光走査装置および画像形成装置
【課題】装置輸送時における回転偏向器の破損や回転軸の軸受からの脱落を防止し、かつ、回転偏向器駆動時における偏向器押さえ部材との接触を防止することができる光走査装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】
弾性部材からなる偏向器押さえ部材130を案内部材101の内部空間に挿入し、偏向器押さえ部材130の下面を、回転偏向器50の回転軸152と当接させ、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。光走査装置使用時は、偏向器カバー105を筐体カバー107から取り外し、偏向器押さえ部材130を案内部材101から取り外す。そして、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付け、偏向器押さえ部材130が取り外された光走査装置4を画像形成装置本体に組み付ける。
【解決手段】
弾性部材からなる偏向器押さえ部材130を案内部材101の内部空間に挿入し、偏向器押さえ部材130の下面を、回転偏向器50の回転軸152と当接させ、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。光走査装置使用時は、偏向器カバー105を筐体カバー107から取り外し、偏向器押さえ部材130を案内部材101から取り外す。そして、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付け、偏向器押さえ部材130が取り外された光走査装置4を画像形成装置本体に組み付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザビームプリンタ、およびデジタル複写機、レーザFAX等の書込系に用いられる光走査装置とそれを搭載する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタ、デジタル複写機、レーザFAXなどの画像形成装置における印字プロセスは、光走査装置によって像坦持体に潜像を形成し、潜像を現像手段によってトナー像として可視化し、トナー像を転写紙等記録材上に転写して定着させ、装置外に排出するものである。上記光走査装置は、光源より光ビームをポリゴンスキャナの回転偏向器により偏向して潜像坦持体である感光体を露光走査するように構成されている。ポリゴンスキャナは、ポリゴンモータ、ポリゴンミラーとポリゴンモータの回転軸とで構成された回転偏向器を有している。
【0003】
このような画像形成装置における光走査装置は、感光体面上に高精度、高品質な光ビームを照射し続ける必要があるため、何らかの原因で故障した場合に交換可能となっている場合が多い。交換用の光走査装置単体を梱包し輸送される場合、画像形成装置自体の輸送の場合と比較して、小型の梱包になり、手荒に扱われる事態が想定される。
【0004】
ポリゴンモータの回転軸は、高速で回転するため、軸受の摩擦熱を抑制するためにオイル動圧式の軸受や空気動圧式の軸受などを用いて回転軸を回転自在に支持している。オイル動圧式の軸受や空気動圧式の軸受などを用いると、回転軸が流体を介して支持される。そのため、回転軸は、軸受に対して軸方向に移動しやすい。よって、光走査装置が手荒に扱われ、光走査装置が衝撃を受けた場合に回転軸が軸方向に動いてしまい、回転偏向器と対向するカバー部材にポリゴンミラーが突き当り、ポリゴンミラーが破損する場合があった。また、光走査装置が天地逆転された場合、回転軸が軸受から脱落するおそれもあった。特に、上記軸受としてオイル動圧式の軸受を用いた場合、回転軸が数ミリ軸受から抜ける方向へ移動してしまうと、軸受内のオイルが漏れ出すおそれがあった。
【0005】
特許文献1乃至3には、回転偏向器と対向するカバー部材に、回転偏向器の回転軸の軸方向における回転偏向器の変位を規制する偏向器規制部材を設けた光走査装置が記載されている。特許文献1には、カバー部材の回転偏向器と対向する部位を回転偏向器の上面との間隔が僅かとなるよう形成し、その部位にスポンジやゴムなどの緩衝材からなる偏向器規制部材を設けた構成が記載されている。特許文献2には、回転偏向器の回転中心線上に回転偏向器の上面から約1[mm]の隙間を開けてセラミック材からなる偏向器規制部材を設けた構成が記載されている。特許文献3には、通常動作時に回転偏向器が高速回転することによって回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器の上面と偏向器規制部材とが接触しないように回転偏向器の上面と偏向器規制部材との間の隙間が設定された構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の光走査装置においては、いずれも回転偏向器と対向するカバー部材に偏向器規制部材が固定されており、光走査装置が画像形成装置に装着され光走査装置を使用するときも、偏向器規制部材が、回転偏向器に近接している。回転偏向器は、高速回転するため、動作時に回転軸がカバー部材側へ浮き上がる場合がある。そのため、光走査装置使用時に、偏向器規制部材が回転偏向器に近接していると、回転偏向器が偏向器規制部材と当接してしまう場合があった。回転偏向器が、偏向器規制部材と当接してしまうと、摩擦による発熱により、光走査装置内が高温となったり、偏向器規制部材が磨耗して、その磨耗粉が回転偏向器のミラーに付着したりするおそれがあった。特許文献2に記載の光走査装置においては、偏向器規制部材を磨耗しにくいセラミック材を用いて、磨耗粉が生じるのを抑制している。しかし、回転偏向器が、高速回転時に偏向器規制部材と当接してしまうので、摩擦熱による発熱や磨耗粉が発生してしまう。
【0007】
また、特許文献2に記載の光走査装置においては、回転偏向器の上方を覆うカバー部材の回転偏向器の回転中心線上に相当する位置に半球状の窪み部分が設けられており、そこに球状の偏向器規制部材が取り付けられている。これにより、回転偏向器が高速回転して回転偏向器がカバー部材側に浮き上がり、偏向器規制部材に回転偏向器が当接したとしても、偏向器規制部材は、回転偏向器上面の回転中心部と当接することになる。その結果、摩擦熱による発熱や磨耗粉の発生を良好に抑制することができる。しかし、製造誤差や組み立て誤差などにより、カバー部材の半球状の窪み部分が回転偏向器の回転中心線に対してずれてしまうと、回転偏向器が高速回転してカバー部材側に浮き上がったとき、偏向器規制部材が回転偏向器上面の回転中心部からずれた位置で回転偏向器と当接してしまう。その結果、回転偏向器の回転のバランスが崩れ、回転ムラが生じてしまう。
【0008】
一方、特許文献3に記載の光走査装置は、通常動作時に回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器上面と偏向器規制部材とが接触しないように回転偏向器と偏向器規制部材との間の隙間が設定されているため、回転偏向器と偏向器規制部材と間の隙間が大きい。このため、梱包された単体の光走査装置が衝撃を受けた場合に、回転軸が大きく動いてしまう。その結果、オイル動圧式の軸受を用いた場合、軸受内のオイルが漏れ出すおそれがあった。また、光走査装置が衝撃を受けた場合に勢いよく回転偏向器が偏向器規制部材に衝突してしまい、回転偏向器が破損してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置輸送時における回転偏向器の回転軸の移動を抑制し、回転偏向器の破損や回転軸の軸受からの脱落を防止し、かつ、回転偏向器駆動時における偏向器押さえ部材との接触を防止することができる光走査装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、光ビームを射出する光源と、回転軸が軸受に回転自在に支持され、光源からの光ビームを偏向走査する回転偏向器と、偏向された光ビームを感光体上に導く光学素子とを備えた光走査装置において、当該光走査装置輸送時に、上記回転偏向器の回転軸が上記軸受から抜け出る方向と逆方向に上記回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を着脱可能に装置本体に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の光走査装置において、上記回転偏向器の上空に配設され、筒状部と、該筒状部の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、上記回転偏向器の回転軸方向に延びて、上記偏向器押さえ部材を上記回転偏向器へ案内する複数の案内部とが設けられた案内部材を備え、上記偏向器押さえ部材は、弾性部材であり、上記偏向器押さえ部材を上記複数の案内部で上記回転偏向器側へ案内するに従って、前記偏向器押さえ部材の案内部との当接部分が上記回転偏向器の回転中心に向かって圧縮せしめられるよう上記各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の光走査装置において、上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記回転偏向器の回転中心から、それぞれの案内部までの最短距離が互いに等しくなるよう上記各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の光走査装置において、上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記複数案内部の先端を沿うようにして引いた内接円が、上記回転偏向器から回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4いずれかの光走査装置において、上記複数の案内部は、それぞれ上記回転偏向器の回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5いずれかの光走査装置において、上記複数の案内部は、上記回転偏向器の回転方向に等間隔で設けられており、上記回転偏向器のミラー面数をNとし、上記案内部の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、上記回転偏向器のミラー面数と、上記案内部の個数とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至6いずれかの光走査装置において、上記光源と、上記回転偏向器と、上記光学素子とを収納する筐体を有し、上記筐体内を覆うカバーを、上記案内部材の上空に配置され、少なくとも上記回転偏向器と上記案内部材とを覆う偏向器カバーと、少なくとも上記光学素子を覆う筐体カバーとで構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の光走査装置において、上記偏向器押さえ部材の上記偏向器カバーと対向する面を上記偏向器カバーに当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の光走査装置において、上記筐体カバーと上記案内部材とが一体成型されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7または8の光走査装置において、上記偏向器カバーに上記案内部材を取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10いずれかの光走査装置を有した画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光走査装置輸送時に、回転偏向器の回転軸が軸受から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を装置本体に対して着脱可能にしたので、次のような効果を得ることができる。すなわち、光走査装置輸送時は、偏向器押さえ部材を装置本体に装着して、回転偏向器の回転軸が軸受から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器を押さえる。これにより、光走査装置輸送時に、光走査装置が衝撃を受けても回転偏向器が回転軸方向に動いてしまうのを抑制することができる。これにより、光走査装置が衝撃を受けたときに回転偏向器が勢いよく他の部材に当接して破損するのを防止することができる。また、光走査装置が天地逆転された場合、回転偏向器の回転軸が軸受から脱落するのを防止することができる。さらに、オイル動圧式の軸受を用いた場合、オイルの漏れ出しを抑制することができる。
また、光走査装置を画像形成装置に装着するとき、偏向器押さえ部材を装置本体から取り外す。これにより、回転偏向器が高速回転する際、回転偏向器の近傍に偏向器押さえ部材がないので、回転偏向器が高速回転して、回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器が偏向器押さえ部材と当接することがない。よって、偏向器押さえ部材と回転偏向器との間で摩擦熱が生じたり、偏向器押さえ部材の摩擦粉が回転偏向器のミラーに付着したりする不具合が生じることがない。さらに、回転偏向器が偏向器押さえ部材に当接して、回転偏向器の回転ムラが生じることもなく、良好に光走査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略を示す側面図。
【図2】本発明に係る光走査装置の構成を示す概略断面図。
【図3】同光走査装置の構成を示す概略上面図。
【図4】回転偏向器の構成を示す概略断面図。
【図5】光走査装置の要部分解斜視図。
【図6】案内部材の斜視図。
【図7】案内部材の平面図。
【図8】偏向器押さえ部材が取り外された状態における案内部材の周辺の断面図。
【図9】偏向器押さえ部材を取り付けた状態における案内部材の周辺の断面図。
【図10】変形例1の案内部材の斜視図。
【図11】変形例1の案内部材の平面図。
【図12】偏向器押さえ部材を取り外した状態における変形例1の案内部材の断面図。
【図13】偏向器押さえ部材を取り付けるときにおける変形例1の案内部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明が適用されるカラー画像形成装置の一例を図1に基づき説明する。
