説明

光走査装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】組立工数の増加やコストアップを招くことなく簡単な構成で筐体から折り返しミラーへの振動を抑制することができる光走査装置を提供すること。
【解決手段】光源から出射される光ビームを偏向する偏向器と、該偏向器によって偏向された光ビームを等速走査光に変換する結像レンズと、等速走査光を折り返して感光体に導く折り返しミラー32を筐体25内に収容して成る光走査装置において、前記折り返しミラー32の前記筐体25への取付基準面以外の2方向(左右方向と上下方向)に形成されるクリアランスを埋めるための弾性部材36を前記折り返しミラー32に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を光走査するための光走査装置とこれを備えた複写機やプリンター等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置においては、帯電器によって表面が一様に帯電された感光体が光走査装置によって光走査され、その表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、静電潜像は現像装置によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として顕像化され、このトナー像は、転写装置によって用紙上に転写された後に定着装置によって加熱及び加圧されて用紙上に定着され、トナー像が定着された用紙が装置外へ排出されることによって一連の画像形成動作が終了する。
【0003】
ところで、感光体を光走査してその表面に静電潜像を形成する光走査装置は、光源から出射される光ビームを偏向するポリゴンミラー等の偏向器と、該偏向器によって偏向された光ビームを等速走査光に変換する結像レンズと、等速走査光を折り返して感光体に導く複数の折り返しミラー等を筐体内に収容して構成されている。
【0004】
斯かる光走査装置に用いられる折り返しミラーは、一般的には主走査方向に長い長尺ミラーで構成されているため、画像形成装置本体やポリゴンミラー等の振動を受けて振動し易い。そして、折り返しミラーが振動すると、感光体上で光ビームの上下動が起こり、これが原因で画像にジッダとして影響が出るという問題が発生する。
【0005】
上記問題を解消する方法として、折り返しミラーの共振周波数をポリゴンモーターの駆動周波数からずらしておくことは一般的に行われているが、折り返しミラーの取付基準以外の部分が筐体に接触すると、該折り返しミラーの共振周波数が想定していた共振周波数からずれてしまうことになる。折り返しミラーと筐体との間のクリアランスを詰めて両者の接触箇所を規定することは、これらの折り返しミラーと筐体の寸法のバラツキを考えると不可能であるため、両者間には不可避的にクリアランスが発生することになる。このため、取付基準以外の箇所で折り返しミラーと筐体が接触しているか否か、接触している場合にはどの箇所で接触しているか知ることは不可能である。
【0006】
そこで、特許文献1には、反射ミラー(折り返しミラー)の一方の長手方向端面を弾性部材(当接部材)で保持する構成が提案されている。
【0007】
又、特許文献2には、折り返しミラーの両端部と他の所定位置を、硬化した状態でも弾性を示す接着剤で固定する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−003726号公報
【特許文献2】特開平7−092410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1において提案された構成では、反射ミラー(折り返しミラー)の短手方向が規制されていないため、振動に対しては不安定な要素が残ることになる。
【0010】
又、特許文献2において提案された構成では、接着剤が硬化するまでに長時間を要する他、位置決めのための治具が必要になる等の問題がある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、組立工数の増加やコストアップを招くことなく簡単な構成で筐体から折り返しミラーへの振動を抑制することができる光走査装置とこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、光源から出射される光ビームを偏向する偏向器と、前記偏向器によって偏向された光ビームを等速走査光に変換する結像レンズと、等速走査光を折り返して感光体に導く折り返しミラーを筐体内に収容して成る光走査装置において、前記折り返しミラーの前記筐体への取付基準面以外の2方向に形成されるクリアランスを埋めるための弾性部材を前記折り返しミラーに取り付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記弾性部材を前記折り返しミラーの主走査方向両端に各1つずつ取り付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載の光走査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、折り返しミラーの筐体への取付基準面以外の2方向に形成されるクリアランスが折り返しミラーに取り付けられた弾性部材によって埋められるため、該弾性部材の制振作用によって筐体から折り返しミラーへの振動が抑制される。