説明

偏波モード分散補償装置及び偏波モード分散補償方法

【目的】PMD補償動作中であってもPMD補償装置から出力される出力光のSOPが常に一定に保たれる。
【解決手段】第1偏波面コントローラ210、可変DGD調整部220、第2偏波面コントローラ232、偏波解析器236、及び制御信号生成器240を具えて構成される。第1偏波面コントローラは、入力される被PMD補償信号209に対して、偏波状態を調整して偏波面調整信号211を生成する。可変DGD調整部は、偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号215を生成する。第2偏波面コントローラは、PMD補償信号の偏波状態を調整して出力信号233を生成して出力する、この出力信号は、光分岐器234によって一部タップされてモニター信号235が取り出され、出力信号251として外部に出力される。第1偏波面コントローラ、可変DGD調整部、第2偏波面コントローラのそれぞれは、偏波解析器及び制御信号生成器によって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光伝送システムにおいて光伝送路を構成する光ファイバ(以後、光ファイバ伝送路ということもある。)の偏波モード分散に起因して生じる、光パルスの時間波形の歪みを除去する偏波モード分散補償方法及び偏波モード分散補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおける伝送品質に影響を与える要因に、光の信号対雑音比(OSNR: Optical Signal-to-Noise Ratio)、及び光ファイバ伝送路の波長分散、非線形光学効果、偏波モード分散(PMD: Polarization Mode Dispersion)等がある。このうちPMDは時間的に変動する特性を有し、しかも伝送速度が高速になる程、PMDに起因して発生する光パルスの時間波形の歪が伝送品質に与える影響が大きくなるためPMDを補償する必要性が高まる。
【0003】
光ファイバの製造過程においてコアの断面形状が僅かに楕円形状となること等に起因して光ファイバに複屈折性が発現する。この複屈折性は、光ファイバ伝送路に加えられる曲げ応力、あるいは温度変化影響によって変動する。また、光ファイバの複屈折性の変動は、例えば、システムのメンテナンスの作業中に光ファイバ伝送路に触れるといった事態によっても生じ、あるいは光ファイバ伝送路の架橋部の振動等によっても生じる。
【0004】
光パルス信号を構成する光パルスが光ファイバ伝送路を伝播すると、光ファイバ伝送路の有する複屈折性に起因して、光パルスの直交する偏波成分の間に伝播時間差、すなわち群遅延(DGD:Differential Group Delay)が生じる。この現象がPMDである。なお、ここにいうPMDは、後述する高次のPMDと区別するために、1次のPMDということもある。ただし、以後の説明においては、煩雑を回避するため特に区別する必要がある場合を除き1次のPMDを単にPMDということもある。
【0005】
光伝送路を構成する光ファイバで発現するPMDの大きさの程度はPMD係数(単位:ps/(km1/2))で与えられる。PMDに起因して、伝送光パルス信号の1ビットの周期の30%に及ぶDGDが発生すると、光通信におけるビット誤り率(bit error rate)に大きな影響が現れることが知られている。
【0006】
一例として、伝送ビットレート160 Gbit/sの光時分割多重(OTDM: Optical Time Division Multiplexing)信号について、PMDが与える影響について検討する。
【0007】
伝送ビットレート160 Gbit/sのOTDM信号の1ビットの時間幅は6.25 psである。ここで、光ファイバ伝送路が、PMD係数0.2 ps/(km1/2)の単一モード光ファイバ(SMF: single mode fiber)であると仮定する。このSMFを光パルスが88 km伝播すると、DGDの値は1.9 psに達する。すなわち、このOTDM信号の1ビットの時間幅6.25 psに対して、1.9 ps というDGDの値は30%(1.9/6.25≒0.30)に達し、この場合の有効な伝送距離は88 kmに制限されることが分かる。
【0008】
偏波モード分散に起因する光パルスの時間波形の歪を補償するPMD補償装置には、従来、光段補償方法と電気段補償方法の2通りの方法が知られている。電気段補償方法は、電子デバイスの動作速度の上限に起因して、伝送速度が40 Gbit/sを超える光パス信号のPMD補償を行うことが困難となる。そこで、光段補償方法が必要とされる。
【0009】
光段補償方法として、光信号を構成する光パルスの偏光度(DOP: Degree of Polarization)をモニターして、DGDを補償する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。DOPをモニターしてDGDを補償する方法は、波形歪みの補償の対象である光信号の伝送ビットレートに依存せずに実行できること、及び任意のRZ(Return to Zero)フォーマットの光信号に対しても適用が可能であるという特長を有している。
【0010】
この方法を実施するためのPMD補償装置は、偏波面コントローラ、偏光度補償器(以後、DGD補償器ということもある。)、偏波解析器、及びこれらを制御するための制御装置を具えて構成される。このPMD補償装置を用いるPMD補償方法には、DOPの値が極大となるように、偏波面コントローラ及びDGD補償器を適応的に制御し、PMDによる光パルスの時間波形歪を補償するアルゴリズムが利用されている。
【0011】
図1を参照して、従来のPMD補償装置の構成及びその動作を説明する。図1は、従来のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。光信号の通路を太線で示し、電気信号の通路を細線で示してある。
【0012】
PMD補償装置100は、偏波面コントローラ102、DGD補償器104、制御信号生成器106、光分岐器108、及び偏波解析器110を具えて構成されている。偏波面コントローラ102は、制御信号生成器106から供給される制御信号107aに応じて、入力光信号101の偏光状態を任意に変換することができる。
【0013】
DGD補償器104は、制御信号生成器106から供給される制御信号107bに応じて、偏波面コントローラ102から出力される光信号103の固有偏光モードの一方の偏波モード成分に対してDGDの値を任意に調整することができる。すなわち、DGD補償器104は、偏波面コントローラ102から出力される光信号103のDGDの値を減少させて、光信号103のDGD補償を行う機能を有している。
【0014】
PMD補償装置100においては、入力光信号101に対して以下の第1から第3ステップから成るPMD補償方法が実施される。
【0015】
第1ステップは、入力光信号101に対して、この入力光信号101の2つの固有偏波モードのうちPMD補償装置100に先に到達した固有偏波モード成分の偏波方向と、DGD補償器の遅相軸(Slow axis)の方向とが合致するように、偏波面コントローラ102が制御されるステップである。
【0016】
DGD補償器104から出力される光信号105は、光分岐器108で受信光パルス信号109aと受信光パルス信号109bに分岐される。受信光パルス信号109bは、偏波解析器110に入力される。第2ステップは、この偏波解析器110において、受信光パルス信号109bのストークスパラメータを抽出して、DOPを算出するステップである。また、受信光パルス信号109aは、PMD補償装置100の後段に設けられる受信処理部(図示を省略してある。)に入力されて、電気信号の形態に変換する等の受信処理が行われる。
【0017】
第3ステップは、制御信号生成器106において、偏波解析器110から出力されるDOP信号111に基づいて、上述の偏波解析器110で算出されたDOPが極大となるように、偏波面コントローラ102及びDGD補償器104へ供給すべき制御信号107a及び107bを算出するステップである。PMDに起因する光パルスの時間波形歪は、DOPが極大のときに最小となることが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0018】
