作業車の走行装置
【課題】 後車軸部に三角形態に張設するクローラを設けて湿田走行する形態の作業車では、接地圧を小さくして車体の沈下や走行スリップを少くして走行性を良好に維持することができるが、圃場の畦際等で旋回操向するときは、クローラの接地部の土壌面上の旋回によて、接地面を掻き回して荒すこととなり、大きい旋回抵抗を生じることとなる。
【解決手段】 車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置の構成とする。
【解決手段】 車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クローラを有した作業車体のローリングやピッチング調整等を円滑に行わせる作業車の走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪軸端のスプロケットにクローラを略三角形態に巻掛けて、車体に対してローリング、及びピッチング可能に構成する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2003ー23819号公報(第1頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
後車軸部に三角形態に張設するクローラを設けて湿田走行する形態の作業車では、接地圧を小さくして車体の沈下や走行スリップを少くして走行性を良好に維持することができるが、圃場の畦際等で旋回操向するときは、クローラの接地部の土壌面上の旋回によて、接地面を掻き回して荒すこととなり、大きい旋回抵抗を生じることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置の構成とする。作業車体1はスプロケット3の回転によってクローラ6を駆動して、前転輪4と後転輪5との間のクローラ6の接地部7を、土壌面に接地回転して推進し、操向することができる。このときクローラ6の接地7を伸縮するときは、前転輪4、又は後転輪5の前後移動することによって、これら前転輪4と後端輪5との前後間隔が変更されて、接地部7の接地長さLが短縮されたり、伸長されることとなる。この接地長さLの短縮によって、クローラ6における接地圧は大きくなるが、旋回時の接地面との間の接地抵抗長さが短くなり、旋回し易くなり、地面を掻荒しを少くする。又、接地長さLの伸長によって、接地圧を小さくして、車体1直進時における駆動推進性及び直進性をよくすることができる。このような接地部7の接地長さLの変更は前転輪4、又は後転輪5の接地部7の長さ方向に沿って前後に移動して行うため、移動変更の構成、操作を簡単にすることができ、抵抗を少くして、円滑に的確に行わせる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記クローラ6は、後輪軸2上のスプロケット3に対して前転輪4及び後転輪5を上下に移動させて、接地部7の接地高さHを変更可能に設けたことを特徴とするものである。クローラ6の接地部7の接地長さLを調節、変更するとき、これら前転輪4、後転輪5部に巻掛けたクローラ6の接地部7を上下に移動させて、三角形状のクローラ6の巻掛けの緩みを吸収することができる。又、車高である接地高さHを高、低に調節、変更するときは、接地部7を平行状態にして上下移動するため、クローラ6の脱輪を少くして円滑な高さ変更を行わせる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、クローラ6の接地部7の前、後端部を巻掛ける前転輪4、又は後転輪5を前後に移動することによって、この接地部7の接地長さLを長短に調節、又は変更させるものであるから、この接地長さLの変更調節を簡単な構成で、容易に行うことができる。又、この接地長さLの変更調節によって直進走行や旋回操向等に応じた形態とすることができる。とくに直進走行時等には、接地面7の長さLを長くすることにより、接地圧を小さくして駆動推進性を高めることができ、旋回操向時等では、接地面7の接地長さLを短かくすることによって土壌面の掻荒しや、旋回抵抗を小さくすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、クローラ6の接地部7の接地長さLを変更するときは、この接地部7の接地高さHの変更によって、クローラ6の緩みを吸収して、クローラ6の脱輪等を少くすることができ、この接地部7が前転輪4と後転輪5等と共に上下動することによって接地高さHが調節されるため、構成、及び操作を簡単化することができる。又、車体1の畦越えや路上走行時等にように通常の作業走行時以外の特別に車高等の調節が必要なときは、前記接地長さLの変更に拘らずこの接地高さHの変更を行うことができ、走行性、操作性をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図2に基づいて、作業車体1を乗用走行形態の苗植機として例示する。車体1は、ダッシュボード10上のステアリングハンドル11によって操向連動する左右一対の前輪12と、後端部の後輪軸2の外側端部に設けられるクローラ6とを有して、運転席13下のエンジン14によって伝動駆動して走行することができる。15は車体1上のステップフロア、16はこの前端部上に設けた補助苗受枠、17は操向指針のためのセンタマーカである。この車体1後部のリヤフレーム18には、平行リンク形態のリフトリンク19が設けられ、このリフトリンク19後端のヒッチリンク20に、苗植フレーム21のローリング軸22がローリング回動可能に連結される。
