説明

光書込み装置および画像形成装置

【課題】特別な機器を使用せずに、作業者が同期検知センサおよび光ビームの入射状態を容易かつ確実に判断でき、同期検知センサと光ビームの入射の調整,修理を容易にし、作業性の向上を図る。
【解決手段】回路基板23を光透過性部材から形成し、回路基板23における同期検知センサ15の実装面とは反対側に、表示部として印刷部28,29を設ける。これにより、同期検知センサ15の実装側あるいはレーザビームの走査側でなく、その反対側の回路基板23の裏面から、レーザビームが同期検知センサ15を通過している位置、および同期検知センサ15の位置を容易に把握することができ、カラー機などの複数の同期検知センサ15を有する光書込みユニットであっても、簡単に不具合箇所を特定することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,像担持体に対する主走査方向の光ビーム書出開始位置を検知する同期検知センサと、該同期検知センサを設置する回路基板とを備えた光書込み装置、および、この光書込み装置を搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像形成装置としては、半導体レーザなどのレーザ光源から出射されたレーザ光を利用して画像形成する電子写真方式の画像形成装置が主流となっている。このような画像形成装置は、さらなる高速化,高画質化の要求が高まっており、またモノクロ機からカラー機に移行しようとしている。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置において、潜像を形成する感光体への画像書き出し位置、すなわち、感光体に対するレーザビームの照射開始位置の制御を同期検知信号に基づいて行っており、画像の高精細化を実現させるためには、感光体への画像書出し位置を決定する前記同期信号を作成する部分が非常に重要になってくる。
【0004】
モノクロ機の場合、この検出タイミングに乱れが生じると、記録紙に出力される画像の各ラインごとに書き出し位置が乱れ、縦線揺らぎという画像品質において重要な不具合が生じる。
【0005】
カラー機のように各色ごとに同期検知センサがあり、かつ書き出し、および書き終わり位置において同期信号を検知する構造であると(引用文献1参照)、8つの同期検知手段が必要となる。そして各色の同期センサ検出タイミングがずれると、モノクロ機と同様に書き出し位置がずれることにより、色の重ね合わせがうまくいかずに、ブレたような画像が生じる。
【0006】
また、書き終わり位置で同期センサ検出タイミングがずれると、レーザ書込み幅と画像との長さを一致させる制御ができなくなり、例えば色が合っていないような画像が形成される。
【0007】
カラー機においても装置本体のダウンサイジング化が進んでおり、光学ユニットの小型化が期待され、同期検知センサにレーザ光を入射させるまでに複数の折返しミラーを使用することが多くなっている。折返しミラーには、普通用いられる長尺のミラーのほかに、同期検知専用の小さなミラーが用いられている。
【0008】
折返しミラーが多くなると、ハウジングの公差あるいはミラーの厚さなどにより、レーザ光の向きが微妙に変化して、同期検知センサの狭い幅の受光部にレーザビームが入光しないことが多々発生している。最近では、副走査方向の位置を補正するために、同期検知センサ前にシリンドリカルレンズを設置して、より受光部に入光しやすいように工夫がなされている。
【特許文献1】特開2002−372676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来技術にあっては、ミラーのセットミスあるいはハウジングなどの固定部材が変形することなどによって、レーザビームの位置が設定した光路を辿らないという不具合が生じることがある。
【0010】
センサ前に設置されたシリンドリカルレンズを介しても、同期検知センサにレーザビームが適正に入射しない場合には、シリンドリカルレンズ側から見ても光路の確認,修正が困難である。さらに、レーザビームが同期検知センサにおける受光幅の狭い受光部に入光しない場合には、そのレーザビームにおける走査位置の確認がより一層難しくなる。
【0011】
また、回路基板における同期検知センサ装着面とは逆の面から見ても、同期検知センサの位置を判別することができず、レーザビームが受光部に入光しているか否かを確認するのが困難である。このため、オシロスコープなどの装置がないと、受光部にレーザビームが入っているか否か分らず、修理,調整を行うことができない。
【0012】
同期検知不良に対する修理などの際に、同期検知センサに対する入射位置が外れたレーザビームが、どの方向から走査されるか分らないため、作業時に、例えば目に直接入るおそれがあり、危険である。
【0013】
同期検知センサを保持する回路基板がホルダを介してハウジングにセットされている場合、一般的に、同期検知ユニット(回路基板+ホルダ(+シリンドリカルレンズ))は、ハウジングの両端部にレイアウトされることが多い。また、書込みユニットの小型化により、ハウジングが小さくなり、同期検知ユニットとハウジングとの側壁間の隙間が小さくなっているのが現状である。
