説明

光走査型光電スイッチ

【課題】保護領域の設定等、光走査型光電スイッチの種々の設定が簡便に行える光走査型光電スイッチを提供する。
【解決手段】接続される機器の動作許可/動作不許可を示す安全信号を出力する光走査型光電スイッチに関する。光走査型光電スイッチの安全機能の状態および故障状態の情報の内の少なくとも1つの情報を表示する表示画面を有する表示部38aと、前記表示部38aの近傍に設けられ、表示部38aの表示内容を安全信号、判別結果、光走査型光電スイッチの設定内容、光走査型光電スイッチの安全機能の状態および故障状態の情報の内の1つの情報から他の前記情報に変更するための操作部39とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査型光電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ等の光を用いて予め設定された所定領域内に物体が存在するか否かの検出を行う走査装置が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平4−310890号(要約書)
【特許文献2】特開平3−175390号(第1図)
【特許文献3】USP 5,455,669(図4)
【0003】
光走査型光電スイッチは、いわゆる安全スキャナやセーフティレーザスキャナと呼ばれるもので、レーザ等の光で検出領域を走査し、検出領域内で反射した走査光を受光し、投光タイミングと受光タイミングの差、つまり、時間差と既知の光速とから物体までの距離を測定し、所定方位毎の距離から物体の位置を特定し、動作許可/動作不許可を示す安全信号を出力して、必要に応じて当該機器の機能を無効化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記光走査型光電スイッチ以外の物体の検知手段として、マットスイッチを利用する方法や、ライトカーテンを水平方向に取り付ける方法などが考えられる。
マットスイッチは、たとえば、作業者などが前記マットスイッチを踏みつけることで作業者の進入を検出する。そのため、マットスイッチを用いた場合には、該マットスイッチが敷かれている場所が検出領域となり、一目で分かるため、設置位置が正しいか否かを直観的に確認することができる。また、ライトカーテンについても、出光側と受光側の位置によって設置位置を直観的に確認することができる。
【0005】
しかし、前記マットスイッチやライトカーテンは、その検出領域が個々の形状に依存し、固定的であるため、異形状のものを数多く用意する必要があり、ユーザにとって不便である。
そこで、マットスイッチ等の代わりに、物体の位置を検出する領域(保護領域)を任意に設定変更することの可能な光走査型光電スイッチを用いることが提案されている。しかし、前記保護領域を設定するためには、別途、パーソナルコンピュータ(パソコン)などの設定装置を必要とするため、設定が煩雑であり、検出領域の設定が実質的に不要なマットスイッチやライトカーテンに比べ、導入の難易度が高い。
【0006】
一方、前記パソコンに接続しなくても、必要最小限の設定を行なえるようにしようとすると、保護領域の設定内容、安全機能や故障の状態などを表示する、ある程度の大きさの表示画面が必要である。また、前記設定や表示内容の切替えを可能とする操作部も必要である。かかる表示画面や操作部は本光電スイッチが大型化する要因となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、大型化することなく、保護領域の設定等、光走査型光電スイッチの種々の設定が簡便に行える光走査型光電スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の光走査型光電スイッチは、接続される機器の動作許可/動作不許可を示す安全信号を出力する光走査型光電スイッチにおいて、第1の軸線に沿って光を照射する光照射手段と、前記第1の軸線を中心に回転し、当該第1の軸線に対して略45°傾けて設置され、前記光照射手段によって照射された光を前記第1の軸線に直交する面内の検出領域に向けて偏向するとともに当該検出領域内の物体からの前記光の反射光を前記第1の軸線に沿った方向に偏向する光走査手段と、前記第1の軸線に沿った光軸を有し、前記光走査手段によって前記第1の軸線に沿って偏向された前記反射光を集光するための受光レンズと、前記第1の軸線に対して略45°傾けて設置され、前記受光レンズにより集光された前記反射光の光軸を前記第1の軸線に対して略直交する