説明

内視鏡装置

【課題】白色光画像を常時表示し、同時に狭帯域光画像、高SNで明るい近赤外蛍光画像を取得可能な内視鏡装置の提供。
【解決手段】白色光と近赤外励起光の照明部1、反射光を二光路に分岐し、且つ、近赤外蛍光を第2光路のみに導く光路分岐部2、第1光路上に配置された白色光画像取得部3、第2光路上に配置された可変分光光学素子4、可変分光光学素子4を透過した狭帯域光又は近赤外蛍光の画像を取得する特殊光画像取得部5、狭帯域光観察モードと近赤外光観察モードとのいずれかに切替える観察モード切替部6、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、近赤外蛍光波長を透過させるように、可変分光光学素子4の分光特性を切替える制御部7を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織に近赤外励起光及び可視光を照射し、生体組織の白色光画像を表示装置に常時表示させると同時に、狭帯域光画像又は近赤外蛍光画像などの特殊光画像を表示装置に表示させる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡を用いた観察においては、がんなど微細病変の早期発見や術前の病変範囲の精密診断などのために、通常光観察とは異なる光の波長制御を行うことで、組織の特定の構造を強調して表示させて行う観察、いわゆる「特殊光観察」が広く行なわれている。
【0003】
特殊光観察としては、例えば、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい400nm程度の光の狭帯域光画像を取得することで、粘膜表層の毛細血管を強調表示させる、或いはヘモグロビンに吸収されやすい550nm程度の光の狭帯域光画像を取得することで、組織の中層領域の血管を強調表示させて行う、狭帯域光観察(NBI)や、インドシアニングリーン(ICG)等の蛍光物質を静脈注射し、800nm程度の近赤外励起光を照射した際に発生する850nm程度の近赤外蛍光画像を取得することで深部血管を観察する、近赤外蛍光観察といったような観察がある。
【0004】
また、医師等の観察者においては、生体における病変部の位置を正確に把握しやすくするために、通常光観察に用いられる生体組織の白色光画像を表示装置に常時表示させることが必要とされる。
【0005】
このため、内視鏡装置には、白色光画像を表示装置に常時表示し、必要に応じて、特殊光画像を白色光画像とともに別の画面に同時に表示させる、或いは白色光画像上に重畳表示させることが望まれている。
【0006】
ところで、従来、分光画像を取得する光学素子として、例えば、特許文献1、2に記載のエタロン型の分光光学素子が知られている。
エタロン型の分光光学素子は、光透過物質からなる対向する2枚の基板上に反射膜を備え、反射膜を設けた基板の間隔に応じて特定の波長の光を透過させることができる分光透過率可変素子である。
エタロン型の分光光学素子に設ける反射膜には、特許文献2では金属反射膜、あるいは特許文献1では誘電体多層膜が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−148528号公報
【特許文献2】特開平1−94312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、エタロン型の分光光学素子を用いて、上述したようなすべての特殊光画像を取得できるようにするには、可視光から近赤外蛍光に至るまでの広い波長帯域(400nm〜900nm)にわたって所定の波長幅で透過波長を変化させることのできる特性を持たせる必要がある。
【0009】
しかるに、特許文献1に示すような誘電体多層膜を用いて幅広い波長帯域にわたり所定の波長幅で透過波長を変化させることのできる特性を持つ反射膜を設計するには、蒸着物質の屈折率差を大きくとる必要があるが、現在の誘電体多層膜の製造に使用できる蒸着物質の屈折率差には限りがあるため、実現が困難である。
【0010】
また、幅広い波長帯域にわたり所定の波長幅で透過波長を変化させることのできる特性を持つ反射膜を設計するために、特許文献2に示すような、銀(Ag)やアルミ(Al)などの金属反射膜をエタロン型の分光光学素子に設ける反射膜として基板にコートした場合、コート物質自体が光を吸収することにより透過率が50%前後に低くなるため、特殊光観察における十分な明るさの画像を得ることができない。特に、近赤外領域の蛍光は、強度が低く、しかも、蛍光画像の取得に用いられる撮像素子の分光感度も低いため、十分な信号強度を得ることができず、例えば、他の波長帯域からの漏れ光などのノイズ成分の影響を大きくうけてSNが低下し易い。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、白色光画像を常時表示しながら、同時に可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、高SNで明るい近赤外蛍光画像を取得可能な内視鏡装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明による内視鏡装置は、被写体に白色光と近赤外励起光を照射する照明部と、前記被写体で反射した光を第1及び第2の光路に分岐し、且つ、前記被写体から発生した近赤外蛍光を前記第2の光路のみに導く光路分岐部と、前記第1の光路上に配置され、前記被写体で反射した白色光画像を取得する白色光画像取得部と、前記第2の光路上に配置され、対向する表面に誘電体多層膜が設けられた対向する2枚の光学基板を有してなり、前記対向する2枚の光学基板同士の距離または角度を変えることにより分光特性が可変となる、少なくとも1つの可変分光光学素子と、前記可変分光光学素子を透過した光を受光し、狭帯域光画像または近赤外蛍光画像を取得する特殊光画像取得部と、白色光画像と共に狭帯域光画像を観察する狭帯域光観察モードと白色光画像と共に近赤外光画像を観察する近赤外光観察モードとのいずれかに観察モードを切替える観察モード切替部と、観察モード切替部による観察モードの切替えに応じて、前記可変分光光学素子における前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度を制御する制御部を有し、前記可変分光素子は、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外蛍光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記近赤外光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失するように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域外の所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度に制御されるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、前記可変分光光学素子は、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも長波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0018】
