光源装置および照明装置
【課題】 光源からの光を蛍光体領域に照射して所定の色の光を得るときに、光源の位置ズレがあっても光源からの光を蛍光体領域に位置ズレなく照射でき、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止する。
【解決手段】 紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段1と、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズ2と、レンズ2からの光が入射することにより励起され光源手段1の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域3とを備え、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの略平行光のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲を照射するように設定されている。
【解決手段】 紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段1と、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズ2と、レンズ2からの光が入射することにより励起され光源手段1の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域3とを備え、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの略平行光のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲を照射するように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光半導体と蛍光体とを組み合わせた光源装置として、例えば特許文献1に示されているようなものが知られている。
【0003】
図1は特許文献1の発光装置を示す図である。図1を参照すると、この発光装置は、青色光を出射するLEDチップ102と、青色光を黄色光に変換する蛍光体を有する蛍光体領域106とを備え、LEDチップ102から出射されて蛍光体領域106を透過した青色光と、蛍光体で生じた黄色光とを重ね合わせて白色光を出射することを意図しており、この際に、LEDチップ102から出射された青色光を集光させる集光レンズ104を更に備え、蛍光体領域106とLEDチップ102との間に、集光レンズ104の光入射側の光学面が配設されており、蛍光体領域106は、集光レンズ104の焦点Fの近傍に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−014852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の発光装置では、蛍光体領域106を集光レンズ104の焦点位置に置く必要があるため、LEDチップ102が位置ズレすると、青色光の集光する位置がずれてしまい、光利用効率が低下してしまうという問題と、蛍光体領域106に多く光が当たる箇所とそれほど当たらない箇所ができて色ムラの原因となってしまうという問題とがあった。
【0006】
本発明は、LED光源や半導体レーザ光源などの光源からの光を蛍光体領域に照射して所定の色の光を得るときに、光源の位置ズレがあっても光源からの光を蛍光体領域に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっているので、LED光源や半導体レーザ光源などの光源からの光を蛍光体領域に照射して所定の色の光を得るときに、光源の位置ズレがあっても光源からの光を蛍光体領域に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる。
【0011】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されているので、光利用効率を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】特許文献1の発光装置を示す図である。
【図2】本発明の光源装置の構成例を示す図(断面図)である。
【図3】光源手段の一例を示す図である。
【図4】光源手段の他の例を示す図である。
【図5】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の一例を示す図である。
【図6】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の他の例を示す図である。
【図7】レンズの各区画に入射した光源手段からの光(略平行光)のビームが照射する蛍光体領域の同じ所定範囲Eの例を示す図である。
【図8】本発明の光源装置の作用効果を説明するための図である。
【図9】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の他の例を示す図である。
【図10】レンズの各区画の他の例を示す図である。
【図11】レンズの各区画の他の例を示す図である。
【図12】本発明の光源装置を用いたベース照明の一例を示す図である。
【図13】図12のベース照明に用いられたレンズおよびその各区画とレンズに入射するレーザ光源からの光(ビーム)との大きさの程度を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図2は、本発明の光源装置の構成例を示す図(断面図)である。図2を参照すると、この光源装置は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段1と、該光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズ2と、該レンズ2からの光が入射することにより励起され前記光源手段1の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域(例えば蛍光体プレート)3とを備えている。
