説明

光走査装置及び距離測定装置

【課題】反射面を備えた回転反射体の回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、反射面で反射された走査光による走査軌跡をより柔軟に設定することができる、光走査装置及び距離測定装置を提供する。
【解決手段】基準方向及び基準方向と直交する方向とは異なる方向に光を射出する光源と、回転軸に斜めに交差し且つ光源から入射角θで入射した光を反射する少なくとも1つの反射面を有し、基準方向に対し傾斜角φで傾けられた回転軸の周りに回転する回転反射体と、を備えた光走査装置である。基準方向と予め定めた角度で交差する方向を所定の走査方向として、回転軸の傾斜角φ≠0°で、且つ反射面で反射された走査光の所定の走査方向に対する偏差が回転軸の傾斜角φ=0°で得られる走査光の所定の走査方向に対する偏差より小さくなるように入射角θに応じて前記傾斜角φが予め設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ビームを所定方向に走査する光走査装置は、レーザプリンタ等の画像形成装置、レーザレーダ装置等の距離測定装置など、種々の技術分野で用いられている。例えば、倒れ角の異なる複数の反射面を備えた回転多面鏡を用いて2次元的に走査を行う、車間距離制御装置用の反射測定装置及びこれを利用した車間距離制御装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の装置では、回転多面鏡の傾斜した反射面に対し、斜め上方からレーザ光を照射して、複数の反射面の各々で反射された複数のビームを走査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−274076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、傾斜した反射面を備えた回転多面鏡を用いて出射光を2次元的に走査した場合、測定エリアの中心方向に垂直な平面内において、測定エリアの両端で垂直方向での走査角度範囲(いわゆる「仰角」)が異なり、測定エリアが台形に歪む「縦歪み」が発生する。特許文献1では、傾斜した反射面に対し斜め上方からレーザ光を入射させて、方位角が20°以下の狭い範囲で縦歪みを低減しているに過ぎない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、反射面を備えた回転反射体の回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、反射面で反射された走査光による走査軌跡をより柔軟に設定することができる、光走査装置及び距離測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために各請求項に係る発明は下記構成を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明は、基準方向及び基準方向と直交する方向とは異なる方向に光を射出する光源と、回転軸に斜めに交差し且つ前記光源から入射角θで入射した光を反射する少なくとも1つの反射面を有し、前記基準方向に対し傾斜角φで傾けられた前記回転軸の周りに回転する回転反射体と、を備え、前記基準方向と予め定めた角度で交差する方向を所定の走査方向とし、前記回転軸の傾斜角φ≠0°で、且つ前記反射面で反射された走査光の前記所定の走査方向に対する偏差が、前記回転軸の傾斜角φ=0°で得られる走査光の前記所定の走査方向に対する偏差より小さくなるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、光走査装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記基準方向が鉛直方向であり且つ前記走査方向が水平方向又は水平方向より下側若しくは上側を向く場合には、仰角が略一定となるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、請求項1に記載の光走査装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記基準方向が水平方向であり且つ前記走査方向が鉛直方向を向く場合には、方位角が略一定となるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、請求項1に記載の光走査装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記回転軸が、前記基準方向と前記反射面に入射角θで入射される光の入射方向とを含む平面内にある、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光走査装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された光走査装置を含み、前記光源がレーザ光を射出する光源である光出力部と、前記光出力部から出力され且つ前方又は側方に存在する障害物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、光出力部から出力され且つ光検出部で検出されたレーザ光の遅延時間から前記障害物までの距離を算出する距離算出部と、を備えた距離測定装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記光検出部は、前記障害物により反射されたレーザ光を、前記光走査装置の前記回転反射体で反射させて検出する、請求項5に記載の距離測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各請求項に係る発明によれば、以下の効果を得ることができる。
