説明

光論理回路

【課題】電気的な機構を組み込まないで光スイッチのみで構成された新しい光論理回路を提供する。
【解決手段】信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力し、該制御光の入力のオン/オフにより該信号光の出力のオン/オフを制御する方式の光制御型光スイッチを少なくとも2以上接続して論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチのみで構成される光論理回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を利用した論理回路についてはいくつかの提案がなされている(たとえば特許文献1〜6)。これらの論理回路は、電気的な機構を組み込んだ光スイッチを用いるものがほとんどであり、そのため構造も複雑なものとなっていた。
【0003】
このような事情の下、電気的な機構を組み込まないで光スイッチのみで構成された光論理回路は、今後の高速光スイッチングの展開とともにその技術的重要性は今後益々高まっていくものと考えられる。
【特許文献1】特願2003−271062号公報
【特許文献2】特開平3−16086号公報
【特許文献3】特開平3−16087号公報
【特許文献4】特開昭61−32316号公報
【特許文献5】特開昭55−172769号公報
【特許文献6】特開昭50−109439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような従来技術の実状に鑑みてなされたもので、電気的な機構を組み込まないで光スイッチのみで構成された新しい光論理回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記課題を解決するため、第1には、信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力し、該制御光の入力のオン/オフにより該信号光の出力のオン/オフを制御する方式の光制御型光スイッチを少なくとも2以上接続して論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路を提供する。
【0006】
第2には、上記第1の発明において、信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力する光スイッチと、該光スイッチの信号光とは異なる波長の信号光と該光スイッチの制御光とは異なる波長の制御光を入力する光スイッチを複数組合せることにより論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路を提供する。
【0007】
第3には、上記第1または第2の発明において、信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力する光スイッチと、該光スイッチの制御光と同じ波長の信号光と該光スイッチの信号光と同じ波長の制御光を入力する光スイッチを複数組合せることにより論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路を提供する。
【0008】
第4には、上記第1ないし第3のいずれかの発明において、前記光スイッチとして2つの入力ポートと2つの出力ポートを有するものを用い、出力ポートと入力ポートの接続の組合せにより所要の論理演算を行う論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路を提供する。
【0009】
第5には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、該第3の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするAND回路を構成することを特徴とする光論理回路。
【0010】
第6には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、該第3の光スイッチの第1の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするOR回路を構成することを特徴とする光論理回路を提供する。
【0011】
第7には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、該第3の光スイッチの第1の出力ポートの光を論理演算結果とするNAND回路を構成することを特徴とする光論理回路を提供する。
【0012】
第8には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポートと、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、該第3の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOR回路を構成することを特徴とする光論理回路を提供する。
【0013】
第9には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポートと、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチを備え、該第2の光スイッチの第1の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOT回路を構成することを特徴とする光論理回路を提供する。
【0014】
第10には、上記第4の発明において、信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、信号光を入力する第1の入力ポートと該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチを備え、該第2の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOT回路を構成することを特徴とする光論理回路を提供する。
【0015】
第11には、上記第1から第10の発明において、前記光スイッチとして、熱レンズ効果素子を有するものを用いることを特徴とする光論理回路を提供する。
【0016】
