健康器具
【課題】筋力の増強のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる健康器具を提供する。
【解決手段】硬質材料から成る棒状の芯材11を厚さ10〜20mmの弾性を有する樹脂発泡体12によって被覆することで健康器具10を形成し、その総重量を100〜500gとする。これにより、従来のダンベルと同様のウエイトトレーニングに加えて、該健康器具10を樹脂発泡体12の弾性力に抗して強く握ったり緩めたりする掌握運動を行うことができ、手指の運動及び刺激による脳神経機能の維持・改善効果が期待できる。また、本発明の健康器具10は、比較的軽量であると共に芯材11の表面を厚く覆った樹脂発泡体12が落下時や衝突時の衝撃を吸収するため、高齢者や病人であっても安全に且つ手軽に使用することができる。
【解決手段】硬質材料から成る棒状の芯材11を厚さ10〜20mmの弾性を有する樹脂発泡体12によって被覆することで健康器具10を形成し、その総重量を100〜500gとする。これにより、従来のダンベルと同様のウエイトトレーニングに加えて、該健康器具10を樹脂発泡体12の弾性力に抗して強く握ったり緩めたりする掌握運動を行うことができ、手指の運動及び刺激による脳神経機能の維持・改善効果が期待できる。また、本発明の健康器具10は、比較的軽量であると共に芯材11の表面を厚く覆った樹脂発泡体12が落下時や衝突時の衝撃を吸収するため、高齢者や病人であっても安全に且つ手軽に使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭で使用可能なトレーニング器具としてダンベルが広く知られている。ダンベルは、例えば、ユーザが片手で持って上下に動かすなどの反復運動を行うことにより肩や腕等の筋肉を鍛錬する目的で使用される。更に、近年では健康意識の高まりに伴って、ダンベルは上記のような筋力増強を目的としたトレーニングの他、痩身や健康維持を目的とした運動にも用いられており、年齢・性別を問わず幅広い層に使用されるに至っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記ダンベルは、重力に抗した単調な反復運動を行って筋肉を鍛錬するものに過ぎず、運動機能や脳神経機能の向上を含めた総合的な健康増進効果が期待できるものではなかった。
【0004】
また、ダンベルは、一般的に全体が鉄等の金属で構成され、硬質で比較的重量が大きいものであるため病人や高齢者など体力の低下した者には扱いが難しかった。一方で、トレーニングによる成果を得るためには、日常の身体活動水準よりも負荷の大きな運動を行う必要があるため(過負荷の原則)、単にダンベルの重量を小さくしたのでは、十分な運動効果が得られなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題の一つは、体力や筋力のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる健康器具を提供することである。また、本発明が解決しようとする他の課題は、安全で手軽に使用でき、なお且つ高い運動効果を得ることのできる健康器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る健康器具は、ウエイトトレーニングと掌握運動の両方に使用可能な健康器具であって、硬質材料から成る棒状の芯材を厚さ10mm以上の弾性を有する樹脂発泡体によって被覆して成り、総重量が100〜500gであることを特徴としている。
【0007】
ここで、上記芯材は全体の形状を維持する支持体としての機能を有すると共に、健康器具全体に適度な重量を与える錘(ウエイト)の役割を果たすものである。上記構成の健康器具によれば、該健康器具を把持し、重力に抗して動かすことにより上記ダンベルと同様のウエイトトレーニングを行うことができると共に、該健康器具を上記樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ったり緩めたりすることで掌握運動(グリップ運動)を行うことができる。
【0008】
従来より、体の各部の動きを司る脳の運動野と体の各部からの感覚を受け取る体性感覚野においては、身体各部と脳の領域に対応関係があることが知られており、特に口及び手指に関する領域が大きな面積を占めていることが分かっている。更に、神経細胞は、刺激を受けることにより神経突起を増加させ、シナプスの数を増やすことが分かっており、手指を動かしたり手指を刺激することが脳の活性化に効果的であることが、一般に広く知られている。従って、本発明によれば、上記の様な掌握運動を行うことにより手指の動きをコントロールする運動野を活性化させると同時に掌や指腹を刺激して体性感覚野を興奮させることができるため、ウエイトトレーニングによる筋力増強効果のみならず、運動機能や脳神経機能の維持又は改善効果が期待できる。
【0009】
更に、本発明の健康器具を上記樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ることで上肢、背部及び胸部の筋肉を適度に緊張させた状態でウエイトトレーニングを行うこともできる。これにより、該トレーニングの運動効果を増大させることができ、上記のような軽量のウエイトであっても十分な成果を得ることが可能となる。また、このとき健康器具を握る力をユーザ自らが調節することで、個々の体力に応じて無理なく運動強度を高めることができる。