上述の第1から第3ステップを繰り返して、フィードバック制御を行うことによって、PMD補償装置100において、光パルスの時間波形歪の補償が実行される。
【0019】
光ファイバの複屈折性に起因して、その伝播速度の偏波面の方向依存性が生ずるが、このとき光の位相速度が遅い偏波面の方向を規定する軸を遅相軸(slow axis)と呼び、伝播する光の位相速度が速い偏波面の方向を規定する軸を進相軸(fast axis)と呼ぶ。この遅相軸と進相軸との間の伝播時間差が、PMD量である。
【0020】
光伝送路としての光ファイバの長さが短い場合には、進相軸と遅相軸とは、その方向が光の伝播方向(z軸方向とする。)に対して保存された状態で存在する。しかしながら、光伝送路としての光ファイバの長さが長くなると、進相軸と遅相軸とは、その方向が光の伝播方向(z軸方向)に対して保存された状態で存在するのではなく、z軸の位置に対応して進相軸及び遅相軸の向きは変化するという現象を無視することができなくなる。
【0021】
この光ファイバを光パルスが伝播する場合、光パルスの波長スペクトル成分のうち長波長成分と短波長成分とでは、その進相軸及び遅相軸の向きも異なってくる。すなわち、進相軸及び遅相軸の向きのz軸依存性が波長成分ごとに異なり、光パルスの時間波形は、1次PMDとは異なり複雑に変形する。このように、z軸の位置に対応して進相軸及び遅相軸の向きが変化することに起因して発生するPMDを高次PMDと呼ぶ。
【0022】
光伝送システムにおいて伝送速度が高速になる程、伝送される光パルス信号を構成する光パルスの時間波形の半値幅を狭くする必要がある。すなわち、伝送速度が高速になる程この光パルスの波長スペクトル幅は広くなる。従って、光パルスの波長スペクトル成分のうち長波長成分と短波長成分とでは、上述したように進相軸及び遅相軸の向きが異なることから、光パルスの波長スペクトル幅は広くなるほど進相軸及び遅相軸の向きの相違が大きくなる。この結果、光伝送システムにおいて伝送速度が高速になる程、高次PMDの影響が現れやすくなる。言い換えると、光伝送システムにおいて伝送速度が高速になる程、高次PMDの抑圧を行う必要性が増す。
【0023】
高次PMDを抑圧する光段補償方法を実現する装置として、偏波面コントローラとDGD補償器とからなる1次PMD補償器を多段に直列接続した装置が開示されている(例えば、非特許文献3参照)。また、高次PMD成分及び非偏波成分を偏光子によって除去する方法が開示されている(例えば、非特許文献4参照)。
【0024】
一方、時々刻々と偏波状態(SOP: State of Polarization)が変化する光を入力させて常に一定のSOP状態で出力する、偏波安定化回路が知られており(例えば、特許文献1参照)、偏波依存性を有する光回路の前段に配置されて利用されている。
【0025】
この偏波安定化回路は、入力光を偏波分離手段によってP偏波成分とS偏波成分とに分離し、P偏波成分あるいはS偏波成分のいずれか一方の偏波成分の偏波面を1/2波長板で90°回転させた後、もう一方の偏波成分と合波することによって、偏波無依存性を実現させている。
【0026】
また、偏波安定化回路として上述の偏波安定化回路とは別の構成の偏波安定化回路も知られている。この偏波安定化回路は、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせ、入力光のDOPのストークスパラメータに変換し、SOPを常に一定化する、自動追尾型偏波面コントローラが市販されている(例えば、株式会社オプトクエスト、型番:ALP 05A)。
【特許文献1】特開平9-90299号公報
【非特許文献1】Lianshan Yan, et al., "Practical Solutions to Polarization -Mode-Dispersion Emulation and Compensation", Journal of Lightwave Technology, vol. 24, No. 11 pp. 3992-4005 (2006).
【非特許文献2】磯村章彦、石川丈二「自動偏波モード分散補償技術の現状と課題」OPTRONICS、2003年、No.10、pp.126〜129.
【非特許文献3】C. Xie,et al., "Mitigation of Higher Order PMD by distributing PMD Compensators in the Transmission Line", ECOC 2002, 7.1.1.
【非特許文献4】K. Ikeda, "Simple PMD Compensator with Higher Order PMD Mitigation", OFC 2003, MF90.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、DGD補償器によってDGDの値を変化させることは、直交する偏波モード間の位相差を変化させることに相当し、DGD補償器から出力される出力光のSOPが変化する。光通信において光ファイバ伝送路を伝播して受信側装置に到達する光信号のDGDの値は時間経過に従って変動するので、光通信におけるPMD補償装置に利用されるDGD補償器には可変DGD補償器が使われる。PMD補償装置を構成するDGD補償器として可変DGD補償器を採用した場合、DGD補償器から出力される出力光のSOPが補償DGD量を変化させたことに起因して大きく、瞬時に変化するため、このPMD補償装置の後段に偏波依存性を有する光デバイスを構成要素とする装置を配置することが困難となる。
【0028】
そこで、この発明の目的は、光ファイバ伝送路のPMDによって時間波形が歪んだ光パルスから構成される被PMD補償光パルス信号を入力して当該光パルスの時間波形を整形する動作が行われている状態であっても、当該光パルスのSOPを時間変動がなく、常に一定に保ってPMD補償光パルス信号として生成して出力するPMD補償装置及びこのPMD補償装置を利用するPMD補償方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この発明の発明者は、従来のPMD補償装置が具えるDGD補償器の後段に、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて構成される偏波安定化回路を配置し、この偏波安定化回路から出力されるPMD補償された出力光のストークスパラメータを、常に予め設定された値になるように偏波安定化回路を制御することで、上述の課題が解決されることに思い至った。また、一般に偏波解析器は高価なデバイスであるが、PMD補償手段に用いられる偏波解析器と、偏波安定化手段に用いられる偏波解析器を同一のものを利用することで部品点数を削減することが可能である。すなわち、偏波安定化回路から出力される出力光のストークスパラメータを時間的に一定に保つように制御することで、SOPの変動をなくすことができ、PMD補償装置の後段に偏波依存性を有する光デバイスを構成要素とする装置を配置することが可能となる。
【0030】
上述の理念に基づくこの発明の要旨によれば、以下のPMD補償装置及びPMD補償方法が提供される。
【0031】
この発明のPMD補償装置は、光ファイバ伝送路のPMDによって発生する光パルスの時間波形を整形する装置であって、偏波モード調整部と、偏波面確定調整部とを具えて構成される。偏波モード調整部は、被PMD補償信号が入力信号として入力されて、この入力信号の偏波状態を調整し、かつこの入力信号の偏波モード間のDGDを調整してPMD補償信号を生成する。偏波面確定調整部は、PMD補償信号が入力されて、このPMD補償信号の偏波方向が確定され、かつPMDが補償された信号を出力信号として生成して出力する。
【0032】
この発明のPMD補償装置は以下のように構成するのが好適である。すなわち、この発明のPMD補償装置は、第1偏波面コントローラ、可変DGD調整部、第2偏波面コントローラ、偏波解析器、及び制御信号生成器を具えて構成される。
