説明

充填封止用発泡組成物、充填封止発泡部材および充填封止用発泡体

【課題】吸水率を抑制しつつ、優れた封止性を有する充填封止用発泡体、その充填封止用発泡体を形成するための充填封止発泡部材および充填封止用発泡組成物を提供すること。
【解決手段】側鎖にエステル結合を有するビニル共重合体、有機過酸化物、発泡剤、疎水性樹脂および親水性樹脂を含有し、疎水性樹脂の含有割合が、ビニル共重合体100質量部に対して、5〜25質量部であり、親水性樹脂の含有割合が、ビニル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部である充填封止用発泡組成物からなるシート1を作製する。作製したシート1に、取付部材3を装着して、充填封止発泡部材6を作製する。そして、充填封止発泡部材6をピラー2の内部空間に取り付けて、加熱により、発泡させて、充填封止用発泡体9を形成することにより、ピラー2の内部空間を充填して封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の部材の間や中空部材の内部空間などを充填して、それらを封止するために用いられる充填封止用発泡体、その充填封止用発泡体を形成するための充填封止発泡部材および充填封止用発泡組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のピラーなどの閉断面として形成される中空部材の中空空間には、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを防止するために、充填材として発泡体を充填することが知られている。
【0003】
例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、ジクミルパーオキサイドと、アゾジカルボンアミドとを含有する充填用発泡組成物を調製し、これを加熱して発泡させて、充填用発泡体を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−091558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の充填用発泡体を自動車のピラーの中空空間を充填した後、ピラーの中空空間に雨水が浸入すると、特許文献1の充填用発泡体が雨水を吸収し、雨水がピラーを腐食し、そのため、ピラーに錆を生じる場合がある。
【0006】
また、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを使用した充填用発泡体は、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を使用した充填用発泡体よりも、ピラーに対する接着力が低い傾向にあり、そのため、封止性が十分でない場合があった。
【0007】
本発明の目的は、吸水率を抑制しつつ、優れた封止性を有する充填封止用発泡体、その充填封止用発泡体を形成するための充填封止発泡部材および充填封止用発泡組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の充填封止用発泡組成物は、側鎖にエステル結合を有するビニル共重合体、有機過酸化物、発泡剤、疎水性樹脂および親水性樹脂を含有し、前記疎水性樹脂の含有割合が、前記ビニル共重合体100質量部に対して、5〜25質量部であり、前記親水性樹脂の含有割合が、前記ビニル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部であることを特徴している。
【0009】
また、本発明の充填封止用発泡組成物では、前記ビニル共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体であることが好適である。
【0010】
また、本発明の充填封止用発泡組成物では、前記疎水性樹脂が、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムおよびブチルゴムからなる群から選択される少なくとも1種の合成ゴムであることが好適である。
【0011】
また、本発明の充填封止用発泡組成物では、前記親水性樹脂が、エポキシ樹脂および/またはポリアミド樹脂であることが好適である。
【0012】
また、本発明の充填封止用発泡組成物では、前記発泡剤が、アゾジカルボンアミドであることが好適である。
【0013】
また、本発明の充填封止用発泡組成物は、上記した充填封止用発泡組成物と、前記充填封止用発泡組成物に装着され、中空部材の内部空間に取り付け可能な取付部材とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の充填封止用発泡体は、上記した充填封止用発泡組成物を発泡させることによって得られることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充填封止用発泡組成物を備える本発明の充填封止発泡部材を発泡させることによって得られる本発明の充填封止用発泡体は、吸水率が抑制されている。
【0016】
そのため、部材間の隙間や中空部材の内部空間への水の侵入に起因する部材や中空部材の劣化を防止することができる。
【0017】