また、本発明の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、前記可変分光光学素子は、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の第1の所定の狭帯域及び白色光の波長帯域よりも長波長側の第2の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0019】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離に制御されるのが好ましい。
【0020】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、直列に配置された第1の可変分光光学素子と第2の可変分光光学素子からなり、前記第1の可変分光光学素子と前記第2の可変分光光学素子は、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内において互いに同じ所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において互いの透過波長が重ならない異なる所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、前記制御部を介して夫々の前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるのが好ましい。
【0021】
また、本発明の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、前記可変分光光学素子は、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失し、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、前記可変分光光学素子は、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトし、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるのが好ましい。
【0023】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離に制御されるのが好ましい。
【0024】
また、本発明の内視鏡装置においては、前記観察モード切替部が、前記狭帯域光観察モードと前記近赤外光観察モードとを時分割で切替えるように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、白色光画像を常時表示しながら、同時に可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、高SNで明るい近赤外蛍光画像を取得可能な内視鏡装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内視鏡装置全体の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施例に共通の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。
【図4】実施例1の変形例1にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。
【図5】実施例1の変形例2にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例2の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例2の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタの光学特性と可変分光光学素子の光学特性とを合わせた光学特性を示すグラフである。
【図8】実施例2の変形例1にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタと可変分光光学素子の両方を透過する波長帯域を示すグラフである。
【図9】実施例2の変形例2にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタの光学特性と可変分光光学素子の光学特性とを合わせた光学特性を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例3の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図である。
【図11】実施例3の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの第2の可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(f)は近赤外光観察モードにおける第1の可変分光光学素子の分光特性と第2の可変分光光学素子の分光特性とを合わせた分光特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の内視鏡装置は、エタロン型の可変分光光学素子を介して特殊光画像の観察を行い、特殊光観察モードにおける白色光の波長帯域内の狭帯域光画像を観察する狭帯域光観察モードと近赤外蛍光画像を観察する近赤外光観察モードとの切替えに応じて、エタロン型の可変分光光学素子の分光特性が切替わるように構成されている。エタロン型の可変分光光学素子を構成する反射膜には、透過率の高い誘電体多層膜を用いている。また、エタロン型の可変分光光学素子において所定の波長幅で透過波長を変化させることのできる波長帯域から外れた近赤外光の波長帯域を、近赤外光観察モードにおける透過波長帯域として用いている。さらに、近赤外光観察モードでは、エタロン型の可変分光光学素子において透過ピークを白色光の波長帯域内に存在させないように、制御部を介してエタロン型の可変分光光学素子を構成する対向する基板同士の距離及び角度が制御されるように構成されている。
このため、本発明の内視鏡装置によれば、可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光画像観察においても高SNで十分な明るさの画像を得ることができる。
【0028】
図1は本発明の一実施形態にかかる内視鏡装置全体の構成を概略的に示すブロック図である。
図1の内視鏡装置は、照明部1と、光路分岐部2と、白色光画像取得部3と、少なくとも1つの可変分光光学素子4と、特殊光画像取得部5と、観察モード切替部6と、制御部7と、画像合成部8と、表示部9を有している。なお、図1中、10は被写体としての生体組織である。
【0029】
照明部1は、例えば、白色光源と近赤外励起光源(図示省略)、これらの光源からの光を合成するビームスプリッタなどの光路合成部(図示省略)、光路合成部で合成した光を生体組織10に導くライトガイド(図示省略)等を有し、白色光と近赤外励起光を生体組織10に照射することができるように構成されている。
