光学レンズ、光学モジュール、光学システム、灯具
【課題】 レンズの重量を従来に比べて軽くでき、かつ、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能な光学レンズを提供する。
【解決手段】 この光学レンズ2は、光学レンズ2の光軸X1上に頂点Cを有する凹部により構成され、光源1からの光が入射される入光面3と、該入光面3からの光を外部に出射させる出光面4とを有し、前記入光面3は、該入光面3に入射した光を前記光学レンズ2の光軸X1に対して外側方向に屈折させ、前記出光面4は、前記光学レンズ2の光軸X1の方向を垂直方向とするとき、前記入光面3からの光をより一層水平方向に屈折させる。
【解決手段】 この光学レンズ2は、光学レンズ2の光軸X1上に頂点Cを有する凹部により構成され、光源1からの光が入射される入光面3と、該入光面3からの光を外部に出射させる出光面4とを有し、前記入光面3は、該入光面3に入射した光を前記光学レンズ2の光軸X1に対して外側方向に屈折させ、前記出光面4は、前記光学レンズ2の光軸X1の方向を垂直方向とするとき、前記入光面3からの光をより一層水平方向に屈折させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ、光学モジュール、光学システム、灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は特許文献1に示されているLED照明装置(スポットライト)を示す図である。
【0003】
図1に示すLED照明装置(スポットライト)は、LED光源としてのLED素子110と、光学系としてのレンズ115などから構成されている。ここで、レンズ115は、反射面115aと、出射面115bと、LED包囲面115cとを有しており、LED包囲面115cは、LED素子110から発せられた光が入射する入射面であり、LED素子110を囲むように円筒形状のものとなっている。
【0004】
図2は上記LED照明装置(スポットライト)の光学特性を説明するための図である。上記のようにLED素子110とレンズ115を配置したスポットライトにおいて、LED素子110から発光された光は、ほとんどがLED包囲面115cに入射され、このうち、光軸に近い第1の面121に入射した光は、境界面で屈折してレンズ115内を透過して出射面115bで屈折して出射されて光路R0をたどる。また、LED素子110から発光された光のうち、光軸から遠い第2の面122に入射した光は、境界面で屈折してレンズ115内を透過して反射面115aで全反射して出射面115bで屈折して出射されて光路R2をたどる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のLED照明装置(スポットライト)は、図2の光路R0、R2からわかるように、LED素子110から発光された光のうち、光軸に近い第1の面121(光軸付近の面)に入射した光は、光路R0をたどり、その範囲が30°以下となるように設定されていても、遠くに行くに従い、光が広がってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1のLED照明装置(スポットライト)は、レンズ115が肉厚であり、レンズ115の重量が重いという問題があった。
【0008】
本発明は、レンズの重量を従来に比べて軽くすることができ、かつ、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能な光学レンズ、光学モジュール、光学システム、灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっていることを特徴とする光学レンズである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、光を出射する光源と、請求項1記載の光学レンズとを備え、前記光源の光軸と前記光学レンズの光軸とを一致させ、前記光学レンズの入光面に前記光源からの光を入射させるようになっていることを特徴とする光学モジュールである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の光学モジュールと、該光学モジュールからの出射光を制御するリフレクタ(反射面)または全反射レンズとを有していることを特徴とする光学システムである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の光学システムが用いられていることを特徴とする灯具である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっている光学レンズであって、この光学レンズからの出射光をリフレクタ面(反射面)または全反射レンズで制御するようになっているので、従来に比べて軽量化を図ることができ、かつ、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】特許文献1に示されているLED照明装置(スポットライト)を示す図である。