また、本発明の充填封止用発泡体は、部材や中空部材に対する接着性に優れている。そのため、部材間の隙間や中空部材の内部空間に対する封止性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の充填封止用発泡組成物、充填封止発泡部材および充填封止用発泡体の一実施形態を用いて自動車のピラーの内部空間を充填して封止する方法の工程図であって、(a)は、充填封止用発泡組成物に取付部材を装着して充填封止発泡部材を作製し、これをピラーに設置する工程、(b)は、加熱により充填封止用発泡組成物を発泡、架橋および硬化させることにより、充填封止用発泡体によってピラーの内部空間を充填して封止する工程を示す。
【図2】図2は、実施例の引張剪断接着力を測定する方法を説明する工程図であって、シートを第1鋼板に配置するとともに、第2鋼板を用意する工程を示す。
【図3】図3は、図2に引き続き、実施例の引張剪断接着力を測定する方法を説明する工程図であって、第1鋼板および第2鋼板を、シートを挟むように対向配置する工程であり、(a)は、断面図、(b)は、平面図を示す。
【図4】図4は、図3に引き続き、実施例の引張剪断接着力を測定する方法を説明する工程図であり、シートを加熱して、充填封止用発泡体を得た後、第1鋼板を第2鋼板に対して引っ張る工程を示し(a)は、断面図、(b)は、平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の充填封止用発泡組成物は、ビニル共重合体、有機過酸化物、発泡剤、疎水性樹脂および親水性樹脂を含有している。
【0020】
ビニル共重合体は、側鎖にエステル結合(−COO−)を有しており、具体的には、ビニル基含有エステルと、オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
【0021】
ビニル基含有エステルとしては、例えば、脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられる。
【0023】
(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0024】
ビニル基含有エステルは、単独使用または併用することができる。
【0025】
ビニル基含有エステルとして、好ましくは、脂肪酸ビニルエステル、さらに好ましくは、酢酸ビニルが挙げられる。
【0026】
オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。オレフィンは、単独使用または併用することができる。
【0027】
オレフィンとして、好ましくは、エチレンが挙げられる。
【0028】
具体的には、上記したビニル共重合体として、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン・酢酸ビニル共重合体などのオレフィン・脂肪酸ビニルエステル共重合体、例えば、エチレン・メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・プロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・ブチル(メタ)アクリレート共重合体などのオレフィン・(メタ)アクリレート共重合体が挙げられる。
【0029】
また、上記したビニル共重合体は、ブロック共重合体またはランダム共重合体である。
【0030】
ビニル共重合体は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0031】
ビニル共重合体として、好ましくは、オレフィン・脂肪酸ビニルエステル共重合体、さらに好ましくは、発泡性の観点および次に説明する疎水性樹脂との相溶性の観点から、EVAが挙げられる。
【0032】
ビニル共重合体におけるビニル基含有エステル(具体的には、脂肪酸ビニルエステル、好ましくは、酢酸ビニル)の含有量は、例えば、5〜60質量%、好ましくは、10〜45質量%である。
【0033】
ビニル共重合体のメルトフローレート(MFR)は、例えば、5.0g/10min以下、好ましくは、4.5g/10min以下であり、また、例えば、1.0g/10min以上、好ましくは、1.5g/10min以上である。
【0034】
有機過酸化物は、ビニル共重合体を架橋させるための架橋剤であって、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してビニル共重合体を架橋させることのできるラジカル発生剤であって、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0035】
これら有機過酸化物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0036】
有機過酸化物として、好ましくは、DCPが挙げられる。
【0037】
有機過酸化物の含有割合は、例えば、ビニル共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部である。有機過酸化物の含有割合が上記範囲に満たないと、架橋による粘度上昇が少なく、発泡時のガス圧により破泡を生じる場合がある。また、有機過酸化物の含有割合が上記範囲を超えると、過度に架橋して、ビニル共重合体の皮膜が発泡時のガス圧を抑制し、高発泡倍率で発泡しにくくなる場合がある。
【0038】
発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤が挙げられる。
【0039】