方向に偏向する受光反射体と、前記受光反射体により偏向された前記反射光を受光し、当該受光した光を受光信号に光電変換する光電変換素子と、前記光電変換素子からの受光信号に基づいて物体までの距離を算出する距離算出手段と、前記光走査手段により前記検出領域に向けて偏向された光の偏向方位を算出する方位算出手段と、前記方位算出手段により算出された前記偏向方位と、当該偏向方位において前記距離算出手段が算出した前記物体までの距離とに基づいて前記物体の位置を認識する位置認識手段と、前記光走査型光電スイッチの故障状態を検知する故障検知手段と、予め設定された保護領域内に前記物体が存在するか否かを前記位置認識手段により認識された物体の位置に基づいて判別し、当該判別の結果と前記故障検知手段により検知された故障状態と前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態とに基づいて安全信号を出力する判別手段と、前記受光反射体に略平行に、かつ、前記軸線に対して略45°傾いて設けられ、前記安全信号、前記判別結果、前記光走査型光電スイッチの設定内容、前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態および前記故障状態の情報の内の少なくとも1つの情報を表示する表示画面を有する表示部と、前記表示部の近傍に設けられ、前記表示画面の表示内容を前記安全信号、前記判別結果、前記光走査型光電スイッチの設定内容、前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態および前記故障状態の情報の内の1つの前記情報から他の前記情報に変更するための操作部とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光走査型光電スイッチの種々の状態を表示する表示画面と、前記表示画面に表示させる情報を変更するための操作部とを備えているので、別途パソコンを本光電スイッチに接続しなくても、種々の設定や安全機能などの認識を簡便に行うことができる。
【0010】
一方、本光電スイッチにおいては、物体から拡散反射された光を集光するために、大きな受光反射体と受光レンズとが設けられ、本光電スイッチの小型化を図るために、前記受光反射体を第1の軸線に対し傾けて反射光を背面側の光電変換素子に集光させている。
そこで、前記大型の受光反射体の裏面に沿って平行に前記表示画面と操作部を配置することにより、大型化した表示画面および操作部を小さな本光電スイッチの表面に納めることが可能となる。
なお、表示画面および操作部は本光電スイッチの天面に設けられていないので、本光電スイッチが第1の軸線方向に大型化しない。
【0011】
なお、前記検出領域とは、物体で反射された走査光を受光して物体の存在を検出できる物体までの距離と走査光を走査する範囲によって定まる領域であり、予め、機器ごとに出荷前に設定されている。この検出領域内において本光電スイッチを用いる現場ごとに前記保護領域が予め設定されて所定の記憶部に記憶される。
つまり、検出領域は物体の存在を確実に認識可能な限界により定まり、一方、保護領域は作業者や外部機器の安全を確保する必要のある領域といえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、前記検出領域は、少なくとも前記光走査型光電スイッチの前方及び両側方の領域を含み、前記光電変換素子は前記光走査型光電スイッチの背面側に配置されるのが好ましい。
本態様において、光電変換素子を前記光電スイッチの背面側に配置することで、前記表示部や操作部を前記検出領域に対応する該光電スイッチの前面側に配置することができる。
【0013】
本発明において、前記表示画面に表示される設定内容として、前記保護領域の基準となる基準点に対する3つの方位と当該3つの方位についての距離とが表示されるのが好ましい。
本態様において、3つの基準点を設定するだけて簡便に保護領域の設定を行うことができる。この場合、表示画面を更に大きくする必要があるが、本発明によれば、かかる大型化された表示画面でも小型の光電スイッチに設けることができる。
【0014】
本発明において、前記保護領域内に物体が存在するか否かを判別した結果を表示するOSSDの表示灯と、前記保護領域に物体が存在した場合に所定のリセット入力があるまで動作を許可しないインターロック状態の表示灯とを前記表示部における表示画面の近傍に更に備えているのが好ましい。
