説明

内視鏡装置

【課題】表層微細血管等の生体の構造・成分の観察に関して、意図的に照射光量を調整する必要なく、撮像距離に限らず、明るくかつ色味が安定した撮像画像を得ることができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】第1の狭帯域光を照射する第1の光源部32と、第2の狭帯域光又は広帯域光を照射する第2の光源部34と、照射及び照射光量をそれぞれ制御する光源制御手段48と、被写体からの戻り光により撮像画像を撮像し、撮像画像情報を出力する撮像手段26と、撮像画像の輝度値を算出する輝度値算出手段50と、輝度値に応じて照射光量を変更する光源光量変更手段55と、変更された照射光量から撮像画像のホワイトバランスを取るためのホワイトバランス調整値を算出するホワイトバランス調整値算出手段57と、撮像画像のホワイトバランスが基準となるホワイトバランスとなるようにゲインを調整するゲイン調整手段59と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色照明光等の広帯域光と特定の狭帯域光とを用いて特殊光観察を行うことのできる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の狭い波長帯域光(狭帯域光)を生体の粘膜組織に照射し、生体組織の所望の深さの組織情報を得る、いわゆる特殊光観察を行うことができる内視鏡装置が活用されている。この種の内視鏡装置は、例えば、粘膜層或いは粘膜下層に発生する新生血管の表層微細構造、病変部の強調等、通常の観察像では得られない生体情報を簡単に可視化できる。例えば、観察対象が癌病変部である場合、青色(B)の狭帯域光を粘膜組織に照射すると組織表層の微細血管や微細構造の状態がより詳細に観察できるため、病変部をより正確に診断することができる。
【0003】
通常光(広帯域光)観察の場合はもちろん、これら特殊光観察の場合においても、色調の再現性を安定させ、より正確な診断をするために、取得された撮像画像に対して、それぞれホワイトバランス処理を行う必要がある。
特許文献1には、通常光観察及び特殊光観察のそれぞれの場合において、短時間にホワイトバランス処理を行うことができる内視鏡装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−68321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特殊光観察においては、病変組織と特殊光の照射位置との距離が近い場合には、明るく見えやすい組織表層の微細血管や微細構造を画像化できるが、距離が離れるにつれて撮像画像が暗くて見えにくくなるという問題があり、一般的には照射光量を増加させる措置がとられるが、照射光量の増加、特に、特殊光の光量の増加には限界があり、特殊光の光量不足を通常光で補おうとすると撮像画像の色味が変化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、通常観察においても、特殊光観察においても、ユーザが撮像画像を確認しつつ意図的に照射光量を調整する必要なく、表層微細血管等の生体の構造・成分の観察に関して、撮像距離に限らず、常に、明るくかつ色味が安定した撮像画像を得ることができる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、被写体とする生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて狭帯域化された所定の波長帯域幅を持つ第1の狭帯域光を照射する第1の光源部と、前記第1の狭帯域光と異なる波長帯域の第2の狭帯域光又は可視光を含む広い波長帯域を持つ広帯域光を照射する第2の光源部と、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射及び照射光量、並びに前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の照射及び照射光量をそれぞれ制御する光源制御手段と、前記被写体に順次又は同時に照射された前記第1の狭帯域光、及び前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の、前記被写体からの戻り光により、前記被写体の撮像画像を撮像し、撮像画像情報を出力する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記撮像画像情報から前記撮像画像の輝度値を算出する輝度値算出手段と、該輝度値算出手段で算出された前記輝度値に応じて、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量及び前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の照射光量を変更する光源光量変更手段と、該光源光量変更手段で変更された、現在照射している前記第1の光源部及び前記第2の光源部の照射光量から、前記撮像画像のホワイトバランスを取るためのホワイトバランス調整値を算出するホワイトバランス調整値算出手段と、該ホワイトバランス調整値算出手段で算出されたホワイトバランス調整値に応じて、前記撮像画像のホワイトバランスが、基準となるホワイトバランスとなるように、前記撮像手段のゲインを調整するゲイン調整手段と、を有することを特徴とする内視鏡装置を提供する。
【0008】
また、前記基準となるホワイトバランスは、前記第1の光源部及び前記第2の光源部の照射光量をそれぞれ最大として白色板の撮像を行った場合に得られる撮像画像のホワイトバランスであることが好ましい。
【0009】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量と前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光の照射光量との比率を変更する手段であることが好ましく、また、前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量と前記第2の光源部からの前記広帯域光の照射光量との比率を変更する手段であることが好ましい。
【0010】
また、前記光源光量変更手段は、前記算出される輝度値が大きくなるにつれて、前記第1の光源部からの照射光量の比率を増加させ、前記算出される輝度値が小さくなるにつれて、前記第2の光源部からの照射光量の比率を増加させることで、前記算出される輝度値を所定の輝度値とすることが好ましい。
【0011】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量を、前記撮像画像の輝度値に応じて段階的に変化させることが好ましく、前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量を、前記撮像画像の輝度値に応じて連続的に変化させることが好ましい。
【0012】
また、前記基準となるホワイトバランスを[R_base、G_base、B_base]とし、第1の光源部と第2の光源部との照射光量の比率がα:1−α、前記第1の光源部のホワイトバランスを[R_1、G_1、B_1]、前記第2の光源部のホワイトバランスを[R_2、G_2、B_2]とすると、前記ゲイン調整手段によって調整される前記撮像手段のゲイン[WB_gainR、WB_gainG、WB_gainB]は、以下の式で表せられることが好ましい。
WB_gainR=(αR_1+(1−α)R_2)/R_base
WB_gainG=(αG_1+(1−α)G_2)/G_base
WB_gainB=(αB_1+(1−α)B_2)/B_base
【0013】
さらに、前記撮像画像情報に所定の画像処理を施す画像処理部を有し、前記画像処理部は、前記画像処理を施すことで、前記撮像画像のホワイトバランスが変化しないように、予め求められた前記第1の光源部と前記第2の光源部との照射光量の比率と、前記撮像画像の色味を調整するための色変換係数との関係を示す色変換係数テーブルを備え、前記画像処理部は、前記光源光量変更手段によって調整された前記第1の光源部と前記第2の光源部との照射光量の比率に基づいて前記色変換係数テーブルから前記色変換係数を選択することが好ましい。
【0014】