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジドなどが挙げられる。
【0040】
有機系発泡剤としては、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ系化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジン系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などセミカルバジド系化合物、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。
【0041】
なお、発泡剤としては、加熱膨張性の物質(例えば、イソブタン、ペンタンなど)がマイクロカプセル(例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリレート、メタクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセル)に封入された熱膨張性微粒子なども挙げられる。
【0042】
発泡剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0043】
発泡剤としては、好ましくは、有機系発泡剤、さらに好ましくは、アゾ系化合物、とりわけ好ましくは、ガスを多量に発生させる観点、および、安全性の向上の観点から、ADCAが挙げられる。
【0044】
発泡剤の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、例えば、5〜20質量部、好ましくは、10〜17質量部である。発泡剤の含有割合が上記した下限値より少ないと、十分に発泡せず、充填性および封止性が低下する場合がある。発泡剤の含有割合が上記した上限値より多いと、密度が過度に低下し、封止性が低下したり、吸水率が上昇する場合がある。
【0045】
疎水性樹脂は、上記したビニル共重合体が疎水性である場合には、そのビニル共重合体を除く合成樹脂であり、SP値が22.0未満の樹脂である。
【0046】
そのような疎水性樹脂としては、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR、スチレン・ブタジエン共重合体、SP値:17.2〜17.8)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、SP値:17.6〜21.5)、ブタジエンゴム(BR、1,3−ブタジエン単独重合体、SP値:14.7〜18.6)、イソプレンゴム(IR、SP値:16.6)、ブチルゴム(IIR、イソブテン・イソプレンゴム、イソブテン・イソプレン共重合体、SP値:15.0〜17.0)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、SP値:16.0〜17.5)、フッ素ゴム(SP値:14.9)などの合成ゴムが挙げられる。
【0047】
上記した疎水性樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0048】
疎水性樹脂として、鋼板などの金属板に対する接着性の観点から、SBR、NBR、BR、IR、IIRが挙げられ、さらに好ましくは、SBR、NBR、IIRが挙げられる。
【0049】
疎水性樹脂のSP値は、好ましくは、21.0以下、さらに好ましくは、20.0以下、とりわけ好ましくは、18.0以下であり、通常、14.0以上である。
【0050】
疎水性樹脂のSP値は、蒸発熱の測定により算出される。
【0051】
なお、疎水性樹脂のSP値は、疎水性樹脂がSBR、NBR、IIR、EPMなどの共重合体である場合には、それらを構成する各モノマーの比率(含量)によって変動する。
【0052】
具体的には、疎水性樹脂がSBRの場合を例示すると、スチレン含量が15質量%である場合は、SP値が、例えば、17.2〜17.6であり、スチレン含量が25質量%である場合には、SP値が、例えば、17.6〜17.8である。
【0053】
また、疎水性樹脂がNBRの場合を例示すると、アクリロニトリル含量が18質量%である場合には、SP値が、例えば、17.6〜19.2であり、アクリロニトリル含量が25質量%である場合には、SP値が、例えば、19.0〜20.3であり、アクリロニトリル含量が30質量%または33.5質量%である場合には、SP値が、例えば、19.2〜20.3であり、アクリロニトリル含量が39質量%である場合には、SP値が、例えば、21.1〜21.5である。
【0054】
さらに、疎水性樹脂がIIRの場合を例示すると、不飽和度(つまり、イソプレンの割合)0.5〜3mol%の場合には、SP値が、例えば、15.8〜16.7である。
【0055】
疎水性樹脂の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は、SBRやNBRの場合には、例えば、20〜50であり、また、125℃におけるムーニー粘度(ML1+8)は、IIRの場合には、例えば、30〜100である。
【0056】
疎水性樹脂の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、5〜25質量部、好ましくは、7〜20質量部である。疎水性樹脂の含有割合が上記した上限値より多いと、金属板に対する接着性が低下する場合がある。また、疎水性樹脂の含有割合が上記した下限値より少ないと、吸水率が上昇する場合がある。