本態様によれば、インターロック状態の表示灯やOSSDの表示灯を表示画面の近傍に設けることにより、作業者に光走査型光電スイッチの稼働状態を直観的に知らせることができる。
【0015】
本発明において、前記操作部は前記設定内容を設定するための操作ボタンを更に備え、前記表示画面を設けた面に前記操作ボタンが設けられているのが好ましい。
本態様によれば、別途、パソコンを接続しなくても、操作ボタンを用いて光走査型光電スイッチの種々の設定を行うことができる。
【0016】
本発明において、前記受光レンズの光軸を通り前記背面に直交する法線を前記光軸のまわりに略40°〜50°回転させたライン上に前記光を出射する投光素子が配置されているのが好ましい。
本態様によれば、投光素子を第1の軸線の真後に設けた場合に比べ、該光電スイッチの小型化を図り得る。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
本実施例の光走査型光電スイッチは、たとえば、ロボットなどの外部機器に接続され、接続された外部機器の動作許可/動作不許可等を示す安全信号を前記外部機器に出力するものである。たとえば、本光電スイッチは、所定のモードにおいて、図2(b)の人体などの物体Mを予め設定された保護領域A2内において検出した場合、動作不許可の信号を出力して本光電スイッチに接続された外部機器の動作を禁止する(無効化させる)。なお、保護領域A2は検出領域A1内において予め設定されて記憶される。
【0018】
光路:
本光電スイッチは、たとえば、レーザ光などの光を走査して前記物体Mの検出を行うが、まず、光学系について説明する。
【0019】
光照射手段;
図1に示すように、投光素子LDから出射されたレーザ光からなる光L1は、投光レンズ10を通り、投光第1および第2ミラー(反射鏡)11,12により偏向されて、所定の第1の軸線Zに沿って照射される。したがって、投光レンズ10、投光第1および第2ミラー11,12は、前記第1の軸線Zに沿って光L1を照射する光照射手段を構成している。
【0020】
光走査手段2;
前記投光第2ミラー12によって反射された光L1は、光走査手段2に向って照射される。前記光走査手段2は、前記第1の軸線Zを中心に回転し、当該第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置されたミラーからなる。光走査手段2は、図7に示すモータ8によって回転駆動されることにより、図2(b)の破線で示すように、前記照射手段から照射された光L1を第1の軸線Zに直交する面内に向けて偏向と共に走査する。光走査手段2によって偏向された走査光L1は、該光走査手段2が回転駆動されることにより、図2(b)に示す検出領域A1において走査されて照射される。
【0021】
光走査手段2は、前記検出領域A1内に物体Mが存在する場合には、図1に示すように、当該物体Mで反射された走査光L1(以下、「反射光L2」という)を前記第1の軸線Zに沿った方向に偏向する。
【0022】
受光反射体21,光電変換素子22;
前記光走査手段2によって偏向された反射光L2は、受光レンズ20によって集光される。前記受光レンズ20は、第1の軸線Zと一致する光軸を有しており、受光レンズ20によって集光された反射光L2は受光反射体21によって偏向され、光電変換素子22に集光される。
【0023】
前記受光反射体21は、第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置され、前記受光レンズ20により集光された反射光L2の光軸を、第1の軸線Zに対して略直交する第2の軸線Yに沿って偏向し、光電変換素子22に集光させる。
【0024】
前記光電変換素子22は、受光反射体21により偏向された反射光L2を受光し、当該受光した反射光L2を光電変換して、受光信号を生成する。
【0025】
機器構成:
図2(a)に示すように、前記投光素子LDおよび光電変換素子22は、制御手段30に接続されている。
【0026】
前記制御手段30には、図3に示すように、本光電スイッチの種々の状態を表示するための液晶表示器(表示部の一例)38aおよびLED(Light Emitting Diode)などからなる表示灯38bと、前記保護領域A2などの設定を行うための操作部39が接続されている。
一方、図2の制御手段30には、第1コネクタ5が接続されている。前記第1コネクタ5には、前記外部機器に接続される第2コネクタ付のケーブル5Aが接続される。第2コネクタ付のケーブル5Aは、ケーブル部分51の端部に第2コネクタ50を有する。
【0027】