【0015】
図3は光源手段1の一例を示す図である。図3の例では、光源手段1は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源11と、固体光源11からの光をコリメート光(平行光)にして出射するコリメートレンズ12とにより構成されている。ここで、固体光源11には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつLED光源や半導体レーザ光源などが使用可能である。
【0016】
また、図4は光源手段1の他の例を示す図である。図4の例では、光源手段1は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源11により構成されている。ここで、固体光源11には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ半導体レーザ光源などが使用可能である。すなわち、図4の例では、固体光源11自体に、これから出射する光がコリメート光(平行光)または略平行光となっているものが使用され、この場合には、図3の例のようにコリメートレンズ12を別途に設ける必要はない。
【0017】
換言すれば、光源手段1からはコリメート光(平行光)が出射されるのが最も望ましいが、光源手段1からは、完全には平行光とはなっていない光(略平行光)が出射されても良く、この場合も本発明の範囲に含まれる。以下の説明では、便宜上、光源手段1からの光を、コリメート光(平行光)をも含めて広義に略平行光と呼ぶことにする。
【0018】
具体的に、固体光源11には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光するLED光源や半導体レーザ光源などを用いることができる。この場合、蛍光体領域3の蛍光体としては、波長が約380nmないし約405nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、La2O2S:Eu3+、KSiF6:Mn4+、 KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Lu3Al5O12:Ce3+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+、LaAl(Si,Al)6(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
【0019】
また、固体光源11には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光するLED光源や半導体レーザ光源などを用いることができる。この場合、蛍光体領域3の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、KSiF6:Mn4+、KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Lu3Al5O12:Ce3+、Y3(Ga,Al)5O12:Ce3+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Eu2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ba3Si6O12N2:Eu2+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
【0020】
蛍光体領域3としては、これらの蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、樹脂などの結合部材を含まない蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、上に列挙した組成の蛍光体粉末をP2O3、SiO2、B2O3、Al2O3などの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスとしては、上に列挙した組成の蛍光体組成からなり、樹脂成分を実質的に含まない焼結体が挙げられる。これらの中でも透光性を有する蛍光体セラミックスを使用することが望ましい。これは、焼結体中に光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスである。ポアや不純物は熱拡散を妨げる原因にもなるため、透光性セラミックスは高い熱伝導率を示す。このため蛍光体層として利用した場合には励起光や蛍光を拡散により失うことなく蛍光体層から取り出して利用でき、さらに蛍光体層で発生した熱を効率良く放散することができる。透光性を示さない焼結体でも出来るだけポアや不純物の少ないものが望ましい。ポアの残存量を評価する指標としては蛍光体セラミックスの比重の値を用いることができ、その値が計算される理論値に対して95%以上のものが望ましい。
【0021】
また、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出す所謂透過方式として構成される場合には、蛍光体領域3は、図2に示すようにレンズ2の光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側の平坦な面2aに保持されていても良いし、あるいは、蛍光体領域3は、光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側がレンズ2とは別の例えば透明基板により、レンズ2と所定の距離を保つように保持(固定)されていても良い。
【0022】
このような構成では、LED光源や半導体レーザ光源などの固体光源11からの光を蛍光体領域3に照射して所定の色の光を得ることができる。例えば、固体光源11として青色光を出射するものを用い、蛍光体領域3として黄色蛍光体のものを用いるとき、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出す透過方式となっている場合において、蛍光体領域3を透過した青色光と、蛍光体で生じた黄色光とを重ね合わせて白色光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出すことができる。
