説明

光硬化性プリプレグシート

【課題】 本発明は、作業性、形状追従性、補強性能及び保存安定性に優れ、保護フィルムに穴が開いてブロッキングを生じることがなく、廃棄物の発生量が少なく、使用後の樹脂のリサイクルや焼却処分が可能である光硬化性プリプレグシートを提供する。
【解決手段】 本発明の光硬化性プリプレグシートAは、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と補強繊維とで構成され且つ加熱によりプリプレグ化されたプリプレグ層1を含有してなる光硬化性プリプレグシートAであって、上記プリプレグ層1の表面に、遮光性フィルム22及び内層フィルム21が剥離可能に積層一体化されてなる表面保護フィルム2が、その内層フィルム21を上記プリプレグ層1に対向させた状態で積層一体化されている一方、上記プリプレグ層1の裏面に、厚さ30〜100μmのポリオレフィン系樹脂フィルムからなる裏面保護フィルム5が積層一体化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物などの各種構造物の補強に用いられる光硬化性プリプレグシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化性プリプレグシートとしては、補強繊維及び光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物からなるシートの両面にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどからなる樹脂フィルムを積層一体化させてなるものが使用されている。
【0003】
上記光硬化性プリプレグシートとしては、例えば、特許文献1に、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる樹脂(A)、重合性不飽和単量体(B)、光重合開始剤(C)、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とする増粘剤(D)を必須成分とする光硬化性コンパウンドを2層以上ラミネートしてなる光硬化性プリプレグの両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層一体化してなる光硬化性プリプレグシートが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記光硬化性プリプレグシートは、その保管時において、重合開始剤の分解や、樹脂及び重合性不飽和単量体における二重結合の開裂などにより、ラジカルが発生し、光硬化性プリプレグシートが変質劣化してしまうという問題が生じた。特に、上記光硬化性プリプレグシートのプリプレグ化を加熱により行なった場合、ラジカルの発生量が著しく増加し、光硬化性プリプレグシートの変質劣化が進行するため、光硬化性プリプレグシートの補強能力や保存安定性が低下した。又、上記光硬化性プリプレグシートは、設置する各種構造物への形状追従性が不十分であり、更に、保護フィルムに使用する樹脂の種類やその厚さによっては、保護フィルムに穴が開き、穴の部分から光硬化性コンパウンド同士がひっつきブロッキングを生じることもあった。
【0005】
そこで、これらの問題点を解消する光硬化性プリプレグシートとして、特許文献2に、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と、補強繊維又は金属網とで構成された光硬化性プリプレグシートの一方の面に厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムからなる保護フィルムが、他方の面に剥離可能な遮光層が外面に設けられた保護フィルムが、積層一体化されてなる保護フィルム付光硬化性プリプレグシートが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記保護フィルム付光硬化性プリプレグシートは、その一方の面に設けられた保護フィルム及び他方の面の保護フィルムの外面に設けられた遮光層を剥離させる必要があり、廃棄物の増加及び作業性の低下という問題があった。
【0007】
又、上記保護フィルム付光硬化性プリプレグシートの一方の面に設けられた保護フィルムは、光硬化性プリプレグシートと強く粘着しており、剥離させる際に光硬化性プリプレグシートを破損してしまうことがあった。そこで、特許文献2には、上記一方の面に設けられる保護フィルムの内面にシリコーン処理などの離型処理を施すことも提案されている。
【0008】
しかしながら、シリコーン処理を施した保護フィルム付光硬化性プリプレグシートは、焼却処分をすることができず、更に、使用した樹脂をリサイクルして使用することができないといった問題も生じた。
【0009】
【特許文献1】特開2002−88176号公報
【特許文献2】特開2006−104394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、作業性、形状追従性、補強性能及び保存安定性に優れ、保護フィルムに穴が開いてブロッキングを生じることがなく、廃棄物の発生量が少なく、使用後の樹脂のリサイクルや焼却処分が可能である光硬化性プリプレグシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光硬化性プリプレグシートは、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と補強繊維とで構成され且つ加熱によりプリプレグ化されたプリプレグ層を含有してなる光硬化性プリプレグシートであって、上記プリプレグ層の表面に、遮光性フィルム及び内層フィルムが剥離可能に積層一体化されてなる表面保護フィルムが、その内層フィルムを上記プリプレグ層に対向させた状態で積層一体化されている一方、上記プリプレグ層の裏面に、厚さ30〜100μmのポリオレフィン系樹脂フィルムからなる裏面保護フィルムが積層一体化されていることを特徴とする。
