説明

光学部品の位置決め装置

【課題】 光学部品のハンドリングと位置決めとを高精度に実現することができる光学部品の位置決め装置を提供すること。
【解決手段】 光学部品の位置決め装置1は、軸方向に延びて配されたハンド本体3と、レンズ2を吸着する透明で筒形状の吸着部材5と、レンズ2を保持させるために供給される吸引力を吸着部材5に伝達する吸引流路6と、吸着部材5及び吸引流路6とを介して吸着されるレンズ2と対向してハンド本体3の反対側に配された透明部材7とを有するハンド(搬送部)8と、透明部材7及び吸引流路6を介してレンズ2を照射するように配された照明部10と、照明部10と対向して配された第一画像処理用カメラ(観察部)11と、第一画像処理用カメラ11の観察結果に基づいて吸着部材5に保持されたレンズ2を所定の位置に位置決めする位置決め部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品を精度良くハンドリングして位置決めする光学部品の位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学部品をハンドリングして位置決めする光学部品の位置決め装置としてチャック装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図5に示すように、このようなチャック装置でレンズのような光学部品をハンドで搬送して所定位置に位置決めする場合、チャック装置に係るハンド101は、吸着によりレンズ102を当接させる凹テーパ部105と、凹テーパ部105に当接したレンズ102の位置に対応する基準孔104と、レンズ102を凹テーパ部105に保持させるために基準孔104を吸引流路107の一部を介して観察する透明部材108とから構成されている。
【0003】
位置決めする際には、ハンド101の凹テーパ部105にレンズ102を当接させて位置出しし、吸引流路107によりレンズ102を吸引して凹テーパ部105にレンズ102を保持して搬送する。このとき、レンズ102の位置に対応する基準孔104を吸引流路の一部及び透明部材108を介して観察して位置決め精度を確認し、位置ズレがある場合には、位置ズレ量に基づいてレンズ102のハンドリングと位置決めとを行う。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の位置決め装置の場合、凹テーパ部105にレンズ部品102を当接させて位置出しし、レンズ102の位置に対応する基準孔104を吸引流路107の一部及び透明部材108を介して観察して位置決め精度を確認するため、レンズ102の形状、姿勢のばらつきが位置決め精度に大きく影響する。
【0005】
また、レンズ102等の光学部品を吸着対象物として、これを光硬化型接着剤で被接合体に接合する場合、ハンドリングして位置決め調整した後では基準孔104を通る光しか接着面に照射されないので、光硬化型接着剤を十分に硬化させるのが困難である。
【特許文献1】特開2001−246583号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、光学部品のハンドリングと位置決めとを高精度に実現することができる光学部品の位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る光学部品の位置決め装置は、光学部品を搬送して所定の位置に位置決めする光学部品の位置決め装置であって、前記光学部品を吸着する透明で筒形状の吸着部材と、前記光学部品を保持させるために供給される吸引力を前記吸着部材に伝達する吸引流路と、前記吸着部材及び前記吸引流路とを介して吸着される前記光学部品と対向して配された透明部材とを有する搬送部と、前記透明部材及び前記吸引流路を介して前記光学部品を照射するように配された照明部と、該照明部と対向して配された観察部と、該観察部の観察結果に基づいて前記吸着部材に保持された前記光学部品を所定の位置に位置決めする位置決め部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この光学部品の位置決め装置は、透明部材を介して光学部品を照明することができるので、観察部によって光学部品全体を観察することができ、その観察結果に基づき位置決め部によって光学部品を精度よく位置決めすることができる。また、光学部品の透過光を使用しているので、光学部品に反射防止膜が塗布されていても光学部品を鮮明に観察することができる。
【0009】
また、本発明に係る光学部品の位置決め装置は、前記光学部品の位置決め装置であって、前記吸着部が、前記光学部品の外径よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0010】
