説明

信号収録再生装置

【課題】AD変換して収録する放送信号の出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えないようにアナログ回路の特性も含めて自動的に出力レベルを調整して収録し、収録した放送信号を再生する際に、アナログ回路の特性の影響を排除して信号を再生するとで、収録した信号収録再生装置とは異なる信号収録再生装置で信号を再生した場合も、精度高く信号の再生を行う。
【解決手段】信号の収録時は、収録部103に出力する信号の出力レベルがAD変換部15のダイナミックレンジを超えないように、収録信号処理部102におけるアナログ信号処理回路の特性を含めて収録信号増幅部13の利得を設定し、信号の出力レベルを調整して収録する。信号再生時は、収録信号処理部102におけるアナログ信号処理回路の特性が再生信号に含まれないように、再生信号増幅部22の利得を設定し、信号の出力レベルを調整して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号収録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
さまざまな放送信号に対して開発された受信機の性能評価を行うにあたって、特に受信機を車載する場合、車両の移動環境下におけるフィールドテストは重要な項目である。しかしながら、このフィールドテストは準備や評価に膨大な時間と工数を必要とし、さらに同様のフィールドテストを行った場合でも再現性が保たれにくく、同様の評価結果が得られない場合がある、という問題点があった。この問題を解決するために、一度移動環境下で放送信号を取得すれば、実験室において移動環境下での放送信号を同一に再現することが可能な信号収録再生装置が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平6−265587号公報
【特許文献2】特開平11−183544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような信号収録再生装置では、放送信号をAD変換して収録するのが一般的であるが、放送信号の出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えてしまうとAD変換値が飽和状態となり原信号を忠実に収録できなくなってしまう。このため、放送信号を収録する際は、放送信号の出力レベルを検出し、検出した出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えないように放送信号の出力レベルを調整して調整量とともに記録し、放送信号を再生する際は、この調整量に基づいて記録した放送信号を原信号の出力レベルに戻して再生する信号収録再生装置が考えられる。
【0004】
ところで、このような信号収録再生装置では、放送信号の出力レベル調整後に周波数変換やフィルタによる雑音除去等のアナログ信号処理を行うが、アナログ信号処理は回路を構成する素子特性のばらつきがあることが知られている。このため、収録した放送信号を再生した場合、このアナログ信号処理による出力レベルの変化を補正しないと、再生した放送信号に収録時のアナログ信号処理による出力レベルの変化が含まれてしまい、原信号の出力レベルを忠実に再生できない、という問題点がある。特に、収録した信号を収録時とは異なる信号収録再生装置で再生する場合は、再生時のアナログ信号処理を行う回路を構成する素子特性も影響するため、収録時のアナログ信号処理による出力レベルの変化を補正しないと、上記問題点がより顕著となる。
【0005】
本発明の課題は、放送信号をAD変換して収録する際に、受信した放送信号の出力レベルを検出し、検出した出力レベルとアナログ信号処理を行う回路素子の特性を表す補正信号とに基づいて収録する放送信号の出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整してAD変換した出力レベルおよび補正信号とともに収録し、収録した放送信号を再生する際に、収録した放送信号および出力レベルをDA変換し、放送信号の出力レベルと補正信号とに基づいて収録した放送信号の出力レベルを調整前の出力レベルに戻して再生することで、収録した信号をその信号を収録した信号収録再生装置とは異なる信号収録再生装置で再生した場合も、精度高く信号の再生を行うことができる信号収録再生装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、無線周波数信号をAD変換し収録するとともに、収録した前記無線周波数信号をDA変換し再生する信号収録再生装置であって、前記無線周波数信号を収録する際は、受信した前記無線周波数信号の出力レベルを検出し、収録する前記無線周波数信号の前記出力レベルが前記AD変換のダイナミックレンジを超えないように検出した前記出力レベルとあらかじめ設定した前記出力レベルを補正する補正信号とに基づいて前記出力レベルを調整し、前記出力レベルを調整した前記無線周波数信号および検出した前記出力レベルを所定の基準信号に基づいて生成したサンプリングクロック信号でAD変換して前記補正信号と前記基準信号とともに収録し、収録した前記無線周波数信号を再生する際は、収録した前記無線周波数信号および前記出力レベルを前記基準信号に基づいて生成した前記サンプリングクロック信号に基づいてDA変換し、前記出力レベルおよび前記補正信号に基づいて前記無線周波数信号の前記出力レベルを前記調整前の前記出力レベルに戻して再生することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記補正信号は、前記無線周波数信号を収録するアナログ回路の素子特性のばらつきを表す係数であることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、放送信号をAD変換して収録する際に、信号処理を行うアナログ回路の素子特性を含めて収録する放送信号の出力レベルをAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整し、収録した放送信号を再生する際に、出力レベル調整前の出力レベルに戻すことで、放送信号の収録再生を精度高く行うことができる。
【0009】
また請求項3に記載の発明は、無線周波数信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部で受信した前記無線周波数信号の出力レベルを検出し、前記出力レベルとあらかじめ設定した前記出力レベルを補正する補正信号とに基づいて前記無線周波数信号を増幅する際の利得を算出する出力レベル設定部と、前記出力レベル設定部が算出した前記利得に基づいて前記無線周波数信号を増幅する収録信号増幅部と、前記収録信号増幅部で増幅した前記無線周波数信号の周波数変換を行う収録信号周波数変換部と、を有する収録信号処理部と、前記収録信号周波数変換部で周波数変換した前記無線周波数信号および前記出力レベル設定部が検出した前記出力レベルを所定の基準信号により生成したサンプリングクロック信号でAD変換するAD変換部と、前記AD変換部でAD変換した前記無線周波数信号および前記出力レベルと前記補正信号と前記基準信号とを収録データとして出力する収録制御部と、を有する収録部と、前記収録制御部が出力した前記収録データを記録する記録部と、を備えた信号収録部と、前記記録部に記録された前記収録データを読み出し、前記無線周波数信号と前記出力レベルと前記補正信号と前記基準信号とに分離する再生制御部と、前記再生制御部が分離した前記無線周波数信号および前記出力レベルを前記基準信号に基づいて生成した前記サンプリングクロック信号に基づいてDA変換するDA変換部と、を有する再生部と、前記DA変換部でDA変換された前記出力レベルと前記補正信号とに基づいて前記DA変換部でDA変換された前記無線周波数信号を増幅する再生信号増幅部と、前記再生信号増幅部で増幅された前記無線周波数信号の周波数変換を行う再生信号周波数変換部と、を有する再生信号処理部と、を備えた信号再生部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記出力レベル設定部は、前記収録信号周波数変換部で周波数変換した前記無線周波数信号の出力レベルが前記AD変換部のダイナミックレンジを超えないように前記利得を設定することを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4において、前記再生信号増幅部は、増幅後の前記無線周波数信号の出力レベルが前記収録信号増幅部に入力される前記無線周波数信号の入力レベルと等しくなるように前記無線周波数信号の増幅を行うことを特徴としている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項において、前記補正信号は、前記収録信号処理部におけるアナログ回路の素子特性のばらつきを表す係数であることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、放送信号をAD変換して収録する際に、信号処理を行うアナログ回路の素子特性を含めて収録する放送信号の出力レベルをAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整し、収録した放送信号を再生する際に、出力レベル調整前の出力レベルに戻すことで、放送信号の収録再生を精度高く行うことができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか1項において、前記補正信号は、前記収録信号増幅部に入力される信号の入力レベルと前記収録信号周波数変換部が出力する信号の出力レベルの比を表すことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、補正信号はあらかじめ簡単に算出することができる。