【0012】
そして、上記光硬化性プリプレグシートにおいて、内層フィルムがポリアミド系樹脂フィルムからなることを特徴とする。
【0013】
又、上記光硬化性プリプレグシートにおいて、ポリアミド系樹脂フィルムに静電気防止処理を施していることを特徴とする。
【0014】
更に、上記光硬化性プリプレグシートにおいて、遮光性フィルムと内層フィルムとの間の剥離強度が2.0〜6.0N/15mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光硬化性プリプレグシートは、その裏面保護フィルムが厚さ30〜100μmのポリオレフィン系樹脂フィルムからなるため、形状追従性に優れており、補強する各種構造物の形状に隙間なく沿った状態に貼着或いは巻きつけることができると共に、機械的強度に優れており、保管時において、裏面保護フィルムに穴が開くようなことはなく、プリプレグ層同士が結合してブロッキングが発生することはない。
【0016】
そして、上記光硬化性プリプレグシートは、その表面保護フィルムに遮光性フィルムを含有してなることから、保管時において劣化が起こりにくく、保存安定性に優れている。
【0017】
更に、上記光硬化性プリプレグシートは、そのプリプレグ層が、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物及び補強繊維から構成されているので、各種構造物に対する補強性能にも優れている。
【0018】
又、上記光硬化性プリプレグシートの内層フィルムをポリアミド系樹脂フィルムから構成している場合には、内層フィルムと遮光性フィルムとが、適度な粘着力で剥離可能に積層一体化されているので、光硬化性プリプレグシートの保管時においては不測に剥離しない一方、光硬化性プリプレグシートの使用時においては内層フィルムから遮光性フィルムを支障なく剥離、除去させることができる。
【0019】
そして、本発明の光硬化性プリプレグシートは、内層フィルムから遮光性フィルムを支障なく剥離させることができるように構成しているので、内層フィルムと遮光性フィルムとの間にシリコーン処理などの離型処理を施す必要がなく、使用後の樹脂をリサイクルすることや焼却処分することが可能である。
【0020】
本発明の光硬化性プリプレグシートは、その使用時において、遮光性フィルムのみを剥離させればよく、廃棄物の量を低減させることができると共に、剥離作業が一回で済み、作業性が向上されているため、好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の光硬化性プリプレグシートの一例を図面を参照しつつ説明する。本発明の光硬化性プリプレグシートAのプリプレグ層1は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と補強繊維とからなり且つ加熱によりプリプレグ化されたものである。
【0022】
上記プリプレグ層1を構成する光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物は、酸素が劣化抑制剤として作用する、光硬化性の樹脂組成物が使用され、例えば、主剤樹脂、液状重合性単量体及び光重合開始剤を含有してなる樹脂組成物が挙げられる。
【0023】
そして、上記主剤樹脂としては、紫外線、可視光線、近赤外線などによってラジカルを発生するものであれば、特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アリルエステル樹脂、キシレン樹脂などが挙げられ、ビニルエステル樹脂が好ましい。
【0024】
又、上記液状重合性単量体は、主剤樹脂の溶剤として用いられ、このような液状重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどが挙げられ、スチレンが好ましい。
【0025】
更に、上記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン及びこれらの誘導体などが挙げられ、ベンゾフェノンが好ましい。
【0026】
そして、上記プリプレグ層1中には補強繊維が含有されている。このような補強繊維としては、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、金属繊維などが挙げられ、ガラス繊維が好ましい。
【0027】
又、上記補強繊維の形態としては、特に限定されず、例えば、チョップドストランド、ロービング、織布状、不織布状、編み物状、メッシュ状などが挙げられ、ガラス繊維以外の補強繊維を用いる場合は、光の透過性の点から、メッシュ状が好ましい。
【0028】
上記プリプレグ層1の厚さは、薄いと、光硬化性プリプレグシートの各種構造物に対する補強性能が低下することがある一方、厚いと、光硬化性プリプレグシートの各種構造物に対する形状追従性が低下することがあるので、0.5〜3mmが好ましく、1〜2mmがより好ましい。
【0029】
