の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0073】
ここで、図8に基づき第1の負荷制御マップについて説明する。
図8は本発明に係る第1の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をエンジンの実回転数Ne(rpm)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、実回転数Neに対応する減速度Rdを得る、第1の負荷制御マップを示す。
【0074】
なお、本発明において「減速度Rd」とは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度が減少する割合のことを言い、減速補正係数とも言う(以下同じ)。走行用電動モータ21L,21Rの実際の回転速度をMnrとしたときに、回転速度Mnrは減速度Rd分だけ減速することになる。減速した後の走行用電動モータ21L,21Rの回転速度Mdrは、次の式で求めることができる。
Mdr=Mnr×(100−Rd)/100
【0075】
この第1の負荷制御マップの特性は直線で表したものであり、実回転数Neが目標回転数Esと同一のときに減速度Rdが0%であり、実回転数Neが0まで低下したときに減速度RdがRd1%である。Rd1の値は比較的小さく設定してある。第1の負荷制御マップによれば、エンジン14の実回転数Neの低下に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdを若干増して減速させることができる。
【0076】
走行中における、電動モータ21L,21Rの実際の回転速度をMnrとして、具体的に述べると次の通りである。
減速度Rd=0%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=Mnr」である。つまり、電動モータ21L,21Rの回転速度Mnrを全く減速させない。
減速度Rd=Rd1%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=Mnr×(100−Rd1)/100」である。
減速度Rd=100%の場合には、減速した後の回転速度「Mdr=0」である。つまり、電動モータ21L,21Rの回転速度Mnrを全減速(停止)させる。
【0077】
図7に戻って説明を続ける。
ST109;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST110;目標走行速度Ms、第1の基準加・減速度、第1の基準PID、第1の負荷制御マップに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST05にリターンする。
このST110では、エンジン14の目標回転数Esに対して、実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第1の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0078】
図9は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)であり、上記図6のステップST06に示す第2の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST201;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。
ST202;操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0079】
ST203;メモリ63に記憶されている、第2の基準加速度及び第2の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第2の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST204;メモリ63に記憶されている、第2の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第2の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0080】
ST205;スロットル弁71の開度Saを検出する。開度Saについては、スロットルポジションセンサ75で検出すればよい。
ST206;メモリ63に記憶されている、図10に示す第2の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0081】
ここで、図10に基づき第2の負荷制御マップについて説明する。
図10は本発明に係る第2の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をスロットル弁の開度Sa(%)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、開度Saに対応する減速度Rdを得る、第2の負荷制御マップを示す。
この第2の負荷制御マップの特性は、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdが増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では小さく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では大きく設定したことを特徴とする。