図1は、潜像担持体としての複数、4つのドラム状をした感光体10Y、10C、10M、10Kをタンデム配列したフルカラー画像形成装置の例であり、これら感光体は画像形成手段たる各作像装置7Y、7C、7M、7Kの一部として構成されている。これら作像装置7Y、7C、7M、7Kは順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応し、これらの色の画像をつくる。
【0014】
図1の画像形成装置のタイプでは、3つの支持ローラ15a、15b、15cなどに支持されて回転する表面移動部材としての中間転写ベルト14があり、この中間転写ベルト14の下側の張設ラインに沿って、矢印で示す該中間転写ベルト14の移動方向順に、上流側から、上記作像装置7Y、7C、7M、7Kが間隔をおいて配置されている。
【0015】
フルカラー画像の形成に際しては、これら作像装置7Y、7C、7M、7Kに設けられた感光体10Y、10C、10M、10Kに後述するように、各色のトナー画像が形成される。次に、これら異なる色のトナー画像は、中間転写ベルト14を間にして各感光体に対向して配置されている転写手段としての一次転写ローラ16の機能により中間転写ベルト14の移動とともに、中間転写ベルト14上に順次重ね転写される。詳しくは、中間転写ベルト14上の一次転写ローラ16が接している箇所は転写位置といい、この転写位置で転写が行なわれる。
【0016】
4つの重ね転写トナー像は最終記録媒体である記録材に、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写され、定着装置6の定着対ローラ間を通紙したのち、搬送ローラを経て、排紙ローラ対より排紙トレイ19上に排紙される。こうして、記録材上にフルカラー画像を得る。
尚、中間転写ベルト14は、黒画像1色形成モードに適合させるために、感光体10Kについては一次転写ローラ16により常時接触させる構成であり、他の感光体については、可動のテンションローラの機能により中間転写ベルト14が接離する構成としている。中間転写ベルト14上の残トナーを除去するためのクリーニング装置17がローラ15b部に設けられている。
【0017】
図1において、各作像装置7Y、7C、7M、7Kは扱うトナーの色が異なるだけであり、機械的な構成及び作像プロセスは共通であるので、感光体以外の各構成部材は同一の符号を付し、任意の一つの作像装置、例えば作像装置7Yについて構成及び作像のプロセスを説明する。
【0018】
作像装置7Yの感光体10Yの周囲には、図中、時計回りの回転方向順に、感光体10Yを帯電する帯電手段としての帯電ローラ11、書込光Lの照射位置、現像手段としての現像装置12、一次転写ローラ16、クリーニング装置13などが配置されている。
【0019】
書込光Lは、光走査手段たる光走査装置4から出射されるもので、内部には、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラー、回転多面鏡などを装備しており、各感光体に向けて各色用の書込光Lを出射し、感光体10Y上の書込位置に書込光Lを照射して静電潜像を形成する。なお、詳細については、後述する。
例えば、作像装置7Yの現像装置12については、イエローの現像剤が収納されていて、潜像をイエロー画像で可視像化する。他の作像装置についても、それぞれの色の現像剤が収納されていて、その収納されている現像剤の色で潜像を可視像化する。
【0020】
画像形成に際しては、感光体10Yが回転して帯電ローラ11により一様に帯電され、書込位置でイエロー画像の情報を含む書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成され、この潜像が現像装置を通過する間にイエロートナーにより顕像化される。
感光体10Y上のイエロートナー像は、一次転写ローラ16により中間転写ベルト14に転写される。中間転写ベルト14上の、このイエロートナー画像は、作像装置7Cでシアントナー画像、作像装置7Mでマゼンタトナー画像、作像装置7Bでブラックトナー画像と順次重ね転写される。これにより、フルカラートナー画像が形成される。
【0021】
この重ねトナー像が二次転写ローラ9部に達するのと同じタイミングで二次転写ローラ9部に至るように、記録材が給紙部5、レジストローラからタイミングを取って送り出され、前記したように、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写される。
【0022】
一方、転写後の感光体はクリーニング装置13により残留トナーが除去された後、除電ランプにより除電されて次の画像形成に備えられる。同様に、中間転写ベルト14についても、残留トナーなどがクリーニング装置17により除去される。
本例の画像形成装置では、各感光体上のトナー画像を一旦中間転写ベルト14上に重ね転写して、この重ねトナー画像をシート状媒体に一括転写する方式であるが、かかる中間転写ベルトに代えて表面移動部材たる記録紙搬送ベルトを設け、この記録紙搬送ベルトにより記録材を載せて搬送し、この搬送の過程で、各感光体から順次カラートナー像を記録材上に重ね転写することにより、フルカラー画像を合成する方式のカラー画像形成装置も知られている。本発明は、これら何れの方式の画像形成装置に対しても、適用可能である。
【0023】
次に、光走査装置4について説明する。
図2は、光走査装置4の構成を示す概略断面図である。
図3は、光走査装置4を上から見たときの概略図である。
図に示す光走査装置4はタンデム式の書込光学系であり、走査レンズ方式を採用しているが、走査レンズ、走査ミラー方式のいずれにも対応可能である。
光走査装置4は、ポリゴンスキャナ50、各種の反射ミラー、各種のレンズ等の光学素子を備えている。ポリゴンスキャナ50は、光走査装置4の略中央に設けられ、防音ガラス51と防音壁52(図4参照)と、上壁42とで囲われた密閉空間に配置されている。
【0024】
図4は、ポリゴンスキャナ50の概略構成図である。
図に示すように、ポリゴンスキャナ50は、回転多面鏡である上段ポリゴンミラー49a、下段ポリゴンミラー49b、ポリゴンモータ150などを有している。ポリゴンミラー49a、49bは、アルミニウムからなる筒状のミラーロータ151の側面に形成されている。ミラーロータ151は、回転軸152に固定されている。本実施形態においては、ミラーロータ151、回転軸152、ポリゴンミラー49a、49bなどで回転偏向器150aを構成している。ミラーロータ151の内周面には、ロータマグネット153が設けられている。ミラーロータ151の内部には、コア部材154bにコイル154aを巻きつけたステータ154が設けられている。ステータ154は、ロータマグネット153と対向する位置に配設されており、軸受158を介して回転軸152に回転自在に固定されている。軸受158は、筒状の軸受ホルダ158a、シールワッシャー158c、シールワッシャー158cにより軸受ホルダ158a内に内封された潤滑油などの流体158bなどを有している。また、軸受ホルダ158aの底部には、スラスト軸受158dが設けられている。軸受ホルダ158aの内部に回転軸152が挿入されており、回転軸152は、スラスト軸受158d上に載置されている。ポリゴンモータ150の軸受158の軸受ホルダ158aが、コネクタ161を備えた回路基板160に固定されている。コネクタ161には、図示しない装置本体の電源ユニットに接続されたハーネスが取り付けられ、このコネクタ161を介してポリゴンモータ150に電力が供給される。
【0025】
図2に示すように、ポリゴンスキャナ50の図中右側には、M用の光学系と、K用の光学系とが配設されている。ポリゴンスキャナ50の図中左側には、Y用の光学系と、C用の光学系とが配設されている。Y用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてK用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。また、C用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてM用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。
【0026】
また、図3に示すように、各感光体10K、10M、10C、10Yにそれぞれ対応する光ビームLk、Lm、Lc、Lyを射出する光ビーム発射手段たる光源ユニット41K,41M,41C,41Yを備えている。光源ユニット41は、少なくと光源たる半導体レーザを備えている。
【0027】
コリメートレンズ52Y,52M、52C、52K、結像レンズ(シリンダレンズ)53K、53M、53C、53Yと反射ミラー45a、45bは、光源ユニット41からポリゴンスキャナ50までの光ビームの光路上に配設されている。また、光学素子たる、走査レンズ(fθレンズ)25a,25b、第1ミラー46K,46M,46C,46Y,第2ミラー47K,47M,47C,47Yは、ポリゴンスキャナ50から被照射体である感光体10までの光路上に配置されている。また、図示はしないが、ポリゴンスキャナ50から被照射体である感光体10までの光路上に各色にそれぞれ対応する長尺レンズを配設してもよい。
【0028】
図3の図中右下方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの先端を検知するビーム検知センサたる先端ビーム検知ユニット44MKが設けられている。また、図中右上方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの後端を検知するビーム検知センサたる後端ビーム検知ユニット48MKが設けられている。また、回転偏向器50の回転軸152を中心にしてM、K用先端ビーム検知ユニット44MKと点対称となる位置(図中左上方)に、C、Y用先端ビーム検知ユニット44CYが設けられている。同様に、回転偏向器50の回転軸152を中心にしてM、K用後端ビーム検知ユニット48MKと点対称となる位置(図中左下方)に、C、Y用後端ビーム検知ユニット48CYが設けられている。
【0029】
K用の光源ユニット41Kから発射された光ビームは、図示しないアパーチャを通過して、所定の形状の光ビームLkが形成される。このアパーチャを通過した光ビームLkは、結像レンズ53K(シリンダレンズ)に入射して光ビームの面倒れを補正する。結像レンズ53Kを通過した光ビームLkは、反射ミラー45aに反射されて防音ガラス51を通過して主走査線偏向手段たる下段ポリゴンミラー49bの側面に入射する。下段ポリゴンミラー49bの側面に光ビームLkが入射すると、この光ビームが主走査線方向に偏向走査される。ポリゴンミラー49bで偏向走査された光ビームLkは、再び防音ガラス51を通過して走査レンズ25a(fθレンズ)によって集光される。走査レンズ25aによって集光されたK色の光ビームLkは、感光体10K上への走査に先立って折り返しミラー44aに反射され、先端ビーム検知ユニット44MKに入射して光ビームLkが検知される。先端ビーム検知ユニット44MKが光ビームLkを検知すると、同期信号が出力され、同期信号に応じて、画像データに基づいて変換された光源信号の出力のタイミングが調整される。
入力された画像データに基づいて発光した光ビームLkは、上述同様、結像レンズ53Kなどを通過して、下段ポリゴンミラー49bに走査されて、走査レンズ25aに入射する。走査レンズ25aに入射した光ビームLkは、図2に示すように、第1、第2ミラー46K、47K、防塵ガラス28Kを介して感光体10Kに照射される。
【0030】
M用の光源ユニット41Mから発射された光ビームLmも、K色同様、結像レンズ53Mなどを通過して反射ミラー25aに反射されて、上段ポリゴンミラー49aに走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたM色用の光ビームLmは、走査レンズ25aに入射して、感光体10M上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44MKに入射して、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLmが、結像レンズ53M、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25a、第1ミラー46M、第2ミラ−47M、防塵ガラス28Mを通って、感光体10Mに照射される。
【0031】
C用の光源ユニット41Cから発射された光ビームLcは、結像レンズ53Cなどを通過して反射ミラー45bに反射されて、上段ポリゴンミラー49aに走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたC色用の光ビームLcは、走査レンズ25bに入射して、感光体10C上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44CYに入射して、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLcが、結像レンズ53C、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25b、第1ミラー46C、第2ミラ−47C、防塵ガラス28Cを通って、感光体10Cに照射される。
【0032】
Y用の光源ユニット41Yから発射された光ビームLyは、結像レンズ53Yなどを通過して反射ミラー25bに反射されて、下段ポリゴンミラー49bに走査される。下段ポリゴンミラー49bに走査されたY色用の光ビームLyは、走査レンズ25bを通過した後、感光体10Y上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44CYに入射し同期信号が出力される。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLmが、結像レンズ53Y、下段ポリゴンミラー49b、走査レンズ25b、第1、第2反射ミラー46Y、47Y、防塵ガラス28Yを通って、感光体10Yに照射される。
【0033】
図5は、光走査装置4の要部分解斜視図である。