【0014】
請求項1に係る発明によれば、反射面を備えた回転反射体の回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、反射面で反射された走査光による走査軌跡をより柔軟に設定することができる。即ち、傾斜角φが0°の場合には、走査方法が固定され、走査軌跡を任意に設定することは不可能である。これに対して、入射角θに応じて傾斜角φ(≠0)を予め定めることで、走査方位毎に走査方向を任意に設定するなど、走査軌跡を任意に設定することが可能となる。
【0015】
例えば、走査光が設定された所定の走査方向を向く場合を「所望の走査軌跡」とすると、反射面で反射された走査光の所定の走査方向に対する偏差が小さくなるように、入射角θに応じて傾斜角φ(≠0)を予め定めることで、走査軌跡を所望の走査軌跡により近付けることができる。
【0016】
また、走査方向が下方を見下ろす方向である場合、走査範囲の両端部で走査光が回り込んで光走査装置の周囲を走査するような走査軌跡、即ち、走査方位毎に走査方向が任意に設定された走査軌跡を「所望の走査軌跡」とすることもできる。この場合も同様に、反射面で反射された走査光の所定の走査方向に対する偏差が小さくなるように、入射角θに応じて傾斜角φ(≠0)を予め定めることで、走査軌跡を所望の走査軌跡により近付けることができる。
【0017】
更に、光源から射出された光は、基準方向及び基準方向と直交する方向とは異なる方向から反射面に入射する(斜め入射)。従って、複数(N個)の反射面を備えた回転反射体では、基準方向から光が入射する垂直入射では不可能な、(360°/N)以上の走査全角を実現することができる。また、基準方向と直交する方向から光が入射する横入射では不可能な、180°以上の走査全角を実現することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、走査光が常に所定の走査方向(水平方向又は水平方向より下側若しくは上側)を向く場合を「所望の走査軌跡」とした場合に、回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、仰角を略一定とすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、走査光が常に所定の走査方向(鉛直方向)を向く場合を「所望の走査軌跡」とした場合に、回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、方位角を略一定とすることができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、入射角θに応じて傾斜角φ(≠0)を設定すること、即ち、走査軌跡の歪み補正が容易になる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、反射面を備えた回転反射体の回転軸の傾斜角φが0°の場合に比べて、反射面で反射された走査光による走査軌跡をより柔軟に設定することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、更に光検出部での受光感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載用レーザレーダ装置の構成を示す概略図である。
【図2】「光走査装置」に相当する光出力部の構成を示す概略図である。
【図3】反射面への光の入射角と回転軸の傾斜角との関係を示す図である。
【図4】(A)〜(C)は、水平走査の走査軌跡の一例を説明するための概略図である。
【図5】(A)及び(B)は、鉛直走査の走査軌跡の他の一例を説明するための概略図である。
【図6】(A)は比較例に係る光偏向器を図示し、(B)は実施例に係る光偏向器を図示している。
【図7】(A)及び(B)は走査ビームの出射方向をプロットしたグラフである。
【図8】(A)及び(B)は走査ビームの出射方向をプロットしたグラフである。
【図9】走査軌跡が歪む理由を説明する図である。
【図10】走査軌跡の歪みを補正する原理を説明する図である。
【図11】入射角θに対し傾斜角φ及び全角走査角βをプロットしたグラフである。
【図12】傾斜角φの最適化による走査軌跡の歪み補正効果を示すグラフである。
【図13】(A)及び(B)は光偏向器の種々の態様を示す斜視図である。
【図14】距離測定装置の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を説明する。なお、以下では、本発明の光走査装置及び距離測定装置を、車載用レーザレーダ装置に適用した実施の形態について説明する。しかしながら、本発明の光走査装置及び距離測定装置は、後述する通り、種々の用途に適用可能であり、車載用レーザレーダ装置に適用する場合には限定されない。
