光学式エンコーダ
【課題】等倍反転光学系を用いた光学式エンコーダにおいて、基準位置の検出安定性と検出精度とを両立させる。
【解決手段】投影手段4は等倍反転光学系からなり、光源2によって第1領域Aに照し出された一方の基準スリットパタン25aを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。受光素子3は、第2領域Bを通過する他方の基準スリットパタン25bをマスクとして反対方向に移動する基準スリットパタン25aの実像を受光して移動板1の基準位置を検出する。基準スリットパタンは各々不等ピッチで配列したスリット5からなり、基準スリットパタン25aは基準スリットパタン25bに対してあらかじめ反転した関係で配されており、基準スリットパタン25aの実像に含まれる全スリット実像は、移動板1が基準位置に来た時のみ、第2領域Bで基準スリットパタン25bに含まれる全スリット5と重なり合う。
【解決手段】投影手段4は等倍反転光学系からなり、光源2によって第1領域Aに照し出された一方の基準スリットパタン25aを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。受光素子3は、第2領域Bを通過する他方の基準スリットパタン25bをマスクとして反対方向に移動する基準スリットパタン25aの実像を受光して移動板1の基準位置を検出する。基準スリットパタンは各々不等ピッチで配列したスリット5からなり、基準スリットパタン25aは基準スリットパタン25bに対してあらかじめ反転した関係で配されており、基準スリットパタン25aの実像に含まれる全スリット実像は、移動板1が基準位置に来た時のみ、第2領域Bで基準スリットパタン25bに含まれる全スリット5と重なり合う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子(光源)と受光素子とスリットを有する移動板とからなる光学式エンコーダに関する。特に、発光素子と受光素子との間に等倍反転光学系を配して分解能を倍増した光学式エンコーダに関する。より詳しくは、かかる光学式エンコーダにおいて移動板の基準位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
等倍反転光学系を用いた光学式エンコーダは以下の特許文献1に記載がある。また、通常の光学式エンコーダの基準位置検出技術については、以下の特許文献2に記載がある。
【特許文献1】特開平10−122905号公報
【特許文献2】特開昭53−097862号公報
【0003】
図9は、特許文献1に記載された光学式エンコーダを示す模式的な斜視図である。図示するように、光学式エンコーダは移動板1とLED等の発光素子からなる光源2とフォトトランジスタアレイ等からなる受光素子3と投影手段4とを備えている。本例では移動板1は回転変位する円盤からなり、第1領域A及び第2領域Bを通過するように組み込まれている。光源2は移動板1の下面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3も移動板1の下面側で第2領域Bに対面配置している。投影手段4は移動板1の上面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在している。移動板1は第1領域A及び第2領域Bを結ぶ移動方向(この例では円盤の周方向)に沿って一定のピッチPで配列したスリット5を有する。光源2は第1領域Aを通過するスリット5を照明してスリット物像を形成する。投影手段4は第1領域Aに照し出されたスリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。受光素子3は第2領域Bを通過するスリット5をマスクとして、反対方向に移動するスリット実像を受光し、移動板1の回転変位を検出する。上述した投影手段4は等倍反転光学系であり、第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と第2領域Bに対面する結像レンズ7と、両レンズ6,7の光路を折り曲げて像回転を行なう2枚のミラーM1,M2とを含んでいる。一対のミラーM1,M2は互いに直角を成している。投影手段4は一体化プリズム8からなり、2枚のミラーM1,M2を構成する全反射面と、コリメータレンズ6が配された入射面と、結像レンズ7が配された出射面とを備えている。
【0004】
図10は、図9に示した光学式エンコーダにおける像形成の原理を説明したものである。(a)は一体化プリズム8を直上から見た平面図であり、(b)は一体化プリズム8を回転円盤の周方向から見た側面図であり、(c)は同じく一体化プリズム8を回転円盤の径方向から見た側面図である。各図に示した光線は全て子午光束である。図示するように、光源2と受光素子3は移動板1の同一面側に配され、投影手段4は移動板1の反対面側に配されている。前述したように、投影手段4は第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と第2領域Bに対面する結像レンズ7とを含み、倍率1の等倍反転光学系である。この投影手段4は一体化プリズム8からなり、コリメータレンズ6及び結像レンズ7と共に光学プラスチック等で一体成形される。コリメータレンズ6は一体化プリズム8の入射面10に配され、結像レンズ7は同じく一体化プリズム8の出射面12に配されている。
【0005】
LED等の発光素子からなる光源2は移動板1に形成されたスリット5を照射し、第1領域Aにスリット物像9を照し出す。このスリット物像9はコリメータレンズ6を介して一体化プリズム8の全反射面からなる互いに直角を成す2枚のミラーM1,M2により結像レンズ7側に転送される。この後結像レンズ7を介して第2領域B上にスリット実像13が投影される。コリメータレンズ6の光軸14aと結像レンズ7の光軸14bは一体化プリズム8を介して同軸となっており、両レンズ間に像転送用のミラーM1,M2が介在している。(c)に示すように、スリット物像9がコリメータレンズ6及び結像レンズ7により1回結像され、スリット物像13を生成している。径方向から見た場合、光源2から発した光束はミラーM1及びM2により反射されて受光素子3に達する。ミラーM1,M2の法線ベクトルはスリット移動方向(周方向)成分をもたない為、径方向から見た場合、スリット実像9は反転してスリット物像13となる。一方、(b)に示すように、周方向から見た場合、光源2から発した光束は互いに直交するミラーM1,M2により2回反射された後受光素子側に到達する。このように、スリット物像は直交する2枚のミラーM1,M2で像反転を受ける為、結果的にスリット実像は周方向から見た場合正立像となる。従って、(a)に模式的に示したように、物像Rは径方向を対称軸として等倍反転された実像に変換される。
【0006】
(c)に示すように、光源2で第1領域A上に照し出されたスリット物像9は、投影手段4を介して第2領域B上にスリット物像13として投影される。受光素子3は、移動板1に形成されたスリット5そのものをマスクとしてこのスリット実像13を受光する。この時、スリット実像13はスリット物像9に対して等倍反転されている。従って、スリット実像13は第2領域Bにおいてスリット5そのものと裏向きに重なる。又、スリット実像13の移動方向は矢印で示すようにスリット5そのものの移動方向に対し反対方向となる。従って、受光素子3に入射する光量はスリット実像13に対しスリット5自身がマスクとなる為、移動板1の回転変位に伴って周期的に増減する。しかも、スリット5のピッチPの半分でスリット5自身とスリット実像13が相対的に反対方向に動く為、結局スリットピッチの2倍の分解能のエンコーダ出力が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学式エンコーダでは、上述した移動板の変位量に加えて、その基準位置を検出したい場合が多い。図11は、基準位置検出を可能にしたスリット構成を表している。図示するように、移動板1は一定のピッチで配列したスリット5の列からなる主トラックに加え、第1領域Aと第2領域Bの距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタン25a,25bからなる副トラックを有している。これに対応して、受光素子は主トラックと副トラックに夫々割り当てられた受光領域を有し、移動板1の変位に加えその基準位置を検出する。具体的には、一対の基準スリットパタン25a,25bは各々単スリットからなり、主トラック側のスリット5の列に対し内側に配置されている。両スリットパタン25a,25bの角度間隔αは、第1領域A及び第2領域B間の角度間隔と等しい。今移動板1が時計方向に回転変位していると、一方の基準スリットパタン25aが第2領域Bに到達した時、他方のスリットパタン25bが第1領域Aに達し、その実像が第2領域Bに投影される。従って、受光素子は基準スリットパタン25bの実像が基準スリットパタン25a自身に重なった時、移動板1の基準位置を表わす検出信号を出力することになる。