また、前記第1の光源部は、広帯域光を照射する広帯域光源と、該広帯域光源から射出された前記広帯域光から前記第1の狭帯域光のみを透過する第1の色フィルタとを備え、前記第2の光源部は、前記広帯域光源と、該広帯域光源から射出された前記広帯域光から前記第2の狭帯域光のみを透過する第2の色フィルタとを備え、前記光源光量変更手段は、前記第1の色フィルタ及び前記第2の色フィルタの少なくとも一方を、半値幅の異なる色フィルタに切り替える手段であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の内視鏡装置によれば、通常観察及び特殊光観察において、撮像素子で検出される戻り光の光量が常に所定値以上となるように、特殊光光源及び白色照明光光源の発光条件を順に制御し、また特殊光光源及び白色照明光光源の発光条件に応じて、画像処理部において色味を調節するための所定の画像処理を施すため、通常観察及び特殊光観察をする場合、例えば病変部から離れて撮像をする場合も、病変部に近づいて撮像をする場合も、ユーザが撮像画像を観察しつつ意図的にこれら光源の発光条件及び撮像画像の色味の調整をする必要がなく、通常観察ではもちろん、特に、病変部や表層微細血管等の特殊光観察において、撮像距離に限らず常に色味が安定した撮像画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の内視鏡装置の第1実施形態の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す内視鏡装置の光源部に用いられる青紫色レーザ光源から照射される青紫色レーザ光、並びに青色レーザ光源から照射される青色レーザ光及び励起された蛍光体からの蛍光光による白色光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図3】図1に示す内視鏡装置のプロセッサの一実施例の詳細構成を含む各部の信号処理系を示すブロック図である。
【図4】図3に示す特殊光画像処理部の特殊光色変換部が備える色変換テーブルの一実施例を示すグラフである。
【図5】本発明の内視鏡装置の第1実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の内視鏡装置の第2実施形態の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】図6に示す内視鏡装置の第1の色フィルタ及び第2の色フィルタを備えるフィルタセットの一実施例を示す正面図である。
【図8】(a)は、第1の色フィルタの半値幅の狭い青色フィルタ及び第2の色フィルタの半値幅の狭い緑色フィルタの分光特性の一例を示すグラフであり、(b)は、第1の色フィルタの半値幅の広い青色フィルタ及び第2の色フィルタの半値幅の広い緑色フィルタの分光特性の一例を示すグラフである。
【図9】図6に示す内視鏡装置のプロセッサの一実施例の詳細構成を含む各部の信号処理系を示すブロック図である。
【図10】本発明の内視鏡装置の第2実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る内視鏡装置を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の内視鏡装置の第1実施形態の全体構成を模式的に示すブロック図である。
同図に示すように、本発明の内視鏡装置10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ16と、入出力部18とを有する。ここで、光源装置14及びプロセッサ16は、内視鏡12の制御装置を構成し、内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続され、プロセッサ16と電気的に接続される。また、プロセッサ16は、入出力部18と電気的に接続される。そして、入出力部18は、画像情報等を出力表示する表示部(モニタ)38、画像情報等を出力する記録部(記録装置)42(図3参照)、及び通常観察モード(通常光モードともいう)や特殊光観察モード(特殊光モードともいう)などのモード切替や機能設定等の入力操作を受け付けるUI(ユーザインタフェース)として機能する入力部(モード切替部)40を有する。
【0018】
内視鏡12は、その先端から照明光を照射する照明光学系と、被観察領域を撮像する撮像光学系とを有する、電子内視鏡である。なお、図示しないが、内視鏡12は、被検体内に挿入される内視鏡挿入部と、内視鏡挿入部の先端の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部と、内視鏡12を制御装置の光源装置14及びプロセッサ16に着脱自在に接続するコネクタ部を備える。さらに、図示はしないが、操作部及び内視鏡挿入部の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられる。
【0019】
内視鏡12の先端部分には、図1に示すように、被観察領域へ光を照射する照射口28Aに、詳細は後述するが、照明光学系を構成し、白色光源を構成する蛍光体24を有し、照射口28Aに隣接する受光部28Bに被観察領域の画像情報を取得する撮像手段としてCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子(センサ)26が配置されている。内視鏡12の照射口28Aには、照明光学系を構成するカバーガラスやレンズ(図示せず)が配置され、受光部28Bには、照明光学系を構成するカバーガラスやレンズ(図示せず)が配置され、受光部28Bの撮像素子26の受光面には撮像光学系を構成する対物レンズユニット(図示せず)が配置される。
【0020】
内視鏡挿入部は、操作部の操作により湾曲自在にされ、内視鏡12が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向及び任意の角度に湾曲でき、照射口28A及び受光部28Bを、すなわち撮像素子26の観察方向を、所望の観察部位に向けることができる。
なお、撮像素子26は、受光領域にカラーフィルタ(例えば、RGBカラーフィルタや補色フィルタ)を備えたカラー撮像センサや補色センサであるのが好ましいが、RGBカラー撮像センサがより好ましい。
【0021】
光源装置14は、特殊光モードにおいて特殊光光源として用いられる中心波長405nmの青紫色レーザ光源(405LD)32と、通常光モード及び特殊光モードの両方に用いられる白色照明光用光源として用いられる中心波長445nmの青色レーザ光源(445LD)34と、を発光源として備えている。青紫色レーザ光源32は、第1の狭帯域光として青紫色レーザ光を照射し、青色レーザ光源34は、第2の狭帯域光として青色レーザ光を照射する。なお、青紫色レーザ光源32からの中心波長405nmの青紫色レーザ光は、生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて、好ましくは合致して狭帯域化された波長帯域幅を持つ狭帯域光であるので、生体の構造・成分の検出能が優れている。
【0022】
これら各光源32、34の半導体発光素子からの発光は、光源制御手段48(図3参照)により個別に制御されており、各光源32及び34の発光条件、すなわち青紫色レーザ光源32の照明光と、青色レーザ光源34の照明光の光量及び光量比率は、変更自在になっている。
【0023】
青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34は、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオードを用いることもできる。また、上記光源として、発光ダイオード等の発光体を用いた構成としてもよい。
【0024】
これら青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34から照射されるレーザ光は、集光レンズ(図示せず)により、それぞれ光ファイバ22に入力され、合波器(図示せず)を介してコネクタ部に伝送される。なお、本発明は、これに限定されず、合波器を用いずに青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34からの各レーザ光を直接コネクタ部に送出する構成であってもよい。
【0025】
中心波長405nmの青紫色レーザ光及び中心波長445nmの青色レーザ光が合波され、コネクタ部まで伝送されたレーザ光は、照明光学系を構成する光ファイバ22によって、それぞれ内視鏡12の先端部まで伝播される。そして、青色レーザ光は、内視鏡12の先端の、光ファイバ22の光照射端に配置された波長変換部材である蛍光体24を励起して蛍光を発光させる。また、一部の青色レーザ光は、そのまま蛍光体24を透過する。そして、青紫色レーザ光は、その一部は蛍光体24を励起させるが、大部分は蛍光体24を励起させることなく透過して、狭帯域波長の照明光(いわゆる狭帯域光)となる。