又、折り返しミラーがその取付基準面以外の箇所で筐体に接触することがないため、折り返しミラーの共振周波数が想定している共振周波数からずれることがなく、この共振周波数をポリゴンミラー等の偏向器の駆動周波数から離すことができ、折り返しミラーの共振による振動を抑えることができる。そして、このような効果は折り返しミラーに弾性部材を取り付けるだけの簡単な構成によって得られるため、組付工数の増大やコストアップを招くことがない。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、弾性部材は折り返しミラーの主走査方向両端に各1つずつ取り付けられるため、部品点数や組立工数の大幅な増加を抑えることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、折り返しミラーの振動が抑えられるため、感光体上での光ビームの上下動が抑えられ、ジッダ等の画像不良の発生が防がれて高質画像が安定的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置(カラーレーザープリンター)の側断面図である。
【図2】本発明に係る光走査装置のカバーを取り外して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る光走査装置の断面図である。
【図4】本発明に係る光走査装置の折り返しミラー取付部の斜視図である。
【図5】図4のA部の平面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る光走査装置の折り返しミラーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
[画像形成装置]
図1は本発明に係る画像形成装置の一形態としてのカラーレーザープリンターの断面図であり、図示のカラーレーザープリンターはタンデム型であって、その本体100内の中央部には、マゼンタ画像形成ユニット1M、シアン画像形成ユニット1C、イエロー画像形成ユニット1Y及びブラック画像形成ユニット1Kが一定の間隔でタンデムに配置されている。
【0021】
上記各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1Kには、感光体である感光ドラム2a,2b,2c,2dがそれぞれ配置されており、各感光ドラム2a〜2dの周囲には、帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写ローラー5a,5b,5c,5d及びドラムクリーニング装置6a,6b,6c,6dがそれぞれ配置されている。
【0022】
ここで、前記感光ドラム2a〜2dは、ドラム状の感光体であって、不図示の駆動モーターによって図示矢印方向(時計方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。又、前記帯電器3a〜3dは、不図示の帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって感光ドラム2a〜2dの表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。
【0023】
更に、前記現像装置4a〜4dは、マゼンタ(M)トナー、シアン(C)トナー、イエロー(Y)トナー、ブラック(K)トナーをそれぞれ収容しており、各感光ドラム2a〜2d上に形成された各静電潜像に各色のトナーを付着させて各静電潜像を各色のトナー像として可視像化するものである。
【0024】
又、前記転写ローラ5a〜5dは、各一次転写部にて中間転写ベルト7を介して各感光ドラム2a〜2dに当接可能に配置されている。ここで、中間転写ベルト7は、駆動ローラー8とテンションローラー9との間に張設されて各感光ドラム2a〜2dの上面側に走行可能に配置されており、前記駆動ローラー8は、二次転写部において中間転写ベルト7を介して二次転写ローラー10に当接可能に配置されている。又、テンションローラー9の近傍にはベルトクリーニング装置11が設けられている。
【0025】
ところで、プリンター本体100内の各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1Kの上方には、前記各現像装置4a〜4dにトナーを補給するためのトナーコンテナー12a,12b,12c,12dが一列に並設されている。
【0026】
又、プリンター本体100内の各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1Kの下方には、4台の光走査装置(レーザースキャナーユニット)13が用紙搬送方向に並設され、これらの光走査装置13の下方のプリンター本体100の底部には給紙カセット14が着脱可能に設置されている。そして、給紙カセット14には複数枚の不図示の用紙が積層収容されており、この給紙カセット14の近傍には、該給紙カセット14から用紙を取り出すピックアップローラー15と、取り出された用紙を分離して搬送パスSへと1枚ずつ送り出すフィードローラー16とリタードローラー17が設けられている。
