説明

具材に貼るだけのシート状フライ衣

【課題】従来の衣付けは小麦粉、卵、パン粉などの衣用材料をそれぞれの容器に用意し、具材を各衣用材料に交互に塗していく必要があり非常に手間がかかるものであった。その上、衣用材料が手や箸などにダマになって付着し周りを汚してしまうことや、衣用材料の分量調節が難しく余りが廃棄処分されること、洗浄する容器が増えることなど、無駄や面倒な事が多かった。また、従来の簡単に衣付けできる技術を使用すると、フライ食品本来の食感と味が損なわれ、かつ、上記のいくつかの問題点は解決できなかった。
【解決手段】すでに成形された、貼り付け面をもつシート状の衣を提供することで、具材に貼るだけで衣付けが出来ようにする。また、貼り付け面はより粘着しやすいように、温度変化で流動性を持つような性質にする。このようにすることで、問題点の原因発生を無くし課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は具材に貼るだけで衣付けできるシート状のフライ衣に関する。
【背景技術】
【0002】
衣付けの手間を簡易にするための従来の技術は、バッター、ブレッダー等の材料をミックスして単一にし、具材に一度塗すだけにしたもの(特許文献1参照)や、付着し易いように加工したパン粉を直接具材に塗すもの(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
しかし、衣付け作業を簡略化させるために、主に各材料の機能に着目して開発されたものが多く、フライ食品が本来持っていた食感と味が失われていた。また、塗しに使う容器を完全に不要にするまでには至らず、いくつかの手間を残すことになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−150870号 公報
【特許文献2】特開平11−346693号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の衣付けでは、小麦粉、卵、及びパン粉等(以下、衣用材料と記載)を個別に用意し、具材へ付着させるために交互に塗していく作業が必要であった。
【0006】
衣付けは、液状のものと粉末とを交互に塗すため、衣用材料がダマになって手や箸などに付着してしまい、周りを汚したり、不必要ところに付着したりすることを防ぐには、頻繁に水などで洗い流さなくてはならなかった。
【0007】
また、用意した衣用材料を入れるための容器がそれぞれに必要であり、作業終了後、その容器の洗浄も必要であった。
【0008】
仮に、背景技術に記載の揚げ衣ミックスや直接具材に塗せるパン粉等従来の技術を使用した場合でも、塗しに使う容器は必要であり、準備作業や容器に関する問題、ダマになって付着する問題は依然として解決できなかった。最も重要なことは、それらの衣材では本来フライ食品が持つ食感と味が失われてしまうということである。
【0009】
さらに、一回の調理に必要な量を把握することが難しく、材料を使いきらずに廃棄されることが多かった。本発明はこれらの問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、粘着性のあるバッター(以下、下地材と記載)を薄く延ばし、その片面にパン粉を塗した、貼り付け面を持つシート状の衣を提供することで、具材に貼るだけで衣付けできるようにした。
【0011】
また、上記の下地材に強い粘着性を持たせ、その上、歪な形の具材にも容易に貼り付けできる性質を実現するために、ゲル化等、温度の変化で流動性を持つような性質を利用する。
【0012】
具体的には、常温で固化したゲルの状態を保持し、人肌程度の温度で流動性を持つようにすることや、冷凍又は冷蔵下で固化の状態を保持し、室温で溶解する性質にする等があげられる。(方法は限定するものではなく、温度変化で流動性を持つことが趣旨である)このような性質を持たせる事で下地材はより具材に貼り付き易くなる。
【発明の効果】
【0013】
衣はすでに成形されており、具材に貼るだけで衣付けできるので、小麦粉、卵、パン粉等の衣用材料を個別に用意しそれぞれに交互に塗す必要がなくなった。つまり、具材に本発明によるシート状の衣を貼る意外の作業は不要になった。
【0014】
衣用材料が手や箸にダマになって付着したり、それらが不必要な場所へ付着したりすることが無くなるため、キッチン等を汚すことがなく清掃作業の手間が減った。
【0015】
シート状になっているので必要な量が明確であり、何より衣用材料を用意しなくてよいため、材料の余り及び廃棄がほとんど無くなった。
【0016】
衣用材料を入れる容器が不要となり、洗浄する手間もなくなった。
【0017】
基本的には従来の衣付けと同等な材料の構成にできるので、フライ食品が持つ本来の食感を失う事がなく、味も従来の衣付けと同様のものが得られた。しかも、下地材の水分がパン粉にしみ込みにくく、揚げた直後のサクサク感が持続する特徴も得られた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるシート状衣の外観図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明について実施例をあげて具体的に説明するが本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
本例では、下地剤に粘着性及び温度変化での流動性を持たせるためにゼラチンによるゲル化を利用する。
【0021】
ゼラチンを熱水で均一な溶液にし、若干放冷して、小麦粉に加えかき混ぜる。さらに、それを、かき混ぜた卵と合わせる。
【0022】
上記を低温(約10度以下)に保ち粘性が出てきたところで、薄いフィルム等にシート状に敷き下地材とする。この下地材が具材との接着面となる。
【0023】
シート状に敷いた下地材の上からパン粉を塗し付着させ、再び低温に保ち下地材を固化させる。
【0024】
使用する際は、シート状に成形されている衣を具材の大きさに合う程度に切り、フィルムから外して具材全体を覆うように貼り付ける。付き具合が悪い時は、衣の上から手で覆い表面を温めると流動性がでて良く貼りつく。
【符号の説明】
【0025】
1 下地材に付着したパン粉の層
2 粘着性を持つ下地材の層
3 フィルム
4 パン粉の層の断面
5 下地材の層の断面
6 フィルム断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性があり、具材に貼るだけで衣付けができるシート状のフライ衣。
【請求項2】
粘着部分に温度変化で流動性が生まれる性質を持たせた請求項1記載のシート状衣。

【図1】
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【図2】
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