【0009】
この苗植フレーム21には、下側のセンタフロート23、サイドフロート24が、後部のフロート軸25の周りに上下回動自在にして支持される。フレーム21の後部には、各フロート23、24による均平土壌面に苗植付けする苗植爪26が略楕円形状の苗植付軌跡線Dを描いて植付作動するように構成される。又、上部には、後下がり傾斜の苗タンク27が各植付条の苗植爪26に対向して設けられ、長方形状のマット形態に育苗されたマット苗を収容して、左右に往復移動しながら後下部の苗分離口28を配置する苗案内枠29に向けて繰出すことができる。このような苗植装置30は、車体1後部のリフトシリンダ31の伸縮によってリフトリンク19が上下回動されることにより昇降される。又、該センタフロート23が土壌面上を滑走して上下揺動すると、このセンタフロート23によりリフトシリンダ31の油圧回路の昇降制御弁を切替えて、苗植装置30を昇降し、土壌面の深さ変化に拘らず各フロート23、24の沈下度を一定に維持して、苗植付深さを一定に維持するように構成している。32は車体1後端部のPTO軸で車体1側から苗植装置30側を伝動するように構成している。
【0010】
前記後輪軸2を軸装するリヤアクスルハウジング35の周りには、前後回動自在のクローラブラケット36を設け、このクローラブラケット36には上下方向に伸縮する車高(接地高さ)変更シリンダ37を設ける。この車高変更シリンダ37の下端部には前後方向に沿う接地長さ変更シリンダ38の中間部を固着し、この前後に伸縮作動する前、後ピストン39、40の前、後端部に前転輪4、後転輪5を回転自在に軸支する。前記後輪軸2の外端部に固定するスプロケット3を頂部として、これら下方前後底辺頂部の前転輪4と後転輪5との間にわたってゴム材を主体として成形されるクローラ6を巻掛けて略三角形態のクローラ走行後車輪を構成する。該クローラブラケット36と車体1フレームとの間には伸縮可能の傾斜シリンダ41を設けて、この伸縮によって接地長さ変更シリンダ38や、前、後転輪4、5を一体として、後輪軸2の周りに前後へ回動させて、クローラ6の接地部7の前後傾斜を制御することがでる。このようなクローラ7および各シリンダ37、38、41等は後輪軸2の左右両側端部に独立的に構成される。
【0011】
各シリンダ37、38、41等は油圧回路による電磁バルブの出力によて油圧伸縮される制御構成とする。クローラ6の接地部7の接地長さLを変更するときは、接地長さ変更シリンダ38に対する油圧の給排によって前、後ピストン39、40を同時伸縮作動させ、前転輪4と後転輪5を前後対称状に作動させて、接地長さLを長、短に変更する。又、このクローラ6の接地部7を上下動させて車体1後部の接地高さHを変更調節するときは、クローラブラケット36に対して下方向きに固定された車高変更シリンダ37を伸縮することによって昇降される。このとき接地長さ変更シリンダ38と一体的に前、後転輪4、5が平行状態に昇降される。又、これら車高変更シリンダ37、及び接地長さ変更シリンダ38と共に接地部7の前傾斜角を変更調節するときは、傾斜シリンダ41の伸縮によって行わせることができる。
【0012】
前記車高変更シリンダ37の伸縮と、接地長さ変更シリンダ38の伸縮との関係は、クローラ7の長さの垂みをなくするために、特別のクローラ張圧転輪や、クローラテンションガイド等を設けない形態では、一定の関係のもとに相互伸縮制御する構成とすることができる。接地長さ変更シリンダ38によって接地長さLを長くするときは、車高変更シリンダ37を短縮して接地高さHを低くし、また、この長さLを短かくするときは高さHを高くするように調整する。又、逆に車高変更シリンダ37で接地高さHを高、低に変更するときも、接地長さ変更シリダ38によって接地部7の長さLを短、長に変更調整する。
【0013】
このようなクローラ7の走行において、旋回操向制御を行うには、図3のように、このコントローラ45の入力側にステアリングハンドル11の切れ角を検出するハンドル切れ角センサ46を設け、出力側には、左、右クローラ7の接地長さ変更シリンダ38と、車高変更シリンダ37を設ける。車体1が旋回するときは、このハンドル切れ角センサ46が一定以上の切れ角を検出することによって、左右のクローラ6の接地部7の接地長さLが短くなると共に、接地部7が下降して接地高さHが高くなる。このように車体1の旋回操向時に左右クローラ6の接地長さLを短かくすることによってクローラ6の旋回が円滑に行われ、接地抵抗を少なくして、接地部7による接地土壌面に掻き荒すことが少くなる。
【0014】
又、左右の旋回操向方向に応じて、この旋回側のクローラ6のみを制御する形態では、図4の制御フローに従って、ハンドル切れ角センサ46が検出する左、又は右の旋回操向側のクローラ6の接地長さL等が変更制御され、旋回外側のクローラ6の接地長さLは短縮されない。この場合は旋回内側のクローラ6の接地高さHが高くなるため、車体1が内側に傾斜しないように支持されて、略内外水平状の姿勢を維持するように働く。
【0015】