【0014】
そのため、作業者は、回路基板における同期検知センサの装着面と逆の面を斜め上から見る格好になり、レーザビームの副走査位置が判別しにくくなっている。
【0015】
同期検知基板がホルダを介して、あるいは、直接、ハウジングに取り付けられる際、同期検知センサはフレア光による誤検知を避けるため、一段と奥まった部位に設置されるか、あるいは周囲に壁を立てたりしているため、確認しづらい構造になっており、さらに、シリンドリカルレンズが設置されると、シリンドリカルレンズ側から全く受光部を確認することができない。
【0016】
また、光書込みユニットは、トナーなどの塵芥の侵入を避けるために、カバーなどを設置しているものが多い。そのため、同期検知不良が一度発生すると、カバーの着脱を余儀なくされる。例えば、カラー機において複数の同期検知不良が発生していると、一回修理作業で修理が終了しないと、何回もカバーの着脱が必要になり、その度にゴミが侵入し、レンズ,ミラーなどの光学素子に付着して、これが原因して形成画像にて白スジを発生させることが考えられる。
【0017】
そのためカバーに通孔を穿設すれば、同期検知センサへの入光状況を確認することができるが、通孔からゴミが侵入するおそれがある。これに対応するため、シール部材などにより通孔を覆えばよいが、修理ごとにシール部材を貼らなければならず、不経済であり、かつ貼り忘れの心配もある。
【0018】
本発明は、前記従来の課題を解決し、特別な機器を使用せずに、作業者が同期検知センサおよび光ビームの入射状態を容易かつ確実に判断でき、同期検知センサと光ビームの入射の修理,調整を容易にし、作業性の向上を図ることができるようにした光書込み装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、光源と、該光源から出射される光ビームを偏向させる回転多面鏡と、該回転多面鏡で偏向された前記光ビームを像担持体上に集光させ静電潜像を形成する走査光学系と、前記回転多面鏡で偏向された光ビームの一部を受光して、前記像担持体における主走査方向の書出開始位置を検知する同期検知センサと、該同期検知センサが設置される回路基板とを備えた光書込み装置において、前記回路基板を光透過性部材にて形成し、かつ該回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面に、前記同期検知センサの位置を示す表示部を設けたことを特徴とし、この構成によって、光ビームが同期検知センサを通過している位置、および同期検知センサの位置が回路基板における検知センサ装着面とは反対面から容易に把握できることになり、カラー機などの複数の同期検知センサを有する光書込みユニットであっても、簡単に不具合箇所を特定することができる。また修理,調整についても、回路基板を取り付けているホルダからシリンドリカルレンズなどの部品を外さなくてもよくなり、さらに作業者は回路基板を介してレーザビームなどの光ビームを目視することができるため安全であり、目視にて光ビームの位置を確認することができることから、オシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことができ、修理,調整のための作業時間を短縮することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光書込み装置において、回路基板における同期検知センサの設置面とは反対面に、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲を示す表示部を設けたことを特徴とし、この構成によって、回路基板における検知センサ装着面とは反対面から、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲が分るため、表示部を参照して、さらに簡単かつ確実に不具合を特定することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の光書込み装置において、回路基板における同期検知センサの設置面とは反対面に、光ビームの走査方向を示す表示部を設けたことを特徴とし、この構成によって、回路基板における検知センサ装着面とは反対面から、光ビームの走査方向が分るため、表示部を参照して、さらに簡単かつ確実に不具合を特定することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の光書込み装置において、表示部として、同期検知センサ近傍の回路基板に貫通孔を設けたことを特徴とし、この構成によって、回路基板の余剰のスペースを利用して表示部とすることが可能になる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の光書込み装置において、貫通孔を電気部品挿入用の通孔として用いることを特徴とし、この構成によって、回路基板に電気部品装着に関与しない不要な孔を設ける必要がなくなり、回路の配線構成が簡単かつ容易になる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