【0010】
なお、本発明の健康器具によれば、ウエイトトレーニングによる上肢、背部、又は胸部の筋力増強効果に加え、掌握運動による握力増強効果を得ることもできる。
【0011】
また更に、本発明の健康器具は、軽量であると共に芯材表面を厚く覆った樹脂発泡体が落下時や衝突時の衝撃を吸収するため、たとえ落下させても怪我をする恐れがなく、高齢者や病人など握力の低下した者でも気軽に使用することができる。
【0012】
なお、本発明に係る健康器具は上記芯材を弧状に湾曲させた形状とすることもできる。
【0013】
このような構成とした場合、該湾曲が手のひらの窪みに沿うように把持することで手へのフィット感を高めることができると共に、該健康器具を適宜回転させることで手指の各部が受ける刺激の強度を様々に変化させることができ、より効果的に脳の活性化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、上記構成を有する本発明の健康器具によれば、筋力の増強のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる。また、本発明の健康器具は、安全且つ手軽に使用できると同時にユーザの意思に応じて無理なく運動強度を高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の健康器具において、上記芯材は、硬質の素材から成り適度な重量を有するものであればいかなるものであってもよく、例えば、ダンベルのウエイト等に一般的に使用される鉄、銅、鉛等の金属から成るものとすることが望ましい。該芯材の重量は、上記樹脂発泡体を含めた健康器具の総重量が100〜500gの範囲内、好ましくは150〜350gの範囲内となるように適宜設定する。また、上記弾性を有する樹脂発泡体としては、いかなるものを用いてもよいが、上記掌握運動に適した弾力を得るためには、発泡倍率10倍〜40倍、より好ましくは15〜25倍のポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ゴム、又はシリコンから成る発泡体を用いることが望ましい。また、樹脂発泡体の厚さは10mm以上とし、更に、少なくともユーザによって把持される部分における樹脂発泡体の厚さは20mm以下とすることが望ましい。10mmより薄いと十分な弾力が得られず、20mmより厚いと柔軟性が高くなりすぎ、いずれも弾性力に抗した掌握運動を行い難くなる。
【0016】
更に、上記樹脂発泡体に汚れが付着するのを防止するため、上記樹脂発泡体の表面には伸縮性を有する塗膜を形成することが望ましい。塗膜に伸縮性を持たせることにより、上記樹脂発泡体の変形に塗膜を追従させることができ、塗膜の割れや剥がれ防止することができる。このような塗膜は、例えば、伸縮性を有するウレタン系塗料又はポリ塩化ビニル系塗料を前記樹脂発泡体表面に塗布することによって形成することができる。
【0017】
本発明に係る健康器具の寸法は、特に限定されるものではないが、片手で扱いやすいよう全長が120〜200mmの範囲内となるようにすることが望ましい。また、掌握運動を行いやすいようユーザによって把持される部分の直径を40〜50mmの範囲内とすることが望ましい。また、上述のように芯材を弧状に湾曲させた構成とする場合には、該芯材の中心軸の曲率半径が350〜450mmの範囲となるようにすることが望ましい。この範囲を上回ると湾曲を設けたことによる効果が十分に得られず、この範囲を下回ると把持し難くなって使用感が低下するおそれがある。
【0018】
なお、本発明に係る健康器具は、いかなる方法によって製造してもよいが、例えば、弾性を有する樹脂発泡体から成るシート材を上記芯材の周面及び両端面に接着することによって製造されるものとすることが望ましい。このような構成とすることにより、特殊な装置を用いることなく、簡単且つ低コストに製造することが可能となる。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は本実施例に係る健康器具の外観図であり、図2(a)は図1のA−A’矢視断面図、図2(b)は図1のB−B’矢視断面図である。また、図3は本実施例に係る健康器具の製造方法を説明するための概念図である。
【0020】
本実施例の健康器具10は、長さL4=130mm、直径D3=20mmの鉄製の芯材11を発泡倍率20倍の軟質ポリ塩化ビニル発泡体(エアレックス社製、AIREX S32・50)から成る被覆材12で被覆し、更に、その表面に伸縮性を有するポリ塩化ビニル系塗料による塗膜13を形成した構成を有している。被覆材12の厚さは、中央部で11mm、両端部で15mmであり、健康器具全体の寸法は、全長L1=160mm、中央部の長さL2=80mm、両端部の長さL3=40mmであり、中央部の外径D1=42mm、両端部の外径D2=50mmとなっている。また、本実施例の健康器具10の総重量は約300gである。
【0021】
上記本実施例に係る健康器具10を製造する際には、まず、芯材11の両端部約20mmに亘ってその外周面に所定の厚さの上記ポリ塩化ビニル発泡体から成るシート材12aを巻き付けて接着し、更に、その上から芯材11の周面全体に同様の素材から成る厚さ11mmのシート材12bを巻き付けて接着する。これにより、芯材11の両端部が中央部に比べて被覆材12で厚く覆われた形状となる。その後、上記芯材11の両端面に円形に切り出した上記同様の素材から成る厚さ15mmのシート材12cを貼付し、更に、表面全体を伸縮性を有するポリ塩化ビニル系塗料でコーティングする。