【0033】
第1偏波面コントローラは、入力信号として入力される被PMD補償信号に対して、この入力信号の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号に応じて、この入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成する。
【0034】
可変DGD調整部は、第1偏波面コントローラから供給される偏波面調整信号に対して、この偏波面調整信号のDGDを指示する第2パラメータ信号に応じて、この偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号を生成する。
【0035】
第2偏波面コントローラは、可変DGD調整部から供給されるPMD補償信号に対して、このPMD補償信号の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ信号に応じて、このPMD補償信号の偏波方向を確定して出力信号を生成して出力する、偏波安定化回路として機能を果す。
【0036】
偏波解析器は、出力信号からタップされたモニター信号のストークスパラメータを算出し、このストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力する。
【0037】
制御信号生成器は、ストークスパラメータ信号から、第1パラメータ信号、第2パラメータ信号、及び第3パラメータ信号を生成して、第1パラメータ信号を第1偏波面コントローラに供給し、第2パラメータ信号を可変DGD調整部に供給し、第3パラメータ信号を第2偏波面コントローラに供給する。
【0038】
可変DGD調整部は、以下のように構成するのが好適である。すなわち、可変DGD調整部は、偏波分波器、偏波合波器、可動アーム、ステッピングモータ、及びステッピングモータドライバを具えて構成される。
【0039】
偏波分波器は、偏波面調整信号を当該偏波面調整信号の直交固有偏波モードの第1偏波モード成分と第2偏波モード成分とに分岐する。第1偏波モード成分は、偏波合波器に入力され、第2偏波モード成分は、可動アームに入力されてDGDが付加されて偏波合波器に入力される。
【0040】
偏波合波器によって、第1偏波モード成分とDGDが付加された第2偏波モード成分とが合波されて、PMD補償信号が生成されるように、偏波分波器、可動アーム、及び偏波合波器が配置されている。
【0041】
ステッピングモータは、DGDを第2偏波モード成分に付加するために必要な位置に可動アームを移動させる。ステッピングモータドライバは、ステッピングモータに対して可動アームを移動させための制御をする。
【0042】
この発明のPMD補償方法は、光ファイバ伝送路のPMDによって発生する光パルスの時間波形を整形する方法であって、偏波モード調整ステップと、偏波面確定ステップとを含んでいる。
【0043】
偏波モード調整ステップは、入力信号として入力される被PMD補償信号に対して、この入力信号の偏波状態を調整し、かつこの入力信号の偏波モード間のDGDを調整してPMD補償信号を生成するステップである。
【0044】
偏波面確定ステップは、PMD補償信号が入力されて、このPMD補償信号の偏波方向を確定し、かつPMDが補償された信号を出力信号として生成して出力するステップである。
【0045】
この発明のPMD補償方法は、以下のステップを含んで構成するのが好適である。すなわち、第1偏波面コントロールステップと、DGD調整ステップと、第2偏波面コントロールステップと、偏波解析ステップと、制御信号生成ステップとを含んで構成する。
【0046】
第1偏波面コントロールステップは、入力信号として入力される被PMD補償信号に対して、この入力信号の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号に応じて、この入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成するコントロールステップである。
【0047】
DGD調整ステップは、偏波面調整信号に対して、この偏波面調整信号のDGDの値を指示する第2パラメータ信号に応じて、この偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号を生成するステップである。
【0048】
第2偏波面コントロールステップは、PMD補償信号に対して、このPMD補償信号の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ信号に応じて、このPMD補償信号の偏波方向を確定して、出力信号を生成するステップである。
【0049】
偏波解析ステップは、出力信号をタップしてモニター信号を分岐し、このモニター信号のストークスパラメータを算出し、このストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力するステップである。
【0050】
制御信号生成ステップは、ストークスパラメータ信号から、第1パラメータ信号、第2パラメータ信号、及び第3パラメータ信号を生成して、第1パラメータ信号を第1偏波面コントローラに供給し、第2パラメータ信号を可変DGD調整部に供給し、第3パラメータ信号を第2偏波面コントローラに供給するステップである。
【発明の効果】
【0051】
この発明のPMD補償装置によれば、偏波モード調整部において偏波モード間のDGDが調整されることによって、入力信号のSOPが変化させられて出力されるPMD補償信号が、偏波面確定調整部に入力されて予め設定されたSOPに確定されて出力される。従って、この発明のPMD補償装置からは、PMDが補償されかつ偏波方向が確定された出力信号が出力される。
【0052】
このことによって、この発明のPMD補償装置によれば光ファイバ伝送路のPMDによって時間波形が歪んだ光パルスから構成される被PMD補償光パルス信号を入力して当該光パルスの時間波形を整形する動作が行われている状態であっても、当該光パルスのSOPを時間変動がなく、常に一定に保ってPMD補償光パルス信号として生成して出力することが可能となる。従って、この発明のPMD補償装置の後段に偏波依存性をもつ光デバイスを構成要素として具える光学処理装置を接続することが可能となる。
【0053】
偏波モード調整部は、第1偏波面コントローラ及び可変DGD調整部を具えて構成することが可能である。このように構成した場合、第1偏波面コントローラは、入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成する機能を果す。また、可変DGD調整部は、第1偏波面コントローラから供給される偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号を生成する。従って、入力信号のSOPはこの可変DGD調整部において変化する。
【0054】
偏波面確定調整部は、上述の第1偏波面コントローラと同一の構成の第2偏波面コントローラによって構成することが可能である。この場合、第2偏波面コントローラにPMD補償信号が入力されて、予め設定された偏波方向となるように偏波方向が確定されて出力信号が生成されて出力される。
【0055】
この発明のPMD補償方法によれば、偏波解析ステップにおいて、出力信号のストークスパラメータが算出される。このストークスパラメータからDOP値が計算されるので、このDOP値が最大となるように上述の第1偏波面コントローラ及びDGD補償器が制御される。この制御には、周知のPSO(Particle Swarm Optimization)アルゴリズム等が適宜利用できる。
【0056】
出力信号のDOPが最大となるように、第1偏波面コントローラ及び可変DGD調整部を制御するための制御信号が、それぞれ第1パラメータ信号及び第2パラメータ信号である。制御信号生成器において、出力信号からタップされたモニター信号を観測することで得られたストークスパラメータを基にして算出された基準DOP値に基づき、DOP値が最大となるよう制御するための上述のアルゴリズムに従って測定DOP値が決定され、この測定DOP値から第1パラメータ信号及び第2パラメータ信号が算出される。