の光書込み装置において、回路基板を固定する固定部材に、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲を示す表示部を設けたことを特徴とし、この構成によって、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲を固定部材の表示部により把握できるため、カラー機などの複数の同期検知センサを有する光書込みユニットであっても、表示部を参照して容易かつ簡単に不具合箇所を特定することができ、オシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことができるため、修理のための作業時間を短縮することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、入射する光ビームにおける副走査方向を補正するために、同期検知センサの前方に設置されたシリンドリカルレンズ、あるいは該シリンドリカルレンズの周囲の部材に、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲に入射する光ビームの位置を示す表示部を設けたことを特徴とし、この構成によって、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲をシリンドリカルレンズの表示部により把握できるため、カラー機などの複数の同期検知センサを有する光書込みユニットであっても、表示部を参照して容易かつ簡単に不具合箇所を特定することができ、オシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことができる。また修理,調整をシリンドリカルレンズ側から行うことができるなど、修理,調整のための作業時間を短縮することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1,2,3,6または7記載の光書込み装置において、表示部を凹部にて形成したことを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1,2,3,6または7いずれか1項記載の光書込み装置において、表示部を印刷にて形成したことを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項1,2,3,6または7記載の光書込み装置において、表示部をシール部材を貼付して形成したことを特徴とする。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項6記載の光書込み装置において、表示部を固定部材と一体形成したことを特徴とする。
【0030】
請求項12に記載の発明は、請求項7記載の光書込み装置において、表示部をシリンドリカルレンズあるいは該シリンドリカルレンズの周囲の部材と一体形成したことを特徴とする。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項1記載の光書込み装置において、少なくとも回路基板と同期検知センサとを同期検知センサユニットとして一体にして装置本体のハウジングに設置したことを特徴とし、この構成によって、回路基板と同期検知センサとにおけるハウジング(シャーシやカバー枠など)の所定部位に対する組み付けを、容易に行うことができる。
【0032】
請求項14に記載の発明は、請求項13記載の光読込み装置において、ハウジングに回路基板における同期検知センサの設置面とは反対面を視認するための切欠部を設けたことを特徴とし、この構成によって、ハウジングを所定位置に対して着脱することなく、作業者が目視により光ビームの位置を確認することができることから、オシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことが可能になり、修理,調整の作業時間を短縮することができる。また、ハウジングの着脱により塵埃などが内部に侵入して、読取り精度を低下させるなどのおそれがなくなる。さらにハウジングに固定するためのネジなどの取り外し作業が不要になり、作業時間を大幅に削減できる。
【0033】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14記載の光書込み装置において、ハウジングに、装置本体内に塵埃などの侵入を防止するカバー体を設け、該カバー体に、回路基板における同期検知センサの設置面とは反対面を視認するための切欠部を設けたことを特徴とし、この構成によって、カバー体を着脱することなく、作業者は目視により光ビームの位置を確認することができる。
【0034】
請求項16に記載の発明は、請求項14または15記載の光書込み装置において、切欠部を開閉可能に覆う被覆部材を備えたことを特徴とし、この構成によって、作業者による切欠部の塞ぎ忘れを防ぐことができ、被覆部材による切欠部の閉鎖により、塵埃の侵入などの不具合をなくすことができる。
【0035】
