説明

光源ユニット及び照明器具

【課題】放熱性能及び基板の均熱化の双方を促進できる光源ユニット及びその光源ユニットを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、複数の発光素子6が中央部及びその周囲部に実装された基板7と、この基板7の裏面側と対向し、基板7と熱的に結合するように設けられるとともに、背面側の中央部であって、周縁部間に複数の溝43Mを形成する主放熱フィン42Mと、この主放熱フィン42Mの両側に配設され、主放熱フィン42Mと直交する方向に複数の溝43Sを形成する副放熱フィン42Sとを有する放熱手段4とを備える光源ユニット2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を用いた照明器具に適する光源ユニット及びその光源ユニットを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の発光素子を光源として用いる照明器具が開発されており、その高輝度化、高出力化に伴い、LED等の使用個数も増加し、LED等を実装する基板が大型化してきている。LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光出力の低下とともに寿命にも影響を与える。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする照明器具では、寿命、効率の諸特性を改善するために発光素子の温度上昇を抑制する必要がある。
【0003】
また、LED等を実装する基板は、点灯初期においては、特に、基板の中央部の温度が高くなる傾向にある。したがって、点灯、消灯を繰り返すうちに、点灯初期の温度が影響し、基板の中央部に実装された発光素子の寿命や諸特性の低下をもたらし、中央部に実装された発光素子がその周囲部に実装された発光素子より暗くなってしまう等の不都合が生じる。一方、光源の点灯初期にかかわらず、安定点灯時においても、基板の中央部の熱は、放熱されにくく、温度が上昇しやすい環境下にある。したがって、この種、照明器具の高輝度化、高出力化、すなわち、発生する熱の増大、基板の大型化に伴い、ますます放熱性能の向上、基板の均熱化の要請が高まっている。
【0004】
従来、小型化を図り、放熱性能を向上させることが可能なLEDを光源とした照明器具が提案されている(特許文献1参照)。この照明器具は、器具本体の他端部に、側壁に開口部が設けられた凹部を形成し、器具本体とこの凹部を流れる外気によって放熱を効果的に行うものである。
【特許文献1】特開2008−186776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、放熱性能を向上する視点は示されてはいるものの、放熱性能の向上及び基板の均熱化の双方の要請を同時に満足すべく構成されたものではない。特に、基板の均熱化に至っては何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、放熱性能及び基板の均熱化の双方を促進できる光源ユニット及びその光源ユニットを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の光源ユニットは、複数の発光素子が中央部及びその周囲部に実装された基板と;この基板の裏面側と対向し、基板と熱的に結合するように設けられるとともに、背面側の中央部であって、周縁部間に複数の溝を形成する主放熱フィンと、この主放熱フィンの両側に配設され、主放熱フィンと直交する方向に複数の溝を形成する副放熱フィンとを有する放熱手段と;を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。発光素子とは、LEDや有機EL等の固体発光素子である。発光素子の実装は、チップ・オン・ボード方式や表面実装方式によって実装するのが好ましいが、本発明の性質上、実装方式は特に限定されない。また、発光素子の実装個数や基板の形状には特段制限はない。中央部、周囲部は、画一的なものではない。基板や発光素子の配置形態等により把握される相対的概念である。基板と熱的に結合されるとは、直接的に基板と接触する場合や間接的に熱伝導性される場合をも許容する。周縁部間とは、周縁の最端部を含むが、最端部に限定されず、所定の幅を有する領域部分を意味する。放熱手段は、いわゆるヒートシンク、器具の本体、ケースあるいはカバーと指称されるものが含まれる。放熱フィンは、放熱手段の表面積を大きくするものであり、複数の溝を形成すればよく、その形状や配置等の形態は格別限定されるものではない。例えば、主放熱フィンは、周縁部間の領域に長手方向に亘り連続的に形成されたものであっても、一部分割されて複数のブロックで形成されたものであってもよい。さらに、主放熱フィンと副放熱フィンとは、一部又は全てが一体的に連続して形成されていてもよい。