【0023】
ところで、前述のように、従来では、固体光源11からの光を集光レンズで集光して蛍光体領域3を照射するようにしており、この際、集光レンズの焦点位置に蛍光体領域3を置いていたので、固体光源11が位置ズレすると、青色光の集光する位置がずれてしまい、光利用効率が低下してしまうという問題と、蛍光体領域3に多く光が当たる箇所とそれほど当たらない箇所ができて色ムラの原因となってしまうという問題とがあった。
【0024】
本発明は、このような問題を解決するため、光源手段1と蛍光体領域3との間に、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチpに区画されているレンズ2を設けている。図5、図6には、図2に断面で示されているレンズ2を光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の例が示されている。なお、図5の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに一方向(X方向)に等ピッチpに区画されている。また、図6の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに直交する二方向(X方向およびY方向)に等ピッチpに区画されている(すなわち、X方向、Y方向の両方向に等ピッチpに区画されている)。図6の例の場合、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの各区画ARの形状は、一辺がピッチpの正方形状のものとなっている。ここで、蛍光体領域3の直径Cが1mm程度のものであり、光源手段1からの光(略平行光)のビーム径BMが3mm程度であるとき、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2全体の大きさ(径D)は、例えば5mm〜10mm程度の範囲のものであり、また、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画ARのピッチpは、0.5mm〜1mm程度のものである。
【0025】
このように、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画のピッチp(例えば1mm程度)は、光源手段1からの光(略平行光)のビーム径BM(例えば3mm程度)よりも小さいものとなっている。すなわち、この例の場合、図2に示すように、光源手段1からの光(略平行光)はレンズ2の3つの区画に入射する。
【0026】
また、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eを照射するように設定されている。図2の例では、レンズの各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして蛍光体領域3のサイズCと略同一サイズの範囲(1mm程度の範囲)を照射するように設定されている。
【0027】
なお、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図7(a)に示すように蛍光体領域3のサイズCよりも小さい範囲(例えば0.5mm程度の範囲)を照射するように設定されることも可能である。但し、この場合には、イエローリング(中心部は黄味のない白色であるが、周辺部が黄味を帯びた白色となる現象)などの色ムラが生じる恐れがある。また、これと反対に、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図7(b)に示すように蛍光体領域3のサイズCよりも大きい範囲(例えば1.5mm程度の範囲)を照射するように設定されることも可能である。但し、この場合には、光利用効率が低下してしまう。これに対し、レンズ2の各区画が、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図2に示すように蛍光体領域3のサイズCと略同一サイズの範囲(1mm程度の範囲)を照射するように設定されているときには、イエローリングなどの色ムラも生じさせず、光利用効率を著しく高めることができるので、最も望ましい。
【0028】
上記のような本発明の光源装置では、例えば図8に示すように、図2の状態からLED光源や半導体レーザ光源などの固体光源11の位置ズレ(図8の例では、図2の状態からX方向に1mm程度の位置ズレ)があっても固体光源11からの光を蛍光体領域3の所定範囲Eに位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる。具体的に、レンズ2が図5の構成となっているときには、固体光源11がX方向に位置ズレしても、固体光源11からの光を蛍光体領域3の所定範囲Eに位置ズレなく照射できる。但し、図5の構成では、固体光源11がY方向に位置ズレすると、固体光源11からの光の照射範囲も位置ズレしてしまう。これに対し、レンズ2が図6の構成となっているときには、固体光源11がX方向、Y方向のいずれの方向に位置ズレしても、固体光源11からの光の照射範囲は位置ズレすることがなく、図5の構成と比べて、光利用効率の低下と色ムラをより確実に防止することができる。
【0029】
なお、上述の例では、光源装置は、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側に取り出す透過方式となっているが、適宜な設計変更により(例えば、蛍光体領域3の光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側を反射基板により保持(固定)することなどにより)、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側に取り出す反射方式のものにすることもできる。
【0030】