請求項17に記載の発明は、光書込み装置における像担持体に対して転写紙を給紙し、前記像担持体上に形成された現像画像を転写紙に転写して画像形成する画像形成装置において、請求項1〜16いずれか1項記載の光書込み装置を搭載したことを特徴とし、前記作用効果を奏する光書込み装置を搭載したことにより、オシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことができ、修理,調整のための作業時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、光ビームが同期検知センサを通過している位置、あるいは同期検知センサの位置などを容易に把握でき、カラー機などの複数の同期検知センサを有する光書込みユニットであっても、簡単に不具合箇所を特定することができる。また修理,調整についても、同期検知センサ,回路基板を取り付けている部材から、シリンドリカルレンズなどの部品を外さなくてもよくなり、さらに従来のようなオシロスコープなどの計測器がなくても修理,調整を行うことができるため、修理,調整のための作業時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は本発明の実施形態に係る第1結像光学系と第2結像光学系とからなる光書込み装置を具備するカラー画像形成装置の全体を示す概略構成図である。
【0039】
図1において,1は回転多面鏡であるポリゴンスキャナ、2,3は一対の第1と第2の結像光学系であって、第1結像光学系2と第2結像光学系3とにおいて、4a〜4dは折返しミラー、5は像担持体であるドラム状の感光体、6a〜6dはfθレンズ、7a,7bは横型トロイダルレンズである。感光体5の周囲において、8a,8bは各色に対応した露光部、9a,9bは各色に対応した現像部、10は転写部、11はクリーニング部、12は帯電部、また13は搬送ベルト、14は定着部である。
【0040】
図2は本実施形態における光書込み装置の光学系を示す構成図であって、図1におけるポリゴンスキャナ1と一対の結像光学系2,3とからなる構成部品において、折返しミラー4a〜4dを除いた光学的に等価な位置関係を示す部分平面図である。
【0041】
図2において、ポリゴンスキャナ1は矢印方向に回転するものとし、第1結像光学系2は走査開始端と走査終了端に2つの同期検知センサ15a,15bを有しており、2点同期方式を採用している。また第2結像光学系2も同様に、走査開始端と走査終了端に2つの同期検知手段15c,15dを有する2点同期方式を採用している。
【0042】
また、ポリゴンスキャナ1の片側には、ポリゴンスキャナ1の異なる鏡面にレーザビームを照射する光源であるLD(半導体レーザ)からなる第1レーザ発光装置16a,第2レーザ発光装置16bが配置されている。ポリゴンスキャナ1は、第1レーザ発光装置16a,第2レーザ発光装置16bなどから出射されるレーザビームを感光体5上で主走査方向に走査するような向きに回転し、また感光体5は主走査方向に直交する副走査方向に回転している。
【0043】
第1レーザ発光装置16a,第2レーザ発光装置16bは、図示を省略した画像データ入力装置から入力される画像データに基づいて駆動される。これら第1結像光学系2,第2結像光学系3を含む光書込み装置では、図1,図2において、第1レーザ発光装置16aから出射された第1ビームB1はシリンドリカルレンズ18aを通り、ポリゴンスキャナ1で偏向され、fθレンズ6a,6bを通り、折返しミラー4aで折り返され、トロイダルレンズ7aを通り、折返しミラー4bで折り返されて感光体5を走査する。
【0044】
一方、第2レーザ発光装置16bから出射された第2ビームB2はシリンドリカルレンズ18bを通り、ポリゴンスキャナ1で偏向され、fθレンズ6c,6dを通り、折返しミラー4c,4dで折り返され、トロイダルレンズ7bを通って感光体5を走査する。第1ビームB1と第2ビ-ムB2とは、ポリゴンスキャナ1の回転により、主走査方向に互いに逆方向に走査される。
【0045】
このようにして、第1レーザ発光装置16a,第2レーザ発光装置16bの2つの光源から出射されたビームB1,B2をポリゴンスキャナ1により主走査対応方向に同時に振らせつつ、副走査方向に回転している感光体5の表面を、露光部8a,8bにおいてビーム露光することにより、感光体5の表面にそれぞれの色に対応した静電潜像を形成する。
【0046】
前記のようにして感光体5の表面上に形成された、それぞれの静電潜像に対して現像装置9a,9bにより色違いのトナー粒子を付着させてトナー像として顕像化し、それぞれのトナー像を転写部10で転写紙(図示せず)上に重ね合わせ転写する。転写紙は、転写後、搬送ベルト13により矢印で示すように排紙部側へ向けて搬送され、定着部14で熱および圧力が加えられる。この定着処理によりトナー像が転写紙上に定着され、転写紙上に多色画像が形成される。
【0047】
図1において、感光体5の表面は、露光前に帯電部12で均一に帯電され、また転写後にはクリーニング部11において残留トナーが除去・回収される。
【0048】
本実施形態における2点同期検知による光書込み装置は、図3に示す4連ドラム方式の光書込み装置に適用されるものである。図3は、複数の感光体5a〜5dと、複数のポリゴンスキャナ1a,1bと、複数の結像光学系2a,2b,3a,3bを備えた4連ドラム方式の光書込み装置の構成例を示す斜視図である。