青紫色レーザ光源32は本発明の第1の光源部を構成し、青色レーザ光源34と蛍光体24とは本発明の第2の光源部を構成する。
【0026】
光ファイバ22は、マルチモードファイバであり、一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用できる。
【0027】
蛍光体24は、青色レーザ光及び青紫色レーザ光の一部を吸収して、緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、或いはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光及び青紫色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起光と、蛍光体24により吸収されずに透過した青色レーザ光及び青紫色レーザ光とが合わされて、白色(疑似白色)の照明光となる。本構成例のように、中心波長445nmの青色レーザ光を発光する半導体発光素子を励起光源として用いれば、高い発光効率で高強度の白色光が得られ、白色光の強度を容易に調整できる上に、白色光の色温度、色度の変化を小さく抑えることができる。
【0028】
上記の蛍光体24は、レーザ光の可干渉性により生じるスペックルに起因して、撮像の障害となるノイズの重畳や、動画像表示を行う際のちらつきの発生を防止できる。また、蛍光体24は、蛍光体を構成する蛍光物質と、充填材となる固定・固化用樹脂との屈折率差を考慮して、蛍光物質そのものと充填剤に対する粒径を、赤外域の光に対して吸収が小さく、かつ散乱が大きい材料で構成することが好ましい。これにより、赤色や赤外域の光に対して光強度を落とすことなく散乱効果が高められ、光学的損失が小さくなる。
【0029】
図2は、青紫色レーザ光源32からの青紫色レーザ光と、青色レーザ光源34からの青色レーザ光及び青色レーザ光が蛍光体24により波長変換された発光スペクトルとを示すグラフである。青紫色レーザ光は、中心波長405nmの輝線(プロファイルA)で表され、本発明の狭帯域光であり、主に特殊光とされる。また、青色レーザ光は、中心波長445nmの輝線で表され、青色レーザ光による蛍光体24からの蛍光光は、概ね450nm〜700nmの波長帯域で発光強度が増大する分光強度分布となる。この蛍光光と青色レーザ光によるプロファイルBによって、上述した白色光が形成され、主に通常光とされる。白色光である通常光は、可視光を含む広い波長帯域を持つ広帯域光である。なお、図示はしていないが、蛍光体24は、青紫色レーザ光によっても励起され、青色レーザ光による場合の1/20程度の光量の蛍光光を照射し、広帯域光を形成する。
【0030】
ここで、青紫色レーザ光源32から照射される中心波長405nmの青紫色レーザ光及びそれに伴う蛍光体24からの蛍光光は、405nmの狭帯域光の成分が多く、表層組織の観察(表層組織の情報の取得)に優れる一方、蛍光体24からの蛍光光の成分が少ないため、背景の撮像に用いられる白色光の照射光量を多くできない。よって、被写体までの距離が近い場合には、背景としての白色光の照射光量が足りるが、被写体までの距離が離れた場合には、青紫色レーザ光による蛍光光では、白色光の照射光量が不足する。
また、青色レーザ光源34から照射される中心波長445nmの青色レーザ光及びそれに伴う蛍光体24からの蛍光光は、青紫色レーザ光に比べて表層組織の観察には劣るが、蛍光体24を強く励起し、背景としての白色光の照射光量を多くできる。よって、被写体までの距離が離れた場合にも、白色光の光量を十分確保できる。
そのため、青色レーザ光源34は、被写体との距離が離れた場合に、青紫色レーザ光源32からの青紫色レーザ光による白色光の光量不足を補うために用いることができる。
【0031】
また、本発明でいう白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限定されず、例えば、上述した疑似白色光を始めとして、R、G、B等、特定の波長帯の光を含むものであればよく、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含むものとする。
【0032】
この内視鏡装置10では、プロファイルAとプロファイルBとの発光強度を光源制御手段48により相対的に増減制御して、任意の輝度バランスの照明光を生成することができる。なお、本発明の内視鏡装置10において、通常光モードでは、プロファイルBの光のみが用いられ、特殊光モードでは、原則としてプロファイルAの光及びプロファイルAの光に基づく図示しない蛍光光が用いられ、図示しない蛍光光の光量不足を補うために、プロファイルBの光が重畳される。
【0033】
上述したように、青紫色レーザ光源32からの青紫色レーザ光による狭帯域光(プロファイルA)と蛍光体24からの図示しない蛍光光による白色光からなる照明光、及び青色レーザ光源34からの青色レーザ光と蛍光体24からの蛍光光による白色光からなる照明光(プロファイルB)は、内視鏡12の先端部の照射口28Aから被写体の被観察領域に向けて照射される。そして、照明光が照射された被観察領域からの戻り光が、受光部28Bを介して撮像素子26の受光面上に結像され、撮像素子26によって被観察領域が撮像される。
撮像後に撮像素子26から出力される撮像画像の画像信号は、スコープケーブル30を通じてプロセッサ16の画像処理システム36に入力される。
【0034】
次に、こうして撮像素子26によって撮像された撮像画像の画像信号は、プロセッサ16の画像処理システム36を含む信号処理系によって画像処理され、モニタ38や記録装置42に出力され、ユーザの観察に供される。
【0035】
図3は、本発明の内視鏡装置のプロセッサの一実施例の詳細構成を含む各部の信号処理系を示すブロック図である。
同図に示すように、内視鏡装置10の信号処理系は、内視鏡12の信号処理系と、光源装置14の信号処理系と、プロセッサ16の信号処理系(画像処理システム36)と、入出力部18のモニタ38、入力部(モード切替部)40及び記録装置42と、を有する。
【0036】
内視鏡12の信号処理系は、撮像後に撮像素子26からの撮像画像の画像信号の信号処理系として、アナログ信号である撮像画像信号に相関二重サンプリング(CDS)や自動利得制御(AGC)を行うためのCDS・AGC回路44と、CDS・AGC回路44でサンプリングと利得制御が行われたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器(A/Dコンバータ)46とを有する。A/D変換器46でA/D変換されたデジタル画像信号は、コネクタ部を介してプロセッサ16の画像処理システム36に入力される。
【0037】
また、光源装置14の信号処理系は、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34のオンオフ制御及び光量制御(強度制御)を行う光源制御手段48を有する。本発明において光量とは、強度を含む。第1実施形態において、光源制御手段48は、原則として光源の照射強度を変更することで、その照射光量を変更する。
ここで、光源制御手段48は、内視鏡装置10の稼働開始に伴う光源オン信号に応じて青紫色レーザ光源32を点灯したり、モード切替部40からの特殊光モードと通常光モードとの切替信号に応じて青紫色レーザ光源32のオンオフ制御を行ったり、後述する輝度値算出手段50から算出された撮像画像情報の輝度値に応じて、前述の撮像画像信号の輝度値が所定の輝度値となるように、光源光量変更手段55によって、光源制御手段48を通じて、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34の発光強度、すなわち青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34に流す駆動電流の電流値を制御することで、それらの照射光量を制御する。また、本発明において所定の輝度値とは、撮像画像の観察に適した、所定範囲の輝度値をいう。
【0038】
さらに、プロセッサ16の信号処理系は、画像処理システム36(図1参照)であって、輝度値算出手段50と、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)52と、ノイズ除去回路54と、光源光量変更手段55と、ホワイトバランス調整値算出手段57と、ゲイン調整手段59と、画像処理切替部(スイッチ)60と、通常光画像処理部62と、特殊光画像処理部64と、画像表示信号生成部66とを有する。
【0039】