【0082】
詳しく述べると、スロットル弁71の開度Saにおいて、開度Sa1は0%(全閉)より大きく、開度Sa2は開度Sa1より大きく且つ100%(全開)より小さい。開度Sa1のときに減速度Rdを0%、開度Sa2のときに減速度をRd2、開度100%のときに減速度をRd3に設定した。
【0083】
開度SaがSa1からSa2まで増大する直線の前半特性線Q1の勾配はきつく、開度SaがSa2から100%まで増大する直線の後半特性線Q2の勾配は緩い。つまり、第2の負荷制御マップの特性は、特性線Q1,Q2により、図10において概ね上方へ凸となる湾曲した曲線状の特性である。
【0084】
このように、開度Saが0%からSa2へ増大するまでの前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。一方、開度SaがSa2から100%へ増大するまでの後半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。
第2の負荷制御マップによれば、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下することに伴い、スロットル弁71の開度Saを増すことになるので、この結果、開度Saの増加に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)を弱めに減速させることができる。
【0085】
図9に戻って説明を続ける。
ST207;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST208;目標走行速度Ms、第2の基準加・減速度、第2の基準PID、第2の負荷制御マップに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST06にリターンする。
このST208では、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第2の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0086】
図11は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その4)であり、上記図6のステップST07に示す第3の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST301;メモリ63に記憶されている、エンジン14の目標回転数Esを求める。
ST302;方向速度レバー53の操作量Ropを読み込む。
ST303;操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0087】
ST304;メモリ63に記憶されている、第3の基準加速度及び第3の基準減速度のデータを選択して読み込む。これらの第3の基準加・減速度は、走行用電動モータ21L,21Rを加速制御又は減速制御するときの基準となる、加速度の定数及び減速度の定数である。
ST305;メモリ63に記憶されている、第3の基準PIDのデータを選択して読み込む。この第3の基準PIDは、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度をPID制御するときの基準となる、PID定数である。
【0088】
ST306;スロットル弁71の開度Saを検出する。
ST307;走行用電動モータ21L,21Rの回転速度に、予め設定された一定の速度制限を設ける。第3の制御モードにおいては、第1・第2制御モードに比べて、より安定した走行をしつつ、より丁寧な除雪作業をするために、走行部11L,11Rの走行速度を半分程度に制限するように、電動モータ21L,21Rの回転速度を制限することにした。
ST308;メモリ63に記憶されている、図12に示す第3の負荷制御マップを選択して読み込む。
【0089】
ここで、図12に基づき第3の負荷制御マップについて説明する。
図12は本発明に係る第3の負荷制御マップの説明図であり、縦軸をスロットル弁の開度Sa(%)とし、横軸を走行部の減速度Rd(%)として、開度Saに対応する減速度Rdを得る、第3の負荷制御マップを示す。
この第3の負荷制御マップの特性は、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)の減速度Rdが増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では大きく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では小さく設定したことを特徴とする。
【0090】
詳しく述べると、スロットル弁71の開度Saにおいて、開度Sa3は0%(全閉)より大きく、開度Sa4は開度Sa3より大きく且つ100%(全開)より小さい。開度Sa3のときに減速度Rdを0%、開度Sa4のときに減速度をRd4、開度100%のときに減速度を100%に設定した。
【0091】
開度SaがSa3からSa4まで増大する直線の前半特性線Q3の勾配は緩く、開度SaがSa4から100%まで増大する直線の後半特性線Q4の勾配はきつい。つまり、第3の負荷制御マップの特性は、特性線Q3,Q4により、図12において概ね下方へ凸となる湾曲した曲線状の特性である。
【0092】