第12には、上記第11の発明において、前記熱レンズ効果素子が、所定波長のパルス状の信号光とこれとは異なる波長の連続光である制御光とを同軸でかつ収束して入力する信号入力部、および信号光に対し透過性を示し制御光に対し吸収性を示す波長帯域を持つ光吸収膜を有し、光吸収膜が制御光を吸収した領域及びその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は信号光を通常の開き角度で出力する状態と、制御光が照射されて熱レンズが形成された場合は信号光を通常の開き角度より大きい開き角度で出力する状態とを、制御光の照射の有無に対応させて実現させ、さらに、熱レンズ効果素子より出力した信号光のうち、通常の開き角度で出力した信号光を第1の出力ポートから出力させ、通常の開き角度より大きい開き角度で出射した信号光は第2の出力ポートから出力させる信号光選択部を備えることを特徴とする光論理回路を提供する。
【0017】
第13には、上記第12の発明において、前記信号光選択部が、穴付ミラーであり、通常の開き角度のときは信号光を穴より通過させ、通常の開き角度より大きな開き角度のときは穴付ミラーのミラー部により信号光の光路を変換させることを特徴とする光論理回路を提供する。
【0018】
第14には、第11の発明において、上記前記熱レンズ効果素子が、所定波長のパルス状の信号光とこれとは異なる波長の連続光である制御光とを同軸でかつ収束して入力する信号入力部、および信号光に対し透過性を示し制御光に対し吸収性を示す波長帯域を持つ光吸収膜を有し、光吸収膜が制御光を吸収した領域及びその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は信号光を通常の光路で出力する状態と、制御光が照射されて熱レンズが形成された場合は信号光を通常の光路とは異なる光路で出力する状態とを、制御光の照射の有無に対応させて実現させ、さらに、熱レンズ効果素子より出力した信号光のうち、通常の光路で出力した信号光を第1の出力ポートから出力させ、通常の光路とは異なる光路で出力した信号光は第2の出力ポートから出力させる信号光選択部を備えることを特徴とする光論理回路を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電気的な機構を組み込まないで光スイッチのみで構成された新しい光論理回路を提供することができる。かかる光論理回路は超高速型の光スイッチング技術の実現によりその技術的重要性が非常に期待される。
【0020】
また、本発明によれば、熱レンズ効果素子を利用した新しい原理に基づく、より装置構成がシンプルで、低コスト化を図ることが期待される光論理回路が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明の光論理回路は、信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力し、該制御光の入力のオン/オフにより該信号光の出力のオン/オフを制御する方式の光制御型光スイッチを少なくとも2以上接続して論理回路を構成したことを特徴とする。
【0023】
まず、本発明の実施形態の光論理回路に用いる光制御型光スイッチについて説明する。
【0024】
図1にこの光制御型光スイッチSWを示す。この光スイッチSWには、波長650nmの連続(CW)光である信号光11を取り込むための第1の入力ポート12と、波長1550nmのパルス状制御光[ゲート光]13を取り込むための第2の入力ポート14が設けられている。第1の入力ポート12の下流側には入力した信号光11を平行光とするためのレンズ15が配置され、第2の入力ポート14の下流側には入力した制御光13を平行光とするためのレンズ16が配置されている。レンズ15の下流側にはダイクロイックミラー17が配置され、レンズ16の下流側にはレンズ16からの平行光の光路を変えるミラー18が配置されている。ダイクロイックミラー17はレンズ15からの平行光は透過させ、ミラー18からの平行光の光路を変えて、信号光11と制御光13を同軸の重なり合った平行光とする。ダイクロイックミラー17の下流側にはレンズ19、熱レンズ効果素子20、レンズ21、フィルター22、穴付ミラー23、レンズ24がそれぞれ配置されている。レンズ19はダイクロイックミラー17からの重なり合った平行光を焦点が熱レンズ効果素子20内となるように収束させる。熱レンズ効果素子20は、信号光11のみが入力した場合には通常の開き角度で信号光11を出力し、信号光11と制御光13が同時に入力した場合には熱レンズ(TL)を形成し、通常の開き角度より大きな開き角度で両者の光11、13を出力する。レンズ21は出力した両者の光11、13を平行光にする。フィルター22は制御光13をカットし、信号光11は通過させる。穴付ミラー23は通常の開き角度の信号光11はその穴を通過させ、通常の開き角度より大きな開き角度の信号光11はミラー部分で反射させ、その光路を変える。穴付ミラー23の下流側のミラー24は、穴付ミラー23の穴を通過した信号光11を収束させる。図1において穴付ミラー23の下方には、穴付ミラー23により反射した信号光11をさらに反射させ、光路を変えるミラー25が配置され、その下流側にはミラー25からの平行光を収束させるレンズ26が配置されている。光スイッチSWには、第1の出力ポート27および第2の出力ポート28が設けられている。第1の出力ポート27は制御光13オフ時にレンズ24で収束された650nm光出力を行う。第2の出力ポート28は制御光13オン時にレンズ26で収束された650nm光出力を行う。
【0025】
信号光11および制御光13の強度は特に限定されず、同じとしてもよく異ならせてもよく、たとえば強度数mW〜10mWのように設定することができる。
【0026】
ここで光スイッチSWの熱レンズ効果素子20について説明する。
【0027】
図2は、熱レンズ効果素子20を説明するための概念図である。熱レンズ効果素子20は、図3の実線で示すように、波長650nmの信号光11に対しては透過性を示し、波長1550nmの制御光13に対しては吸収性を示す波長帯域を持つ色素よりなる光吸収膜20’(図2(b))を有している。このような波長帯域を持つ色素としては、市販の赤外線吸収色素を好適に用いることができ、さらに具体的には、例えば、日本カーリット株式会社製、CIR−960を使用することができる。
【0028】