【0057】
また、偏波解析ステップにおいて、偏波安定化回路の機能を果す第2偏波面コントローラに対しても、上述の制御信号生成器において、出力信号からタップされたモニター信号を観測することで得られたストークスパラメータを共通に利用される。そして、第2偏波面コントローラから出力される出力信号が、予め設定されたSOPとなるように制御するため、このストークスパラメータから制御信号が適応的に生成される。この制御信号が第3パラメータ信号である。
【0058】
例えば、入力信号のPMDの変化によりDOP値が小さくなったことが偏波解析器で観測された場合、第1偏波面コントローラ及び可変DGD調整部はこのDOP値が大きくなるように制御される。第1偏波面コントローラがこのような制御を受けている間、常に第2偏波面コントローラは、出力信号が予め設定されたSOPとなるように制御される。
【0059】
このことによって、偏波安定化回路の機能を果たす第2偏波面コントローラから出力される出力光の強度が変動することなく、入力信号の時間波形を整形する動作が行われている状態であっても、当該光パルスのSOPを時間変動がなく、常に一定に保ってPMD補償光パルス信号として生成して出力することが可能となる。
【0060】
すなわち、この発明のPMD補償装置及びPMD補償方法の特徴は、出力信号からタップされたモニター信号を観測することで得られたストークスパラメータを共通に利用して、第1偏波面コントローラ、可変DGD調整部、及び第2偏波面コントローラを制御することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、図2〜図7を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、図2はこの発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係などを概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の素子および動作条件などを取り上げることがあるが、これら素子および動作条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。
【0062】
<実施形態のPMD補償装置>
図2及び図3(A)〜図3(C)を参照して、この発明の実施形態のPMD補償装置の構成及びその動作について説明する。図2は、この発明の実施形態のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。光信号の通路を太線で示し、電気信号の通路を細線で示してある。
【0063】
この発明の実施形態のPMD補償装置250は、第1偏波面コントローラ210、可変DGD調整部220、第2偏波面コントローラ232、偏波解析器236、及び制御信号生成器240を具えて構成される。
【0064】
第1偏波面コントローラ210は、入力信号209として入力される被PMD補償信号に対して、この入力信号209の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号241a応じて、この入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号211を生成する。
【0065】
可変DGD調整部220は、第1偏波面コントローラ210から供給される偏波面調整信号211に対して、この偏波面調整信号211のDGDを指示する第2パラメータ信号241b応じて、この偏波面調整信号211の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号215を生成する。
【0066】
第2偏波面コントローラ232は、可変DGD調整部220から供給されるPMD補償信号215に対して、このPMD補償信号215の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ241c信号応じて、このPMD補償信号215の偏波方向を確定して出力信号233を生成して出力する、偏波安定化回路としての機能を果す。出力信号233は、光分岐器234によって一部タップされてモニター信号235が取り出され、出力信号251として外部に出力される。
【0067】
偏波解析器236は、出力信号233からタップされたモニター信号235のストークスパラメータを算出し、このストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号237に変換して出力する。
【0068】
制御信号生成器240は、ストークスパラメータ信号237から、第1パラメータ信号241a、第2パラメータ信号241b、及び第3パラメータ信号241cを生成して、第1パラメータ信号241aを第1偏波面コントローラ210に供給し、第2パラメータ信号241bを可変DGD調整部220に供給し、第3パラメータ信号241cを第2偏波面コントローラ232に供給する。
【0069】
可変DGD調整部220は、偏波分波器212、偏波合波器214、可動アーム216、ステッピングモータ218、及びステッピングモータドライバ222を具えて構成されている。
【0070】
偏波分波器212は、偏波面調整信号211を当該偏波面調整信号211の直交固有偏波モードの第1偏波モード成分213aと第2偏波モード成分213bとに分岐する。第1偏波モード成分213aは、偏波合波器214に入力され、第2偏波モード成分213bは、可動アーム216に入力されてDGDが付加されて第2偏波モード成分213cとされて偏波合波器214に入力される。
【0071】
可動アーム216は、アームの両端に反射鏡216-1と反射鏡216-2とが固定されており、反射鏡216-1と反射鏡216-2とがステッピングモータ218によって駆動されて、第2偏波モード成分213bの伝播する光路長を調整する機能を有している。
【0072】
偏波合波器214によって、第1偏波モード成分213aとDGDが付加された第2偏波モード成分213cとが合波されて、PMD補償信号215が生成されるように、偏波分波器212、可動アーム216、及び偏波合波器214が配置されている。
【0073】
ステッピングモータ218は、DGDを第2偏波モード成分213bに付加するために必要な位置に可動アーム216を移動させる。ステッピングモータドライバ222は、ステッピングモータ218に対して可動アーム216を移動させための制御をする。
【0074】
第1偏波面コントローラ210及び第2偏波面コントローラ232は、原理的には、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて構成することが可能であり、偏波面コントローラ等の名称で市販されている装置を適宜利用することが可能である。また、電圧等の制御信号に従って、光ファイバのコアにストレスを与え、偏波面を制御する装置も利用できる。可変DGD調整部220は電圧等の制御信号に従って直交偏波モード間の光路差をモータ等により変化させる装置を適宜利用することができる。また、複数の複屈折結晶間に偏波ローテータを配置する偏波スイッチ型のDGD補償器も利用できる。
【0075】
ここでは、第1偏波面コントローラ210及び第2偏波面コントローラ232として、ジェネラルフォトニクス社(General Photonics Corporation)製の偏波面コントローラPMP-3000などが利用でき、可変DGD調整部220等が該当するDGD補償器としては、光搬送波波長と比較して十分に小さい可変ステップを有するDGD発生器が利用できる。この偏波面コントローラによれば、入力光に対して、外部からの制御信号に従って、その変更面を回転制御することが可能である。また、DGD補償器も同様に外部からの制御信号に従って、任意にDGDを発生することが可能である。
【0076】
具体的には、偏波面コントローラPMP-3000に対して、偏波面コントローラPMP-3000が具えているI/O接続端子にパーソナルコンピュータ等のロジック制御回路を介したRS-232通信により、入力光の偏波面の方向を調整し、出力することができる。また、DGD補償器も同様に外部からのRS-232通信により任意にDGDを発生させることが可能である。
