説明

光源装置及びプロジェクター

【課題】製造効率の低下を招くことなく、複数の固体光源を高密度に集積する。
【解決手段】本発明の光源装置は、ベース部材2と、ベース部材2の表面2Aから突出して配置され、表面2Aからの突出方向に直交する面内で突出方向の基端部12の外周12Aの少なくとも一部が先端部16の外周16Aよりも外側に張り出している複数の固体光源3と、基端部12に対してベース部材2とは反対側に配置され、複数の固体光源3と同じ配列の複数の孔部24を有し、孔部24ごとに先端部16が挿通されているとともに、孔部24の周縁部25は先端部16の外周から張り出している部分の基端部12をベース部材2の表面2Aに向けて押圧している押圧部材4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の固体光源が基板に取付けられた構造の光源装置は、プロジェクター内の照明等に利用されている。固体光源は、固定の安定性や放熱性等の観点で、基板に密着するように押圧されていることが望まれる。
【0003】
固体光源を基板に押圧する方法としては、スプリング等を介してネジ止め等で固体光源を固定する方法がある。また、例えば下記の特許文献1に開示されているように、ネジ止めに代えてレーザースポット溶接等で固体光源を基板に固定する方法もある。
【0004】
ところで、光源装置には、光量を増すために複数の固体光源が設けられることがある。この種の光源装置において、複数の固体光源は、高密度で集積されていることが望まれる。なぜならば、固体光源の集積度が低いほど光源装置が大型になり、光源装置を搭載したデバイスも大型になるからである。また、固体光源の集積度が低いほど複数の固体光源から射出される光の全体のスポットサイズが大きくなり、この光が通る各種光学系が大型になるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−297065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の固体光源が配列された光源装置において、基板に固体光源をネジ止めやレーザースポット溶接で固定すると、光源装置の製造効率が低下する不都合や、固体光源を高密度で集積できなくなる不都合がある。特に、各固体光源を個別にスプリングで押圧する構造では、上記の不都合が顕著になる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、複数の固体光源が基板に押圧されて固定された光源装置において、製造効率の低下を招くことなく固体光源を高密度で集積可能にすることを目的の1つとする。また、このような光源装置を備えたプロジェクターを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の光源装置は、ベース部材と、前記ベース部材の表面から突出して配置され、前記表面からの突出方向に直交する面内で前記突出方向の基端部の外周の少なくとも一部が先端部の外周よりも外側に張り出している複数の固体光源と、前記基端部に対して前記ベース部材とは反対側に配置され、前記複数の固体光源と同じ配列の複数の孔部を有し、該孔部ごとに前記先端部が挿通されているとともに、該孔部の周縁部は前記先端部の外周から張り出している部分の前記基端部を前記ベース部材の表面に向けて押圧している押圧部材と、を備える。
【0009】
第1の態様の光源装置において、押圧部材は、複数の固体光源と同じ配列の複数の孔部を有し、孔部の周縁部が固体光源の先端部の外周から張り出している部分の基端部をベース部材の表面に向けて押圧しているので、複数の固体光源を一括してベース部材に向って押圧することができる。したがって、固体光源ごとに独立した付勢部材で固体光源をベース部材に向って押圧する必要性が低くなり、製造効率の低下を招くことなく固体光源を高密度で集積することができる。よって、光源装置から射出される光の総光量を増すことができるとともに光源装置を小型にすることができる。結果として、光源装置が搭載されるデバイスを小型にすることや、光源装置から射出される光が通る光学系等を小型にすること等ができる。
【0010】