前記制御手段30は、距離算出手段31、方位算出手段32、位置認識手段33、判別手段34、確認手段35、信号生成手段36および表示制御手段37などを備えている。
【0028】
方位算出手段32;
方位算出手段32は、前記投光および受光において、光走査手段2により前記検出領域A1に向けて偏向された走査光L1の照射方位(偏向方位)と物体Mからの反射光L2が入光する方位とを算出する。
【0029】
ここで、図7に示すモータ8の回転軸には、たとえば、光電式のロータリエンコーダ8aが設けられている。光L1,L2の偏向方位は、前記ロータリエンコーダ8aからの出力に基づき、光走査手段2の回転角度を算出することで求められる。
【0030】
距離算出手段31;
距離算出手段31は、前記各偏向方位について、光電変換素子22からの受光信号に基づいて物体Mまでの距離を算出する。すなわち、投光素子LDからの走査光L1の投光タイミングと、物体Mによって反射された反射光L2を受光した光電変換素子22の受光タイミングの差に、既知の光速を乗算して物体までの距離を算出する。前記投受光タイミングに基づく距離の算出は、所定の微小時間ごとに繰り返し行われる。
【0031】
位置認識手段33;
図2(a)に示す位置認識手段33は、物体Mの位置の認識を行う。すなわち、位置認識手段33は、前記投受光タイミング毎に、前記方位算出手段32により算出された偏向方位と、当該偏向方位において距離算出手段31が算出した物体Mまでの距離とに基づいて、当該物体Mの位置を算出することにより、該物体Mの位置を認識する。
【0032】
判別手段34;
判別手段34は、位置認識手段33により算出された物体Mの位置に基づいて、予め設定された保護領域A2内に物体Mが存在するか否かを判別する。
【0033】
第1および第2光学素子71,72;
ここで、本光電スイッチの筐体1には、前記走査光L1および反射光L2を透過する図3の透明なフロントカバー4が装着されている。たとえば、カバー4が汚れ等で曇っている場合には、図2(a)の光電変換素子22に入射する反射光L2の光量が低下し、物体Mの位置検出の感度が低下する。
なお、ここで「透明」とは、走査光L1の波長に対して透過可能であることを意味しており、走査光L1が赤外光である場合には、フロントカバー4はこの赤外光の波長に対して透過性を有している。
【0034】
そこで、図2(a)に示す前記カバー4の状態を監視するための複数個の第1および第2光学素子71,72を設け、カバー4の状態を常時監視している。第1および第2光学素子71,72は、カバー4を挟んで対向配置され、第1光学素子71からの光がカバー4を通って第2光学素子72に入射し、光路の一部としてのカバー4の状態を第2光学素子72が制御手段30に送信する。
【0035】
確認手段35;
確認手段35は、前記第2光学素子72からのカバー4の状態を含む自己の状態を監視し、自己の状態が安全な状態であることを確認する。すなわち、確認手段35は、本光電スイッチが故障しているか否かの検出を行う故障検知手段、つまり、所期の検出等を行うことができる安全な状態か否かを確認する手段を構成している。本光電スイッチが故障していると確認手段35が判断した場合には、液晶表示器38aや表示灯38bに当該状態を表示させると共に、信号生成手段36を介して、動作不許可の信号を外部機器に向けて送信する。
また、第2光学素子72からの信号に基づきカバー4が劣化し、交換時期であると確認手段35が判断した場合、液晶表示器38aや表示灯38bに当該状態を制御手段30が表示させる。
なお、第1光学素子と第2光学素子がカバー4を挟んで対峙して配置される場合について説明したが、本件発明はこれに限らず、たとえば、第3の光学素子である鏡を第2光学素子72と置き換えて配置し、第2光学素子72を第1光学素子71の近傍に配置する。この場合、第1光学素子71から投射された光はカバー4を通過して第3の光学素子である鏡で反射し、この反射光が再びカバー4を通過して第2光学素子72で受光される。
【0036】
信号生成手段36;
信号生成手段36は判別手段34の判別結果に基づいて安全信号を生成する。たとえば、所定のモードにおいて、本光電スイッチの正常な動作が確認でき、かつ、保護領域A2内に物体Mが存在しないと判別手段34が判別した場合には、信号生成手段36は安全信号として機能有効化信号を生成する。前記生成された当該信号は、制御手段30から第1コネクタ5を介して外部機器に向けて送信され、外部機器の動作が許容される。
【0037】
筐体1:
図3および図4(a),(b)に示すように、本光電スイッチは、筐体1、表示操作盤3およびカバー4を備えている。