【0057】
親水性樹脂は、上記したビニル共重合体が親水性である場合には、そのビニル共重合体を除く合成樹脂であって、SP値が22.0以上の樹脂である。
【0058】
そのような親水性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂(SP値27.8)、ポリビニルアルコール(SP値:25.8)、ポリ塩化ビニリデン(SP値:25.0)、エポキシ樹脂(SP値:22.3)、ポリエチレンテレフタレート(SP値:22.3)などが挙げられる。
【0059】
親水性樹脂のSP値は、蒸発熱の測定により算出される。
【0060】
親水性樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0061】
親水性樹脂として、好ましくは、接着性の向上の観点および加工性の観点から、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0062】
ポリアミド樹脂は、例えば、アジピン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸と、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミンとの縮重合によって得られる。
【0063】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂など)、ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0064】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100〜1000g/eqiv.、好ましくは、180〜700g/eqiv.である。
【0065】
エポキシ樹脂は、単独使用または併用することができる。
【0066】
エポキシ樹脂として、好ましくは、芳香族系エポキシ樹脂、さらに好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0067】
また、エポキシ樹脂を、硬化剤および硬化促進剤と配合して、エポキシ樹脂組成物として調製することもできる。
【0068】
硬化剤は、加熱によりエポキシ樹脂を硬化させることができる潜在性硬化剤(エポキシ樹脂硬化剤)であって、例えば、アミン化合物、酸無水物化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾリン化合物などが挙げられる。
【0069】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、または、これらのアミンアダクトなど、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
【0070】
酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
【0071】
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)、ポリアミドなどが挙げられる。
【0072】
ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0073】
イミダゾリン化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
【0074】
硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0075】
硬化剤として、好ましくは、アミド化合物が挙げられる。
【0076】
硬化剤の含有割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.5〜50質量部、好ましくは、1〜20質量部である。
【0077】
硬化促進剤としては、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、または、それらのイソシアヌル酸付加物などのイミダゾール化合物、例えば、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化合物、例えば、有機金属塩化合物などが挙げられる。
【0078】
硬化促進剤は、単独使用または併用することができる。
【0079】
硬化促進剤として、好ましくは、イミダゾール化合物が挙げられる。
【0080】
硬化促進剤の含有割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0081】
親水性樹脂のSP値は、好ましくは、22.2以上であり、通常、29以下である。
【0082】
親水性樹脂のSP値は、上記した疎水性樹脂のSP値と同様の方法によって定義(あるいは算出)される。
【0083】
なお、エポキシ樹脂のSP値は、エポキシ樹脂組成物のSP値と実質的に同一である。
【0084】
親水性樹脂の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは、2〜15質量部である。親水性樹脂の含有割合が上記した上限値より多いと、吸水率が上昇する場合がある。また、親水性樹脂の含有割合が上記した下限値より少ないと、金属板に対する接着性が低下する場合がある。
【0085】