このように、開度Saが0%からSa4へ増大するまでの前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。一方、開度SaがSa4から100%へ増大するまでの後半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。
第3の負荷制御マップによれば、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下することに伴い、スロットル弁71の開度Saを増すことになるので、この結果、開度Saの増加に応じて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度(つまり、走行部11L,11Rの走行速度)を強めに減速させることができる。
【0093】
図11に戻って説明を続ける。
ST309;目標回転数Esに基づいてエンジン14の回転速度を制御する。
ST310;目標走行速度Ms、第3の基準加・減速度、第3の基準PID、第3の負荷制御マップ、走行速度の制限に基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御した後に、図6のST07にリターンする。
このST310では、負荷の増大に応じてエンジン14の実回転数Neが低下してきたら、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度、つまり、走行部11L,11Rの走行速度を「第3の負荷制御マップ」に基づいて減速させる。
【0094】
ところで、上記ST105,ST205,ST304に示す、基準となる加速度及び減速度の定数については、次の通りである。
第2の基準加速度及び第2の基準減速度を標準とし、第1の基準加速度及び第1の基準減速度を第2の基準加・減速度より大きく設定し、第3の基準加速度及び第3の基準減速度を第2の基準加・減速度より小さく設定した。
つまり、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度が、第1の制御モードでは高速、第2の制御モードでは中速、第3の制御モードでは低速となるように、基準となる加速度及び減速度の定数を設定した。
【0095】
また、走行速度のPID制御(比例動作、積分動作及び微分動作の3つの動作を含む制御方式)で用いるPID定数については、第1の制御モード及び第2の制御モードのレスポンス(応答)が速く、これに対して、第3の制御モードのレスポンスが遅くなるように、上記ST106,ST206,ST305で設定した。
【0096】
第1〜第3の制御モードにおけるエンジン14の回転数Neの調整については、次の通りである。
第1の制御モードにおいては、オーガスイッチ45のオン・オフにかかわらず、スロットルレバー52を手動操作することにより、エンジン14の回転数Neを任意に調整することができる。なお、オーガスイッチ45がオンであるときだけ、手動操作によりエンジン14の回転数Neを調整可能としてもよい。
【0097】
第2の制御モードにおいては、オーガスイッチ45がオフであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の低速値で維持し、また、オーガスイッチ45がオンであるときに、スロットルレバー52を手動操作することにより、エンジン14の回転数Neを任意に調整することができる(最大値はエンジン14の最大動力にほぼ対応する)。
【0098】
第3の制御モードにおいては、オーガスイッチ45がオフであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の低速値で維持し、また、オーガスイッチ45がオンであるときに、エンジン14の回転数Neを予め設定された一定の高速値(エンジン14の最大トルクにほぼ対応する高速値)で維持する。
【0099】
以上の説明から明らかなように、除雪負荷と走行速度との関係を考慮して、オーガスイッチ45がオンのときだけ、各負荷制御マップに基づいて走行部11L,11Rの走行速度を制御するようにした。
【0100】
図13は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その5)であり、上記図6のステップST08に示す第4の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
ST401;エンジン14を停止させる(停止状態で維持させることを含む。)。
【0101】
ST402;各スイッチのスイッチ信号を読み込む。例えば、走行準備スイッチ42aのスイッチ信号、モード切替スイッチ51のスイッチ信号、方向速度レバー53の操作方向並びに操作量Ropを読み込む。
方向速度レバー53の操作方向並びに操作量Ropは、方向速度レバー53のポジションにより定まる。すなわち、方向速度レバー53から制御部61に発した、電動モータ21L,21Rの走行目標速度指令を読み込む。
【0102】
ST403;走行準備スイッチ42aがオンであるか(すなわち、走行準備レバー42を握ったか)否かを調べ、YESならST404に進み、NOならST407に進む。
ST404;方向速度レバー53の操作方向が「前進位置」又は「後進位置」にあるか否かを調べ、YESならST405に進み、NOならST407に進む。
ST405;方向速度レバー53の操作量Ropから、走行用電動モータ21L,21Rの目標走行速度Msを求める。
【0103】
ST406;目標走行速度Msに基づいて、走行用電動モータ21L,21Rの回転速度を制御する。