【0038】
図5に示すように、本光電スイッチは、前述した光学系を含む構成機器からなる機器本体9および前記筐体1の一部としての裏蓋1bを備えている。前記機器本体9は、筐体1内に装填され、該筐体1内に固定されると共に、裏蓋1bにより背面が密閉される。
【0039】
図6および図11に示すように、筐体1には開口1dが形成されている。開口1dは光走査手段2から前記検出領域A1(図2(b))に至るまでの光路を含み、前記第1の軸線Z(図7)に直交する横断面において略U字状に形成されている。
【0040】
前記開口1dには、筐体1に取り外し可能に設けられ、該筐体1の開口1dを覆う前記カバー4が設けられている。前記筐体1とカバー4との間には、弾性変形可能なシール部材6が介挿される。
【0041】
機器本体9;
図7に示すように、前記光走査手段2の下方には、第1の軸線Zを中心に該光走査手段2を回転させるための前記モータ8が設けられている。図8に示すように、モータ8の回転軸には前記ロータリエンコーダ8aが設けられている。
【0042】
図9に示すように、前記受光反射体21は、第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置されている。前記受光レンズ20により集光された反射光L2の光軸は、反射光L2の立体角の中心を第1の軸線Zに対して略直交する第2の軸線Yに沿った方向に偏向され、機器本体9の背面方向B側に設けられた光電変換素子22に集光される。
図10(a),(b)に示すように、投光第2ミラー12は、受光レンズ20の軸線Zの略中心に取り付けられている。
【0043】
表示操作盤3:
図3に示すように、前記表示操作盤3には、液晶表示器38a、表示灯38bおよび操作部39が設けられている。
前記液晶表示器38aには、図13(b)〜(g)および図14に示すように、種々の画面が表示される。
【0044】
図12(a)に示すように、前記表示灯38bは、光走査型光電スイッチの各種機能に対応して複数個設けられており、該光電スイッチの各状態に応じた色にそれぞれ点灯される。
【0045】
前記操作部39は、液晶表示器38aの近傍に複数個設けられた複数の操作ボタン39a〜39eを備え、当該操作ボタン39a〜39eを押下して種々の操作を行うことにより、後述するように、液晶表示器38aの表示内容や光走査型光電スイッチの各モードの変更を行うことができる。
【0046】
図7に示すように、表示操作盤3は、受光反射体21に略平行に、かつ、前記第1の軸線Zに対して略45°傾いて設けられている。そのため、光電スイッチの筐体上部を斜めに切り取ることにより、筐体1の角張った出っ張りが小さくなることにより該光電スイッチの小型化を図り得る。同時に、表示操作盤3の大型化を図ることができる。
【0047】
ここで、図2(b)に示す検出領域A1は、図3に示す光走査型光電スイッチの前方F及び両側方Sの領域を含み、図7に示すように、光電変換素子22は本光電スイッチの背面B側(第1の軸線Zの後方)に配置されている。
一方、図10(a),(b)に示すように、前記投光素子LDは、受光レンズ20の光軸Zを通り、背面Bに直交する法線LSを前記光軸Zの回りに角度θ回転させたラインLM上に走査光L1を出射するように配置されている。前記角度θは、略40°〜50°に設定されている。
【0048】
このように、投光素子LDを配置することにより、投光素子LDを第1の軸線Zの真後に設けた場合に比べ、投光素子LDが背面Bに突出するのを防止することができるから、該光電スイッチのより一層の小型化を図ることができる。
【0049】
保護領域設定モード:
以下、図13(a)に示す矩形の保護領域A2を設定する場合について例示して説明する。
【0050】
まず、保護領域A2の設定を行うには、図12(a)に示す操作ボタン39a〜39eで所定の操作を行い、制御手段30(図2)を保護領域設定モードに設定する。つぎに、保護領域A2の基準点Oに対する3つの方位に試験片TL,TR,TFを置き、各試験片TL,TR,TFを本光電スイッチが検出することより、前記基準点Oから左辺AL、右辺ARおよび前辺AFまでの距離P2が算出される。
【0051】
図12(a)の操作ボタン39a〜39eを操作し、前辺設定モードに前記制御手段30(図2(a))を設定すると、図13(b)に示す前辺設定画面が表示される。液晶表示器38aには、設定値P1および検出値P2が表示されると共に、「Front 」や、前辺の設定を視覚的に示すキャラクタ文字「S」,「M」および矢印が表示されることにより、保護領域A2を設定する方位が表示される。前記検出値P2は、前記距離算出手段31が光走査型光電スイッチから前辺に置いた試験片TFまでの距離である。