また、疎水性樹脂と親水性樹脂との配合割合は、吸水率の抑制および接着性の向上の両立を図る観点から、それらの質量比(疎水性樹脂の質量部数/親水性樹脂の質量部数)で、例えば、1/2〜5/1、好ましくは、1/1〜4/1である。
【0086】
また、本発明の充填封止用発泡組成物には、本発明の優れた効果を阻害しない程度で、例えば、架橋助剤、発泡助剤、軟化剤、さらには、その他の加工助剤、塩基性酸化物、安定剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤など、公知の添加剤を、適宜の割合で添加することもできる。
【0087】
架橋助剤は、ビニル共重合体の架橋度を調整して、高発泡倍率を確保するために、必要により配合される。
【0088】
架橋助剤としては、具体的には、少なくとも3つの官能基を有する官能基含有化合物が挙げられる。
【0089】
官能基含有化合物が有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基(つまり、アクリロイル基(−COCH=CH)、および/または、メタクリロイル基(−CO−C(CH)=CH)、アリル基(−CHCH=CH)、ヒドロキシイミノ基(=N−OH)、イミノ基(=NH)、アミノ基(−NH)、イミド基(−CO−NH−CO−)、カルボキシル基(−COOH)、ビニル基(−CH=CH)などが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
【0090】
官能基含有化合物としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基含有化合物(すなわち、アクリロイル基含有化合物、および/またはメタクリロイル基含有化合物)、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)などのアリル基含有化合物、例えば、p−キノンジオキシムなどのヒドロキシイミノ基含有化合物(例えば、オキシム類)、例えば、グアニジンなどのイミノ基およびアミノ基併有化合物、例えば、N,N′−m−フェニレンビスマレイミドなどのイミド基含有化合物、例えば、アクリル酸亜鉛などのカルボキシル基含有化合物(例えば、不飽和脂肪酸金属塩)、例えば、1,2−ポリブタジエンなどのビニル基含有化合物などが挙げられる。
【0091】
これら架橋促進剤は、単独使用または併用することができる。
【0092】
架橋促進剤として、好ましくは、(メタ)アクリロイル基含有化合物が挙げられる。
【0093】
(メタ)アクリロイル基含有化合物であれば、(メタ)アクリロイル基による強固な架橋を図ることができる。
【0094】
架橋促進剤の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、例えば、0.05〜1.5質量部、好ましくは、0.1〜1.0質量部でもある。
【0095】
発泡助剤としては、中空部材の製造工程時(具体的には、自動車の焼付塗装時)の温度(例えば、140〜180℃)において発泡剤による発泡を効率的に実施するために、必要により配合される。
【0096】
発泡助剤としては、例えば、尿素系化合物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩(例えば、亜鉛塩)、例えば、酸化亜鉛などの金属酸化物などが挙げられる。貯蔵安定性の観点から、好ましくは、乾式法にて生産された高級脂肪酸亜鉛、酸化亜鉛が挙げられる。
【0097】
発泡助剤の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、例えば、1〜20質量部、好ましくは、2〜10質量部である。
【0098】
軟化剤は、ビニル共重合体を軟化させて、充填封止用発泡組成物を所望の粘度に設定するために、必要により配合される。軟化剤としては、例えば、乾性油類や動植物油類(例えば、パラフィン類(パラフィン系オイルなど)、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、アマニ油など)、石油系オイル類、テルペン重合体、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、石油系樹脂(例えば、脂肪族炭化水素系、脂肪族/芳香族炭化水素系、芳香族炭化水素系など)、有機酸エステル類(例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、高級脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸エステルなど)、増粘付与剤などが挙げられる。
【0099】
軟化剤の含有割合は、ビニル共重合体100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは、5〜25質量部である。
【0100】
そして、本発明の充填封止用発泡組成物は、上記した各成分を、上記した含有割合で配合して、これらを均一に混合する。また、充填封止用発泡組成物は、上記した成分を、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、押出機などによって混練することにより、調製することができる。
【0101】
混練条件は、加熱温度が、例えば、50〜130℃、好ましくは、95〜120℃であり、加熱時間が、例えば、0.5〜30分間、好ましくは、1〜20分間である。
【0102】