輝度値算出手段50は、内視鏡12のA/D変換器46からコネクタを介して入力されたデジタル画像信号(撮像画像情報)を用いて、撮像素子(センサ)26で受光した戻り光の光量、つまり、撮像画像の輝度値を算出する。そして、これら算出された輝度値は光源制御手段48及び光源光量変更手段55へ出力される。
【0040】
光源光量変更手段55では、光源制御手段48による青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34を駆動する電流の電流値の情報を受け、算出された輝度値に基づいて青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34の照射光量及びそれらの光量比率を変更する。
例えば、撮像画像情報の輝度値が小さく(暗く)なれば、蛍光光を発することで白色光として作用する青色レーザ光が増加するように、青色レーザ光源34の照射光量を増加させ、撮像画像情報の輝度値が大きく(明るく)なれば、狭帯域光の光量比率を増加させるように、青紫色レーザ光源34の照射光量の比率を増加させるように、光源制御手段48へ青色レーザ光源34の照射光量を減少させる指示を出す。これにより、撮像画像の輝度値が、観察に適した所定の輝度値をとる。
また、光源光量変更手段55における青紫色レーザ光源32と青色レーザ光源34との照射光量及び光量比率の情報は、ホワイトバランス調整値算出手段57へも出力され、ゲイン調整手段59を通って、特殊光画像処理部64へ出力される。
【0041】
光源制御手段48では、前述の輝度値の情報及び光源光量変更手段55からの指示に基づいて、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34に流れる駆動電流を制御し、それらの照射光量を制御する。
照射光量の制御は、前述の輝度値に応じて連続的に変化させても良いし、また、輝度値が所定の範囲にある場合には、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34がそれぞれ所定の照射光量をとるように、段階的に変化させても良い。
【0042】
ホワイトバランス調整値算出手段57は、光源光量変更手段55における青紫色レーザ光源32と青色レーザ光源34との照射光量及び光量比率に基づいて、照明光で撮像した際のホワイトバランスを算出し、照明光で撮像した際のホワイトバランスを基準となるホワイトバランスとするために必要なホワイトバランス調整値をホワイトバランスゲインとして算出する。
照明光で撮像した際のホワイトバランスは、青紫色レーザ光源32で撮像した際のホワイトバランスを[WB_R1、WB_G1、WB_B1]と、青色レーザ光源34で撮像した際のホワイトバランスを[WB_R2、WB_G2、WB_B2]とし、照射している青紫色レーザ光源32の照射光量と青色レーザ光源34の照射光量との比率(駆動電流値の比率)をそれぞれα、1−αとすると、[(αWB_R1+(1−α)WB_R2)、(αWB_G1+(1−α)WB_G2)、(αWB_B1+(1−α)WB_B2)]と算出される。
【0043】
また、基準となるホワイトバランスを[WB_Rbase、WB_Gbase、WB_Bbase]とすると、照明光で撮像した際のホワイトバランスを、基準となるホワイトバランスとするために必要なホワイトバランスゲインは、
WB_gainR=(αWB_R1+(1−α)WB_R2)/WB_Rbase
WB_gainG=(αWB_G1+(1−α)WB_G2)/WB_Gbase
WB_gainB=(αWB_B1+(1−α)WB_B2)/WB_Bbase
と算出できる。
【0044】
なお、青紫色レーザ光源32で撮像した場合のホワイトバランス、及び青色レーザ光源34で撮像した場合のホワイトバランスは、例えば、被写体の撮像前に、内視鏡先端に対向する形で白色板を設置し、青紫色レーザ光源32と青色レーザ光源34とをそれぞれ単独で照射して撮像を行い、それぞれ得られた撮像画像(撮像画像情報)のホワイトバランスを青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光34で撮像した場合のホワイトバランス[WB_R1、WB_G1、WB_B1]及び[WB_R2、WB_G2、WB_B2]とすればよい。
【0045】
また、基準となるホワイトバランスは、例えば、前述と同様に、被写体の撮像前に、内視鏡先端に対向する形で白色板を設置し、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34の照射光量を最大として照明光を照射して白色板の撮像を行い、この場合に得られた撮像画像のホワイトバランスを基準となるホワイトバランス[WB_Rbase、WB_Gbase、WB_Bbase]としてもよい。
これら、青紫色レーザ光源32で撮像した際のホワイトバランス、青色レーザ光34で撮像した際のホワイトバランス、及び基準となるホワイトバランスは、予めホワイトバランス調整値算出手段57に記憶されている。
【0046】
ゲイン調整手段59では、前述のホワイトバランス調整値算出手段57において、算出されたホワイトバランスゲイン[WB_gainR、WB_gainG、WB_gainB]に基づいて、CDS・AGC回路44において撮像画像情報のホワイトバランスを調整する。
また、算出されたホワイトバランスゲインは、画像処理部62及び特殊光画像処理部64へ出力され、色変換及び特殊光色変換に用いられてもよい。
ゲイン調整手段59によるホワイトバランスの調整により、撮像画像の輝度値が変化したとしても、ホワイトバランスの常に安定した撮像画像を得ることができる。
【0047】
DSP52(デジタルシグナルプロセッサ)は、輝度値算出手段50で撮像画像信号(撮像画像情報)の輝度値が算出された後、A/D変換器46から出力されたデジタル画像信号にガンマ補正、色補正処理を行う。
ノイズ除去回路54は、DSP52でガンマ補正、色補正処理が施されたデジタル画像信号から、例えば、移動平均法やメディアンフィルタ法等の画像処理におけるノイズ除去方法を行ってノイズを除去する。
こうして、内視鏡12からプロセッサ16に入力されたデジタル画像信号は、DSP52及びノイズ除去回路54でガンマ補正、色補正処理及びノイズ除去等の前処理がなされる。
【0048】
画像処理切替部60は、後述するモード切替部(入力部)の指示(切替信号)に基づいて前処理されたデジタル画像信号を後段の通常光画像処理部62に送るか、特殊光画像処理部64に送るかを切り替えるスイッチである。
なお、本発明においては、区別のため、通常光画像処理部62及び特殊光画像処理部64による画像処理前のデジタル画像信号を画像信号といい、画像処理前後のデジタル画像信号を画像データと呼ぶことにする。
【0049】
通常光画像処理部62は、通常光モードにおいて、青色レーザ光源34及び蛍光体26による白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した通常光用画像処理を施す部分であって、色変換部68と、色彩強調部70と、構造強調部72とを有する。
【0050】
色変換部68は、前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号に、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行い、色変換処理済RGB画像データに変換する。
色彩強調部70は、画面内の血管と粘膜との色味の差をつけて、血管を見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
構造強調部72は、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造強調処理を行う。
構造強調部72で構造強調処理が施されたRGB画像データは、通常光用画像処理済RGB画像データとして通常光画像処理部62から画像表示信号生成部66に入力される。
【0051】
特殊光画像処理部64は、特殊光モードにおいて、青紫色レーザ光源32からの青紫色レーザ光(プロファイルA)、並びに青色レーザ光源34及び蛍光体26からの白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した特殊光用画像処理を施す部分であって、特殊光色変換部74と色彩強調部76と、構造強調部78とを有する。
特殊光色変換部74は、入力された前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号のG画像信号に所定係数をかけてR画像データに割り付け、同B画像信号にそれぞれ所定係数をかけてB画像データ及びG画像データに割り付け、RGB画像データを生成した後、生成されたRGB画像データに、色変換部68と同様に3×3マトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行う。