【0008】
上述したように基準スリットパタン25a,25bは一般に単スリットからなり、基本的には主トラックに形成されたスリット5と同じである。基準位置の検出精度を高めるためには、基準スリットパタンの幅は細いほど良い。変位量の検出精度と同等にする為には、基準スリットパタンの幅も主トラックに形成されたスリット5の幅と同程度に狭める必要がある。しかしながら、光学式エンコーダの分解能が高くなると、必然的にスリット幅が狭くなる為、充分な受光量が得られないという課題がある。特に、基準スリットパタンは単スリットである為、主トラック側に形成されたスリット5の列に比べると受光量が極端に少なくなる。このため、受光信号(検出信号)のレベルが低くなり、外乱ノイズなどの影響を受けて基準位置の誤検出などが生じ光学式エンコーダの動作を不安定化するという課題がある。
【0009】
これに対処する為には、基準スリットパタンを構成する単スリットの幅を、主トラック側に形成されたスリットの幅に比べて広げる事が考えられる。スリット幅を広げる事で受光量が増し、この結果検出信号の振幅レベルが大きくなる為、外乱ノイズの影響を受け難くなる。しかしながら、スリット幅を拡大すると必然的に基準位置の検出精度が変位量の検出精度に比べて悪くなり装置の高性能化が阻害されるという課題がある。
【0010】
この様に等倍反転光学系を用いた従来の光学式エンコーダは、基準位置の検出安定性と基準位置の検出精度とを両立する事が難しい。この点に関し、等倍反転光学系を用いない一般的な光学式エンコーダで、基準位置の検出安定性と検出精度とを両立させる技術が特許文献2に記載されている。この光学式エンコーダは、互いに対向配置した発光素子と受光素子との間に、移動板と固定板を重ねて配置したものである。移動板には、複数のスリットからなる基準スリットパタンが形成されている。複数のスリットは不等間隔で配列されている。例えば7本のスリットが、1対2対3対5対7対10となるように配されている。固定板側にも同じ順序同じ間隔で配列された複数のスリットからなる基準スリットパタンが形成されている。移動板が丁度基準位置に達したとき、移動板側の基準スリットパタンと固定板側の基準スリットパタンは、全てのスリットが重なる。基準位置以外の移動板位置では、2本以上のスリットが同時に重なる事はない。この結果、個々のスリットの幅を狭めても、基準位置では複数のスリットが全て重なるため充分な受光量が得られ、外乱ノイズの影響を受け難くなる。一方、基準スリットパタンの各スリットの幅は、変位量を検出する為に形成する通常のスリットの幅と同程度にできる為、必要な基準位置検出精度を確保できる。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示された基準位置検出技術は、移動板と固定板を供えた一般的な光学式エンコーダに適用されるものであって、特許文献1に開示されたように固定板の代わりとして等倍反転光学系を利用した光学式エンコーダにそのまま適用できるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は等倍反転光学系を用いた光学式エンコーダにおいて、基準位置の検出安定性と検出精度とを両立させる事を目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、第1領域及び第2領域を通過する移動坂と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備え、前記移動板は、第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定ピッチで配列したスリットの列からなる主トラックと、第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有し、前記光源は、第1領域を通過するスリットの列及び基準スリットパタンを照明し、前記投影手段は等倍反転光学系からなり、該光源によって第1領域に照し出されたスリットの列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域に投影するとともに、該光源によって第1領域に照し出された一方の基準スリットパタンを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域に投影し、前記受光素子は、第2領域を通過するスリットの列をマスクとして反対方向に移動する該スリット実像の列を受光して該移動板の変位を検出するとともに、第2領域を通過する他方の基準スリットパタンをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタンの実像を受光して該移動板の基準位置を検出する光学式エンコーダにおいて、前記一対の基準スリットパタンは、各々移動方向に沿って不等ピッチで配列した複数のスリットからなり、一方の基準スリットパタンは他方の基準スリットパタンに対してあらかじめ反転した関係で配されており、該等倍反転光学系で等倍反転された該一方の基準スリットパタンの実像に含まれる全スリット実像は、該移動板が基準位置に来た時のみ、第2領域で該他方の基準スリットパタンに含まれる全スリットと重なり合うことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記基準スリットパタンを構成するため副トラックに不等ピッチで配列されたスリットは、主トラックに一定ピッチで配列したスリットと同程度のスリット開口幅を有する。又、前記等倍反転光学系は、第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう互いに直角を成す2枚のミラーとからなる。
【発明の効果】
【0014】
主トラックには移動量を検出する為のスリット列が形成されている一方、副トラックには基準位置を検出するため一対の基準スリットパタンが形成されている。各基準スリットパタンは不等ピッチで配列した複数のスリットからなる。但し、一方の基準スリットパタンは他方のスリットパタンに対して予め反転関係となるように形成されている。換言すると、一対の基準スリットパタンは、移動板の回転軸と、光源と受光素子の中間点とを通る面に対して対称に配列されている。したがって、光源によって照明された一方の基準スリットパタンの像が等倍反転光学系によって受光素子側に反転して結像される。本発明では、予め反転関係で形成された一方の基準スリットパタンが等倍反転光学系によって再度反転された後、他方の基準スリットパタンに重なる事になる。したがって、一方の基準スリットパタンの反転像は基準位置において他方の基準スリットパタンと一致し、不等ピッチで配列した全てのスリットが重なる。これにより、基準位置では充分な受光量が得られる。一方、移動板の回転により基準位置からずれた場合、不等ピッチで配列されているため2つ以上のスリットが同時に重なる事はない。したがって、基準位置では受光信号を波形成形して検出信号を得る上で充分な振幅が得られる。一方、基準スリットパタンの個々のスリット幅は、主トラックに形成されたスリットの幅と同程度に形成できるので、必要な基準位置精度を得る事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる光学式エンコーダの実施形態を示す模式的な平面図である。図示するように、本光学式エンコーダは、移動板1と光源2と受光素子3と投影手段4とを備える。移動板1は回転軸を中心として回転し、第1領域A及び第2領域Bを通過する。光源2は移動板1の下面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3も移動板1の下面側で第2領域Bに対面配置している。投影手段4は、移動板1の上面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在する。