【0077】
偏波解析器236には、ジェネラルフォトニクス社のDOP計測器POD-101Aを利用した。DOP計測器POD-101Aから出力されるストークスパラメータ信号237は、USBインターフェース(図示を省略してある。)を介して、制御信号生成器240に供給される。制御信号生成器240は、ストークスパラメータからDOPを算出するプログラムがインストールされているパーソナルコンピュータを利用した。すなわち、このパーソナルコンピュータによって、DOP計測器POD-101Aから出力されるストークスパラメータ信号237からDOPを算出した。
【0078】
上述のPMD補償器の構成、DOP計測器POD-101A、及びストークスパラメータからDOPを算出するプログラムがインストールされているパーソナルコンピュータを利用して、後述するこの発明の実施形態のPMD補償方法のを構成するステップを手動操作することによって実行することが可能である。もちろん、これらのステップに対して、汎用コンピュータ等を利用して適宜自動化することも可能であることはいうまでもない。
【0079】
この発明の実施形態のPMD補償装置250にPMDに起因する時間波形歪が含まれれる入力信号が入力されると、第1偏波面コントローラ210及び可変DGD調整部220のそれぞれが、制御信号生成器240から供給される第1パラメータ信号241a及び第2パラメータ信号241bに基づき、PMD補償装置250から出力される出力信号のDOPが極大となるように、PMD補償器が動作する。
【0080】
第2偏波面コントローラ232にも制御信号生成器240から供給される第3パラメータ信号241cが供給される。第2偏波面コントローラ232は、この第3パラメータ信号241cに基づき、予め設定されているSOPに出力信号233の偏波方向が確定するように動作する。
【0081】
例えば、z軸方向に伝播方向をとりy軸方向の偏波をSOPとして設定されている場合は、ストークスパラメータ(S0, S1, S2, S3)=(1, 1, 0, 0)となるように第2偏波面コントローラ232が制御されれば良い。SOPは、制御信号生成器240に予め設定しておくことが可能である。
【0082】
DOPとは、光パルスの全光強度に対する偏光成分の光強度の占める割合として定義される値であるので、ストークスパラメータ(S0, S1, S2, S3)によって次式(1)で与えられる。
DOP={S12+S22+S32}1/2/S0 (1)
従って、ストークスパラメータが算出されれば、DOPは式(1)を用いて算出される。
【0083】
光ファイバ伝送路を伝播してこの発明の実施形態のPMD補償装置250に入力される入力信号のPMDの変動によってDOPが小さくなったことが偏波解析器236で観測されると、第1偏波面コントローラ210と可変DGD調整部220によって出力信号233のDOPが大きくなるように制御される。この第1偏波面コントローラ210と可変DGD調整部220が上述の動作をしている間に、第1偏波面コントローラ210と可変DGD調整部220の動作と協働して、第2偏波面コントローラ232が予め設定されているSOPに出力信号233が確定するように動作する。
【0084】
上述の第1偏波面コントローラ210、可変DGD調整部220、及び第2偏波面コントローラ232が協働して出力信号233のSOPを制御するにあたり、可変DGD調整部220のDGD調整値の最小単位が入力信号の波長に比べて十分に小さくない場合、可変DGD調整部220から出力される第2偏波面コントローラ232に入力されるPMD補償信号215のDGDの値は大きく変動する。すなわち、この場合、第2偏波面コントローラ232の追随動作が間に合わないことが起こり得る。
【0085】
そこで、可変DGD調整部220のDGD調整値の最小単位は、入力信号の波長に比べて十分に小さくなるように設定するのが好ましい。このように、DGD調整値の最小単位を入力信号の波長に比べて十分小さく設定できる可変DGD調整部220を構成するステッピングモータ218として、シグマ光機社製ステッピングモータ(型番:SGSP15-10, TS3682N5)等が適宜利用できる。これによれば、DGD調整値の最小単位を0.008μmとすることができる。
【0086】
図2に示す形状の可変DGD調整部220を上述のステッピングモータを利用して構築した場合、可変DGD調整部220によって調整可能であるDGD調整値の最小単位は、0.016μm(=0.008μm×2)となり、このDGD調整値の最小単位の値は、入力信号の波長を1.55μmとした場合、その波長の1/90となる。この程度DGD調整値の最小単位の値が小さければ、可変DGD調整部220で調整されるDGDの値に対して、第2偏波面コントローラ232が十分に追随して動作することが可能である。
【0087】
図3(A)〜図3(C)を参照して、可変DGD調整部220で調整されるDGDの値に対して算出されるストークスパラメータの値の関係が、DGD調整値の最小単位の値の相違によってどのように変わるかを説明する。図3(A)〜図3(C)は、可変DGD調整部220で調整されるDGDの値に対して算出されるストークスパラメータの値の関係の説明に供する図であり、図3(A)、(B)及び(C)は、DGD調整値の最小単位の値がそれぞれ0.053フェムト秒(fs)である場合、0.2 fs、及び2 fsである場合について示す図である。ストークスパラメータ(S1, S2, S3)のそれぞれの値を四角印(S1の値)、丸印(S2の値)、及び三角印(S3の値)で示してある。
【0088】
図3(A)に示すように、DGD調整値の最小単位の値が0.053 fsである場合には、DGD調整値の変動に対してストークスパラメータの値が連続的に変化すると見なせる。また、図3(B)に示すように、DGD調整値の最小単位の値が0.2 fsである場合にも、DGD調整値の変動に対してストークスパラメータの値が連続的に変化すると見なせる。しかしながら、図3(C)に示すように、DGD調整値の最小単位の値が2 fsである場合には、DGD調整値の変動に対してストークスパラメータの値が飛び飛びに変化することが読み取れる。
【0089】
可視から近赤外光の振動数はほぼ1014Hz程度であるからその周期は、10-14 s程度となる。すなわち、ほぼ10 fs程度である。図3(B)及び図3(C)にそれぞれ示すDGD調整値の最小単位の値が0.2 fs及び2 fsは可視から近赤外光の振動数のほぼ1/50程度及び1/5に相当する。従って、可変DGD調整部220のDGD調整値の最小単位を入力信号の波長に比べて十分に小さくなるように設定するには、入力信号の振動数の数十分の1以下に設定するのが望ましい。
【0090】
次に、図4を参照して、この発明の実施形態のPMD補償装置の動作原理を検証する実験システムについて説明する。図4は、この発明の実施形態のPMD補償装置の動作原理を検証する実験システムの概略的ブロック構成図である。
【0091】
この実験システムは、送信器260、第1偏波面コントローラ262、可変DGD調整部264、第2偏波面コントローラ266、偏光子268、及び光パワーメータ270を具えて構成した。送信器260は、160 Gbit/sのビットレートの光時分割多重信号261(以後、OTDM信号261と略記する。)を出力する。第1偏波面コントローラ262は、OTDM信号261が入力されてOTDM信号261の偏波状態を調整して偏波面調整信号263生成する。可変DGD調整部264は、偏波面調整信号263の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対してDGDを付与して、PMD補償信号265を生成する。第2偏波面コントローラ266は、PMD補償信号265の偏波方向を確定して出力信号267を生成して出力する。出力信号267は、偏光子268を透過して監視出力信号269として出力され、光パワーメータ270によってその光強度が測定される。
【0092】