【0022】
以下に、本実施例に係る健康器具10を用いた運動方法を例示する。図4〜11は、本実施例の健康器具10を用いた運動方法を示す図であり、図4,5の運動は仰臥位、座位、又は立位にて行い、図6〜9の運動は座位又は立位、図10の運動は仰臥位、図11の運動は伏臥位にて行う。ユーザは本実施例に係る健康器具10を片手又は両手に持ち、図中の矢印に示すように腕を屈伸又は上下させたり、肩又は手首を回動させたりすることにより、上肢、背部及び胸部等の筋肉(上腕二頭筋、三角筋、僧帽筋、菱型筋、大胸筋等)の鍛錬又は機能回復を図ることができる。
【0023】
このとき、図12に示すように、健康器具10の中央部を樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ることにより、各部の筋肉を適度に緊張させながらウエイトトレーニングを行うことができ、該ウエイトトレーニングの運動効果をより高めることができる。更に、本実施例の健康器具10を強く握ったり緩めたりする掌握運動を行うことで手指を刺激して脳を活性化することができ、筋力の増強のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる。なお、このような掌握運動は上記ウエイトトレーニングと組み合わせるほか、単独で行ってもよい。また、該掌握運動を行うことにより握力増強効果を得ることもできる。
【0024】
また、本実施例の健康器具10は、軽量であり且つ全体が弾性を有する被覆材12によって厚く覆われているため、たとえ使用中に落下しても怪我をする恐れがなく、高齢者や病人など握力の低下した者でも気軽に用いることができる。
【実施例2】
【0025】
図13は、本発明に係る健康器具の他の実施例を示す外観図であり、該健康器具10の内部に存在する芯材11を点線で示してある。
【0026】
本実施例の健康器具は、上記実施例1に係る健康器具において芯材11を円弧状に湾曲させたものであり、該芯材11の中心軸(図中の一点鎖線)の曲率半径が400mmとなっている。
【0027】
本実施例の健康器具10は、全体として緩やかに湾曲した形状を有しており、該湾曲が手のひらの窪みに沿うように把持することで手へのフィット感を高めることができる。また、該健康器具10を適宜回転させることで手指及び掌の各部が受ける刺激の強度を様々に変化させることができ、結果として一層効果的に脳の活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施例に係る健康器具の外観図。
【図2】同実施例に係る健康器具の断面図であって、(a)は、図1のA−A’矢視断面図であり(b)は、図1のB−B’矢視断面図である。
【図3】同実施例に係る健康器具の製造方法を説明するための概念図。
【図4】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図5】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図6】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図7】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図8】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図9】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図10】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図11】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図12】同実施例に係る健康器具を用いた掌握運動を示す図。
【図13】本発明の第2の実施例に係る健康器具の外観図。
【符号の説明】
【0029】
10…健康器具
11…芯材
12…被覆材
13…塗膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭で使用可能なトレーニング器具としてダンベルが広く知られている。ダンベルは、例えば、ユーザが片手で持って上下に動かすなどの反復運動を行うことにより肩や腕等の筋肉を鍛錬する目的で使用される。更に、近年では健康意識の高まりに伴って、ダンベルは上記のような筋力増強を目的としたトレーニングの他、痩身や健康維持を目的とした運動にも用いられており、年齢・性別を問わず幅広い層に使用されるに至っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記ダンベルは、重力に抗した単調な反復運動を行って筋肉を鍛錬するものに過ぎず、運動機能や脳神経機能の向上を含めた総合的な健康増進効果が期待できるものではなかった。
【0004】