【発明の効果】
【0016】
放送信号をAD変換して収録する際に、受信した放送信号の出力レベルを検出し、検出した出力レベルとアナログ信号処理を行う回路素子の特性を表す補正信号とに基づいて収録する放送信号の出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整してAD変換した出力レベルおよび補正信号とともに収録し、収録した放送信号を再生する際に、収録した放送信号および出力レベルをDA変換し、放送信号の出力レベルと補正信号とに基づいて収録した放送信号の出力レベルを調整前の出力レベルに戻して再生することで、収録した信号をその信号を収録した信号収録再生装置とは異なる信号収録再生装置で再生した場合も、精度高く信号の再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1に本発明の実施形態の概要のブロック図を示す。
【0019】
本発明の実施形態における信号収録再生装置は、信号収録部100と信号再生部200とを備えている。
【0020】
信号収録部100は、受信アンテナ101、収録信号処理部102、収録部103、記録部110を備えている。
【0021】
受信アンテナ101で受信された放送信号は、受信信号SR01として収録信号処理部102に入力される。
【0022】
収録信号処理部102は、収録部103(後述)が出力する出力レベル制御のための補正信号SR04を受け取り、収録信号処理部102が出力する収録信号SR02が収録部103で行うAD変換(後述)のダイナミックレンジを超えない出力レベルとなるように、受信信号SR01の出力レベル制御を行うとともに、無線周波数の信号処理で一般的である中間周波数への周波数変換(後述)を行う。また、出力レベル制御のための制御信号を出力レベル信号SR03として出力する。
【0023】
収録部103は、収録信号処理部102から出力された収録信号SR02および出力レベル信号SR03を取り込んでAD変換を行い、補正信号SR04とともに収録データSR05として記録部110に記録する。
【0024】
信号再生部200は、再生部201、再生信号処理部202を備えている。
【0025】
再生部201は、記録部110に記録された収録データSR05を再生データSP01として読み込んで収録信号SR02、出力レベル信号SR03、補正信号SR04を分離し、収録信号SR02および出力レベル信号SR03をDA変換して再生IF信号SP02および再生出力レベル信号SP03として再生信号処理部202に出力する。また、補正信号SR04を再生補正信号SP04として再生信号処理部202に出力する。
【0026】
再生信号処理部202は、再生出力レベル信号SP03と再生補正信号SP04とに基づいて再生IF信号SP02の出力レベルを出力レベル調整前の出力レベルに戻すとともに、無線周波数の信号処理で一般的である高周波への周波数変換(後述)を行い、再生RF信号SP05として出力する。
【0027】
再生信号処理部202から出力された再生RF信号SP05は、被試験受信機300に入力され、評価試験が行われる。
【0028】
次に、図2〜図5により、本実施形態の詳細な説明を行う。
【0029】
まず、放送信号を取り込んで、放送信号の出力レベルをAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整し記録する信号の記録動作について説明を行う。
【0030】
図2に、収録信号処理部102の詳細なブロック図を示す。
【0031】
収録信号処理部102は、受信アンテナ101、バンドパスフィルタ111(図2ではBPF111と記載)、増幅部112で構成される信号受信部11と、出力レベル検出部113、出力レベル制御部114で構成される出力レベル設定部12と、可変利得増幅部115、バンドパスフィルタ116(図2ではBPF116と記載)で構成される収録信号増幅部13と、周波数変換部117、バンドパスフィルタ118(図2ではBPF118と記載)、増幅部119、ローパスフィルタ11A(図2ではLPF11Aと記載)で構成される収録信号周波数変換部14とを備えている。
【0032】
受信アンテナ101で受信された放送信号は、受信信号SR01としてバンドパスフィルタ111に入力されて不要な周波数帯域がカットされ、帯域制限されたRF信号SR11として出力される。
【0033】
RF信号SR11は、増幅部112に入力されて所定の信号増幅が行われ、RF信号SR12として出力される。
【0034】