次に、車体1のローリング、又はピッチング制御によって、走行耕盤の左右傾斜、又は前後傾斜に拘らず車体1を左右、又は前後水平状の姿勢に制御する水平制御形態では、図6のように、コントローラ45の入力側に、車体1の左右方向の傾斜角を検出する左右傾斜角センサ50、車体1の前後方向の傾斜角を検出する前後傾斜角センサ51を設ける。車体1が例えば左側へ傾斜したことを傾斜センサ50が検出すると、左側クローラ6の車高変更シリンダ37が伸長されて、車体1の左側を上げて左右水平状の姿勢に戻すように左右水平(ローリング)制御する。このとき左側のクローラ6は伸びる必要があるから左側の車高変更シリンダ37の伸長と同時に、左側の接地長さシリンダ38が短縮されて(図5参照)、クローラ6の張圧調整が行われる。又、車体1が耕盤の凹凸等によって前後方向へ傾斜したとき、水平状姿勢に戻すように前後水平(ピッチング)制御する場合は、前後傾斜角センサ51の検出によって、左右の車高変更シリンダ37を同時に伸縮させて、車体1を前後水平状態に戻す。このとき既にローリング制御によって左右の車高変更シリンダ37の伸長量が異なることがあるが、この走行条件が変らないときは、この車高変更シリンダ37の伸長差を保持した状態で前後傾斜角センサ51による制御量だけ伸縮されて、ピッチング制御される。
【0016】
次に、主として図7に基づいて、前記クローラ6の前後傾斜角度を変えて車体1を前後水平状に維持制御する形態では、左右の傾斜シリンダ41を前後傾斜角センサ51の検出によって作動制御させる。クローラ6の接地部7は土壌耕盤面に平行状に沿う状態で走行されるが、このクローラ6が大きい凹地等において陥没して車体1が大きく後下りに傾斜すると、前後傾斜角センサ51の検出により傾斜シリンダ41が伸縮されて、クローラ6の接地部7の前転輪4、又は後転輪5部近くで支持するように作動して、前記接地高さHが高くなると同様形態となり、車体1の後端部が持ち上げられて、前後水平状態に制御される。
【0017】
次に、主として図8に基づいて、前記苗植作業機により、圃場の四角部において略直角状方向に操向を行う場合に、操向の内側のクローラ6、又はこのクローラに代えて設けられる車輪を逆回転させて、スピンターン操向させるもので、機体を前進位置から一端後退させて畦際に接近させる前進、後退の繰返し操作を少くして、圃場角部に沿って的確な操向を行わせるものである。このため、操向制御のコントローラ55の入力側に、スピンターンモードの操向を行わせるためのスピンターンスイッチ56や、前記ハンドル切れ角センサ46、及び畦際に接近して走行することを検出する畦際センサ57等を設ける。
又、出力側には、前記クローラ6の後輪軸2を正、逆転駆動するための左右の走行モータ58、及び前記苗植装置30を昇降するリフトシリンダ31の油圧回路における昇降バルブモータ59等を設ける。スピンターンスイッチ56をONした状態で機体が圃場角部及び畦際に達して、畦際センサ57が検出すると共に、ハンドル切れ角センサ46が角部の操向角を検出すると、操向の外側のクローラ6の正回転駆動に対して内側のクローラ6が走行モータ58の逆回転駆動によって逆転されて、スピンターンモードの操向が行われ、角部畦際の残代を少くして急旋回操向される。同時に昇降バルブモータ59が出力されて、苗植装置30が上昇されて、フロート23、24が土壌面から離れる。この状態で機体がスピンターン操向されるために、フロート23、24が土壌面を掻き振うことなく、操向抵抗を小さくし、又畦に衝突しないようにして操向することができ、機体を一旦後退させないで直ち操向後の苗植前進状態にすることができる。又、前記スピンターンスイッチ56をOFFに操作しているときは、圃場角部の操向においても、苗植装置30が上昇されないため、フロート23、24によって土壌面が掻き均らされる。
【0018】
なお、前記車体1の前輪12、及びクローラ6による走行装置に代えて、車体1の前後にわたって掛けわたされる単に左右一対のクローラのみを設けて、各々走行モータ58で駆動して走行する構成とすることもできる。
【0019】
次に、主として図9〜図11に基づいて、前記車体1の苗植装置30に代えて除草剤散布装置61等の除草機を設けて、超低速走行作業する形態の変速操作装置の構成を説明する。リフトリンク19のヒッチリンク20部に設けられる除草剤散布装置61は、繰出装置62の上部に除草剤を収容するタンク63を有し、このタンク63の除草剤を繰出しながら放出ホース64から苗植土壌面へ施用することができる。前記車体1には、車速を主変速操作するベルコンレバー65と、副変速操作する超低速レバー66を設ける。ベルコンレバー65は、レバー軸67周りに前後へ回動することにより、ベルト変速して低速Lから変速H間を主変速して車速変速できる。超低速レバー66は、レバー軸68周りに前後へ回動することにより低速Lよりも減速の超低速LLに変速できる。
【0020】
ベルコンレバー65の下端部には、長穴69を有するリンク70が連結され、この長穴69に遊合のワイヤー71は前記リフトリンク19基部のアーム72に連結されて、このリフトリンク19を上昇するとインナワイヤー71、長穴69、リンク70等を経てベルコンレバー65を高速H側へ連動できるが、下降するとこのベルコンレバー65を低速L側へ連動する。このインナワイヤー71の長穴69側端部には、アウタワイヤー73の先端を受けるワイヤー受アーム74を設け、このアーム74をアーム軸75の周りに回動支持し、前記超低速レバー66との間をロッド76で連動する。このアーム74にはトグルスプリング77が設けられて、アウタワイヤー73の係止位置を前A、後B位置に維持することができる。