回転偏向器50、光源ユニット41Y,M,C,K、ミラーなどの光学素子が収納される筐体31の上方の開口部を、覆う筐体カバー107には、防塵ガラス28Y,28C,28M,28Kが設けられている。筐体カバー107の中央部には、回転偏向器50側に凹み、上部が開口した凹み部106が形成されている。凹み部106の底面は、防音ガラス51の上面と防音壁52の上面と当接して、密閉空間を形成する上壁42である。上壁42の回転偏向器50との対向部は、穴が形成され、その上方に詳細は、後述する案内部材101が設けられている。
【0034】
ポリゴンスキャナ50を取り付けた筐体31の上方の開口部に筐体カバー107を取り付けた後、ポリゴンスキャナ50のミラーロータ151と回転軸152との一体物である回転偏向器150aが上方向に移動、あるいは脱落することを押さえる偏向器押さえ部材130を案内部材101に取り付ける。その後、凹み部106の開口を覆う偏向器カバー105を組付ける。偏向器カバー105を取り付けることで、偏向器押さえ部材130が上方へ移動するのを偏向器カバー105で押さえることができる。
【0035】
図6は、案内部材101の斜視図であり、図7は、案内部材101の平面図である。図8は、偏向器押さえ部材130を取り外した状態における案内部材101の周辺の断面図であり、図9は、偏向器押さえ部材130を取り付けた状態における案内部材101の周辺の断面図である。
案内部材101は、円筒状の筒状部109と、筒状部109の内壁面に等間隔5箇所、内壁面から回転軸中心に向かって突出し、回転軸方向に延びるリブ状の案内部102が設けられている。各案内部102は、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、回転偏向器150aの回転中心から、それぞれの案内部102の先端までの最短距離が互いに等しくなるよう構成されている。また、各案内部102は、回転偏向器150aから離れるに従って内壁面からの突出量が減少するように形成されている。これにより、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、各案内部102の先端を沿うようにして引いた内接円が、回転偏向器150aから回転軸方向に離れるに従って大きくなる。
【0036】
また、上記内接円の中心と、回転偏向器150aの回転中心とが同じになることが好ましい。内接円の中心と回転偏向器150aの回転中心とが同じになることで、回転軸152が、上方(軸受158から脱落する方向)へ移動して、回転偏向器150aが偏向器押さえ部材130に突き当ったとき、偏向器押さえ部材130に曲げモーメントがかかり難くなる。その結果、偏向器押さえ部材130に回転偏向器150aが突き当ったとき、偏向器押さえ部材130が斜めにつぶれることが抑制され、回転偏向器150aに対して、鉛直方向下向きの反力を与えることができる。これにより、回転軸152が偏向器押さえ部材130の反力により傾いてしまうのを抑制することができる。
【0037】
また、案内部材101の筒状部109の直径は、多角形のポリゴンミラー49a,49bに内接する内接円の直径から、外接する外接円の直径の間程度であることが望ましい。また、本実施形態においては、筒状部109は、円筒形状であるが、これに限らず、四角筒形状など、上から見たときの形状が多角形となるような形状でもよい。
【0038】
また、筒状部109の外壁面からは、4箇所リブ108が形成されており、筐体カバー107の凹み部106の側面に連結している。本実施形態においては、案内部材101は、筐体カバー107と一体成型されている。案内部材101を筐体カバー107と別々に成型して、案内部材101を筐体カバー107に組み付ける場合に比べて、組付け工数などを削減することができ、製造コストを下げることができる。また、筒状部109の直径を、回転軸方向に一定にせず、回転偏向器150aから遠ざかる方向、つまり、上方の方の直径を大きくしてもよい。このように構成することで、成型時における離型性が良くなり効果的である。また、単純に、偏向器押さえ部材130も上方から挿入しやすくなる。
【0039】
偏向器押さえ部材130は、スポンジなどの弾性部材であり、円柱形状としている。なお、ここでは、偏向器押さえ部材130は、円柱形状としているが、多角形のような形状、円筒形状でも問題無い。また、偏向器押さえ部材130の直径は、案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮せしめられるよう、案内部102の内接円の直径よりも大きくしている。偏向器押さえ部材130の上下方向は、案内部材101の筒状部109の上下方向長さよりも長くして、偏向器押さえ部材130の下面を回転軸152に当接させたとき、偏向器押さえ部材130の上部の一部が、筐体カバー107よりも上方へ突出するよう設定するのがこのましい。このように構成することで、偏向器カバー105をネジなどで筐体カバー107に固定したとき、偏向器押さえ部材130が、偏向器カバー105により上下方向に圧縮される。その結果、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130により下方へ押圧され、光走査装置4の輸送時に、回転軸152が上下方向へ移動するのを抑制することができる。
【0040】
ポリゴンスキャナ50を取り付けた筐体31の上方の開口部に筐体カバー107を取り付けた後、偏向器押さえ部材130を案内部材101の内部空間に挿入する。すると、偏向器押さえ部材130が、各案内部102に突き当り、偏向器押さえ部材130の中心と、回転偏向器150aの回転中心とが合わせられる。この状態から、偏向器押さえ部材130をさらに回転偏向器150a側へ挿入していくと、案内部102の内接円の直径が、回転偏向器150aへ近づくにつれて小さくなっているので、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が、回転偏向器150aの回転中心側へ圧縮せしめられる。このように、偏向器押さえ部材130が、案内部102により圧縮されることによって、光走査装置4の輸送時に、回転偏向器150aから偏向器押さえ部材130に対して上方へ持ち上げる力が生じても、偏向器押さえ部材130が上方へ移動することなく、偏向器押さえ部材130で回転軸152を押さえることができる。
【0041】
偏向器押さえ部材130を挿入していき、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aと当接したら、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。このとき、偏向器押さえ部材130の上部の一部が、筐体カバー107よりも上方へ突出しているので、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける際に、偏向器押さえ部材130が、偏向器カバー105により上下方向に圧縮される。その結果、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130により下方へ押圧され、光走査装置4の輸送時に、回転偏向器150aが上下方向へ移動するのを抑制することができる。
【0042】
このように、本実施形態においては、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向である下方へ、偏向器押さえ部材130で回転軸152を押圧するので、光走査装置4の輸送時に、衝撃が加わったり、天地逆転されたりしても、回転軸152が移動するのを防止することができる。これにより、ポリゴンミラー49a,49bの破損や、回転軸152が軸受158から脱落するなどの不具合を防止することができる。
【0043】
光走査装置4を画像形成装置本体に取り付けるときは、偏向器カバー105を筐体カバー107から取り外し、偏向器押さえ部材130を案内部材101から取り外す。そして、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付け、偏向器押さえ部材130が取り外された光走査装置4を画像形成装置本体に組み付ける。よって、光走査装置4の使用時においては、偏向器押さえ部材130は、回転偏向器150aの近傍にはない。よって、回転偏向器150aが高速回転して、回転偏向器150aが上方へ浮き上がっても、偏向器押さえ部材130と当接することがない。これにより、偏向器押さえ部材130との摺擦による摩擦熱が発生したり、偏向器押さえ部材130の磨耗粉が発生したりすることがない。
【0044】
また、図8に示すように、筒状部109の下端と回転偏向器150a上面との間の隙間H1を1[mm]以上あけることが好ましい。筒状部109の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間H1を1[mm]以上あけることで、回転偏向器150が高速回転して、回転偏向器150aが上方へ浮き上がっても、筒状部109が、回転偏向器150aと当接することがない。
【0045】
また、図8に示すように、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間を3〜5[mm]、好ましくは、4〜5[mm]に設定するのが好ましい。これは、回転偏向器150aが高速回転すると、回転偏向器150aの上面近傍に、回転方向の気流が生じる。案内部102下端が回転偏向器150aの上面近傍にあると、案内部102下端と回転偏向器150aの上面との隙間が他の部分よりも狭いため、案内部102下端と回転偏向器150aの上面との隙間を回転方向の気流が抜ける際、気体の流速が速くなり、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との隙間が負圧となる。その結果、回転方向に圧力変動が生じて、回転偏向器150aに回転ムラが生じてしまうおそれがある。よって、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間を3[mm]以上設けることによって、案内部102と回転偏向器150aの上面との隙間の負圧を抑制することができ、回転ムラが生じるのを抑制することができる。また、上記と同様な理由で、筒状部109と回転偏向器150aとの間の隙間を3[mm]以上離すのが好ましい。
【0046】
また、ポリゴンミラー49a、49bの角部が、案内部102を抜けるとき、風切り音が大きくなる。案内部102の個数とポリゴンミラー49a,49bの面数とが同じ場合、ポリゴンミラーの全ての角部が、案内部102を抜けるタイミングが同じとなる。その結果、風切り音が、耳で確認できるレベルまで増大するおそれがある。このため、ポリゴンミラー49a,49bの面数をNとし、案内部102の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、ポリゴンミラーのミラー面数と、案内部102の個数とを設定している。これにより、ポリゴンミラー49a、49bの角部が、同時に案内部102を抜ける数を、ポリゴンミラーの面数と案内部の個数とを同じにした場合に比べて減らすことができる。これにより、ポリゴンミラーの面数と案内部の個数とを同じにした場合に比べて騒音を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、案内部材101を筐体カバー107に設けているが、案内部材101を偏向器カバー105に設けてもよい。この場合、偏向器カバー105の案内部材101に偏向器押さえ部材130を取り付けて、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付けることによって、偏向器押させ部材130を回転偏向器150aに当接させる。光走査装置4を使用する場合は、偏向器カバー105を取り外すと、偏向器押さえ部材130が、一体となって、光走査装置4から取り外される。そして、案内部材101から偏向器押さえ部材130を取り外して、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。
案内部材101を偏向器カバー105に設けることによって、偏向器カバー105を取り外すと、ポリゴンスキャナ50が、露出する。よって、偏向器カバー105を取り外すだけで、ポリゴンスキャナ50の交換が可能となる。その結果、筐体カバー107を取り外してポリゴンスキャナ50を交換する場合に比べて、交換時の筐体31の開口面積が狭くでき、埃や塵などが筐体内の光学素子に付着するのを抑制することができる。
【0048】
[変形例1]
次に、変形例1について説明する。
図10は、変形例1の案内部材101の斜視図であり、図11は、変形例1の案内部材101の平面図である。図12は、偏向器押さえ部材130を取り外した状態における変形例1の案内部材101の断面図であり、図13は、偏向器押さえ部材130を取り付けるときにおける変形例1の案内部材101の断面図である。
図に示すように、変形例1においては、案内部102を、回転偏向器150aの回転方向に傾斜させている。
【0049】
上述と同様にして、偏向器押さえ部材130を案内部材101へ挿入していくと、図13に示すように、スポンジからなる偏向器押さえ部材130の案内部材101に挿入されて箇所は、案内部102の傾斜によって、回転偏向器150aの回転方向に回転しながら回転偏向器側へ案内される。また、指示書などで、偏向器押さえ部材130を案内部材101にねじ入れることを指示しておければ、作業者は、偏向器押さえ部材130をねじ入れることになり、スムーズに偏向器押さえ部材130を案内部材101に挿入することができる。やがて、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aに当接すると、偏向器押さえ部材130の下面は、回転偏向器150aの回転方向に回転しながら回転偏向器側へ案内されているため、回転偏向器150aが、回転する。その結果、回転偏向器150aの回転を確認することで、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aに当接したことを確認することができる。これにより、偏向器押さえ部材130の下面が回転偏向器150aに当接していない状態で、偏向器押さえ部材130が組み付けられるなどの組付け不良が起こることがない。また、案内部102の傾斜を、回転偏向器150aが通常回転する向きにすることにより、回転偏向器150aが、逆回転しない構成であっても問題にならない。