【0049】
図3において、第1のポリゴンスキャナ1aを中心に光学的に対称な位置に第1結像光学系2a,第2結像光学系3aの第1の組が配置され、この第1結像光学系2a,第2結像光学系3aの第1の組に隣接して,ポリゴンスキャナ1bを中心に光学的に対称な位置に第1結像光学系2b,第2結像光学系3bの第2の組が配置されている。この配置により、図2に示した光書込み装置を2つ横に並べた構成になっている。
【0050】
そして、これらの結像光学系2a,2b,3a,3bから出射される光ビームは、それぞれ感光体5a〜5dに結像されて、最終的にそれぞれの感光体5a〜5dにトナー像が形成され、矢印の向きに搬送される転写紙に重ねて転写されるようになっている。
【0051】
2点同期方式では、図2に示す同期検知センサ15a(15c)による光ビームの検知時点から同期検知センサ15b(15d)に至る所定間隔の走査に要する実時間を制御手段により算出し、この時間を基準となる時間と比較することにより、結像光学系の倍率誤差を検知することができる。
【0052】
次に、本実施形態における前記同期検知センサの関連構成について説明する。
【0053】
図4は同期検知センサを具備する本実施形態の同期検知ユニットの全体斜視図、図5は図4の同期検知ユニットにおけるレンズユニットの正面図(図4におけるA矢視側)、図6は図4の同期検知ユニットの側面図、図7は図4の同期検知ユニットからレンズユニットを取り外して示した正面図、図8は図4におけるZ面にて断面して示す同期検知ユニットの断面図、図9は図4の同期検知ユニットにおける同期検知センサを実装した回路基板のみを示す正面図、図10は図9の同期検知センサを実装した回路基板のみを示す背面図である。
【0054】
21は同期検知センサ15の前方に設けられたシリンドリカルレンズ22を保持する樹脂製のレンズユニット、23は同期検知センサ15が実装されている光透過性の部材からなる回路基板、24はレンズユニット21のシリンドリカルレンズ22と回路基板23の同期検知センサ15間の間隙を保持する樹脂製のホルダである。回路基板23の面積はホルダ24より大きい。
【0055】
図4において、レーザビームはA方向から入射し、図における左から右方向へ走査する。図4ではレンズユニット21とホルダ24とが接しているように示しているが、レンズユニット21はホルダ24から離れて設置されていても問題ない。レンズユニット21は、ホルダ24の受け台24bに載置されると、動かないように光軸方向に規制される。すなわち、レンズユニット21の突起21aとホルダ24のフック部24a、およびレンズユニット21の受け溝部21bとホルダ24の突起部24cを、それぞれ嵌合させることにより位置決めし、レンズユニット21とホルダ24自体が有するばね作用により互いに保持固定される。これによりレンズユニット21とホルダ24とは一体的にユニット化されることになる。
【0056】
回路基板23には、図9,図10に示すように、同期検知センサ15とコネクタ25が実装されており、ホルダ24に設けられた突起24c,24dが、回路基板23に設けた貫通孔23d,23eにそれぞれ嵌挿することによって位置決めされている。位置決めの方法としては、この構成に限定されず、例えば回路基板23の外周部とホルダ24の一部とを嵌合する構成にすることも考えられる。
【0057】
さらに、回路基板23とホルダ24とはネジ26により締結されており、このネジ26を挿入するための孔23fが回路基板23に設けられている。また、この締結方法としては、回路基板23とホルダ24との材料である樹脂の弾性を利用して、互いに係合させるようにして固定する構成にしてもよい。
【0058】
同期検知センサ15には入射するレーザビームを受光する受光部27があり、当該受光部27上をレーザビームが走査することによって、光電変換による電気信号が生成され、これによりレーザビームの通過が検知され、同期検知信号が出力されることになる。
【0059】
ホルダ24は、同期検知センサ15に対してシリンドリカルレンズ22を位置決め保持している。本例ではレーザビームとして可視ビームを出射する光源を用いており、また、同期検知センサ15に入射するレーザビームが、同期検知センサ15上にて集光するように、シリンドリカルレンズ22を配置している。
【0060】
図7に示すように、ホルダ24において、レンズユニット21からシリンドリカルレンズ22を外すと、同期検知センサ15の受光部27が外部から見えるように通孔24dが開けられ、さらにホルダ24には、図8に示すように、同期検知センサ15に近い側にも開口部24eが開けられている。
【0061】
図7において、シリンドリカルレンズ22を外すと、ホルダ24に設けられた通孔24dから同期検知センサ15のパッケージ、および受光部27を確認することができる。通孔24dは、角度を持って入射するレーザビームを遮ることのない開口幅に設定する。
【0062】
図9,図10において、回路基板23は、一方側に同期検知センサ15が実装され、他方側にはコネクタ25が実装されている。本例では、同期検知センサ15,コネクタ25が回路基板23における異なる側面に実装されているが、同じ面に実装されていても問題ない。