【図2】図1のLED照明装置(スポットライト)の光学特性を説明するための図である。
【図3】本発明の光学モジュールの一構成例を示す図(断面図)である。
【図4】本発明の光学レンズの指向特性の一例を示す図である。
【図5】本発明の光学モジュールを用いた光学システムの一例を示す図である。
【図6】図5の光学システムにおける光学モジュールからの光の光路を示す図である。
【図7】リフレクタ(反射面)からの光の指向特性の一例を示す図である。
【図8】本発明の光学モジュールを用いた光学システムの他の例を示す図である。
【図9】図8の光学システムにおける光学モジュールからの光の光路を示す図である。
【図10】光学レンズの入光面の変形例を示す図である。
【図11】光学レンズの出光面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図3は本発明の光学モジュールの一構成例を示す図(断面図)である。
【0017】
図3を参照すると、この光学モジュール10は、光を出射する光源1と、光学レンズ2とを備えている。なお、図3において、Xは光源1の光軸であり、X1は光学レンズ2の光軸であり、この光学モジュール10では、光源1の光軸Xと光学レンズ2の光軸X1とを一致させている。
【0018】
ここで、光源1には、例えばランバーシアンの指向特性を有する発光ダイオード(LED)等を用いることができる。
【0019】
また、光学レンズ2は、光学レンズ2の光軸X1上に頂点Cを有する凹部により構成され、光源1からの光が入射される入光面3と、該入光面3からの光を外部に出射させる出光面4とを有し、前記入光面3は、該入光面3に入射した光を前記光学レンズ2の光軸X1に対して外側方向に屈折させ、前記出光面4は、前記光学レンズ2の光軸X1の方向を垂直方向とするとき、前記入光面3からの光をより一層水平方向(光学レンズ2の光軸X1方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっている。なお、入光面3、出光面4は、光学レンズ2の光軸X1に対し例えば回転体となっている。
【0020】
より詳細に、図3の例では、入光面3は、頂点Cを有する例えば円錐形状の凹部により構成され、入光面3の光軸X1とのなす角度θは、光源1からの光に対して臨界角未満の角度(例えば2°〜30°程度)である。なお、入光面3の光軸X1とのなす角度θが小さい程、光源1からの光に対する屈折角は大きくなり、入光面3の光軸X1とのなす角度θが大きい程、光源1からの光に対する屈折角は小さくなっていくので、入光面3の光軸X1とのなす角度θは、光源1の発光面のサイズ(光源1が面光源の場合は大きく、光源1が点光源の場合は小さい)などとのバランスによって決められる。
【0021】
また、光源1(発光面)から入光面3の頂点Cまでの距離は、光源1の発光面のサイズが大きい程(光源1が面光源の場合程)、遠くに設定し、光源1の発光面のサイズが小さい程(光源1が点光源の場合程)、近くに設定される。
【0022】
また、出光面4は、図3において、点Aと点Bを結ぶ直線Lと入光面3の光軸X1とのなす角度αが45°〜臨界角未満(例えば85°)であり(すなわち、角度αが大きい程、入光面3からの光はより屈折角が大きく、入光面3からの光をより一層水平方向(光学レンズ2の光軸X1方向に対して垂直な方向)に屈折させるが、角度αが臨界角を超えると全反射してしまうので、角度αは、入光面3からの光を全て屈折させるような最適な角度に設定される)、点Aと点Bを通る所定半径Rの円弧の曲面(例えば回転体)のものとなっている。
【0023】
このような構成の光学モジュール10では、入光面3を経て出光面4にて屈折した光は、図3に光路R1で示すように、全てロスすることなく光学モジュール10の前方(光学レンズ2の光源1とは反対側の方向)へと制御され、なおかつ、真ん中に行く光はなく、左右に放射状に分割された光へと制御される。つまり、光学レンズ2の光軸X1を回転軸とし、真ん中部分の光をなくした(真ん中部分の光を左右方向に分けた)回転形状の光へと制御される。
【0024】
図4には、ランバーシアンの指向特性を有する光源1からの光を、光学レンズ2により、真ん中部分(角度−30°〜30°)が抜けて、左右方向に分けたような指向特性が示されている。
【0025】
このように、本発明の光学モジュール10は、光源1からの光を、光学レンズ2により、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性に変えるので、後述のように、この光学モジュール10からの出射光をリフレクタ(反射面)または全反射レンズで制御するとき、光学レンズ2からの出射光において真ん中部分が抜けていることにより、従来技術(図2参照)における光路R0の部分がなくなり、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能となる。