【0016】
移動板1は同心状に主トラック20と副トラック25を備えている。主トラック20には、第1領域A及び第2領域Bを結ぶ移動方向(円周方向)に沿って一定ピッチで配列したスリット5の列が形成されている。副トラック25には、第1領域Aと第2領域Bの距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタン25a,25bが形成されている。光源2は、第1領域Aを通過するスリット5の列及び基準スリットパタン25a,25bを照明する。投影手段4は等倍反転光学系からなり、光源2によって第1領域Aに映し出されたスリット5の列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域Bに投影すると共に、光源2によって第1領域Aに映し出された一方の基準スリットパタン25aを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。
【0017】
受光素子3は、第2領域Bを通過する主トラック20のスリット5の列をマスクとして反対方向に移動するスリット5の実像の列を受光して移動板1の変位を検出すると共に、第2領域Bを通過する他方の基準スリットパタン25bをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタン25aの実像を受光して移動板1の基準位置を検出する。
【0018】
本発明の特徴事項として、一対の基準スリットパタン25a,25bは、各々移動方向(円周方向)に沿って不等ピッチで配列した複数のスリット5からなり、一方の基準スリットパタン25aは他方の基準スリットパタン25bに対して予め反転した関係で配されている。等倍反転光学系で等倍反転された一方の基準スリットパタン25aの実像に含まれる全スリット実像は、移動板1が基準位置に来た時のみ、第2領域Bで他方の基準スリットパタン25bに含まれる全スリット5と重なりあう。好ましくは、基準スリットパタン25a,25bを構成するため副トラック25に不等ピッチで配列されたスリット5は、主トラック20に一定ピッチで配列したスリット5と同程度のスリット開口幅を有する。なお、投影手段4を構成する等倍反転光学系は、例えば図9に示した構成を採用する事ができる。即ち、投影手段4は、第1領域Aに対面するコリメータレンズと、第2領域Bに対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行う互いに直角を成す2枚のミラーとからなる。但し、本発明はこれに限られるものではなく、他の構成の等倍反転光学系を採用する事ができる。
【0019】
以上の説明から明らかなように、一対の基準スリットパタン25a,25bが周方向に離間して移動板1の副トラック25に配されている。一方の基準スリットパタン25aが光源2の光軸上にあるとき他方の基準スリットパタン25bは受光素子3の中心に位置する。各基準スリットパタン25a,25bは、各々複数本のスリット5のセットからなる。基準スリットパタン25a,25bに含まれる各スリット5は、移動板1の周トラック20に等ピッチで刻まれた変位量検出用のスリット5の幅と同程度の開口幅を有する。本実施形態では各基準スリットパタンは4本のスリット5からなり、不等ピッチ例えば1対1.5対2の間隔で配されている。一対の基準スリットパタン25a,25bに配された不等ピッチスリット5のレイアウトは、移動板1の回転軸と、光源2と受光素子3の中間点とを通る対称面30に対して対称となっており、投影手段4から得られた不等ピッチスリットの像がもう一方の不等ピッチスリットと受光素子3上で重なる。その重なりは、移動板1が丁度基準位置に来たとき複数本のスリット全てが重なるが、基準位置からずれた別の位置では2本以上のスリットが重なる事はない。
【0020】
図2の(A)は、一方の基準スリットパタン25aの拡大図である。図示するように、基準スリットパタン25aは複数のスリット5が異なるピッチP1,P2,P3で放射状に反時計回りの順に並んでいる。
【0021】
図2の(B)は他方の基準スリットパタン25bの拡大図である。複数のスリット5が基準スリットパタン25aと同様に異なるピッチP1,P2,P3で放射状に並んでいる。但し順序は基準スリットパタン25aと逆に時計回りとなっている。
【0022】
前述したように、本発明ではレンズ及び反射面からなる等倍反転光学系により、基準スリットパタン25aの像を等倍且つ反転させて基準スリットパタン25bと重なるように結像させる。このため、基準スリットパタン25aは基準スリットパタン25bに対して予め反転関係となるように形成されている。この反転基準面は、図1に示したように移動板1の回転軸と、光源2と受光素子3の中間点とを通る対称面30である。異なるピッチP1,P2,P3は、例えば1対1.5対2とする。また、スリット5の開口幅は最小ピッチP1の0.5倍とする。但し、不等ピッチの設定は図示の例に限られるものではない。一般に、基準位置以外において一対の基準スリットパタン25a,25b間で2つ以上のスリットが重ならないようにする為には、スリットの間隔をその幅以上に設定し且つ不等ピッチで配列する必要がある。スリット間隔の比率は、例えば1対2対3対5対7対10とする事もできる。図2の(A)及び(B)に示したとおり、一対の基準スリットパタン25a及び25bが、移動板の回転軸と、光源と受光素子の中間点とを通る面に対して対称に並んでいる。したがって、光源に照らされた基準スリットパタン25aの像が投影手段によって受光素子側に反転して結像されると、基準スリットパタン25aの反転像と基準スリットパタン25bのスリットが互いに重なり、受光素子3に光信号が到達する。反転像とスリットとは基準位置では全てが重なるが、移動板1の回転により基準位置からずれた場合、2つ以上のスリット5が同時に重なる事はない。したがって、基準位置でのみ波形整形する上で充分な振幅があり且つ幅の狭い基準パルス信号が得られ、基準位置検出精度が向上する。
【0023】
図3は、基準スリットパタンの参考例を示す拡大図である。理解を容易にするため、図2に示した本発明の基準スリットパタンと対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示の参考例は、一対の基準スリットパタン25a,25bとして、それぞれ単独のスリット(単スリット)5を用いている。しかも、単スリット5の開口幅は、主トラック20に形成された変位量検出用のスリット5の開口幅と等しくなっている。この結果、基準位置の検出精度は変位量の検出精度と同レベルが得られるが、基準位置検出用の受光量が非常に少なくなる。したがって、このままでは外乱ノイズなどの影響を強く受けるため、安定した基準位置の検出ができない。
【0024】