【0025】
<車載用レーザレーダ装置の概略構成>
図1は本発明の実施の形態に係る車載用レーザレーダ装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、レーザレーダ装置10は、レーザ光を出力する光出力部12、監視領域内に在る障害物14により反射されたレーザ光を検出する光検出部16、及びレーザレーダ装置10の各部を制御する制御部18を含んで構成されている。
【0026】
光出力部12は、レーザ光を射出するレーザ光源20、及び入射されたレーザ光を偏向する光偏向器22を備えている。レーザ光源20は、レーザダイオード(LD)等の半導体レーザで構成されている。光偏向器22は、入射されたレーザ光の光路を、反射により変更する可動ミラー(図示せず)を備えている。なお、光偏向器22の詳細な構造については後述する。レーザ光源20は、レーザドライバ24に接続されている。光偏向器22は、光偏向器ドライバ26に接続されている。光検出部16は、集光レンズ28及び光検出器30を含んで構成されている。
【0027】
制御部18は、一般のコンピュータと同様に、装置全体の制御及び各種演算を行うCPU(中央処理装置; Central Processing Unit)32、OS(Operating Systems)等の各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)34、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)36、及び入出力部(I/Oポート)38を備えている。これら各部は、バスにより相互に接続されている。
【0028】
本実施の形態では、ROM34には、レーザレーダ装置10により視野領域を監視するための種々の監視用プログラムが記憶されている。これらの監視用プログラムの実行により、制御部18は、反射パルス光の遅延時間から障害物14までの距離を算出する測距装置(解析装置)として機能する。
【0029】
入出力部38は、レーザドライバ24、光偏向器ドライバ26、及び光検出器30の各々に接続されている。また、入出力部38は、装置の操作を行うための操作部40に接続されている。なお、制御部18は、各種情報を記憶するハードディスク(HD)や各種情報を入力する各種ドライブを備えていてもよい。また、入出力部38には、小型ディスプレイ等の表示装置が接続されていてもよい。
【0030】
次に、上記レーザレーダ装置10の動作を簡単に説明する。操作部40からの指示入力、走行開始の検知等により、レーザレーダ装置10による視野領域の監視が開始される。CPU32は、監視用プログラムをROM34から読み出し、RAM36にロードする。そして、RAM36をワークエリアとして使用し、ロードされたプログラムを実行する。
【0031】
まず、制御部18からレーザドライバ24に、レーザ光源20を駆動するための制御信号が入力される。レーザドライバ24は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を生成する。レーザ光源20は、この駆動信号に基づいてパルス変調駆動される。例えば10ナノ秒(ns)程度のパルス幅のレーザ光を照射するように駆動される。レーザ光源20からは、パルス変調された所定発光強度のレーザ光パルス(以下、単に「レーザ光」という。)が出射される。レーザ光は、被走査面までの距離に応じた所定の発光強度に制御されている。なお、ここでいう被走査面とは、監視領域の最外部に仮想的に設定されるレーザ光の照射面のことである。
【0032】
また、制御部18から光偏向器ドライバ26に、光偏向器22を駆動するための制御信号が入力される。光偏向器ドライバ26は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を生成する。光偏向器22は、この駆動信号に基づいて駆動される。即ち、光偏向器22内の可動ミラー(図示せず)が、所定の軸周りに回転しながら、入射されたレーザ光を反射する。
【0033】
こうしてレーザ光源20から出射されたレーザ光は、光偏向器22で偏向され、被走査面に向けて照射される。被走査面に向けて照射されたレーザ光は、監視領域内に在る障害物14に照射される。障害物14で反射されたレーザ光(反射光パルス)は、光検出部16の集光レンズ28で集光されて、光検出器30で検出される。光検出器30は、検出した光を電気信号に変換して増幅する。増幅された検出信号は、光検出器30から制御部18に入力される。
【0034】
制御部18では、反射光パルスの遅延時間τ(単位:秒)と光速c(=3.0×10m/秒)とを用いて、障害物14までの距離L(単位:m)が、τ=2L/cの関係に基づいて算出される。なお、遅延時間τは、レーザ光源20から出力されたレーザ光パルスが、光検出器30で反射光パルスとして検出されるまでの時間である。また、算出された障害物14までの距離Lは、必要に応じて表示装置(図示せず)に表示される。
【0035】
上記の車載用レーザレーダ装置では、光出力部12が「光走査装置」に相当する。なお、以下では、路面に垂直な鉛直方向が「基準方向」であり、路面と平行な水平方向が「所定の走査方向」であるものとして説明する。また、適宜、水平方向を「主走査方向」と称し、水平方向と直交する鉛直方向を「副走査方向」と称して区別する。