【0050】
一方で、偏向器押さえ部材130を取り外し、光走査装置4を画像形成装置に組み付けて、光走査装置4を使用時においては、案内部102を、回転偏向器150aの回転方向に傾斜させることで、次のような効果が得られる。回転偏向器150aが回転すると、ポリゴンミラー49が多角形であるがゆえに、大きな抵抗と共に、空気を押し出す力が働き、回転偏向器150a周りでは、回転偏向器150aの回転方向に沿いながら、回転偏向器150aから遠ざかる方向に流れるうずのような気流が発生する。また、逆に、回転偏向器150a上方からは回転偏向器150aに向かって気流が発生する。筒状部109の中心(回転軸152の中心付近の上方)においては、上方から直線的に回転偏向器150aに向かう気流が生じ、筒状部109の内壁面の周辺においては、傾斜した案内部102に沿って回転偏向器150aの回転方向にスパイラル状に回転しながら回転偏向器150aに向かう気流が生じる。その結果、筒状部109の内壁面の周辺においては、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流が、回転偏向器150aに当るため、上方から直線的に回転偏向器150aに向かう気流が回転偏向器150aに当るよりも、回転偏向器150aが上方からの気流により受ける抵抗を低減させることができる。その結果、ポリゴンモータに印加する定常電流を低減することができる。また、定常電流を低減することができるので、ポリゴンスキャナ50の温度上昇を低減できる。また、鏡面の曇りを抑えることができる。
【0051】
以上、本実施形態の光走査装置4は、光ビームを射出する光源たるレーザダイオードLDと、回転軸152が軸受158に回転自在に支持され、LDからの光ビームを偏向走査するミラーロータ151、回転軸152、ポリゴンミラー49a、49bなどで構成された回転偏向器150aと、偏向された光ビームを感光体10上に導く複数の光学素子とを備えている。そして、光走査装置輸送時に、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器150aを押さえる偏向器押さえ部材130を着脱可能に装置本体に取り付けている。これにより、光走査装置輸送時は、回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器150aを押さえることができる。よって、光走査装置輸送時に、光走査装置4が衝撃を受けても回転偏向器150aが回転軸方向に動いてしまうのを抑制することができる。また、光走査装置4が天地逆転された場合、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から脱落するのを防止することができる。
また、光走査装置4を画像形成装置1に装着するとき、偏向器押さえ部材130を装置本体から取り外す。よって、回転偏向器150aが高速回転する際、回転偏向器150aの近傍に偏向器押さえ部材130がないので、回転偏向器150aが高速回転して、回転偏向器150aが浮き上がっても、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130と当接することがない。よって、偏向器押さえ部材130と回転偏向器150aとの間で摩擦熱が生じたり、偏向器押さえ部材130の摩擦粉が回転偏向器150aのポリゴンミラーに付着したりする不具合が生じることがない。さらに、回転偏向器150aが偏向器押さえ部材130に当接することによる回転偏向器150aの回転ムラが生じることもなく、良好に光走査を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態の光走査装置4は、回転偏向器150aの上空に配設され、筒状部109と、筒状部109の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、回転偏向器150aの回転軸方向に延びて、偏向器押さえ部材130を回転偏向器150aへ案内する複数の案内部102とを有する案内部材101を備えている。また、偏向器押さえ部材130は、弾性部材であり、偏向器押さえ部材130を複数の案内部102で回転偏向器側へ案内するに従って、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮せしめられるよう各案内部102が構成されている。これにより、偏向器押さえ部材130を、上方へ移動させるときの抵抗力が大きくなる。その結果、光走査装置4が衝撃を受けて、回転偏向器150aが上方へ移動しようとしても、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aとともに上方へ移動するのが抑制され、回転偏向器150aの移動を抑制することができる。
【0053】
また、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、回転偏向器150aの回転中心から、それぞれの案内部102までの最短距離が互いに等しくなるよう各案内部102を構成することによって、案内部102によって保持された偏向器押さえ部材130の中心と、回転偏向器150aの回転中心とを合わせることができる。これにより、回転偏向器150aに、偏向器押さえ部材130に対して上方へ押し上げるような力が生じた際、弾性部材が、真直ぐにつぶれて、回転偏向器150aに対して与える反力に偏向器の回転軸方向以外の成分が含まれるのを抑制することができる。これにより、回転軸152が回転偏向器150aの反力によって傾くのを抑制することができる。
【0054】
また、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、複数案内部102の先端を沿うようにして引いた内接円が、回転偏向器150aから回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部102を構成することで、偏向器押さえ部材130を複数の案内部102で回転偏向器150a側へ案内するに従って、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮することができる。
【0055】
また、変形例1のように、複数の案内部102は、それぞれ回転偏向器150aの回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状にすることで、偏向器押さえ部材130を、複数の案内部102で回転偏向器150a側へ案内するときに、偏向器押さえ部材130が案内部102によって回転する。その結果、偏向器押さえ部材130が回転偏向器150aと当接した際に、回転偏向器150aが回転する。よって、偏向器押さえ部材130を、装置本体に挿入時に、回転偏向器150aが回転したか否かを確認することによって、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aと当接したか否かがわかる。これにより、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aと当接していないような、装着不良を抑制することができる。
また、偏向器押さえ部材130を取り外して、光走査装置4の使用時には、回転偏向器150aの上方に生じる回転偏向器150aへ向かう気流を、案内部102で、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流にすることができる。これにより、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流が、回転偏向器150aの上面に当るため、上方から回転方向に対して直交する方向(回転偏向器上面に対して垂直方向)の気流が回転偏向器150aの上面に当るよりも、回転偏向器50の上面が受ける気流の抵抗を低減させることができる。その結果、ポリゴンモータに印加する定常電流を低減、回転偏向器の温度上昇の低減、また、鏡面の曇りを抑えることができる。
【0056】
また、複数の案内部102は、上記回転偏向器150aの回転方向に等間隔で設けられており、回転偏向器150aのミラー面数をNとし、案内部102の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、回転偏向器150aのミラー面数と、案内部102の個数とを設けることで、回転偏向器150aのミラー面数と、案内部102の個数とが同じ場合に比べて、案内部102との対向する箇所を、ミラーの角部が同時に通過する個数を減らすことができる。これにより、角部の風切り音が、ユーザーに聞こえるほど、増大するのを抑制することができる。
【0057】
また、LDと、回転偏向器150aと、光学素子とを収納する筐体31を有し、筐体31内を覆うカバーを、案内部材101の上空に配置され、少なくとも回転偏向器50と案内部材101とを覆う偏向器カバー105と、少なくとも光学素子を覆う筐体カバー107とで構成した。これにより、偏向器カバー105を取り外すだけで、偏向器押さえ部材130を着脱することができる。その結果、筐体カバー107を取り外した場合に比べて、開口面積を狭くすることができるので、埃などが、筐体内に入り込むおそれを低減することができる。
【0058】
また、偏向器押さえ部材130の偏向器カバー105と対向する面を偏向器カバー105に当接させることによって、回転偏向器150に、偏向器押さえ部材130に対して上方へ押し上げるような力が生じた際、偏向器カバー105によって偏向器押さえ部材130が上方へ移動するのを規制することができる。
【0059】
また、筐体カバー107と案内部材101とを一体成型することによって、筐体カバー107と案内部材101とを別々に成型して、案内部材101を筐体カバー107に組み付けるものに比べて、組付け工数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0060】
偏向器カバー105に案内部材101を取り付けてもよい。このように構成することによって、偏向器カバーを取り外すことで、回転偏向器150aが露出し、回転偏向器150aを交換することができる。これにより、筐体カバー107を取り外して回転偏向器の交換を行う場合に比べて、交換時の筐体の開口面積を狭くすることができ、筐体内に塵や埃が侵入するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:画像形成装置
4:光走査装置
31:筐体
41K,41M,41C,41Y:光源ユニット
49a:上段ポリゴンミラー
49b:下段ポリゴンミラー
50:回転偏向器
101,201:案内部材
102,202:案内部
105:偏向器カバー
106:凹み部
107:筐体カバー
108:リブ
109,209:筒状部
130:偏向器押さえ部材
150:ポリゴンモータ
151:ミラーロータ
152:回転軸
158:軸受
158 軸受
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2008−170804号公報
【特許文献2】特開平7−92417号公報
【特許文献3】特開平9−236772号公報
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザビームプリンタ、およびデジタル複写機、レーザFAX等の書込系に用いられる光走査装置とそれを搭載する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタ、デジタル複写機、レーザFAXなどの画像形成装置における印字プロセスは、光走査装置によって像坦持体に潜像を形成し、潜像を現像手段によってトナー像として可視化し、トナー像を転写紙等記録材上に転写して定着させ、装置外に排出するものである。上記光走査装置は、光源より光ビームをポリゴンスキャナの回転偏向器により偏向して潜像坦持体である感光体を露光走査するように構成されている。ポリゴンスキャナは、ポリゴンモータ、ポリゴンミラーとポリゴンモータの回転軸とで構成された回転偏向器を有している。
【0003】
このような画像形成装置における光走査装置は、感光体面上に高精度、高品質な光ビームを照射し続ける必要があるため、何らかの原因で故障した場合に交換可能となっている場合が多い。交換用の光走査装置単体を梱包し輸送される場合、画像形成装置自体の輸送の場合と比較して、小型の梱包になり、手荒に扱われる事態が想定される。
【0004】
ポリゴンモータの回転軸は、高速で回転するため、軸受の摩擦熱を抑制するためにオイル動圧式の軸受や空気動圧式の軸受などを用いて回転軸を回転自在に支持している。オイル動圧式の軸受や空気動圧式の軸受などを用いると、回転軸が流体を介して支持される。そのため、回転軸は、軸受に対して軸方向に移動しやすい。よって、光走査装置が手荒に扱われ、光走査装置が衝撃を受けた場合に回転軸が軸方向に動いてしまい、回転偏向器と対向するカバー部材にポリゴンミラーが突き当り、ポリゴンミラーが破損する場合があった。また、光走査装置が天地逆転された場合、回転軸が軸受から脱落するおそれもあった。特に、上記軸受としてオイル動圧式の軸受を用いた場合、回転軸が数ミリ軸受から抜ける方向へ移動してしまうと、軸受内のオイルが漏れ出すおそれがあった。
【0005】