図4は基準スリットパタンの他の参考例を示す拡大図である。理解を容易にするため、図2に示した本発明の基準スリットパタンと対応する部分には対応する参照番号を付してある。本参考例は、基準スリットパタン25a,25bがいずれも単スリット5で形成されているが、受光量を増やす為その開口幅が拡大されている。この結果、基準位置における受光信号の振幅レベルが増大し、外乱ノイズに強い構成である。しかしながら、基準スリットパタン25a,25bに形成された単スリット5の開口幅は、移動板1の主トラック20に形成された変位量検出用のスリット5に比べ広がっているので、基準位置検出精度が悪い。
【0025】
図5は、図1及び図2に示した本発明にかかる光学式エンコーダの出力波形を示す波形図である。波形Xは変位量を示す出力波形である、波形Zは基準位置を示す出力波形である。変位検出信号Xは主トラック側でスリット列とその反転実像とが周期的に重なり合う毎に現れるパルスの列からなる。受光素子の受光面積内で複数のスリットとその反転実像が同時に重なるため、変位検出信号Xのパルス振幅は、充分なレベルとなっている。一方基準位置検出信号Zは、基準位置で一方の基準スリットパタンの反転実像と、他方の基準スリットパタンとが重なった時に現れる単発のパルスからなる。本発明では、基準位置において複数のスリットとその反転実像が同時に重なるため、基準位置検出信号に含まれる単発パルスの振幅も充分なレベルとなっており、外乱ノイズの影響は受けない。しかも、基準スリットパタンを構成する各スリットの開口幅は、変位量検出用のスリットの開口幅と略同じに設定されている。したがって、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスの幅は、変位量検出信号Xに含まれるパルス列の各パルスの幅と同様にシャープである。したがって、変位量検出と同レベルの基準位置検出精度が得られる。
【0026】
図6は、図3に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力波形を示す波形図である。理解を容易にするため、図5に示した本発明の出力波形と同じ表記を採用している。変位検出信号Xに変わりはないが、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスのレベルが極端に低下している。これは基準スリットパタンが単スリットで構成されており且つその開口幅が狭い為である。基準位置において受光素子は充分な受光量が得られないため、基準位置検出信号Zの振幅が低下し、外乱ノイズの影響を強く受けるようになる。
【0027】
図7は、図4に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力波形を示している。変位量検出信号Xについては変わりないが、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスの幅が拡大している。これは、基準スリットパタンを構成する単スリットの開口幅を広げた為である。基準位置で受光素子は充分な受光量を得られるものの、パルス幅が拡大するため基準位置検出精度が悪化している。
【0028】
光学式エンコーダでは、移動板の変位量及び基準位置に加えて変位方向を検出したい場合が多い。このときには、互いに位相が90°ずれた一対のエンコーダ出力が必要になる。両出力の相対的な位相関係に従って変位方向が検出できる。図8は、変位方向の検出を可能にしたスリット構造及び受光素子構造の例を二通り示している。(a)の例では、移動板1は一定のピッチPで配列したスリット5の列に沿って一対の平行トラック21,22を有している。径方向外側のトラック21に属するスリット5の部分は、内側のトラック22に属するスリット5の部分に対し1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれている。従って、外側のトラック21でスリット5自身とスリット実像13が重なった状態にある時、内側のトラック22ではスリット5自身とスリット実像13が1/4ピッチ分だけシフトしている。これに対応して、受光素子3は外側の受光領域23と内側の受光領域24とを備えている。これにより受光素子3は位相が互いに90°ずれた一対の電気信号を出力することになり、移動板1の変位方向を検出できる。
【0029】
(b)の例では、移動板1の径方向に対して、スリット5が若干傾斜した状態で形成されており、内側のトラックに属するスリット5の部分が、外側のトラックに属するスリット5の部分に対し、1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれるようにしている。この結果、外側のトラックでスリット5自身とスリット実像13が一致した状態にある時、内側のトラックではスリット5自身とスリット実像13とが実効的に1/4ピッチだけシフトすることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる光学式エンコーダの実施形態を示す模式的な平面図である。
【図2】図1に示した光学式エンコーダの要部を示す拡大図である。
【図3】光学式エンコーダの参考例を示す模式的な平面図である。
【図4】光学式エンコーダの他の参考例を示す模式的な平面図である。
【図5】図1及び図2に示した本発明にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図6】図3に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図7】図4に示した他の参考例にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図8】本発明にかかる光学式エンコーダの他の実施形態を示す模式図である。
【図9】従来の光学式エンコーダを示す模式的な斜視図である。
【図10】図9に示した従来の光学式エンコーダの動作説明に供する模式図である。
【図11】従来の光学式エンコーダの別の例を示す模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・移動板、2・・・光源、3・・・受光素子、4・・・投影手段、5・・・スリット、20・・・主トラック、25・・・副トラック、25a・・・基準スリットパタン、25b・・・基準スリットパタン、30・・・対称面
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子(光源)と受光素子とスリットを有する移動板とからなる光学式エンコーダに関する。特に、発光素子と受光素子との間に等倍反転光学系を配して分解能を倍増した光学式エンコーダに関する。より詳しくは、かかる光学式エンコーダにおいて移動板の基準位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
等倍反転光学系を用いた光学式エンコーダは以下の特許文献1に記載がある。また、通常の光学式エンコーダの基準位置検出技術については、以下の特許文献2に記載がある。
【特許文献1】特開平10−122905号公報
【特許文献2】特開昭53−097862号公報
【0003】
図9は、特許文献1に記載された光学式エンコーダを示す模式的な斜視図である。図示するように、光学式エンコーダは移動板1とLED等の発光素子からなる光源2とフォトトランジスタアレイ等からなる受光素子3と投影手段4とを備えている。本例では移動板1は回転変位する円盤からなり、第1領域A及び第2領域Bを通過するように組み込まれている。光源2は移動板1の下面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3も移動板1の下面側で第2領域Bに対面配置している。投影手段4は移動板1の上面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在している。移動板1は第1領域A及び第2領域Bを結ぶ移動方向(この例では円盤の周方向)に沿って一定のピッチPで配列したスリット5を有する。光源2は第1領域Aを通過するスリット5を照明してスリット物像を形成する。投影手段4は第1領域Aに照し出されたスリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。受光素子3は第2領域Bを通過するスリット5をマスクとして、反対方向に移動するスリット実像を受光し、移動板1の回転変位を検出する。上述した投影手段4は等倍反転光学系であり、第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と第2領域Bに対面する結像レンズ7と、両レンズ6,7の光路を折り曲げて像回転を行なう2枚のミラーM1,M2とを含んでいる。一対のミラーM1,M2は互いに直角を成している。投影手段4は一体化プリズム8からなり、2枚のミラーM1,M2を構成する全反射面と、コリメータレンズ6が配された入射面と、結像レンズ7が配された出射面とを備えている。