RF信号SR12は、可変利得増幅部115に入力されると共に、出力レベル検出部113に入力される。
【0035】
出力レベル検出部113は、入力されたRF信号SR12の出力レベルを検出し、検出した出力レベルを示す出力レベル信号SR13を出力する。
【0036】
出力レベル信号SR13は、出力レベル制御部114に入力されるとともに、収録部103に入力される(後述)。
【0037】
出力レベル制御部114は、収録制御部11E(後述)から補正信号SR04を受け取る。この補正信号SR04は、アナログ信号処理を行う収録信号増幅部13および収録信号周波数変換部14を構成する回路素子の特性を表す係数であり、収録信号増幅部13に入力されるRF信号SR12のレベルと、収録信号周波数変換部14が出力する収録信号SR02のレベルとの比を表すもので、事前に所定のRF信号SR12に対する収録信号SR02を調べることで算出し、収録制御部11Eにあらかじめ記録されているものである。
【0038】
ここで、アナログ信号処理を行う回路素子には特性のばらつきがあるため、この補正信号SR04は収録信号処理部102毎に異なる値を有している。すなわち、補正信号SR04は、信号収録再生装置毎に異なる値を有している。
【0039】
出力レベル制御部114は、この補正信号SR04と出力レベル信号SR13とに基づいて、収録信号周波数変換部14が出力する収録信号SR02が後述する収録部103のAD変換部11Bのダイナミックレンジを超えないように、可変利得増幅部115の利得を算出し、利得制御信号SR14として可変利得増幅部115に出力する。
【0040】
可変利得増幅部115は、利得制御信号SR14に基づいてRF信号SR12の増幅または減衰を行い、RF信号SR15として出力する。出力されたRF信号SR15は、収録信号周波数変換部14が出力する収録信号SR02が収録部103のAD変換部11Bのダイナミックレンジを超えないように増幅または減衰が行われている。
【0041】
ここで、係数である補正信号SR04をα、RF信号SR12をVin、収録信号SR02をVout、可変利得増幅部115の利得をQとすると、一例として次式の関係が成立する。
【0042】
Vout=(Vin+Q)×α (数式1)
ここで、αは所定のVinに対するVoutをあらかじめ調べて設定することができ、既知の値である。
【0043】
したがって、出力レベル制御部114は、出力レベル検出部113で検出されるVinに対し、数式1で算出されるVoutが収録部103のAD変換部11Bのダイナミックレンジを超えないように利得Qを設定すればよい。
【0044】
RF信号SR15は、バンドパスフィルタ116に入力されて不要な周波数帯域がカットされ、帯域制限されたRF信号SR16として出力される。
【0045】
RF信号SR16は、周波数変換部117が備えた混合器117Bに入力される。混合器117Bには、周波数変換部117が備えた局部発振器117Aが出力する所定の発振信号SR17も入力され、混合器117Bは発振信号SR17に基づいてRF信号SR16の周波数変換を行い(いわゆる中間周波数変換)、IF信号SR18として出力する。
【0046】
IF信号SR18は、バンドパスフィルタ118に入力されて周波数変換で発生した不要な雑音信号がカットされ、帯域制限されたIF信号SR19として出力される。
【0047】
IF信号SR19は、増幅部119に入力されて所定の信号増幅が行われ、IF信号SR1Aとして出力される。
【0048】
IF信号SR1Aは、ローパスフィルタ11Aに入力されて不要な高調波がカットされ、収録信号SR02として収録部103に出力される。
【0049】
図3に、収録部103の詳細なブロック図を示す。
【0050】
収録部103は、AD変換部11B、AD変換部11C、サンプリングクロック生成部11D(図3ではSCLK生成部11Dと記載)で構成されるAD変換部15と、収録制御部11Eとを備えている。
【0051】
収録信号SR02は、AD変換部11Bに入力される。また、出力レベル信号SR03は、AD変換部11Cに入力される。
【0052】
ここで、収録制御部11Eは、基準信号であるサンプリングクロック制御信号SR1D(図3ではSCLK制御信号SR1Dと記載)をサンプリングクロック生成部11Dに出力する。
【0053】
サンプリングクロック生成部11Dは、サンプリングクロック制御信号SR1Dに基づいてサンプリングクロック信号SR1E(図3ではSCLK信号SR1Eと記載)を生成する。
【0054】
サンプリングクロック信号SR1Eは、AD変換部11BおよびAD変換部11Cに入力される。
【0055】
AD変換部11Bは、入力されたサンプリングクロック信号SR1Eに基づいて収録信号SR02をサンプリングしてAD変換を行い、収録信号データSR1Bとして出力する。
【0056】