そして、本発明の光硬化性プリプレグシートAのプリプレグ層1の表面には、図1に示したように、遮光性フィルム22及び内層フィルム21が剥離可能に積層一体化されてなる表面保護フィルム2が、その内層フィルム21を上記プリプレグ層1に対向させた状態に積層一体化されている。
【0030】
上記表面保護フィルム2を構成している遮光性フィルム22は、光硬化性プリプレグシートAの保管時において、光硬化性プリプレグシートAのプリプレグ層1が紫外線、可視光線、近赤外線などの光によって硬化して劣化するのを防ぐ目的で設けられており、光硬化性プリプレグシートAを使用する際には、内層フィルム21から剥離、除去される。そのため、上記表面保護フィルム2としては、その遮光性フィルム22と内層フィルム21とが、光硬化性プリプレグシートAの保管時においては不測に剥離しない一方、光硬化性プリプレグシートAの使用時においては、内層フィルム21から支障なく剥離、除去させることができることが要求される。
【0031】
このような遮光性フィルム22と内層フィルム21とが適度な粘着力で積層一体化された表面保護フィルム2を得るために、遮光性フィルム22をポリオレフィン系樹脂フィルムから構成すると共に、内層フィルム21をポリアミド系樹脂フィルムから構成することが好ましい。
【0032】
上記遮光性フィルム22としては、特に限定されないが、上述のように、ポリオレフィン系樹脂フィルムが好適に使用される。このポリオレフィン系樹脂フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、ポリエチレン系樹脂が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0033】
なお、上記エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、特に限定されず、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0034】
又、上記プロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0035】
そして、上記遮光性フィルム22を構成するポリオレフィン系樹脂の密度は、低いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が強くなり過ぎて、内層フィルムから遮光性フィルムを剥離させるのが困難になることがある一方、高いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が低くなり過ぎて、光硬化性プリプレグシートの保管時において、遮光性フィルムが内層フィルムから不測に剥離してしまうことがあるので、0.89〜0.94g/cm3が好ましく、0.91〜0.93g/cm3がより好ましい。なお、本発明においてポリオレフィン系樹脂の密度は、JIS K7112に準拠して測定された値をいう。
【0036】
又、上記遮光性フィルム22を構成するポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、低いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が低くなり過ぎて、光硬化性プリプレグシートの保管時において、遮光性フィルムが内層フィルムから不測に剥離してしまうことがある一方、高いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が高くなり過ぎて、内層フィルムから遮光性フィルムを剥離させるのが困難になることがあるので、2〜20g/10分が好ましく、2〜12g/10分がより好ましく、5〜12g/10分が特に好ましい。なお、本発明において、ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトは、JIS K7210に準拠して測定された値をいう。
【0037】
又、上記遮光性フィルム22は、二以上のフィルムが積層一体化された多層フィルムであってもよい。このように、遮光性フィルム22が多層フィルムから構成される場合、遮光性フィルム22と内層フィルム21とが適度な接着力で積層一体化された表面保護フィルム2を得るために、上記遮光性フィルム22を構成する多層フィルムにおける内層フィルム21と対向するフィルムを、上述のような、密度及びメルトフローレイトを有するポリオレフィン系樹脂から構成することが好ましい。
【0038】
そして、上記遮光性フィルム22に、遮光性を付与する方法としては、特に限定されず、例えば、フィルムに顔料を含有させる方法、フィルムにインキを印刷する方法、アルミ箔やアルミ蒸着フィルムを積層一体化する方法などが挙げられる。なお、遮光性フィルム22が、二以上のフィルムを積層一体化させてなるものである場合、遮光性フィルム22を構成するフィルムのうちの少なくとも一のフィルムに遮光性を付与すればよい。
【0039】
上記顔料及びインキとしては、特に限定されず、例えば、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレッド、イソインドリノンイエロー、ベリレン、ベリノン、フラバントロン、チオインジゴ、二酸化チタン、べんがら、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、含水珪酸塩、アルミニウム粉、カーボンブラック、パール原料などが挙げられ、高い遮光性を得られる点からカーボンブラックが好ましい。
【0040】