【0063】
回路基板23としては、ガラエポ樹脂などの可視レーザ光を透過するものを使用する。その際、回路基板23は光を透過すればよく、特に色は選ばないが、乳白色などがレーザビームを認識しやすい。また回路基板23を白色などで拡散印刷すれば、レーザビームがさらに見やすくなる。
【0064】
図10,図11に示すように、回路基板23における同期検知センサ15の実装面とは反対側に、該同期検知センサ15の外形形状および実装位置に合致させた印刷部28と、受光部27における同期検知信号出力可能範囲(受光可能範囲)を示す印刷部29とが設けられている。
【0065】
前記印刷としては、例えばシルク印刷などで実現できる。また、シールなどでシルク印刷形状を作り、貼り付けることでも同様の効果が得られる。このシールの場合、レーザビームの通過位置が変更になっても対応可能になる。印刷形態は、全面を塗りつぶしても、また外形のみでも、また縦線のみであってもよい。
【0066】
このように回路基板23を光透過性部材から形成し、回路基板23における同期検知センサ15の実装面とは反対側に、表示部として印刷部28,29を設けておくことにより、同期検知センサ15の実装側、あるいはレーザビームの走査側でなく、その反対側からレーザビームが同期検知センサ15を通過している位置、および同期検知センサ15の位置を容易に把握できることになり、カラー機などの複数の同期検知センサ15を有する光書込みユニットであっても、簡単に不具合箇所を特定することができる。
【0067】
また修理,調整についても、回路基板23を取り付けているホルダ24からシリンドリカルレンズ22などの部品を外さなくてもよくなり、さらに、作業者は回路基板23を介してレーザビームを目視することができるため安全であり、目視にてレーザビームの位置を確認することができることから、従来、調整作業などにおいて使用されていたオシロスコープなどの計測器類がなくても修理,調整を行うことができ、修理,調整のための作業時間を短縮することができる。
【0068】
また印刷部としては、図11に示すように、線状の印刷部30a,30cを、受光部27の設置位置の上限に対応させて形成し、また同様の線状の印刷部30b,30dを、受光部27の設置位置の下限に対応させて形成してもよい。また、印刷部30a〜30dをシールなどでシルク印刷で形成し、回路基板23に貼り付けることも考えられる。
【0069】
図11に示すように、印刷形態としては、レーザビームの走査方向を示す、例えば矢印31などにしても分りやすい。また矢印31に代えて三角印でも代用できる。
【0070】
レーザビームの場合、光が作業者の目に入ると危険であるため、どの方向から入射するかが分るだけでも、作業者に注意を喚起することができる。また前記と同様に、シールなどにて矢印31などの形状を作り、それを回路基板23に貼り付けるようにすることもできる。
【0071】
図12に示すように、前記印刷に代えて、受光部29の上限位置に通孔32a,32cを穿設し、また受光部29の下限位置に通孔32b,32dを穿設することも考えられる。この場合、通孔32a〜32dの形状は丸孔でも角孔でもよい。さらに通孔32a〜32dの形成位置に凹部を形成して、受光部29の位置表示にすることもできる。
【0072】
通孔32a〜32dとして貫通孔を設けることにより、電気部品挿入用の通し孔として利用することもできる。これにより回路基板23に電気部品装着に関与しない不要な孔を設ける必要がなくなり、回路の配線構成が簡単かつ容易になる。また回路基板23の余剰のスペースを利用して表示部とすることが可能になる。このように電気部品挿入用として貫通孔を用いる場合、目印として孔近傍にコメントなどの印刷を付設するとよい。
【0073】
また、図12では4個の通孔32a〜32dの形成例を示したが、上下の通孔を1個ずつ設けておけば、レーザビームの副走査方向の位置が確認できる。さらに、上下2個の通孔を繋げた形状であってもよい。
【0074】
図13に同期検知センサユニット33を装置本体のハウジング34に設置した構成例を示す。
【0075】
この同期検知センサユニット33では、ハウジング34に、同期検知センサ15の受光部27にレーザビームが到達するように通孔34aが設けられており、ハウジング34に、図11にて説明した印刷部30a,30cを受光部27の上限位置に対応させて印刷し、また印刷部30b,30dを受光部27の下限位置に対応させて印刷してある。
【0076】
この場合、ハウジング34における前記印刷位置に、ハウジング34と一体的に突起を設けたり、シールを貼り付けることによっても、レーザビームが同期検知センサ15の受光部27上を通過しているか否かを視認することができる。
【0077】
また、図4に示すように、ホルダ24に、同期検知センサ15の受光部27における縦方向の位置を認識することができるように、表示部として突起35a,35bを設けることも考えられる。さらに、回路基板23の同期検知センサ15の実装面と同面に印刷36a,36bを設けることにより、受光部の位置が、さらに認識しやすくなる。