AD変換部11Cは、入力されたサンプリングクロック信号SR1Eに基づいて出力レベル信号SR03をサンプリングしてAD変換を行い、出力レベル信号データSR1Cとして出力する。
【0057】
収録信号データSR1Bおよび出力レベル信号データSR1Cは、制御部11Eに入力される。制御部11Eは、収録信号データSR1B、出力レベル信号データSR1C、前述した補正信号SR04、サンプリングクロック制御信号SR1Dを収録データSR05として記録部110へ出力する。
【0058】
記録部110に出力された収録データSR05は、記録部110に記録される。
【0059】
なお、記録部は、ハードディスク、光学ディスク、光磁気ディスク、各種メモリカード等の公知のものを適用することができる。
【0060】
以上が、信号の収録動作である。
【0061】
次に、記録部110に記録された信号の再生動作について、説明を行う。
【0062】
図4に、再生部201の詳細なブロック図を示す。
【0063】
再生部201は、再生制御部211と、DA変換部212、DA変換部213、再生サンプリングクロック生成部214(図4では再生SCLK生成部214と記載)で構成されるDA変換部21とを備えている。
【0064】
再生制御部211は、記録部110に記録された収録データSR05を再生データSP01として読み出して、収録信号データSR1B、出力レベル信号データSR1C、補正信号SR04、サンプリングクロック制御信号SR1Dを分離し、それぞれを再生信号データSP11、再生出力レベル信号データSP12、再生補正信号SP04、再生サンプリングクロック制御信号SP13(図4では再生SCLK制御信号SP13と記載)として出力する。
【0065】
再生信号データSP11は、DA変換部212に入力される。
【0066】
再生出力レベル信号データSP12は、DA変換部213に入力される。
【0067】
基準信号である再生サンプリングクロック制御信号SP13は、再生サンプリングクロック生成部214に入力される。
【0068】
再生サンプリングクロック生成部214は、再生サンプリングクロック制御信号SP13に基づいて再生サンプリングクロック信号SP14(図4では再生SCLK信号SP14と記載)を生成する。
【0069】
再生サンプリングクロック信号SP14は、DA変換部212およびDA変換部213に入力される。
【0070】
DA変換部212は、入力された再生サンプリングクロック信号SP14に基づいて再生信号データSP11のDA変換を行い、再生IF信号SP02として再生信号処理部202に出力する。
【0071】
DA変換部213は、入力された再生サンプリングクロック信号SP14に基づいて再生出力レベル信号データSP12のDA変換を行い、再生出力レベル信号SP03として再生信号処理部202に出力する。
【0072】
図5に、再生信号処理部202の詳細なブロック図を示す。
【0073】
再生信号処理部202は、ローパスフィルタ215(図5ではLPF215と記載)、再生レベル制御部216、可変利得増幅部217で構成される再生信号増幅部22と、周波数変換部218、バンドパスフィルタ219(図5ではBPF219と記載)、レベル調整部21A、バンドパスフィルタ21B(図5ではBPF21Bと記載)で構成される再生信号周波数変換部23とを備えている。
【0074】
再生IF信号SP02は、ローパスフィルタ215に入力され、不要な高調波を除去されたIF信号SP15として出力される。
【0075】
IF信号SP15は、可変利得増幅部217に入力される。
【0076】
再生出力レベル信号SP03は、再生レベル制御部216に入力される。
【0077】
再生レベル制御部216は、再生制御部211が出力した再生補正信号SP04を受け取り、この再生補正信号SP04と再生出力レベル信号SP03とに基づいて、可変利得増幅部217の利得を算出し、再生利得制御信号SP16として可変利得増幅部217に出力する。
【0078】
収録時に記録部110に記録された収録信号SR02は、数式1に示すようにアナログ信号処理を行う収録信号増幅部13および収録信号周波数変換部14を構成する回路素子の特性の影響を受けている。
【0079】
このため、再生時には、この収録信号増幅部13および収録信号周波数変換部14の特性の影響を排除した信号処理を行う。
【0080】
ここで、数式1におけるVoutは再生IF信号SP02であり、Vinは再生出力レベル信号SP03であり、αは再生補正信号SP04である。したがって、再生レベル制御部216は数式1から利得Qを算出することができる。
【0081】
可変利得増幅部217は、再生利得制御信号SP16、すなわち利得Qに基づいて、IF信号SP15の増幅または減衰を行い、IF信号SP17として出力する。
【0082】