特許文献1乃至3には、回転偏向器と対向するカバー部材に、回転偏向器の回転軸の軸方向における回転偏向器の変位を規制する偏向器規制部材を設けた光走査装置が記載されている。特許文献1には、カバー部材の回転偏向器と対向する部位を回転偏向器の上面との間隔が僅かとなるよう形成し、その部位にスポンジやゴムなどの緩衝材からなる偏向器規制部材を設けた構成が記載されている。特許文献2には、回転偏向器の回転中心線上に回転偏向器の上面から約1[mm]の隙間を開けてセラミック材からなる偏向器規制部材を設けた構成が記載されている。特許文献3には、通常動作時に回転偏向器が高速回転することによって回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器の上面と偏向器規制部材とが接触しないように回転偏向器の上面と偏向器規制部材との間の隙間が設定された構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の光走査装置においては、いずれも回転偏向器と対向するカバー部材に偏向器規制部材が固定されており、光走査装置が画像形成装置に装着され光走査装置を使用するときも、偏向器規制部材が、回転偏向器に近接している。回転偏向器は、高速回転するため、動作時に回転軸がカバー部材側へ浮き上がる場合がある。そのため、光走査装置使用時に、偏向器規制部材が回転偏向器に近接していると、回転偏向器が偏向器規制部材と当接してしまう場合があった。回転偏向器が、偏向器規制部材と当接してしまうと、摩擦による発熱により、光走査装置内が高温となったり、偏向器規制部材が磨耗して、その磨耗粉が回転偏向器のミラーに付着したりするおそれがあった。特許文献2に記載の光走査装置においては、偏向器規制部材を磨耗しにくいセラミック材を用いて、磨耗粉が生じるのを抑制している。しかし、回転偏向器が、高速回転時に偏向器規制部材と当接してしまうので、摩擦熱による発熱や磨耗粉が発生してしまう。
【0007】
また、特許文献2に記載の光走査装置においては、回転偏向器の上方を覆うカバー部材の回転偏向器の回転中心線上に相当する位置に半球状の窪み部分が設けられており、そこに球状の偏向器規制部材が取り付けられている。これにより、回転偏向器が高速回転して回転偏向器がカバー部材側に浮き上がり、偏向器規制部材に回転偏向器が当接したとしても、偏向器規制部材は、回転偏向器上面の回転中心部と当接することになる。その結果、摩擦熱による発熱や磨耗粉の発生を良好に抑制することができる。しかし、製造誤差や組み立て誤差などにより、カバー部材の半球状の窪み部分が回転偏向器の回転中心線に対してずれてしまうと、回転偏向器が高速回転してカバー部材側に浮き上がったとき、偏向器規制部材が回転偏向器上面の回転中心部からずれた位置で回転偏向器と当接してしまう。その結果、回転偏向器の回転のバランスが崩れ、回転ムラが生じてしまう。
【0008】
一方、特許文献3に記載の光走査装置は、通常動作時に回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器上面と偏向器規制部材とが接触しないように回転偏向器と偏向器規制部材との間の隙間が設定されているため、回転偏向器と偏向器規制部材と間の隙間が大きい。このため、梱包された単体の光走査装置が衝撃を受けた場合に、回転軸が大きく動いてしまう。その結果、オイル動圧式の軸受を用いた場合、軸受内のオイルが漏れ出すおそれがあった。また、光走査装置が衝撃を受けた場合に勢いよく回転偏向器が偏向器規制部材に衝突してしまい、回転偏向器が破損してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置輸送時における回転偏向器の回転軸の移動を抑制し、回転偏向器の破損や回転軸の軸受からの脱落を防止し、かつ、回転偏向器駆動時における偏向器押さえ部材との接触を防止することができる光走査装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、光ビームを射出する光源と、回転軸が軸受に回転自在に支持され、光源からの光ビームを偏向走査する回転偏向器と、偏向された光ビームを感光体上に導く光学素子とを備えた光走査装置において、当該光走査装置輸送時に、上記回転偏向器の回転軸が上記軸受から抜け出る方向と逆方向に上記回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を着脱可能に装置本体に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の光走査装置において、上記回転偏向器の上空に配設され、筒状部と、該筒状部の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、上記回転偏向器の回転軸方向に延びて、上記偏向器押さえ部材を上記回転偏向器へ案内する複数の案内部とが設けられた案内部材を備え、上記偏向器押さえ部材は、弾性部材であり、上記偏向器押さえ部材を上記複数の案内部で上記回転偏向器側へ案内するに従って、前記偏向器押さえ部材の案内部との当接部分が上記回転偏向器の回転中心に向かって圧縮せしめられるよう上記各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の光走査装置において、上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記回転偏向器の回転中心から、それぞれの案内部までの最短距離が互いに等しくなるよう上記各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の光走査装置において、上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記複数案内部の先端を沿うようにして引いた内接円が、上記回転偏向器から回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4いずれかの光走査装置において、上記複数の案内部は、それぞれ上記回転偏向器の回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5いずれかの光走査装置において、上記複数の案内部は、上記回転偏向器の回転方向に等間隔で設けられており、上記回転偏向器のミラー面数をNとし、上記案内部の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、上記回転偏向器のミラー面数と、上記案内部の個数とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至6いずれかの光走査装置において、上記光源と、上記回転偏向器と、上記光学素子とを収納する筐体を有し、上記筐体内を覆うカバーを、上記案内部材の上空に配置され、少なくとも上記回転偏向器と上記案内部材とを覆う偏向器カバーと、少なくとも上記光学素子を覆う筐体カバーとで構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の光走査装置において、上記偏向器押さえ部材の上記偏向器カバーと対向する面を上記偏向器カバーに当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の光走査装置において、上記筐体カバーと上記案内部材とが一体成型されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7または8の光走査装置において、上記偏向器カバーに上記案内部材を取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10いずれかの光走査装置を有した画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光走査装置輸送時に、回転偏向器の回転軸が軸受から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を装置本体に対して着脱可能にしたので、次のような効果を得ることができる。すなわち、光走査装置輸送時は、偏向器押さえ部材を装置本体に装着して、回転偏向器の回転軸が軸受から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器を押さえる。これにより、光走査装置輸送時に、光走査装置が衝撃を受けても回転偏向器が回転軸方向に動いてしまうのを抑制することができる。これにより、光走査装置が衝撃を受けたときに回転偏向器が勢いよく他の部材に当接して破損するのを防止することができる。また、光走査装置が天地逆転された場合、回転偏向器の回転軸が軸受から脱落するのを防止することができる。さらに、オイル動圧式の軸受を用いた場合、オイルの漏れ出しを抑制することができる。
また、光走査装置を画像形成装置に装着するとき、偏向器押さえ部材を装置本体から取り外す。これにより、回転偏向器が高速回転する際、回転偏向器の近傍に偏向器押さえ部材がないので、回転偏向器が高速回転して、回転偏向器が浮き上がっても、回転偏向器が偏向器押さえ部材と当接することがない。よって、偏向器押さえ部材と回転偏向器との間で摩擦熱が生じたり、偏向器押さえ部材の摩擦粉が回転偏向器のミラーに付着したりする不具合が生じることがない。さらに、回転偏向器が偏向器押さえ部材に当接して、回転偏向器の回転ムラが生じることもなく、良好に光走査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略を示す側面図。
【図2】本発明に係る光走査装置の構成を示す概略断面図。
【図3】同光走査装置の構成を示す概略上面図。
【図4】回転偏向器の構成を示す概略断面図。
【図5】光走査装置の要部分解斜視図。
【図6】案内部材の斜視図。
【図7】案内部材の平面図。
【図8】偏向器押さえ部材が取り外された状態における案内部材の周辺の断面図。
【図9】偏向器押さえ部材を取り付けた状態における案内部材の周辺の断面図。
【図10】変形例1の案内部材の斜視図。
【図11】変形例1の案内部材の平面図。
【図12】偏向器押さえ部材を取り外した状態における変形例1の案内部材の断面図。
【図13】偏向器押さえ部材を取り付けるときにおける変形例1の案内部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明が適用されるカラー画像形成装置の一例を図1に基づき説明する。
図1は、潜像担持体としての複数、4つのドラム状をした感光体10Y、10C、10M、10Kをタンデム配列したフルカラー画像形成装置の例であり、これら感光体は画像形成手段たる各作像装置7Y、7C、7M、7Kの一部として構成されている。これら作像装置7Y、7C、7M、7Kは順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応し、これらの色の画像をつくる。
【0014】
図1の画像形成装置のタイプでは、3つの支持ローラ15a、15b、15cなどに支持されて回転する表面移動部材としての中間転写ベルト14があり、この中間転写ベルト14の下側の張設ラインに沿って、矢印で示す該中間転写ベルト14の移動方向順に、上流側から、上記作像装置7Y、7C、7M、7Kが間隔をおいて配置されている。
【0015】
フルカラー画像の形成に際しては、これら作像装置7Y、7C、7M、7Kに設けられた感光体10Y、10C、10M、10Kに後述するように、各色のトナー画像が形成される。次に、これら異なる色のトナー画像は、中間転写ベルト14を間にして各感光体に対向して配置されている転写手段としての一次転写ローラ16の機能により中間転写ベルト14の移動とともに、中間転写ベルト14上に順次重ね転写される。詳しくは、中間転写ベルト14上の一次転写ローラ16が接している箇所は転写位置といい、この転写位置で転写が行なわれる。
【0016】
4つの重ね転写トナー像は最終記録媒体である記録材に、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写され、定着装置6の定着対ローラ間を通紙したのち、搬送ローラを経て、排紙ローラ対より排紙トレイ19上に排紙される。こうして、記録材上にフルカラー画像を得る。
尚、中間転写ベルト14は、黒画像1色形成モードに適合させるために、感光体10Kについては一次転写ローラ16により常時接触させる構成であり、他の感光体については、可動のテンションローラの機能により中間転写ベルト14が接離する構成としている。中間転写ベルト14上の残トナーを除去するためのクリーニング装置17がローラ15b部に設けられている。
【0017】
図1において、各作像装置7Y、7C、7M、7Kは扱うトナーの色が異なるだけであり、機械的な構成及び作像プロセスは共通であるので、感光体以外の各構成部材は同一の符号を付し、任意の一つの作像装置、例えば作像装置7Yについて構成及び作像のプロセスを説明する。
【0018】
作像装置7Yの感光体10Yの周囲には、図中、時計回りの回転方向順に、感光体10Yを帯電する帯電手段としての帯電ローラ11、書込光Lの照射位置、現像手段としての現像装置12、一次転写ローラ16、クリーニング装置13などが配置されている。
【0019】
書込光Lは、光走査手段たる光走査装置4から出射されるもので、内部には、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラー、回転多面鏡などを装備しており、各感光体に向けて各色用の書込光Lを出射し、感光体10Y上の書込位置に書込光Lを照射して静電潜像を形成する。なお、詳細については、後述する。
例えば、作像装置7Yの現像装置12については、イエローの現像剤が収納されていて、潜像をイエロー画像で可視像化する。他の作像装置についても、それぞれの色の現像剤が収納されていて、その収納されている現像剤の色で潜像を可視像化する。
【0020】
画像形成に際しては、感光体10Yが回転して帯電ローラ11により一様に帯電され、書込位置でイエロー画像の情報を含む書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成され、この潜像が現像装置を通過する間にイエロートナーにより顕像化される。
感光体10Y上のイエロートナー像は、一次転写ローラ16により中間転写ベルト14に転写される。中間転写ベルト14上の、このイエロートナー画像は、作像装置7Cでシアントナー画像、作像装置7Mでマゼンタトナー画像、作像装置7Bでブラックトナー画像と順次重ね転写される。これにより、フルカラートナー画像が形成される。
【0021】
この重ねトナー像が二次転写ローラ9部に達するのと同じタイミングで二次転写ローラ9部に至るように、記録材が給紙部5、レジストローラからタイミングを取って送り出され、前記したように、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写される。
【0022】
一方、転写後の感光体はクリーニング装置13により残留トナーが除去された後、除電ランプにより除電されて次の画像形成に備えられる。同様に、中間転写ベルト14についても、残留トナーなどがクリーニング装置17により除去される。