【0052】
その後、必要に応じて図12(a)の上下キー39a,39bにタッチして図13(c)に示すように、設定値P1の値の変更設定を行う。前記変更設定後、所定の操作を行うと、前記設定値P1に対応する値が制御手段30(図2(a))に記憶され、保護領域A2の前辺までの距離(前方についての距離)が設定される。
【0053】
前記前辺の設定後、順次同様の操作を行い、図13(d)〜図13(g)に示すように、保護領域A2の左辺および右辺までの距離(左側方および右側方についての距離)を設定する。
このように、試験片TL,TR,TFを検出させることより、別途、設定用の機器を用いることなく、保護領域A2の設定を容易に行うことができる。
【0054】
なお、4個以上の試験片を検出させることにより、種々の形状の保護領域を設定可能にしてもよい。
また、保護領域の周囲に、図示しない警告領域を設け、作業者が該警告領域に進入した場合には、図12の液晶表示器38aに警告表示を行わせたり、表示灯38bを点灯させて警告してもよい。この場合、保護領域A2の設定が行われると、自動的に前記警告領域が設定されるようにしてもよい。
【0055】
最小検出体サイズ設定モード:
つぎに、最小検出体サイズの設定を行う。前記操作部39で所定の操作を行い、制御手段30を最小検出体サイズ設定モードに設定すると、図14(e)に示す最小検出体のサイズが表示される。操作者が、所定の操作を行うことで、最小検出体のサイズが設定される。最小検出体のサイズを大きく設定した場合は、保護領域A2を走査型光電スイッチからより遠い位置に設定できるようになり、反対に最小検出体のサイズを小さくした場合は、保護領域A2を走査型光電スイッチからより近い位置にのみ設定できる。
【0056】
運転状態:
本光走査型光電スイッチは、種々の運転状態に設定することが可能である。前記運転状態は、通常運転状態、図2(a)の確認手段35の故障検出による異常状態および特殊機能状態などからなる。
【0057】
通常運転状態;
前記通常運転状態においては、判別手段34による保護領域A2(図2(b))内に物体Mが存在するか否かの判別に応じて、信号生成手段36からの安全信号が第1コネクタ5、第2コネクタ50およびケーブル51を介して外部機器に送信される。
【0058】
本光電スイッチの正常な動作が確認手段35により確認でき、かつ、保護領域A2内に物体Mが存在しないと判別手段34が判別した場合には、信号生成手段36が安全信号として機能有効化信号(動作許可の信号)を生成し、第1コネクタ5から外部機器に当該信号を送信する。
同時に、制御手段30は、表示制御手段37を介して、図14(a)に示すように、液晶表示器38aに「OSSD ON」の表示を行わせると共に、図12(a)に示すOSSDに対応する表示灯38bを緑色に点灯させる。
前記外部機器は機能有効化信号を受信すると、所定の動作を開始ないし続行する。
【0059】
一方、光走査型光電スイッチの正常な動作が確認手段35により確認でき、かつ、判別手段34が保護領域A2内に物体Mを検出した場合には、信号生成手段36が安全信号として機能無効化信号(動作不許可信号)を生成し、第1コネクタ5から外部機器に当該信号を送信する。
同時に、制御手段30は、表示制御手段37を介して、図14(a)に示すように、液晶表示器38aに「OSSD OFF」の表示を行わせると共に、図12(a)に示すOSSDに対応する表示灯38bを赤色点灯させる。
前記外部機器は、動作不許可信号を受信すると、その動作が禁止される。
【0060】
異常状態;
図2(a)に示す確認手段35により、前記光電スイッチが正常な動作が行えない異常状態と判断された場合、信号生成手段36が安全信号として動作不許可信号を生成し、第1コネクタ5から外部機器に当該信号を送信する。 一方、制御手段30は、表示制御手段37を介して、図14(d)に示すように、液晶表示器38aに「E011」のようにエラー番号を表示させる。
前記外部機器は、動作不許可信号を受信すると、その動作が禁止される。
【0061】
特殊機能運転状態;
前記特殊機能運転状態における機能としては、たとえば、ミュート機能やインターロック機能などがある。
前記特殊機能運転時においては、図2(a)に示す制御手段30は、判別手段34の判別結果に拘わらず動作許可の安全信号を第1コネクタ5から出力する。