第1の態様の光源装置において、前記押圧部材の前記周縁部は、前記固体光源の突出方向に変形して前記固体光源の基端部と接触してもよい。
【0011】
このようにすれば、固体光源の突出方向の寸法が製造誤差等によりばらついている場合でも、このばらつきを押圧部材の周縁部の変形量に吸収させることができる。したがって、複数の固体光源に過剰な負荷をかけることなく複数の固体光源をベース部材に安定的に固定することができる。
【0012】
第1の態様の光源装置は、前記押圧部材に対して前記ベース部材とは反対側に配置され、前記押圧部材の前記周縁部よりも塑性変形しにくい材質からなり、前記押圧部材を前記ベース部材に向って押圧して支持する支持部材を備えていてもよい。
【0013】
このようにすれば、押圧部材の周縁部よりも支持部材の方が塑性変形しにくいので、押圧部材が支持部材を支持として固体光源を押圧することができ、複数の固体光源をベース部材に安定的に固定することができる。
【0014】
第1の態様の光源装置において、前記ベース部材は、前記固体光源の前記基端部と接触している放熱板であってもよい。
上記のように第1の態様の光源装置は、複数の固体光源をベース部材に安定的に固定することができ、ベース部材は固体光源の基端部と接触している放熱板であるので、固体光源の発光に伴う熱を効果的に放熱することができる。
【0015】
第1の態様の光源装置は、前記ベース部材と前記押圧部材との間に配置され、前記複数の固体光源と同じ配列の複数の貫通孔を有し、該貫通孔ごとに前記基端部が挿通されているスペーサー部材を備えていてもよい。
スペーサー部材は、複数の固体光源と同じ配列の複数の貫通孔を有するので、貫通孔をガイドとして複数の固体光源を配列することができ、光源装置の製造効率を向上させることができる。
【0016】
本発明の第2の態様のプロジェクターは、第1の態様の光源装置を備える。
第1の態様の光源装置は、製造効率の低下を招くことなく固体光源を高密度で集積することができるので、第2の態様のプロジェクターは製造効率の低下を招くことなく小型にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の光源装置を示す図である。
【図2】本実施形態の光源装置の構成を示す分解図である。
【図3】本実施形態の固体光源の1つを拡大して示す平面図である。
【図4】図3のA−A’線断面図である。
【図5】本実施形態のプロジェクターの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。説明に用いる図面中の構造の寸法や縮尺は、実際と異なることがある。
【0019】
[光源装置]
図1は本実施形態の光源装置を示す斜視図、図2は光源装置の構成を示す分解図、図3は固体光源の1つを拡大して示す平面図、図4は図3のA−A’線断面図である。
【0020】
図1及び図2に示す光源装置1は、板状のベース部材2と、ベース部材2の表面(以下、上面2Aという)から突出している複数の固体光源と、ベース部材2に対して固体光源3の突出方向に配置されて複数の固体光源3をベース部材2に向って押圧している押圧部材4とを備える。また、本実施形態の光源装置1は、ベース部材2と押圧部材4との間に各固体光源3を個別に囲むように配置されたスペーサー部材5と、押圧部材4に対してベース部材2とは反対側に配置されて押圧部材4を支持する支持部材6と、ベース部材2の下面2Bに配置されて固体光源3と電気的に接続された配線基板7とをさらに備える。
【0021】
以下、例えば図1に示すXYZ直交座標系を参照しつつ、光源装置1の各構成要素について詳しく説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向はそれぞれベース部材2の上面2Aに平行であって互いに直交する方向であり、Z方向はベース部材2の上面2Aの法線方向である。本実施形態において、複数の固体光源3は、XY面に平行な方向に2次元的に配列されており、各固体光源3はZ方向に光を射出することができる。
【0022】