光路分岐部2は、例えば、ビームスプリッタからなり、生体組織10で反射した光を所定の割合で第1及び第2の光路L1,L2に分岐するとともに、生体組織10から発生した近赤外蛍光を第2の光路のみに導くように構成されている。
白色光画像取得部3は、第1の光路L1上に配置され、例えば、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を有してなり、生体組織10で反射した白色光画像を取得するように構成されている。
可変分光光学素子4は、第2の光路L2上に配置され、対向する表面に反射膜として誘電体多層膜が設けられた対向する2枚の光学基板を有してなり、対向する2枚の光学基板同士の距離または角度を変えることにより分光特性が可変となる、エタロン型の可変分光光学素子として構成されている。
特殊光画像取得部5は、例えば、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を有してなり、可変分光光学素子4を透過した光を受光することで、狭帯域光画像または近赤外蛍光画像を取得するように構成されている。
観察モード切替部6は、白色光画像と共に狭帯域光画像を観察する狭帯域光観察モードと白色光画像と共に近赤外光画像を観察する近赤外光観察モードとのいずれかに観察モードを切替えるように構成されている。
制御部7は、可変分光光学素子4における対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度を制御するように構成されている。
【0030】
ここで、図1の内視鏡装置では、可変分光光学素子4は、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を含む所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有している。そして、可変分光光学素子4は、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるようになっている。
【0031】
なお、狭帯域光観察モード、近赤外光観察モードの選択は、図示省略した観察モード入力部により行うように構成されている。観察モード入力部(図示省略)は、観察モード切替部6に接続しており、選択した観察モード情報(狭帯域光観察モードまたは近赤外光観察モード)を観察モード切替部6に送信するようになっている。観察モード切替部6は、制御部7と接続しており、観察モード入力部を介して選択された観察モード情報(近赤外光観察モードまたは狭帯域光観察モード)に応じて可変分光光学素子4の分光特性が切替わるように、制御部7に所定の制御を行わせるようになっている。また、図1の内視鏡装置では、観察モード切替部6は、照明部1の近赤外励起光源と接続しており、観察モード入力部を介して選択された観察モード情報(近赤外光観察モードまたは狭帯域光観察モード)に応じて、照明部1の近赤外励起光源のON・OFF制御も行うようになっている。
画像合成部8は、白色光画像取得部3が取得した白色光画像と特殊光画像取得部5が取得した特殊光画像とを合成するように構成されている。なお、画像合成部8による画像合成の態様は、例えば、白色光画像と特殊光画像を並列配置した態様でもよいし、白色光画像に特殊光画像を重畳した態様でもよい。
表示部9は、画像合成部8が合成した白色光画像と特殊光画像との合成画像を表示するように構成されている。
なお、生体組織10は、近赤外波長帯域内における所定波長の蛍光を発する蛍光色素が標識されている。
【0032】
このように構成された図1の内視鏡装置を用いて狭帯域光観察モード(即ち、白色光画像と共に狭帯域光画像を観察するモード)で観察を行う場合、観察者は図示省略した観察モード入力部を介して狭帯域光観察モードを選択する。観察モード入力部を介して選択された狭帯域光観察モードのモード情報は、観察モード切替部6に送信される。観察モード切替部6は、照明部1の近赤外励起光源をOFFにするとともに、可変分光光学素子4の分光特性が、白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる特性となるように、制御部7に、可変分光光学素子4における対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度を制御させる。
【0033】
照明部1は、白色光源から出射した白色光を、光路合成部、ライトガイド等を経由させて生体組織10に照射する。生体組織10から反射した白色光は、光路分岐部2を介して所定の割合で第1及び第2の光路L1,L2に分岐される。光路L1を通る白色光は、白色光画像取得部3に入射する。白色光画像取得部3は、白色光画像を取得する。一方、光路L2を通る白色光は、可変分光素子4に入射する。このとき、可変分光光学素子4は、白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる分光特性を有しているので、入射した白色光のうち、所望の狭帯域に透過ピークを持つ所定幅の透過波長を透過させる。可変分光光学素子4を透過した狭帯域光は、特殊光画像取得部5に入射する。特殊光画像取得部5は、狭帯域光画像を取得する。白色光画像取得部3が取得した白色光画像と特殊光画像取得部5が取得した狭帯域光画像は、画像合成部8を介して合成され、合成された画像は、表示部9を介して表示される。
【0034】
また、近赤外光観察モード(即ち、白色光画像と共に近赤外蛍光画像を観察するモード)で観察を行う場合、観察者は図示省略した観察モード入力部を介して近赤外光観察モードを選択する。観察モード入力部を介して選択された近赤外光観察モードのモード情報は、観察モード切替部6に送信される。観察モード切替部6は、照明部1の近赤外励起光源をONにするとともに、可変分光光学素子4の分光特性が、白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる特性となるように、制御部7に、可変分光光学素子4における対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度を制御させる。
【0035】
照明部1は、白色光源から出射した白色光と近赤外励起光源から出射した近赤外励起光を、光路合成部で合成し、ライトガイド等を経由させて生体組織10に照射する。生体組織10から反射した光は、光路分岐部2を介して所定の割合で第1及び第2の光路L1,L2に分岐される。また、生体組織10から発生した近赤外蛍光は、光路分岐部2を介して第2の光路のみに導かれる。光路L1を通る生体組織10からの反射光は、白色光画像取得部3に入射する。白色光画像取得部3は、白色光画像を取得する。一方、光路L2を通る生体組織10からの反射光及び生体組織10から発生した近赤外蛍光は、可変分光素子4に入射する。このとき、可変分光光学素子4は、白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる分光特性を有しているので、入射した光のうち、白色光の波長帯域の光は透過させず、近赤外蛍光波長を透過させる。可変分光光学素子4を透過した近赤外蛍光は、特殊光画像取得部5に入射する。特殊光画像取得部5は、近赤外蛍光画像を取得する。白色光画像取得部3が取得した白色光画像と特殊光画像取得部5が取得した近赤外蛍光画像は、画像合成部8を介して合成され、合成された画像は、表示部9を介して表示される。
