説明

光源装置

【課題】
ランプが破裂しても破裂片が装置筐体内に飛散して甚大な被害を及ぼさず、また、極めて簡便な構成で反射鏡内の放電ランプを確実に冷却可能にする。
【解決手段】
楕円反射鏡(3)に放電ランプ(4)が装着されると共に反射鏡開口部(3a)に防爆用透光板(5)が取り付けられたランプユニット(6)の設置位置に、筐体(8)を冷却用空気取入口(12)が形成された正面側空間(S1)と、排気ファン(13)を備えた背面側空間(S2)とに仕切る仕切板(11)が配され、防爆用透光板(5)には、放電ランプ(4)の先端部と対向する中央部に、正面側空間S1と反射鏡内部とを連通する通風孔(16)を形成し、仕切板(11)に当接された周縁部の少なくとも一箇所に、反射鏡内部と背面側空間(S2)を連通する通風切欠部(17)を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円反射鏡に放電ランプが装着されると共に反射鏡開口部に防爆用透光板が取り付けられたランプユニットを、正面に光出射口が形成された筐体に内蔵させた光源装置に関し、特に、液晶基板その他の工業製品の検査装置において、照射対象物に光を照射するライトガイドに光を導入するための光源装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
製品検査を行う場合に、光源から照射された光をライトガイドで照射位置まで伝送し、その光出射端から照射させて検査対象物を照明しながら、その画像をCCDカメラ等の撮像装置で取り込んで所定の画像処理及び画像解析を行うことにより、対象物の良否判定を行っている。また、照明された検査対象物を人が検査する目視検査にも使用される場合がある。
【0003】
このような検査装置に用いる光源装置としては、電極間距離初期値2〜2.5mm程度のメタルハライドランプがその光を集光させる楕円反射鏡に装着されたランプユニットを、正面に光出射口が形成された筐体に内蔵し、光出射口にライトガイドの光入射端を接続した構成が一般的である。
【0004】
最近、上述したような光源装置として、高輝度で配光制御が容易な点光源に近い光を生じさせるために、発光管の放電容器内に封入する水銀量を0.15mg/mm以上とし、放電容器内に対向して配設する電極間距離を1.5mm以下としたショートアーク型の超高圧水銀ランプが使用される場合がある。
【0005】
ショートアーク型超高圧水銀ランプを使用することにより光利用率が向上し、有効径が細いライトガイドを使用する場合、従来のメタルハライドランプ搭載装置ほどの投入電力が必要なく、実用上支障の無い照度が得られる。したがって、給電回路や反射鏡が従来よりも小型に設計でき、装置本体の小型化を図ることが可能となる。
【0006】
しかしながら、前述のように放電容器内の水銀量を増大させたことにより、ランプ点灯時の内圧は、従来のメタルハライドランプと比して著しく高くなり、万一ランプが破裂した場合、破裂片が装置筐体内で飛散し、甚大な被害を及ぼす可能性がある。またそれを回避するために防爆ガラス等を反射鏡開口部に取り付け密閉にし、防爆構造を採ることも考えられるが、この場合は、密閉された反射鏡内の放電ランプの所望箇所を冷却することが難しい。
【0007】
このため、略密閉構造のランプユニットを効果的に冷却するために、反射鏡開口部に透明隔壁を配し、ランプユニットの有効光束よりも外側になる位置に通風孔を形成し、当該通風孔を導風ダクトにより吸気用ファンと接続することにより、ランプユニット内に送風した空気を外部に排出させる光源装置が提案され、これにより発光管を効果的に冷却可能としている。(特許文献1参照)
【0008】
しかしながら、発光管の発光部は冷却されるものの、ランプユニットの前方に波長選択フィルターを配置した装置構成の場合、当該フィルターを透過しない光成分の一部が発光管先端部に戻り過度の温度上昇を引き起こし、リード線が酸化し、溶断するおそれがある。また、上記構成の光源装置は導風管等の部品点数が多く、装置構成が複雑なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4090272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、ランプが破裂しても破裂片が装置筐体内に飛散して甚大な被害を及ぼすことがなく、また、導風ダクトなどを設けるまでもなく極めて簡便な構成で、発光部のみならず発光管先端部まで反射鏡内の放電ランプを確実に冷却可能にし、ランプユニットの前方に波長選択フィルターを配置する場合でも、発光管先端部が過度に温度上昇することなく、リード線の酸化・溶断を防止できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するため、本発明は、楕円反射鏡に放電ランプが装着されると共に反射鏡開口部に防爆用透光板が取り付けられたランプユニットを、正面に光出射口が形成された筐体に内蔵させた光源装置において、前記ランプユニットの設置位置には、前記筐体を、冷却用空気取入口を形成した正面側空間と、排気ファンを備えた背面側空間とに仕切る仕切板が配され、当該仕切板には、ランプユニットの光を光出射口に向けて透過させる開口窓が形成されると共に、その背面側から防爆用透光板を当接させたときに前記開口窓の周縁部によりランプユニットの周囲と筐体との隙間が塞がれ、前記防爆用透光板は、放電ランプの先端部と対向する中央部に、前記筐体の正面側空間と反射鏡内部とを連通する通風孔が形成されると共に、仕切板に当接された周縁部の少なくとも一箇所に、反射鏡内部と背面側空間とを連通する通風切欠部が形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光源装置によれば、筐体の正面側空間に冷却用空気取入口が形成され、背面側空間に排気ファンを備えており、正面側空間と背面側空間の境界に配されたランプユニットの周囲と筐体との隙間が仕切板により塞がれている。
また、防爆用透光板には、その中央部に正面側空間と反射鏡内部とを連通する通風孔が形成され、周縁部に反射鏡内部と背面側空間とを連通する通風切欠部が形成されている。
したがって、正面側空間は、通風孔を介して反射鏡内部に連通し、通風切欠部を介して背面側空間に連通し、通風孔及び通風切欠部を形成した防爆用透光板を仕切板に当接するだけで、冷却空気取入口−通風孔−反射鏡内部−通風切欠部−背面側空間の冷却通風路が形成されることとなる。
【0013】
ここで、排気ファンを起動すると、冷却通風路を通って外気が筐体内に取り入れられ、筐体内の加熱された空気が排気ファンより排出される。
このとき、通風孔は放電ランプの先端部と対向する防爆用透光板の中央部に開口されているので、通風孔を通って反射鏡内に取り入れられる外気は、まず、放電ランプの先端部にあたって当該先端部が確実に冷却される。
その後、ランプに沿って流れ発光部が冷却され、反射鏡の底部で反転され、反射鏡に沿って防爆用透光板に向かって流れ、通風切欠部から背面側空間に抜ける。
そして、背面側空間では、空気の一部が反射鏡の背面に沿って流れ、反射鏡が冷却された後、排出される。
【0014】
なお、万一、放電ランプが破裂することがあっても、反射鏡正面には防爆用透光板が設けられ、通風孔及び通風切欠部を除く部分が塞がれているため、破裂片のほとんどが反射鏡内に残り、外部に飛散する確率は極めて少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光源装置の内部構造を示す斜視図。
【図2】ランプユニットの正面図。
【図3】筐体内の空気流を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本例では、ランプが破裂しても破裂片が装置筐体内に飛散して甚大な被害を及ぼすことがなく、また、導風ダクトなどを設けるまでもなく極めて簡便な構成で、発光部のみならず発光管先端部まで反射鏡内の放電ランプを確実に冷却可能にするという目的を達成するために、楕円反射鏡に放電ランプが装着されると共に反射鏡開口部に防爆用透光板が取り付けられたランプユニットを、正面に光出射口が形成された筐体に内蔵させた光源装置において、ランプユニットの設置位置には、筐体を、冷却用空気取入口を形成した正面側空間と、排気ファンを備えた背面側空間とに仕切る仕切板を配し、当該仕切板には、ランプユニットの光を光出射口に向けて透過させる開口窓が形成されると共に、その背面側から防爆用透光板を当接させたときに前記開口窓の周縁部によりランプユニットの周囲と筐体との隙間が塞がれ、前記防爆用透光板の放電ランプの先端部と対向する中央部に、前記筐体の正面側空間と反射鏡内部とを連通する通風孔を形成し、仕切板に当接された周縁部の少なくとも一箇所に、反射鏡内部と背面側空間とを連通する通風切欠部を形成した。
【実施例1】
【0017】
図1に示された本発明に係る光源装置1は、例えば、液晶基板やその他の工業製品の検査対象物の画像をCCDカメラ等の撮像装置で取り込んで所定の画像処理及び画像解析を行うことにより対象物の良否判定を行う際に、検査対象物に光を照射するライトガイド2に光を導入するために用いられるもので、楕円反射鏡3に放電ランプ4を装着すると共に反射鏡開口部3aに防爆用透光板5を取り付けたランプユニット6が、正面に光出射口7を形成した筐体8に内蔵されている。