【0052】
具体的には、特殊光変換部74は、割り付け後のR、G、Bの画像データに対して、輝度値の正規化を行い、Rnorm、Gnorm、Bnormの画像データを生成する。次に、これら正規化したRnorm、Gnorm、Bnorm画像データに対して、光量比率に応じた色調への補正を行う。色調補正後の画像データを、Radj、Gadj、Badj画像データとすると、色調補正後のRadj、Gadj、Badj画像データは、(1)式で示すような演算により求められる。
【0053】
【数1】

【0054】
ここで、K、K、Kは、それぞれ各色の色変換係数であり、光源光量変更手段55で調整された青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34の光量比率に応じて求められる。特殊光変換部74は、図4に示すように、調製された光量比率に対応する各色の色変換係数を定めた色変換係数テーブル80を備え、前述の光量比率に基づいて、色変換係数テーブル80より、色変換係数K、K、Kを決定する。色変換係数テーブル80の色変換係数K、K、Kは、図4に示すように、それぞれの光量比率に対応してR00〜、G00〜、B00〜として設定されている。光源光量変更手段55で調整された光量比率に対応する色変換係数を(1)式に代入することで、色調補正された画像データRadj、Gadj、Badjが得られる。
【0055】
例えば、光源制御手段48において制御される青紫色レーザ光源32の光量と青色レーザ光源34の光量との比率が、90:10であるとき、色変換係数は、図4に示す色変換係数テーブルにより、(K、K、K)=(R10、G10、B10)と求まる。
この色変換係数は、図4に示すテーブルとして表すことに限らず、数式化して表してもよく、また、代表点のみ数値化して他の点を補間演算により求めてもよい。
【0056】
色彩強調部76は、色彩強調部70と同様に、画面内の血管と粘膜との色味の差を付けて、血管を見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
構造強調部78は、構造強調部72と同様に、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造処理を行う。
構造強調部78で最適な周波数強調処理が施されたRGB画像データは、特殊光用画像処理済RGB画像データとして特殊光画像処理部64から画像表示信号生成部66へ出力される。
【0057】
また、前述のとおり、光量が足りず青色レーザ光源34の照射光量を増加させた場合、撮像ための光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。
そこで、特殊光画像処理部64は、色変換部68の前段階において、撮像画像上の表層血管を強調するためにも、フレーム加算処理、又は、ビニング処理を行ってもよい。
【0058】
ここでフレーム加算処理とは、通常、1フレームで1画像を生成するフレームを複数枚加算する処理であり、また、ビニング処理とは、画像を構成する画素を複数画素ずつ統合する処理である。
なお、フレーム加算処理及びビニング処理ではなく、予め撮像素子26の電荷蓄積時間を長めにとってもよい。フレーム加算処理と略同様の効果が得られる。
【0059】
画像表示信号生成部66は、通常光モードでは通常光画像処理部62から入力された画像処理済RGB画像データを、特殊光モードでは特殊光画像処理部64から入力された画像処理済RGB画像データを、モニタ38でソフトコピー画像として表示するための、又は記録装置42でハードコピー画像として出力するための表示画像信号に変換する。
【0060】
モニタ38は、通常光モードでは、白色光を照射して撮像素子26で得られ、プロセッサ16で前処理及び通常光画像処理がなされた表示画像信号に基づく通常観察用画像をソフトコピー画像として表示し、特殊光モードでは、白色光に加え、特殊光を照射して撮像素子26で得られ、プロセッサ16で前処理及び特殊光画像処理がなされた表示画像信号に基づく特殊光観察画像をソフトコピー画像として表示する。
【0061】
記録装置42も、通常光モードでは、白色光を照射して得られた通常観察画像をハードコピー画像として出力し、特殊光モードでは、白色光及び特殊光を照射して得られた特殊光観察画像をハードコピー画像として出力する。
なお、必要に応じて、画像表示信号生成部66で生成された表示画像信号は、画像情報として、図示しないが、メモリやストレージ装置からなる記憶部に記憶されても良い。
【0062】
一方、モード切替部(入力部)40は、通常光モードと特殊光モードとを切り替えるためのモード切替ボタンを有し、モード切替部40からのモード切替信号は、光源装置14の光源制御手段48に入力される。ここで、モード切替部40は、入出力部18の入力部40として配置されているが、プロセッサ16、内視鏡12の操作部、又は光源装置14に配置されてもよい。なお、モード切替部40からの切替信号は、光源制御手段48及び画像処理切替60へ出力される。
本発明の第1実施形態の内視鏡装置は、基本的に以上のように構成される。
【0063】
次に、本発明の第1実施形態の内視鏡装置10の動作を、図5を用いて説明する。
本実施形態においては、まず、通常光モードで通常光観察が行われているものとする。つまり、青色レーザ光源34が点灯され、白色光による撮像画像データについて、通常光画像処理部64で通常光画像処理が行われている。
ここで、図5に示すステップのとおり、ユーザによって特殊光モードへの切替が行われる。ユーザがモード切替部40を操作することでモード切替信号(特殊光ON)が出力され、画像処理切替部60における画像処理が特殊光モードに切り替えられる。また、モード切替部40を操作するのではなく、前述の内視鏡12の図示しない操作部を操作することで特殊光モードへの切替を行ってもよい(S10)。
【0064】
特殊光モードに切り替えられると、青紫色レーザ光源32からの所定量の第1の狭帯域光(中心波長405nm)と、青色レーザ光源34からの所定量の第2の狭帯域光(中心波長445nm)とが同時に照射され、内視鏡先端より被写体に向けて、第1の狭帯域光、第2の狭帯域光及びそれらの蛍光光が照明光として照射される(S12)。
照射された照明光は、被写体で反射され、撮像素子26によりその戻り光が撮像画像信号(撮像画像情報)として取得され、輝度値算出手段50において、撮像素子26により取得された撮像画像信号の輝度値が算出される。算出された撮像画像信号の輝度値は、光源光量変更手段55及び光源制御手段48へ出力される(S14)。
【0065】
そして、光源光量変更手段55は、輝度値算出手段50で算出された輝度値の情報、並びに光源制御手段48から得られる青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34からの照射光量及び光量比率の情報をもとに、撮像画像が明るすぎず、また、暗すぎず、その輝度値が所定の輝度値となるように、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34のそれぞれの照射光量を調整し、また、それらの光量比率を調整する。これらの調整は、実際には、光源制御手段48を通じて青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34に流れる駆動電流値を調整することで行われる。そして、調整されたそれらの照射光量及び光量比率の情報は、光源制御手段48及びホワイトバランス調整値算出手段57へそれぞれ出力される(S16)。
ステップS14及びステップS16は、輝度値の変化に応じて行われるため、内視鏡先端と被写体との位置関係の変化に応じて行われる。
【0066】
また、ホワイトバランス調整値算出手段57では、まず、前述の調整された照射光量及び光量比率の情報に基づいて、撮像画像のホワイトバランスを算出する。ホワイトバランスの算出は、前述のとおり、青紫色レーザ光源32に基づく照明光のホワイトバランス及び青色レーザ光源34に基づく照明光のホワイトバランス、青紫色レーザ光及び青色レーザ光の照射光量及びそれらの光量比率に基づいて算出される(S18)。
そして、算出されたホワイトバランスと、基準となるホワイトバランスとから、ホワイトバランスを維持するために必要なホワイトバランスゲインが算出され、ゲイン調整手段59を通じて、CDS・AGC回路44において、ホワイトバランスゲインが調整される(S20)。