さらに、この調製においては、得られた混練物を、所定形状に成形することにより、予備成形物(プリフォーム)として調製することもできる。
【0103】
混練物の成形は、例えば、混練物を、カレンダー成形やプレス成形によって、直接、所定形状(例えば、シート状)に成形する。または、例えば、混練物を、ペレタイザーなどによってペレット化して、射出成形機または押出成形機などによって所定形状に成形する。
【0104】
成形条件は、成形温度が、例えば、60〜120℃、好ましくは、75〜105℃である。
【0105】
このようにして得られる充填封止用発泡組成物の粘度(フローテスター:温度120℃、圧力500MPa)は、例えば、1000〜5000Pa・sである。
【0106】
そして、このようにして得られる本発明の発泡充填封止用組成物を、適宜の条件下で加熱して、発泡、架橋および硬化させることにより、本発明の充填封止用発泡体を形成することができる。
【0107】
このようにして得られる本発明の充填封止用発泡体は、その密度(発泡体質量(g)/発泡体体積(cm))が、例えば、0.04〜0.2g/cm、好ましくは、0.05〜0.08g/cmであり、また、発泡時の体積発泡倍率(発泡前密度/発泡後密度)が、例えば、5倍以上、好ましくは、8〜40倍である。このような体積発泡倍率であれば、部材の間や中空部材の内部空間を、たとえその間や内部空間が複雑な形状であっても、充填封止用発泡体がほぼ隙間なく充填して、部材の間や中空部材の内部空間を封止(シール)することができる。
【0108】
また、充填封止用発泡体の吸水率は、例えば、10.0質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下であり、通常、例えば、0.01質量%以上である。
【0109】
充填封止用発泡体の吸水率は、後述する実施例の評価に準拠して測定される。
【0110】
また、充填封止用発泡体の引張剪断接着力は、例えば、0.50MPa以上であり、好ましくは、0.60MPaであり、通常、例えば、10.0MPa以下である。
【0111】
充填封止用発泡体の引張剪断接着力は、後述する実施例の評価に準拠して測定される。
【0112】
充填封止用発泡体は、引張剪断時の破壊状態が、好ましくは、凝集破壊(充填封止用発泡体の内部が剪断される状態)である。
【0113】
そして、このようにして得られる本発明の充填封止用発泡体は、各種の部材に対する、補強、制振、防音、防塵、断熱、緩衝、水密など、種々の効果を付与することができるので、各種の部材の間や中空部材の内部空間に充填して封止する、例えば、補強材、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材など、各種の産業製品の充填封止材として、好適に用いることができる。
【0114】
各種の部材の間や中空部材の内部空間に充填して封止するには、特に限定されないが、例えば、隙間の充填を目的する部材の間や中空部材の内部空間に、充填封止用発泡組成物を設置して、その後、設置された充填封止用発泡組成物を加熱し、発泡、架橋および硬化させることにより充填封止用発泡体を形成し、その充填封止用発泡体によって、部材の間や中空部材の内部空間を充填して封止(シール)する。
【0115】
より具体的には、例えば、中空部材の内部空間を充填して封止する場合には、まず、充填封止用発泡組成物に取付部材を装着して充填封止発泡部材を作製し、その充填封止発泡部材の取付部材を、中空部材の内部空間に取り付けた後、加熱により発泡させて、充填封止用発泡体を形成する。この充填封止用発泡体によって、中空部材の内部空間を充填して封止することができる。
【0116】
そのような中空部材としては、自動車における金属製(具体的には、鋼製など)のピラーを例示することができ、本発明の充填封止用発泡組成物により、充填封止発泡部材を作製して、ピラーの内部空間に取り付けた後、発泡させれば、得られる充填封止用発泡体により、ピラーの補強を十分に図りつつ、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
【0117】
図1は、本発明の充填封止用発泡組成物、充填封止発泡部材および充填封止用発泡体の一実施形態を用いて自動車のピラーの内部空間を充填して封止する方法の工程図である。
【0118】
次に、本発明の充填封止用発泡組成物、充填封止発泡部材および充填封止用発泡体の一実施形態として、それらを用いて自動車のピラーの内部空間を充填して封止する方法について説明する。
【0119】
この方法では、まず、図1(a)に示すように、所定形状に成形された充填封止用発泡組成物1をピラー2内に設置する。
【0120】
充填封止用発泡組成物1は、例えば、シート状に形成されている。
【0121】
ピラー2は、断面略凹状のインナパネル4およびアウタパネル5を備えている。インナパネル4は、中央部が周端部からピラー2の厚み方向一方側(図1における下側)に突出するように形成されている。
【0122】
また、アウタパネル5は、中央部が周端部からピラー2の厚み方向他方側(図1における上側)に突出するように形成されている。
【0123】
充填封止用発泡組成物1をピラー2内に設置するには、例えば、まず、取付部材3を充填封止用発泡組成物1に取り付けて、取付部材3および充填封止用発泡組成物1を備える充填封止発泡部材6を作製する。続いて、その充填封止発泡部材6の取付部材3をピラー2の内周面に取り付ける。
【0124】