熱レンズ効果素子20では、上記のような波長帯域を持つ光吸収膜20’に波長1550nmの制御光13が照射されると、その光に対して吸収性を示すため光を吸収した領域及びその周辺領域の温度が上昇し、屈折率が変化し、その温度分布に応じて屈折率が変化して熱レンズ(TL)が形成され、制御光13の照射が終わると元の状態に戻るという可逆的な屈折率変化を生じる。したがって、熱レンズ効果素子20に連続(CW)光である信号光11のみが照射され制御光13がオフの場合には、図2(a)のように熱レンズ(TL)は形成されないため、通常の開き角度で信号光11が出力し、レンズ21で平行光とされ、断面が円形状のビームとして穴付ミラー22の穴をそのまま通過する。一方、熱レンズ効果素子20に信号光11が照射されかつ制御光13がオンの場合には、図2(b)のように熱レンズ(TL)が形成され、通常の開き角度より大きい角度で信号光11が出射し、レンズ21で平行光とされ、断面がリング状のビームとして穴付ミラー22のミラー部で反射され、光路の方向が変えられる。
【0029】
熱レンズ効果素子20は、基本的に上記のような吸収、透過の波長特性を持ち、熱レンズの形成可能な光吸収膜20’を有していればよく、光吸収を促進させる層や、伝熱層、保温層等、この出願の発明者らの出願に係る特開2005−265986号公報に記載されているような各種の層を設けることができる。
【0030】
次に、上記の光スイッチSWを用いた本発明の光論理回路について説明する。
【0031】
図4は、本発明による光AND回路の構成を模式的に示す図である。第1、第2および第3の光スイッチ31、32、33は、それぞれ第1の入力ポート31a、32a、33a;第2の入力ポート31b、32b、33b;第1の出力ポート31c、32c、33c;第2の出力ポート31d、32d、33dを有する。ただし、第1の光スイッチ31および第2の光スイッチ32は波長650nmの光を信号光とするが、第3の光スイッチ33は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ31および第2の光スイッチ32は波長1550nmの光を制御光とするが、第3の光スイッチ33は波長650nmの光を制御光とする。
【0032】
この光AND回路では、第1の光スイッチ31の第2の出力ポート31dが第2の光スイッチ32の第1の入力ポート32aに接続され、第2の光スイッチ32の第2の出力ポート32dが第3の光スイッチ33の第2の入力ポート33bに接続される。
【0033】
図4(a)は第1および第2の光スイッチ31、32の第2の入力ポート31b、32bに入力される制御光がともにオフの場合である。
【0034】
この場合、第1の光スイッチ31では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート31cから出力される。第2の出力ポート31dからは信号光は出力されない。
【0035】
第2の光スイッチ32は、第1の入力ポート32aでの信号光入力がなく、また第2の入力ポート32bで制御光を入力しないため、第1および第2の出力ポート32c、32dからの信号出力はない。
【0036】
第3の光スイッチ33は、第1の入力ポート33aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート33bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート33cから出力され、第2の出力ポート33dからの出力信号はオフとなる。この第2の出力ポート33dからの出力信号がこの光AND回路の演算結果となる。
【0037】
図4(b)は第1の光スイッチ31の入力ポート31bに入力される制御光がオフ、第2の光スイッチ32の第2の入力ポート32bに入力される制御光がオンの場合である。
【0038】
この場合、第1の光スイッチ31では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート31cから出力される。第2の出力ポート31dからは信号は出力されない。
【0039】
第2の光スイッチ32は、第2の入力ポート32bで制御光を入力するが、第1の入力ポート32aで信号光入力がないため、第1および第2の出力ポート32c、32dからは信号出力はない。
【0040】
第3の光スイッチ33は、第1の入力ポート33aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート33bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート33cから出力され、第2の出力ポート33dからの出力信号はオフとなる。この第2の出力ポート33dからの出力信号がこの光AND回路の演算結果となる。
【0041】
図4(c)は第1の光スイッチ31の第1の入力ポート31bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ32の第2の入力ポート32bに入力される制御光がオフの場合である。
【0042】
この場合、第1の光スイッチ31では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート31dから出力される。第1の出力ポート31cからは信号光は出力されない。
【0043】
第2の光スイッチ32は、第2の入力ポート32bで制御光を入力しないため、第1の入力ポート32aで第1の光スイッチ31の第2の出力ポート31dからの信号光S’を信号光Sとして受け取り、第1の出力ポート32cから信号出力がされるが、第2の出力ポート32dからは信号光は出力されない。
【0044】
第3の光スイッチ33は、第1の入力ポート33aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート33bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート33cから出力され、第2の出力ポート33dからの出力信号はオフとなる。この第2の出力ポート33dからの出力信号がこの光AND回路の演算結果となる。
【0045】
図4(d)は第1の光スイッチ31の入力ポート31bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ32の入力ポート32bに入力される制御光もオンの場合である。
【0046】
この場合、第1の光スイッチ31では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート31dから出力される。第2の出力ポート31cからは信号光は出力されない。