図3及び図4に示す固体光源3は、光を射出可能なエミッター10と、エミッター10の光射出口を除く部分を覆うキャップ11と、エミッター10及びキャップ11においてベース部材2を向く下面と接合された基端部(以下、アイレット12という)とを有する。また、本実施形態の固体光源3は、アイレット12においてエミッター10とは反対側を向く下面からエミッター10とは反対側に延びる端子群13と、アイレット12に対してベース部材2とは反対側に配置されてキャップ11に接合されたステイ14と、ステイ14に取り付けられたコリメーターレンズ15とをさらに有する。
【0023】
エミッター10は、LEDやLD等の発光素子によって構成される。エミッター10は、端子群13を介して配線基板7上に形成された配線と電気的に接続されている。エミッター10は、端子群13及び配線基板7を介して供給される電力によって、光を射出することができる。本実施形態のエミッター10は、その発光方向が固体光源3の突出方向とほぼ平行である。本実施形態のエミッター10は、光を発する活性層と、活性層から発せられた光をレーザー発振可能な共振器とを含み、レーザー光を射出可能である。
【0024】
アイレット12は、固体光源3の突出方向から見た(以下、平面視という)平面形状が略円形の円板状である。アイレット12は、固体光源3の突出方向の下面が、図示略の熱伝導グリスあるいは熱伝導シートを介して、ベース部材2の上面2Aと面接触している。アイレット12は、エミッター10及びキャップ11を支持している。アイレット12は、例えば金属材料からなる。アイレット12は、エミッター10の発光に伴う熱をベース部材2へ放熱することができる。
【0025】
固体光源3の突出方向に直交する面(XY面)内において、アイレット12の外周12Aの少なくとも一部は、アイレット12に対してベース部材2とは反対側に配置された先端部16の外周16Aよりも外側に張り出している。本実施形態において、先端部16は、エミッター10及びキャップ11を含む。
【0026】
アイレット12の外周12A(図3参照)には、アライメントマーク等として利用される1対の切欠20が設けられている。平面視したアイレット12において、先端部16よりも外側に張り出した部分は、押圧部材4によりベース部材2に向って押圧されている。
【0027】
本実施形態のキャップ11は、エミッター10の周囲を環状に囲む円筒状であり、その軸方向が固体光源3の突出方向とほぼ平行である。キャップ11は、エミッター10を保護している。
【0028】
図3に示すステイ14は、平面視したときの形状が一方向に長手の長円状である。平面視したときに、ステイ14の長手方向は、アイレット12の一対の切欠20を互いに結ぶ仮想線と交差(ここでは、ほぼ直交)する方向である。平面視したときに、ステイ14の長手方向の外寸は、アイレット12の外寸(直径)とほぼ同じである。平面視したときに、ステイ14の短手方向の外寸は、エミッター10の外寸(直径)よりも小さい。
【0029】
図4に示すステイ14は、キャップ11において固体光源3の突出方向の側方を向く側面に、接着部21を介して接着されている。コリメーターレンズ15は、エミッター10から射出された光を平行化する。ステイ14は、アイレット12との間にギャップが設けられており、エミッター10との相対位置を調整可能である。ステイ14は、コリメーターレンズ15の前側焦点がエミッター10の光射出口にほぼ一致するように、エミッター10に対する相対位置が調整された状態でキャップ11に固定される。
【0030】
ベース部材2は、上面2A及び下面2Bを貫通する複数の取付孔22を有する。取付孔22は、固体光源3ごとに設けられ、各固体光源3の端子群13が挿通されている。端子群13は、取付孔22を介して配線基板7と電気的に接続されている。本実施形態のベース部材2は、一般的な放熱板等に用いられる銅やアルミニウム等の金属材料からなり、各固体光源3の熱を放熱する放熱板として機能する。
【0031】
スペーサー部材5は、板状であり、ベース部材2を向く下面がベース部材2の上面2Aに当接している。固体光源3の突出方向において、スペーサー部材5の寸法(厚み)は、アイレット12の寸法(厚み)未満である。すなわち、固体光源3の突出方向においてアイレット12は、スペーサー部材5よりも突出している。
【0032】