【0036】
<光走査装置>
次に、図2を参照して、光出力部12の概略的な構成を説明する。上述した通り、光出力部12は、レーザ光源20と光偏向器22とを備えている。光偏向器22は、実線矢印で表示した回転軸sと直交する平面ではなく、回転軸sと斜めに交差する反射面50を備えている。また、反射面50は、一点鎖線で表示した鉛直方向を含む垂直面ではなく、鉛直方向とも交差している。即ち、反射面50は、回転軸s及び鉛直方向の各々に対して交差するように傾けられた傾斜面である。
【0037】
レーザ光源20は、光偏向器22の斜め上方に配置されている。レーザ光源20は、図示しないドライバにより変調駆動されて、レーザ光を反射面50に照射する。本実施の形態では、レーザ光源20は、斜めに配置された反射面50に対し、斜め上方から所定の入射角θでレーザ光(入射光i)を照射する。即ち、鉛直方向に沿って真上から入射するのではなく、鉛直方向とは異なる方向から反射面50に入射する。入射光iは反射面50で反射されて、走査ビーム(出射光o)が出射される。本実施の形態では、水平方向が「所定の走査方向(主走査方向)」であり、出射光oは略水平方向に出射される。
【0038】
光偏向器22は、回転軸sの周りに回転可能に構成された回転ミラー等の回転反射体である。例えば、図13(A)に示すように、光偏向器22は、回転軸sの周りに回転可能な円筒形状とすることができる。円筒が回転軸sに対し斜めに切断されて切断面が形成される。この切断面に反射率の高い材料をコーティングする等して、斜線を付した反射面50を形成することができる。また、円盤状の平面ミラーを支柱で支えるような構成でもよい。
【0039】
光偏向器22では、光偏向器22の回転に伴い、走査ビーム(出射光o)が水平方向に偏向される。光偏向器22は、図示しないドライバにより駆動されて、回転軸sの周りに回転する。光偏向器22を回転軸sの周りに回転させることで、同時に反射面50が回転し、出射光oの水平方向での出射方向(方位角)が変化して、入射されたレーザ光を偏向する。本実施の形態では、光偏向器22の回転軸sが、基準方向である「鉛直方向」から所定の角度(傾斜角φ)だけ傾けられている。
【0040】
図3は反射面への光の入射角θと回転軸の傾斜角φとの関係を示す図である。なお、図3は、方位角0°での入射角θと傾斜角φとの関係を示すものである。本実施の形態では、走査ビームが常に水平方向を向く場合、即ち、「仰角一定」の場合が「所望の走査軌跡」である。ここで、走査ビームと水平線とが成す角度が「仰角」である。従って、走査ビームの水平方向に対する偏差をより小さくするように、入射光iの反射面50への入射角θの値に応じて傾斜角φ(≠0)の値が予め設定されている。
【0041】
傾斜角φが0°の場合には、走査方法が固定されてしまい、所望の走査軌跡を簡単に得ることは困難である。本実施の形態のように、入射角θの値に応じて傾斜角φ(≠0)の値を設定することで、走査軌跡の歪みを簡易に補正することができ、傾斜角φ=0°の場合に比べて、実際の走査ビームによる走査軌跡を「所望の走査軌跡」により近付けることができる。即ち、所望の走査軌跡に近付くように。入射角θと傾斜角φとの関係が予め求められ、当該関係を満たすようにレーザ光源20と光偏向器22とが配置されている。
【0042】
例えば、レーザ光源20と光偏向器22とが所定の位置に配置されると、反射面50と鉛直方向とが交差する角度が定まると共に、入射光iの反射面50への入射角θの値が定まる。入射角θは、入射光iと反射面50の法線52とが成す角度である。同様に、出射光oと反射面50の法線52とが成す角度もθである。従って、以下では、入射角θを、適宜、入反射角θと称する場合がある。
【0043】
なお、光偏向器22の回転軸sを傾けて、反射面50を垂直面とするのではない。反射面50が鉛直方向と交差する角度は、主走査方向である水平方向に出射光oが射出するように、入射角θに応じて設定される。一方、回転軸sの傾斜角φは、出射光o(走査ビーム)が所望の走査軌跡を描くように、入射角θに応じて設定される。
【0044】
また、回転軸sを傾斜させる方位は、レーザ光源20と光偏向器22との位置関係に応じて、適宜設定することができる。例えば、入射光iと反射面50の法線52とを含む入射面が方位角0°の方向に広がる場合には、回転軸sを方位角0°の方向に傾斜させると、傾斜角φの設定が容易になる。例えば、レーザ光源20が光偏向器22の前方上方に配置され、回転軸s、鉛直方向及び入射光iの入射方向が、方位角0°の面内に含まれる場合である。この場合には、方位角0°の方向から入射した入射光iは、反射面50で反射されて、出射光oが方位角0°の方向に水平に出射する。
【0045】
上記では、上方に向いた反射面50を備える光偏向器22の場合には、斜め上方から入射させた入射光iを前方に反射させている。この場合には、回転軸sを前方側に傾斜させている。また、下方に向いた反射面50を形成して、斜め下方から入射させた入射光iを前方に反射させてもよい。下方に向いた反射面50を備える光偏向器22の場合には、回転軸sを逆方向(後方側)に傾斜させる。
【0046】
<走査ビームによる走査軌跡>