【0047】
第2の光スイッチ32は、第2の入力ポート32bで制御光を入力し、第1の入力ポート32aで第1の光スイッチ31の第2の出力ポート31dからの信号光Sを受け取り、熱レンズ効果素子が形成されるため、第1の出力ポート32cから信号光は出力されず、第2の出力ポート32dから信号光が出力される。
【0048】
第3の光スイッチ33は、第1の入力ポート33aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート33bで信号S’をSとして入力し、熱レンズ効果素子が形成されるため、信号光Sは第1の出力ポート33cから出力されず、第2の出力ポート33dから信号光Sが出力される。この第2の出力ポート33dからの出力信号がこの光AND回路の演算結果となる。
【0049】
図5は、本発明による光OR回路の構成を模式的に示す図である。第1、第2および第3の光スイッチ41、42、43は、それぞれ第1の入力ポート41a、42a、43a;第2の入力ポート41b、42b、43b;第1の出力ポート41c、42c、43c;第2の出力ポート41d、42d、43dを有する。ただし、第1の光スイッチ41および第2の光スイッチ42は波長650nmの光を信号光とするが、第3の光スイッチ43は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ41および第2の光スイッチ42は波長1550nmの光を制御光とするが、第3の光スイッチ3は波長650nmの光を制御光とする。
【0050】
図5(a)は第1および第2の光スイッチ41、42の第2の入力ポート41b、42bに入力される制御光がともにオフの場合である。
【0051】
この場合、第1の光スイッチ41では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート41cから出力される。第2の出力ポート41dからは信号光は出力されない。
【0052】
第2の光スイッチ42は、第1の入力ポート42aで第1の光スイッチ41の第2の出力ポート41cからの信号光Sをそのまま信号光Sとして受け取るが、第2の入力ポート42bで制御光を入力しないため、第1の出力ポート42cから信号Sがそのまま出力され、第2の出力ポート42dから信号光は出力されない。
【0053】
第3の光スイッチ43は、第1の入力ポート43aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート43bから制御光がオフのため、信号光Sは第1の出力ポート43cから出力されず、第2の出力ポート43dから信号光Sが出力される。この第1の出力ポート43cからの出力信号がこの光OR回路の演算結果となる。
【0054】
図5(b)は第1の光スイッチ41の第2の入力ポート41bに入力される制御光がオフ、第2の光スイッチ42の第2の入力ポート42bに入力される制御光がオンの場合である。
【0055】
この場合、第1の光スイッチ42では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート42cから出力される。第2の出力ポート41dからは信号光は出力されない。
【0056】
第2の光スイッチ42は、第1の入力ポート42aで第1の光スイッチ41の第1の出力ポート41cからの信号光Sをそのまま信号光Sとして受け取り、第2の入力ポート42bで制御光を入力するため、熱レンズ効果素子が形成されるため、第1の出力ポート42cから信号光が出力されず、第2の出力ポート42dから信号光Sが出力される。
【0057】
第3の光スイッチ43は、第1の入力ポート43aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート43bから制御光の入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート43cから出力される。第2の出力ポートから信号光は出力されない。この第1の出力ポート43cからの出力信号がこの光OR回路の演算結果となる。
【0058】
図5(c)は第1の光スイッチ41の第1の入力ポート41bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ42の第2の入力ポート42bに入力される制御光がオフの場合である。
【0059】
この場合、第1の光スイッチ41では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート41dから出力される。第2の出力ポート41cからは信号光は出力されない。
【0060】
第2の光スイッチ42は、第2の入力ポート42bで制御信号を入力せず、第1の入力ポート42aで第1の光スイッチ41の第1の出力ポート41cからの信号光を受け取らないため、第1および第2の出力ポート42c、42dから信号光は出力されない。
【0061】
第3の光スイッチ43は、第1の入力ポート43aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート43bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート43cから出力され、第2の出力ポート43dからの出力信号はオフとなる。この第1の出力ポート43cからの出力信号がこの光OR回路の演算結果となる。
【0062】
図5(d)は第1の光スイッチ41の第2の入力ポート41bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ42の第2の入力ポート42bに入力される制御光もオンの場合である。
【0063】
この場合、第1の光スイッチ41では熱レンズ効果素子が形成されるため、信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート41dから出力される。第1の出力ポート41cからは信号光は出力されない。
【0064】
第2の光スイッチ42は、第2の入力ポート42bで制御光を入力するが、第1の入力ポート42aで第1の光スイッチ41の第1の出力ポート41cから信号光を受け取らないため、第1および第2の出力ポート42c、42dから信号光は出力されない。
【0065】