【0021】
ヒッチリンク20に前記苗植装置30を装着して作業するとときは、図11のように超低速レバー66を標準M位置へ操作することによって、アーム74がアウタワイヤー73を緊張して長穴69でインナワイヤー71の遊合をなくし、苗植装置30及びリフトリンク19を上昇すると、インナワイヤー71、リンク70等を介してベルコンレバー65を低速L側へ連動させて走行速を減速する。又ヒッチリンク20に除草剤散布装置61を装着して作業するときは、図10のように超低速レバー66を超低速LL位置へ操作する。これによってアーム74がアウタワイヤー73の張りを緩めて、リンク70を長穴69に沿って遊動させて、リフトリンク19を上昇するも、ベルコンレバー65は低速L側へは連動されないため、連動減速されない。
【0022】
このように、苗植作業では圃場の畦際で旋回操向するとき、旋回行程に入ると自動的に苗植装置が上昇され、走行速度が減速されるが、除草作業では、超低速走行させる必要があるので、これを超低速レバー66の操作で切替えることができる。
【0023】
次に、主として図12、図13に基づいて、作業機側の作業ヒッチ80が、前記車体1側のリフトリンク19後端のヒッチリンク20に連結されたことを、モニタランプ81で検出するものである。前記作業機である苗植装置30等は、作業ヒッチ80のローリング軸22の周りに回動自在にして設けられる。この作業ヒッチ80の上ピン82をヒッチリンク20上の上フック83に係合させて吊下げ、作業ヒッチ80の下ピン84をヒッチリンク20の下フック85に嵌合させて、このヒッチリンク20に対して上下方向へ抜き差しするハンドル回動操作のロックロッド86を差し込むことによって、下ピン84の後側への外れを防止することができる。このヒッチリンク20には、該作業ヒッチ80の下ピン84が下フック85に嵌合したことを検出できるリミットスイッチ87と、該ロックロッド86が差込まれたことを検出できるリミットスイッチ88とを設ける。これらのスイッチ回路89には始動スイッチ90、該モニタランプ81等を設けて、該作業ヒッチ80の連結と、ロックロッド86の差込みとによって並列スイッチ87、88が共にOFFになるとモニタランプ81が消えて、作業ヒッチ80が取付けられたことを確認でき、いずれかのスイッチ87、又は88がONの状態にあるときは、モニタランプ81は点灯状態にあって、作業ヒッチ80が正確に連結されていないことを認識できる。91はロックロッド86に設けたボール溝であり、92はこのボール溝に係合するボールである。
【0024】
次に、主として図14に基づいて、前記リフトリンク19のうち下側のロワリンクの外側面に、制御用ハーネス93を沿わせて収納する開閉可能の収納ケース94を設け、ハーネス93の損傷を防止する。このハーネス93としては、苗植装置用のハーネスや、除草剤散装置用ハーネス、直播機用ハーネス等の各アタッチメント毎に設けられる。
【0025】
次に、主として図15に基づいて、前記車体1後端部にはPTO軸32が、伝動ケース95部が突出して、リフトリンク19の後端部に連結する作業装置を伝動軸96を介して連動する。しかし、作業装置の種類によってはこのPTO軸32が不要であって、邪魔になることがあるため、この伝動軸96を連結しないときは、このPTO軸32をカバー97で覆うように構成したものである。PTO軸32の突出部周りを覆う筒カバー98を伝動ケース95に取付け、この筒カバー98の後端面にカバー97を上下回動自在にピン99で支持する。このカバー97はピン99の周りに上側へ回動して筒カバー97の後端を開きA、下動して閉めるBことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】作業車の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】クローラの接地長さ制御のブロック図と、フローチャート。
【図4】その一部別例を示すフローチャート。
【図5】車高変更シリンダと接地長さ変更シリンダとの相互関係を示すグラフ。
【図6】車体のローリング制御、ピッチング制御のブロック図。
【図7】傾斜シリンダによるクローラ傾斜制御のブロック図と、フローチャート。
【図8】角部操向制御部のブロック図と、フローチャート。
【図9】除草剤散布装置の側面図。
【図10】超低速レバー連動部の斜視図。
【図11】その作動状態を示す斜視図。
【図12】ヒッチリンク部の作用を示す側面図と、斜視図。
【図13】そのモニタランプのスイッチ回路図。
【図14】リフトリンク部の斜視図。
【図15】PTO軸カバー部の作用を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 車体
2 後輪軸
3 スプロケット
4 前転輪
5 後転輪
6 クローラ
7 接地部
【技術分野】
【0001】
この発明は、クローラを有した作業車体のローリングやピッチング調整等を円滑に行わせる作業車の走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪軸端のスプロケットにクローラを略三角形態に巻掛けて、車体に対してローリング、及びピッチング可能に構成する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2003ー23819号公報(第1頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