スペーサー部材5は、複数の固体光源3と同じ配列の複数の貫通孔23を有し、貫通孔23ごとに固体光源3のアイレット12が挿通されている。本実施形態の貫通孔23は、開口形状がほぼ円形である。ここでは、貫通孔23の内周面とアイレット12の外周面とのギャップが、アイレット12をガタつきなく貫通孔23に通すことが可能な最小限度に設定されている。スペーサー部材5とベース部材2とを互いに位置合わせすると、スペーサー部材5の各貫通孔23がベース部材2の各取付孔22と連通し、貫通孔23をガイドとして複数の固体光源3をベース部材2の所定の位置に容易に配置することができる。
【0033】
押圧部材4は、複数の固体光源3と同じ配列の複数の孔部24を有し、孔部24ごとに固体光源3の先端部16が挿通されている。押圧部材4は、平面視した先端部16の外側であってアイレット12の外周の内側の領域まで張り出した周縁部(以下、係止部25という)を有する。係止部25は、平面視したときにアイレット12の切欠20と重ならない位置に配置されている。
【0034】
本実施形態の係止部25は、互いに向かい合う一対の爪状である。一対の係止部25を互いに結ぶ仮想線は、ステイ14の長手方向と交差し、かつアイレット12の一対の切欠20を互いに結ぶ仮想線と交差する。係止部25は、アイレット12と接触しており、アイレット12をベース部材2の上面2Aに向けて押圧している。これにより、固体光源3は、ベース部材2の上面2Aと互いに押し合わされて、ベース部材2に固定されている。
【0035】
本実施形態において、押圧部材4のうちで少なくとも係止部25は、アイレット12よりも塑性変形しやすい材質で形成されている。押圧部材4は、スペーサー部材5に向って支持部材6により押圧されており、この押圧力で係止部25が塑性変形してアイレット12と接触している。
【0036】
支持部材6は、複数の固体光源3と同じ配列の複数の挿通孔26を有し、挿通孔26ごとに固体光源3のステイ14が挿通されている。支持部材6は、押圧部材4の上面と当接しており、押圧部材4をベース部材2に向けて押圧しつつ、押圧部材4を支持している。本実施形態の支持部材6は、ベース部材2との間でスペーサー部材5及び押圧部材4を挟みこんで、ベース部材2と図示略のネジ等によって接合されている。
【0037】
以上のような構成の光源装置1において、押圧部材4は、複数の固体光源3と同じ配列の複数の孔部24のそれぞれの係止部25が各固体光源3のアイレット12をベース部材2の上面2Aに向けて押圧しているので、複数の固体光源3を一括してベース部材2に向って押圧することができる。したがって、固体光源3ごとに独立したバネ等で固体光源3をベース部材2に向って押圧する必要性が低くなり、製造効率の低下を招くことなく固体光源3を高密度で集積することができる。よって、光源装置1から射出される光の総光量を増すことができるとともに光源装置1を小型にすること等ができる。
【0038】
また、押圧部材4の係止部25は、塑性変形して固体光源3のアイレット12と接触しているので、固体光源3の突出方向の寸法のばらつきを係止部25の変形量に吸収させることができる。したがって、突出方向の寸法のばらつきに起因する複数の固体光源3のそれぞれに作用する押圧力のばらつきを減らすことができる。これにより、例えば、突出方向の寸法が相対的に大きい固体光源については、押圧力の過多による破損等の発生が抑制される。また、突出方向の寸法が相対的に小さい固体光源については、押圧力の不足によるガタつき等の発生が抑制される。このように、複数の固体光源3に過剰な負荷をかけることなく、複数の固体光源3をベース部材2に安定的に固定することができる。
【0039】
また、複数の固体光源3がベース部材に安定的に固定されており、ベース部材2が固体光源3のアイレット12と接触して放熱板として機能するので、固体光源3の発光に伴う熱を効果的に放熱することができる。したがって、固体光源3の過熱による発光効率の低下や短寿命化が抑制され、光源装置1の消費電力を減らすことや寿命を延ばすこと等ができる。また、スペーサー部材5の貫通孔23をガイドとして複数の固体光源3を配列することができるので、光源装置1の製造効率を向上させることができる。