【0027】
又、プリンター本体100の側部を上下方向に延びる前記搬送パスSには、用紙を搬送する搬送ローラー対18と、用紙を一時待機させた後に所定のタイミングで前記二次転写対向ローラー8と二次転写ローラー10との当接部である二次転写部へと供給するレジストローラー対19が設けられている。尚、搬送パスSの横には、用紙の両面に画像を形成する場合に使用される別の搬送パスS’が形成されており、この搬送パスS’には複数の反転ローラー対20が適当な間隔で設けられている。
【0028】
ところで、プリンター本体100内の一側部に縦方向に配置された前記搬送パスSは、プリンター本体100の上面に設けられた排紙トレイ21まで延びており、その途中には定着装置22と排紙ローラー対23,24が設けられている。
【0029】
次に、以上の構成を有するカラーレーザープリンターによる画像形成動作について説明する。
【0030】
画像形成開始信号が発せられると、各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1Kにおいて各感光ドラム2a〜2dが図示矢印方向(時計方向)に所定のプロセススピードで回転駆動され、これらの感光ドラム2a〜2dは、帯電器3a〜3dによって一様に帯電される。又、各光走査装置13は、各色毎のカラー画像信号によって変調された光ビームを出射し、その光ビームを各感光ドラム2a〜2dの表面に照射し、各感光ドラム2a〜2d上に各色のカラー画像信号に対応した静電潜像をそれぞれ形成する。
【0031】
そして、先ず、マゼンタ画像形成ユニット1Mの感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、該感光ドラム2aの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像装置4aによってマゼンタトナーを付着させ、該静電潜像をマゼンタトナー像として可視像化する。このマゼンタトナー像は、感光ドラム2aと転写ローラー5aとの間の一次転写部(転写ニップ部)において、トナーと逆極性の一次転写バイアスが印加された転写ローラー5aの作用によって、図示矢印方向に回転駆動されている中間転写ベルト7上に一次転写される。
【0032】
上述のようにしてマゼンタトナー像が一次転写された中間転写ベルト7は、次のシアン画像形成ユニット1Cへと移動する。そして、シアン画像形成ユニット1Cにおいても、前記と同様にして、感光ドラム2b上に形成されたシアントナー像が一次転写部において中間転写ベルト7上のマゼンタトナー像に重ねて転写される。
【0033】
以下同様にして、中間転写ベルト7上に重畳転写されたマゼンタ及びシアントナー像の上に、イエロー及びブラック画像形成ユニット1Y,1Kの各感光ドラム2c,2d上にそれぞれ形成されたイエロー及びブラックトナー像が各一次転写部において順次重ね合わせられ、中間転写ベルト7上にはフルカラーのトナー像が形成される。尚、中間転写ベルト7上に転写されないで各感光ドラム2a〜2d上に残留する転写残トナーは、各ドラムクリーニング装置6a〜6dによって除去され、各感光ドラム2a〜2dは次の画像形成に備えられる。
【0034】
そして、中間転写ベルト7上のフルカラートナー像の先端が駆動ローラー8と二次転写ローラー10間の二次転写部(転写ニップ部)に達するタイミングに合わせて、給紙カセット14からピックアップローラー15とフィードローラー16及びリタードローラー17によって搬送パスSへと送り出された用紙がレジストローラー対19によって二次転写部へと搬送される。そして、二次転写部に搬送された用紙に、トナーと逆極性の二次転写バイアスが印加された二次転写ローラ10によってフルカラーのトナー像が中間転写ベルト7から一括して二次転写される。
【0035】
而して、フルカラーのトナー像が転写された用紙は、定着装置22へと搬送され、フルカラーのトナー像が加熱及び加圧されて用紙の表面に熱定着され、トナー像が定着された用紙は、排紙ローラー対23,24によって排紙トレイ21上に排出されて一連の画像形成動作が完了する。尚、用紙上に転写されないで中間転写ベルト7上に残留する転写残トナーは、前記ベルトクリーニング装置11によって除去され、中間転写ベルト7は次の画像形成に備えられる。
【0036】
[光走査装置]
次に、本発明に係る前記光走査装置13を図2及び図3に基づいて説明する。
【0037】
図2は本発明に係る光走査装置のカバーを取り外して示す斜視図、図3は同光走査装置の断面図である。尚、図1に示すカラーレーザープリンターには以下に説明する光走査装置13が4台並設されているが、これらの構成は全て同じであるため、以下、1台の光走査装置13についてのみ説明する。
【0038】