又、上記遮光性フィルム22の厚さは、薄いと、紫外線、可視光線、近赤外線などの光を十分に遮ることができず、光硬化性プリプレグシートが硬化して劣化することがある一方、厚いと、光硬化性プリプレグシートの取扱い性が低下するので、30〜80μmが好ましく、40〜70μmがより好ましい。
【0041】
なお、上記遮光性フィルム22が二以上のフィルムを積層一体化させてなる多層フィルムから構成される場合、多層フィルム中における遮光性を有するフィルムの厚さが薄いと、紫外線、可視光線、近赤外線などの光を十分に遮ることができず、光硬化性プリプレグシートが硬化して劣化することがあるので、25μm以上であることが好ましく、30〜60μmがより好ましい。
【0042】
そして、上記遮光性フィルム22が二以上のフィルムを積層一体化させてなる多層フィルムから構成される場合における遮光性フィルム22の製造方法としては、例えば、遮光性フィルム22を構成するフィルムを別々に製造し、これらのフィルムを熱ラミネートによって積層一体化させる方法、遮光性フィルム22を構成するフィルムを別々に製造し、これらのフィルムを接着剤を介して積層一体化する方法、予め製造しておいたフィルム上に別のフィルムを押出ラミネートして積層一体化する方法、二以上のフィルムを共押出して積層一体化する方法などが挙げられる。
【0043】
上記内層フィルム21としては、遮光性フィルム22を内層フィルム21から剥離、除去したときにプリプレグ層1に内層フィルム21を通じて光を照射させてプリプレグ層1を硬化させることができる程度の光透過性を有しておれば、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる遮光性フィルム22を適度な接着力で剥離可能に積層一体化させることができ且つ光硬化性プリプレグシートAの使用時において上記遮光性フィルム22を支障なく剥離させられる点で、ポリアミド系樹脂フィルムが好適に使用される。このポリアミド系樹脂フィルムを構成するポリアミド系樹脂としては、特に限定されず、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、ポリメタキシレンアジパミドなどが挙げられ、6−ナイロンが好ましい。なお、これらのポリアミド系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0044】
そして、内層フィルム21がポリアミド系樹脂フィルムからなる場合には、遮光性フィルム22を剥離させた際に静電気が発生しやすく、内層フィルム21の表面が帯電して塵埃が付着し易くなるので、静電気防止処理を施しておくのが好ましい。このような静電気防止処理としては、特に限定されず、例えば、内層フィルム21に帯電防止剤を含有させておく方法や、内層フィルム21における遮光性フィルム22に対向する面に帯電防止剤を塗布する方法などが挙げられる。
【0045】
上記帯電防止剤としては、特に限定されず、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤;脂肪族アミン塩、塩化ベンザルコニウム塩などのカチオン界面活性剤;アミノカルボン酸塩などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0046】
そして、上記内層フィルム21の厚さは、薄いと、遮光性フィルムを剥離させる際に内層フィルムに破れが生じることがある一方、厚いと、光硬化性プリプレグシートの形状追従性が低下することがあるので、10〜80μmが好ましく、15〜70μmがより好ましい。
【0047】
又、遮光性フィルム22と内層フィルム21との間の剥離強度は、弱いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が低くなり過ぎて、光硬化性プリプレグシートの保管時において、遮光性フィルムが内層フィルムから不測に剥離してしまうことがある一方、強いと、遮光性フィルムと内層フィルムとの接着力が強くなり過ぎて、内層フィルムから遮光性フィルムを剥離させるのが困難になることがあるので、2.0〜6.0N/15mmが好ましい。なお、遮光性フィルム22と内層フィルム21との間の剥離強度は、JIS Z1707に準拠して測定されたものをいう。
【0048】
そして、遮光性フィルム22が一のフィルムから構成される場合、表面保護フィルム2の製造方法としては、例えば、内層フィルム21と遮光性フィルム22とを別々に製造し、内層フィルム21と遮光性フィルム22とを熱ラミネートによって剥離可能に積層一体化する方法、内層フィルム21又は遮光性フィルム22の何れか一方のフィルムを製造し、このフィルム上に他方のフィルムを押出ラミネートして剥離可能に積層一体化する方法などが挙げられる。
【0049】
又、遮光性フィルム22が二以上のフィルムからなる多層フィルムから構成される場合、表面保護フィルム2の製造方法としては、例えば、予め製造しておいた遮光性フィルム22を用いて上記遮光性フィルム22が一のフィルムから構成される場合の製造方法と同様の要領で製造する方法、長尺状に予め製造しておいた第一フィルム及び内層フィルム21をそれらの長さ方向が合致した状態に重ね合わせると共に、上記第一フィルムと内層フィルム21との対向面間に、溶融状態の第二フィルムを押出機より押出して、第一フィルム、第二フィルム及び内層フィルム21がこの順に積層されてなる積層フィルムを作製し、この積層フィルムを一対のローラに供給するなどして両面から狭圧することにより、第一フィルム及び第二フィルムが積層一体化されてなる遮光性フィルム22と、内層フィルム21とを剥離可能に積層一体化して表面保護フィルム2を製造する方法が挙げられる。なお、上記第一フィルム及び第二フィルムは、それぞれ単層からなるフィルムであっても、複数層からなるフィルムであってもよい。又、上記第一フィルム及び第二フィルムの両フィルムを構成しているフィルムのうち、少なくとも一のフィルムが遮光性を有するフィルムである。