この光学部品の位置決め装置は、光学部品を光硬化型接着剤で被接合体に接合する場合、光学部品よりも大きい透過光を吸着部に透過させることができ、光を接着面全体に照射して光硬化型接着剤を好適に硬化させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学部品形状、姿勢がばらついても高精度な位置決めを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る光学部品の位置決め装置1は、レンズ(光学部品)2を搬送して所定の位置に位置決めする光学部品の位置決め装置であって、軸方向に延びて配されたハンド本体3と、レンズ2を吸着する透明で筒形状の吸着部材5と、レンズ2を保持させるために供給される吸引力を吸着部材5に伝達する吸引流路6と、吸着部材5及び吸引流路6とを介して吸着されるレンズ2と対向してハンド本体3の反対側に配された透明部材7とを有するハンド(搬送部)8と、透明部材7及び吸引流路6を介して吸着されたレンズ2を照射するように配された照明部10と、照明部10と対向して配された第一画像処理用カメラ(観察部)11と、第一画像処理用カメラ11の観察結果に基づいて吸着部材5に保持されたレンズ2を所定の位置に位置決めする位置決め部12とを備えている。
【0013】
吸引流路6はハンド本体3内に形成されており、先端側が、ハンド本体3先端側の下端側部8bに開口してハンド本体3の軸線方向に延びている。基端側は位置決め装置外部で図示しない真空ポンプに連結されて吸引流路6内の空気が吸引可能とされている。
【0014】
吸着部材5は、ガラスやアクリル等から構成されてハンド本体3の先端側に配され、レンズ2の外形よりも大きい外径とされ、かつ、中心部に吸引流路6の先端と流通可能な小径の貫通孔5aが穿設されている。吸引流路6は貫通孔5aを介して外部と挿通されている。
【0015】
透明部材7は、ガラスやアクリル等から構成されており、吸着部材5の外形よりも大きい外径の板部材とされ、ハンド本体3の上端側部8aに配されて、外部から吸引流路6内に空気が進入しないように密封固定されている。
【0016】
照明部10は、ハンド8がレンズ2を吸着して、被接合体であるCCD13の配設位置まで搬送する経路上で、かつ、ハンド本体3の上方位置に、透明部材7、吸引流路6及び吸着部材5を介して軸線Cに沿ってレンズ2を照射するように配されている。
【0017】
第一画像処理用カメラ11は、ハンド本体3を挟んで照明部10と対向して配されており、ハンド8に吸着されたレンズ2の画像を下方側から取り込み可能とされている。
この第一画像処理用カメラ11は、CCD13の基準位置に対するレンズ2の位置ズレ量を演算する画像処理装置14を介してハンド8を移動させる移動手段15と接続されている。
【0018】
図3に示すように、CCD13はワーク台16に載置されている。ワーク台16の近傍には、CCD13上に図示しない紫外線硬化型接着剤を供給する図示しないディスペンサが進退可能に配されている。
【0019】
一方、ハンド8の上方位置、即ち、ワーク台16の上方位置には、CCD13の画像を上方から取り込みできる第二画像処理用カメラ(観察部)17が配されている。この第二画像処理用カメラ17は、画像処理装置14に接続されている。
位置決め部12は、上述した第二画像処理用カメラ17、画像処理装置14及び移動手段15とを備えている。
【0020】
ハンド8と第二画像処理用カメラ17との間には、レンズ2とCCD13とを紫外線硬化型接着剤を用いて接着する際に紫外線を照射する紫外線照射装置18が、ハンド8の軸線方向に移動可能に配されている。
【0021】
次に、本実施形態に係る光学部品の位置決め装置1を用いてレンズ2をCCD13に対して位置決めして接着する方法、及び作用・効果について説明する。
まず、CCD13をワーク台16に載置してから、CCD13の上面の画像を第二画像処理用カメラ17で取り込み、そのときのCCD13の位置を基準位置として予め画像処理装置14で認識させておく。
【0022】
このとき、ハンド8は、第二画像処理用カメラ17による画像の取り込みの邪魔にならないように、移動手段15によって第二画像処理用カメラ17とワーク台16との間から退避されている。そして、図示しないディスペンサによってCCD13上の接合面である上面に紫外線硬化型接着剤を塗布する。
【0023】
次に、搬送するレンズ2が収納されている図示しないレンズストッカに向けてハンド8を移動手段15によって移動する。搬送すべきレンズ2の上でハンドを停止し、ハンド8を下降してレンズ2上に当接し、図示しない真空ポンプによってハンド8に配された吸着部材5及び吸引流路6内の空気を吸引し、レンズ2を吸着部材5に吸着保持する。
その後、ハンド8を上昇して、図2に示すように、レンズ2を移動手段15によって第一画像処理用カメラ11の上に移動する。
【0024】
続いて、レンズ2をハンド8に保持したままの状態で、照明部10によって透明部材7、吸引流路6及び吸着部材5を介してレンズ2を照射し、第一画像処理用カメラ11によってレンズ2の画像を取り込み、レンズ2の位置を画像処理装置14にて認識させておく。
そして、レンズ2の位置と予め認識させておいたCCD13の基準位置との位置ズレ量を画像処理装置14で演算する。
【0025】
画像処理装置14が、位置ズレ量に基づいた信号を移動手段15に向かって出力すると、移動手段は位置ズレ量に基づいた信号に応じて駆動して、位置ズレ量分だけハンド8をハンド本体3の軸線方向に水平に移動させる。
【0026】
こうして、ハンド8に吸着保持されているレンズ2の水平方向の位置調整が行われ、ハンド8がワーク台16上に載置されたCCD13側に移動し、CCD13の上方で停止した後に下降して、CCD13上の所定の位置に位置決めされる。
【0027】