【0036】
図1の内視鏡装置によれば、可変分光光学素子4を、対向する2枚の光学基板の表面に設ける反射膜に誘電体多層膜を用い、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも生体組織10で反射した白色光の波長帯域を間に含む、近赤外蛍光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるように構成したので、白色光画像を常時表示しながら、同時に可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光観察時に白色光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
【0037】
なお、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失するように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにするのが好ましい。
あるいは、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域外の所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
【0038】
また、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4が、制御部7を介して、狭帯域光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、近赤外光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度に制御されるようにするのが好ましい。
狭帯域光観察モードにおいて、可変分光光学素子4を構成する対向する2枚の光学基板同士を平行に保持するようにすれば、白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを高精度に制御することができる。また、近赤外光観察モードにおいて、可変分光光学素子4を構成する対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度を持つようにすれば、白色光の波長帯域内における透過ピークをなくすことができ、その結果、白色光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を得ることができる。
【0039】
あるいは、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
このようにしても、白色光の波長帯域内における透過ピークをなくすことができ、その結果、白色光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を得ることができる。
【0040】
あるいは、図1の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターを、第2の光路上に設けるとともに、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも長波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
あるいは、図1の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターを、第2の光路上に設けるとともに、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の第1の所定の狭帯域及び白色光の波長帯域よりも長波長側の第2の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
これらのようにしても、近赤外光観察モードにおいて可変分光光学素子4が透過させうる近赤外励起波長を、近赤外励起波長をカットするフィルターで除去することができ、その結果、白色光及び近赤外励起光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を得ることができる。
【0041】
あるいは、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4が、制御部7を介して、狭帯域光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、近赤外光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士が紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離に制御されるようにしてもよい。
あるいは、図1の内視鏡装置においては、可変分光光学素子4を、直列に配置された第1の可変分光光学素子4aと第2の可変分光光学素子4aとで構成し、第1の可変分光光学素子4aと第2の可変分光光学素子4bが、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内において同じ所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域内において互いの透過波長が重ならない異なる所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、制御部7を介して夫々の対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
これらのようにしても、可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光観察時に白色光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
【0042】
あるいは、図1の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターを、第2の光路上に設けるとともに、可変分光光学素子4が、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失し、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
このようにすると、可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光観察時に白色光及び近赤外励起光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる上、所定の波長幅で透過波長を変化させる波長帯域を短くすることができる。
【0043】