図4(A)〜(C)は、走査ビームによる水平走査の走査軌跡を説明するための概略図である。図4(A)では走査ビームを上方から見ている。図4(A)に示すように、光出力部(光走査装置)12から出射される走査ビームが偏向されて、走査ビームの水平方向での方位角(主走査角α)が変化する。「実線」は変化後の状態を表し、「点線」は変化前の状態を表す。光偏向器22の回転により、走査ビームが水平方向(主走査方向)に走査全角(全角走査角β)にわたり走査される。
【0047】
上記の実施の形態では、水平方向に走査する場合について説明しているが、本発明の光走査装置では、走査軌跡をより柔軟に設定することができる。路面に垂直な鉛直方向を「基準方向」としても、「所定の走査方向」は水平方向には限定されない。例えば、図4(B)に示すように、光出力部(光走査装置)12の所定の走査方向は、水平方向より下側を向いていてもよい。この場合には、図4(C)に示すように、走査ビームによる走査軌跡は、円錐の側面のような曲面となる。図面から分かるように、全角走査角βは360°まで許容される。なお、所定の走査方向は、水平方向より上側を向いていてもよい。
【0048】
所定の走査方向が下方を見下ろす方向である場合でも、水平方向が「主走査方向」の場合と同様に、走査ビームが常に一定方向を向く場合、即ち、「仰角一定」の場合を「所望の走査軌跡」とすることができる。従って、走査ビームの所定の走査方向に対する偏差をより小さくするように、入射角θの値に応じて傾斜角φ(≠0)の値を予め設定する。
【0049】
また、上記の実施の形態では、水平方向に対し、走査ビームが常に仰角一定の走査方向を向く場合を「所望の走査軌跡」として説明しているが、走査方位毎に走査方向が任意に設定された走査軌跡を「所望の走査軌跡」とすることもできる。例えば、「所定の走査方向」が水平方向より下側を向いている場合には、走査範囲の両端部で走査ビームが回り込んで光走査装置の周囲を走査することもできる。このような走査軌跡を「所望の走査軌跡」としてもよい。この場合にも、走査ビームの所定の走査方向に対する偏差をより小さくするように、入射角θの値に応じて傾斜角φ(≠0)の値を予め設定する。
【0050】
図5(A)及び(B)は、走査ビームによる鉛直走査の走査軌跡を説明するための概略図である。図5(A)では走査ビームを側方から見ている。上記の実施の形態では、鉛直方向を「基準方向」として水平方向に走査する場合について説明している。この通り、本発明の光走査装置では、走査軌跡をより柔軟に設定することができる。図5(B)に示すように、路面と平行な水平方向を「基準方向」としてもよい。例えば、移動方向の前方に障害物を検知した場合に移動方向の転換を行う、ロボット用センサ等の用途に用いることができる。
【0051】
光出力部(光走査装置)12から出射される走査ビームが鉛直方向に偏向されて、走査ビームの鉛直方向での仰角が変化する。光偏向器22の回転により、走査ビームが鉛直方向(主走査方向)に走査全角(全角走査角)にわたり走査される。図面から分かるように、全角走査角は180°まで許容される。走査ビームが常に一定方向(ここでは「鉛直方向」)を向く場合、即ち、「方位角一定」の場合を「所望の走査軌跡」とすることができる。この場合には、走査ビームの所定の走査方向(鉛直方向)に対する偏差をより小さくするように、入射角θの値に応じて傾斜角φ(≠0)の値を予め設定する。
【0052】
<傾斜角の最適化>
次に、光偏向器22として回転多面鏡を用いて、入射角θと傾斜角φとの関係を予め設定した場合の効果を示す。シミュレーションに用いた回転多面鏡は、倒れ角が等しい4つの反射面を備えた四面ポリゴンミラーである。入射光を斜め上方から入射することにより、四面ポリゴンミラーでは90°以上の走査全角を実現することができる。以下では、路面に垂直な鉛直方向を「基準方向」とし、「所定の走査方向」を水平方向とする例について説明する。従って、走査ビームが常に水平方向を向く場合、即ち、「仰角=0°(一定)」の場合が「所望の走査軌跡」である。
【0053】
図6(A)は比較例に係る光偏向器を図示し、図6(B)は実施例に係る光偏向器を図示している。なお、図6(A)及び(B)には「三面ポリゴンミラー」が図示されているが、各図は入射角θと傾斜角φとの関係を説明するものである。以下に示す効果は、四面ポリゴンミラーを用いた場合のシミュレーション結果である。
【0054】
図6(A)では光偏向器22の回転軸sは鉛直方向と平行であるのに対し、図6(B)では光偏向器22の回転軸sは鉛直方向から傾斜角φだけ傾けられている。また、傾斜角φの大きさに拘わらず、反射面50と鉛直方向とが成す角度は略一定である。即ち、光偏向器22の回転軸sを傾けることで、反射面50が一緒に傾くのではなく、反射面50の傾き(即ち、入射角θ)に応じて、回転軸sの傾斜角φの値を設定するのである。
【0055】
ここで、図6(A)では入射角θ=15°傾斜角φ=0°とされ、図6(B)では入射角θ=15°傾斜角φ=12°とされている。回転軸sの傾斜角φの値は、入射角θの値に応じて最適化されている。なお、反射面50は、鉛直方向に対して15°傾けられている。入射角θ=15°でこの反射面50に入射した入射光iは、反射面50で反射されて、出射光oが水平方向に出射する。
【0056】