後車軸部に三角形態に張設するクローラを設けて湿田走行する形態の作業車では、接地圧を小さくして車体の沈下や走行スリップを少くして走行性を良好に維持することができるが、圃場の畦際等で旋回操向するときは、クローラの接地部の土壌面上の旋回によて、接地面を掻き回して荒すこととなり、大きい旋回抵抗を生じることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置の構成とする。作業車体1はスプロケット3の回転によってクローラ6を駆動して、前転輪4と後転輪5との間のクローラ6の接地部7を、土壌面に接地回転して推進し、操向することができる。このときクローラ6の接地7を伸縮するときは、前転輪4、又は後転輪5の前後移動することによって、これら前転輪4と後端輪5との前後間隔が変更されて、接地部7の接地長さLが短縮されたり、伸長されることとなる。この接地長さLの短縮によって、クローラ6における接地圧は大きくなるが、旋回時の接地面との間の接地抵抗長さが短くなり、旋回し易くなり、地面を掻荒しを少くする。又、接地長さLの伸長によって、接地圧を小さくして、車体1直進時における駆動推進性及び直進性をよくすることができる。このような接地部7の接地長さLの変更は前転輪4、又は後転輪5の接地部7の長さ方向に沿って前後に移動して行うため、移動変更の構成、操作を簡単にすることができ、抵抗を少くして、円滑に的確に行わせる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記クローラ6は、後輪軸2上のスプロケット3に対して前転輪4及び後転輪5を上下に移動させて、接地部7の接地高さHを変更可能に設けたことを特徴とするものである。クローラ6の接地部7の接地長さLを調節、変更するとき、これら前転輪4、後転輪5部に巻掛けたクローラ6の接地部7を上下に移動させて、三角形状のクローラ6の巻掛けの緩みを吸収することができる。又、車高である接地高さHを高、低に調節、変更するときは、接地部7を平行状態にして上下移動するため、クローラ6の脱輪を少くして円滑な高さ変更を行わせる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、クローラ6の接地部7の前、後端部を巻掛ける前転輪4、又は後転輪5を前後に移動することによって、この接地部7の接地長さLを長短に調節、又は変更させるものであるから、この接地長さLの変更調節を簡単な構成で、容易に行うことができる。又、この接地長さLの変更調節によって直進走行や旋回操向等に応じた形態とすることができる。とくに直進走行時等には、接地面7の長さLを長くすることにより、接地圧を小さくして駆動推進性を高めることができ、旋回操向時等では、接地面7の接地長さLを短かくすることによって土壌面の掻荒しや、旋回抵抗を小さくすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、クローラ6の接地部7の接地長さLを変更するときは、この接地部7の接地高さHの変更によって、クローラ6の緩みを吸収して、クローラ6の脱輪等を少くすることができ、この接地部7が前転輪4と後転輪5等と共に上下動することによって接地高さHが調節されるため、構成、及び操作を簡単化することができる。又、車体1の畦越えや路上走行時等にように通常の作業走行時以外の特別に車高等の調節が必要なときは、前記接地長さLの変更に拘らずこの接地高さHの変更を行うことができ、走行性、操作性をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図2に基づいて、作業車体1を乗用走行形態の苗植機として例示する。車体1は、ダッシュボード10上のステアリングハンドル11によって操向連動する左右一対の前輪12と、後端部の後輪軸2の外側端部に設けられるクローラ6とを有して、運転席13下のエンジン14によって伝動駆動して走行することができる。15は車体1上のステップフロア、16はこの前端部上に設けた補助苗受枠、17は操向指針のためのセンタマーカである。この車体1後部のリヤフレーム18には、平行リンク形態のリフトリンク19が設けられ、このリフトリンク19後端のヒッチリンク20に、苗植フレーム21のローリング軸22がローリング回動可能に連結される。
【0009】
この苗植フレーム21には、下側のセンタフロート23、サイドフロート24が、後部のフロート軸25の周りに上下回動自在にして支持される。フレーム21の後部には、各フロート23、24による均平土壌面に苗植付けする苗植爪26が略楕円形状の苗植付軌跡線Dを描いて植付作動するように構成される。又、上部には、後下がり傾斜の苗タンク27が各植付条の苗植爪26に対向して設けられ、長方形状のマット形態に育苗されたマット苗を収容して、左右に往復移動しながら後下部の苗分離口28を配置する苗案内枠29に向けて繰出すことができる。このような苗植装置30は、車体1後部のリフトシリンダ31の伸縮によってリフトリンク19が上下回動されることにより昇降される。又、該センタフロート23が土壌面上を滑走して上下揺動すると、このセンタフロート23によりリフトシリンダ31の油圧回路の昇降制御弁を切替えて、苗植装置30を昇降し、土壌面の深さ変化に拘らず各フロート23、24の沈下度を一定に維持して、苗植付深さを一定に維持するように構成している。32は車体1後端部のPTO軸で車体1側から苗植装置30側を伝動するように構成している。