【0050】
又、図2に示したように、上記プリプレグ層1と上記内層フィルム21との間に中間フィルム3を介在させてもよい。中間フィルム3としては、遮光性フィルム22を内層フィルム21から剥離、除去したときにプリプレグ層1に内層フィルム21及び中間フィルム3を通じて光を照射させてプリプレグ層1を硬化させることができる程度の光透過性を有しておればよく、例えば、二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、未延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、アルミナ蒸着二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、アルミナ蒸着二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、シリカ蒸着二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、シリカ蒸着二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、シリカ蒸着ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられ、未延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく、未延伸ポリエチレン系樹脂フィルムがより好ましい。なお、二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、未延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムなどの表裏面の何れか一方或いは双方は、ポリビニリデン樹脂で被覆されていてもよい。
【0051】
そして、上記二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム及び未延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリプロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、これらは単独で使用されても二種以上が併用されてもよい。
【0052】
なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0053】
又、上記遮光性フィルム22の表面に、表面保護フィルム2の水蒸気透過性を低減させるために表面フィルム4を積層一体化してもよい。このような表面フィルム4としては、特に限定されないが、アルミニウム箔、二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムなどが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、アルミニウム箔が好ましい。なお、二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、中間フィルム3で用いられるフィルムと同様のフィルムが用いられるので、その説明を省略する。
【0054】
又、本発明の光硬化性プリプレグシートAのプリプレグ層1の裏面には、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる裏面保護フィルム5が積層一体化されており、ポリオレフィン系樹脂フィルムは未延伸であっても延伸されていてもよいが、未延伸のものが好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂フィルムが延伸されている場合には、強度に方向性ができるだけ生じないように二軸延伸されたものが好ましい。又、ポリオレフィン系樹脂フィルムの表裏面の何れか一方或いは双方はポリビニリデン樹脂で被覆されていてもよい。
【0055】
ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリプロピレンを主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、ポリエチレン系樹脂が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。これらは単独で使用されても二種以上が併用されてもよい。
【0056】
なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0057】
そして、上記裏面保護フィルム5を構成するポリオレフィン系樹脂の密度は、低いと、裏面保護フィルムの引張強度や突き刺し強度が低下し、裏面保護フィルムに破れが生じる可能性がある一方、高いと、光硬化性プリプレグシートの各種構造物に対する形状追従性が低下することがあるので、0.910〜0.960g/cm3が好ましく、0.915〜0.930g/cm3がより好ましい。
【0058】