前記特殊機能への移行は、走査者が操作部を操作することにより行われる。
【0062】
つぎに、前記特殊機能について説明する。
ミュート機能;
ミュート機能は、一時的に、判別手段34の判別結果に拘わらず、動作許可の安全信号を第1コネクタ5から出力する機能である。通常運転状態から、ミュート機能実行状態への移行は、光走査型光電スイッチの正常な動作が確認手段35により確認でき、かつ、判別手段34が正常に反射光L2を受光している状態のときにのみ実行される。
【0063】
ミュート機能中には、図14(b)に示すように、液晶表示器38aに「ミューティングセンサON」と表示される。一方、ミュート機能が解除された場合には、液晶表示器38aに「ミューティングセンサOFF」と表示される。
【0064】
インターロック機能;
インターロック機能は、判別手段34が保護領域A2(図2(b))内に物体Mが存在すると判別した場合に、操作部39(図12(a))からリセット入力があるまで動作許可状態には遷移しない機能をいい、この状態をインターロック中という。
【0065】
図14(c)に示すように、前記ミューティング中やインターロック中には、液晶表示器38aに、それぞれの状態に対応する表示がなされる。前記インターロック中には、図12(a)に示すINTER LOCKに対応する表示灯38bが黄色に点灯される。
【0066】
なお、前記ミューティングやインターロック機能の他に、たとえば、オーバーライド機能などの他の機能を設ける場合も多い。オーバーライド機能とは、ミュート中に外部機器からの外部入力をトリガーとして発生する機能で、一時的に安全信号として動作許可信号を出力する機能である。
【0067】
なお、表示操作盤3は、12(b)のように1つの信号について複数の表示灯38bが配置されていてもよい。
【0068】
また、光走査手段2は投光用と受光用の走査反射体を別々に設けてもよい。たとえば、投光用第1の走査反射体と受光用の第2の走査反射体とを設けてもよい。この場合、前記第1の走査反射体は、前記第1の軸線Zを中心に回転し、当該第1の軸線Zに対して略45°傾けて設置され、前記光照射手段によって照射された光を前記第1の軸線Zに直交する面内の検出領域A1に向けて偏向する。一方、第2の走査反射体は、前記第1の軸線Zを中心に前記第1の走査反射体と同期して回転し、当該検出領域A1内の物体からの前記光の反射光を前記第1の軸線Zに沿った方向に偏向する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、光走査型光電スイッチに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例にかかる光走査型光電スイッチの光学系を示す概略斜視図である。
【図2】図2(a)は同光走査型光電スイッチを示す概略構成図、図2(b)は光走査型光電スイッチの検出領域および保護領域を示す概略平面図である。
【図3】光走査型光電スイッチを示す概略斜視図。
【図4】図4(a)は光走査型光電スイッチを示す概略右側面図、図4(b)は右下からの概略斜視図である。
【図5】光走査型光電スイッチの分解斜視図である。
【図6】カバーおよびシール部材を分解した状態で示す光走査型光電スイッチの概略斜視図である。
【図7】光走査型光電スイッチの概略縦断面図である。
【図8】光走査型光電スイッチの機器本体を示す概略右側面図である。
【図9】光走査型光電スイッチの機器本体の概略縦断面図である。
【図10】図10(a)は下方から見た機器本体上部を示す概略断面図、図10(b)は同機器本体上部のXB−XB線断面図である。
【図11】カバーおよびシール部材を分解した状態で示す下方から見た光走査型光電スイッチの概略斜視図である。
【図12】表示操作盤を示す概略正面図である。
【図13】図13(a)は保護領域の設定方法を示す概略平面図、図13(b)は液晶表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図14】液晶表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0071】
1:筐体
2:光走査手段
20:受光レンズ
21:受光反射体
22:光電変換素子
31:距離算出手段
32:方位算出手段
33:位置認識手段
34:判別手段
35:確認手段(故障検知手段)
38a:液晶表示器(表示部)
38b:表示灯
39:操作部(操作ボタン)
A1:検出領域
A2:保護領域
F:前面
L1:走査光(照射された光)
L2:反射光
LD:投光素子
S:側面