第3の光スイッチ43は、第1の入力ポート43aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート43bで制御光を受け取らないため、信号光Sは第1の出力ポート43cから出力され、第2の出力ポート43dから信号光は出力されない。この第1の出力ポート43cからの出力信号がこの光OR回路の演算結果となる。
【0066】
図6は、本発明による光NAND回路の構成を模式的に示す図である。第1、第2および第3の光スイッチ51、52、53は、それぞれ第1の入力ポート51a、52a、53a;第2の入力ポート51b、52b、53b;第1の出力ポート51c、52c、53c;第2の出力ポート51d、52d、53dを有する。ただし、第1の光スイッチ51および第2の光スイッチ52は波長650nmの光を信号光とするが、第3の光スイッチ53は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ51および第2の光スイッチ52は波長1550nmの光を制御光とするが、第3の光スイッチ53は波長650nmの光を制御光とする。
【0067】
この光NAND回路では、第1の光スイッチ51の第2の出力ポート51dが第2の光スイッチ52の入力ポート52aに接続され、第2の光スイッチ52の第2の出力ポート52dが第3の光スイッチ53の第2の入力ポート53bに接続される。
【0068】
図6(a)は第1および第2光スイッチ51、52の第2の入力ポート51b、52bに入力される制御光がともにオフの場合である。
【0069】
この場合、第1の光スイッチ51では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート51cから出力される。第2の出力ポート51dから信号光は出力されない。
【0070】
第2の光スイッチ52は、第1の入力ポート52aでの信号光入力がなく、また第2の入力ポート52bで制御光を入力しないため、第1および第2の出力ポート52c、52dからの信号出力はない。
【0071】
第3の光スイッチ53は、第1の入力ポート53aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート53bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート53cから出力され、第2の出力ポート53dから信号光は出力されない。この第1の出力ポート53cからの出力信号がこの光NAND回路の演算結果となる。
【0072】
図6(b)は第1の光スイッチ51の第1の入力ポート51bに入力される制御光がオフ、第2の光スイッチ52の入力ポート52bに入力される制御光がオンの場合である。
【0073】
この場合、第1の光スイッチ51では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート51cから出力される。第2の出力ポート51dからは信号光は出力されない。
【0074】
第2の光スイッチ52は、第2の入力ポート52bで制御光を入力するが、第1の入力ポート52aでの信号光の入力がないため、第1および第2の出力ポート52c、52dからは信号出力はない。
【0075】
第3の光スイッチ53は、第1の入力ポート53aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート53bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート53cから出力され、第2の出力ポート53dから信号光は出力されない。この第1の出力ポート53cからの出力信号がこの光NAND回路の演算結果となる。
【0076】
図6(c)は第1の光スイッチ51の第2の入力ポート51bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ52の第2の入力ポート52bに入力される制御光がオフの場合である。
【0077】
この場合、第1の光スイッチ51では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート51dから出力する。第2の出力ポート51cから信号光は出力されない。
【0078】
第2の光スイッチ52は、第2の入力ポート52bで制御光を入力しないため、第1の入力ポート52aで信号光を受け取り、第1の出力ポート52cから信号光が出力され、第2の出力ポート52dから信号光は出力されない。
【0079】
第3の光スイッチ53は、第1の入力ポート53aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート53bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート53cから出力され、第2の出力ポート53dから信号光は出力されない。この第1の出力ポート53cからの出力信号がこの光NAND回路の演算結果となる。
【0080】
図6(d)は第1の光スイッチ51の入力ポート51aに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ52の入力ポート52aに入力される制御光もオンの場合である。
【0081】
この場合、第1の光スイッチ51では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート51dから出力される。第2の出力ポート51cからは信号は出力されない。
【0082】
第2の光スイッチ52は、第2の入力ポート52bで制御信号を入力し、第1の入力ポート52aで信号光を受け取り、熱レンズ効果素子が形成され、第1の出力ポート52cから信号光は出力されず、第2の出力ポート52dから信号光Sが出力される。
【0083】
第3の光スイッチ53は、第1の入力ポート53aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート53bで制御光を入力し、熱レンズ効果素子が形成されるため、信号光は第1の出力ポート53cから出力されず、第2の出力ポート53dから信号光Sが出力される。この第1の出力ポート53cからの出力信号がこの光NAND回路の演算結果となる。
【0084】