【0026】
また、本発明の光学モジュール10では、光学レンズ2のサイズを小さくできるので、光学レンズの重量を従来に比べて軽くすることができる。
【0027】
図5は本発明の光学モジュール10を用いた光学システムの一例を示す図である。図5を参照すると、この光学システムは、光学モジュール10と、該光学モジュール10からの出射光を制御するリフレクタ(反射面)11とを有している。
【0028】
図5の光学システムでは、図6に示すように、光学モジュール10からの光(真ん中部分が抜けて、左右方向に広がった指向特性になった光路R1の光)をリフレクタ(反射面)11によって前方に向けて(光源1が設けられている側とは反対側の方向に向けて)反射し光学レンズ2の光軸X1方向へと集光させることにより(図6の例では、光学レンズ2の光軸X1と平行な光にすることにより)、遠方においても光の広がりを抑えることができる。図7には、リフレクタ(反射面)11からの光の指向特性の一例が示されており、図7から、光学モジュール10からの光をリフレクタ(反射面)11によって光軸X1とほぼ平行な光にすることができることがわかる。
【0029】
また、図5の光学システムでは、光学レンズ2のサイズを小さくでき、リフレクタ(反射面)11は肉抜き化できるので、軽量化を図ることができる。
【0030】
なお、図5の光学システムにおいて、リフレクタ(反射面)11は、ハウジング(筐体)を兼ねてもよく、これを例えばアルミダイキャストで作製すれば、ヒートシンク等の放熱部材にもなる。このように、リフレクタ(反射面)11は、ハウジング(筐体)やヒートシンク等の放熱部材も兼ねることができ、この場合には、部品点数を削減し、組立て性能を向上させることができる。
【0031】
図8は本発明の光学モジュール10を用いた光学システムの他の例を示す図である。図8を参照すると、この光学システムは、光学モジュール10と、光学モジュール10(光学レンズ2)の周りに設けられ、該光学モジュール10からの出射光を制御する全反射レンズ12とを有している。
【0032】
図8の光学システムでは、図9に示すように、光学モジュール10からの光(真ん中部分が抜けて、左右方向に広がった指向特性になった光)を全反射レンズ12によって前方に向けて(光源1が設けられている側とは反対側の方向に向けて)反射し光学レンズ2の光軸X1方向へと集光させることにより(図9の例では、光学レンズ2の光軸X1と平行な光にすることにより)、遠方においても光の広がりを抑えることができる。
【0033】
なお、上述の各例では、光学レンズ2の入光面3は、図3に示すように、頂点Cを有する例えば円錐形状の凹部により構成されるとしたが、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性をもたらすものであれば、円錐形状に限らず、例えば図10(a)、(b)に示すような断面形状の凹部により構成することもできる。また、光学レンズ2の出光面4は、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性をもたらすものであれば、図3に示すような形状に限らず、例えば図11(a)、(b)に示すような断面形状のものにすることもできる。
【0034】
また、上述の各例では、光学レンズ2の入光面3、出光面4は、光学レンズ2の光軸X1を回転軸とした回転体形状であるとしたが、光学レンズ2の入光面3、出光面4を多角形形状(例えば8角形形状など)のものにすることも可能である。
【0035】
また、上述した光学システムを用いて、灯具(例えば、スポットライト)を構成することができ、この場合、スポットの広がりを抑えることができ、また、灯具の軽量化などを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スポットライト照明、ビームライト照明、ライトアップ照明等の一般照明全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 光源
2 光学レンズ
3 入光面
4 出光面
10 光学モジュール
11 リフレクタ(反射面)
12 全反射レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ、光学モジュール、光学システム、灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は特許文献1に示されているLED照明装置(スポットライト)を示す図である。
【0003】