本例の画像形成装置では、各感光体上のトナー画像を一旦中間転写ベルト14上に重ね転写して、この重ねトナー画像をシート状媒体に一括転写する方式であるが、かかる中間転写ベルトに代えて表面移動部材たる記録紙搬送ベルトを設け、この記録紙搬送ベルトにより記録材を載せて搬送し、この搬送の過程で、各感光体から順次カラートナー像を記録材上に重ね転写することにより、フルカラー画像を合成する方式のカラー画像形成装置も知られている。本発明は、これら何れの方式の画像形成装置に対しても、適用可能である。
【0023】
次に、光走査装置4について説明する。
図2は、光走査装置4の構成を示す概略断面図である。
図3は、光走査装置4を上から見たときの概略図である。
図に示す光走査装置4はタンデム式の書込光学系であり、走査レンズ方式を採用しているが、走査レンズ、走査ミラー方式のいずれにも対応可能である。
光走査装置4は、ポリゴンスキャナ50、各種の反射ミラー、各種のレンズ等の光学素子を備えている。ポリゴンスキャナ50は、光走査装置4の略中央に設けられ、防音ガラス51と防音壁52(図4参照)と、上壁42とで囲われた密閉空間に配置されている。
【0024】
図4は、ポリゴンスキャナ50の概略構成図である。
図に示すように、ポリゴンスキャナ50は、回転多面鏡である上段ポリゴンミラー49a、下段ポリゴンミラー49b、ポリゴンモータ150などを有している。ポリゴンミラー49a、49bは、アルミニウムからなる筒状のミラーロータ151の側面に形成されている。ミラーロータ151は、回転軸152に固定されている。本実施形態においては、ミラーロータ151、回転軸152、ポリゴンミラー49a、49bなどで回転偏向器150aを構成している。ミラーロータ151の内周面には、ロータマグネット153が設けられている。ミラーロータ151の内部には、コア部材154bにコイル154aを巻きつけたステータ154が設けられている。ステータ154は、ロータマグネット153と対向する位置に配設されており、軸受158を介して回転軸152に回転自在に固定されている。軸受158は、筒状の軸受ホルダ158a、シールワッシャー158c、シールワッシャー158cにより軸受ホルダ158a内に内封された潤滑油などの流体158bなどを有している。また、軸受ホルダ158aの底部には、スラスト軸受158dが設けられている。軸受ホルダ158aの内部に回転軸152が挿入されており、回転軸152は、スラスト軸受158d上に載置されている。ポリゴンモータ150の軸受158の軸受ホルダ158aが、コネクタ161を備えた回路基板160に固定されている。コネクタ161には、図示しない装置本体の電源ユニットに接続されたハーネスが取り付けられ、このコネクタ161を介してポリゴンモータ150に電力が供給される。
【0025】
図2に示すように、ポリゴンスキャナ50の図中右側には、M用の光学系と、K用の光学系とが配設されている。ポリゴンスキャナ50の図中左側には、Y用の光学系と、C用の光学系とが配設されている。Y用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてK用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。また、C用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてM用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。
【0026】
また、図3に示すように、各感光体10K、10M、10C、10Yにそれぞれ対応する光ビームLk、Lm、Lc、Lyを射出する光ビーム発射手段たる光源ユニット41K,41M,41C,41Yを備えている。光源ユニット41は、少なくと光源たる半導体レーザを備えている。
【0027】
コリメートレンズ52Y,52M、52C、52K、結像レンズ(シリンダレンズ)53K、53M、53C、53Yと反射ミラー45a、45bは、光源ユニット41からポリゴンスキャナ50までの光ビームの光路上に配設されている。また、光学素子たる、走査レンズ(fθレンズ)25a,25b、第1ミラー46K,46M,46C,46Y,第2ミラー47K,47M,47C,47Yは、ポリゴンスキャナ50から被照射体である感光体10までの光路上に配置されている。また、図示はしないが、ポリゴンスキャナ50から被照射体である感光体10までの光路上に各色にそれぞれ対応する長尺レンズを配設してもよい。
【0028】
図3の図中右下方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの先端を検知するビーム検知センサたる先端ビーム検知ユニット44MKが設けられている。また、図中右上方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの後端を検知するビーム検知センサたる後端ビーム検知ユニット48MKが設けられている。また、回転偏向器50の回転軸152を中心にしてM、K用先端ビーム検知ユニット44MKと点対称となる位置(図中左上方)に、C、Y用先端ビーム検知ユニット44CYが設けられている。同様に、回転偏向器50の回転軸152を中心にしてM、K用後端ビーム検知ユニット48MKと点対称となる位置(図中左下方)に、C、Y用後端ビーム検知ユニット48CYが設けられている。
【0029】
K用の光源ユニット41Kから発射された光ビームは、図示しないアパーチャを通過して、所定の形状の光ビームLkが形成される。このアパーチャを通過した光ビームLkは、結像レンズ53K(シリンダレンズ)に入射して光ビームの面倒れを補正する。結像レンズ53Kを通過した光ビームLkは、反射ミラー45aに反射されて防音ガラス51を通過して主走査線偏向手段たる下段ポリゴンミラー49bの側面に入射する。下段ポリゴンミラー49bの側面に光ビームLkが入射すると、この光ビームが主走査線方向に偏向走査される。ポリゴンミラー49bで偏向走査された光ビームLkは、再び防音ガラス51を通過して走査レンズ25a(fθレンズ)によって集光される。走査レンズ25aによって集光されたK色の光ビームLkは、感光体10K上への走査に先立って折り返しミラー44aに反射され、先端ビーム検知ユニット44MKに入射して光ビームLkが検知される。先端ビーム検知ユニット44MKが光ビームLkを検知すると、同期信号が出力され、同期信号に応じて、画像データに基づいて変換された光源信号の出力のタイミングが調整される。
入力された画像データに基づいて発光した光ビームLkは、上述同様、結像レンズ53Kなどを通過して、下段ポリゴンミラー49bに走査されて、走査レンズ25aに入射する。走査レンズ25aに入射した光ビームLkは、図2に示すように、第1、第2ミラー46K、47K、防塵ガラス28Kを介して感光体10Kに照射される。
【0030】
M用の光源ユニット41Mから発射された光ビームLmも、K色同様、結像レンズ53Mなどを通過して反射ミラー25aに反射されて、上段ポリゴンミラー49aに走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたM色用の光ビームLmは、走査レンズ25aに入射して、感光体10M上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44MKに入射して、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLmが、結像レンズ53M、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25a、第1ミラー46M、第2ミラ−47M、防塵ガラス28Mを通って、感光体10Mに照射される。
【0031】
C用の光源ユニット41Cから発射された光ビームLcは、結像レンズ53Cなどを通過して反射ミラー45bに反射されて、上段ポリゴンミラー49aに走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたC色用の光ビームLcは、走査レンズ25bに入射して、感光体10C上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44CYに入射して、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLcが、結像レンズ53C、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25b、第1ミラー46C、第2ミラ−47C、防塵ガラス28Cを通って、感光体10Cに照射される。
【0032】
Y用の光源ユニット41Yから発射された光ビームLyは、結像レンズ53Yなどを通過して反射ミラー25bに反射されて、下段ポリゴンミラー49bに走査される。下段ポリゴンミラー49bに走査されたY色用の光ビームLyは、走査レンズ25bを通過した後、感光体10Y上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット44CYに入射し同期信号が出力される。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLmが、結像レンズ53Y、下段ポリゴンミラー49b、走査レンズ25b、第1、第2反射ミラー46Y、47Y、防塵ガラス28Yを通って、感光体10Yに照射される。
【0033】
図5は、光走査装置4の要部分解斜視図である。
回転偏向器50、光源ユニット41Y,M,C,K、ミラーなどの光学素子が収納される筐体31の上方の開口部を、覆う筐体カバー107には、防塵ガラス28Y,28C,28M,28Kが設けられている。筐体カバー107の中央部には、回転偏向器50側に凹み、上部が開口した凹み部106が形成されている。凹み部106の底面は、防音ガラス51の上面と防音壁52の上面と当接して、密閉空間を形成する上壁42である。上壁42の回転偏向器50との対向部は、穴が形成され、その上方に詳細は、後述する案内部材101が設けられている。
【0034】
ポリゴンスキャナ50を取り付けた筐体31の上方の開口部に筐体カバー107を取り付けた後、ポリゴンスキャナ50のミラーロータ151と回転軸152との一体物である回転偏向器150aが上方向に移動、あるいは脱落することを押さえる偏向器押さえ部材130を案内部材101に取り付ける。その後、凹み部106の開口を覆う偏向器カバー105を組付ける。偏向器カバー105を取り付けることで、偏向器押さえ部材130が上方へ移動するのを偏向器カバー105で押さえることができる。
【0035】
図6は、案内部材101の斜視図であり、図7は、案内部材101の平面図である。図8は、偏向器押さえ部材130を取り外した状態における案内部材101の周辺の断面図であり、図9は、偏向器押さえ部材130を取り付けた状態における案内部材101の周辺の断面図である。
案内部材101は、円筒状の筒状部109と、筒状部109の内壁面に等間隔5箇所、内壁面から回転軸中心に向かって突出し、回転軸方向に延びるリブ状の案内部102が設けられている。各案内部102は、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、回転偏向器150aの回転中心から、それぞれの案内部102の先端までの最短距離が互いに等しくなるよう構成されている。また、各案内部102は、回転偏向器150aから離れるに従って内壁面からの突出量が減少するように形成されている。これにより、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、各案内部102の先端を沿うようにして引いた内接円が、回転偏向器150aから回転軸方向に離れるに従って大きくなる。
【0036】
また、上記内接円の中心と、回転偏向器150aの回転中心とが同じになることが好ましい。内接円の中心と回転偏向器150aの回転中心とが同じになることで、回転軸152が、上方(軸受158から脱落する方向)へ移動して、回転偏向器150aが偏向器押さえ部材130に突き当ったとき、偏向器押さえ部材130に曲げモーメントがかかり難くなる。その結果、偏向器押さえ部材130に回転偏向器150aが突き当ったとき、偏向器押さえ部材130が斜めにつぶれることが抑制され、回転偏向器150aに対して、鉛直方向下向きの反力を与えることができる。これにより、回転軸152が偏向器押さえ部材130の反力により傾いてしまうのを抑制することができる。
【0037】
また、案内部材101の筒状部109の直径は、多角形のポリゴンミラー49a,49bに内接する内接円の直径から、外接する外接円の直径の間程度であることが望ましい。また、本実施形態においては、筒状部109は、円筒形状であるが、これに限らず、四角筒形状など、上から見たときの形状が多角形となるような形状でもよい。
【0038】
また、筒状部109の外壁面からは、4箇所リブ108が形成されており、筐体カバー107の凹み部106の側面に連結している。本実施形態においては、案内部材101は、筐体カバー107と一体成型されている。案内部材101を筐体カバー107と別々に成型して、案内部材101を筐体カバー107に組み付ける場合に比べて、組付け工数などを削減することができ、製造コストを下げることができる。また、筒状部109の直径を、回転軸方向に一定にせず、回転偏向器150aから遠ざかる方向、つまり、上方の方の直径を大きくしてもよい。このように構成することで、成型時における離型性が良くなり効果的である。また、単純に、偏向器押さえ部材130も上方から挿入しやすくなる。
【0039】
偏向器押さえ部材130は、スポンジなどの弾性部材であり、円柱形状としている。なお、ここでは、偏向器押さえ部材130は、円柱形状としているが、多角形のような形状、円筒形状でも問題無い。また、偏向器押さえ部材130の直径は、案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮せしめられるよう、案内部102の内接円の直径よりも大きくしている。偏向器押さえ部材130の上下方向は、案内部材101の筒状部109の上下方向長さよりも長くして、偏向器押さえ部材130の下面を回転軸152に当接させたとき、偏向器押さえ部材130の上部の一部が、筐体カバー107よりも上方へ突出するよう設定するのがこのましい。このように構成することで、偏向器カバー105をネジなどで筐体カバー107に固定したとき、偏向器押さえ部材130が、偏向器カバー105により上下方向に圧縮される。その結果、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130により下方へ押圧され、光走査装置4の輸送時に、回転軸152が上下方向へ移動するのを抑制することができる。