【0004】
図10は、図9に示した光学式エンコーダにおける像形成の原理を説明したものである。(a)は一体化プリズム8を直上から見た平面図であり、(b)は一体化プリズム8を回転円盤の周方向から見た側面図であり、(c)は同じく一体化プリズム8を回転円盤の径方向から見た側面図である。各図に示した光線は全て子午光束である。図示するように、光源2と受光素子3は移動板1の同一面側に配され、投影手段4は移動板1の反対面側に配されている。前述したように、投影手段4は第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と第2領域Bに対面する結像レンズ7とを含み、倍率1の等倍反転光学系である。この投影手段4は一体化プリズム8からなり、コリメータレンズ6及び結像レンズ7と共に光学プラスチック等で一体成形される。コリメータレンズ6は一体化プリズム8の入射面10に配され、結像レンズ7は同じく一体化プリズム8の出射面12に配されている。
【0005】
LED等の発光素子からなる光源2は移動板1に形成されたスリット5を照射し、第1領域Aにスリット物像9を照し出す。このスリット物像9はコリメータレンズ6を介して一体化プリズム8の全反射面からなる互いに直角を成す2枚のミラーM1,M2により結像レンズ7側に転送される。この後結像レンズ7を介して第2領域B上にスリット実像13が投影される。コリメータレンズ6の光軸14aと結像レンズ7の光軸14bは一体化プリズム8を介して同軸となっており、両レンズ間に像転送用のミラーM1,M2が介在している。(c)に示すように、スリット物像9がコリメータレンズ6及び結像レンズ7により1回結像され、スリット物像13を生成している。径方向から見た場合、光源2から発した光束はミラーM1及びM2により反射されて受光素子3に達する。ミラーM1,M2の法線ベクトルはスリット移動方向(周方向)成分をもたない為、径方向から見た場合、スリット実像9は反転してスリット物像13となる。一方、(b)に示すように、周方向から見た場合、光源2から発した光束は互いに直交するミラーM1,M2により2回反射された後受光素子側に到達する。このように、スリット物像は直交する2枚のミラーM1,M2で像反転を受ける為、結果的にスリット実像は周方向から見た場合正立像となる。従って、(a)に模式的に示したように、物像Rは径方向を対称軸として等倍反転された実像に変換される。
【0006】
(c)に示すように、光源2で第1領域A上に照し出されたスリット物像9は、投影手段4を介して第2領域B上にスリット物像13として投影される。受光素子3は、移動板1に形成されたスリット5そのものをマスクとしてこのスリット実像13を受光する。この時、スリット実像13はスリット物像9に対して等倍反転されている。従って、スリット実像13は第2領域Bにおいてスリット5そのものと裏向きに重なる。又、スリット実像13の移動方向は矢印で示すようにスリット5そのものの移動方向に対し反対方向となる。従って、受光素子3に入射する光量はスリット実像13に対しスリット5自身がマスクとなる為、移動板1の回転変位に伴って周期的に増減する。しかも、スリット5のピッチPの半分でスリット5自身とスリット実像13が相対的に反対方向に動く為、結局スリットピッチの2倍の分解能のエンコーダ出力が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学式エンコーダでは、上述した移動板の変位量に加えて、その基準位置を検出したい場合が多い。図11は、基準位置検出を可能にしたスリット構成を表している。図示するように、移動板1は一定のピッチで配列したスリット5の列からなる主トラックに加え、第1領域Aと第2領域Bの距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタン25a,25bからなる副トラックを有している。これに対応して、受光素子は主トラックと副トラックに夫々割り当てられた受光領域を有し、移動板1の変位に加えその基準位置を検出する。具体的には、一対の基準スリットパタン25a,25bは各々単スリットからなり、主トラック側のスリット5の列に対し内側に配置されている。両スリットパタン25a,25bの角度間隔αは、第1領域A及び第2領域B間の角度間隔と等しい。今移動板1が時計方向に回転変位していると、一方の基準スリットパタン25aが第2領域Bに到達した時、他方のスリットパタン25bが第1領域Aに達し、その実像が第2領域Bに投影される。従って、受光素子は基準スリットパタン25bの実像が基準スリットパタン25a自身に重なった時、移動板1の基準位置を表わす検出信号を出力することになる。
【0008】
上述したように基準スリットパタン25a,25bは一般に単スリットからなり、基本的には主トラックに形成されたスリット5と同じである。基準位置の検出精度を高めるためには、基準スリットパタンの幅は細いほど良い。変位量の検出精度と同等にする為には、基準スリットパタンの幅も主トラックに形成されたスリット5の幅と同程度に狭める必要がある。しかしながら、光学式エンコーダの分解能が高くなると、必然的にスリット幅が狭くなる為、充分な受光量が得られないという課題がある。特に、基準スリットパタンは単スリットである為、主トラック側に形成されたスリット5の列に比べると受光量が極端に少なくなる。このため、受光信号(検出信号)のレベルが低くなり、外乱ノイズなどの影響を受けて基準位置の誤検出などが生じ光学式エンコーダの動作を不安定化するという課題がある。
【0009】
これに対処する為には、基準スリットパタンを構成する単スリットの幅を、主トラック側に形成されたスリットの幅に比べて広げる事が考えられる。スリット幅を広げる事で受光量が増し、この結果検出信号の振幅レベルが大きくなる為、外乱ノイズの影響を受け難くなる。しかしながら、スリット幅を拡大すると必然的に基準位置の検出精度が変位量の検出精度に比べて悪くなり装置の高性能化が阻害されるという課題がある。
【0010】
この様に等倍反転光学系を用いた従来の光学式エンコーダは、基準位置の検出安定性と基準位置の検出精度とを両立する事が難しい。この点に関し、等倍反転光学系を用いない一般的な光学式エンコーダで、基準位置の検出安定性と検出精度とを両立させる技術が特許文献2に記載されている。この光学式エンコーダは、互いに対向配置した発光素子と受光素子との間に、移動板と固定板を重ねて配置したものである。移動板には、複数のスリットからなる基準スリットパタンが形成されている。複数のスリットは不等間隔で配列されている。例えば7本のスリットが、1対2対3対5対7対10となるように配されている。固定板側にも同じ順序同じ間隔で配列された複数のスリットからなる基準スリットパタンが形成されている。移動板が丁度基準位置に達したとき、移動板側の基準スリットパタンと固定板側の基準スリットパタンは、全てのスリットが重なる。基準位置以外の移動板位置では、2本以上のスリットが同時に重なる事はない。この結果、個々のスリットの幅を狭めても、基準位置では複数のスリットが全て重なるため充分な受光量が得られ、外乱ノイズの影響を受け難くなる。一方、基準スリットパタンの各スリットの幅は、変位量を検出する為に形成する通常のスリットの幅と同程度にできる為、必要な基準位置検出精度を確保できる。