また、ダンベルは、一般的に全体が鉄等の金属で構成され、硬質で比較的重量が大きいものであるため病人や高齢者など体力の低下した者には扱いが難しかった。一方で、トレーニングによる成果を得るためには、日常の身体活動水準よりも負荷の大きな運動を行う必要があるため(過負荷の原則)、単にダンベルの重量を小さくしたのでは、十分な運動効果が得られなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題の一つは、体力や筋力のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる健康器具を提供することである。また、本発明が解決しようとする他の課題は、安全で手軽に使用でき、なお且つ高い運動効果を得ることのできる健康器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る健康器具は、ウエイトトレーニングと掌握運動の両方に使用可能な健康器具であって、硬質材料から成る棒状の芯材を厚さ10mm以上の弾性を有する樹脂発泡体によって被覆して成り、総重量が100〜500gであることを特徴としている。
【0007】
ここで、上記芯材は全体の形状を維持する支持体としての機能を有すると共に、健康器具全体に適度な重量を与える錘(ウエイト)の役割を果たすものである。上記構成の健康器具によれば、該健康器具を把持し、重力に抗して動かすことにより上記ダンベルと同様のウエイトトレーニングを行うことができると共に、該健康器具を上記樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ったり緩めたりすることで掌握運動(グリップ運動)を行うことができる。
【0008】
従来より、体の各部の動きを司る脳の運動野と体の各部からの感覚を受け取る体性感覚野においては、身体各部と脳の領域に対応関係があることが知られており、特に口及び手指に関する領域が大きな面積を占めていることが分かっている。更に、神経細胞は、刺激を受けることにより神経突起を増加させ、シナプスの数を増やすことが分かっており、手指を動かしたり手指を刺激することが脳の活性化に効果的であることが、一般に広く知られている。従って、本発明によれば、上記の様な掌握運動を行うことにより手指の動きをコントロールする運動野を活性化させると同時に掌や指腹を刺激して体性感覚野を興奮させることができるため、ウエイトトレーニングによる筋力増強効果のみならず、運動機能や脳神経機能の維持又は改善効果が期待できる。
【0009】
更に、本発明の健康器具を上記樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ることで上肢、背部及び胸部の筋肉を適度に緊張させた状態でウエイトトレーニングを行うこともできる。これにより、該トレーニングの運動効果を増大させることができ、上記のような軽量のウエイトであっても十分な成果を得ることが可能となる。また、このとき健康器具を握る力をユーザ自らが調節することで、個々の体力に応じて無理なく運動強度を高めることができる。
【0010】
なお、本発明の健康器具によれば、ウエイトトレーニングによる上肢、背部、又は胸部の筋力増強効果に加え、掌握運動による握力増強効果を得ることもできる。
【0011】
また更に、本発明の健康器具は、軽量であると共に芯材表面を厚く覆った樹脂発泡体が落下時や衝突時の衝撃を吸収するため、たとえ落下させても怪我をする恐れがなく、高齢者や病人など握力の低下した者でも気軽に使用することができる。
【0012】
なお、本発明に係る健康器具は上記芯材を弧状に湾曲させた形状とすることもできる。
【0013】
このような構成とした場合、該湾曲が手のひらの窪みに沿うように把持することで手へのフィット感を高めることができると共に、該健康器具を適宜回転させることで手指の各部が受ける刺激の強度を様々に変化させることができ、より効果的に脳の活性化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、上記構成を有する本発明の健康器具によれば、筋力の増強のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる。また、本発明の健康器具は、安全且つ手軽に使用できると同時にユーザの意思に応じて無理なく運動強度を高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の健康器具において、上記芯材は、硬質の素材から成り適度な重量を有するものであればいかなるものであってもよく、例えば、ダンベルのウエイト等に一般的に使用される鉄、銅、鉛等の金属から成るものとすることが望ましい。該芯材の重量は、上記樹脂発泡体を含めた健康器具の総重量が100〜500gの範囲内、好ましくは150〜350gの範囲内となるように適宜設定する。また、上記弾性を有する樹脂発泡体としては、いかなるものを用いてもよいが、上記掌握運動に適した弾力を得るためには、発泡倍率10倍〜40倍、より好ましくは15〜25倍のポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ゴム、又はシリコンから成る発泡体を用いることが望ましい。また、樹脂発泡体の厚さは10mm以上とし、更に、少なくともユーザによって把持される部分における樹脂発泡体の厚さは20mm以下とすることが望ましい。10mmより薄いと十分な弾力が得られず、20mmより厚いと柔軟性が高くなりすぎ、いずれも弾性力に抗した掌握運動を行い難くなる。