【0040】
また、コリメーターレンズ15を支持しているステイ14が固体光源3の先端部16と接合されており、押圧部材4が先端部16を押圧していないので、押圧部材4による押圧力がエミッター10とコリメーターレンズ15との相対位置に影響を及ぼさない。したがって、エミッター10とコリメーターレンズ15との相対位置を高精度に設定することができ、エミッター10から射出された光を高精度に平行化することができる。
【0041】
次に、本実施形態のプロジェクターについて説明する。図5は、本実施形態のプロジェクターの構成を示す図である。
【0042】
図5に示すプロジェクター30は、照明系31と、色分離光学系32と、複数系統の画像形成系33〜35と、色合成素子36と、投写光学系37とを備える。なお、図5中の符号AXは、照明系31から投写光学系37に至る光路上に配置された各部の光軸を連結したシステム光軸を示す。本実施形態のプロジェクター30は、フルカラーの画像をスクリーン等の投写面SCに表示することができる。
【0043】
プロジェクター30は、概略すると、以下のように動作する。
照明系31は、白色の光L1を射出する。色分離光学系32は、照明系31から射出された光L1を、波長が互いに異なる複数色の光に分離する。各画像形成系33〜35は、色分離光学系32から射出される各色の光と1対1の対応で設けられており、対応する色の光により画像を形成する。色合成素子36は、複数系統の画像形成系33〜35によって形成された複数色の画像を、互いに重ねてフルカラーの画像に合成する。投写光学系37は、合成されたフルカラーの画像を投写する。
【0044】
次に、プロジェクター30の各構成要素について詳しく説明する。
照明系31は、光源装置40と、集光レンズ41と、回転蛍光板42と、コリメート光学系43と、均一化光学系44とを有する。光源装置40は、上記の光源装置1と同様の構成である。本実施形態の光源装置40は、ほぼ平行光とみなすことができる青色のレーザー光L2を射出可能である。光源装置40から射出されたレーザー光L2は、集光レンズ41に入射して屈折し、集光しつつ回転蛍光板42に入射する。
【0045】
回転蛍光板42は、透光性を有する円板と、円板の片面に円環状に形成された蛍光体層とを有し、円板の円周方向に回転駆動される。回転蛍光板42は、蛍光体層が集光レンズ41の後側焦点の近傍になるように、配置されている。蛍光体層は、青色のレーザー光L2を受けて励起して緑色から赤色の波長帯の光を発する蛍光物質と、青色のレーザー光L2を散乱させる散乱粒子とを含む。蛍光体層は、青色のレーザー光L2を受けて、蛍光物質が発する光と蛍光物質に吸収されずに射出される青色の光とを含んだ白色の光L1を射出する。
【0046】
回転蛍光板42から射出された光L1は、コリメート光学系43を通って、均一化光学系44に入射する。コリメート光学系43は、回転蛍光板42から射出される光L1を平行化する。均一化光学系44は、コリメート光学系43から射出された光L1のライトバルブ(後述する)での照度を均一化し、かつ光L1の偏光状態を揃える。
【0047】
均一化光学系44は、第1レンズアレイ45と、第2レンズアレイ46と、偏光変換素子47と、重畳レンズ48とを有する。第1レンズアレイ45及び第2レンズアレイ46は、それぞれ、システム光軸AXと直交する面内に複数のレンズ要素が2次元的に配列された構造である。第1レンズアレイ45のレンズ要素は、第2レンズアレイ46のレンズ要素と1対1で対応している。
【0048】
回転蛍光板42から射出された光L1は、第1レンズアレイ45の各レンズ要素に入射した部分光束ごとに集光される。第1レンズアレイ45の各レンズ要素から射出された部分光束は、このレンズ要素と対応する第2レンズアレイ46の各レンズ要素に結像して二次光源を形成する。
【0049】
偏光変換素子47は、第2レンズアレイ46のレンズ要素と1対1で対応するセルを複数有する。第2レンズアレイ46の各レンズ要素から射出された光は、このレンズ要素に対応するセルに入射する。各セルは、偏光分離膜(PBS)と、1/2波長板と、光路調整ミラーとを有する。偏光分離膜は、各セルに入射する光を第1の直線偏光と第2の直線偏光とに分離する。1/2波長板は、偏光分離膜で分離された第1の直線偏光を第2の直線偏光に変換する。ミラーは、偏光分離膜で分離された第2の直線偏光と、偏光分離膜で分離された第1の直線偏光が1/2波長板によって変換された第2の直線偏光とが1つのスポットになるように、各セル内の光路を調整する。