【0067】
光源光量変更手段55によって、青紫色レーザ光源32及び青色レーザ光源34からの照射光量及び光量比率が変更され、ゲイン調整手段59によって、ホワイトバランスゲインが調整された後、被写体の撮像が行われ、撮像素子26により撮像画像信号が取得される(S22)。
【0068】
再度、撮像画像信号が取得されると、撮像画像信号は、CDS・AGC44、A/D変換部46を経て、輝度値算出手段50へ出力され、その撮像画像(信号)の輝度値が算出された後、DSP52、ノイズ除去回路54を経て、特殊光画像処理部64へ出力される。特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74では、前述の変更された照射光量及び光量比率の情報と、色変換係数テーブル80とから、特殊光色変換に用いる色変換係数K、K、Kが設定され、特殊光画像処理部64へ入力された撮像画像信号は、特殊光色変換部74によって所定のRGB画像データとされる。なお、特殊光色変換前に、フレーム加算処理等の画像強調処理が行われてもよい。また、RGB画像データは色彩強調部76及び構造強調部78において各種画像処理を適用され、画像表示信号生成部66へ出力される(S24)。
【0069】
画像表示信号生成部66へ出力されたRGB画像データは、表示可能な画像表示信号に変換され、特殊光画像としてモニタ38で表示され、記録装置42で記録される(S26)。
以上が本発明の第1実施形態である。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の内視鏡装置の第2実施形態の全体構成を模式的に示すブロック図である。
図6に示すとおり、第2実施形態と第1実施形態との構成上の違いは、光源装置114の構成と、内視鏡112の先端において、第1実施形態で設置されていた蛍光体24が不要な点である。よって、第1実施形態との相違点について説明する。
【0071】
前述のとおり、図6の内視鏡112は、内視鏡先端に蛍光体24が存在しない以外は、第1実施形態の内視鏡12と同じである。よって、光ファイバ112は、光ファイバ22と、照射口128Aは、照射口28Aと、受光部128Bは、受光部28Bと、撮像素子126は、撮像素子26と、スコープケーブル130は、スコープケーブル30と同じであり、同じ動作をする。
【0072】
また、図6に示すとおり、光源装置114は、広帯域光源132、光量絞り133、第1の色フィルタ134B及び第2の色フィルタ134Gを備えるフィルタセット134、及び集光レンズ135を備える。また、光源装置114は、広帯域光源132と第1の色フィルタ134Bの組み合わせによって第1の光源部を形成し、広帯域光源132と第2の色フィルタ134Gの組み合わせによって第2の光源部を形成する。広帯域光源132は、例えばキセノン光を照射するキセノン光源であり、所定の広帯域光(白色光)を照射する。
【0073】
また、広帯域光源132は、光量絞り133により光量調整を行う。第1実施形態におけるレーザ光源の場合と異なり、広帯域光源132は発光強度の調整が困難なため、光量絞りによって光量を調整する。したがって、広帯域光源132の発光強度は原則として一定である。
【0074】
なお、本実施形態においては、広帯域光としてキセノン光、広帯域光源132としてキセノン光源を用いているが、本発明においては、第1の色フィルタ及び第2の色フィルタによって狭帯域化が可能な白色照明光を照射する光源であれば特に限定はない。キセノン光源の他、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の放電型の高輝度ランプ光源等の放電管を用いることができる。
また、レーザ光源と蛍光体とを組み合わせた白色光源も用いることができる。この場合、前述の記載と異なり、発光強度をレーザ光源の駆動電流値によって調整できるため、光量絞り133は不要である。
【0075】
照射した広帯域光は、収斂光学系である図示しないリフレクタによって、略平行光束とされ、光量絞り133によって光量を調整された後、フィルタセット134の所定のフィルタを透過する。
第1の色フィルタ134B及び第2の色フィルタ134Gを透過し、狭帯域化された光は、集光レンズ135によって光ファイバ112の入射端で集光され、光ファイバ112に入射する。入射した光は、光ファイバ112によって導光され、内視鏡先端より照射される。
第1の色フィルタ134Bを透過した広帯域光は、第1の狭帯域光となって内視鏡先端より照射され、第2の色フィルタ134Bを透過した広帯域光は、第2の狭帯域光となって内視鏡先端より照射される。
【0076】
フィルタセット134は、図7に示すように、広帯域光を青色の狭帯域光(B光、第1の狭帯域光)に変換する第1の色フィルタ134B、広帯域光を緑色の狭帯域光(G光、第2の狭帯域光)に変換する第2の色フィルタ134G、及び広帯域光をそのまま透過する透過部134Tからなる。また、第1の色フィルタ134Bは、半値幅の狭い青色フィルタ134B1及び半値幅の広い青色フィルタ134B2からなり、第2の色フィルタ134Gは、半値幅の狭い緑色フィルタ134G1及び半値幅の広い緑色フィルタ134G2からなる。フィルタセット134は、光源制御手段148(図9参照)からの指示により、図示しない移動手段及び回転手段によって切り替えられる。
【0077】
図8(a)は、図7に示す、半値幅の狭い青色フィルタ134B1及び半値幅の狭い緑色フィルタ134G1の分光特性の一例を示すグラフであり、図8(b)は、半値幅の広い青色フィルタ134B2及び半値幅の広い緑色フィルタ134G2の分光特性の一例を示すグラフである。
光量絞り133を最大に開き、照射光量を最大としても光量が足りない場合、前述のように半値幅の狭いフィルタから半値幅の広いフィルタに切り替えることで、更に照射光量の増加を図ることができる。
【0078】
図9は、本発明の内視鏡装置の第2実施形態のプロセッサの詳細構成を含む各部の信号処理系を示すブロック図である。第1実施形態の図3との違いは、光源装置114である。なお、内視鏡112と内視鏡12との違いは蛍光体24のみであるため、図9の信号処理系を示すブロック図において構成上の違いはない。
したがって、前述と同様に、第1実施形態との違いである光源装置114について説明する。
【0079】
光源装置114の信号処理系は、広帯域光源132のオンオフ制御、光量絞り133による光量制御、図示しない移動手段による半値幅の狭いフィルタ134B1及び134G1から半値幅の広いフィルタ134B2及び134G2への切替制御、図示しない回転手段による第1の色フィルタ134B、第2の色フィルタ134G、及び透過部Tの切替制御を行う光源制御手段148を有する。
【0080】
ここで、光源制御手段148は、内視鏡装置10の稼働開始に伴う光源オン信号に応じて広帯域光源132を点灯したり、モード切替部40からの通常光モードと特殊光モードとの切替信号に応じてフィルタセット134の透過部134Tと第1の色フィルタ134B及び第2の色フィルタ134Gとを切り替える制御を行ったり、輝度値算出手段50から算出された撮像画像情報の輝度値に応じて、前述の撮像画像信号の輝度値が所定の輝度値となるように、光源光量変更手段55によって、光源制御手段148を通じて、広帯域光の光量、すなわち光量絞り133を制御することで、広帯域光源132からの照射光量を制御し、また、フィルタセット134を半値幅の狭いフィルタ134B1及び134G1から半値幅の広いフィルタ134B2及び134G2へ切り替えることで、その照射光量を制御する。
【0081】
光源光量変更手段55では、光源制御手段148による光量絞り133の情報、フィルタセット134の設置フィルタの情報、及び算出された輝度値に基づいて、第1の色フィルタ134B及び第2の色フィルタ134Gの半値幅の狭い青色フィルタ134B1及び半値幅の狭い緑色フィルタ134G1を半値幅の広い青色フィルタ134B2及び半値幅の広い緑色フィルタ134G2に切り替える。ここで、設置フィルタとは、実際に広帯域光を透過するフィルタをいう。また、設置フィルタの情報とは、設置フィルタとして前述のフィルタ134B1、134B2、134G1、及び134G2並びに透過部134Tのいずれのフィルタが選択されているかの情報である。