また、上述の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに一方向(X方向)に等ピッチpに区画されているか、または、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに直交する二方向(X方向およびY方向)に等ピッチpに区画されている(すなわち、X方向、Y方向の両方向に等ピッチpに区画されている)場合が示されているが、例えば図9に示すように三方向に等ピッチpに区画されていても良い(図9の例の場合、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの各区画ARの形状は、一辺がピッチpの正六角形状のものとなっている)。すなわち、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチpに区画されていれば良い。
【0031】
また、上述の例では、レンズ2の各区画は、図2に示すように、光源手段1側から見たときに凸レンズであり、レンズ2の各区画表面と蛍光体領域3との間に各焦点F0があり、レンズ2の各区画に入射した光は、各焦点F0に集光されるようになっているが、レンズ2の各区画を、図10に示すように、光源手段1側から見たときに凹レンズにして、蛍光体領域3を照射することもできる。
【0032】
また、上述の例では、レンズ2の各区画は、連続的につながっているが、レンズ2の各区画は、図11のような不連続なものであっても良い。なお、図11の例では、レンズ2の各区画を設定する基本面BSが平坦となっており、フレネルレンズとして構成されている。
【0033】
上述した本発明の光源装置は、一般照明、室内照明、街路灯、車両用灯具、ショーケース用照明などの照明装置に利用できる。
【0034】
図12は、上述した本発明の光源装置を用いたベース照明の一例を示す図である。図12を参照すると、このベース照明では、筐体51の背面(図12では筐体51の上面側)に複数の穴52が開いており、各穴52にレンズ2が嵌め込まれている。レンズ2には直径1.0mmの蛍光体プレート(黄色蛍光体プレート)3が担持されており、レンズ2及び蛍光体プレート3は等ピッチkでアレイ状に複数個並んでいる。また、各レンズ2の位置と相対するように天井面53に微細な穴54が開いており、それに合わせて青色レーザ光源11とコリメートレンズ12が設けられている。青色レーザ光源11を駆動する電源55自体も天井裏に備わっている。青色レーザ光源11から出射した青色光は、コリメートレンズ12により平行光になって天井裏より出射される。一般的なコリメートレンズでレーザのビーム径は3mm程度になる。青色レーザ光源11からの青色光は、相対するレンズ2に入射し、入射側とは反対側の蛍光体プレート3を励起光として照射する。励起光としての青色光は、蛍光体プレート3から蛍光(黄色蛍光)を発光させるとともに、励起光としての青色光の一部は、蛍光体プレート3を透過する。これにより、黄色蛍光と青色光とが混色されて白色光となり、床面56を照射する。グレア光対策や床面照射パターンを変えるために、筐体51の光出射面側には拡散板、拡散シート、プリズムシートなどを適宜備えても良い。なお、図12において、符号57は拡散板、拡散シート、プリズムシートなどである。
【0035】
図12のベース照明では、レーザ光源11を用いることで、照明器具自体に給電する必要が無く、つまり光源やそれを駆動する電源を内蔵する必要が無いため、軽量薄型にすることができる。
【0036】
また、図12においてレンズ2が無い場合には、蛍光体プレート3が非常に小さいため、レーザ光源11からの光(光スポット)を蛍光体プレート3に正確に位置合わせすることは非常な苦労を要する。さらに、図12のベース照明のように、複数個のレーザ光源11が存在すると、レンズ2が無い場合には、レーザ光源11間の位置ズレにより、複数のビームを同時に蛍光体プレート3に正確に照射することは困難を極める。なおかつ、筐体51自体は、吊り具58を使って天井面53にねじ止めされるため、筐体51自体の位置ズレの影響も考慮しなければならない。以上のことを鑑みて、蛍光体プレート3に本発明のレンズ2を設け、レンズ2の径を10mmとすることで、レーザ光源11間の位置ズレがあっても、複数のビームを同時に蛍光体プレート3に正確に照射できるようになった。
【0037】
なお、図13には、図12のベース照明に用いられたレンズ2およびその各区画ARとレンズ2に入射するレーザ光源11からの光(ビーム)との大きさの程度(レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときの図)が示されている。図13において、レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときのレンズ2全体の大きさ(径)Dは10mmであり、レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画のピッチpは0.5mmであり、レーザ光源11からの光(ビーム)のビーム径BMは3mmであった。
【0038】
このように、ベース照明などに本発明の光源装置を用いることで、光源11の位置ズレがあっても光源11からの光を蛍光体領域2に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる照明装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、一般照明、室内照明、街路灯、車両用灯具、ショーケース用照明などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 光源手段
2 レンズ
3 蛍光体領域
11 固体光源
12 コリメートレンズ
51 筐体
52 穴
53 天井面
54 穴
55 電源
56 床面
57 拡散板、拡散シート、プリズムシートなど
58 吊り具
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光半導体と蛍光体とを組み合わせた光源装置として、例えば特許文献1に示されているようなものが知られている。