ST407;走行用電動モータ21L,21Rを停止させる。
ST408;モード切替スイッチ51の切替位置が第4制御位置P4にあるか否かを調べ、YESならST402に戻り、NOならST409に進む。
ST409;エンジン14を自動的に始動させた後に、図6のST08にリターンする。
【0104】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
作業機10(除雪機10)は、機体19に備えた作業部13(除雪作業部13)を駆動するエンジン14と、機体19を走行させる走行部11L,11Rの走行速度を可変する電動モータ21L,21Rと、これらのエンジン14並びに電動モータ21L,21Rを関連させて走行速度を制御する制御部61とを備えた作業機10であって、制御部61は、複数の制御モードに基づいて、エンジン14の出力及び走行部11L,11Rの走行を制御するものである。
【0105】
上記複数の制御モードは、エンジン14の回転数Neを基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、エンジン14用のスロットル弁71における開度Saの増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、エンジン14を停止させた状態で走行部11L,11Rをバッテリ62から供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなることを特徴とする。
【0106】
本発明は、これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチ51(モード切替スイッチ51)によって切り替えるように構成したことを特徴とする。
【0107】
従って、4つの制御モードに次のような用途がある。
第1の制御モードは、エンジン14の回転数を基に手動操作にて制御する、いわゆる、手動モードである。
作業部13にかかる負荷が増大した場合には、エンジン14の回転数Neが低下する。作業者は、回転数Neの低下を知覚することによって、負荷が増大したと認識できる。従って、作業者はスロットル弁71の開度Saを手動で適宜増加させて、エンジン14の回転数Neを維持させればよい。つまり、第1の制御モードは、エンジン14の回転数Neによる負荷制御のみを行うものであり、作業者にとって、負荷のきっかけが判ればよい場合に、用いることができる。制御部61の介入が少ないので、作業者の意志を十分に反映することができる。
このように、負荷の状況の変化に応じて、作業者が作業機10を自由に操作したい場合には、第1の制御モードを選択することが好適である。作業に慣れている上級作業者は、第1の制御モードを選択すればよい。
【0108】
第2の制御モードは、スロットル弁71における開度Saの増加量に対して走行速度を緩やかに減少させるように制御する、いわゆる、パワーモードである。
作業部13にかかる負荷が増大した場合には、エンジン14の回転数Neが低下する。これに対して、作業者がスロットル弁71の開度Saを増加させることにより、エンジン14の回転数Neを維持させることができる。つまり、エンジン14の動力で除雪作業部13を駆動可能である間は、制御部61による介入が少ない。
【0109】
第2の制御モードでは、スロットル弁71における開度Saの増加量に対して、走行速度を緩やかに減少させるように制御する。従って、除雪作業部13にかかる負荷が増大したにもかかわらず、走行速度の減少を抑制することができる。このように、除雪作業部13にかかる負荷が増大しても、走行速度を大きく下げたくない場合には、第2の制御モードを選択することが好適である。つまり、安定した走行速度で比較的丁寧な作業をすることができる。作業を迅速に効率良く行いたい作業者や、作業にある程度慣れている中級作業者は、第2の制御モードを選択すればよい。
第2の制御モードでは、スロットルレバー52を操作してエンジン14の回転数Neを増減させることにより、シュータ29からの投雪距離を調節することもできる。
【0110】
第3の制御モードでは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度を第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する、いわゆる、オートモード(自動モード)である。
例えば、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときに、スロットル弁71の開度Saを自動的に増加させることで、エンジン14の回転数Neを維持させることができる。この場合には、開度Saの増加量に対して走行速度が大きく減速する。このように、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときに、これに対応して走行速度は大きく減速する。走行速度を遅くしてもよいから、除雪作業部13にかかる負荷を抑制したい場合には、第3の制御モードを選択することが好適である。つまり、丁寧な作業をすることができるとともに、操作が簡単で使い勝手が良い。作業に不慣れな初心者は、第3の制御モードを選択すればよい。
【0111】
第4の制御モードでは、エンジン14を停止させた状態で走行部11L,11Rを作動させるように制御する。つまり、エンジン14を停止させた状態で走行用電動モータ21L,21Rを作動させるように制御することで、この結果、走行部11L,11Rの走行速度を制御することができる。エンジン14を運転することなく走行部11L,11Rだけを運転して、作業機10を一時的に短距離だけ走行させることができる。