図1に示すLED照明装置(スポットライト)は、LED光源としてのLED素子110と、光学系としてのレンズ115などから構成されている。ここで、レンズ115は、反射面115aと、出射面115bと、LED包囲面115cとを有しており、LED包囲面115cは、LED素子110から発せられた光が入射する入射面であり、LED素子110を囲むように円筒形状のものとなっている。
【0004】
図2は上記LED照明装置(スポットライト)の光学特性を説明するための図である。上記のようにLED素子110とレンズ115を配置したスポットライトにおいて、LED素子110から発光された光は、ほとんどがLED包囲面115cに入射され、このうち、光軸に近い第1の面121に入射した光は、境界面で屈折してレンズ115内を透過して出射面115bで屈折して出射されて光路R0をたどる。また、LED素子110から発光された光のうち、光軸から遠い第2の面122に入射した光は、境界面で屈折してレンズ115内を透過して反射面115aで全反射して出射面115bで屈折して出射されて光路R2をたどる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のLED照明装置(スポットライト)は、図2の光路R0、R2からわかるように、LED素子110から発光された光のうち、光軸に近い第1の面121(光軸付近の面)に入射した光は、光路R0をたどり、その範囲が30°以下となるように設定されていても、遠くに行くに従い、光が広がってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1のLED照明装置(スポットライト)は、レンズ115が肉厚であり、レンズ115の重量が重いという問題があった。
【0008】
本発明は、レンズの重量を従来に比べて軽くすることができ、かつ、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能な光学レンズ、光学モジュール、光学システム、灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっていることを特徴とする光学レンズである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、光を出射する光源と、請求項1記載の光学レンズとを備え、前記光源の光軸と前記光学レンズの光軸とを一致させ、前記光学レンズの入光面に前記光源からの光を入射させるようになっていることを特徴とする光学モジュールである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の光学モジュールと、該光学モジュールからの出射光を制御するリフレクタ(反射面)または全反射レンズとを有していることを特徴とする光学システムである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の光学システムが用いられていることを特徴とする灯具である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっている光学レンズであって、この光学レンズからの出射光をリフレクタ面(反射面)または全反射レンズで制御するようになっているので、従来に比べて軽量化を図ることができ、かつ、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】特許文献1に示されているLED照明装置(スポットライト)を示す図である。
【図2】図1のLED照明装置(スポットライト)の光学特性を説明するための図である。
【図3】本発明の光学モジュールの一構成例を示す図(断面図)である。
【図4】本発明の光学レンズの指向特性の一例を示す図である。
【図5】本発明の光学モジュールを用いた光学システムの一例を示す図である。
【図6】図5の光学システムにおける光学モジュールからの光の光路を示す図である。
【図7】リフレクタ(反射面)からの光の指向特性の一例を示す図である。
【図8】本発明の光学モジュールを用いた光学システムの他の例を示す図である。
【図9】図8の光学システムにおける光学モジュールからの光の光路を示す図である。
【図10】光学レンズの入光面の変形例を示す図である。
【図11】光学レンズの出光面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図3は本発明の光学モジュールの一構成例を示す図(断面図)である。
【0017】
図3を参照すると、この光学モジュール10は、光を出射する光源1と、光学レンズ2とを備えている。なお、図3において、Xは光源1の光軸であり、X1は光学レンズ2の光軸であり、この光学モジュール10では、光源1の光軸Xと光学レンズ2の光軸X1とを一致させている。
【0018】
ここで、光源1には、例えばランバーシアンの指向特性を有する発光ダイオード(LED)等を用いることができる。
【0019】