【0003】
図1は特許文献1の発光装置を示す図である。図1を参照すると、この発光装置は、青色光を出射するLEDチップ102と、青色光を黄色光に変換する蛍光体を有する蛍光体領域106とを備え、LEDチップ102から出射されて蛍光体領域106を透過した青色光と、蛍光体で生じた黄色光とを重ね合わせて白色光を出射することを意図しており、この際に、LEDチップ102から出射された青色光を集光させる集光レンズ104を更に備え、蛍光体領域106とLEDチップ102との間に、集光レンズ104の光入射側の光学面が配設されており、蛍光体領域106は、集光レンズ104の焦点Fの近傍に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−014852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の発光装置では、蛍光体領域106を集光レンズ104の焦点位置に置く必要があるため、LEDチップ102が位置ズレすると、青色光の集光する位置がずれてしまい、光利用効率が低下してしまうという問題と、蛍光体領域106に多く光が当たる箇所とそれほど当たらない箇所ができて色ムラの原因となってしまうという問題とがあった。
【0006】
本発明は、LED光源や半導体レーザ光源などの光源からの光を蛍光体領域に照射して所定の色の光を得るときに、光源の位置ズレがあっても光源からの光を蛍光体領域に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっているので、LED光源や半導体レーザ光源などの光源からの光を蛍光体領域に照射して所定の色の光を得るときに、光源の位置ズレがあっても光源からの光を蛍光体領域に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる。
【0011】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されているので、光利用効率を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】特許文献1の発光装置を示す図である。
【図2】本発明の光源装置の構成例を示す図(断面図)である。
【図3】光源手段の一例を示す図である。
【図4】光源手段の他の例を示す図である。
【図5】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の一例を示す図である。
【図6】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の他の例を示す図である。
【図7】レンズの各区画に入射した光源手段からの光(略平行光)のビームが照射する蛍光体領域の同じ所定範囲Eの例を示す図である。
【図8】本発明の光源装置の作用効果を説明するための図である。
【図9】図2に断面で示されているレンズを光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の他の例を示す図である。
【図10】レンズの各区画の他の例を示す図である。
【図11】レンズの各区画の他の例を示す図である。
【図12】本発明の光源装置を用いたベース照明の一例を示す図である。
【図13】図12のベース照明に用いられたレンズおよびその各区画とレンズに入射するレーザ光源からの光(ビーム)との大きさの程度を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図2は、本発明の光源装置の構成例を示す図(断面図)である。図2を参照すると、この光源装置は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段1と、該光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズ2と、該レンズ2からの光が入射することにより励起され前記光源手段1の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域(例えば蛍光体プレート)3とを備えている。
【0015】
図3は光源手段1の一例を示す図である。図3の例では、光源手段1は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源11と、固体光源11からの光をコリメート光(平行光)にして出射するコリメートレンズ12とにより構成されている。ここで、固体光源11には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつLED光源や半導体レーザ光源などが使用可能である。
【0016】
また、図4は光源手段1の他の例を示す図である。図4の例では、光源手段1は、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源11により構成されている。ここで、固体光源11には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ半導体レーザ光源などが使用可能である。すなわち、図4の例では、固体光源11自体に、これから出射する光がコリメート光(平行光)または略平行光となっているものが使用され、この場合には、図3の例のようにコリメートレンズ12を別途に設ける必要はない。
【0017】
換言すれば、光源手段1からはコリメート光(平行光)が出射されるのが最も望ましいが、光源手段1からは、完全には平行光とはなっていない光(略平行光)が出射されても良く、この場合も本発明の範囲に含まれる。以下の説明では、便宜上、光源手段1からの光を、コリメート光(平行光)をも含めて広義に略平行光と呼ぶことにする。
【0018】