【0112】
エンジン14を運転する作業は不要である。走行部11L,11Rだけを運転すればよいので、運転作業を簡単にすることができ、作業機10の取り扱い性をより高めることができる。さらには、必要以上にエンジン14を運転する必要がないので、エンジン14の耐久性をより高めることができるとともに、エンジン14を運転するための燃料等の消費量をより節減することができる。さらにまた、エンジン14を停止させるので、作業機10を移動させるときの静粛性を、より一層高めることができる。
【0113】
このように制御部61の制御モードを、(1)慣れている上級者が使う手動操作式の第1の制御モードと、(2)ある程度慣れている中級作業者が使う半自動式の第2の制御モードと、(3)不慣れな初心者が使う自動式の第3の制御モードと、(4)エンジンを停止させた状態で走行部を作動させる第4の制御モードとの、4つのモードに設定したものである。
【0114】
第1から第3までの制御モードを適宜選択することにより、1台の作業機10を初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができる。また、第4の制御モードを選択することにより、エンジン14を運転することなく、作業機10を自由に走行させることができる。
【0115】
さらには、単一の手動式切替スイッチ51によって、第1から第4までの制御モードを適宜選択して自由に切り替え操作するだけなので、モード切替操作が簡単である。
すなわち、第1から第4までの各制御モードの特性上からみて、いずれも除雪作業部13を駆動中に他の制御モードに切り替えることはない。つまり、いずれか1つの制御モードで作業を続行するものである。このため、これら4つの制御モードの切替操作をする機能を、単一の手動式切替スイッチ51に集約することができる。しかも、手動式切替スイッチ51には、4つの制御モードの切替機能という、単一の機能だけを備えればよい。このようなことから、作業者にとって、第4の制御モードへの切替え操作をはじめ、複数の制御モードへの切替え操作の識別が容易であり、この結果、切替え操作性をより高めることができる。また、第4の制御モードに切り替えるための、別のスイッチを設ける必要はなく、部品数を削減することができる。
【0116】
さらに本発明は、第1の制御モードは、エンジン14の回転数Neの低下に応じて走行速度の減速度を増すように設定したモードであり、
第2の制御モードは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度の減速度が増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では小さく設定するとともに、開度Saが大きい後半の開度域では大きく設定したモードであり、
第3の制御モードは、スロットル弁71の開度Saの増加量に対して、走行速度の減速度が増す割合を、開度Saが小さい前半の開度域では大きく且つ開度Saが大きい後半の開度域では小さく設定したモードであることを特徴とする。
【0117】
従って、第1、第2、第3の各制御モードを任意に選択することによって、作業者の好みに応じた作業内容にすることができる。すなわち、
第1の制御モードは、負荷が過大になったことを、作業者に喚起するだけのモードであるから、エンジン14の回転数Neの低下に応じて、走行速度の減速度を増すだけでよい。第1の制御モードを選択したときには、除雪作業部13にかかる負荷が過大になると、エンジン14の回転数Neが低下し、これに応じて走行速度の減速度が増す。作業者は、減速したことを知覚することによって、負荷が過大になったと認識できる。作業者は負荷の状況の変化に応じて、作業機10をより自由に操作することができる。
【0118】
第2の制御モードを選択したときには、現在の走行速度を余り減少させることなく(つまり、作業機10を概ね現在の走行速度で走行させつつ)、スロットル弁71の開度Saを増して、エンジン能力の限界近くまで作業部に大きい負荷をかけ続けることができる。この結果、作業を迅速に効率良く行うことができる。
【0119】
第2の制御モードを選択したときについて、より具体的に説明する。図10に示す第2の負荷制御マップのように、スロットル弁71の開度Saが0%から全開に近いSa2まで変化しても、減速度Rdは0%からRd2までしか変化しない。つまり、前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は小さい。開度Saが、全開に近いSa2から100%まで変化する領域、つまり、後半の開度域に入ってから、開度Saの変化に対して減速度Rdが大きく変化する。
【0120】
例えば、除雪機10においては、エンジン14が高速回転するほどオーガ27及びブロア28が高速回転するので、オーガ27で雪を掻き集める能力が増すとともに、掻き集めた雪をブロア28によってシュータ29を介して遠くへ飛ばす能力が増す。この結果、除雪作業部13の処理能力が増す。エンジン14を高速回転させるには、スロットル弁71の開度Saを増せばよい。開度Saを大きく増しても、減速度Rdが増す割合は小さい。このように、エンジン14にかかる負荷が増大しても、除雪機10の走行速度を余り減速させなくてすむ。
除雪機10を概ね現在の走行速度で走行させつつ、スロットル弁71を大きく開けて、エンジン14の能力の限界近くまで除雪作業部13に大きい負荷をかけ続けることができる。この結果、除雪作業を迅速に効率良く行うことができる。