又、上記裏面保護フィルム5を構成するポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、低いと、裏面保護フィルムの製膜安定性が低下することがある一方、高いと、裏面保護フィルムの引張強度や突き刺し強度が低下することがあるので、0.1〜10g/10分が好ましく、1〜8g/10分がより好ましい。
【0059】
そして、上記裏面保護フィルム5の厚さは、薄いと、裏面保護フィルムの機械的強度が低下し、裏面保護フィルムに穴が開き、光硬化性プリプレグシートがブロッキングを発生しやすくなる一方、厚いと、光硬化性プリプレグシートの形状追従性が低下するので、30〜100μmに限定され、40〜80μmが好ましい。
【0060】
次に、光硬化性プリプレグシートAの製造方法について説明する。先ず、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を補強繊維に供給して含浸させて光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物によって補強繊維が包み込まれるようにして複合シートを作製し、この複合シートの表面に表面保護フィルム2をその内層フィルム21が複合シートに対向した状態に積層させると共に、上記複合シートの裏面に裏面保護フィルム5を積層一体化させて積層シートを作製し、この積層シートを一対のローラ間に供給するなどして両面から挟圧して複合シートの表裏面に表面保護フィルム2及び裏面保護フィルム5を密着させた後、上記積層シートを加熱することによって複合シートを構成している光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物をBステージまで硬化(半硬化)させて複合シートをプリプレグ層1とすると共に、このプリプレグ層の表裏面に表面保護フィルム2及び裏面保護フィルム5を積層一体化させることによって光硬化性プリプレグシートAを得ることができる。
【0061】
なお、表面保護フィルム2の内層フィルム21とプリプレグ層1との間に中間フィルム3を介在させている場合には、表面保護フィルム2の内層フィルム21の裏面に予め中間フィルム3を積層一体化させておくか、或いは、複合シートの表面に中間フィルム3を介して表面保護フィルム2を積層させ、積層シートの加熱によってプリプレグ層1の表面に中間フィルム3を介して表面保護フィルム2を積層一体化させるようにすればよい。
【0062】
又、表面保護フィルム2の遮光性フィルム22の表面に表面フィルム4を積層一体化させている場合は、表面保護フィルム2の表面に表面フィルム4を予め積層一体化させておくか、或いは、複合シートの表面に表面保護フィルム2及び表面フィルム4をこの順序で積層させ、積層シートの加熱によってプリプレグ層1の表面に表面保護フィルム2及び表面フィルム4をこの順序で積層一体化させるようにすればよい。
【0063】
更に、光硬化性プリプレグシートAの保管時において、プリプレグ層1から光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物が流れ出すのを防止するために、プリプレグ層1に増粘処理を施すのが好ましい。
【0064】
上記プリプレグ層1の増粘処理としては、特に限定されず、例えば、酸化マグネシウムのような架橋剤を予め光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物に含有させておいて加熱架橋させる方法、増粘剤を予め光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物に含有させておいて加熱膨潤させる方法などが挙げられ、増粘剤を予め光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物に含有させておいて加熱膨潤させる方法が好ましい。
【0065】
上記増粘剤としては、加熱により膨潤して、プレポリマー状態の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を液状分のない増粘状態とすることのできる熱可塑性樹脂粉末が使用され、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂粉末などが挙げられる。
【0066】
そして、上記光硬化性プリプレグシートAは、通常、表面保護フィルム2が外側となるように巻回させて保管され、保管中において、プリプレグ層1には、表面保護フィルム2の遮光性フィルム22によって光は照射されず、よって、光硬化性プリプレグシートAは、その保管中にプリプレグ層1が硬化し劣化することはない。
【0067】
次に、上記光硬化性プリプレグシートAの使用要領について説明する。本発明の光硬化性プリプレグシートAの使用要領については、例えば、補強したい構造物の表面に光硬化性プリプレグシートAをその裏面保護フィルム5が構造物に対向した状態に貼着一体化させる。なお、光硬化性プリプレグシートAを構造物の表面に貼着一体化させる要領としては、例えば、粘着剤や、両面テープを用いる方法が挙げられる。
【0068】
しかる後、光硬化性プリプレグシートAの表面保護フィルム2から遮光性フィルム22を剥離、除去して内層フィルム21が全面的に露出した状態とする。すると、内層フィルム21(及び中間フィルム3)は光透過性を有していることから、プリプレグ層1は、これに光が照射されて光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物が完全に硬化することによって硬化樹脂層となると共に、この硬化樹脂層の表面には内層フィルム21が、裏面には裏面保護フィルム5が強固に積層一体化される。