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示された基準位置検出技術は、移動板と固定板を供えた一般的な光学式エンコーダに適用されるものであって、特許文献1に開示されたように固定板の代わりとして等倍反転光学系を利用した光学式エンコーダにそのまま適用できるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は等倍反転光学系を用いた光学式エンコーダにおいて、基準位置の検出安定性と検出精度とを両立させる事を目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、第1領域及び第2領域を通過する移動坂と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備え、前記移動板は、第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定ピッチで配列したスリットの列からなる主トラックと、第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有し、前記光源は、第1領域を通過するスリットの列及び基準スリットパタンを照明し、前記投影手段は等倍反転光学系からなり、該光源によって第1領域に照し出されたスリットの列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域に投影するとともに、該光源によって第1領域に照し出された一方の基準スリットパタンを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域に投影し、前記受光素子は、第2領域を通過するスリットの列をマスクとして反対方向に移動する該スリット実像の列を受光して該移動板の変位を検出するとともに、第2領域を通過する他方の基準スリットパタンをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタンの実像を受光して該移動板の基準位置を検出する光学式エンコーダにおいて、前記一対の基準スリットパタンは、各々移動方向に沿って不等ピッチで配列した複数のスリットからなり、一方の基準スリットパタンは他方の基準スリットパタンに対してあらかじめ反転した関係で配されており、該等倍反転光学系で等倍反転された該一方の基準スリットパタンの実像に含まれる全スリット実像は、該移動板が基準位置に来た時のみ、第2領域で該他方の基準スリットパタンに含まれる全スリットと重なり合うことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記基準スリットパタンを構成するため副トラックに不等ピッチで配列されたスリットは、主トラックに一定ピッチで配列したスリットと同程度のスリット開口幅を有する。又、前記等倍反転光学系は、第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう互いに直角を成す2枚のミラーとからなる。
【発明の効果】
【0014】
主トラックには移動量を検出する為のスリット列が形成されている一方、副トラックには基準位置を検出するため一対の基準スリットパタンが形成されている。各基準スリットパタンは不等ピッチで配列した複数のスリットからなる。但し、一方の基準スリットパタンは他方のスリットパタンに対して予め反転関係となるように形成されている。換言すると、一対の基準スリットパタンは、移動板の回転軸と、光源と受光素子の中間点とを通る面に対して対称に配列されている。したがって、光源によって照明された一方の基準スリットパタンの像が等倍反転光学系によって受光素子側に反転して結像される。本発明では、予め反転関係で形成された一方の基準スリットパタンが等倍反転光学系によって再度反転された後、他方の基準スリットパタンに重なる事になる。したがって、一方の基準スリットパタンの反転像は基準位置において他方の基準スリットパタンと一致し、不等ピッチで配列した全てのスリットが重なる。これにより、基準位置では充分な受光量が得られる。一方、移動板の回転により基準位置からずれた場合、不等ピッチで配列されているため2つ以上のスリットが同時に重なる事はない。したがって、基準位置では受光信号を波形成形して検出信号を得る上で充分な振幅が得られる。一方、基準スリットパタンの個々のスリット幅は、主トラックに形成されたスリットの幅と同程度に形成できるので、必要な基準位置精度を得る事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる光学式エンコーダの実施形態を示す模式的な平面図である。図示するように、本光学式エンコーダは、移動板1と光源2と受光素子3と投影手段4とを備える。移動板1は回転軸を中心として回転し、第1領域A及び第2領域Bを通過する。光源2は移動板1の下面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3も移動板1の下面側で第2領域Bに対面配置している。投影手段4は、移動板1の上面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在する。
【0016】
移動板1は同心状に主トラック20と副トラック25を備えている。主トラック20には、第1領域A及び第2領域Bを結ぶ移動方向(円周方向)に沿って一定ピッチで配列したスリット5の列が形成されている。副トラック25には、第1領域Aと第2領域Bの距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタン25a,25bが形成されている。光源2は、第1領域Aを通過するスリット5の列及び基準スリットパタン25a,25bを照明する。投影手段4は等倍反転光学系からなり、光源2によって第1領域Aに映し出されたスリット5の列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域Bに投影すると共に、光源2によって第1領域Aに映し出された一方の基準スリットパタン25aを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。
【0017】
受光素子3は、第2領域Bを通過する主トラック20のスリット5の列をマスクとして反対方向に移動するスリット5の実像の列を受光して移動板1の変位を検出すると共に、第2領域Bを通過する他方の基準スリットパタン25bをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタン25aの実像を受光して移動板1の基準位置を検出する。
【0018】
本発明の特徴事項として、一対の基準スリットパタン25a,25bは、各々移動方向(円周方向)に沿って不等ピッチで配列した複数のスリット5からなり、一方の基準スリットパタン25aは他方の基準スリットパタン25bに対して予め反転した関係で配されている。等倍反転光学系で等倍反転された一方の基準スリットパタン25aの実像に含まれる全スリット実像は、移動板1が基準位置に来た時のみ、第2領域Bで他方の基準スリットパタン25bに含まれる全スリット5と重なりあう。好ましくは、基準スリットパタン25a,25bを構成するため副トラック25に不等ピッチで配列されたスリット5は、主トラック20に一定ピッチで配列したスリット5と同程度のスリット開口幅を有する。なお、投影手段4を構成する等倍反転光学系は、例えば図9に示した構成を採用する事ができる。即ち、投影手段4は、第1領域Aに対面するコリメータレンズと、第2領域Bに対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行う互いに直角を成す2枚のミラーとからなる。但し、本発明はこれに限られるものではなく、他の構成の等倍反転光学系を採用する事ができる。
【0019】