【0078】
また、図4に示すように、同期検知センサ15の受光部27に到達するレーザビームのシリンドリカルレンズ22における入射範囲が分るように、表示部として突起37a〜37dを設けることも考えられる。また、この突起37a〜37dに代えて、前記と同様にシ−ルを貼り付けたり、印刷あるいは通孔,凹部を形成したりしてもよい。本例では突起37a〜37dを4箇所を設けているが、前記のように上下2個でもよい。また、シリンドリカルレンズ22における有効受光領域外に前記表示部を設けることも考えられる。
【0079】
図14は本実施形態の画像形成装置における光書込み装置の搭載部分を示す斜視図であり、画像形成装置にはハウジング34のリブ38が各所に立設されており、回路基板23の裏面23aが外部から見えにくくなっているため、2点鎖線にて示すように、リブ38の一部に切欠部39を形成したり、さらにハウジング34の外壁部に切欠部40を形成したりして、回路基板23の真後ろ方向から、既述したレーザビームの走査位置などを確認できるようにすることが望ましい。
【0080】
図15は画像形成装置のハウジング34の上部に載置されるカバー体41に切欠部42を設けた例であり、同期検知センサ15などの前記各表示部が容易に確認できるようにした構成にしている。このようにすることにより、作業時、カバー体41を外さなくてもレーザビームの走査位置を確認することができる。切欠部42による開口部分は、確認作業後、薄膜シール部材で被覆しておけば、装置内部に塵埃などが侵入することを防ぐことができる。
【0081】
例えば、図16に示すように、カバー体41の上方から回路基板23の裏面23aが見えるように切欠部42を設け、さらにリブ38の一部に切欠部39を設けることにより、前記各表示部が容易に確認できるような構造にしても、カバー体41の切欠部42に対して被覆部材43を開閉可能に覆うように設けることにより、塵埃などの侵入を防ぐことができる。
【0082】
被覆部材43としては、樹脂製薄膜部材あるいは板バネを、カバー体41などの適所に粘着材あるいはネジなどで固定する。
【0083】
図16に示すように、被覆部材43の一端部にヒンジ部45を設けて、被覆部材43を開閉可能にし、かつ被覆部材43を開いた後、被覆部材43を放せば被覆部材43自体の自重,ばね性で閉まるようにしておけば、被覆することを忘れるおそれがなくなる。被覆部材43の閉鎖状態が悪い場合には、図示しないが引掛け部を設けたり、粘着材で固定したりすることが考えられる。
【0084】
なお、本実施形態の画像形成装置,光書込み装置において、ポリゴンスキャナの設置数は既述した構成の設置数に限定されない。また本実施形態ではカラー機を想定して説明しているが、モノクロ機でも同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、感光体などの像担持体に対する光ビーム書出開始位置を検知する同期検知センサと、該同期検知センサを設置する回路基板とを備えた光書込み装置、および該光書込み装置を搭載した画像形成装置に適用され、特にレーザプリンタ,レーザ複写機などにおけるレーザビームの同期検知を高精度に行い、高品質な画像形成を行うことが要求される電子写真方式の画像形成装置に用いて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る第1結像光学系と第2結像光学系とからなる光書込み装置を具備するカラー画像形成装置の全体を示す概略構成図
【図2】本実施形態における光書込み装置の光学系を示す構成図
【図3】本実施形態における2点同期検知による光書込み装置の一例である4連ドラム方式の光書込み装置を構成を示す斜視図
【図4】同期検知センサを具備する本実施形態の同期検知ユニットの全体斜視図
【図5】図4の同期検知ユニットにおけるレンズユニットの正面図(図4におけるA矢視側)
【図6】図4の同期検知ユニットの側面図
【図7】図4の同期検知ユニットからレンズユニットを取り外して示した正面図
【図8】図4におけるZ面にて断面して示す同期検知ユニットの断面図
【図9】図4の同期検知ユニットにおける同期検知センサを実装した回路基板のみを示す正面図
【図10】図9の同期検知センサを実装した回路基板のみを示す背面図
【図11】本実施形態の回路基板をセンサ実装面裏側から見た回路基板の背面図
【図12】本実施形態の他の回路基板をセンサ実装面裏側から見た回路基板の背面図
【図13】本実施形態において同期検知センサユニットがハウジングに装着された例を示す斜視図
【図14】本実施形態において同期検知センサユニットがハウジングに装着された状態を示す斜視図
【図15】本実施形態において同期検知センサユニットがカバー付ハウジングに装着された状態を示す斜視図
【図16】図15における同期検知センサユニット部分を示す断面図
【符号の説明】
【0087】
1,1a,1b ポリゴンスキャナ
2,2a,2b,3,3a,3b 結像光学系
5,5a〜5d 感光体
15,15a〜15d 同期検知センサ
16a,16b レーザ発光装置
21 レンズユニット
22 シリンドリカルレンズ
23 回路基板
24 ホルダ
27 同期検知センサの受光部