このように、信号を収録する際に、収録信号データSR1Bに加え、出力レベル信号データSR1Cと信号収録再生装置毎の補正信号SR04を記録しておくことで、信号を再生する際に、補正信号SR04により信号収録再生装置毎に異なるアナログ信号処理回路の特性の影響を排除して信号を再生することができる。したがって、収録した信号収録再生装置とは異なる信号収録再生装置で信号を再生した場合でも、収録時のアナログ信号処理回路の特性の影響を受けずに原信号を精度高く再生することができる。
【0083】
IF信号SP17は、周波数変換部218が備えた混合器218Bに入力される。混合器218Bには、周波数変換部218が備えた局部発振器218Aが出力する所定の発振信号SP18も入力され、混合器218Bは発振信号SP18に基づいてIF信号SP17の周波数変換を行い(高周波への変換)、RF信号SP19として出力する。
【0084】
RF信号SP19は、バンドパスフィルタ219(図5ではBPF219と記載)に入力されて周波数変換で発生した不要な雑音信号がカットされ、帯域制限されたRF信号SP1Aとして出力される。
【0085】
RF信号SP1Aは、レベル調整部21Aに入力されて所定の出力レベルとなるように信号増幅が行われ、RF信号SP1Bとして出力される。再生信号は、再生信号周波数変換部23のアナログ信号処理回路の特性の影響を受けて出力される。ここで、再生信号周波数変換部23のアナログ信号処理回路の特性は、所定の入力信号に対する再生信号周波数変換部23の出力信号を調べることであらかじめ算出できる。したがって、レベル調整部21Aで再生信号周波数変換部23の影響を相殺するようにRF信号SP1Aの増幅または減衰を行うことで、原信号を精度高く再生することができる。あるいは、所望の出力レベルとなるようにRF信号SP1Aの増幅または減衰を行っても良い。
【0086】
RF信号SP1Bは、バンドパスフィルタ21Bに入力されて不要な帯域がカットされ、帯域制限された再生RF信号SP05として被試験受信機300に出力される。
【0087】
以上が、収録した信号の再生動作である。
【0088】
以上の動作により、本発明においては、放送信号をAD変換して収録する際に、受信した放送信号の出力レベルを検出し、検出した出力レベルとアナログ信号処理を行う回路素子の特性を表す補正信号とに基づいて収録する放送信号の出力レベルがAD変換のダイナミックレンジを超えないように自動的に調整してAD変換した出力レベルおよび補正信号とともに収録し、収録した放送信号を再生する際に、収録した放送信号および出力レベルをDA変換し、放送信号の出力レベルと補正信号とに基づいて収録した放送信号の出力レベルを調整前の出力レベルに戻して再生することで、収録した信号をその信号を収録した信号収録再生装置とは異なる信号収録再生装置で再生した場合も、精度高く信号の再生を行うことができる。
【0089】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0090】
例えば、収録制御部11Eと再生制御部211を一つの制御部にする等、ブロック図は、図2〜図5に示すものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態における信号収録再生装置の概略のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における収録信号処理部のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における収録部のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における再生部のブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における再生信号処理部のブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
11 信号受信部
12 出力レベル設定部
13 収録信号増幅部
14 収録信号周波数変換部
15 AD変換部
21 DA変換部
22 再生信号増幅部
23 再生信号周波数変換部
100 信号収録部
101 受信アンテナ
102 収録信号処理部
103 収録部
110 記録部
111、116、118、219、21B バンドパスフィルタ
11A、215ローパスフィルタ
112、119増幅部
113 出力レベル検出部
114 出力レベル制御部
115、217可変利得増幅部
117、218 周波数変換部
117A、218A 局部発振器
117B、218B 混合器
11B、11C AD変換部
11D サンプリングクロック生成部
11E 収録制御部
200 信号再生部
201 再生部
202 再生信号処理部
211 再生制御部
212、213 DA変換部
214 再生サンプリングクロック生成部
216 再生レベル制御部