可変DGD調整部264から出力されるPMD補償信号265は、第2偏波面コントローラ266として、1/2波長板、1/4波長板及びストークスパラメータモニターを具えて構成される市販の偏波安定化回路(株式会社オプトクエスト社:型番ALP 05A)に入力されて、出力信号267として生成されて出力する構成として実験を行なった。すなわち、上述の市販の偏波安定化回路を第2偏波面コントローラ266として用い、この発明のPMD補償装置の偏波安定化機能の検証を行った。
【0093】
偏波安定化回路には常にストークスパラメータ(S1, S2, S3)が(1, 0, 0)となるように設定した。すなわち、設定ストークスパラメータを(S1, S2, S3)=(1, 0, 0)とした。また、第1偏波面コントローラ262及び第2偏波面コントローラ266を構成しているそれぞれの1/2波長板と1/4波長板との回転速度をπラジアン/sとした。出力信号267の偏波面が安定化されていれば、偏光子268から出力される監視出力信号269の強度は変化しないはずである。
【0094】
図5を参照して、上述の実験結果について説明する。図5は、第2偏波面コントローラ266から出力される出力信号267のSOPのDGD調整値の最小単位の値依存性を示す図である。図5において横軸は可変DGD調整部264で付加されるDGDの値をピコ秒(ps)単位で目盛って示してあり、横軸は偏光子268からの出力光である監視出力信号269の強度をdBm単位で目盛って示してある。
【0095】
図5において、DGD調整値の最小単位の値がそれぞれ0.053 fsである場合、0.1 fs、及び0.5 fsである場合について、監視出力信号269の強度のそれぞれの値を丸印(0.053 fsである場合)、四角印(0.1 fsである場合)、及び三角印(0.5 fsである場合)で示してある。図5に示すように、DGD調整値の最小単位の値が0.053 fsである場合及び0.1 fsである場合には、偏光子268から出力される監視出力信号269の強度が変化していないことが分かる。
【0096】
すなわち、DGD調整値の最小単位の値を少なくとも0.1 fsより小さく設定すれば、偏波安定化回路(第2偏波面コントローラ266)から出力されるPMD補償光パルス信号のSOPは時間変動がなく常に一定に保たれることが分かる。また、この結果から、偏波モード調整部のPMD補償動作時において用いるストークスパラメータと、波面確定調整部の偏波安定化動作時において用いられるストークスパラメータとを共用することが可能であることを示している。
【0097】
従って、この発明の実施形態のPMD補償装置によれば、ファイバ伝送路のPMDによって時間波形が歪んだ光パルスから構成される被PMD補償光パルス信号を入力して当該光パルスの時間波形を整形する動作が行われている状態であっても、当該光パルスのSOPを時間変動がなく、常に一定に保ってPMD補償光パルス信号として生成して出力することが可能であることが確かめられた。
【0098】
この発明のPMD補償装置は、光通信システムにおいて受信側の装置の前段に設定することも、また光ファイバ伝送路の途中に設置することも可能であり、いずれの場合も、PMD補償動作が有効に機能する。
【0099】
この発明のPMD補償装置によれば、SOPの時間変動がない状態でPMD補償が行われるので、非特許文献4に開示されている、高次PMD成分及び非偏波成分を偏光子によって除去する方法にも有効に利用可能である。
【0100】
<実施形態のPMD補償方法>
上述したこの発明のPMD補償装置によれば、以下に説明するこの発明の実施形態のPMD補償方法を実施することが可能である。以下の説明においては、上述の偏波モード調整ステップ及び偏波面確定ステップを手動操作することを前提として説明し、汎用コンピュータ等を利用してこれらのステップを適宜自動化することも可能である。
【0101】
図6及び図7を参照して、この発明のPMD補償装置を利用して実行されるPMD補償方法の実施形態について説明する。図6は初期のPMD補償動作に係るステップの説明に供するフローチャートであり、図5は初期のPMD補償動作の終了後に係るステップの説明に供するフローチャートである。
【0102】
図6に示すフローチャートでは、ステップS10において、初期化が完了したか否かを示す初期化フラグが、初期化が未完了である場合にi=0と設定され、その後、PMD補償装置が動作を開始することを想定している。従って、PMD補償装置が稼動を開始した時点で、出力信号233、すなわちモニター信号235のDOPの常時観測が始められる。モニター信号235の常時観測は、以下に示すステップS16によって実行される。
【0103】
ステップS12は、基準DOP値を設定するステップである。この基準DOPの値以下になるように以下のステップが実行される。
【0104】
ステップS14は、PMD補償されてPMD補償装置250から出力される出力信号251のSOPを指定するストークスパラメータを設定するステップである。このときに設定されるストークスパラメータで与えられるSOPに常になるように出力信号251のSOPが調整される。このSOPの指定は、この発明の実施形態のPMD補償装置の後段に設置される光学的処理装置の偏波面依存性を考慮してなされる。
【0105】
ステップS16は、PMD補償装置250から出力される出力信号233の偏波状態を偏波解析器236によって測定して当該出力光のストークスパラメータを算出し、第1〜第3パラメータ信号を生成するステップである。偏波解析器236によって測定されれる対象となる光信号は、光分岐器234によって出力光233の一部をタップされたモニター信号235である。出力信号233とモニター信号235とはその強度が相違するだけであり、互いのSOPは同一である。ステップS16は、偏波解析ステップ及び制御信号生成ステップに相当する。
【0106】
ステップS18は、ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値とステップS12で設定した基準DOP値とを比較し、ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値がステップS12で設定した基準DOP値以上である場合は初期化フラグをi=1に設定し、以下の値である場合は初期化フラグをi=0のままとするステップである。このステップは、上述のジェネラルフォトニクス社製の偏波面コントローラPMP-3000、DGD補償器等を適宜利用することによって行うことが可能である。ステップS18は、偏波解析ステップに相当する。
【0107】
ただし、ステップS18において、測定DOP値が基準DOP値以上であると判定された場合にはステップS32に進み、測定DOP値が基準DOP値を超えていないと判定された場合にはステップS22に進む。
【0108】
ステップS22は、第1パラメータ信号241aに基づいて第1偏波面コントローラ210を制御して、DOPの値が極大となるように被PMD補償信号209の偏波面を回転制御するステップである。このステップも、上述のPMD補償器を適宜利用することによって行うことが可能である。ステップS22は、第1偏波面コントロールステップに相当する。
【0109】
ステップS24は、第2パラメータ信号241bに基づいて可変DGD調整部220を制御して、第1偏波面コントローラ210からの出力光211のDGDが減少するように調整して出力するステップである。ステップS24は、DGD調整ステップに相当する。
【0110】
ステップS32は、第1偏波面コントローラ210によって、DOPの値が極大となるように被PMD補償信号209の偏波面を微小な回転制御を行うステップである。このステップは、上述したように、ステップS18において、ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値とステップS12で設定した基準DOP値とを比較し、ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値がステップS12で設定した基準DOP値以上であるとして、初期化フラグがi=1に設定された後のステップである。従って、被PMD補償信号209の偏波面をを大幅に変更する必要はなく、むしろ微動調整するのが好ましい。ステップS32は、第1偏波面コントロールステップに相当する。