【0040】
ポリゴンスキャナ50を取り付けた筐体31の上方の開口部に筐体カバー107を取り付けた後、偏向器押さえ部材130を案内部材101の内部空間に挿入する。すると、偏向器押さえ部材130が、各案内部102に突き当り、偏向器押さえ部材130の中心と、回転偏向器150aの回転中心とが合わせられる。この状態から、偏向器押さえ部材130をさらに回転偏向器150a側へ挿入していくと、案内部102の内接円の直径が、回転偏向器150aへ近づくにつれて小さくなっているので、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が、回転偏向器150aの回転中心側へ圧縮せしめられる。このように、偏向器押さえ部材130が、案内部102により圧縮されることによって、光走査装置4の輸送時に、回転偏向器150aから偏向器押さえ部材130に対して上方へ持ち上げる力が生じても、偏向器押さえ部材130が上方へ移動することなく、偏向器押さえ部材130で回転軸152を押さえることができる。
【0041】
偏向器押さえ部材130を挿入していき、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aと当接したら、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。このとき、偏向器押さえ部材130の上部の一部が、筐体カバー107よりも上方へ突出しているので、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける際に、偏向器押さえ部材130が、偏向器カバー105により上下方向に圧縮される。その結果、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130により下方へ押圧され、光走査装置4の輸送時に、回転偏向器150aが上下方向へ移動するのを抑制することができる。
【0042】
このように、本実施形態においては、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向である下方へ、偏向器押さえ部材130で回転軸152を押圧するので、光走査装置4の輸送時に、衝撃が加わったり、天地逆転されたりしても、回転軸152が移動するのを防止することができる。これにより、ポリゴンミラー49a,49bの破損や、回転軸152が軸受158から脱落するなどの不具合を防止することができる。
【0043】
光走査装置4を画像形成装置本体に取り付けるときは、偏向器カバー105を筐体カバー107から取り外し、偏向器押さえ部材130を案内部材101から取り外す。そして、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付け、偏向器押さえ部材130が取り外された光走査装置4を画像形成装置本体に組み付ける。よって、光走査装置4の使用時においては、偏向器押さえ部材130は、回転偏向器150aの近傍にはない。よって、回転偏向器150aが高速回転して、回転偏向器150aが上方へ浮き上がっても、偏向器押さえ部材130と当接することがない。これにより、偏向器押さえ部材130との摺擦による摩擦熱が発生したり、偏向器押さえ部材130の磨耗粉が発生したりすることがない。
【0044】
また、図8に示すように、筒状部109の下端と回転偏向器150a上面との間の隙間H1を1[mm]以上あけることが好ましい。筒状部109の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間H1を1[mm]以上あけることで、回転偏向器150が高速回転して、回転偏向器150aが上方へ浮き上がっても、筒状部109が、回転偏向器150aと当接することがない。
【0045】
また、図8に示すように、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間を3〜5[mm]、好ましくは、4〜5[mm]に設定するのが好ましい。これは、回転偏向器150aが高速回転すると、回転偏向器150aの上面近傍に、回転方向の気流が生じる。案内部102下端が回転偏向器150aの上面近傍にあると、案内部102下端と回転偏向器150aの上面との隙間が他の部分よりも狭いため、案内部102下端と回転偏向器150aの上面との隙間を回転方向の気流が抜ける際、気体の流速が速くなり、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との隙間が負圧となる。その結果、回転方向に圧力変動が生じて、回転偏向器150aに回転ムラが生じてしまうおそれがある。よって、案内部102の下端と回転偏向器150aの上面との間の隙間を3[mm]以上設けることによって、案内部102と回転偏向器150aの上面との隙間の負圧を抑制することができ、回転ムラが生じるのを抑制することができる。また、上記と同様な理由で、筒状部109と回転偏向器150aとの間の隙間を3[mm]以上離すのが好ましい。
【0046】
また、ポリゴンミラー49a、49bの角部が、案内部102を抜けるとき、風切り音が大きくなる。案内部102の個数とポリゴンミラー49a,49bの面数とが同じ場合、ポリゴンミラーの全ての角部が、案内部102を抜けるタイミングが同じとなる。その結果、風切り音が、耳で確認できるレベルまで増大するおそれがある。このため、ポリゴンミラー49a,49bの面数をNとし、案内部102の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、ポリゴンミラーのミラー面数と、案内部102の個数とを設定している。これにより、ポリゴンミラー49a、49bの角部が、同時に案内部102を抜ける数を、ポリゴンミラーの面数と案内部の個数とを同じにした場合に比べて減らすことができる。これにより、ポリゴンミラーの面数と案内部の個数とを同じにした場合に比べて騒音を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、案内部材101を筐体カバー107に設けているが、案内部材101を偏向器カバー105に設けてもよい。この場合、偏向器カバー105の案内部材101に偏向器押さえ部材130を取り付けて、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付けることによって、偏向器押させ部材130を回転偏向器150aに当接させる。光走査装置4を使用する場合は、偏向器カバー105を取り外すと、偏向器押さえ部材130が、一体となって、光走査装置4から取り外される。そして、案内部材101から偏向器押さえ部材130を取り外して、再び、偏向器カバー105を筐体カバー107に取り付ける。
案内部材101を偏向器カバー105に設けることによって、偏向器カバー105を取り外すと、ポリゴンスキャナ50が、露出する。よって、偏向器カバー105を取り外すだけで、ポリゴンスキャナ50の交換が可能となる。その結果、筐体カバー107を取り外してポリゴンスキャナ50を交換する場合に比べて、交換時の筐体31の開口面積が狭くでき、埃や塵などが筐体内の光学素子に付着するのを抑制することができる。
【0048】
[変形例1]
次に、変形例1について説明する。
図10は、変形例1の案内部材101の斜視図であり、図11は、変形例1の案内部材101の平面図である。図12は、偏向器押さえ部材130を取り外した状態における変形例1の案内部材101の断面図であり、図13は、偏向器押さえ部材130を取り付けるときにおける変形例1の案内部材101の断面図である。
図に示すように、変形例1においては、案内部102を、回転偏向器150aの回転方向に傾斜させている。
【0049】
上述と同様にして、偏向器押さえ部材130を案内部材101へ挿入していくと、図13に示すように、スポンジからなる偏向器押さえ部材130の案内部材101に挿入されて箇所は、案内部102の傾斜によって、回転偏向器150aの回転方向に回転しながら回転偏向器側へ案内される。また、指示書などで、偏向器押さえ部材130を案内部材101にねじ入れることを指示しておければ、作業者は、偏向器押さえ部材130をねじ入れることになり、スムーズに偏向器押さえ部材130を案内部材101に挿入することができる。やがて、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aに当接すると、偏向器押さえ部材130の下面は、回転偏向器150aの回転方向に回転しながら回転偏向器側へ案内されているため、回転偏向器150aが、回転する。その結果、回転偏向器150aの回転を確認することで、偏向器押さえ部材130の下面が、回転偏向器150aに当接したことを確認することができる。これにより、偏向器押さえ部材130の下面が回転偏向器150aに当接していない状態で、偏向器押さえ部材130が組み付けられるなどの組付け不良が起こることがない。また、案内部102の傾斜を、回転偏向器150aが通常回転する向きにすることにより、回転偏向器150aが、逆回転しない構成であっても問題にならない。
【0050】
一方で、偏向器押さえ部材130を取り外し、光走査装置4を画像形成装置に組み付けて、光走査装置4を使用時においては、案内部102を、回転偏向器150aの回転方向に傾斜させることで、次のような効果が得られる。回転偏向器150aが回転すると、ポリゴンミラー49が多角形であるがゆえに、大きな抵抗と共に、空気を押し出す力が働き、回転偏向器150a周りでは、回転偏向器150aの回転方向に沿いながら、回転偏向器150aから遠ざかる方向に流れるうずのような気流が発生する。また、逆に、回転偏向器150a上方からは回転偏向器150aに向かって気流が発生する。筒状部109の中心(回転軸152の中心付近の上方)においては、上方から直線的に回転偏向器150aに向かう気流が生じ、筒状部109の内壁面の周辺においては、傾斜した案内部102に沿って回転偏向器150aの回転方向にスパイラル状に回転しながら回転偏向器150aに向かう気流が生じる。その結果、筒状部109の内壁面の周辺においては、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流が、回転偏向器150aに当るため、上方から直線的に回転偏向器150aに向かう気流が回転偏向器150aに当るよりも、回転偏向器150aが上方からの気流により受ける抵抗を低減させることができる。その結果、ポリゴンモータに印加する定常電流を低減することができる。また、定常電流を低減することができるので、ポリゴンスキャナ50の温度上昇を低減できる。また、鏡面の曇りを抑えることができる。
【0051】
以上、本実施形態の光走査装置4は、光ビームを射出する光源たるレーザダイオードLDと、回転軸152が軸受158に回転自在に支持され、LDからの光ビームを偏向走査するミラーロータ151、回転軸152、ポリゴンミラー49a、49bなどで構成された回転偏向器150aと、偏向された光ビームを感光体10上に導く複数の光学素子とを備えている。そして、光走査装置輸送時に、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器150aを押さえる偏向器押さえ部材130を着脱可能に装置本体に取り付けている。これにより、光走査装置輸送時は、回転軸152が軸受158から抜け出る方向と逆方向に回転偏向器150aを押さえることができる。よって、光走査装置輸送時に、光走査装置4が衝撃を受けても回転偏向器150aが回転軸方向に動いてしまうのを抑制することができる。また、光走査装置4が天地逆転された場合、回転偏向器150aの回転軸152が軸受158から脱落するのを防止することができる。
また、光走査装置4を画像形成装置1に装着するとき、偏向器押さえ部材130を装置本体から取り外す。よって、回転偏向器150aが高速回転する際、回転偏向器150aの近傍に偏向器押さえ部材130がないので、回転偏向器150aが高速回転して、回転偏向器150aが浮き上がっても、回転偏向器150aが、偏向器押さえ部材130と当接することがない。よって、偏向器押さえ部材130と回転偏向器150aとの間で摩擦熱が生じたり、偏向器押さえ部材130の摩擦粉が回転偏向器150aのポリゴンミラーに付着したりする不具合が生じることがない。さらに、回転偏向器150aが偏向器押さえ部材130に当接することによる回転偏向器150aの回転ムラが生じることもなく、良好に光走査を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態の光走査装置4は、回転偏向器150aの上空に配設され、筒状部109と、筒状部109の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、回転偏向器150aの回転軸方向に延びて、偏向器押さえ部材130を回転偏向器150aへ案内する複数の案内部102とを有する案内部材101を備えている。また、偏向器押さえ部材130は、弾性部材であり、偏向器押さえ部材130を複数の案内部102で回転偏向器側へ案内するに従って、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮せしめられるよう各案内部102が構成されている。これにより、偏向器押さえ部材130を、上方へ移動させるときの抵抗力が大きくなる。その結果、光走査装置4が衝撃を受けて、回転偏向器150aが上方へ移動しようとしても、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aとともに上方へ移動するのが抑制され、回転偏向器150aの移動を抑制することができる。
【0053】