放電ランプ4は、発光部9内に対向配設された一対の電極アセンブリ(図示せず)が、その両側に形成された封止部10、10で気密封止され、その封止部両端からリード線(図示せず)が導出されて給電回路に接続されている。
ている。
光出射口7には、ライトガイド2の光入射端面が、反射鏡3の第2焦点位置近傍に位置するように挿入されている。
【0018】
筐体8内にはランプユニット6の設置位置に仕切板11が配され、これにより筐体8が、冷却用空気取入口12を形成した正面側空間S1と、排気ファン13を備えた背面側空間S2とに仕切られている。
仕切板11には、反射鏡3により形成される光束径以上で且つ防爆用透光板5の外径より小さい開口窓14が形成され、ランプユニット6の光を光出射口7に向けて透過させることができるようになっている。
また、仕切板11に対してその背面側から防爆用透光板5を当接させたときに、当該開口窓14の周縁部15によりランプユニット6の周囲と筐体8との隙間が塞がれるようになっている。
さらに、排気ファン13は、放電ランプ4の点灯と同時に起動され、放電ランプ4の消灯後も排気温度が予め設定された一定値まで低下した時点で停止されるようにコントロールされる。
【0019】
ランプユニット6の防爆用透光板5には、その中央部に通風孔16が形成され、当該通風孔16により、筐体8の正面側空間S1と反射鏡3内部が連通されている。
本例の通風孔16は、放電ランプ4の封止部10の先端と対向する部分に、内径が放電ランプ4の封止部10の先端の外径より小さくなるように形成されている。放電ランプ4が破裂する場合、その破裂箇所は略100%が発光部であり、破裂片は発光部を中心にして外側に向かって飛散するので、放電ランプ4の封止部10の先端と対向する部分に形成された通風孔16から外部に飛散する可能性は少ない。
【0020】
また、仕切板11に当接された防爆用透光板5には、その周縁部の少なくとも一箇所に、反射鏡3内部と背面側空間S2とを連通する通風切欠部17が形成されている。本例では、当該通風切欠部17が防爆用透光板5の周縁部から仕切板11の開口窓14の内側に至る大きさに切り欠かれ、通風切欠部17を介して筐体8内の正面側空間S1と背面側空間S2が直接連通するようになっている。
【0021】
さらに、図2に示すように、ランプユニット6を正面から見て、放電ランプ4の中心を通る直径方向下端部位置を0°としたとき、通風切欠部17が防爆用透光板5の中心角45°〜315°の範囲(図2(a)参照)、より好ましくは、中心角90°〜270°の範囲(図2(b)参照)に形成されている。
この場合、通風切欠部17は、反射鏡開口部3aの最も低い部分を避けて形成されることが好ましく、例えば、開口部3aの断面が円形である場合は、通風切欠部17の中心が、図2(a)に示すように中心角45°〜315°の範囲に位置していればよく、本例では通風切欠部17を90°の位置に形成しているが、必要に応じて、一点鎖線図示の如く、180°の位置、270°の位置に形成してもよい。
開口部3aの断面が方形である場合は、その底辺を避けて、通風切欠部17の中心が、図2(b)に示すように中心角90°〜270°の範囲に位置していればよく、本例では通風切欠部17を90°の位置に形成しているが、必要に応じて、一点鎖線図示の如く、180°の位置、270°の位置に形成してもよい。
なお、光出射口7と仕切板11との間には、波長選択フィルター18が配されている。
【0022】
以上が、本発明の一構成例であって、次にその作用について図3を伴って説明する。
放電ランプ4を点灯させることにより排気ファン13が起動されると、筐体8の背面側空間S2が陰圧となるので、冷却用空気取入口12から正面側空間S1を通り、通風孔16及び通風切欠部17を介して背面側空間S2に向かう空気流が形成される。
【0023】
このとき、正面側空間S1は通風孔16を介して反射鏡3内部に連通しており、冷却用空気取入口12から正面側空間S1に流入した空気の一部が、矢印F1,F2のように流れ、通風孔16から反射鏡3内部に流入する。
このとき、通風孔16は放電ランプ4の封止部先端10aと対向する防爆用透光板5の中央部に開口されているので、通風孔16を通って反射鏡3内に流入した空気は、矢印F3のように、放電ランプ4の封止部先端10aにあたって当該先端部10aが確実に冷却される。
その後、矢印F4のように、ランプ4に沿って流れて発光部9が冷却され、反射鏡3の底部で防爆用透光板5に向かって反転され、反射鏡3の内面に沿って防爆用透光板5に向かって流れ、矢印F5のように通風切欠部17から背面側空間S2に抜ける。
【0024】