【0016】
更に、上記樹脂発泡体に汚れが付着するのを防止するため、上記樹脂発泡体の表面には伸縮性を有する塗膜を形成することが望ましい。塗膜に伸縮性を持たせることにより、上記樹脂発泡体の変形に塗膜を追従させることができ、塗膜の割れや剥がれ防止することができる。このような塗膜は、例えば、伸縮性を有するウレタン系塗料又はポリ塩化ビニル系塗料を前記樹脂発泡体表面に塗布することによって形成することができる。
【0017】
本発明に係る健康器具の寸法は、特に限定されるものではないが、片手で扱いやすいよう全長が120〜200mmの範囲内となるようにすることが望ましい。また、掌握運動を行いやすいようユーザによって把持される部分の直径を40〜50mmの範囲内とすることが望ましい。また、上述のように芯材を弧状に湾曲させた構成とする場合には、該芯材の中心軸の曲率半径が350〜450mmの範囲となるようにすることが望ましい。この範囲を上回ると湾曲を設けたことによる効果が十分に得られず、この範囲を下回ると把持し難くなって使用感が低下するおそれがある。
【0018】
なお、本発明に係る健康器具は、いかなる方法によって製造してもよいが、例えば、弾性を有する樹脂発泡体から成るシート材を上記芯材の周面及び両端面に接着することによって製造されるものとすることが望ましい。このような構成とすることにより、特殊な装置を用いることなく、簡単且つ低コストに製造することが可能となる。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は本実施例に係る健康器具の外観図であり、図2(a)は図1のA−A’矢視断面図、図2(b)は図1のB−B’矢視断面図である。また、図3は本実施例に係る健康器具の製造方法を説明するための概念図である。
【0020】
本実施例の健康器具10は、長さL4=130mm、直径D3=20mmの鉄製の芯材11を発泡倍率20倍の軟質ポリ塩化ビニル発泡体(エアレックス社製、AIREX S32・50)から成る被覆材12で被覆し、更に、その表面に伸縮性を有するポリ塩化ビニル系塗料による塗膜13を形成した構成を有している。被覆材12の厚さは、中央部で11mm、両端部で15mmであり、健康器具全体の寸法は、全長L1=160mm、中央部の長さL2=80mm、両端部の長さL3=40mmであり、中央部の外径D1=42mm、両端部の外径D2=50mmとなっている。また、本実施例の健康器具10の総重量は約300gである。
【0021】
上記本実施例に係る健康器具10を製造する際には、まず、芯材11の両端部約20mmに亘ってその外周面に所定の厚さの上記ポリ塩化ビニル発泡体から成るシート材12aを巻き付けて接着し、更に、その上から芯材11の周面全体に同様の素材から成る厚さ11mmのシート材12bを巻き付けて接着する。これにより、芯材11の両端部が中央部に比べて被覆材12で厚く覆われた形状となる。その後、上記芯材11の両端面に円形に切り出した上記同様の素材から成る厚さ15mmのシート材12cを貼付し、更に、表面全体を伸縮性を有するポリ塩化ビニル系塗料でコーティングする。
【0022】
以下に、本実施例に係る健康器具10を用いた運動方法を例示する。図4〜11は、本実施例の健康器具10を用いた運動方法を示す図であり、図4,5の運動は仰臥位、座位、又は立位にて行い、図6〜9の運動は座位又は立位、図10の運動は仰臥位、図11の運動は伏臥位にて行う。ユーザは本実施例に係る健康器具10を片手又は両手に持ち、図中の矢印に示すように腕を屈伸又は上下させたり、肩又は手首を回動させたりすることにより、上肢、背部及び胸部等の筋肉(上腕二頭筋、三角筋、僧帽筋、菱型筋、大胸筋等)の鍛錬又は機能回復を図ることができる。
【0023】
このとき、図12に示すように、健康器具10の中央部を樹脂発泡体の弾性力に抗して強く握ることにより、各部の筋肉を適度に緊張させながらウエイトトレーニングを行うことができ、該ウエイトトレーニングの運動効果をより高めることができる。更に、本実施例の健康器具10を強く握ったり緩めたりする掌握運動を行うことで手指を刺激して脳を活性化することができ、筋力の増強のみならず運動機能や脳神経機能の回復・向上を含めた総合的な健康増進効果を得ることができる。なお、このような掌握運動は上記ウエイトトレーニングと組み合わせるほか、単独で行ってもよい。また、該掌握運動を行うことにより握力増強効果を得ることもできる。
【0024】
また、本実施例の健康器具10は、軽量であり且つ全体が弾性を有する被覆材12によって厚く覆われているため、たとえ使用中に落下しても怪我をする恐れがなく、高齢者や病人など握力の低下した者でも気軽に用いることができる。
【実施例2】
【0025】
図13は、本発明に係る健康器具の他の実施例を示す外観図であり、該健康器具10の内部に存在する芯材11を点線で示してある。
【0026】
本実施例の健康器具は、上記実施例1に係る健康器具において芯材11を円弧状に湾曲させたものであり、該芯材11の中心軸(図中の一点鎖線)の曲率半径が400mmとなっている。
【0027】
本実施例の健康器具10は、全体として緩やかに湾曲した形状を有しており、該湾曲が手のひらの窪みに沿うように把持することで手へのフィット感を高めることができる。また、該健康器具10を適宜回転させることで手指及び掌の各部が受ける刺激の強度を様々に変化させることができ、結果として一層効果的に脳の活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施例に係る健康器具の外観図。