図7は、本発明による光NOR回路の構成を模式的に示す図である。第1、第2および第3の光スイッチ61、62、63は、それぞれ第1の入力ポート61a、62a、63a;第2の入力ポート61b、62b、63b;第1の出力ポート61c、62c、63c;第2の出力ポート61d、62d、63dを有する。ただし、第1の光スイッチ61および第2の光スイッチ62は波長650nmの光を信号光とするが、第3の光スイッチ63は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ61および第2の光スイッチ62は波長1550nmの光を制御光とするが、第3の光スイッチ63は波長650nmの光を制御光とする。
【0085】
この光NOR回路では、第1の光スイッチ61の第1の出力ポート61cが第2の光スイッチ62の第1の入力ポート62aに接続され、第2の光スイッチ62の第1の出力ポート62cが第3の光スイッチ63の第2の入力ポート63bに接続される。
【0086】
図7(a)は第1および第2光スイッチ61、62の第2の入力ポート61b、62bに入力される制御光がともにオフの場合である。
【0087】
この場合、第1の光スイッチ61では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート61cから出力される。第2の出力ポート61dからは信号光は出力されない。
【0088】
第2の光スイッチ62は、第1の入力ポート62aで第1の光スイッチ61の第2の出力ポート61cからの信号光を受け取り、第2の入力ポート62bで制御光を入力しないため、第1の出力ポート62cから信号Sがそのまま出力され、第2の出力ポート62dから信号光は出力されない。
【0089】
第3の光スイッチ63は、第1の入力ポート63aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート63bから第2の光スイッチ62の第1の出力62cから信号光を制御光として受け取り、熱レンズ効果素子が形成されるため、信号光Sは第2の出力ポート63dから出力され、第1の出力ポート63cから信号光は出力されない。この第2の出力ポート63dからの出力信号がこの光NOR回路の演算結果となる。
【0090】
図7(b)は第1の光スイッチ61の第2の入力ポート61bに入力される制御光がオフ、第2の光スイッチ62の第2の入力ポート62bに入力される制御光がオンの場合である。
【0091】
この場合、第1の光スイッチ62では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート62cから出力される。第2の出力ポート61dから信号光は出力されない。
【0092】
第2の光スイッチ62は、第1の入力ポート62aで第1の光スイッチ61の第1の出力ポート61cから信号光を受け取と、第2の入力ポート62bで制御光を入力するため、熱レンズ効果素子が形成されるため、第2の出力ポート62dから信号光Sが出力され、第1の出力ポート62cから信号光は出力されない。
【0093】
第3の光スイッチ63は、第1の入力ポート63aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート63bから制御光の入力がないため、信号光Sは第1の出力ポート63cから出力され、第2の出力ポート63dから信号光は出力されない。この第2の出力ポート63dからの出力信号がこの光NOR回路の演算結果となる。
【0094】
図7(c)は第1の光スイッチ61の第1の入力ポート61bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ62の第2の入力ポート62bに入力される制御光がオフの場合である。
【0095】
この場合、第1の光スイッチ61では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート61dから出力される。第1の出力ポート61cからは信号光は出力されない。
【0096】
第2の光スイッチ62は、第2の入力ポート62bで制御信号を入力せず、第1の入力ポート62aで第1の光スイッチ61の第2の出力ポート61cからの信号光を受け取らないため、第1および第2の出力ポート62c、62dから信号光は出力されない。
【0097】
第3の光スイッチ63は、第1の入力ポート63aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力するが、第2の入力ポート63bでの入力がないため、信号光Sはそのまま第1の出力ポート63cから出力され、第2の出力ポート63dから出力光は出力されない。この第2の出力ポート43dからの出力信号がこの光NOR回路の演算結果となる。
【0098】
図7(d)は第1の光スイッチ61の第2の入力ポート61bに入力される制御光がオン、第2の光スイッチ62の第2の入力ポート62bに入力される制御光もオンの場合である。
【0099】
この場合、第1の光スイッチ61では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは光路を変えて第2の出力ポート61dから出力される。第1の出力ポート61cからは信号光は出力されない。
【0100】
第2の光スイッチ62は、第2の入力ポート62bで制御光を入力するが、第1の入力ポート62aで第1の光スイッチ61の第1の出力ポート61cから信号光を受け取らないため、第1および第2の出力ポート62c、62dから信号光は出力されない。
【0101】
第3の光スイッチ63は、第1の入力ポート63aで1550nmの連続光を信号光Sとして入力し、第2の入力ポート63bで制御光を受け取らないため、信号光Sは第1の出力ポート63cから出力され、第2の出力ポート63dから信号光は出力されない。この第2の出力ポート63dからの出力信号がこの光NOR回路の演算結果となる。
【0102】
図8は、本発明による光NOT回路の構成を模式的に示す図である。第1および第2の光スイッチ71、72は、それぞれ第1の入力ポート71a、72a;第2の入力ポート71b、72b;第1の出力ポート71c、72c;第2の出力ポート71d、72dを有する。ただし、第1の光スイッチ71は波長650nmの光を信号光とするが、第2の光スイッチ73は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ71は波長1550nmの光を制御光とするが、第2の光スイッチ73は波長650nmの光を制御光とする。
【0103】
この光NOT回路では、第1の光スイッチ71の第2の出力ポート71dが第2の光スイッチ72の第2の入力ポート72bに接続される。
【0104】
図8(a)は第1の光スイッチ71の第2の入力ポート71bに入力される制御光がオフの場合である。