【0121】
第3の制御モードを選択したときには、スロットル弁71の開度Saが少し増しただけで、作業機10の現在の走行速度は大きく減少する。この結果、除雪作業部13にかかる負荷は抑制される。従って、エンジン14の負担を軽減することができる。
【0122】
第3の制御モードを選択したときについて、より具体的に説明する。図12に示す第3の負荷制御マップのように、スロットル弁71の開度Saが0%からSa4まで変化したときに、減速度Rdは0%から100パーセントに近いRd4まで変化する。つまり、前半の開度域では、開度Saの増加量に対する減速度Rdが増す割合は大きい。開度Saが、全開に近いSa4から100%まで変化する領域、つまり、後半の開度域に入ってから、開度Saの変化に対して減速度Rdの変化は比較的小さい。開度Saが100%のときには、減速度Rdも100%になるので、作業機10は走行を停止する。
【0123】
例えば、除雪機10においては、高速走行であるほど除雪作業部13で処理しなければならない除雪量が増大する。つまり、除雪作業部13にかかる負荷が増大する。これに対応して、より安定した除雪作業をするには、(1)スロットル弁71の開度Saを増してエンジン14の回転数Neを維持させる方法と、(2)除雪機10の走行速度を下げて負荷を低減する方法がある。
【0124】
そこで、第3の制御モードを選択した場合、除雪作業部13にかかる負荷が増大したときには、スロットル弁71の開度Saを増加させるとともに、その増加量に応じて除雪機10の走行速度を大きく下げるようにした。除雪機10の走行速度を下げてもよいから、除雪作業部13にかかる負荷の増大並びに変動を抑制することで、より安定した丁寧な除雪作業をすることができる。しかも、エンジン14に過大な負荷をかけないので、燃費を高めることができる。
【0125】
このように使い勝手に即した最適な制御を行うことができる。従って、作業機10を初心者から上級作業者まで、どんな作業者であっても、より操作し易い作業機とすることができる。
【0126】
さらに本発明は、除雪作業部13を、オーガ27並びにブロア28からなる除雪作業部としたので、走行部11L,11Rの速度調整やエンジンの回転数調整を、除雪作業の初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に操作できる。
【0127】
さらに制御部61は、作業機10のための主電源スイッチ44がオンであるという条件、つまりメインスイッチ44をオン位置ONに合わせたという条件(図6のST02)と、手動式切替スイッチ51によって前記第4の制御モードに切り替えたという条件(図6のST04)との、2つの条件を満たしたときに、エンジン14を停止させる(停止状態を維持する場合を含む。)ように制御する(図13のST401)構成であることを特徴とする。
【0128】
主電源スイッチ44がオンの状態で、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードに切り替えることで、エンジン14を自動的に停止させることができる。第4の制御モードに切り替えるだけでエンジン14が自動的に停止するので、作業者がエンジン停止操作を行う必要がない。従って、作業機の使い勝手が、より高まる。
【0129】
例えば、作業機10を走行しつつエンジン14で作業部13を駆動して作業を行った後に、手動式切替スイッチ51で第4の制御モードに切り替えるだけで、エンジン14が自動的に停止する。しかも、エンジン14が停止しても走行部11L,11Rの走行を中断することなく、そのまま、作業機10を任意の場所まで移動させることができる。従って、作業機10の使い勝手がより高まるとともに、作業効率がより高まる。
【0130】
さらに制御部61は、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードから他の第1・第2・第3の制御モードに切り替えたという条件(図13のST408)を満たしたときに、エンジン14を自動的に始動させる(図13のST409)ように制御する構成であることを特徴とする。
【0131】
手動式切替スイッチ51で第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたときに、エンジン14を自動的に始動させることができる。作業者がエンジン始動操作を行う必要がない。従って、作業機10の使い勝手が、より高まる。
【0132】
次に、上記図13に示す第4の制御モードの変形例について図14に基づき説明する。
図14は本発明に係る変形例の制御部の制御フローチャートであり、上記図13の代わりに、上記図6のステップST08に示す第4の制御モードを具体的に実行するためのサブルーチンを示す。
なお、図14に示す変形例の制御部61の制御フローチャートは、図13に示すステップのうち、ST401〜ST408が同一であり、ST409の代わりにST501〜ST505を実行することを特徴とする。ST401〜ST407については説明を省略する。
【0133】
ST408;モード切替スイッチ51の切替位置が第4制御位置P4にあるか否かを調べ、YESならST402に戻り、NOならST501に進む。
ST501;制御部61から報知器58(図2参照)に、エンジン始動要求の報知信号を発する。この結果、報知器58はエンジン14を始動させるように作業者に報知する。なお、報知器58は表示器や報音器からなり、操作ボックス41に配置すればよい。
【0134】