【0111】
ステップS34は、可変DGD調整部220によって、第1偏波面コントローラ210からの出力光211のDGDが減少するように微調整して出力するステップである。このステップも、ステップS32と同様に、初期化フラグがi=1に設定された後のステップであるので、可変DGD調整部220においては微調整するのが好ましい。ステップS34は、DGD調整ステップに相当する。
【0112】
ステップS36は、第3パラメータ信号241cに基づいて第2偏波面コントローラ232を制御して、DOPの値が極大となるようにPMD補償信号215の偏波面の回転制御を行うステップである。このステップも、ステップS32と同様に、初期化フラグがi=1に設定された後のステップであるので、第2偏波面コントローラ232においては微調整するのが好ましい。ステップS36は、第2偏波面コントロールステップに相当する。
【0113】
ステップS40は、ステップS14において設定された設定ストークスパラメータと、出力信号(モニター信号235)の測定ストークスパラメータとを比較するステップである。ステップS40も、ステップS18と同様に、上述のPMD補償器の構成等を適宜利用することによって行うことが可能である。ステップS40は、偏波解析ステップに相当する。
【0114】
ステップS40において、設定ストークスパラメータが測定ストークスパラメータに等しいと判定された場合にはステップS16に進み、設定ストークスパラメータが測定ストークスパラメータに等しくないと判定された場合にはステップS36に進む。また、ステップS24が終了したら、ステップS16に戻り、ステップS18、ステップS22、及びステップS24を繰り返し実行する。
【0115】
ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値とステップS12で設定した基準DOP値とを比較し、ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定DOP値がステップS12で設定した基準DOP値以上であるとして初期化フラグiがi=1に設定されると、図7に示すように、ステップS32が実行される。ステップS32からステップS40までのステップは、初期のPMD補償動作終了後に実行されるステップである。
【0116】
ステップS18で測定されたDOPが基準DOP以上である限り、ステップS32からステップS40までのステップが実行され、恒常的に出力信号251のDOPがモニター信号235を利用することによって監視され続けられる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】従来のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。
【図2】この発明の実施形態のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。
【図3】DGDの値に対するストークスパラメータの値の関係の説明に供する図であり、(A)、(B)及び(C)は、DGD調整値の最小単位の値がそれぞれ0.053 fsである場合、0.2 fs、及び2 fsである場合について示す図である。
【図4】この発明の実施形態のPMD補償装置の動作原理を検証する実験システムの概略的ブロック構成図である。
【図5】第2偏波面コントローラから出力される出力信号のSOPのDGD調整値の最小単位の値依存性を示す図である。
【図6】初期のPMD補償動作に係るステップの説明に供するフローチャートである。
【図7】初期のPMD補償動作の終了後に係るステップの説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
100、250:PMD補償装置
102:偏波面コントローラ
104:DGD補償器
106、240:制御信号生成器
108、234:光分岐器
110、236:偏波解析器
210、262:第1偏波面コントローラ
212:偏波分波器
214:偏波合波器
216:可動アーム
216-1、216-2:反射鏡
218:ステッピングモータ
220、264:可変DGD調整部
222:ステッピングモータドライバ
232、266:第2偏波面コントローラ
260:送信器
268:偏光子
270:光パワーメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被偏波モード分散補償信号が入力信号として入力されて、該入力信号の偏波状態を調整し、かつ該入力信号の偏波モード間の群遅延を調整して偏波モード分散補償信号を生成する偏波モード調整部と、
前記偏波モード分散補償信号が入力されて、該偏波モード分散補償信号の偏波方向が確定され、かつ偏波モード分散が補償された信号を出力信号として生成して出力する偏波面確定調整部と
を具えることを特徴とする偏波モード分散補償装置。
【請求項2】
第1偏波面コントローラ、可変群遅延調整部、第2偏波面コントローラ、偏波解析器、及び制御信号生成器を具え、
前記第1偏波面コントローラは、入力信号として入力される被偏波モード分散補償信号に対して、該入力信号の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号に応じて、該入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成し、
前記可変群遅延調整部は、前記第1偏波面コントローラから供給される前記偏波面調整信号の群遅延を指示する第2パラメータ信号に応じて、該偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対して群遅延を付与して、偏波モード分散補償信号を生成し、
前記第2偏波面コントローラは、前記可変群遅延調整部から供給される前記偏波モード分散補償信号の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ信号に応じて、該偏波モード分散補償信号の偏波方向を確定して、出力信号を生成して出力し、
前記偏波解析器は、前記出力信号からタップされたモニター信号のストークスパラメータを算出し、該ストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力し、
前記制御信号生成器は、前記ストークスパラメータ信号から、前記第1パラメータ信号、前記第2パラメータ信号、及び前記第3パラメータ信号を生成して、前記第1パラメータ信号を前記第1偏波面コントローラに供給し、前記第2パラメータ信号を前記可変群遅延調整部に供給し、前記第3パラメータ信号を前記第2偏波面コントローラに供給する
ことを特徴とする偏波モード分散補償装置。
【請求項3】
前記可変群遅延調整部は、偏波分波器、偏波合波器、可動アーム、ステッピングモータ、及びステッピングモータドライバを具え、
前記偏波分波器は、前記偏波面調整信号を当該偏波面調整信号の前記直交固有偏波モードの第1偏波モード成分と第2偏波モード成分とに分岐し、
前記第1偏波モード成分は、前記偏波合波器に入力され、
前記第2偏波モード成分は、前記可動アームに入力されて前記群遅延が付加されて前記偏波合波器に入力され、
前記偏波合波器によって、前記第1偏波モード成分と前記群遅延が付加された第2偏波モード成分とが合波されて、前記偏波モード分散補償信号が生成されるように、前記偏波分波器、前記可動アーム、及び前記偏波合波器が配置されており、
前記ステッピングモータは、前記群遅延を前記第2偏波モード成分に付加するために必要な位置に前記可動アームを移動させ、
前記ステッピングモータドライバは、前記ステッピングモータに対して前記可動アームを移動させための制御をする
ことを特徴とする請求項2に記載の偏波モード分散補償装置。
【請求項4】
入力信号として入力される被偏波モード分散補償信号に対して、該入力信号の偏波状態を調整し、かつ該入力信号の偏波モード間の群遅延を調整して偏波モード分散補償信号を生成する偏波モード調整ステップと、