【0105】
この場合、第1の光スイッチ71では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート71cから出力される。第2の出力ポート71dからは信号は出力されない。
【0106】
第2の光スイッチ72は、第1の入力ポート72aで信号光Sを入力し、また第2の入力ポート72bで制御光を入力しないため、熱レンズ効果素子は形成されず、第1の出力ポート72cから信号光が出力され、第2の出力ポート72dから信号光は出力されない。
【0107】
この第1の出力ポート72cからの出力信号がこの光NOT回路の演算結果となる。
【0108】
図8(b)は第1の光スイッチ71の第2の入力ポート71bに入力される制御光がオンの場合である。
【0109】
この場合、第1の光スイッチ71では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは第2の出力ポート71dから出力される。第1の出力ポート71cからは信号光は出力されない。
【0110】
第2の光スイッチ72は、第1の入力ポート72aで信号光Sを入力し、また第2の入力ポート72bでも制御光を入力するため、熱レンズ効果素子が形成され、第1の出力ポート72cから信号光が出力されず、第2の出力ポート72dから信号光が出力される。
【0111】
この第1の出力ポート72cからの出力信号がこの光NOT回路の演算結果となる。
【0112】
図9は、本発明による光NOT回路の別の構成を模式的に示す図である。第1および第2の光スイッチ81、82は、それぞれ第1の入力ポート81a、82a;第2の入力ポート81b、82b;第1の出力ポート81c、82c;第2の出力ポート81d、82dを有する。ただし、第1の光スイッチ81は波長650nmの光を信号光とするが、第2の光スイッチ83は波長1550nmの光を信号光とし、第1の光スイッチ81は波長1550nmの光を制御光とするが、第2の光スイッチ83は波長650nmの光を制御光とする。
【0113】
この光NOT回路では、第1の光スイッチ81の第1の出力ポート81cが第2の光スイッチ82の第2の入力ポート82bに接続される。
【0114】
図9(a)は第1の光スイッチ81の第2の入力ポート81bに入力される制御光がオフの場合である。
【0115】
この場合、第1の光スイッチ81では熱レンズ効果素子が形成されないため信号光Sはそのまま第1の出力ポート81cから出力される。第2の出力ポート81dからは信号光は出力されない。
【0116】
第2の光スイッチ82は、第1の入力ポート82aで信号光Sを入力し、また第2の入力ポート82bで制御光を入力するため、熱レンズ効果素子が形成され、第1の出力ポート82cから信号光は出力されず、第2の出力ポート82dから信号光が出力される。この第1の出力ポート82dからの出力信号がこの光NOT回路の演算結果となる。
【0117】
図9(b)は第1の光スイッチ81の第2の入力ポート81bに入力される制御光がオンの場合である。
【0118】
この場合、第1の光スイッチ81では熱レンズ効果素子が形成されるため信号光Sは第2の出力ポート81dから出力される。第1の出力ポート81cからは信号光は出力されない。
【0119】
第2の光スイッチ82は、第1の入力ポート82aで信号光Sを入力し、また第2の入力ポート82bでは制御光を入力しないため、熱レンズ効果素子が形成されず、第1の出力ポート82cから信号光が出力され、第2の出力ポート82dから信号光は出力されない。この第1の出力ポート82dからの出力信号がこの光NOT回路の演算結果となる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の光論理回路で用いる光制御型光スイッチの構成の説明図である。
【図2】上記光制御型光スイッチに用いる熱レンズ効果素子の説明図である。
【図3】上記熱レンズ効果素子に用いる色素の吸収・透過特性を示す図である。
【図4】本発明による光AND回路の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明による光OR回路の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明による光NAND回路の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明による光NOR回路の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明による光NOT回路の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明による光NOT回路の別の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0121】
11 信号光
12、14 入力ポート
13 制御光
15、16、19、21、24、26 レンズ
17 ダイクロイックミラー
18、25 ミラー
20 熱レンズ効果素子
22 フィルター
23 穴付ミラー
27、28 出力ポート
31、41、51、61、71、81 第1の光スイッチ
32、42、52、62、72、82 第2の光スイッチ
33、43、53、63 第3の光スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力し、該制御光の入力のオン/オフにより該信号光の出力のオン/オフを制御する方式の光制御型光スイッチを少なくとも2以上接続して論理回路を構成したことを特徴とする光論理回路。
【請求項2】
信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力する光スイッチと、該光スイッチの信号光とは異なる波長の信号光と該光スイッチの制御光とは異なる波長の制御光を入力する光スイッチを複数組合せることにより論理回路を構成したことを特徴とする請求項1に記載の光論理回路。
【請求項3】
信号光とこれとは異なる波長の制御光を入力する光スイッチと、該光スイッチの制御光と同じ波長の信号光と該光スイッチの信号光と同じ波長の制御光を入力する光スイッチを複数組合せることにより論理回路を構成したことを特徴とする請求項2に記載の光論理回路。
【請求項4】