【0050】
偏光変換素子47の各セルから射出された部分光束は、重畳レンズ48に入射し、重畳レンズ48によって照明系31の照明領域にて重畳される。本実施形態において、照明系31の照明領域は、各画像形成系の一部を構成するライトバルブである。
【0051】
色分離光学系32は、第1ダイクロイックミラー49と、第2ダイクロイックミラー50と、第1反射ミラー51と、第2反射ミラー52と、第3反射ミラー53とを有する。
【0052】
第1ダイクロイックミラー49は、青色の光L3が反射し、緑色の光L4及び赤色の光L5が透過する特性を有している。第1ダイクロイックミラー49で反射した青色の光L3は、第1反射ミラー51で反射した後に、第1の画像形成系33に入射する。
【0053】
第2ダイクロイックミラー50は、緑色の光L4が反射し、赤色の光L5が透過する特性を有している。第1ダイクロイックミラー49を透過した緑色の光L4は、第2ダイクロイックミラー50で反射した後に、第2の画像形成系34に入射する。第1ダイクロイックミラー49を透過した赤色の光L5は、第2ダイクロイックミラー50を透過した後に、第2反射ミラー52及び第3反射ミラー53で反射して、第3の画像形成系35に入射する。
【0054】
画像形成系33〜35は、プロジェクター30に入力された画像データに基づいて、それぞれ、フルカラーの画像を構成する各色の画像のうちのいずれかを形成する。第1の画像形成系33は青色の画像を形成し、第2の画像形成系34は緑色の画像を、第3の画像形成系35は赤色の画像をそれぞれ形成する。
【0055】
画像形成系33〜35は、いずれも同様の構成であり、ここでは第1の画像形成系33の構成を代表的に説明する。画像形成系33は、フィールドレンズ54及びライトバルブ55を有する。フィールドレンズ54は、色分離光学系32から入射した光L3を平行化する。フィールドレンズ54により平行化された光L3は、ライトバルブ55に入射する。ライトバルブ55は、例えば透過型の液晶ライトバルブにより構成され、各画素から射出される光L3の光量を画素ごとに独立して制御することができる。
【0056】
色合成素子36は、ダイクロイックプリズム等により構成される。色合成素子36は、青色の光L3が反射するとともに緑色の光L4及び赤色の光L5が透過する波長選択膜と、赤色の光L5が反射するとともに青色の光L3及び緑色の光L4が透過する波長選択膜とが、互いに直交して設けられた構造である。色合成素子36に入射した光L3〜L5は、上記の波長選択膜で反射あるいは透過することによって、互いに重ね合わされてフルカラーの画像を示す合成光L6になる。色合成素子36から射出された合成光L6が、投写光学系37によって投写面SC上に結像することによって、投写面SC上にフルカラーの画像が表示される。
【0057】
以上のような本実施形態のプロジェクター30は、光源装置40に複数の固体光源を製造効率の低下を招くことなく高密度で集積可能であるので、製造効率の低下を招くことなくプロジェクター30を小型にすることができる。また、光源装置40に複数の固体光源を高密度で集積可能であるので、光源装置40から射出される光の全体としてのスポットサイズを小さくすることができ、光源装置40から投写光学系37までの光路に配置される各部を小型にすることができるので、プロジェクター30を小型にすることができる。
【0058】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されない。
押圧部材4の係止部25は、弾性変形して固体光源3のアイレット12と接触していてもよい。また、押圧部材4は、2以上の部品を接合した構造でもよく、例えば複数の孔部24を有する基体と、孔部24の内周の内側に張出すように基体に取付けられた係止部とを有する構造でもよい。
【0059】