また、光学レンズ2は、光学レンズ2の光軸X1上に頂点Cを有する凹部により構成され、光源1からの光が入射される入光面3と、該入光面3からの光を外部に出射させる出光面4とを有し、前記入光面3は、該入光面3に入射した光を前記光学レンズ2の光軸X1に対して外側方向に屈折させ、前記出光面4は、前記光学レンズ2の光軸X1の方向を垂直方向とするとき、前記入光面3からの光をより一層水平方向(光学レンズ2の光軸X1方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっている。なお、入光面3、出光面4は、光学レンズ2の光軸X1に対し例えば回転体となっている。
【0020】
より詳細に、図3の例では、入光面3は、頂点Cを有する例えば円錐形状の凹部により構成され、入光面3の光軸X1とのなす角度θは、光源1からの光に対して臨界角未満の角度(例えば2°〜30°程度)である。なお、入光面3の光軸X1とのなす角度θが小さい程、光源1からの光に対する屈折角は大きくなり、入光面3の光軸X1とのなす角度θが大きい程、光源1からの光に対する屈折角は小さくなっていくので、入光面3の光軸X1とのなす角度θは、光源1の発光面のサイズ(光源1が面光源の場合は大きく、光源1が点光源の場合は小さい)などとのバランスによって決められる。
【0021】
また、光源1(発光面)から入光面3の頂点Cまでの距離は、光源1の発光面のサイズが大きい程(光源1が面光源の場合程)、遠くに設定し、光源1の発光面のサイズが小さい程(光源1が点光源の場合程)、近くに設定される。
【0022】
また、出光面4は、図3において、点Aと点Bを結ぶ直線Lと入光面3の光軸X1とのなす角度αが45°〜臨界角未満(例えば85°)であり(すなわち、角度αが大きい程、入光面3からの光はより屈折角が大きく、入光面3からの光をより一層水平方向(光学レンズ2の光軸X1方向に対して垂直な方向)に屈折させるが、角度αが臨界角を超えると全反射してしまうので、角度αは、入光面3からの光を全て屈折させるような最適な角度に設定される)、点Aと点Bを通る所定半径Rの円弧の曲面(例えば回転体)のものとなっている。
【0023】
このような構成の光学モジュール10では、入光面3を経て出光面4にて屈折した光は、図3に光路R1で示すように、全てロスすることなく光学モジュール10の前方(光学レンズ2の光源1とは反対側の方向)へと制御され、なおかつ、真ん中に行く光はなく、左右に放射状に分割された光へと制御される。つまり、光学レンズ2の光軸X1を回転軸とし、真ん中部分の光をなくした(真ん中部分の光を左右方向に分けた)回転形状の光へと制御される。
【0024】
図4には、ランバーシアンの指向特性を有する光源1からの光を、光学レンズ2により、真ん中部分(角度−30°〜30°)が抜けて、左右方向に分けたような指向特性が示されている。
【0025】
このように、本発明の光学モジュール10は、光源1からの光を、光学レンズ2により、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性に変えるので、後述のように、この光学モジュール10からの出射光をリフレクタ(反射面)または全反射レンズで制御するとき、光学レンズ2からの出射光において真ん中部分が抜けていることにより、従来技術(図2参照)における光路R0の部分がなくなり、遠くにおいても光の広がりを小さく抑えることが可能となる。
【0026】
また、本発明の光学モジュール10では、光学レンズ2のサイズを小さくできるので、光学レンズの重量を従来に比べて軽くすることができる。
【0027】
図5は本発明の光学モジュール10を用いた光学システムの一例を示す図である。図5を参照すると、この光学システムは、光学モジュール10と、該光学モジュール10からの出射光を制御するリフレクタ(反射面)11とを有している。
【0028】
図5の光学システムでは、図6に示すように、光学モジュール10からの光(真ん中部分が抜けて、左右方向に広がった指向特性になった光路R1の光)をリフレクタ(反射面)11によって前方に向けて(光源1が設けられている側とは反対側の方向に向けて)反射し光学レンズ2の光軸X1方向へと集光させることにより(図6の例では、光学レンズ2の光軸X1と平行な光にすることにより)、遠方においても光の広がりを抑えることができる。図7には、リフレクタ(反射面)11からの光の指向特性の一例が示されており、図7から、光学モジュール10からの光をリフレクタ(反射面)11によって光軸X1とほぼ平行な光にすることができることがわかる。
【0029】
また、図5の光学システムでは、光学レンズ2のサイズを小さくでき、リフレクタ(反射面)11は肉抜き化できるので、軽量化を図ることができる。
【0030】