【0010】
前記後輪軸2を軸装するリヤアクスルハウジング35の周りには、前後回動自在のクローラブラケット36を設け、このクローラブラケット36には上下方向に伸縮する車高(接地高さ)変更シリンダ37を設ける。この車高変更シリンダ37の下端部には前後方向に沿う接地長さ変更シリンダ38の中間部を固着し、この前後に伸縮作動する前、後ピストン39、40の前、後端部に前転輪4、後転輪5を回転自在に軸支する。前記後輪軸2の外端部に固定するスプロケット3を頂部として、これら下方前後底辺頂部の前転輪4と後転輪5との間にわたってゴム材を主体として成形されるクローラ6を巻掛けて略三角形態のクローラ走行後車輪を構成する。該クローラブラケット36と車体1フレームとの間には伸縮可能の傾斜シリンダ41を設けて、この伸縮によって接地長さ変更シリンダ38や、前、後転輪4、5を一体として、後輪軸2の周りに前後へ回動させて、クローラ6の接地部7の前後傾斜を制御することがでる。このようなクローラ7および各シリンダ37、38、41等は後輪軸2の左右両側端部に独立的に構成される。
【0011】
各シリンダ37、38、41等は油圧回路による電磁バルブの出力によて油圧伸縮される制御構成とする。クローラ6の接地部7の接地長さLを変更するときは、接地長さ変更シリンダ38に対する油圧の給排によって前、後ピストン39、40を同時伸縮作動させ、前転輪4と後転輪5を前後対称状に作動させて、接地長さLを長、短に変更する。又、このクローラ6の接地部7を上下動させて車体1後部の接地高さHを変更調節するときは、クローラブラケット36に対して下方向きに固定された車高変更シリンダ37を伸縮することによって昇降される。このとき接地長さ変更シリンダ38と一体的に前、後転輪4、5が平行状態に昇降される。又、これら車高変更シリンダ37、及び接地長さ変更シリンダ38と共に接地部7の前傾斜角を変更調節するときは、傾斜シリンダ41の伸縮によって行わせることができる。
【0012】
前記車高変更シリンダ37の伸縮と、接地長さ変更シリンダ38の伸縮との関係は、クローラ7の長さの垂みをなくするために、特別のクローラ張圧転輪や、クローラテンションガイド等を設けない形態では、一定の関係のもとに相互伸縮制御する構成とすることができる。接地長さ変更シリンダ38によって接地長さLを長くするときは、車高変更シリンダ37を短縮して接地高さHを低くし、また、この長さLを短かくするときは高さHを高くするように調整する。又、逆に車高変更シリンダ37で接地高さHを高、低に変更するときも、接地長さ変更シリダ38によって接地部7の長さLを短、長に変更調整する。
【0013】
このようなクローラ7の走行において、旋回操向制御を行うには、図3のように、このコントローラ45の入力側にステアリングハンドル11の切れ角を検出するハンドル切れ角センサ46を設け、出力側には、左、右クローラ7の接地長さ変更シリンダ38と、車高変更シリンダ37を設ける。車体1が旋回するときは、このハンドル切れ角センサ46が一定以上の切れ角を検出することによって、左右のクローラ6の接地部7の接地長さLが短くなると共に、接地部7が下降して接地高さHが高くなる。このように車体1の旋回操向時に左右クローラ6の接地長さLを短かくすることによってクローラ6の旋回が円滑に行われ、接地抵抗を少なくして、接地部7による接地土壌面に掻き荒すことが少くなる。
【0014】
又、左右の旋回操向方向に応じて、この旋回側のクローラ6のみを制御する形態では、図4の制御フローに従って、ハンドル切れ角センサ46が検出する左、又は右の旋回操向側のクローラ6の接地長さL等が変更制御され、旋回外側のクローラ6の接地長さLは短縮されない。この場合は旋回内側のクローラ6の接地高さHが高くなるため、車体1が内側に傾斜しないように支持されて、略内外水平状の姿勢を維持するように働く。
【0015】
次に、車体1のローリング、又はピッチング制御によって、走行耕盤の左右傾斜、又は前後傾斜に拘らず車体1を左右、又は前後水平状の姿勢に制御する水平制御形態では、図6のように、コントローラ45の入力側に、車体1の左右方向の傾斜角を検出する左右傾斜角センサ50、車体1の前後方向の傾斜角を検出する前後傾斜角センサ51を設ける。車体1が例えば左側へ傾斜したことを傾斜センサ50が検出すると、左側クローラ6の車高変更シリンダ37が伸長されて、車体1の左側を上げて左右水平状の姿勢に戻すように左右水平(ローリング)制御する。このとき左側のクローラ6は伸びる必要があるから左側の車高変更シリンダ37の伸長と同時に、左側の接地長さシリンダ38が短縮されて(図5参照)、クローラ6の張圧調整が行われる。又、車体1が耕盤の凹凸等によって前後方向へ傾斜したとき、水平状姿勢に戻すように前後水平(ピッチング)制御する場合は、前後傾斜角センサ51の検出によって、左右の車高変更シリンダ37を同時に伸縮させて、車体1を前後水平状態に戻す。このとき既にローリング制御によって左右の車高変更シリンダ37の伸長量が異なることがあるが、この走行条件が変らないときは、この車高変更シリンダ37の伸長差を保持した状態で前後傾斜角センサ51による制御量だけ伸縮されて、ピッチング制御される。