21A レベル調整部
300 被試験受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号をAD変換し収録するとともに、収録した前記無線周波数信号をDA変換し再生する信号収録再生装置であって、
前記無線周波数信号を収録する際は、受信した前記無線周波数信号の出力レベルを検出し、収録する前記無線周波数信号の前記出力レベルが前記AD変換のダイナミックレンジを超えないように検出した前記出力レベルとあらかじめ設定した前記出力レベルを補正する補正信号とに基づいて前記出力レベルを調整し、前記出力レベルを調整した前記無線周波数信号および検出した前記出力レベルを所定の基準信号に基づいて生成したサンプリングクロック信号でAD変換して前記補正信号と前記基準信号とともに収録し、
収録した前記無線周波数信号を再生する際は、収録した前記無線周波数信号および前記出力レベルを前記基準信号に基づいて生成した前記サンプリングクロック信号に基づいてDA変換し、前記出力レベルおよび前記補正信号に基づいて前記無線周波数信号の前記出力レベルを前記調整前の前記出力レベルに戻して再生することを特徴とする信号収録再生装置。
【請求項2】
前記補正信号は、前記無線周波数信号を収録するアナログ回路の素子特性のばらつきを表す係数であることを特徴とする請求項1に記載の信号収録再生装置。
【請求項3】
無線周波数信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部で受信した前記無線周波数信号の出力レベルを検出し、前記出力レベルとあらかじめ設定した前記出力レベルを補正する補正信号とに基づいて前記無線周波数信号を増幅する際の利得を算出する出力レベル設定部と、前記出力レベル設定部が算出した前記利得に基づいて前記無線周波数信号を増幅する収録信号増幅部と、前記収録信号増幅部で増幅した前記無線周波数信号の周波数変換を行う収録信号周波数変換部と、を有する収録信号処理部と、
前記収録信号周波数変換部で周波数変換した前記無線周波数信号および前記出力レベル設定部が検出した前記出力レベルを所定の基準信号により生成したサンプリングクロック信号でAD変換するAD変換部と、前記AD変換部でAD変換した前記無線周波数信号および前記出力レベルと前記補正信号と前記基準信号とを収録データとして出力する収録制御部と、を有する収録部と、
前記収録制御部が出力した前記収録データを記録する記録部と、
を備えた信号収録部と、
前記記録部に記録された前記収録データを読み出し、前記無線周波数信号と前記出力レベルと前記補正信号と前記基準信号とに分離する再生制御部と、前記再生制御部が分離した前記無線周波数信号および前記出力レベルを前記基準信号に基づいて生成した前記サンプリングクロック信号に基づいてDA変換するDA変換部と、を有する再生部と、
前記DA変換部でDA変換された前記出力レベルと前記補正信号とに基づいて前記DA変換部でDA変換された前記無線周波数信号を増幅する再生信号増幅部と、前記再生信号増幅部で増幅された前記無線周波数信号の周波数変換を行う再生信号周波数変換部と、を有する再生信号処理部と、
を備えた信号再生部と、
を備えたことを特徴とする信号収録再生装置。
【請求項4】
前記出力レベル設定部は、前記収録信号周波数変換部で周波数変換した前記無線周波数信号の出力レベルが前記AD変換部のダイナミックレンジを超えないように前記利得を設定することを特徴とする請求項3に記載の信号収録再生装置。
【請求項5】
前記再生信号増幅部は、増幅後の前記無線周波数信号の出力レベルが前記収録信号増幅部に入力される前記無線周波数信号の入力レベルと等しくなるように前記無線周波数信号の増幅を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の信号収録再生装置。
【請求項6】
前記補正信号は、前記収録信号処理部におけるアナログ回路の素子特性のばらつきを表す係数であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の信号収録再生装置。
【請求項7】
前記補正信号は、前記収録信号増幅部に入力される信号の入力レベルと前記収録信号周波数変換部が出力する信号の出力レベルの比を表すことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の信号収録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−227645(P2008−227645A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59474(P2007−59474)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】