【0009】
請求項2に記載の照明器具は、請求項1に記載の光源ユニットと;この光源ユニットの副放熱フィンに取付けられた電源ユニットと;を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、放熱性能を向上できるとともに均熱化を促進できる光源ユニットを提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、電源ユニットは、副放熱フィンに取付けられているので、電源ユニットに作用する熱の影響を少なくすることが可能な照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態に係る光源ユニット及び照明器具について図1乃至図5を参照して説明する。図1は、照明器具を示す部分断面図、図2は、同上面図、図3は、同底面図、図4は、反射体を示す斜視図、図5は、照明器具を天井面へ取付けた状態を示す説明図である。
【0013】
図1乃至図3において、照明器具として天井埋込形のダウンライト1を示している。ダウンライト1は、光源ユニット2と、この光源ユニット2に取付けられた電源ユニット3とを備えている。光源ユニット2は、熱伝導性の放熱手段4と、この放熱手段4に取付けられた化粧枠5と、同じく放熱手段4に取付けられ、発光素子としてのLED6が実装された基板7と、反射体8及び反射体8の前方に配設された透光性カバー9とを備えている。
【0014】
放熱手段4は、いわゆるヒートシンクであり、アルミダイカスト製の熱伝導良好な材料で形成されており、その外面が白色のメラミン樹脂系塗料によって焼付塗装されている。なお、勿論、熱伝導性を担保できれば、他の材料で形成してもよい。そして、放熱手段4は、略円板状のベース41と、このベース41の背面側に立設された複数の放熱フィン42とから構成されており、さらに、放熱フィン42は、主放熱フィン42Mのブロックと副放熱フィン42Sのブロックとから構成されている。主放熱フィン42Mは、ベース41の周縁部間に亘るように平面視、直線状であって、側面視、略長方形状に複数突出して形成されており、各主放熱フィン42M間には溝43Mが形成されている。一方、主放熱フィン42Mの両側には、この主放熱フィン42Mと直交するように、ベース41の周縁部から主放熱フィン42Mに向かう複数の副放熱フィン42Sが突出して形成されている。また、同様に、各副放熱フィン42S間には、溝43Sが形成されている。
【0015】
化粧枠5は、ABS樹脂又はアルミダイカストで略傘状に形成され、末広がり状の開口端部には、環状のフランジ51が形成されており、他端部側は、放熱手段4に取付けられている。加えて、化粧枠5には、互いに120度の間隔をおいて天井面等への取付け用部材10が装着されている(図1、図5では図示を省略している)。
【0016】
基板7の表面側には、光源となるLED6が表面実装方式で複数個、具体的には中央部に3個、その周囲部に6個、またその周囲部に12個の合計21個が実装されている(図3参照)。基板7は、ガラスエポキシ樹脂の略円形の平板からなり、裏面側が放熱手段4のベース41に対向して密着するように取付けられている。したがって、放熱手段4は、基板7の裏面側と対向して配置され、基板7と熱的に結合されるようになっている。なお、この放熱手段4のベース41と基板4の裏面側との間に、例えば、熱伝導性のシリコーンシートを介在させて結合するようにしてもよい。さらには、接着材を介在させて結合するようにしてもよく、この場合、接着材には、シリコーン樹脂系の接着材に金属酸化物等を混合した熱伝導性が良好な材料を用いるのが好ましい。また、基板7の材料は、絶縁材とする場合には、放熱特性が比較的良好で、耐久性に優れたセラミック材料又は合成樹脂材料を適用できる。また、金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れた材料を適用するのが好ましい。
【0017】
