説明

入室管理装置

【課題】クリーンルームへの入室のための所定の準備がなされないままにクリーンルームに入室することを禁止し、クリーンルームの清浄度を維持する。
【解決手段】入室管理装置300は、非クリーンルーム100とクリーンルーム200との間に配置され、非クリーンルーム100側に第1扉312を有し、クリーンルーム200側に第2扉314を有するエアーシャワールーム310と、作業者がクリーンルーム200に入室するための準備をするために非クリーンルーム200に配置された複数の入室準備ユニット322、324、326と、複数の入室準備ユニット322、324、326が所定の順番で動作したときに第1扉312のロックを解除して非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310に入室することを可能にするコントローラとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームへの入室を管理する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品を製造、処理、検査等するためにクリーンルームが使用される。クリーンルームと非クリーンルームとは、エアーシャワールームによって分離されている。作業者は、例えば、手を洗い、乾燥させて、更に殺菌した後にエアーシャワールームを通ってクリーンルームに入室する。
【特許文献1】特開2001−29105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手洗いや殺菌などの準備をすることなく作業者がエアーシャワールームを通ってクリーンルームに入室すると、クリーンルーム内が汚染される可能性がある。したがって、手洗いや殺菌などの所定の準備をした後にクリーンルームに入室することを義務付けることが一般的ではあるが、従来は、所定の準備をしないままでも非クリーンルームからエアーシャワールームを通ってクリーンルームに入室することができた。よって、誤ってクリーンルーム内に菌やダスト等が持ち込まれてクリーンルームが汚染される可能性を否定できなかった。
【0004】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、例えば、クリーンルームへの入室のための所定の準備がなされないままにクリーンルームに入室することを禁止し、クリーンルームの清浄度を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、クリーンルームへの入室を管理する入室管理装置に関するものであり、前記入室管理装置は、非クリーンルームとクリーンルームとの間に配置され、前記非クリーンルーム側に第1扉を有し、前記クリーンルーム側に第2扉を有するエアーシャワールームと、作業者が前記クリーンルームに入室するための準備をするために前記非クリーンルームに配置された複数の入室準備ユニットと、前記複数の入室準備ユニットが所定の順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にするコントローラとを備える。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数の入室準備ユニットは、例えば、手洗ユニット及び殺菌ユニットを含み、前記コントローラは、例えば、前記手洗ユニット及び前記殺菌ユニットが前記手洗ユニット、前記殺菌ユニットの順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にする。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記複数の入室準備ユニットは、例えば、手洗ユニット、乾燥ユニット及び殺菌ユニットとを含み、前記コントローラは、例えば、前記手洗ユニット、前記乾燥ユニット及び前記殺菌ユニットが前記手洗ユニット、前記乾燥ユニット、前記殺菌ユニットの順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にする。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記入室管理装置は、前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームへの入室を検知する第1検知ユニットと、前記エアーシャワールームから前記クリーンルームへの退室を検知する第2検知ユニットとを更に備えることが好ましく、前記コントローラは、前記第1検知ユニットによって前記エアーシャワールームへの入室が検知され、更に前記第2検知ユニットによって前記エアーシャワールームからの退出が検知されたことに応じて前記第1扉をロックすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、クリーンルームへの入室のための所定の準備がなされないままにクリーンルームに入室することを禁止し、クリーンルームの清浄度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態の入室管理装置の概略構成を示す図である。本発明の好適な実施形態の入室管理装置300は、非クリーンルーム100とクリーンルーム200との間に配置されたエアーシャワールーム310を備えている。エアーシャワールーム310は、非クリーンルーム100側に第1扉312を有し、クリーンルーム200側に第2扉314を有する。ここで、非クリーンルーム100は、エアーシャワールーム310を介して接続されたクリーンルーム200よりも清浄度が低い空間をいうものとする。例えば、第1の清浄度に維持された第1のクリーンルームと、それに対してエアーシャワールームを介して接続された第2の清浄度に維持された第2のクリーンルームとがあり、第1の清浄度よりも第2の清浄度が低い場合(例えば、ダスト数が多い場合)は、第2のクリーンルームは、第1のクリーンルームとの関係では、非クリーンルームである。