ST502;メインスイッチ44のスイッチ信号を読み込む。
ST503;メインスイッチ44の操作位置を判断する。操作位置がオフ位置OFFであればST504に進み、操作位置がスタート位置STであればST505に進み、操作位置がオン位置ONであればST502に戻る。
ST504;報知器58をオフにした後に、図6のST08にリターンする。
ST505;作業者がメインスイッチ44をスタート位置STに操作したので、スタート位置STの信号を受けてエンジン14を始動させた後に、図6のST08にリターンする。なお、作業者は、エンジン14の回転が安定した後に、メインスイッチ44の操作位置をオン位置ONに切換えればよい。
【0135】
この変形例については、上記図1〜図13に示す実施例の作用、効果を奏するとともに、更に次の作用、効果を有する。
すなわち制御部61は、手動式切替スイッチ51によって第4の制御モードから他の第1・第2・第3の制御モードに切り替えたという条件(図14のST408)と、エンジンを始動操作したという条件(図14のST503)との、2つの条件を満たしたときに、エンジン14を始動させる(図14のST505)ように制御する構成であることを特徴とする。
【0136】
手動式切替スイッチ51で第4の制御モードから他の制御モードに切り替えるとともに、エンジン14を始動操作することによって、エンジン14を始動させることができる。作業者は、第4の制御モードから他の制御モードに切り替えたことを確認した後に、エンジン14を始動操作することができるので、他の制御モードに切り替わったことを、より明確に認識することができる。
【0137】
なお、上記各制御フローにおいて、左右の電動モータ21L,21Rの駆動制御方式は、例えば、モータ端子にパルス電圧を供給するパルス幅変調方式(PWM方式)である。制御部61の制御信号に応じて、モータドライバ84L,84Rはパルス幅が制御されたパルス信号を発して、電動モータ21L,21Rの回転を制御することができる。
【0138】
なお、本発明は実施の形態では、作業機10は走行速度に応じて作業部13にかかる負荷が増大するものであればよく、オーガ式除雪機に限定されるものではない。
【0139】
また、走行部11L,11Rの駆動源は電動モータ21L,21Rに限定されるものではなく、例えばエンジン14を駆動源とし、エンジン14の動力を静油圧式無断変速機を介して走行部11L,11Rに動力を伝達する構成であってもよい。静油圧式無断変速機は、入力軸から取り入れた動力に対して、左右の出力軸の回転を独立して正転、逆転、停止させることが可能な周知の無断変速機である。
つまり、電動モータ21L,21Rは、走行部11L,11Rの走行速度を可変する構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の作業機10は、作業部13をエンジン14で駆動するとともに、走行部11L,11Rの走行速度を電動モータ21L,21Rで可変するようにし、エンジン14並びに電動モータ21L,21Rを関連させて走行速度を制御するものであって、走行速度に応じて作業部13にかかる負荷が増大する自走式作業機である。このような作業機10は、前進走行しつつ前部のオーガで雪を掻き集めて除雪するオーガ式除雪機に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明に係る除雪機(作業機)の側面図である。
【図2】本発明に係る除雪機の模式的平面図兼制御系統図である。
【図3】本発明に係る操作部の斜視図である。
【図4】本発明に係る操作部の平面図である。
【図5】本発明で採用した方向速度レバーの作用説明図である。
【図6】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。
【図7】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)である。
【図8】本発明に係る第1の負荷制御マップの説明図である。
【図9】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)である。
【図10】本発明に係る第2の負荷制御マップの説明図である。
【図11】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その4)である。
【図12】本発明に係る第3の負荷制御マップの説明図である。
【図13】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その5)である。
【図14】本発明に係る変形例の制御部の制御フローチャートである。
【図15】従来のオーガ式除雪機の模式図である。
【符号の説明】
【0142】
10…作業機(除雪機)、11L,11R…走行部、13…作業部(除雪作業部)、14…エンジン、19…機体、21L,21R…電動モータ、27…オーガ、28…ブロア、44…主電源スイッチ(メインスイッチ)、51…手動式切替スイッチ(モード切替スイッチ)、61…制御部、62…バッテリ、71…スロットル弁、Ne…エンジンの回転数(実回転数)、P1…第1制御位置、P2…第2制御位置、P3…第3制御位置、P4…第4制御位置、Rd…減速度、Sa…スロットル弁の開度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に備えた作業部を駆動するエンジンと、前記機体を走行させる走行部の走行速度を可変する電動モータと、これらのエンジン並びに電動モータを関連させて前記走行速度を制御する制御部とを備えた作業機であって、前記制御部は、複数の制御モードに基づいて、前記エンジンの出力及び前記走行部の走行を制御する作業機において、