続いて、図4に代表して示すように、基板7の表面側には、白色のポリカーボネートやASA樹脂等によって形成された反射体8が配設されている。反射体8は、LED6から放射される光を配光制御し、効率的に照射する機能をなしている。反射体8は、円板状をなし、隔壁の稜線部によって複数の入射開口8i、具体的には、各LED6と対向して各LED6ごとに合計21個の入射開口8iが形成されている。まず、反射体8には、同心円状に、中央部から外周に向かって第1の隔壁8a、第2の隔壁8b、外周縁部8cが形成されており、これら隔壁8a、8b及び外周縁部8cの内周側に、各入射開口8iが放射状の隔壁8dによって区画されて配設されている。このように構成された反射体8は、各入射開口8iに対応する各隔壁、すなわち、第1の隔壁8a、第2の隔壁8b、外周縁部8c及び放射状の隔壁8dが形成する反射面8fが略椀状となって、入射開口8iから出射開口8o、すなわち、稜線部に向かって拡開しており、各入射開口8iごとに反射面8fを構成している。
【0018】
次に、電源ユニット3は、電源回路31、電源端子台32及びアーム状の取付部材33を備えている。取付部材33は、前記光源ユニット2への固定部33aと、この固定部33aにヒンジ33cを介して連結された取付部33bとから構成されている。この取付部33bの下面側には、電源回路基板を含む電源回路31が取付けられている。電源回路基板には、制御用IC、トランス、コンデンサ等の電気部品が実装されており、この電源回路基板は、LED6が実装された基板7に電気的に接続されており、その電源回路によってLED6を点灯制御するものである。また、取付部33bの下面側後部には、商用電源に接続され電源回路31に給電する電源端子台32が取付けられている。そして、取付部材33の固定部33aは、前記副放熱フィン42Sの上面にねじ等の固定手段によって取付けられている。
【0019】
このようなダウンライト1は、図5に示すように、天井面Cの埋込み穴に電源ユニット3側から挿入され、天井面Cの裏側に埋込まれた状態で支持される。この場合、化粧枠5のフランジ51は、天井面Cの埋込み穴より大径であり、ダウンライト1が天井面Cに設置された状態で埋込み穴の周縁に下方から引っ掛かるようになっている。なお、取付部材33の後端側には支持脚33dが設けられており、この支持脚33dは天井面Cの裏面に当接して取付部材33を支えるようになっている。
【0020】
以上のような構成において、電源ユニット5に通電されると、点灯回路が動作して基板7に電力が供給され、LED6が発光する。各LED6から出射された光の多くは直接透光性カバー9を透過して前方に照射され、一部の光は反射体8の各反射面8fに反射されて配光制御され透光性カバー9を透過して前方に照射される。一方、これに伴いLED6から発生する熱は、主として基板7の裏面から放熱手段4のベース41へ伝わり、複数の放熱フィン42へ伝導され放熱される。ここで、中央部の主放熱フィン42M間の溝43Mは、ベース41の周縁部間に亘って比較的長く形成されているので、通気路の機能をなし、自然対流による外気の対流が一方の周縁部から他方の周縁部間に作用し、主放熱フィン42Mの側面が主に冷却されて、放熱が効率よく促進される。また、主放熱フィン42Mの両側には、副放熱フィン42Sが形成されているので、その溝43Sにも外気の対流が作用し、副放熱フィン42Sの側面が主に冷却され、放熱が行われる。加えて、副放熱フィン42Sの溝43Sによる対流は、その対流の方向と直交する最外周の主放熱フィン42Moにも作用し、全体として主放熱フィン42Mによる放熱が高まる。また、反射体8の裏面が基板7の表面側ほぼ全面に当接され、密着性が保たれているので、基板7から反射体8への熱伝導によっても放熱が行われる。
【0021】
したがって、基板7の放熱性能が向上するとともに、基板7の温度分布も平均化され、均熱化される。つまり、特に、LED6の点灯初期においては、基板7の温度分布において、中央部に熱が集中し高温になる傾向がある。しかしながら、放熱手段4の主放熱フィン42Mの作用によって基板7の中央部は、その周囲部に比較し放熱効果が高まるように構成されているので、基板7全体の均熱化が促進される。この均熱化によりLED6の点灯時、光束を早期に安定化することができるとともに、LED6の寿命への影響を軽減できる。
【0022】
以上のように本実施形態によれば、複数のLED6が実装された基板7の放熱性能を向上できるとともに均熱化を促進できる光源ユニット2及びその光源ユニット2を用いた照明器具1を提供することができる。また、光源ユニット2は、電源ユニット3を内蔵していないので光源ユニット2を小型化できる。さらに、電源ユニット3は、放熱手段4の副放熱フィン42Sに取付けられているので、電源ユニット3に作用する熱の影響を少なくすることができる。
【0023】
次に、本発明の第2乃至第5の実施形態に係る光源ユニットについて図6乃至図11を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0024】
(第2の実施形態)図6は、照明器具を示す部分断面図である。図に示すように、放熱手段4の主放熱フィン42Mの高さ寸法を大きく形成したものである。したがって、その放熱面積を増大させることができ、基板7の中央部の放熱効果を高めることが可能となる。