【0012】
入室管理装置300は、更に、作業者がクリーンルーム200に入室するための準備をするために非クリーンルーム100に配置された複数の入室準備ユニット322、324、326と、複数の入室準備ユニット322、324、326が所定の順番で動作したときに第1扉312のロックを解除して非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310(結果として、クリーンルーム200)に入室することを可能にするコントローラ330とを備える。
【0013】
入室準備ユニット322、324、326は、それぞれ、例えば、手洗ユニット、乾燥ユニット、殺菌ユニットでありうる。以下では、この例にしたがって説明する。
【0014】
入室管理装置300は、非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310への作業者の入室を検知する第1検知ユニット342と、エアーシャワールーム310からクリーンルーム200への退室を検知する第2検知ユニット344とを備えることが好ましい。コントローラ330は、第1扉342のロックを解除した後に、例えば、第1検知ユニット342によってエアーシャワールーム310への入室が検知され、更に第2検知ユニット344によってエアーシャワールーム310からの退出が検知されたことに応じて第1扉342を再びロックする。第1扉342のロック及びその解除は、ロック機構316によってなされる。
【0015】
図2は、入室管理装置300の制御系の構成例を示すブロック図である。手洗ユニット322は、例えば、フォトインターラプタ等の検知センサ322aと、検知センサ322aの出力信号(手の検知)にしたがって所定時間だけ蛇口を通して水を出すための電磁弁とを含みうる。乾燥ユニット324は、例えば、フォトインターラプタ等の検知センサ324aと、検知センサ324aの出力信号(手の検知)にしたがって所定時間だけノズルから温風を噴射する温風噴射部とを含みうる。殺菌ユニット326は、例えば、フォトインターラプタ等の検知センサ326aと、検知センサ326aの出力信号(手の検知)にしたがって所定時間だけノズルから殺菌液(例えば、アルコール)を噴射する殺菌液噴射部とを含みうる。
【0016】
図3は、コントローラ330におけるインターロック制御の流れを示すフローチャートである。ここでは、コントローラ330は、手洗ユニット322、乾燥ユニット324、殺菌ユニット326がその順番で動作したときに、第1扉312のロックを解除して非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310への入室、及び、それに続くクリーンルーム200への入室を可能にする例を説明する。
【0017】
手洗ユニット322において、検知センサ322aによって手が検知されると、それに応答して手洗ユニット322において蛇口から水が出される。コントローラ330は、ステップS10において、手洗ユニット322が動作したか否かを判断する。この判断は、手洗ユニット322の検知センサ322aによって手が検知されたか否かに基づいてなされうる。
【0018】
手洗ユニット322が動作したと判断されると、コントローラ330は、ステップS20において、所定時間内に乾燥ユニット324が動作したか否かを判断する。この判断は、乾燥ユニット324の検知センサ324aによって手が検知されたか否かに基づいてなされうる。
【0019】
乾燥ユニット324が所定時間内に動作したと判断されると、コントローラ330は、ステップS30において、所定時間内に殺菌ユニット326が動作したか否かを判断する。この判断は、殺菌ユニット326の検知センサ326aによって手が検知されたか否かに基づいてなされうる。
【0020】
殺菌ユニット326が所定時間内に動作したと判断されると、コントローラ330は、手洗ユニット322、乾燥ユニット324、殺菌ユニット326がその順番で動作したと判断し、ステップS40において、第1扉312のロックを解除するようにロック機構316に指令を送る。ロック機構316は、この指令にしたがって第1扉312のロックを解除する。
【0021】
次いで、コントローラ330は、ステップS50において、所定時間内に非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310に作業者が入室したか否かを第1検知ユニット342からの検知信号を監視することによって判断する。