以上の説明から明らかなように、一対の基準スリットパタン25a,25bが周方向に離間して移動板1の副トラック25に配されている。一方の基準スリットパタン25aが光源2の光軸上にあるとき他方の基準スリットパタン25bは受光素子3の中心に位置する。各基準スリットパタン25a,25bは、各々複数本のスリット5のセットからなる。基準スリットパタン25a,25bに含まれる各スリット5は、移動板1の周トラック20に等ピッチで刻まれた変位量検出用のスリット5の幅と同程度の開口幅を有する。本実施形態では各基準スリットパタンは4本のスリット5からなり、不等ピッチ例えば1対1.5対2の間隔で配されている。一対の基準スリットパタン25a,25bに配された不等ピッチスリット5のレイアウトは、移動板1の回転軸と、光源2と受光素子3の中間点とを通る対称面30に対して対称となっており、投影手段4から得られた不等ピッチスリットの像がもう一方の不等ピッチスリットと受光素子3上で重なる。その重なりは、移動板1が丁度基準位置に来たとき複数本のスリット全てが重なるが、基準位置からずれた別の位置では2本以上のスリットが重なる事はない。
【0020】
図2の(A)は、一方の基準スリットパタン25aの拡大図である。図示するように、基準スリットパタン25aは複数のスリット5が異なるピッチP1,P2,P3で放射状に反時計回りの順に並んでいる。
【0021】
図2の(B)は他方の基準スリットパタン25bの拡大図である。複数のスリット5が基準スリットパタン25aと同様に異なるピッチP1,P2,P3で放射状に並んでいる。但し順序は基準スリットパタン25aと逆に時計回りとなっている。
【0022】
前述したように、本発明ではレンズ及び反射面からなる等倍反転光学系により、基準スリットパタン25aの像を等倍且つ反転させて基準スリットパタン25bと重なるように結像させる。このため、基準スリットパタン25aは基準スリットパタン25bに対して予め反転関係となるように形成されている。この反転基準面は、図1に示したように移動板1の回転軸と、光源2と受光素子3の中間点とを通る対称面30である。異なるピッチP1,P2,P3は、例えば1対1.5対2とする。また、スリット5の開口幅は最小ピッチP1の0.5倍とする。但し、不等ピッチの設定は図示の例に限られるものではない。一般に、基準位置以外において一対の基準スリットパタン25a,25b間で2つ以上のスリットが重ならないようにする為には、スリットの間隔をその幅以上に設定し且つ不等ピッチで配列する必要がある。スリット間隔の比率は、例えば1対2対3対5対7対10とする事もできる。図2の(A)及び(B)に示したとおり、一対の基準スリットパタン25a及び25bが、移動板の回転軸と、光源と受光素子の中間点とを通る面に対して対称に並んでいる。したがって、光源に照らされた基準スリットパタン25aの像が投影手段によって受光素子側に反転して結像されると、基準スリットパタン25aの反転像と基準スリットパタン25bのスリットが互いに重なり、受光素子3に光信号が到達する。反転像とスリットとは基準位置では全てが重なるが、移動板1の回転により基準位置からずれた場合、2つ以上のスリット5が同時に重なる事はない。したがって、基準位置でのみ波形整形する上で充分な振幅があり且つ幅の狭い基準パルス信号が得られ、基準位置検出精度が向上する。
【0023】
図3は、基準スリットパタンの参考例を示す拡大図である。理解を容易にするため、図2に示した本発明の基準スリットパタンと対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示の参考例は、一対の基準スリットパタン25a,25bとして、それぞれ単独のスリット(単スリット)5を用いている。しかも、単スリット5の開口幅は、主トラック20に形成された変位量検出用のスリット5の開口幅と等しくなっている。この結果、基準位置の検出精度は変位量の検出精度と同レベルが得られるが、基準位置検出用の受光量が非常に少なくなる。したがって、このままでは外乱ノイズなどの影響を強く受けるため、安定した基準位置の検出ができない。
【0024】
図4は基準スリットパタンの他の参考例を示す拡大図である。理解を容易にするため、図2に示した本発明の基準スリットパタンと対応する部分には対応する参照番号を付してある。本参考例は、基準スリットパタン25a,25bがいずれも単スリット5で形成されているが、受光量を増やす為その開口幅が拡大されている。この結果、基準位置における受光信号の振幅レベルが増大し、外乱ノイズに強い構成である。しかしながら、基準スリットパタン25a,25bに形成された単スリット5の開口幅は、移動板1の主トラック20に形成された変位量検出用のスリット5に比べ広がっているので、基準位置検出精度が悪い。
【0025】
図5は、図1及び図2に示した本発明にかかる光学式エンコーダの出力波形を示す波形図である。波形Xは変位量を示す出力波形である、波形Zは基準位置を示す出力波形である。変位検出信号Xは主トラック側でスリット列とその反転実像とが周期的に重なり合う毎に現れるパルスの列からなる。受光素子の受光面積内で複数のスリットとその反転実像が同時に重なるため、変位検出信号Xのパルス振幅は、充分なレベルとなっている。一方基準位置検出信号Zは、基準位置で一方の基準スリットパタンの反転実像と、他方の基準スリットパタンとが重なった時に現れる単発のパルスからなる。本発明では、基準位置において複数のスリットとその反転実像が同時に重なるため、基準位置検出信号に含まれる単発パルスの振幅も充分なレベルとなっており、外乱ノイズの影響は受けない。しかも、基準スリットパタンを構成する各スリットの開口幅は、変位量検出用のスリットの開口幅と略同じに設定されている。したがって、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスの幅は、変位量検出信号Xに含まれるパルス列の各パルスの幅と同様にシャープである。したがって、変位量検出と同レベルの基準位置検出精度が得られる。
【0026】
図6は、図3に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力波形を示す波形図である。理解を容易にするため、図5に示した本発明の出力波形と同じ表記を採用している。変位検出信号Xに変わりはないが、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスのレベルが極端に低下している。これは基準スリットパタンが単スリットで構成されており且つその開口幅が狭い為である。基準位置において受光素子は充分な受光量が得られないため、基準位置検出信号Zの振幅が低下し、外乱ノイズの影響を強く受けるようになる。
【0027】
図7は、図4に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力波形を示している。変位量検出信号Xについては変わりないが、基準位置検出信号Zに含まれる単発パルスの幅が拡大している。これは、基準スリットパタンを構成する単スリットの開口幅を広げた為である。基準位置で受光素子は充分な受光量を得られるものの、パルス幅が拡大するため基準位置検出精度が悪化している。
【0028】
光学式エンコーダでは、移動板の変位量及び基準位置に加えて変位方向を検出したい場合が多い。このときには、互いに位相が90°ずれた一対のエンコーダ出力が必要になる。両出力の相対的な位相関係に従って変位方向が検出できる。図8は、変位方向の検出を可能にしたスリット構造及び受光素子構造の例を二通り示している。(a)の例では、移動板1は一定のピッチPで配列したスリット5の列に沿って一対の平行トラック21,22を有している。径方向外側のトラック21に属するスリット5の部分は、内側のトラック22に属するスリット5の部分に対し1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれている。従って、外側のトラック21でスリット5自身とスリット実像13が重なった状態にある時、内側のトラック22ではスリット5自身とスリット実像13が1/4ピッチ分だけシフトしている。これに対応して、受光素子3は外側の受光領域23と内側の受光領域24とを備えている。これにより受光素子3は位相が互いに90°ずれた一対の電気信号を出力することになり、移動板1の変位方向を検出できる。