前記複数の制御モードは、
前記エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、
前記エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して前記走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、
前記スロットル弁の開度の増加量に対して前記走行速度を前記第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、
前記エンジンを停止させた状態で前記走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなり、
これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチによって切り替えるように構成したことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記制御部は、前記作業機のための主電源スイッチがオンであるという条件と、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードに切り替えたという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記エンジンを停止させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記制御部は、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードから前記他の制御モードに切り替えたという条件を満たしたときに、前記エンジンを自動的に始動させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記制御部は、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードから前記他の制御モードに切り替えたという条件と、前記エンジンを始動操作したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記エンジンを始動させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の作業機。
【請求項1】
機体に備えた作業部を駆動するエンジンと、前記機体を走行させる走行部の走行速度を可変する電動モータと、これらのエンジン並びに電動モータを関連させて前記走行速度を制御する制御部とを備えた作業機であって、前記制御部は、複数の制御モードに基づいて、前記エンジンの出力及び前記走行部の走行を制御する作業機において、
前記複数の制御モードは、
前記エンジンの回転数を基に手動操作にて制御する第1の制御モードと、
前記エンジン用のスロットル弁における開度の増加量に対して前記走行速度を緩やかに減少させるように制御する第2の制御モードと、
前記スロットル弁の開度の増加量に対して前記走行速度を前記第2の制御モードの場合よりも大きく減少させるように制御する第3の制御モードと、
前記エンジンを停止させた状態で前記走行部をバッテリから供給される電力によってのみ作動させるように制御する第4の制御モードとからなり、
これらの第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モード及び第4の制御モードを、手動式切替スイッチによって切り替えるように構成したことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記制御部は、前記作業機のための主電源スイッチがオンであるという条件と、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードに切り替えたという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記エンジンを停止させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記制御部は、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードから前記他の制御モードに切り替えたという条件を満たしたときに、前記エンジンを自動的に始動させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記制御部は、前記手動式切替スイッチによって前記第4の制御モードから前記他の制御モードに切り替えたという条件と、前記エンジンを始動操作したという条件との、2つの条件を満たしたときに、前記エンジンを始動させるように制御する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−45293(P2007−45293A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230706(P2005−230706)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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