あるいは、充填封止用発泡組成物1の成形時に混練物とともに取付部材3をインサート成形することができる。
【0125】
そして、充填封止用発泡組成物1をインナパネル4に取付部材3を介して設置した後、インナパネル4およびアウタパネル5の周端部を対向当接させて、それらを接合する。これによって、ピラー2が閉断面として形成される。
【0126】
このようなピラー2としては、より具体的には、車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーなどが挙げられる。
【0127】
その後、この方法では、その後の焼付塗装時の乾燥ライン工程での熱を利用して、例えば、140℃以上180℃以下、好ましくは、160℃以上180℃以下で、ピラー2を加熱する。これにより、図1(b)に示すように、充填封止用発泡組成物1を発泡、架橋および硬化させることにより充填封止用発泡体9を形成でき、この充填封止用発泡体9によってピラー2の内部空間をほぼ隙間なく充填して封止することができる。
【0128】
なお、充填封止用発泡組成物1の形状、設置位置、配置方向および配置数などは、ピラー2の形状などに応じて適宜選択される。
【0129】
そして、上記した充填封止用発泡組成物1を備える充填封止発泡部材6を発泡させることによって得られる充填封止用発泡体9は、吸水率が抑制されている。
【0130】
そのため、充填封止用発泡体9は、ピラー2の内部空間への水(具体的には、雨水などの水)の侵入に起因するピラー2の劣化を防止することができる。
【0131】
また、上記した充填封止用発泡体9は、ピラー2に対する接着性に優れている。そのため、ピラー2の内部空間に対する封止性が優れている。
【実施例】
【0132】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。
【0133】
実施例1〜6および比較例1〜8
各成分を、表1および表2の配合処方に従って、6インチミキシングロールにて回転数15min−1、約110℃で、10分間混練して、混練物(充填封止用発泡組成物)を調製した。その後、調製した混練物を、90℃のプレスにて、厚み2mmのシートを成形した。
【0134】
(評価)
各実施例および各比較例で得られたシートについて、以下の項目についてそれぞれ評価した。それらの結果を、表1および表2に示す。
(1) 発泡倍率
シートを、直径19mmの円板状に打ち抜き加工してサンプルを作製し、作製したサンプルを、160℃で、20分間加熱することにより、サンプルを発泡させた。そして、発泡前後のシートの密度から、発泡倍率を算出した。
(2) 吸水率
まず、シートを、サイズ10×18mmに矩形状に打ち抜き加工してサンプルを作製し、作製したサンプルの質量(A1)を測定した。
【0135】
別途、厚み0.8mm、サイズ25×150mmの冷間圧延鋼板を用意し、用意した冷間圧延鋼板の質量(B)を測定した。
【0136】
次に、シートを冷間圧延鋼板の表面に載置し、その後、それを、160℃で、20分間、加熱することにより、冷間圧延鋼板の表面において、シートを発泡させて、発泡体を得た。
【0137】
冷間圧延鋼板および発泡体を水に24時間浸漬した。その後、冷間圧延鋼板および発泡体を水から引き上げて、それらの表面に付着する水を拭き取り、その後、冷間圧延鋼板および発泡体の総質量(C=A2+B)を測定した。
【0138】
下記式にて、吸水率を測定した。
【0139】
吸水率=(C−(A1+B))/A1×100
=((A2+B)−(A1+B))/A1×100
=(A2−A1)/A1×100
A1:浸漬前のシートの質量
A2:浸漬後のシートの質量
B :浸漬前後の冷間圧延鋼板の質量
(3) 引張剪断接着力
引張剪断接着力の測定方法を、図2〜図4を参照して説明する。なお、図3(b)および図4(b)において、シート1および充填封止用発泡体9の相対位置を明確に示すため、第2鋼板20を省略している。
【0140】
図2の下部および図3(b)に示すように、各実施例および各比較例のシート1を、サイズ20×20mmの矩形状に切り出して、切り出されたシート1を、接着対象としての、100mm×25mmの冷間圧延鋼板(第1鋼板)15の上面に載置した。
【0141】
別途、図2の上部に示すように、接着対象としての、100mm×25mmの冷間圧延鋼板(第2鋼板)20を用意した。第2鋼板20の下面には、図2の上部および図3(b)に示すように、下方に延び、平面視矩形枠状のスペーサ21を2つ設けた。なお、スペーサ21の内側面(図3が参照される、シート1に対向する対向面であって、図4が参照される、充填封止用発泡体9に接触する接触面)には、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルムが貼着されている。また、スペーサ21は、厚み5mm、幅10mm、長さ25mmであり、隣接するスペーサ21間の距離(長手方向の間隔)は、25mmであった。
【0142】
次いで、図3(a)および図3(b)に示すように、第1鋼板15および第2鋼板20を、シート1を上下方向に挟み、かつ、シート1を長手方向(第1鋼板15の長手方向)においてスペーサ21を挟むように、対向配置した。具体的には、スペーサ21の下端部を、第1鋼板15の上面に載置した。
【0143】
その後、図4(a)および図4(b)に示すように、それらを、160℃で、20分間、加熱することにより、第1鋼板15、第2鋼板20およびスペーサ21によって成形された充填封止用発泡体9を得た。なお、充填封止用発泡体9は、第1鋼板15および第2鋼板20の幅方向両端部から両外側にはみ出した。