光源装置1は、支持部材6とスペーサー部材5の少なくとも一方を有していなくてもよい。また、押圧部材4は、支持部材6とスペーサー部材5の少なくとも一方と一体的に接合された状態で、ベース部材2に取付けられていてもよい。
【0060】
ベース部材2、押圧部材4、支持部材6、及びスペーサー部材5のうちの少なくとも1つは、板状以外の形状、例えば棒状やブロック状でもよく、また2以上の板状あるいはその他の形状の部品を一体化した構造でもよい。
【0061】
固体光源3は、光を射出可能であり、突出方向からみて基端部の外周の少なくとも一部が先端部の外周よりも外側に張り出しているものであれば、その構成に限定はない。例えば、ステイ14及びコリメーターレンズ15は、固体光源3以外の構成要素に設けられていてもよいし、光源装置に設けられていなくてもよい。固体光源3は、ベース部材2の上面2Aと対して非垂直な方向に光を射出してもよい。例えば、固体光源3は、端面発光型のレーザー素子を有し、ベース部材2の上面2Aと平行な方向に光を射出するように、ベース部材2に固定されていてもよい。
【0062】
また、光源装置1は、ベース部材2が放熱板として機能しなくてもよいし、ベース部材2とは別に固体光源3の熱を放熱可能な放熱部材を有していてもよい。
【0063】
上記の実施形態のプロジェクター30は、各画像形成系に個別に光源装置が設けられた構成でもよい。画像形成系の一部を構成するライトバルブは、反射型の液晶ライトバルブでもよいし、デジタルミラーデバイスでもよい。また、上記の実施形態の光源装置は、プロジェクター以外の表示装置や照明装置等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・光源装置、2・・・ベース部材、2A・・・上面(表面)、3・・・固体光源、4・・・押圧部材
5・・・スペーサー部材、6・・・支持部材、12・・・アイレット(基端部)、12A・・・外周、16・・・先端部、16A・・・外周、24・・・孔部、25・・・係止部(周縁部)、30・・・プロジェクター、40・・・光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材の表面から突出して配置され、前記表面からの突出方向に直交する面内で前記突出方向の基端部の外周の少なくとも一部が先端部の外周よりも外側に張り出している複数の固体光源と、
前記基端部に対して前記ベース部材とは反対側に配置され、前記複数の固体光源と同じ配列の複数の孔部を有し、該孔部ごとに前記先端部が挿通されているとともに、該孔部の周縁部は前記先端部の外周から張り出している部分の前記基端部を前記ベース部材の表面に向けて押圧している押圧部材と、を備える光源装置。
【請求項2】
前記押圧部材の前記周縁部は、前記固体光源の突出方向に変形して前記固体光源の基端部と接触している請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記押圧部材に対して前記ベース部材とは反対側に配置され、前記押圧部材の前記周縁部よりも塑性変形しにくい材質からなり、前記押圧部材を前記ベース部材に向って押圧して支持する支持部材を備える請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記固体光源の前記基端部と接触している放熱板である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記ベース部材と前記押圧部材との間に配置され、前記複数の固体光源と同じ配列の複数の貫通孔を有し、該貫通孔ごとに前記基端部が挿通されているスペーサー部材を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置を備えるプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−156233(P2012−156233A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12832(P2011−12832)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】