あるいは、図1の内視鏡装置においては、近赤外励起波長をカットするフィルターを、第2の光路上に設けるとともに、可変分光光学素子4が、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトし、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
【0044】
このようにしても、可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光観察時に白色光及び近赤外励起光の波長帯域のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる上、所定の波長幅で透過波長を変化させる波長帯域を短くすることができる。
【0045】
なお、これらの場合においても、可変分光光学素子4が、制御部7を介して、狭帯域光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、近赤外光観察モードでは対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度に制御されるようにするのが好ましい。
あるいは、可変分光光学素子4が、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、制御部7を介して対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されるようにしてもよい。
【0046】
なお、図1の内視鏡装置においては、光路分岐部2は、第2の光路L2に導く白色光の光学濃度がOD=2となる光学特性を持つのが好ましい。
近赤外光観察モードにおいては、エタロン型の可変分光光学素子のみによる分光では、若干、可視光波長帯域で漏れ光が生じる。しかるに、光路分岐部2の光学特性を可視光波長帯域OD=2程度に抑えれば、近赤外光波長帯域では100%反射することと相俟って、近赤外蛍光のSNが向上する。なお、この場合、狭帯域光画像が暗くなるが、特殊光画像取得部5に備わる撮像素子に高感度のものを用いれば、狭帯域光画像の観察は可能である。
【0047】
その他、図1の内視鏡装置では、観察モード切替部6は、上述したように、照明部1の近赤外励起光源と接続しており、観察モード入力部を介して選択されたモード情報(近赤外光観察モードまたは狭帯域光観察モード)に応じて、照明部1の近赤外励起光源のON・OFF制御を行うように構成されているが、照明部1の近赤外励起光源のON・OFF制御を行わない構成とし、常時、照明部1が生体組織10に白色光と近赤外励起光を照射するようにしてもよい。
このようにすると、狭帯域光観察モードでは生体組織10を反射する狭帯域光画像だけでなく、生体組織10を反射する近赤外励起画像や生体組織10から発生する近赤外蛍光画像も特殊光画像取得部5が取得することになるが、近赤外光は、可視波長帯域内の狭帯域光に比べて光量が格段に弱い。このため、狭帯域光画像の観察に際し、近赤外波長帯域の光がノイズ成分となっても狭帯域光画像のSNに大きな悪影響を及ぼすことはない。
【0048】
次に、本発明の内視鏡装置の実施例を説明する。
図2は本発明の各実施例に共通の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図である。
【0049】
図2の内視鏡装置は、光源部11と、内視鏡先端挿入部12と、カメラアダプタ部13と、画像処理・制御部14と、モニタ15を有している。
【0050】
光源部11は、可視波長帯域の光を発する白色光源11aと近赤外励起波長帯域の光を発する近赤外励起光源11bを備えている。また、図2の内視鏡装置では、光源部11は、ビームスプリッタ11cを備えており、白色光源11aからの白色光と、近赤外励起光源11bからの近赤外励起光とを合成する。なお、図2中、11dはビームスプリッタ11cを経た光を後述するライトガイド12に導くレンズである。
【0051】
内視鏡先端挿入部12は、ライトガイド12aと、対物光学系12bを有している。
ライトガイド12aは、光源部11からの光を生体組織10に照射する。
そして、図2の内視鏡装置では、光源部11及びライトガイド12aが、図1の内視鏡装置における照明部1に相当する。
【0052】
生体組織10は、770nm〜850nm程度の近赤外波長帯域の蛍光を発する蛍光色素としてインドシアニングリーン(ICG)が静脈注射によって標識されている。
【0053】
カメラアダプタ部13は、結像光学系13aと、ビームスプリッタ13bと、白色光観察用CCD13cと、可変分光光学素子13dと、特殊光観察用CCD13eを備えている。
結像光学系13aは、対物光学系12bを経由した生体組織10からの光を白色光観察用CCD13c、特殊光観察用CCD13eの夫々の撮像面に結像する。
ビームスプリッタ13bは、図1の内視鏡装置における光路分岐部2に相当し、生体組織10で反射した光を所定の割合で第1及び第2の光路L1,L2に分けるとともに、生体組織10から発生した近赤外蛍光を第2の光路L2のみに導くように構成されている。図2の例では、ビームスプリッタ13bは、生体組織10で反射した光のうち90%の光を透過して第1の光路L1に導き、10%の光を反射して第2の光路L2に導く。また、ビームスプリッタ13bは、生体組織10から発生した近赤外蛍光を100%反射して第2の光路L2に導く。
白色光観察用CCD13cは、第1の光路L1上に配置され、生体組織10で反射した白色光の画像を撮像する。
【0054】
可変分光光学素子13dは、図1の内視鏡装置における可変分光光学素子4に相当し、第2の光路L2上に配置され、対向する表面に反射膜として誘電体多層膜13d11,13d21が設けられた対向する2枚の光学基板13d1,13d2を有してなり、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の距離または角度を、後述する制御部を介して変更することにより分光特性が可変となる、エタロン型の可変分光光学素子として構成されている。
なお、エタロン型の可変分光光学素子とは、光の干渉を利用する分光光学素子であり、対向するように配置された一対のミラー面の間隔を変化させることによって、透過又は反射し得る光の波長を変化させることができる分光光学素子である。
特殊光観察用CCD13eは、可変分光光学素子13dを透過した光を受光し、狭帯域光画像または近赤外蛍光画像を撮像する。
【0055】
画像処理・制御部14は、その内部に白色光画像生成部14aと、狭帯域光観察モード制御部14bと、近赤外光観察モード制御部14cと、特殊光画像生成部14dと、画像合成部14eと、観察モード切替部14fを備えるとともに、その外部に観察モード入力部14gを備えている。
白色光画像生成部14aは、白色光観察用CCD13cが撮像した信号に対して所定の画像変換処理を行い、白色光画像を生成する。
そして、図2の内視鏡装置では、白色光観察用CCD13c及び白色光画像生成部14aが、図1の内視鏡装置における白色光画像取得部3に相当する。
【0056】
狭帯域光観察モード制御部14bは、狭帯域光観察モード(即ち、白色光画像と共に狭帯域光画像を観察する観察モード)において駆動し、可変分光光学素子13dが、白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる分光特性を持つように、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の距離及び角度を制御する。