図7(A)及び(B)は走査ビームの出射方向をプロットしたグラフである。図7(A)に係るグラフは図6(A)の比較例に対応しており、図7(B)に係るグラフは図6(B)の実施例に対応している。即ち、走査ビームの出射方向は、主走査方向成分と副走査方向成分とを有しており、主走査方向の主走査角αと副走査方向の副走査角γとに分けることができる。横軸は主走査方向成分(主走査角α)を表し、単位は「°(deg)」である。縦軸は副走査方向成分(副走査角γ)を表し、単位は「°(deg)」である。走査ビームが水平方向に出射する場合に「副走査角γ=0」となり、走査ビームが水平方向と異なる方向に出射する場合に「副走査角γ≠0」となる。副走査角γが「仰角」に相当し、副走査角γの値が一定となる場合に「仰角一定」となる。
【0057】
図7(A)から分かるように、走査範囲の両端部で、走査ビームの副走査方向成分が増加して「偏差」を生じ、走査ビームが水平方向から下側を向くようになる。即ち、「仰角一定」の所望の走査軌跡とはならず、走査ビームの走査軌跡が歪んでしまう。この例では、光偏向器22(即ち、反射面50)を±約45°回転させており、全角走査角βは約160°である。主走査角αが±15°の範囲では、副走査角γは約0.5°と小さい。これに対し、主走査角αが±80°の範囲では、副走査角γは約7°と大きくなる。この結果、走査ビームの出射方向をプロットしたグラフ上には、上側に凸の曲線が描画される。
【0058】
一方、図7(B)から分かるように、入射角θに応じて最適化された傾斜角φを設定した場合には、全走査範囲において走査ビームが常に水平方向を向くようになる。即ち、「仰角一定」の所望の走査軌跡を得ることができる。この例では、光偏向器22(即ち、反射面50)を±約45°回転させており、全角走査角βは約150°である。主走査角αが±75°の全角走査の範囲において、副走査角γを約0.5°以下と小さく抑えることができる。この結果、走査ビームの出射方向をプロットしたグラフ上には、副走査角γ=0の直線に沿って横軸方向に延びた略直線が描画される。
【0059】
図8(A)及び(B)は走査ビームの出射方向をプロットしたグラフである。図8(A)に係るグラフは図6(A)の比較例に対応しており、図8(B)に係るグラフは図6(B)の実施例に対応している。ここでは、図4(C)に示すように、路面に垂直な鉛直方向を「基準方向」とし、走査ビームの「所定の走査方向」が水平方向より下側を向いている。「仰角一定」の場合が「所望の走査軌跡」である。ここでは「仰角」に相当する副走査角γが、γ=6°で一定となる場合に「仰角一定」となる。
【0060】
図8(A)に示すように、入射角θ=15°傾斜角φ=0°の場合には、走査ビームの走査軌跡が歪んでしまう。これに対し、図8(B)に示すように、入射角θ=15°傾斜角φ=11.9°の場合には、即ち、入射角θに応じて最適化された傾斜角φ(≠0)を設定した場合には、全走査範囲において走査ビームが常に一定方向(副走査角γ=6°の方向)を向き、仰角一定の所望の走査軌跡を得ることができる。
【0061】
<走査軌跡が歪む理由とその補正原理>
図9は走査軌跡が歪む理由を説明する図である。実際の光走査装置では、光源が固定配置されており、回転反射体の回転に伴い反射面が回転する。ここでは逆に、反射面が固定されており、光源から反射面に入射する入射光の入射方向が回転するものとして説明する。なお、この説明方法が適切であることは、入射光と反射面の相対的な関係から明らかである。
【0062】
図9に示すように、回転軸sの周りに回転する球体60を想定する。回転軸sは鉛直方向に平行で傾斜角φ=0である。矢印で図示したように、球体60は上方から見て右周りに回転する。球体60は、回転軸sを自転軸とする地球儀を模した球体であり、上側がN極で且つ下側がS極である。球体60の表面には、緯度線及び経度線を模した細線が図示されている。反射面50はこの球体60の中心部に配置されている。
【0063】
光源からの射出された光は、斜め上方から反射面50に入射する。入射光の入射方向が回転するものとした場合、入射光iの起点は赤道よりN極側に在る緯度線に沿って移動し、入射方向は回転軸sを中心とする円弧62を描く。円弧62は入射方向の軌跡である。反射された出射光oの出射方向は、反射面50の法線に対して入射光iの入射方向と対称となる。従って、出射方向も入射方向と同様に円弧64を描く。円弧64は出射方向の軌跡である。入射方向の回転に伴い(即ち、反射面の回転に伴い)、入射光iの起点が矢印方向に移動する。回転前の入射光i及び反射光oを実線で表し、回転後の入射光i及び反射光oを点線で表す。
【0064】
ここでは、回転軸sは鉛直方向に平行であり、実線で示される回転前の反射光oの出射方向は水平方向である。また、全走査範囲において走査ビームが常に水平方向を向き、仰角=0°(一定)となるのが所望の走査軌跡66である。上述した通り、出射方向は円弧64を描く。従って、点線で示される回転後の反射光oの出射方向は水平方向と交差し、所望の走査軌跡66からずれてしまう。これが、回転軸sの傾斜角φ=0°の場合に、斜め配置された反射面50で走査ビームを偏向すると、走査軌跡が歪む理由である。
【0065】
図10は走査軌跡の歪みを補正する原理を説明する図である。図9と同様に、反射面50は、回転軸sの周りに回転する球体60の中心部に配置されている。走査軌跡の歪みを補正するために、回転軸sは鉛直方向に対し予め設定された傾斜角φ(≠0)で傾けられている。入射光の入射方向が回転するものとした場合、入射光iの起点は緯度線に沿って移動し、入射方向は回転軸sを中心とする円弧62Aを描く。