例えば、撮像画像の輝度値を上げる必要が無く、照射光量が足りている場合には、照射光量を一定値以上に上げる必要がないため、半値幅の狭いフィルタ134B1及び134G1で足り、撮像画像の輝度値を上げる必要があり、照射光量を一定値以上に挙げる必要がある場合には、半値幅の狭いフィルタでは透過させることができる光量に限界があるため、半値幅の狭いフィルタ134B1及び134G1から、半値幅の広いフィルタ134B2及び134G2へ切り替えるように、光源制御手段148へ第1の色フィルタ134B及び第2の色フィルタ134Gの切り替えの指示を出す。これにより、撮像画像の輝度値が、観察に適した所定の輝度値をとる。なお、前述の一定値とは、半値幅の狭いフィルタ134B1及び134G1を設置フィルタとして、光量絞り133を最大とした場合の照射光量をいう。
また、光源光量変更手段55における広帯域光源132の光量絞り133の情報、フィルタセット134の設置フィルタの情報は、ホワイトバランス調整値算出手段57へも出力される。
【0082】
光源制御手段148では、前述の輝度値の情報及び光源光量変更手段55からの指示に基づいて、光量絞り133を制御することにより、広帯域光源132からの照射光量を制御し、また、設置フィルタをフィルタセット134の半値幅の狭いフィルタB1及びG1から半値幅の広いフィルタB2及びG2へ切り替えることで、それらの照射光量を制御する。
【0083】
ホワイトバランス調整値算出手段57は、光源光量変更手段55における広帯域光の照射光量、及びフィルタセット134の設置フィルタの情報に基づいて、照明光で撮像した際のホワイトバランス及び照明光で撮像した際のホワイトバランスを基準となるホワイトバランスとするために必要なホワイトバランス調整値をホワイトバランスゲインとして算出する。
【0084】
広帯域光が、半値幅の狭い青色フィルタ134B1、半値幅の広い青色フィルタ134B2、半値幅の狭い緑色フィルタ134G1、半値幅の広い緑色フィルタ134G2のいずれのフィルタを透過したかによって、図8(a)、(b)に示すとおり、透過後の狭帯域光の波長プロファイルが決定する。
よって、予め前述のフィルタ134B1、134B2、134G1及び134G2は、それを透過する広帯域光の照射光量によってホワイトバランスが一意に決定することがわかる。
【0085】
図9のホワイトバランス調整値算出手段57は、設置フィルタの種類に対する照射光量とホワイトバランスとの関係を予め計測して記録した図示しないホワイトバランステーブルを備え、光量変更手段55から出力された広帯域光の照射光量の情報と、設置フィルタの情報とからホワイトバランステーブルを用いて、撮像画像情報のホワイトバランスを算出する。
【0086】
また、基準となるホワイトバランスは、半値幅の狭いフィルタB1及びG1を用いて撮像した際の撮像画像のホワイトバランスを基準となるホワイトバランスとすればよい。
ホワイトバランスが崩れたのは、光量が足りないために半値幅の広いフィルタB2及びG2を用いたためであり、半値幅の狭いフィルタB1及びG1を設置フィルタとして撮像画像情報を取得した際の撮像画像のホワイトバランスを基準となるホワイトバランスとしておけば、光量が足りている場合にはゲイン調整の必要が無いためである。
【0087】
ホワイトバランス調整値算出手段57は、算出されたホワイトバランスを基準となるホワイトバランスに調整するためのホワイトバランス調整値としてホワイトバランスゲインを算出し、ゲイン調整手段59へ出力する。
【0088】
半値幅の広いフィルタB2及びG2を設置フィルタとして撮像を行った場合、前述のとおりゲイン調整手段59は、撮像画像信号のホワイトバランスを半値幅の狭いフィルタB1及びG2を設置フィルタとした場合のホワイトバランスに調整するために用いられる。
【0089】
ゲイン調整手段59で、撮像画像信号のホワイトバランスが調整されたB光画像成分を備えるB画像信号と、G光画像成分を備えるG画像信号とは、それぞれ、特殊光画像処理部64へ出力され、1つの画像データに合成される。画像データの合成は、具体的には、前述の特殊光画像処理部64で行われる画像処理と同様に、G画像信号をR画像データに割り付け、B画像信号をB画像データ及びG画像データに割り付けることで行われる。2フレームで撮像されたB画像信号及びG画像信号から1つの画像データを合成する以外の処理は、第1実施形態と同様である。
【0090】
なお、特殊光色変換部74では、第2実施形態においては、第1実施形態において用いられた、変更された照射光量及び光量比率の情報の代わりに、広帯域光源132からの照射光量と設置フィルタの情報とが用いられる。照射光量と設置フィルタの情報とによって、第1実施形態でいう光量比率、照明光のR光成分、G光成分、及びB光成分の比率が算出できるためである。
【0091】
上述以外の構成については第1実施形態と同様である。本発明の内視鏡装置の第2実施形態は、基本的に以上のように構成される。
【0092】
次に、本発明の内視鏡装置110の第2実施形態の動作を、図10のフローチャートを用いて説明する。第1実施形態の動作と同様の部分は説明を一部省略し、相違点を中心に説明する。
【0093】
本実施形態においても、まず、通常光モードで通常光観察が行われているものとする。つまり、設置フィルタとして透過部134Tが設置されており、広帯域光源が点灯され、広帯域光による撮像画像データについて、通常光画像処理部64で通常光画像処理が行われている。
ここで、図10に示すステップのとおり、ユーザによって特殊光モードへの切替が行われる(S110)。第2実施形態は、その構成上、特殊光画像撮影において、B画像データとG画像データとを2フレームで撮像する面順次方式である。
【0094】
特殊光モードに切り替えられると、まず、第1フレームにおいて、半値幅の狭い青色フィルタ134B1が設置フィルタとして設置される。そして、広帯域光源132から広帯域光が照射され、光量絞り133によって照射光量を調節され、所定光量の広帯域光が半値幅の狭い青色フィルタ134B1を通って第1の狭帯域光とされ、内視鏡先端より被写体に向けて照射される(S112)。
照射された第1の狭帯域光は、被写体で反射され、撮像素子126によりその戻り光が撮像画像信号(撮像画像情報)として取得され、輝度値算出手段50において、撮像素子126により取得された撮像画像信号の輝度値が算出される。算出された撮像画像信号の輝度値は、光源光量変更手段55及び光源制御手段148へ出力される(S114)。
【0095】
そして、光源光量変更手段55は、輝度値算出手段50で算出された輝度値の情報、並びに光源制御手段148によって制御される広帯域光の光量、すなわち光量絞り133の情報、及び設置フィルタの情報をもとに、撮像画像が明るすぎず、また、暗すぎず、その輝度値が所定の輝度値となるように、光量絞り133を制御することで広帯域光源132の照射光量を変更し、また、照射光量が足りない場合には、設置フィルタを半値幅の狭いフィルタから半値幅の広いフィルタへ変更することで、照射光量を変更する。そして、変更されたそれらの照射光量及び設置フィルタの情報は、光源制御手段148及びホワイトバランス調整値算出手段57へそれぞれ出力される(S116)。
ステップS114及びステップS116は、輝度値の変化に応じて行われるため、内視鏡先端と被写体との位置関係の変化に応じて行われる。
【0096】
また、ホワイトバランス調整値算出手段57では、前述の変更された照射光量及び設置フィルタの情報に基づいて、撮像画像のホワイトバランスを算出する。ホワイトバランスの算出は、前述のとおり、広帯域光の照射光量と、設置フィルタの情報と、図示しないホワイトバランステーブルとに基づいて算出される(S118)。
そして、算出されたホワイトバランスと、基準となるホワイトバランスとから、ホワイトバランスを維持するために必要なホワイトバランスゲインが算出され、ゲイン調整手段59を通じて、CDS・AGC回路44において、ホワイトバランスゲインが調整される(S120)。
【0097】
光源光量変更手段55によって、広帯域光源132からの照射光量及び設置フィルタが変更され、ゲイン調整手段59によって、ホワイトバランスゲインが調整された後、被写体の撮像が行われ、撮像素子26により第1フレームの撮像画像信号(B画像信号)が取得される(S122)。取得されたB画像信号は、特殊光画像処理部64において一時的に記憶される。
【0098】
次に、第2フレームにおいて、設置フィルタを半値幅の狭い緑色フィルタ134G1に切り替える(S124)。
設置フィルタが切り替えられると、先のステップS114〜S124が繰り返し実行され、第2フレームの撮像画像信号(G画像信号)が取得される(S126)。取得されたG画像信号は、第1フレームと同様、特殊光画像処理部64に記憶される。
【0099】