【0025】
(第3の実施形態)図7は、照明器具を示す上面図である。図に示すように、放熱手段4の主放熱フィン42Mをベース41の周縁部間に亘るように形成し、溝43Mを形成しているが、周縁端より若干内周側に寄せて配設したものである。本実施形態によっても第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0026】
(第4の実施形態)図8は、光源ユニットを示す上面図である。図に示すように、主放熱フィン42Mの両側に形成された副放熱フィン42Sのブロックの中央部にフィンを設けず、空間部を形成したものである。本実施形態によっても第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0027】
(第5の実施形態)図9は、同じく光源ユニットを示す上面図である。図に示すように、放熱手段4の主放熱フィン42Mの厚さ寸法を大きく形成したものである。その放熱容量を増大させることができ、基板7の中央部の放熱効果を高めることが可能となる。なお、各主放熱フィン42Mのピッチを調整して構成してもよい。
【0028】
(第6の実施形態)図10は、同じく光源ユニットを示す上面図である。図に示すように、主放熱フィン42Mの略中心部にフィンを設けず、空間部を形成し、主放熱フィン42Mを2つのブロックに分割して形成したものである。すなわち、複数の放熱フィン42Mによって形成される溝43Mを分断したものである。本実施形態によっても対流を導き放熱を促進することができる。
【0029】
(第7に実施形態)図11は、同じく光源ユニットを示す上面図である。図に示すように、最外周の主放熱フィン42Moと、これと直交する副放熱フィン42Sの中央側端部を連続して一体的に形成したものである。本実施形態によっても第1の実施形態と同様な放熱の促進が達成される。なお、副放熱フィン42Sの一部、例えば、中央部の6つのフィンのみを主放熱フィン42Moと連続して形成するようにしてもよい。
【0030】
本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、複数の放熱フィンによって形成される溝は、対流を導く形態のものであればよい。さらに、放熱フィンは、放熱手段の表面積を大きくするものであり、ひれ、平板、山形など形状に限定されず、突出して形成されていればよく、その形状は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具を示す部分断面図である。
【図2】同上面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】反射体を示す斜視図である。
【図5】照明器具を天井面へ取付けた状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る照明器具を示す部分断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る照明器具を示す上面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・照明器具(ダウンライト)、2・・・光源ユニット、3・・・電源ユニット、
4・・・放熱手段、6・・・発光素子(LED)、7・・・基板、
42M・・・主放熱フィン、42S・・・副放熱フィン、43M、43S・・・溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が中央部及びその周囲部に実装された基板と;
この基板の裏面側と対向し、基板と熱的に結合するように設けられるとともに、背面側の中央部であって、周縁部間に複数の溝を形成する主放熱フィンと、この主放熱フィンの両側に配設され、主放熱フィンと直交する方向に複数の溝を形成する副放熱フィンとを有する放熱手段と;
を具備することを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光源ユニットと;
この光源ユニットの副放熱フィンに取付けられた電源ユニットと;
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−102897(P2010−102897A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272244(P2008−272244)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】