その後、紫外線照射装置18を前進させてハンド8上に位置させる。そして、ハンド8でレンズ2を位置決めした状態のままで紫外線照射装置18から紫外線を出射し、透明部材7、吸引流路6及び吸着部材5を経由してレンズ2とCCD13との間に介在している紫外線硬化型接着剤を照射して硬化させる。
【0028】
この光学部品の位置決め装置1によれば、吸引流路6によってレンズ2を吸引して吸着部材5にレンズ2を保持して搬送し、レンズ2を透明部材7、吸引流路6及び吸着部材5を介して照明し、レンズ2の位置を観察して位置決め精度を確認し、位置ズレがある場合には、位置ズレ量に基づいてレンズ2の位置を修正しているので、レンズの形状、姿勢によらずに高精度な位置決めを実現することができる。
【0029】
また、透明部材7、吸引流路6及び吸着部材5を介して透過光をレンズ2に照射しているので、レンズ表面に反射防止膜が塗られていても第一画像処理用カメラ11及び第二画像処理用カメラ17によってレンズ2を鮮明に観察することができる。
【0030】
さらに、レンズ2の外径よりも大きい透明部材7及び吸着部材5を介して透過光を照射することができ、紫外線照射装置18から照射された光を接着面全体に照射して光硬化型接着剤を硬化させることができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について図4を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る光学部品の位置決め装置20のハンド21に、レンズ2の外周面を横把持する開閉自在な把持爪22を有するアクチュエータ23が、吸着部材5の外側の軸線Cに沿う位置に配されているとした点である。
【0032】
レンズ2とCCD13とを接着する場合には、上記第1の実施形態と同様の方法によって行う。このとき、レンズ2を吸着部材5に吸着保持後、把持爪22を閉じてレンズ2の外周面を保持するので、レンズ2の中心軸線と吸着部材5の中心軸線とをより容易に一致させることができる。
従って、この光学部品の位置決め装置20によれば、第1の実施形態と同様の作用・効果を奏することができるとともに、レンズ2をより高精度に位置決めすることができる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
例えば、本発明はレンズ2とCCD13との位置決めに使用しているが、これに限らず、光学部品同士であれば、例えば、レンズ同士の接合の際の位置決めに使用しても構わない。
また、レンズ以外の光学部品を搬送して所定位置に位置決めする際に使用しても構わない。
さらに、光学部品の形状は円形に限らず、角形であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品の位置決め装置と平面上に載置された光学部品とを示す構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学部品の位置決め装置にて光学部品を吸着した状態を示す構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光学部品の位置決め装置を用いて光学部品と被接着物とを接着させる状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光学部品の位置決め装置にて光学部品を吸着した状態を示す構成図である。
【図5】従来の光学部品の位置決め装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1、20 光学部品の位置決め装置
2 レンズ(光学部品)
5 吸着部材
6 吸引流路
7 透明部材
8、21 ハンド(搬送部)
10 照明部
11 第一画像処理用カメラ(観察部)
12 位置決め部
17 第二画像処理用カメラ(観察部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を搬送して所定の位置に位置決めする光学部品の位置決め装置であって、
前記光学部品を吸着する透明で筒形状の吸着部材と、前記光学部品を保持させるために供給される吸引力を前記吸着部材に伝達する吸引流路と、前記吸着部材及び前記吸引流路とを介して吸着される前記光学部品と対向して配された透明部材とを有する搬送部と、
前記透明部材及び前記吸引流路を介して前記光学部品を照射するように配された照明部と、
該照明部と対向して配された観察部と、
該観察部の観察結果に基づいて前記吸着部材に保持された前記光学部品を所定の位置に位置決めする位置決め部とを備えていることを特徴とする光学部品の位置決め装置。
【請求項2】
前記吸着部材が、前記光学部品の外径よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の位置決め装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−133662(P2006−133662A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325024(P2004−325024)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】