【0066】
出射方向も入射方向と同様に円弧64Aを描くために、点線で示される回転後の反射光oの出射方向は水平方向と交差し、所望の走査軌跡66からの偏差を生じることになる。しかしながら、入射光iの起点は「傾斜した緯度線」に沿って移動するので、緯度線の傾斜により所望の走査軌跡66からの偏差が相殺されるように、回転軸sの傾斜角φ(≠0)を入射角θに応じて適切に設定する。これが、回転軸sを傾斜させて走査軌跡の歪みを補正するための原理である。
【0067】
<傾斜角φの最適化方法>
次に、入射角θに応じて傾斜角φを求める方法の一例について説明する。ここでは、全走査範囲において走査ビームが常に水平方向を向き、仰角=0°(一定)の所望の走査軌跡を得る場合について説明する。光偏向器22からの出射光oが略水平方向に出射される条件は、簡単に言えば、出射光oを表すベクトルと鉛直方向を表すベクトルとの内積をゼロにすることである。しかしながら、反射面50の法線方向が種々変化する系では、この条件下で入射角θに応じて傾斜角φを解析的に求めるのは困難である。そこで、全走査範囲で仰角一定の所望の走査軌跡を得るという目的に応じて、傾斜角φを近似的に求める方法の一例を示す。
【0068】
上述した通り、レーザ光源20と光偏向器22とが所定の位置に配置されると、反射面50と鉛直方向とが交差する交差角度が定まると共に、入射光iの反射面50への入射角θの値が定まる。反射面50の鉛直方向に対する交差角度は、回転軸sの傾斜角φによらず一定である。従って、反射面50の回転角度と入射角θとが定数として与えられると、走査ビームの出射方向の副走査角γは、傾斜角φ及び主走査角αの関数となる。所望の走査軌跡に近付けるためには、偏差である副走査角γの全走査範囲での総和が小さくなるようにすればよく、傾斜角φを求める方法としては、種々の公知の手法を適用することができる。
【0069】
例えば、全走査範囲(主走査角αは任意)において、副走査角γの二乗値の総和が最小となるように、最小二乗法を用いて傾斜角φを求めてもよい。或いは、偏差である副走査角γの上限値を定めて、副走査角γが上限値を超えない主走査角αの範囲を全走査範囲としてもよい。また、1つ又は複数のミラー回転角(基準点)について副走査角γ=0°というように、傾斜角φを求める前提条件を設定してもよい。例えば、図7(B)に示す例では、0°及び±45°の3点をミラー回転角の基準点とし、このミラー回転角での副走査角γを0°としている。
【0070】
図11は入射角θに対し傾斜角φ及び全角走査角βをプロットしたグラフである。傾斜角φは◆でプロットされ、全角走査角βは■でプロットされている。傾斜角φ及び全角走査角βの各々は、図7(B)に示す例と同様の方法で得られたものである。横軸は入射角(入反射角)θを表し、単位は「°(deg)」である。縦軸(左側)は傾斜角φ(回転軸の傾き)を表し、単位は「°(deg)」である。縦軸(右側)は全角走査角βを表し、単位は「°(deg)」である。例えば、全角走査角β=150°では入射角θ=15°となり、入射角θ=15°では傾斜角φ=13.8°が最適値となる。
【0071】
図12は傾斜角φの最適化による走査軌跡の歪み補正効果を示すグラフである。歪み補正なしの場合は◆でプロットされ、歪み補正ありの場合は■でプロットされている。横軸は入射角(入反射角)θを表し、単位は「°(deg)」である。縦軸は副走査角γを表し、単位は「°(deg)」である。
【0072】
図12に示すように、入射角θ=0°(入射光iが水平方向から入射)の場合と、入射角θ=45°(入射光iが斜め上方45°から入射)の場合とでは、歪み補正の有無に拘わらず副走査角γの値は略0°となる。しかしながら、これ以外の範囲、即ち、0°<入射角θ<45°の範囲では、歪み補正を行わないと最大8.5°の副走査角γが発生する。一方、回転軸の傾斜角φを適切な値に設定し、歪み補正を行うことで、0°<入射角θ<45°の範囲でも、副走査角γは0.5°以下に抑制されて、全走査範囲で仰角一定の所望の走査軌跡を得ることができる。
【0073】
<光偏向器の変形例>
上記では、光偏向器22として回転多面鏡を用いる例について説明した。上記の例では、回転多面鏡として4面ポリゴンミラーを用いたが、回転多面鏡の形状や反射面の枚数及び倒れ角は、走査の目的に応じて適宜変更することができる。例えば、図6(A)及び(B)に図示した、倒れ角が等しい3つの反射面50を備えた3面ポリゴンミラーや、図13(B)に示すように、倒れ角が等しい6つの反射面50を備えた六面ポリゴンミラーを、光偏向器22として用いてもよい。
【0074】
また、複数の反射面を備える回転反射体の場合には、複数の反射面の傾斜角(回転多面鏡でいう「倒れ角」)を変化させることで、上下方向に複数のビームを走査して、2次元的に走査を行うことができる。レーザレーダ装置等、障害物の検出を目的とする装置の光走査装置として用いる場合には、2次元的に走査を行うことで検出精度が向上する。
【0075】
例えば、図6(A)及び(B)に示す三面ポリゴンミラーに関し、3つの反射面の倒れ角を各々異ならせることで、上下方向に3本のビームを走査して、3ラインでの走査を行うことができる。この場合は、3本の走査ビームの各々について所望の走査軌跡を設定することができる。
【0076】
<距離測定装置の具体的な構成の一例>