近赤外光観察モード制御部14cは、近赤外光観察モード(即ち、白色光画像と共に近赤外光画像を観察する観察モード)において駆動し、可変分光光学素子13dが、白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させる分光特性を持つように、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の距離及び角度を制御する。
そして、図2の内視鏡装置では、狭帯域光観察モード制御部14b及び近赤外光観察モード制御部14cが、図1の内視鏡装置における制御部7に相当する。
【0057】
観察モード切替部14fは、図1の内視鏡装置における観察モード切替部6に相当し、観察モード入力部14g、近赤外励起光源11b、狭帯域光観察モード制御部14b、近赤外光観察モード制御部14cと接続している。そして、観察モード切替部14fは、観察モード入力部14gを介して選択されたモード情報(近赤外光観察モードまたは狭帯域光観察モード)に応じて、光源部11の近赤外励起光源11bのON・OFF制御を行うとともに、近赤外光観察モード制御部14c及び狭帯域光観察モード制御部14bの駆動切替制御を行うようになっている。
詳しくは、観察モード切替部14fは、観察モード入力部14gを介して選択されたモード情報が近赤外光観察モードのときには、光源部11の近赤外励起光源11bをONにするとともに、近赤外光観察モード制御部14cをON、狭帯域光観察モード制御部14bをOFFにする。また、観察モード切替部14fは、観察モード入力部14gを介して選択されたモード情報が狭帯域光観察モードのときには、光源部11の近赤外励起光源11bをOFFにするとともに、近赤外光観察モード制御部14cをOFF、狭帯域光観察モード制御部14bをONにする。
【0058】
特殊光画像生成部14dは、特殊光観察用CCD13eが撮像した信号に対して所定の画像変換処理を行い、特殊光画像を生成する。
そして、図2の内視鏡装置では、特殊光観察用CCD13e及び特殊光画像生成部14dが、図1の内視鏡装置における特殊光画像取得部5に相当する。
画像合成部14eは、図1の内視鏡装置における画像合成部8に相当し、白色光画像生成部14aが生成した白色光画像と特殊光画像生成部14dが生成した特殊光画像とを合成するように構成されている。なお、画像合成部14eによる画像合成の態様は、例えば、白色光画像と特殊光画像を並列配置した態様でもよいし、白色光画像に特殊光画像を重畳した態様でもよい。
モニタ15は、図1の内視鏡装置における表示部9に相当し、画像合成部14eが合成した白色光画像と特殊光画像との合成画像を表示する。
【0059】
実施例1
図3は本発明の実施例1の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。なお、上述したように、図2に示した基本構成は、以下の各実施例において共通である。
【0060】
実施例1の内視鏡装置では、図3(a)に示すように、白色光源11aは、400nm〜700nmの可視波長帯域の光を発する。また、近赤外励起光源11bは、750nmの近赤外励起波長帯域の光を発する。
狭帯域光観察モード制御部14bは、狭帯域光観察モード(即ち、白色光画像と共に狭帯域光画像を観察する観察モード)において、可変分光光学素子13dが、図3(c)に示すように、生体組織10で反射した白色光の波長帯域(400nm〜700nm)内における所定の狭帯域に例えば20nmの半値幅で透過ピークを持つように、図3(b)に示すように、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながら所定の距離に制御する。
また、近赤外光観察モード制御部14cは、近赤外光観察モード(即ち、白色光画像と共に近赤外光画像を観察する観察モード)において、可変分光光学素子13dが、図3(e)に示すように、生体組織10で反射した白色光の波長帯域(400nm〜700nm)内における透過ピークを消失させるように、図3(d)に示すように、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士が平行でない所定の角度(図3(d)では約30秒程度)に制御する。
なお、可変分光光学素子13dは、狭帯域光観察モード、近赤外光観察モードのいずれにおいても、770nm以上の近赤外波長帯域の光を透過する光学特性を有している。
【0061】
実施例1の内視鏡装置によれば、可変分光光学素子13dが、生体組織10から発生した770nm以上の近赤外蛍光波長帯域の光を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外蛍光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、狭帯域光観察モード制御部14b、近赤外光観察モード制御部14cを介して対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の距離及び角度が制御されることにより、狭帯域光観察モードと近赤外光観察モードに応じて、分光特性を切り替えることができるように構成され、近赤外光観察モード制御部14cが、近赤外光観察モードで駆動し、生体組織10で反射した白色光の波長帯域内における透過ピークを消失させ、且つ、生体組織10から発生した近赤外蛍光波長を透過させるように、可変分光光学素子13dの分光特性を切替えるので、可視光の狭帯域光画像から近赤外蛍光画像の広い範囲にわたる特殊光画像を取得でき、且つ、近赤外蛍光観察時に白色光のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
【0062】
なお、実施例1の内視鏡装置における近赤外光観察モード制御部14cによる近赤外光観察モードでの可変分光光学素子13dに対して行う、白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させないようにするための制御は、図3の例に限定されるものではなく、例えば、次に説明する実施例1の変形例1、2のようにしてもよい。
【0063】
図4は実施例1の変形例1にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。
【0064】
実施例1の変形例1
実施例1の変形例1の内視鏡装置では、図4(d)に示すように、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士が紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離(例えば、10nm)に制御されるように構成されている。
紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークを消失させるには、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながら、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の面間隔を紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域の光のコヒーレンス長(可干渉距離)よりも大きく離せばよい。生体からの反射光および蛍光は、共に様々な位相の光からなり、位相が揃ってなくコヒーレンス長が短い。このため、2枚の光学基板13d1,13d2同士の面間隔を数μmから数10μm程度離すと、紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域の光が共振できなくなり、透過ピークが存在しなくなる。このため、近赤外光観察モードにおいて、白色光源11aに加えて近赤外励起光源11bがONされたときに、可変分光光学素子13dに入射した光のうち、近赤外蛍光のみを透過させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1の内視鏡装置と略同じである。
【0065】
実施例1の変形例2
図5は実施例1の変形例2にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は狭帯域光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフである。
【0066】
実施例1の変形例2の内視鏡装置では、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域(例えば、図5では380nm)に透過ピークがシフトするように、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながらその間隔を狭めるように制御される構成となっている。
【0067】
実施例1の変形例2の内視鏡装置によれば、近赤外光観察モード(近赤外光観察モード)において、可変分光光学素子13dは、白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域(例えば、図5では380nm)に透過ピークが存在するが、近赤外光観察モードにおいて白色光源11aに加えて近赤外励起光源11bがONされたときに、可変分光光学素子13dに入射する光は、生体組織10で反射した400nm〜700nmの白色光の波長帯域の光と、750nmの近赤外励起波長帯域の光と、生体組織10から発生する770nm以上の近赤外蛍光波長帯域の光であり、白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域(例えば、図5では380nm)の光は存在しない。
このため、実施例1の変形例2の内視鏡装置によっても、可変分光光学素子13dに入射した光のうち、近赤外蛍光のみを透過させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1の内視鏡装置と略同じである。
【0068】
なお、実施例1及びその変形例1,2の内視鏡装置においては、生体組織10で反射した近赤外励起光の波長帯域の光をカットする特性を持つ近赤外励起光カットフィルタ13fを第2の光路L2上に設けてもよい。
近赤外光観察モードにおいては、可変分光光学素子13dのみによる分光では、若干の漏れ光が生じうる。特に、実施例1の変形例1,2においては、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士の面間隔を離していく、あるいは近づけていく過程において、透過ピークが紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域で移動し、そのときに漏れた近赤外蛍光波長帯域以外の波長帯域の光が、ノイズ成分となって近赤外蛍光のSNに悪影響を与えるおそれがある。しかるに、第2の光路L2上に近赤外励起光カットフィルタ13fを設ければ、近赤外蛍光波長帯域の近傍のノイズ成分を除去できるので、近赤外蛍光のSNがさらに向上する。
【0069】
実施例2
図6は本発明の実施例2の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図、図7は実施例2の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタの光学特性と可変分光光学素子の光学特性とを合わせた光学特性を示すグラフである。
【0070】
実施例2の内視鏡装置は、図6に示すように、図7(b)に示す生体組織10で反射した近赤外励起光の波長帯域(例えば、図7(b)では700nm〜780nm)の光をカットする特性を持つ近赤外励起光カットフィルタ13fを第2の光路L2上に備えている。
また、近赤外光観察モード制御部14cは、近赤外光観察モード(即ち、白色光画像と共に近赤外光画像を観察する観察モード)において、可変分光光学素子13dが、図7(d)に示すように、透過ピークを生体組織10で反射した白色光の波長帯域よりも長波長側の近赤外励起光の波長帯域(例えば、図7(d)では740nm)にシフトさせるように、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながらその間隔を拡げて所定の距離に制御する。
このように、実施例2の内視鏡装置は、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードにおいて、可変分光光学素子13dの透過ピークが近赤外励起光カットフィルタ13fの遮蔽波長帯域にシフトするように構成されている。
【0071】
実施例2の内視鏡装置では、第2の光路L2上に、生体組織10で反射した近赤外励起光の波長をカットする近赤外励起光カットフィルタ13fを備え、近赤外光観察モード制御部14cが、近赤外光観察モードにおいて、可変分光光学素子13dを、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながら間隔を拡げて、透過ピークを生体組織10で反射した白色光の波長帯域よりも長波長側の近赤外励起光の波長帯域にシフトさせるようにしたので、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モードにおいて、近赤外蛍光の他に近赤外励起光を透過させることになる。しかし、第2の光路L2上に備えた、近赤外励起光カットフィルタ13fが近赤外励起光をカットする。その結果、可変分光光学素子13d、近赤外励起光カットフィルタ13fを経て特殊光画像取得部5の撮像面に入射する光は近赤外蛍光のみとなる。
このため、実施例2の内視鏡装置によれば、近赤外蛍光観察時に白色光及び近赤外励起光のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1の内視鏡装置と略同じである。
【0072】
なお、実施例2の内視鏡装置における近赤外光観察モード制御部14cによる近赤外光観察モードでの可変分光光学素子13dに対して行う、白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させないようにするための制御は、図7の例に限定されるものではなく、例えば、次に説明する実施例2の変形例1、2のようにしてもよい。