【0016】
次に、主として図7に基づいて、前記クローラ6の前後傾斜角度を変えて車体1を前後水平状に維持制御する形態では、左右の傾斜シリンダ41を前後傾斜角センサ51の検出によって作動制御させる。クローラ6の接地部7は土壌耕盤面に平行状に沿う状態で走行されるが、このクローラ6が大きい凹地等において陥没して車体1が大きく後下りに傾斜すると、前後傾斜角センサ51の検出により傾斜シリンダ41が伸縮されて、クローラ6の接地部7の前転輪4、又は後転輪5部近くで支持するように作動して、前記接地高さHが高くなると同様形態となり、車体1の後端部が持ち上げられて、前後水平状態に制御される。
【0017】
次に、主として図8に基づいて、前記苗植作業機により、圃場の四角部において略直角状方向に操向を行う場合に、操向の内側のクローラ6、又はこのクローラに代えて設けられる車輪を逆回転させて、スピンターン操向させるもので、機体を前進位置から一端後退させて畦際に接近させる前進、後退の繰返し操作を少くして、圃場角部に沿って的確な操向を行わせるものである。このため、操向制御のコントローラ55の入力側に、スピンターンモードの操向を行わせるためのスピンターンスイッチ56や、前記ハンドル切れ角センサ46、及び畦際に接近して走行することを検出する畦際センサ57等を設ける。
又、出力側には、前記クローラ6の後輪軸2を正、逆転駆動するための左右の走行モータ58、及び前記苗植装置30を昇降するリフトシリンダ31の油圧回路における昇降バルブモータ59等を設ける。スピンターンスイッチ56をONした状態で機体が圃場角部及び畦際に達して、畦際センサ57が検出すると共に、ハンドル切れ角センサ46が角部の操向角を検出すると、操向の外側のクローラ6の正回転駆動に対して内側のクローラ6が走行モータ58の逆回転駆動によって逆転されて、スピンターンモードの操向が行われ、角部畦際の残代を少くして急旋回操向される。同時に昇降バルブモータ59が出力されて、苗植装置30が上昇されて、フロート23、24が土壌面から離れる。この状態で機体がスピンターン操向されるために、フロート23、24が土壌面を掻き振うことなく、操向抵抗を小さくし、又畦に衝突しないようにして操向することができ、機体を一旦後退させないで直ち操向後の苗植前進状態にすることができる。又、前記スピンターンスイッチ56をOFFに操作しているときは、圃場角部の操向においても、苗植装置30が上昇されないため、フロート23、24によって土壌面が掻き均らされる。
【0018】
なお、前記車体1の前輪12、及びクローラ6による走行装置に代えて、車体1の前後にわたって掛けわたされる単に左右一対のクローラのみを設けて、各々走行モータ58で駆動して走行する構成とすることもできる。
【0019】
次に、主として図9〜図11に基づいて、前記車体1の苗植装置30に代えて除草剤散布装置61等の除草機を設けて、超低速走行作業する形態の変速操作装置の構成を説明する。リフトリンク19のヒッチリンク20部に設けられる除草剤散布装置61は、繰出装置62の上部に除草剤を収容するタンク63を有し、このタンク63の除草剤を繰出しながら放出ホース64から苗植土壌面へ施用することができる。前記車体1には、車速を主変速操作するベルコンレバー65と、副変速操作する超低速レバー66を設ける。ベルコンレバー65は、レバー軸67周りに前後へ回動することにより、ベルト変速して低速Lから変速H間を主変速して車速変速できる。超低速レバー66は、レバー軸68周りに前後へ回動することにより低速Lよりも減速の超低速LLに変速できる。
【0020】
ベルコンレバー65の下端部には、長穴69を有するリンク70が連結され、この長穴69に遊合のワイヤー71は前記リフトリンク19基部のアーム72に連結されて、このリフトリンク19を上昇するとインナワイヤー71、長穴69、リンク70等を経てベルコンレバー65を高速H側へ連動できるが、下降するとこのベルコンレバー65を低速L側へ連動する。このインナワイヤー71の長穴69側端部には、アウタワイヤー73の先端を受けるワイヤー受アーム74を設け、このアーム74をアーム軸75の周りに回動支持し、前記超低速レバー66との間をロッド76で連動する。このアーム74にはトグルスプリング77が設けられて、アウタワイヤー73の係止位置を前A、後B位置に維持することができる。
【0021】
ヒッチリンク20に前記苗植装置30を装着して作業するとときは、図11のように超低速レバー66を標準M位置へ操作することによって、アーム74がアウタワイヤー73を緊張して長穴69でインナワイヤー71の遊合をなくし、苗植装置30及びリフトリンク19を上昇すると、インナワイヤー71、リンク70等を介してベルコンレバー65を低速L側へ連動させて走行速を減速する。又ヒッチリンク20に除草剤散布装置61を装着して作業するときは、図10のように超低速レバー66を超低速LL位置へ操作する。これによってアーム74がアウタワイヤー73の張りを緩めて、リンク70を長穴69に沿って遊動させて、リフトリンク19を上昇するも、ベルコンレバー65は低速L側へは連動されないため、連動減速されない。
【0022】
このように、苗植作業では圃場の畦際で旋回操向するとき、旋回行程に入ると自動的に苗植装置が上昇され、走行速度が減速されるが、除草作業では、超低速走行させる必要があるので、これを超低速レバー66の操作で切替えることができる。