また、正面側空間S1から反射鏡3内に流入されなかった空気は、矢印F6のように流れて通風切欠部17を通り、反射鏡3から流出する矢印F5の空気と合流して背面側空間S2に流入する。
そして、背面側空間S2では、矢印F7のように流れ、反射鏡3から発せられた熱を外部に排出する。
【0025】
ここで、放電ランプ4の発光部9が破裂して、破裂片が反射鏡3内に飛散することがあっても、反射鏡3の正面には防爆用透光板5が設けられ、通風孔16及び通風切欠部17を除く部分が塞がれているため、破裂片のほとんどが反射鏡3内に残る。
【0026】
特に、通風孔16は放電ランプ4の封止部先端10aに対向して形成されているので、発光部9の破裂片が通風孔16から外部に飛散することがなく、また、先端側の封止部10は、その先端から出るリード線(図示せず)が反射鏡3外部で保持されており、発光部9が破裂したときにそのリード線の張力が作用するので、正面に向かって吹き飛ぶことはなく、やはり、通風孔16から外部に飛散することはない。
しかも、通風孔16の内径は、放電ランプ4の封止部先端10aの外径より小さく形成されているので、万一、封止部10が正面に向かって吹き飛んでも、通風孔16から外部に飛散することはない。
【0027】
また、発光部9の破裂片は、反射鏡3内の最も低い部分に集まることになるが、通風切欠部17は、反射鏡開口部3aの最も低い部分を避けて形成されているので、その破裂片が通風切欠部17から外部に落下することがない。
【0028】
上述したように、本発明によれば、防爆用透光板5に通風孔16及び通風切欠部17を形成するという極めて簡単な構成で、十分な冷却効果を得ることができ、破裂時における破裂片の飛散も確実に防止することができるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、液晶基板その他の工業製品の検査工程で、光出射口に接続されたライトガイドを介して照射対象物に光を照射する光源装置の用途に適用し得る。
【符号の説明】
【0030】
1 光源装置
3 楕円反射鏡
3a 反射鏡開口部
4 放電ランプ
5 防爆用透光板
6 ランプユニット
7 光出射口
8 筐体
11 仕切板
12 冷却用空気取入口
S1 正面側空間
13 排気ファン
S2 背面側空間
14 開口窓
15 周縁部
16 通風孔
17 通風切欠部






【特許請求の範囲】
【請求項1】
楕円反射鏡に放電ランプが装着されると共にその反射鏡開口部に防爆用透光板が取り付けられたランプユニットを、正面に光出射口が形成された筐体に内蔵させた光源装置において、
前記ランプユニットの設置位置には、前記筐体を、冷却用空気取入口を形成した正面側空間と、排気ファンを備えた背面側空間とに仕切る仕切板が配され、
当該仕切板には、ランプユニットの光を光出射口に向けて透過させる開口窓が形成されると共に、その背面側から防爆用透光板を当接させたときに前記開口窓の周縁部によりランプユニットの周囲と筐体との隙間が塞がれ、
前記防爆用透光板には、放電ランプの先端部と対向する中央部に、前記筐体の正面側空間と反射鏡内部とを連通する通風孔が形成されると共に、仕切板に当接された周縁部の少なくとも一箇所に、反射鏡内部と背面側空間とを連通する通風切欠部が形成されたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記通風切欠部を介して筐体の正面側空間が背面側空間に直接連通されてなる請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記通風孔の内径が放電ランプの先端部外径より小さく形成された請求項1又は2記載の光源装置。
【請求項4】
ランプユニットを正面から見て、放電ランプの中心を通る直径方向下端部位置を0°としたとき、前記通風切欠部が前記防爆用透光板の中心角45°〜315°の範囲、より好ましくは、中心角90°〜270°の範囲の周縁部に形成された請求項1乃至3いずれか記載の光源装置。
【請求項5】
前記仕切板の開口窓が、反射鏡により形成される光束径以上で且つ防爆用透光板の外径より小さく形成され、前記通風切欠部が防爆用透光板の周縁部から前記開口窓の内側に至る大きさに切り欠かれた請求項1乃至4いずれか記載の光源装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−171167(P2011−171167A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34873(P2010−34873)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】