具体的に、固体光源11には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光するLED光源や半導体レーザ光源などを用いることができる。この場合、蛍光体領域3の蛍光体としては、波長が約380nmないし約405nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、La2O2S:Eu3+、KSiF6:Mn4+、 KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Lu3Al5O12:Ce3+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+、LaAl(Si,Al)6(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
【0019】
また、固体光源11には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光するLED光源や半導体レーザ光源などを用いることができる。この場合、蛍光体領域3の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN3:Eu2+、Ca2Si5N8:Eu2+、KSiF6:Mn4+、KTiF6:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Lu3Al5O12:Ce3+、Y3(Ga,Al)5O12:Ce3+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Eu2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ba3Si6O12N2:Eu2+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
【0020】
蛍光体領域3としては、これらの蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、樹脂などの結合部材を含まない蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、上に列挙した組成の蛍光体粉末をP2O3、SiO2、B2O3、Al2O3などの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスとしては、上に列挙した組成の蛍光体組成からなり、樹脂成分を実質的に含まない焼結体が挙げられる。これらの中でも透光性を有する蛍光体セラミックスを使用することが望ましい。これは、焼結体中に光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスである。ポアや不純物は熱拡散を妨げる原因にもなるため、透光性セラミックスは高い熱伝導率を示す。このため蛍光体層として利用した場合には励起光や蛍光を拡散により失うことなく蛍光体層から取り出して利用でき、さらに蛍光体層で発生した熱を効率良く放散することができる。透光性を示さない焼結体でも出来るだけポアや不純物の少ないものが望ましい。ポアの残存量を評価する指標としては蛍光体セラミックスの比重の値を用いることができ、その値が計算される理論値に対して95%以上のものが望ましい。
【0021】
また、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出す所謂透過方式として構成される場合には、蛍光体領域3は、図2に示すようにレンズ2の光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側の平坦な面2aに保持されていても良いし、あるいは、蛍光体領域3は、光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側がレンズ2とは別の例えば透明基板により、レンズ2と所定の距離を保つように保持(固定)されていても良い。
【0022】
このような構成では、LED光源や半導体レーザ光源などの固体光源11からの光を蛍光体領域3に照射して所定の色の光を得ることができる。例えば、固体光源11として青色光を出射するものを用い、蛍光体領域3として黄色蛍光体のものを用いるとき、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出す透過方式となっている場合において、蛍光体領域3を透過した青色光と、蛍光体で生じた黄色光とを重ね合わせて白色光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側から取り出すことができる。
【0023】
ところで、前述のように、従来では、固体光源11からの光を集光レンズで集光して蛍光体領域3を照射するようにしており、この際、集光レンズの焦点位置に蛍光体領域3を置いていたので、固体光源11が位置ズレすると、青色光の集光する位置がずれてしまい、光利用効率が低下してしまうという問題と、蛍光体領域3に多く光が当たる箇所とそれほど当たらない箇所ができて色ムラの原因となってしまうという問題とがあった。
【0024】
本発明は、このような問題を解決するため、光源手段1と蛍光体領域3との間に、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチpに区画されているレンズ2を設けている。図5、図6には、図2に断面で示されているレンズ2を光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの上面図の例が示されている。なお、図5の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに一方向(X方向)に等ピッチpに区画されている。また、図6の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに直交する二方向(X方向およびY方向)に等ピッチpに区画されている(すなわち、X方向、Y方向の両方向に等ピッチpに区画されている)。図6の例の場合、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの各区画ARの形状は、一辺がピッチpの正方形状のものとなっている。ここで、蛍光体領域3の直径Cが1mm程度のものであり、光源手段1からの光(略平行光)のビーム径BMが3mm程度であるとき、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2全体の大きさ(径D)は、例えば5mm〜10mm程度の範囲のものであり、また、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画ARのピッチpは、0.5mm〜1mm程度のものである。