【0069】
このように、光硬化性プリプレグシートAは、そのプリプレグ層が硬化することによって強固な硬化樹脂層となると共に、この硬化樹脂層の表面は内層フィルム21によって保護されており、よって、構造体は硬化樹脂層によって補強されると共に、硬化樹脂層も内層フィルム21によって保護されており、構造体は長期間に亘って安定的に且つ確実に補強、保護される。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイトは、JIS K7210に準拠して、190℃、荷重21.18Nの条件下で測定された値をいう。
【0071】
〔実施例1〕
(光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物の調製)
ビニルエステル樹脂70重量部に、スチレン30重量部及び光重合開始剤であるベンゾフェノン(活性波長:320nm)0.5重量部を添加した樹脂混合物を用意し、この樹脂混合物100重量部に対してポリメタクリル酸メチル(平均粒径:1μm)21重量部を添加して均一に攪拌することによってプレポリマー状の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を得た。
【0072】
(表面保護フィルムの作製)
低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製 商品名「サンテック LD F1920」、密度:0.920g/cm3、メルトフローレイト:2g/10分)中にカーボンブラックが均一に含有されて全面的に黒色に着色され波長250〜500nmの光を全く透過させない長尺状で厚さが50μmの遮光性を有する第一低密度ポリエチレンフィルム(カーボンブラック含有量:1重量%)、及び、長尺状で厚さが15μmの6−ナイロンフィルムを用意した。
【0073】
次に、押出機が接続具を介してTダイに接続されてなる製膜装置に、低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、メルトフローレイト:8g/10分)を供給し、押出機内で溶融混練した後、溶融状態の低密度ポリエチレンをTダイへ供給して、Tダイから第二低密度ポリエチレンフィルムを押出製膜する一方、上記遮光性を有する第一低密度ポリエチレンフィルム及び6−ナイロンフィルムをこれらの長さ方向が合致するように重ね合わせ、上記遮光性を有する第一低密度ポリエチレンフィルムと6−ナイロンフィルムとの対向面間に、製膜直後の溶融状態の第二低密度ポリエチレンフィルムを供給することにより、遮光性を有する第一低密度ポリエチレンフィルム、第二低密度ポリエチレンフィルム及び6−ナイロンフィルムがこの順に積層されてなる積層フィルムを作製した。続いて、この積層フィルムを一対のローラに供給して両面から狭圧することにより、厚さ50μmの遮光性を有する第一低密度ポリエチレンフィルム及び厚さ15μmの第二低密度ポリエチレンフィルムが積層一体化されてなる遮光性フィルム22と、厚さ15μmの6−ナイロンフィルムからなる内層フィルム21とが、第二低密度ポリエチレンフィルムを内層フィルム21に対向させた状態で、剥離可能に積層一体化されてなる表面保護フィルム2を得た。
【0074】
(裏面保護フィルムの作製)
押出機が接続具を介して円形ダイに接続されてなるインフレーション成形機を用意し、このインフレーション成形機の押出機に、低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製 商品名「サンテック LD F1920」、密度:0.921g/cm3、メルトフローレイト:2.0g/10分)を供給して押出機内で溶融混練させた後、溶融状態の低密度ポリエチレンを円形ダイに供給し、円形ダイより押出すと共に、円形ダイの中心部から圧縮空気を供給して、長尺状の円筒状フィルムを製膜し、得られた円筒状フィルムを切り開いて巻き取ることにより、厚さ30μmの未延伸低密度ポリエチレンフィルムからなる裏面保護フィルム5を作製した。
【0075】
(光硬化性プリプレグシートの作製)
先ず、目付が600g/m2のガラス繊維のチョップドストランドマットに上記光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を供給してチョップドストランドマットに含浸させて複合シートを得た。
【0076】
次に、上記複合シートの表面に表面保護フィルム2を内層フィルム21が複合シートに対向した状態となるように積層すると共に、上記複合シートの裏面に裏面保護フィルム5を積層させて積層シートを得た。しかる後、この積層シートを一対のローラ間に供給して両面から挟圧して複合シートの表面に表面保護フィルム2を、裏面に裏面保護フィルム5を密着させた後、積層シートを50℃で30分間に亘って加熱することによって複合シートを構成している光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物をBステージまで硬化(半硬化)させて複合シートを厚さが1.2mmのプリプレグ層1とすると共に、このプリプレグ層1の表裏面に表面保護フィルム2及び裏面保護フィルム5を積層一体化させることによって光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0077】
〔実施例2〕