光走査装置13は、樹脂にて矩形ボックス状に一体成形された筐体25を有しており、該筐体25内の底部には偏向器であるポリゴンミラー26とこれを回転駆動するポリゴンモーター27が配置されている。尚、図示しないが、筐体25の側部には光源であるレーザーダイオードが取り付けられており、筐体25内にはコリメータレンズとシリンドリカルレンズがレーザーダイオードからの光ビームの出射方向に沿って配置されている。
【0039】
又、図3に示すように、筐体25内にはポリゴンミラー26によって偏向された光ビームを等速走査光に変換する第1及び第2結像レンズ28,29と、等速走査光を折り返して感光ドラム2a(2b〜2d)に導く第1〜第3折り返しミラー30,31,32が収容されている。
【0040】
ところで、図示の1台の光走査装置13は、図1に示すマゼンタ画像形成ユニット1Mの感光ドラム2aを露光走査するものであって、図3に示すように、筐体25の上面開口部には樹脂製のカバー33が被着され、該カバー33の第3折り返しミラー32と感光ドラム2aを結ぶ光路には走査光が通過するための開口部33aが形成されている。
【0041】
而して、光走査装置13において光源である不図示のレーザーダイオードから出射する光ビームは、不図示のコリメータレンズによって平行光とされた後、不図示のシリンドリカルレンズによって副走査方向に収束し、ポリゴンモーター27によって回転駆動されるポリゴンミラー26に入射する。
【0042】
上述のようにポリゴンミラー26に入射した光ビームは、ポリゴンミラー26によって偏向され、第1結像レンズ28を水平に通過した後、第1折り返しミラー30によって垂直上方へと折り返され、更に第2折り返しミラー31によって第3折り返しミラー32に向かって折り返される。そして、第2折り返しミラー31によって折り返された光ビームは、第2結像レンズ29を通過した後に第3折り返しミラー32によって感光ドラム2aに向かって斜め上方に折り返され、カバー33に形成された開口部33aを通過して感光ドラム2aに向かい、該感光ドラム2a上に結像して主走査方向に等速移動するスポットを形成することによって感光ドラム2aを露光走査する。
【0043】
尚、図2及び図3に示す1台の光走査装置13は、図1に示すマゼンタ画像形成ユニット1Mの感光ドラム2aを露光走査するものであるが、図1に示すカラーレーザープリンターのプリンター本体100には前述のように同様の光走査装置13が4台並設されており、これら4台の光走査装置13によって他のシアン画像形成ユニット1Cとイエロー画像形成ユニット1Y及びブララック画像形成ユニット1Kの各感光ドラム2b,2c,2dを含む4つの感光ドラム2a〜2dの全てが光ビームによって露光走査される。
【0044】
ここで、第3折り返しミラー(以下、単に「折り返しミラー」と称する)32の取付構造を図4〜図7に基づいて以下に説明する。
【0045】
図4は光走査装置の折り返しミラー取付部の斜視図、図5は図4のA部の平面図、図6は図5のB−B線断面図、図7は折り返しミラーの斜視図である。
【0046】
折り返しミラー32は、図4及び図7に示すように走査方向に長い長尺ミラーであって、その走査方向(左右方向)両端が金属製の板バネ34によって筐体25に対して所定角度だけ傾斜した状態で弾性的に固定されている。
【0047】
即ち、図4〜図6に示すように、筐体25の2箇所(折り返しミラー32の固定箇所)には平面視L字状に屈曲した保持ブラケット35が一体に形成されており、各保持ブラケット35は、筐体25の側壁25Aと底壁25Bから垂直に起立する垂直壁35Aと筐体25の底壁25Bから斜め(折り返しミラー32の取付角度)に傾斜して起立する斜面壁35Bとで構成されている。ここで、各保持ブラケット35の斜面壁35Bの内面と筐体25の底壁25Bは、折り返しミラー32の筐体25への取付基準面を構成しており、これらの斜面壁35Bの内面と筐体25の底壁25Bには図6に示すように位置決め用の突起35a,25aがそれぞれ形成されている。
【0048】
又、前記各板バネ34はZ字状に屈曲成形され、これに形成された半球状の突起34aが折り返しミラー32に当接することによって、該折り返しミラー32の走査方向(左右方向)両端が各保持ブラケット35の斜面壁35Bに押圧される。尚、各板バネ34の先端部34bは直角に折り曲げられている。
【0049】
折り返しミラー32は、図6に示すように、その取付基準面を構成する各保持ブラケット35の斜面壁35Bの内面と筐体25の底壁25Bにそれぞれ形成された突起35a,25aに走査方向(左右方向)両端の2面が当接する状態で位置決めされ、前述のように走査方向(左右方向)両端が板バネ34によって各保持ブラケット35の斜面壁35Bに押圧されることによって筐体25に固定されている。このように折り返しミラー32が筐体25に取り付けられた状態では、該折り返しミラー32の走査方向(左右方向)両端と各保持ブラケット35の垂直壁35Aとの間には図5に示す左右方向のクリアランスδ1が形成され、折り返しミラー32と各板バネ34の直角に折り曲げられた先端部34bとの間には図6に示す上下方向のクリアランスδ2が形成されている。
【0050】