【0025】
このように、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画のピッチp(例えば1mm程度)は、光源手段1からの光(略平行光)のビーム径BM(例えば3mm程度)よりも小さいものとなっている。すなわち、この例の場合、図2に示すように、光源手段1からの光(略平行光)はレンズ2の3つの区画に入射する。
【0026】
また、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eを照射するように設定されている。図2の例では、レンズの各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして蛍光体領域3のサイズCと略同一サイズの範囲(1mm程度の範囲)を照射するように設定されている。
【0027】
なお、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図7(a)に示すように蛍光体領域3のサイズCよりも小さい範囲(例えば0.5mm程度の範囲)を照射するように設定されることも可能である。但し、この場合には、イエローリング(中心部は黄味のない白色であるが、周辺部が黄味を帯びた白色となる現象)などの色ムラが生じる恐れがある。また、これと反対に、レンズ2の各区画は、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図7(b)に示すように蛍光体領域3のサイズCよりも大きい範囲(例えば1.5mm程度の範囲)を照射するように設定されることも可能である。但し、この場合には、光利用効率が低下してしまう。これに対し、レンズ2の各区画が、これに入射する光源手段1からの光(略平行光)のビームが蛍光体領域3の同じ所定範囲Eとして図2に示すように蛍光体領域3のサイズCと略同一サイズの範囲(1mm程度の範囲)を照射するように設定されているときには、イエローリングなどの色ムラも生じさせず、光利用効率を著しく高めることができるので、最も望ましい。
【0028】
上記のような本発明の光源装置では、例えば図8に示すように、図2の状態からLED光源や半導体レーザ光源などの固体光源11の位置ズレ(図8の例では、図2の状態からX方向に1mm程度の位置ズレ)があっても固体光源11からの光を蛍光体領域3の所定範囲Eに位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる。具体的に、レンズ2が図5の構成となっているときには、固体光源11がX方向に位置ズレしても、固体光源11からの光を蛍光体領域3の所定範囲Eに位置ズレなく照射できる。但し、図5の構成では、固体光源11がY方向に位置ズレすると、固体光源11からの光の照射範囲も位置ズレしてしまう。これに対し、レンズ2が図6の構成となっているときには、固体光源11がX方向、Y方向のいずれの方向に位置ズレしても、固体光源11からの光の照射範囲は位置ズレすることがなく、図5の構成と比べて、光利用効率の低下と色ムラをより確実に防止することができる。
【0029】
なお、上述の例では、光源装置は、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側に取り出す透過方式となっているが、適宜な設計変更により(例えば、蛍光体領域3の光源手段1(固体光源11)が設けられている側とは反対の側を反射基板により保持(固定)することなどにより)、蛍光体領域3からの光を光源手段1(固体光源11)が設けられている側に取り出す反射方式のものにすることもできる。
【0030】
また、上述の例では、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに一方向(X方向)に等ピッチpに区画されているか、または、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに直交する二方向(X方向およびY方向)に等ピッチpに区画されている(すなわち、X方向、Y方向の両方向に等ピッチpに区画されている)場合が示されているが、例えば図9に示すように三方向に等ピッチpに区画されていても良い(図9の例の場合、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときの各区画ARの形状は、一辺がピッチpの正六角形状のものとなっている)。すなわち、レンズ2は、光源手段1からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチpに区画されていれば良い。
【0031】
また、上述の例では、レンズ2の各区画は、図2に示すように、光源手段1側から見たときに凸レンズであり、レンズ2の各区画表面と蛍光体領域3との間に各焦点F0があり、レンズ2の各区画に入射した光は、各焦点F0に集光されるようになっているが、レンズ2の各区画を、図10に示すように、光源手段1側から見たときに凹レンズにして、蛍光体領域3を照射することもできる。
【0032】
また、上述の例では、レンズ2の各区画は、連続的につながっているが、レンズ2の各区画は、図11のような不連続なものであっても良い。なお、図11の例では、レンズ2の各区画を設定する基本面BSが平坦となっており、フレネルレンズとして構成されている。
【0033】
上述した本発明の光源装置は、一般照明、室内照明、街路灯、車両用灯具、ショーケース用照明などの照明装置に利用できる。
【0034】