前記偏波モード分散補償信号が入力されて、該偏波モード分散補償信号の偏波方向を確定し、かつ偏波モード分散が補償された信号を出力信号として生成して出力する偏波面確定ステップと
を具えることを特徴とする偏波モード分散補償方法。
【請求項5】
入力信号として入力される被偏波モード分散補償信号に対して、該入力信号の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号に応じて、該入力信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成する第1偏波面コントロールステップと、
前記偏波面調整信号の群遅延を指示する第2パラメータ信号に応じて、該偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対して群遅延を付与して、偏波モード分散補償信号を生成する可変群遅延調整ステップと、
前記偏波モード分散補償信号の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ信号に応じて、該偏波モード分散補償信号の偏波方向を確定して、出力信号を生成する第2偏波面コントロールステップと、
前記出力信号をタップしてモニター信号を分岐し、該モニター信号のストークスパラメータを算出し、該ストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力する偏波解析ステップと、
前記ストークスパラメータ信号から、前記第1パラメータ信号、前記第2パラメータ信号、及び前記第3パラメータ信号を生成して、前記第1パラメータ信号を第1偏波面コントローラに供給し、前記第2パラメータ信号を可変群遅延調整部に供給し、前記第3パラメータ信号を第2偏波面コントローラに供給する制御信号生成ステップと
を含むことを特徴とする偏波モード分散補償方法。
【請求項6】
第1偏波面コントローラ、可変群遅延調整部、第2偏波面コントローラ、偏波解析器、及び制御信号生成器を具え、
前記第1偏波面コントローラは、入力される被偏波モード分散補償信号に対して、該被偏波モード分散補償信号の偏波面の回転量を指示する第1パラメータ信号に応じて、該被偏波モード分散補償信号の偏波状態を調整して偏波面調整信号を生成し、
前記可変群遅延調整部は、前記第1偏波面コントローラから供給される前記偏波面調整信号に対して、該偏波面調整信号の群遅延を指示する第2パラメータ信号に応じて、該偏波面調整信号の直交固有偏波モードの一方の偏波モード成分に対して群遅延を付与して、偏波モード分散補償信号を生成し、
前記第2偏波面コントローラは、前記可変群遅延調整部から供給される前記偏波モード分散補償信号に対して、該偏波モード分散補償信号の偏波面の回転量を指示する第3パラメータ信号に応じて、該偏波モード分散補償信号の偏波方向を確定して、出力信号を生成し、
前記偏波解析器は、前記出力信号からタップされたモニター信号のストークスパラメータを算出し、該ストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力し、
前記制御信号生成器は、前記ストークスパラメータ信号から、前記第1パラメータ信号、前記第2パラメータ信号、及び前記第3パラメータ信号を生成して、前記第1パラメータ信号を前記第1偏波面コントローラに供給し、前記第2パラメータ信号を前記可変群遅延調整部に供給し、前記第3パラメータ信号を前記第2偏波面コントローラに供給し、
前記可変群遅延調整部は、偏波分波器、偏波合波器、可動アーム、ステッピングモータ、及びステッピングモータドライバを具え、
前記偏波分波器は、前記偏波面調整信号を当該偏波面調整信号の前記直交固有偏波モードの第1偏波モード成分と第2偏波モード成分とに分岐し、
前記第1偏波モード成分は、前記偏波合波器に入力され、
前記第2偏波モード成分は、前記可動アームに入力されて前記群遅延が付加されて前記偏波合波器に入力され、
前記偏波合波器によって、前記第1偏波モード成分と前記群遅延が付加された第2偏波モード成分とが合波されて、前記偏波モード分散補償信号が生成されるように、前記偏波分波器、前記可動アーム、及び前記偏波合波器が配置されており、
前記ステッピングモータは、前記群遅延を前記第2偏波モード成分に付加するために必要な位置に前記可動アームを移動させ、
前記ステッピングモータドライバは、前記ステッピングモータに対して前記可動アームを移動させための制御をする
ことを特徴とする偏波モード分散補償装置に用いる偏波モード分散補償方法であって、
初期化が完了したか否かを示す初期化フラグを、初期化が未完了である場合にi=0と設定し、初期化が完了した場合にi=1に設定するステップ(ステップS10)と、
基準偏光度の値を設定するステップ(ステップS12)と、
偏波モード分散補償されて前記偏波モード分散補償装置から出力される出力光の偏波状態を指定するストークスパラメータを設定するステップ(ステップS14)と、
前記偏波モード分散補償装置から出力される出力光の偏波状態を測定し、当該出力光のストークスパラメータを前記偏波解析器によって算出し、第1〜第3パラメータ信号を生成するステップ(ステップS16)と、
前記ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される測定偏光度の値と前記ステップS12で設定した基準偏光度の値とを比較し、前記ステップS16で算出されたストークスパラメータから決定される前記測定偏光度の値が前記ステップS12で設定した前記基準偏光度の値以上である場合は前記初期化フラグをi=1に設定し、前記測定偏光度の値が前記基準偏光度の値以下の値である場合は前記初期化フラグをi=0のままとするステップ(ステップS18)と、
前記第1パラメータ信号に基づいて前記第1偏波面コントローラを制御して、偏光度の値が極大となるように前記被偏波モード分散補償信号の偏波面を回転制御するステップ(ステップS22)と、
前記第2パラメータ信号に基づいて前記可変群遅延調整部を制御して、前記第1偏波面コントローラからの出力光の群遅延が減少するように調整して出力するステップ(ステップS24)と、
前記第1偏波面コントローラによって、偏光度の値が極大となるように前記被偏波モード分散補償信号の偏波面を微小な回転制御を行うステップ(ステップS32)と、
前記可変群遅延調整部によって、前記第1偏波面コントローラからの出力光の群遅延が減少するように微調整して出力するステップ(ステップS34)と、
前記第3パラメータ信号に基づいて前記第2偏波面コントローラを制御して、偏光度の値が極大となるように前記偏波モード分散補償信号の偏波面の回転制御を行うステップ(ステップS36)と、
前記ステップS14において設定された設定ストークスパラメータと、前記出力信号の測定ストークスパラメータとを比較するステップ(ステップS40)と
を具え、
前記ステップS18において、前記測定偏光度の値が前記基準偏光度の値以上であると判定された場合には前記ステップS32に進み、前記測定偏光度の値が前記基準偏光度の値を超えていないと判定された場合には前記ステップS22に進み、
前記ステップS40において、前記設定ストークスパラメータが前記測定ストークスパラメータに等しいと判定された場合には前記ステップS16に進み、前記設定ストークスパラメータが前記測定ストークスパラメータに等しくないと判定された場合には前記ステップS36に進み、
前記ステップS24が終了したら、前記ステップS16に戻り、前記ステップS18、前記ステップS22、及び前記ステップS24を繰り返し実行する
ことを特徴とする偏波モード分散補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−78775(P2010−78775A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245613(P2008−245613)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人情報通信研究機構「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】