【図2】同実施例に係る健康器具の断面図であって、(a)は、図1のA−A’矢視断面図であり(b)は、図1のB−B’矢視断面図である。
【図3】同実施例に係る健康器具の製造方法を説明するための概念図。
【図4】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図5】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図6】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図7】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図8】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図9】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図10】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図11】同実施例に係る健康器具を用いた運動方法の一例を示す図。
【図12】同実施例に係る健康器具を用いた掌握運動を示す図。
【図13】本発明の第2の実施例に係る健康器具の外観図。
【符号の説明】
【0029】
10…健康器具
11…芯材
12…被覆材
13…塗膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエイトトレーニングと掌握運動の両方に使用可能な健康器具であって、
硬質材料から成る棒状の芯材を厚さ10mm以上の弾性を有する樹脂発泡体によって被覆して成り、総重量が100〜500gであることを特徴とする健康器具。
【請求項2】
少なくともユーザによって把持される部分における上記樹脂発泡体の厚さが20mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
上記芯材が弧状に湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の健康器具。
【請求項4】
更に、上記樹脂発泡体の表面に伸縮性を有する塗膜を形成して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の健康器具。
【請求項5】
上記樹脂発泡体が、発泡倍率10〜40倍のポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ゴム、又はシリコンから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の健康器具。
【請求項6】
弾性を有する樹脂発泡体から成るシート材を硬質材料から成る棒状の芯材の周面及び両端面に接着して成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の健康器具。
【請求項1】
ウエイトトレーニングと掌握運動の両方に使用可能な健康器具であって、
硬質材料から成る棒状の芯材を厚さ10mm以上の弾性を有する樹脂発泡体によって被覆して成り、総重量が100〜500gであることを特徴とする健康器具。
【請求項2】
少なくともユーザによって把持される部分における上記樹脂発泡体の厚さが20mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
上記芯材が弧状に湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の健康器具。
【請求項4】
更に、上記樹脂発泡体の表面に伸縮性を有する塗膜を形成して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の健康器具。
【請求項5】
上記樹脂発泡体が、発泡倍率10〜40倍のポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ゴム、又はシリコンから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の健康器具。
【請求項6】
弾性を有する樹脂発泡体から成るシート材を硬質材料から成る棒状の芯材の周面及び両端面に接着して成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の健康器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−194353(P2008−194353A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34744(P2007−34744)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507050458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507050458)
【Fターム(参考)】
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