なお、図5の光学システムにおいて、リフレクタ(反射面)11は、ハウジング(筐体)を兼ねてもよく、これを例えばアルミダイキャストで作製すれば、ヒートシンク等の放熱部材にもなる。このように、リフレクタ(反射面)11は、ハウジング(筐体)やヒートシンク等の放熱部材も兼ねることができ、この場合には、部品点数を削減し、組立て性能を向上させることができる。
【0031】
図8は本発明の光学モジュール10を用いた光学システムの他の例を示す図である。図8を参照すると、この光学システムは、光学モジュール10と、光学モジュール10(光学レンズ2)の周りに設けられ、該光学モジュール10からの出射光を制御する全反射レンズ12とを有している。
【0032】
図8の光学システムでは、図9に示すように、光学モジュール10からの光(真ん中部分が抜けて、左右方向に広がった指向特性になった光)を全反射レンズ12によって前方に向けて(光源1が設けられている側とは反対側の方向に向けて)反射し光学レンズ2の光軸X1方向へと集光させることにより(図9の例では、光学レンズ2の光軸X1と平行な光にすることにより)、遠方においても光の広がりを抑えることができる。
【0033】
なお、上述の各例では、光学レンズ2の入光面3は、図3に示すように、頂点Cを有する例えば円錐形状の凹部により構成されるとしたが、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性をもたらすものであれば、円錐形状に限らず、例えば図10(a)、(b)に示すような断面形状の凹部により構成することもできる。また、光学レンズ2の出光面4は、真ん中部分が抜けて、左右方向に分けたような指向特性をもたらすものであれば、図3に示すような形状に限らず、例えば図11(a)、(b)に示すような断面形状のものにすることもできる。
【0034】
また、上述の各例では、光学レンズ2の入光面3、出光面4は、光学レンズ2の光軸X1を回転軸とした回転体形状であるとしたが、光学レンズ2の入光面3、出光面4を多角形形状(例えば8角形形状など)のものにすることも可能である。
【0035】
また、上述した光学システムを用いて、灯具(例えば、スポットライト)を構成することができ、この場合、スポットの広がりを抑えることができ、また、灯具の軽量化などを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スポットライト照明、ビームライト照明、ライトアップ照明等の一般照明全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 光源
2 光学レンズ
3 入光面
4 出光面
10 光学モジュール
11 リフレクタ(反射面)
12 全反射レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっていることを特徴とする光学レンズ。
【請求項2】
光を出射する光源と、請求項1記載の光学レンズとを備え、前記光源の光軸と前記光学レンズの光軸とを一致させ、前記光学レンズの入光面に前記光源からの光を入射させるようになっていることを特徴とする光学モジュール。
【請求項3】
請求項2記載の光学モジュールと、該光学モジュールからの出射光を制御するリフレクタ(反射面)または全反射レンズとを有していることを特徴とする光学システム。
【請求項4】
請求項3記載の光学システムが用いられていることを特徴とする灯具。
【請求項1】
光学レンズの光軸上に頂点を有する凹部により構成され、光源からの光が入射される入光面と、該入光面からの光を外部に出射させる出光面とを有し、前記入光面は、該入光面に入射した光を前記光学レンズの光軸に対して外側方向に屈折させ、前記出光面は、前記光学レンズの光軸の方向を垂直方向とするとき、前記入光面からの光をより一層水平方向(光学レンズの光軸方向に対して垂直な方向)に屈折させるようになっていることを特徴とする光学レンズ。
【請求項2】
光を出射する光源と、請求項1記載の光学レンズとを備え、前記光源の光軸と前記光学レンズの光軸とを一致させ、前記光学レンズの入光面に前記光源からの光を入射させるようになっていることを特徴とする光学モジュール。
【請求項3】
請求項2記載の光学モジュールと、該光学モジュールからの出射光を制御するリフレクタ(反射面)または全反射レンズとを有していることを特徴とする光学システム。
【請求項4】
請求項3記載の光学システムが用いられていることを特徴とする灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−89291(P2013−89291A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225577(P2011−225577)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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