また、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、回転偏向器150aの回転中心から、それぞれの案内部102までの最短距離が互いに等しくなるよう各案内部102を構成することによって、案内部102によって保持された偏向器押さえ部材130の中心と、回転偏向器150aの回転中心とを合わせることができる。これにより、回転偏向器150aに、偏向器押さえ部材130に対して上方へ押し上げるような力が生じた際、弾性部材が、真直ぐにつぶれて、回転偏向器150aに対して与える反力に偏向器の回転軸方向以外の成分が含まれるのを抑制することができる。これにより、回転軸152が回転偏向器150aの反力によって傾くのを抑制することができる。
【0054】
また、回転偏向器150aから同一の高さ平面において、複数案内部102の先端を沿うようにして引いた内接円が、回転偏向器150aから回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部102を構成することで、偏向器押さえ部材130を複数の案内部102で回転偏向器150a側へ案内するに従って、偏向器押さえ部材130の案内部102との当接部分が回転偏向器150aの回転中心に向かって圧縮することができる。
【0055】
また、変形例1のように、複数の案内部102は、それぞれ回転偏向器150aの回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状にすることで、偏向器押さえ部材130を、複数の案内部102で回転偏向器150a側へ案内するときに、偏向器押さえ部材130が案内部102によって回転する。その結果、偏向器押さえ部材130が回転偏向器150aと当接した際に、回転偏向器150aが回転する。よって、偏向器押さえ部材130を、装置本体に挿入時に、回転偏向器150aが回転したか否かを確認することによって、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aと当接したか否かがわかる。これにより、偏向器押さえ部材130が、回転偏向器150aと当接していないような、装着不良を抑制することができる。
また、偏向器押さえ部材130を取り外して、光走査装置4の使用時には、回転偏向器150aの上方に生じる回転偏向器150aへ向かう気流を、案内部102で、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流にすることができる。これにより、回転偏向器150aの回転方向に沿うような気流が、回転偏向器150aの上面に当るため、上方から回転方向に対して直交する方向(回転偏向器上面に対して垂直方向)の気流が回転偏向器150aの上面に当るよりも、回転偏向器50の上面が受ける気流の抵抗を低減させることができる。その結果、ポリゴンモータに印加する定常電流を低減、回転偏向器の温度上昇の低減、また、鏡面の曇りを抑えることができる。
【0056】
また、複数の案内部102は、上記回転偏向器150aの回転方向に等間隔で設けられており、回転偏向器150aのミラー面数をNとし、案内部102の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、回転偏向器150aのミラー面数と、案内部102の個数とを設けることで、回転偏向器150aのミラー面数と、案内部102の個数とが同じ場合に比べて、案内部102との対向する箇所を、ミラーの角部が同時に通過する個数を減らすことができる。これにより、角部の風切り音が、ユーザーに聞こえるほど、増大するのを抑制することができる。
【0057】
また、LDと、回転偏向器150aと、光学素子とを収納する筐体31を有し、筐体31内を覆うカバーを、案内部材101の上空に配置され、少なくとも回転偏向器50と案内部材101とを覆う偏向器カバー105と、少なくとも光学素子を覆う筐体カバー107とで構成した。これにより、偏向器カバー105を取り外すだけで、偏向器押さえ部材130を着脱することができる。その結果、筐体カバー107を取り外した場合に比べて、開口面積を狭くすることができるので、埃などが、筐体内に入り込むおそれを低減することができる。
【0058】
また、偏向器押さえ部材130の偏向器カバー105と対向する面を偏向器カバー105に当接させることによって、回転偏向器150に、偏向器押さえ部材130に対して上方へ押し上げるような力が生じた際、偏向器カバー105によって偏向器押さえ部材130が上方へ移動するのを規制することができる。
【0059】
また、筐体カバー107と案内部材101とを一体成型することによって、筐体カバー107と案内部材101とを別々に成型して、案内部材101を筐体カバー107に組み付けるものに比べて、組付け工数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0060】
偏向器カバー105に案内部材101を取り付けてもよい。このように構成することによって、偏向器カバーを取り外すことで、回転偏向器150aが露出し、回転偏向器150aを交換することができる。これにより、筐体カバー107を取り外して回転偏向器の交換を行う場合に比べて、交換時の筐体の開口面積を狭くすることができ、筐体内に塵や埃が侵入するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:画像形成装置
4:光走査装置
31:筐体
41K,41M,41C,41Y:光源ユニット
49a:上段ポリゴンミラー
49b:下段ポリゴンミラー
50:回転偏向器
101,201:案内部材
102,202:案内部
105:偏向器カバー
106:凹み部
107:筐体カバー
108:リブ
109,209:筒状部
130:偏向器押さえ部材
150:ポリゴンモータ
151:ミラーロータ
152:回転軸
158:軸受
158 軸受
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2008−170804号公報
【特許文献2】特開平7−92417号公報
【特許文献3】特開平9−236772号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを射出する光源と、
回転軸が軸受に回転自在に支持され、光源からの光ビームを偏向走査する回転偏向器と、
偏向された光ビームを感光体上に導く光学素子とを備えた光走査装置において、
当該光走査装置輸送時に、上記回転偏向器の回転軸が上記軸受から抜け出る方向と逆方向に上記回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を着脱可能に装置本体に取り付けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1の光走査装置において、
上記回転偏向器の上空に配設され、筒状部と、該筒状部の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、上記回転偏向器の回転軸方向に延びて、上記偏向器押さえ部材を上記回転偏向器へ案内する複数の案内部とが設けられた案内部材を備え、
上記偏向器押さえ部材は、弾性部材であり、
上記偏向器押さえ部材を上記複数の案内部で上記回転偏向器側へ案内するに従って、前記偏向器押さえ部材の案内部との当接部分が上記回転偏向器の回転中心に向かって圧縮せしめられるよう上記各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2の光走査装置において、
上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記回転偏向器の回転中心から、それぞれの案内部までの最短距離が互いに等しくなるよう上記各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3の光走査装置において、
上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記複数案内部の先端を沿うようにして引いた内接円が、上記回転偏向器から回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれかの光走査装置において、
上記複数の案内部は、それぞれ上記回転偏向器の回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状であることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項2乃至5いずれかの光走査装置において、
上記複数の案内部は、上記回転偏向器の回転方向に等間隔で設けられており、
上記回転偏向器のミラー面数をNとし、上記案内部の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、上記回転偏向器のミラー面数と、上記案内部の個数とを設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項2乃至6いずれかの光走査装置において、
上記光源と、上記回転偏向器と、上記光学素子とを収納する筐体を有し、
上記筐体内を覆うカバーを、上記案内部材の上空に配置され、少なくとも上記回転偏向器と上記案内部材とを覆う偏向器カバーと、少なくとも上記光学素子を覆う筐体カバーとで構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7の光走査装置において、
上記偏向器押さえ部材の上記偏向器カバーと対向する面を上記偏向器カバーに当接させたことを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項7または8の光走査装置において、
上記筐体カバーと上記案内部材とが一体成型されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項7または8の光走査装置において、
上記偏向器カバーに上記案内部材を取り付けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの光走査装置を有した画像形成装置。
【請求項1】
光ビームを射出する光源と、
回転軸が軸受に回転自在に支持され、光源からの光ビームを偏向走査する回転偏向器と、
偏向された光ビームを感光体上に導く光学素子とを備えた光走査装置において、
当該光走査装置輸送時に、上記回転偏向器の回転軸が上記軸受から抜け出る方向と逆方向に上記回転偏向器を押さえる偏向器押さえ部材を着脱可能に装置本体に取り付けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1の光走査装置において、
上記回転偏向器の上空に配設され、筒状部と、該筒状部の内壁面から偏向器回転軸中心に向かって突出し、上記回転偏向器の回転軸方向に延びて、上記偏向器押さえ部材を上記回転偏向器へ案内する複数の案内部とが設けられた案内部材を備え、
上記偏向器押さえ部材は、弾性部材であり、
上記偏向器押さえ部材を上記複数の案内部で上記回転偏向器側へ案内するに従って、前記偏向器押さえ部材の案内部との当接部分が上記回転偏向器の回転中心に向かって圧縮せしめられるよう上記各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2の光走査装置において、
上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記回転偏向器の回転中心から、それぞれの案内部までの最短距離が互いに等しくなるよう上記各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3の光走査装置において、
上記回転偏向器から同一の高さ平面において、上記複数案内部の先端を沿うようにして引いた内接円が、上記回転偏向器から回転軸方向に離れるに従って大きくなるよう、各案内部を構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれかの光走査装置において、
上記複数の案内部は、それぞれ上記回転偏向器の回転方向に、傾斜あるいは捩れた形状であることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項2乃至5いずれかの光走査装置において、
上記複数の案内部は、上記回転偏向器の回転方向に等間隔で設けられており、
上記回転偏向器のミラー面数をNとし、上記案内部の個数をMとしたとき、(M/N)および(N/M)が、整数以外となるよう、上記回転偏向器のミラー面数と、上記案内部の個数とを設けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項2乃至6いずれかの光走査装置において、
上記光源と、上記回転偏向器と、上記光学素子とを収納する筐体を有し、
上記筐体内を覆うカバーを、上記案内部材の上空に配置され、少なくとも上記回転偏向器と上記案内部材とを覆う偏向器カバーと、少なくとも上記光学素子を覆う筐体カバーとで構成したことを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項7の光走査装置において、
上記偏向器押さえ部材の上記偏向器カバーと対向する面を上記偏向器カバーに当接させたことを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項7または8の光走査装置において、
上記筐体カバーと上記案内部材とが一体成型されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項7または8の光走査装置において、
上記偏向器カバーに上記案内部材を取り付けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの光走査装置を有した画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−33972(P2011−33972A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182295(P2009−182295)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]