【0023】
次に、主として図12、図13に基づいて、作業機側の作業ヒッチ80が、前記車体1側のリフトリンク19後端のヒッチリンク20に連結されたことを、モニタランプ81で検出するものである。前記作業機である苗植装置30等は、作業ヒッチ80のローリング軸22の周りに回動自在にして設けられる。この作業ヒッチ80の上ピン82をヒッチリンク20上の上フック83に係合させて吊下げ、作業ヒッチ80の下ピン84をヒッチリンク20の下フック85に嵌合させて、このヒッチリンク20に対して上下方向へ抜き差しするハンドル回動操作のロックロッド86を差し込むことによって、下ピン84の後側への外れを防止することができる。このヒッチリンク20には、該作業ヒッチ80の下ピン84が下フック85に嵌合したことを検出できるリミットスイッチ87と、該ロックロッド86が差込まれたことを検出できるリミットスイッチ88とを設ける。これらのスイッチ回路89には始動スイッチ90、該モニタランプ81等を設けて、該作業ヒッチ80の連結と、ロックロッド86の差込みとによって並列スイッチ87、88が共にOFFになるとモニタランプ81が消えて、作業ヒッチ80が取付けられたことを確認でき、いずれかのスイッチ87、又は88がONの状態にあるときは、モニタランプ81は点灯状態にあって、作業ヒッチ80が正確に連結されていないことを認識できる。91はロックロッド86に設けたボール溝であり、92はこのボール溝に係合するボールである。
【0024】
次に、主として図14に基づいて、前記リフトリンク19のうち下側のロワリンクの外側面に、制御用ハーネス93を沿わせて収納する開閉可能の収納ケース94を設け、ハーネス93の損傷を防止する。このハーネス93としては、苗植装置用のハーネスや、除草剤散装置用ハーネス、直播機用ハーネス等の各アタッチメント毎に設けられる。
【0025】
次に、主として図15に基づいて、前記車体1後端部にはPTO軸32が、伝動ケース95部が突出して、リフトリンク19の後端部に連結する作業装置を伝動軸96を介して連動する。しかし、作業装置の種類によってはこのPTO軸32が不要であって、邪魔になることがあるため、この伝動軸96を連結しないときは、このPTO軸32をカバー97で覆うように構成したものである。PTO軸32の突出部周りを覆う筒カバー98を伝動ケース95に取付け、この筒カバー98の後端面にカバー97を上下回動自在にピン99で支持する。このカバー97はピン99の周りに上側へ回動して筒カバー97の後端を開きA、下動して閉めるBことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】作業車の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】クローラの接地長さ制御のブロック図と、フローチャート。
【図4】その一部別例を示すフローチャート。
【図5】車高変更シリンダと接地長さ変更シリンダとの相互関係を示すグラフ。
【図6】車体のローリング制御、ピッチング制御のブロック図。
【図7】傾斜シリンダによるクローラ傾斜制御のブロック図と、フローチャート。
【図8】角部操向制御部のブロック図と、フローチャート。
【図9】除草剤散布装置の側面図。
【図10】超低速レバー連動部の斜視図。
【図11】その作動状態を示す斜視図。
【図12】ヒッチリンク部の作用を示す側面図と、斜視図。
【図13】そのモニタランプのスイッチ回路図。
【図14】リフトリンク部の斜視図。
【図15】PTO軸カバー部の作用を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 車体
2 後輪軸
3 スプロケット
4 前転輪
5 後転輪
6 クローラ
7 接地部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置。
【請求項2】
前記クローラ6は、後輪軸2端のスプロケット3に対して前転輪4及び後転輪5を上下に移動させて、接地部7の接地高さHを変更可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車の走行装置。
【請求項1】
車体1の後輪軸2端のスプロケット3と、この下方部に配置の前転輪4と後転輪5との間にわたってクローラ6を略三角形態にして巻回し、該前転輪4、又は後転輪5を前後に移動させて、これら前転輪4と後転輪5との間に張設するクローラ6の接地部7の接地長さLを長短変更可能に設けたことを特徴とする作業車の走行装置。
【請求項2】
前記クローラ6は、後輪軸2端のスプロケット3に対して前転輪4及び後転輪5を上下に移動させて、接地部7の接地高さHを変更可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車の走行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−103461(P2006−103461A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291528(P2004−291528)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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