而して、本実施の形態では、折り返しミラー32の主走査方向(左右方向)両端には、該折り返しミラー32の筐体25への取付基準面以外の2方向(左右方向と上下方向)に形成されるクリアランスδ1,δ2を埋めるための弾性部材36がそれぞれ取り付けられている。ここで、弾性部材36は、図7に示すように、折り返しミラー32の主走査方向(左右方向)両端に各1つずつ取り付けられ、折り返しミラー32の端面とこれに隣接する上下面に亘ってコの字状に折り曲げられた状態で取り付けられている。
【0051】
以上のように、本発明に係る光走査装置13においては、折り返しミラー32の筐体25への取付基準面以外の2方向(左右方向と上下方向)に形成されるクリアランスδ1,δ2が折り返しミラー32の主走査方向(左右方向)両端に取り付けられた弾性部材36によって埋められるため、該弾性部材36の制振作用によって筐体25から折り返しミラー32への振動が抑制される。又、折り返しミラー32がその取付基準面以外の箇所で筐体25に接触することがないため、該折り返しミラー32の共振周波数が想定している共振周波数からずれることがなく、この共振周波数をポリゴンモーター27の駆動周波数から離すことができ、折り返しミラー32の共振による振動を抑えることができる。そして、このような効果は折り返しミラー32に弾性部材36を取り付けるだけの簡単な構成によって得られるため、組付工数の増大やコストアップを招くことがない。
【0052】
又、本実施の形態では、弾性部材36は折り返しミラー32の主走査方向(左右方向)両端に各1つずつ取り付けたため、部品点数や組立工数の大幅な増加を抑えることができる。
【0053】
以上のように、本発明に係る光走査装置13によれば、折り返しミラー32の振動が抑えられるため、図1に示すカラーレーザープリンターの各感光ドラム2a〜2d上での光ビームの上下動が抑えられ、ジッダ等の画像不良の発生が防がれて高質画像が安定的に得られる。
【0054】
尚、以上は光走査装置の1つの折り返しミラーの取付構造について説明したが、他の折り返しミラーについても同様の取付構造を採用することによって、これらの折り返しミラーの振動を抑制することができる。又、以上は本発明をカラーレーザープリンター及びこれに備えられた光走査装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、カラープリンター以外のカラー複写機やモノクロを含む他の任意の画像形成装置及びこれに備えられた光走査装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1M マゼンタ画像形成ユニット
1C シアン画像形成ユニット
1Y イエロー画像形成ユニット
1K ブラック画像形成ユニット
2a〜2d 感光ドラム(感光体)
3a〜3d 帯電器
4a〜4d 現像装置
5a〜5d 転写ローラー
6a〜6d ドラムクリーニング装置
7 中間転写ベルト
8 駆動ローラー
9 テンションローラー
10 二次転写ローラー
11 ベルトクリーニング装置
12a〜12d トナーコンテナー
13 光走査装置
14 給紙カセット
15 ピックアップローラー
16 フィードローラー
17 リタードローラー
18 搬送ローラー対
19 レジストローラー対
20 搬送ローラー対
21 排紙トレイ
22 定着装置
23,24 排紙ローラー対
25 光走査装置の筐体
25A 筐体の側壁
25B 筐体の底壁
25a 筐体の突起
26 ポリゴンミラー
27 ポリゴンモーター
28,29 結像レンズ
30〜32 折り返しミラー
33 カバー
33a カバーの開口部
34 板バネ
34a 板バネの突起
34b 板バネの先端部
35 保持ブラケット
35A 保持ブラケットの垂直壁
35B 保持ブラケットの斜面壁
35a 保持ブラケットの突起
36 弾性部材
100 プリンター本体
S,S’ 搬送パス
δ1 左右方向のクリアランス
δ2 上下方向のクリアランス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光ビームを偏向する偏向器と、前記偏向器によって偏向された光ビームを等速走査光に変換する結像レンズと、等速走査光を折り返して感光体に導く折り返しミラーを筐体内に収容して成る光走査装置において、
前記折り返しミラーの前記筐体への取付基準面以外の2方向に形成されるクリアランスを埋めるための弾性部材を前記折り返しミラーに取り付けたことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記弾性部材を前記折り返しミラーの主走査方向両端に各1つずつ取り付けたことを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光走査装置を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159529(P2012−159529A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17076(P2011−17076)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】