図14は、車載用レーザレーダ装置等の距離測定装置の具体的な構成の一例を示す斜視図である。上述した通り、光走査装置としての光出力部12は、レーザ光源20と、傾斜した反射面50を備え回転反射体として機能する光偏向器22とを備えている。一方、図1に示すレーザレーダ装置10では、光検出部16は、反射光を集光する集光レンズ28と、集光レンズ28で集光された反射光を検出する光検出器30と、を含んで構成されている。なお、駆動制御系については、図1と同様であるため説明を省略する。
【0077】
これに対し、図14に示す構成例では、光検出部16の集光レンズ28に代えて、反射光を集光する集光ミラー54が設けられている。集光ミラー54は、内側が反射面とされた凹型の放物面を備えた放物面鏡(凹面鏡)で構成されている。また、集光ミラー54には、一部のレーザ光を透過するための開口54Aが設けられている。凹面鏡で構成された集光ミラー54は、レーザ光源20と光偏向器22との間に配置されている。また、集光ミラー54は、障害物14からの反射光rが光偏向器22の反射面50で反射されて集光ミラー54に入射するように、反射面50に略対向する位置に配置されている。
【0078】
図14に示す構成例では、レーザ光源20から出射されたレーザ光は、集光ミラー54の開口54Aを透過して、光偏向器22の反射面50に照射される。反射面50で反射されたレーザ光は、走査ビーム(出射光o)として光出力部12から出射される。光出力部12から出射された走査ビームは、被走査面に向けて照射される。監視領域内に在る障害物で反射されたレーザ光は、反射光rとして光偏向器22の反射面50に照射される。反射面50で集光ミラー54の方向に反射されたレーザ光は、集光ミラー54で集光されて、光検出器30で検出される。
【0079】
即ち、図14に示す構成例では、光出力部12の光偏向器22の反射面50と、光検出部16の集光ミラー54とで、反射光の集光を行う。この構成においては、出射ビームを走査すると同時に、受光視野も連動して走査される。このことから、光検出器30を小型化することができ、受光感度を向上することができる。また、受光感度を比較的低下させずに広角化でき、特に、全走査範囲の中心部分において受光感度を最大にすることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 レーザレーダ装置
12 光出力部
14 障害物
16 光検出部
18 制御部
20 レーザ光源
22 光偏向器
24 レーザドライバ
26 光偏向器ドライバ
28 集光レンズ
30 光検出器
38 入出力部
40 操作部
50 反射面
52 法線
54 反射ミラー
54A 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方向及び基準方向と直交する方向とは異なる方向に光を射出する光源と、
回転軸に斜めに交差し且つ前記光源から入射角θで入射した光を反射する少なくとも1つの反射面を有し、前記基準方向に対し傾斜角φで傾けられた前記回転軸の周りに回転する回転反射体と、
を備え、
前記基準方向と予め定めた角度で交差する方向を所定の走査方向とし、
前記回転軸の傾斜角φ≠0°で、
且つ前記反射面で反射された走査光の前記所定の走査方向に対する偏差が、前記回転軸の傾斜角φ=0°で得られる走査光の前記所定の走査方向に対する偏差より小さくなるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、
光走査装置。
【請求項2】
前記基準方向が鉛直方向であり且つ前記走査方向が水平方向又は水平方向より下側若しくは上側を向く場合には、仰角が略一定となるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記基準方向が水平方向であり且つ前記走査方向が鉛直方向を向く場合には、方位角が略一定となるように、前記入射角θに応じて前記傾斜角φが予め定められた、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記回転軸が、前記基準方向と前記反射面に入射角θで入射される光の入射方向とを含む平面内にある、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された光走査装置を含み、前記光源がレーザ光を射出する光源である光出力部と、
前記光出力部から出力され且つ前方又は側方に存在する障害物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、
光出力部から出力され且つ光検出部で検出されたレーザ光の遅延時間から前記障害物までの距離を算出する距離算出部と、
を備えた距離測定装置。
【請求項6】
前記光検出部は、前記障害物により反射されたレーザ光を、前記光走査装置の前記回転反射体で反射させて検出する、請求項5に記載の距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−197575(P2011−197575A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66916(P2010−66916)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】