【0022】
エアーシャワールーム310に作業者が入室したことが検知されると、コントローラ330は、エアーシャワールーム310に備えられたエアーシャワーユニットを所定時間だけ動作させる。
【0023】
次いで、コントローラ330は、ステップS70において、所定時間内にエアーシャワールーム310からクリーンルーム200に作業者が退室したか否かを第2検知ユニット344からの検知信号を監視することによって判断する。
【0024】
エアーシャワールーム310からクリーンルーム200に作業者が退室したことが検知されると、コントローラ330は、ステップS80において、第1扉312をロックするようにロック機構316に指令を送る。ロック機構316は、この指令にしたがって第1扉312をロックする。
【0025】
以上のようなインターロック制御によれば、複数の入室準備ユニット322、324、326が所定の順番で動作したときに第1扉312のロックが解除されて非クリーンルーム100からエアーシャワールーム310(結果として、クリーンルーム200)への入室が可能になり、それ以外では第1扉312のロックが解除されないので非クリーンルーム100からエアーシャワールーム200(結果として、クリーンルーム200)への入室が禁止される。したがって、所定の準備をしないまま誤って非クリーンルーム100からクリーンルーム200に入室することが防止される。
【0026】
なお、本発明は、例えば、飲料や食品等の製造、処理、検査等のためのクリーンルームに好適なほか、半導体デバイスやその製造装置の製造等のためのクリーンルームにも好適である。後者においては、例えば、手洗や、手袋やマスク等をその収納部から取り出したことなどを検知し、その順番が所定の順番である場合に非クリーンルームからエアーシャワールームへの入室を許可しうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の好適な実施形態の入室管理装置の概略構成を示す図である。
【図2】入室管理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】コントローラにおけるインターロック制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
100 非クリーンルーム
200 クリーンルーム
300 入室管理装置
310 エアーシャワールーム
312 第1扉
314 第2扉
316 ロック機構
322 手洗ユニット(第1入室準備ユニット)
322a 検知センサ
324 乾燥ユニット(第2入室準備ユニット)
324a 検知センサ
326 殺菌ユニット(第3入室準備ユニット)
326a 検知センサ
330 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームへの入室を管理する入室管理装置であって、
非クリーンルームとクリーンルームとの間に配置され、前記非クリーンルーム側に第1扉を有し、前記クリーンルーム側に第2扉を有するエアーシャワールームと、
作業者が前記クリーンルームに入室するための準備をするために前記非クリーンルームに配置された複数の入室準備ユニットと、
前記複数の入室準備ユニットが所定の順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にするコントローラと、
を備えることを特徴とする入室管理装置。
【請求項2】
前記複数の入室準備ユニットは、手洗ユニット及び殺菌ユニットを含み、前記コントローラは、前記手洗ユニット及び前記殺菌ユニットが前記手洗ユニット、前記殺菌ユニットの順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にする、ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理装置。
【請求項3】
前記複数の入室準備ユニットは、手洗ユニット、乾燥ユニット及び殺菌ユニットとを含み、前記コントローラは、前記手洗ユニット、前記乾燥ユニット及び前記殺菌ユニットが前記手洗ユニット、前記乾燥ユニット、前記殺菌ユニットの順番で動作したときに前記第1扉のロックを解除して前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームに入室することを可能にする、ことを特徴とする請求項1に記載の入室管理装置。
【請求項4】
前記非クリーンルームから前記エアーシャワールームへの入室を検知する第1検知ユニットと、
前記エアーシャワールームから前記クリーンルームへの退室を検知する第2検知ユニットとを更に備え、
前記コントローラは、前記第1検知ユニットによって前記エアーシャワールームへの入室が検知され、更に前記第2検知ユニットによって前記エアーシャワールームからの退出が検知されたことに応じて前記第1扉をロックする、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の入室管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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