前記光スイッチとして2つの入力ポートと2つの出力ポートを有するものを用い、出力ポートと入力ポートの接続の組合せにより所要の論理演算を行う論理回路を構成したことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の光論理回路。
【請求項5】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、
該第3の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするAND回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項6】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、
該第3の光スイッチの第1の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするOR回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項7】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、
該第3の光スイッチの第1の出力ポートの光を論理演算結果とするNAND回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項8】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を信号光として入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第2の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第3の光スイッチを備え、
該第3の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOR回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項9】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第1の光スイッチの第2の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチを備え、
該第2の光スイッチの第1の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOT回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項10】
信号光を入力する第1の入力ポートと制御光を入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第1の光スイッチと、
信号光を入力する第1の入力ポートと該第1の光スイッチの第1の出力ポートからの出力光を制御光として入力する第2の入力ポート、および制御光のオン/オフにより出力が切り替わる第1の出力ポートと第2の出力ポートを有し、制御光がオンのときには第2の出力ポートから信号光を出力光として出力し、制御光がオフのときには第1の出力ポートから信号光を出力光として出力する第2の光スイッチを備え、
該第2の光スイッチの第2の出力ポートの光出力のオン/オフを論理演算結果とするNOT回路を構成することを特徴とする請求項4に記載の光論理回路。
【請求項11】
前記光スイッチとして、熱レンズ効果素子を有するものを用いることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の光論理回路。
【請求項12】
前記熱レンズ効果素子が、所定波長のパルス状の信号光とこれとは異なる波長の連続光である制御光とを同軸でかつ収束して入力する信号入力部、および信号光に対し透過性を示し制御光に対し吸収性を示す波長帯域を持つ光吸収膜を有し、光吸収膜が制御光を吸収した領域及びその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は信号光を通常の開き角度で出力する状態と、制御光が照射されて熱レンズが形成された場合は信号光を通常の開き角度より大きい開き角度で出力する状態とを、制御光の照射の有無に対応させて実現させ、さらに、熱レンズ効果素子より出射した信号光のうち、通常の開き角度で出力した信号光を第1の出力ポートから出力させ、通常の開き角度より大きい開き角度で出力した信号光は第2の出力ポートから出力させる信号光選択部を備えることを特徴とする請求項11に記載の光論理回路。
【請求項13】
前記信号光選択部が、穴付ミラーであり、通常の開き角度のときは信号光を穴より通過させ、通常の開き角度より大きな開き角度のときは穴付ミラーのミラー部により信号光の光路を変換させることを特徴とする請求項12に記載の光論理回路。
【請求項14】
前記熱レンズ効果素子が、所定波長のパルス状の信号光とこれとは異なる波長の連続光である制御光とを同軸でかつ収束して入力する信号入力部、および信号光に対し透過性を示し制御光に対し吸収性を示す波長帯域を持つ光吸収膜を有し、光吸収膜が制御光を吸収した領域及びその周辺領域に起こる温度上昇に起因して可逆的に生ずる屈折率の分布に基づいた熱レンズを用いることによって、制御光が照射されず熱レンズが形成されない場合は信号光を通常の光路で出力する状態と、制御光が照射されて熱レンズが形成された場合は信号光を通常の光路とは異なる光路で出力する状態とを、制御光の照射の有無に対応させて実現させ、さらに、熱レンズ効果素子より出力した信号光のうち、通常の光路で出力した信号光を第1の出力ポートから出力させ、通常の光路とは異なる光路で出力した信号光は第2の出力ポートから出力させる信号光選択部を備えることを特徴とする請求項11に記載の光論理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−26831(P2008−26831A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202619(P2006−202619)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「研究題目「全光データ配信システムの開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(503184234)株式会社インターエナジー (20)
【Fターム(参考)】