【0029】
(b)の例では、移動板1の径方向に対して、スリット5が若干傾斜した状態で形成されており、内側のトラックに属するスリット5の部分が、外側のトラックに属するスリット5の部分に対し、1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれるようにしている。この結果、外側のトラックでスリット5自身とスリット実像13が一致した状態にある時、内側のトラックではスリット5自身とスリット実像13とが実効的に1/4ピッチだけシフトすることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる光学式エンコーダの実施形態を示す模式的な平面図である。
【図2】図1に示した光学式エンコーダの要部を示す拡大図である。
【図3】光学式エンコーダの参考例を示す模式的な平面図である。
【図4】光学式エンコーダの他の参考例を示す模式的な平面図である。
【図5】図1及び図2に示した本発明にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図6】図3に示した参考例にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図7】図4に示した他の参考例にかかる光学式エンコーダの出力信号を示す波形図である。
【図8】本発明にかかる光学式エンコーダの他の実施形態を示す模式図である。
【図9】従来の光学式エンコーダを示す模式的な斜視図である。
【図10】図9に示した従来の光学式エンコーダの動作説明に供する模式図である。
【図11】従来の光学式エンコーダの別の例を示す模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・移動板、2・・・光源、3・・・受光素子、4・・・投影手段、5・・・スリット、20・・・主トラック、25・・・副トラック、25a・・・基準スリットパタン、25b・・・基準スリットパタン、30・・・対称面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を通過する移動坂と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備え、
前記移動板は、第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定ピッチで配列したスリットの列からなる主トラックと、第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有し、
前記光源は、第1領域を通過するスリットの列及び基準スリットパタンを照明し、
前記投影手段は等倍反転光学系からなり、該光源によって第1領域に照し出されたスリットの列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域に投影するとともに、該光源によって第1領域に照し出された一方の基準スリットパタンを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域に投影し、
前記受光素子は、第2領域を通過するスリットの列をマスクとして反対方向に移動する該スリット実像の列を受光して該移動板の変位を検出するとともに、第2領域を通過する他方の基準スリットパタンをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタンの実像を受光して該移動板の基準位置を検出する光学式エンコーダにおいて、
前記一対の基準スリットパタンは、各々移動方向に沿って不等ピッチで配列した複数のスリットからなり、一方の基準スリットパタンは他方の基準スリットパタンに対してあらかじめ反転した関係で配されており、
該等倍反転光学系で等倍反転された該一方の基準スリットパタンの実像に含まれる全スリット実像は、該移動板が基準位置に来た時のみ、第2領域で該他方の基準スリットパタンに含まれる全スリットと重なり合うことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項2】
前記基準スリットパタンを構成するため副トラックに不等ピッチで配列されたスリットは、主トラックに一定ピッチで配列したスリットと同程度のスリット開口幅を有することを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
【請求項3】
前記等倍反転光学系は、第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう互いに直角を成す2枚のミラーとからなることを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
【請求項1】
第1領域及び第2領域を通過する移動坂と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備え、
前記移動板は、第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定ピッチで配列したスリットの列からなる主トラックと、第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有し、
前記光源は、第1領域を通過するスリットの列及び基準スリットパタンを照明し、
前記投影手段は等倍反転光学系からなり、該光源によって第1領域に照し出されたスリットの列を反転したスリット実像の列に等倍変換して第2領域に投影するとともに、該光源によって第1領域に照し出された一方の基準スリットパタンを反転した基準スリットパタンの実像に等倍変換して第2領域に投影し、
前記受光素子は、第2領域を通過するスリットの列をマスクとして反対方向に移動する該スリット実像の列を受光して該移動板の変位を検出するとともに、第2領域を通過する他方の基準スリットパタンをマスクとして反対方向に移動する一方の基準スリットパタンの実像を受光して該移動板の基準位置を検出する光学式エンコーダにおいて、
前記一対の基準スリットパタンは、各々移動方向に沿って不等ピッチで配列した複数のスリットからなり、一方の基準スリットパタンは他方の基準スリットパタンに対してあらかじめ反転した関係で配されており、
該等倍反転光学系で等倍反転された該一方の基準スリットパタンの実像に含まれる全スリット実像は、該移動板が基準位置に来た時のみ、第2領域で該他方の基準スリットパタンに含まれる全スリットと重なり合うことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項2】
前記基準スリットパタンを構成するため副トラックに不等ピッチで配列されたスリットは、主トラックに一定ピッチで配列したスリットと同程度のスリット開口幅を有することを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
【請求項3】
前記等倍反転光学系は、第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう互いに直角を成す2枚のミラーとからなることを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−153597(P2006−153597A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343153(P2004−343153)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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