【0144】
続いて、図4(a)の仮想線の矢印で示すように、スペーサ21を除去し、次いで、図4(a)の実線の矢印で示すように、第1鋼板15を第2鋼板20に対して長手方向両方向に相対的に、引張速度50mm/分でスライドする(引っ張る)ことにより、充填封止用発泡体9の第1鋼板15および第2鋼板20に対する引張剪断接着力(最大剪断強度)を測定した。
【0145】
また、引張剪断接着力の測定において、引張剪断時の破壊状態を目視にて観察した。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

なお、表1および表2中の数値は、特記する場合を除いて、各成分の質量部数を示す。
【0148】
表1および表2中、「*」にて示す化合物および評価を以下に詳説する。
*1:商品名「エバフレックスEV560」、エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量14質量%、MFR3.5g/10min
*2:商品名「パークミルD−40MBK」、ジクミルパーオキサイド、DCP含量40%、シリカ+EPDM含量60質量%、日本油脂社製
*3:商品名「ビニホールAC♯3C」、アゾジカルボンアミド、永和化成社製
*4:商品名「タフデン2003」、スチレン含量25質量%、SP値:17.6〜17.8、ムーニー粘度33(ML1+4、100℃)、旭化成社製
*5: Nipol1052J、ニトリル含量33.5質量%、SP値:19.2〜20.3、ムーニー粘度46(ML1+4、100℃)、日本ゼオン社製
*6:JSR BUTYL 268、不飽和度1.5mol%、SP値:15.8〜16.7、ムーニー粘度51 (ML1+8、125℃)、JSR社製
*7:商品名「jER834」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、SP値:22.3、エポキシ当量230〜270g/eqiv.、三菱化学社製
*8:商品名「DDA50」、PTIジャパン社製
*9:商品名「2MA−OK」、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、四国化成工業社製
*10:商品名「PA−100」、SP値:27.8、富士化成工業社製
*11:商品名「TMP3A」、トリメチロールプロパントリアクリレート、大阪有機化学工業製
*12:商品名「酸化亜鉛2種」、三井金属鉱山社製
*13:商品名「SZ−P」、堺化学社製
*14:商品名「クイントンG100B」、軟化温度(環球法:昇温速度5℃/分)100℃、日本ゼオン社製
*15:シートの厚み方向途中部分が剪断された状態。
*16:シートと第1鋼板または第2鋼板との界面が、剪断された状態。
【符号の説明】
【0149】
1 充填封止用発泡組成物(シート)
2 中空部材(ピラー)
3 取付部材
6 充填封止発泡部材
9 充填封止用発泡体(発泡体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にエステル結合を有するビニル共重合体、有機過酸化物、発泡剤、疎水性樹脂および親水性樹脂を含有し、
前記疎水性樹脂の含有割合が、前記ビニル共重合体100質量部に対して、5〜25質量部であり、
前記親水性樹脂の含有割合が、前記ビニル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部であることを特徴する、充填封止用発泡組成物。
【請求項2】
前記ビニル共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の充填封止用発泡組成物。
【請求項3】
前記疎水性樹脂が、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムおよびブチルゴムからなる群から選択される少なくとも1種の合成ゴムであることを特徴とする、請求項1または2に記載の充填封止用発泡組成物。
【請求項4】
前記親水性樹脂が、エポキシ樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の充填封止用発泡組成物。
【請求項5】
前記発泡剤が、アゾジカルボンアミドであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の充填封止用発泡組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の充填封止用発泡組成物と、
前記充填封止用発泡組成物に装着され、中空部材の内部空間に取り付け可能な取付部材と
を備えることを特徴とする、充填封止発泡部材。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の充填封止用発泡組成物を発泡させることによって得られることを特徴とする、充填封止用発泡体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219257(P2012−219257A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90104(P2011−90104)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】