特殊光画像処理部64に一時的に記憶された、B画像信号とG画像信号とは、1つのRGB画像データに合成される。ステップS24と同様に、G画像信号をR画像データに割り付け、B画像信号をB画像データとG画像データとに割り付けることで、RGB画像データが合成される。RGB画像データは、ステップS24と同様に各種処理がなされ、画像表示信号生成部66へ出力される(S128)。
【0100】
ステップS26と同様に、画像表示信号生成部66へ出力されたRGB画像データは、表示可能な画像表示信号に変換され、特殊光画像としてモニタ38で表示され、記録装置42で記録される(S130)。
【0101】
このように、第1フレームと第2フレームとが交互に繰り返されることで、ホワイトバランスのとれたB光の画像成分とG光の画像成分とをそれぞれ取得することができる。このように撮像されたB光の画像成分とG光の画像成分と特殊光画像処理部64で合成することで特殊光撮像画像が得られる。
以上が本発明の第2実施形態である。
【0102】
以上、本発明の内視鏡装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10、110 内視鏡装置
12、112 内視鏡
14、114 光源装置
16 プロセッサ
18 入出力部
22、122 光ファイバ
24 蛍光体
26、126 撮像素子
28A、128A 照射口
28B、128B 受光部
30、130 スコープケーブル
32 青紫色レーザ光源(405LD)
34 青色レーザ光源(445LD)
36 画像処理システム
38 表示部(モニタ)
40 入力部(モード切替部)
42 記録部(記録装置)
44 CDS・AGC回路
46 A/D変換器(A/Dコンバータ)
48、148 光源光量制御手段
50 輝度値算出手段
52 DSP(デジタルシグナルプロセッサ)
54 ノイズ除去回路
55 輝度値算出手段
57 ホワイトバランス調整値算出手段
59 ゲイン調整手段
60 画像処理切替部(スイッチ)
62 通常光画像処理部
64 特殊光画像処理部
66 画像表示信号生成部
68 色変換部
70、76 色彩強調部
72、78 構造強調部
74 特殊光色変換部
80 色変換係数テーブル
132 広帯域光源
133 光量絞り
134 フィルタセット
134B 第1の色フィルタ
134G 第2の色フィルタ
134B1 半値幅の狭い青色フィルタ
134G1 半値幅の狭い緑色フィルタ
134B2 半値幅の広い青色フィルタ
134G2 半値幅の広い緑色フィルタ
134T 透過部
135 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体とする生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて狭帯域化された所定の波長帯域幅を持つ第1の狭帯域光を照射する第1の光源部と、
前記第1の狭帯域光と異なる波長帯域の第2の狭帯域光又は可視光を含む広い波長帯域を持つ広帯域光を照射する第2の光源部と、
前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射及び照射光量、並びに前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の照射及び照射光量をそれぞれ制御する光源制御手段と、
前記被写体に順次又は同時に照射された前記第1の狭帯域光、及び前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の、前記被写体からの戻り光により、前記被写体の撮像画像を撮像し、撮像画像情報を出力する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記撮像画像情報から前記撮像画像の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
該輝度値算出手段で算出された前記輝度値に応じて、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量及び前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光又は前記広帯域光の照射光量を変更する光源光量変更手段と、
該光源光量変更手段で変更された、現在照射している前記第1の光源部及び前記第2の光源部の照射光量から、前記撮像画像のホワイトバランスを取るためのホワイトバランス調整値を算出するホワイトバランス調整値算出手段と、
該ホワイトバランス調整値算出手段で算出されたホワイトバランス調整値に応じて、前記撮像画像のホワイトバランスが、基準となるホワイトバランスとなるように、前記撮像手段のゲインを調整するゲイン調整手段と、を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記基準となるホワイトバランスは、前記第1の光源部及び前記第2の光源部の照射光量をそれぞれ最大として白色板の撮像を行った場合に得られる撮像画像のホワイトバランスである請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量と前記第2の光源部からの前記第2の狭帯域光の照射光量との比率を変更する手段である請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量と前記第2の光源部からの前記広帯域光の照射光量との比率を変更する手段である請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記光源光量変更手段は、前記算出される輝度値が大きくなるにつれて、前記第1の光源部からの照射光量の比率を増加させ、前記算出される輝度値が小さくなるにつれて、前記第2の光源部からの照射光量の比率を増加させることで、前記算出される輝度値を所定の輝度値とすることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量を、前記撮像画像の輝度値に応じて段階的に変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記光源光量変更手段は、前記第1の光源部からの前記第1の狭帯域光の照射光量を、前記撮像画像の輝度値に応じて連続的に変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記基準となるホワイトバランスを[R_base、G_base、B_base]とし、第1の光源部と第2の光源部との照射光量の比率がα:1−α、前記第1の光源部のホワイトバランスを[R_1、G_1、B_1]、前記第2の光源部のホワイトバランスを[R_2、G_2、B_2]とすると、前記ゲイン調整手段によって調整される前記撮像素子のゲイン[WB_gainR、WB_gainG、WB_gainB]は、以下の式で表せられる請求項1〜7のいずれかに記載の内視鏡装置。
WB_gainR=(αR_1+(1−α)R_2)/R_base
WB_gainG=(αG_1+(1−α)G_2)/G_base
WB_gainB=(αB_1+(1−α)B_2)/B_base
【請求項9】
さらに、前記撮像画像情報に所定の画像処理を施す画像処理部を有し、
前記画像処理部は、前記画像処理を施すことで、前記撮像画像のホワイトバランスが変化しないように、予め求められた前記第1の光源部と前記第2の光源部との照射光量の比率と、前記撮像画像の色味を調整するための色変換係数との関係を示す色変換係数テーブルを備え、
前記画像処理部は、前記光源光量変更手段によって調整された前記第1の光源部と前記第2の光源部との照射光量の比率に基づいて前記色変換係数テーブルから前記色変換係数を選択する請求項1〜8のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記第1の光源部は、広帯域光を照射する広帯域光源と、該広帯域光源から射出された前記広帯域光から前記第1の狭帯域光のみを透過する第1の色フィルタとを備え、
前記第2の光源部は、前記広帯域光源と、該広帯域光源から射出された前記広帯域光から前記第2の狭帯域光のみを透過する第2の色フィルタとを備え、
前記光源光量変更手段は、前記第1の色フィルタ及び前記第2の色フィルタの少なくとも一方を、半値幅の異なる色フィルタに切り替える手段である請求項1又は2に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−125289(P2012−125289A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276915(P2010−276915)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】