Z1:第1の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される機器の動作許可/動作不許可を示す安全信号を出力する光走査型光電スイッチにおいて、
第1の軸線に沿って光を照射する光照射手段と、
前記第1の軸線を中心に回転し、当該第1の軸線に対して略45°傾けて設置され、前記光照射手段によって照射された光を前記第1の軸線に直交する面内の検出領域に向けて偏向するとともに当該検出領域内の物体からの前記光の反射光を前記第1の軸線に沿った方向に偏向する光走査手段と、
前記第1の軸線に沿った光軸を有し、前記光走査手段によって前記第1の軸線に沿って偏向された前記反射光を集光するための受光レンズと、
前記第1の軸線に対して略45°傾けて設置され、前記受光レンズにより集光された前記反射光の光軸を前記第1の軸線に対して略直交する方向に偏向する受光反射体と、
前記受光反射体により偏向された前記反射光を受光し、当該受光した光を受光信号に光電変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子からの受光信号に基づいて物体までの距離を算出する距離算出手段と、
前記光走査手段により前記検出領域に向けて偏向された光の偏向方位を算出する方位算出手段と、
前記方位算出手段により算出された前記偏向方位と、当該偏向方位において前記距離算出手段が算出した前記物体までの距離とに基づいて前記物体の位置を認識する位置認識手段と、
前記光走査型光電スイッチの故障状態を検知する故障検知手段と、
予め設定された保護領域内に前記物体が存在するか否かを前記位置認識手段により認識された物体の位置に基づいて判別し、当該判別の結果と前記故障検知手段により検知された故障状態と前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態とに基づいて安全信号を出力する判別手段と、
前記受光反射体に略平行に、かつ、前記軸線に対して略45°傾いて設けられ、前記安全信号、前記判別結果、前記光走査型光電スイッチの設定内容、前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態および前記故障状態の情報の内の少なくとも1つの情報を表示する表示画面を有する表示部と、
前記表示部の近傍に設けられ、前記表示画面の表示内容を前記安全信号、前記判別結果、前記光走査型光電スイッチの設定内容、前記光走査型光電スイッチの安全機能の状態および前記故障状態の情報の内の1つの前記情報から他の前記情報に変更するための操作部とを備えた光走査型光電スイッチ。
【請求項2】
請求項1において、前記検出領域は、少なくとも前記光走査型光電スイッチの前方及び両側方の領域を含み、前記光電変換素子は前記光走査型光電スイッチの背面側に配置されることを特徴とする光走査型光電スイッチ。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記表示画面に表示される設定内容として、前記保護領域の基準となる基準点に対する3つの方位と当該3つの方位についての距離とが表示される光走査型光電スイッチ。
【請求項4】
請求項1、2もしくは3において、前記保護領域内に物体が存在するか否かを判別した結果を表示するOSSDの表示灯と、前記保護領域に物体が存在した場合に所定のリセット入力があるまで動作を許可しないインターロック状態の表示灯とを前記表示部における表示画面の近傍に更に備えた光走査型光電スイッチ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記操作部は前記設定内容を設定するための操作ボタンを更に備え、前記表示画面を設けた面に前記操作ボタンが設けられている光走査型光電スイッチ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記受光レンズの光軸を通り前記背面に直交する法線を前記光軸のまわりに略40°〜50°回転させたライン上に前記光を出射する投光素子が配置されていることを特徴とする光走査型光電スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−276173(P2009−276173A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126851(P2008−126851)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】