裏面保護フィルムの作製時において、裏面保護フィルム5の厚さが30μmの代わりに60μmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0078】
〔実施例3〕
裏面保護フィルムの作製時において、裏面保護フィルム5の厚さが30μmの代わりに100μmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0079】
〔実施例4〕
裏面保護フィルムの作製時において、押出機に供給する樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製 商品名「エボリューSP2320」、密度:0.919g/cm3、メルトフローレイト:1.9g/10分)を用いたこと、裏面保護フィルム5の厚さが30μmの代わりに60μmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0080】
〔実施例5〕
表面保護フィルムの作製時において、厚さ15μmの6−ナイロンフィルムの代わりに、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0081】
〔比較例1〕
裏面保護フィルムの作製時において、裏面保護フィルム5の厚さが30μmの代わりに20μmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0082】
〔比較例2〕
裏面保護フィルムの作製時において、裏面保護フィルム5の厚さが30μmの代わりに130μmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様の要領で光硬化性プリプレグシートAを得た。
【0083】
得られた光硬化性プリプレグシートAにおいて、遮光性フィルム22の剥離強度、形状追従性、及び、裏面保護フィルム5の突き刺し強度について下記の要領で評価し、その結果を表1に示した。
【0084】
〔剥離強度〕
得られた光硬化性プリプレグシートAから、幅15mmの試験片を切り取り、引張試験機(東洋精機社製 商品名「ストログラフ E−L」)を用いて、この試験片から遮光性フィルム22を剥離させた際の剥離強度(N/15mm)を測定した。
【0085】
〔形状追従性〕
直径10mmの塩化ビニル製パイプの外周面に、得られた光硬化性プリプレグシートA500mmを、その裏面保護フィルム5が塩化ビニル製パイプの外周面と対向した状態となるように巻きつけた。そして、光硬化性プリプレグシートAと塩化ビニル製パイプの外周面との境界面に生じた浮き(隙間)の高さを測定し、下記基準により光硬化性プリプレグシートの形状追従性の評価を行なった。
◎:光硬化性プリプレグシートAは、塩化ビニル製パイプの外周面の形状どおりに密着し
、浮きが生じていなかった。
○:光硬化性プリプレグシートAと塩化ビニル製パイプの外周面との間に浮きが生じてい
る箇所があったが、3mmを超える浮きはなかった。
×:光硬化性プリプレグシートAと塩化ビニル製パイプの外周面との間に3mmを超える
浮きが生じていた。
【0086】
〔突き刺し強度〕
実施例1〜5、比較例1,2の光硬化性プリプレグシートAの作製工程において得られた裏面保護フィルム5を用意し、これらの裏面保護フィルム5の表面を直径0.5mmの針で突き刺した際の突き刺し強度(g)を測定した。
【0087】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の光硬化性プリプレグシートを示した縦断面図である。
【図2】本発明の光硬化性プリプレグシートの他の一例を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 プリプレグ層
2 表面保護フィルム
21 内層フィルム
22 遮光性フィルム
3 中間フィルム
4 表面フィルム
5 裏面保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と補強繊維とで構成され且つ加熱によりプリプレグ化されたプリプレグ層を含有してなる光硬化性プリプレグシートであって、上記プリプレグ層の表面に、遮光性フィルム及び内層フィルムが剥離可能に積層一体化されてなる表面保護フィルムが、その内層フィルムを上記プリプレグ層に対向させた状態で積層一体化されている一方、上記プリプレグ層の裏面に、厚さ30〜100μmのポリオレフィン系樹脂フィルムからなる裏面保護フィルムが積層一体化されていることを特徴とする光硬化性プリプレグシート。
【請求項2】
内層フィルムがポリアミド系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性プリプレグシート。
【請求項3】
ポリアミド系樹脂フィルムに静電気防止処理を施していることを特徴とする請求項2に記載の光硬化性プリプレグシート
【請求項4】
遮光性フィルムと内層フィルムとの間の剥離強度が2.0〜6.0N/15mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光硬化性プリプレグシート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−183809(P2008−183809A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19383(P2007−19383)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】