図12は、上述した本発明の光源装置を用いたベース照明の一例を示す図である。図12を参照すると、このベース照明では、筐体51の背面(図12では筐体51の上面側)に複数の穴52が開いており、各穴52にレンズ2が嵌め込まれている。レンズ2には直径1.0mmの蛍光体プレート(黄色蛍光体プレート)3が担持されており、レンズ2及び蛍光体プレート3は等ピッチkでアレイ状に複数個並んでいる。また、各レンズ2の位置と相対するように天井面53に微細な穴54が開いており、それに合わせて青色レーザ光源11とコリメートレンズ12が設けられている。青色レーザ光源11を駆動する電源55自体も天井裏に備わっている。青色レーザ光源11から出射した青色光は、コリメートレンズ12により平行光になって天井裏より出射される。一般的なコリメートレンズでレーザのビーム径は3mm程度になる。青色レーザ光源11からの青色光は、相対するレンズ2に入射し、入射側とは反対側の蛍光体プレート3を励起光として照射する。励起光としての青色光は、蛍光体プレート3から蛍光(黄色蛍光)を発光させるとともに、励起光としての青色光の一部は、蛍光体プレート3を透過する。これにより、黄色蛍光と青色光とが混色されて白色光となり、床面56を照射する。グレア光対策や床面照射パターンを変えるために、筐体51の光出射面側には拡散板、拡散シート、プリズムシートなどを適宜備えても良い。なお、図12において、符号57は拡散板、拡散シート、プリズムシートなどである。
【0035】
図12のベース照明では、レーザ光源11を用いることで、照明器具自体に給電する必要が無く、つまり光源やそれを駆動する電源を内蔵する必要が無いため、軽量薄型にすることができる。
【0036】
また、図12においてレンズ2が無い場合には、蛍光体プレート3が非常に小さいため、レーザ光源11からの光(光スポット)を蛍光体プレート3に正確に位置合わせすることは非常な苦労を要する。さらに、図12のベース照明のように、複数個のレーザ光源11が存在すると、レンズ2が無い場合には、レーザ光源11間の位置ズレにより、複数のビームを同時に蛍光体プレート3に正確に照射することは困難を極める。なおかつ、筐体51自体は、吊り具58を使って天井面53にねじ止めされるため、筐体51自体の位置ズレの影響も考慮しなければならない。以上のことを鑑みて、蛍光体プレート3に本発明のレンズ2を設け、レンズ2の径を10mmとすることで、レーザ光源11間の位置ズレがあっても、複数のビームを同時に蛍光体プレート3に正確に照射できるようになった。
【0037】
なお、図13には、図12のベース照明に用いられたレンズ2およびその各区画ARとレンズ2に入射するレーザ光源11からの光(ビーム)との大きさの程度(レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときの図)が示されている。図13において、レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときのレンズ2全体の大きさ(径)Dは10mmであり、レーザ光源11からの光(平行光)の投射方向から見たときのレンズ2の各区画のピッチpは0.5mmであり、レーザ光源11からの光(ビーム)のビーム径BMは3mmであった。
【0038】
このように、ベース照明などに本発明の光源装置を用いることで、光源11の位置ズレがあっても光源11からの光を蛍光体領域2に位置ズレなく照射することができ、これにより、光利用効率の低下と色ムラを有効に防止することができる照明装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、一般照明、室内照明、街路灯、車両用灯具、ショーケース用照明などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 光源手段
2 レンズ
3 蛍光体領域
11 固体光源
12 コリメートレンズ
51 筐体
52 穴
53 天井面
54 穴
55 電源
56 床面
57 拡散板、拡散シート、プリズムシートなど
58 吊り具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置。
【請求項1】
紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光し、略平行光にして出射する光源手段と、該光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときに少なくとも一方向に等ピッチに区画されているレンズと、該レンズからの光が入射することにより励起され前記光源手段の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類以上の蛍光体を含む蛍光体領域とを備え、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの略平行光のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲を照射するように設定されており、前記光源手段からの光(略平行光)の投射方向から見たときの前記レンズの各区画のピッチは、前記光源手段からの光(略平行光)のビーム径よりも小さいものとなっていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、前記レンズの各区画は、これに入射する前記光源手段からの光(略平行光)のビームが前記蛍光体領域の同じ所定範囲として前記蛍光体領域と略同一サイズの範囲を照射するように設定されていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の光源装置が用いられていることを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−109909(P2013−109909A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252867(P2011−252867)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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