28,29,30a〜30d,31,36a,36b 印刷部
32a〜32d 通孔
33 同期検知センサユニット
34 ハウジング
35a,35b,37a〜37d 突起
38 リブ
39,40,42 切欠部
41 カバー体
43 被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源から出射される光ビームを偏向させる回転多面鏡と、該回転多面鏡で偏向された前記光ビームを像担持体上に集光させ静電潜像を形成する走査光学系と、前記回転多面鏡で偏向された光ビームの一部を受光して、前記像担持体における主走査方向の書出開始位置を検知する同期検知センサと、該同期検知センサが設置される回路基板とを備えた光書込み装置において、
前記回路基板を光透過性部材にて形成し、かつ該回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面に、前記同期検知センサの位置を示す表示部を設けたことを特徴とする光書込み装置。
【請求項2】
前記回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面に、前記同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲を示す表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の光書込み装置。
【請求項3】
前記回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面に、前記光ビームの走査方向を示す表示部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の光書込み装置。
【請求項4】
前記表示部として、前記同期検知センサ近傍の前記回路基板に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項3記載の光書込み装置。
【請求項5】
前記貫通孔を電気部品挿入用の通孔として用いることを特徴とする請求項4記載の光書込み装置。
【請求項6】
前記回路基板を固定する固定部材に、前記同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲を示す表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の光書込み装置。
【請求項7】
入射する光ビームにおける副走査方向を補正するために、前記同期検知センサの前方に設置されたシリンドリカルレンズ、あるいは該シリンドリカルレンズの周囲の部材に、同期検知センサの受光部における同期検知信号出力可能範囲に入射する光ビームの位置を示す表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の光書込み装置。
【請求項8】
前記表示部を凹部にて形成したことを特徴とする請求項1,2,3,6または7記載の光書込み装置。
【請求項9】
前記表示部を印刷にて形成したことを特徴とする請求項1,2,3,6または7いずれか1項記載の光書込み装置。
【請求項10】
前記表示部をシール部材を貼付して形成したことを特徴とする請求項1,2,3,6または7記載の光書込み装置。
【請求項11】
前記表示部を前記固定部材と一体形成したことを特徴とする請求項6記載の光書込み装置。
【請求項12】
前記表示部を前記シリンドリカルレンズあるいは該シリンドリカルレンズの周囲の部材と一体形成したことを特徴とする請求項7記載の光書込み装置。
【請求項13】
少なくとも前記回路基板と前記同期検知センサとを同期検知センサユニットとして一体にして装置本体のハウジングに設置したことを特徴とする請求項1記載の光書込み装置。
【請求項14】
前記ハウジングに、前記回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面を視認するための切欠部を設けたことを特徴とする請求項13記載の光読込み装置。
【請求項15】
前記ハウジングに、装置本体内に塵埃などの侵入を防止するカバー体を設け、該カバー体に、前記回路基板における前記同期検知センサの設置面とは反対面を視認するための切欠部を設けたことを特徴とする請求項13または14記載の光書込み装置。
【請求項16】
前記切欠部を開閉可能に覆う被覆部材を備えたことを特徴とする請求項14または15記載の光書込み装置。
【請求項17】
光書込み装置における像担持体に対して転写紙を給紙し、前記像担持体上に形成された現像画像を転写紙に転写して画像形成する画像形成装置において、
前記光書込み装置として請求項1〜16いずれか1項記載の光書込み装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−34015(P2007−34015A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218843(P2005−218843)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】