【0073】
実施例2の変形例1
図8は実施例2の変形例1にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタの光学特性と可変分光光学素子の光学特性とを合わせた光学特性を示すグラフである。
【0074】
実施例2の変形例1の内視鏡装置では、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の狭帯域(例えば、図8(d)では370nm)と、白色光の波長帯域よりも長波長側の近赤外励起光の波長帯域(例えば、図8(d)では740nm)とに、透過ピークがシフトするように、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながらその間隔を拡げるように制御される構成となっている。
【0075】
実施例2の変形例1の内視鏡装置では、第2の光路L2上に、生体組織10で反射した近赤外励起光の波長をカットする近赤外励起光カットフィルタ13fを備え、近赤外光観察モード制御部14cが、近赤外光観察モードにおいて、可変分光光学素子13dを、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながらその間隔を拡げて、透過ピークを生体組織10で反射した白色光の波長帯域よりも短波長側の狭帯域及び長波長側の近赤外励起光の波長帯域にシフトさせるようにしたので、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モードにおいて、白色光の波長帯域よりも短波長側の狭帯域に透過ピークが存在するとともに、近赤外蛍光の他に近赤外励起光を透過させることになる。しかし、近赤外光観察モードにおいて白色光源11aに加えて近赤外励起光源11bがONされたときに、可変分光光学素子13dに入射する光は、生体組織10で反射した400nm〜700nmの白色光の波長帯域の光と、750nmの近赤外励起波長帯域の光と、生体組織10から発生する770nm以上の近赤外蛍光波長帯域の光であり、白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域(例えば、図8では370nm)の光は存在しない。また、第2の光路L2上に備えた、近赤外励起光カットフィルタ13fが近赤外励起光をカットする。その結果、可変分光光学素子13d、近赤外励起光カットフィルタ13fを経て特殊光画像取得部5の撮像面に入射する光は近赤外蛍光のみとなる。
このため、実施例2の変形例1の内視鏡装置によれば、近赤外蛍光観察時に白色光及び近赤外励起光のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例2の内視鏡装置と略同じである。
【0076】
実施例2の変形例2
図9は実施例2の変形例2にかかる内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外励起光カットフィルタの分光透過率を示すグラフ、(c)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(d)は近赤外光観察モードでの可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(e)は近赤外光観察モードにおいて近赤外励起光カットフィルタの光学特性と可変分光光学素子の光学特性とを合わせた光学特性を示すグラフである。
【0077】
実施例2の変形例2の内視鏡装置では、可変分光光学素子13dは、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有する。また、近赤外光観察モード制御部14cを介して、狭帯域光観察モードでは対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながら所定の距離に制御されることにより、白色光の波長帯域内(400nm〜700nm)における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、近赤外光観察モードでは図9(d)に示すように、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士が平行でない所定の角度(図9(d)では約30秒程度)に制御されることにより、紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内(380nm〜700nm)において透過ピークが消失し、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わるように構成されている。
【0078】
実施例2の変形例2の内視鏡装置では、近赤外光観察モードにおいて、可変分光光学素子13dは、近赤外励起波長の他に近赤外蛍光波長を透過させることになる。しかし、第2の光路L2上に備えた、近赤外励起光カットフィルタ13fが近赤外励起光をカットする。その結果、可変分光光学素子13d、近赤外励起光カットフィルタ13fを経て特殊光画像取得部5の撮像面に入射する光は近赤外蛍光のみとなる。
このため、実施例2の変形例2の内視鏡装置によれば、近赤外蛍光観察時に白色光及び近赤外励起光のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
【0079】
また、実施例2の変形例2の内視鏡装置によれば、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有する範囲を、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側に狭めたので、その分、可変分光光学素子13dにおける対向する2枚の光学基板13d1,13d2の表面に設ける反射膜として蒸着する誘電体物質13d11,13d21の屈折率差を大きくとらずに済み、製造し易くなる。
【0080】
なお、図9の例では、可変分光光学素子13dは、近赤外光観察モードにおいて、近赤外光観察モード制御部14cを介して、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士が平行でない所定の角度(例えば、図9(d)では約30秒程度)に制御されることにより、紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内(380nm〜700nm)において透過ピークが消失するように構成されているが、紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内(380nm〜700nm)において透過ピークが存在しない状態にすることができればよい。例えば、図5(d)に示したように、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、対向する2枚の光学基板13d1,13d2同士を平行に保持しながらその間隔を狭めるように制御されるようにしてもよい。
その他の構成及び作用効果は、実施例2の内視鏡装置と略同じである。
【0081】
実施例3
図10は本発明の実施例3の内視鏡装置全体の構成を示すブロック図、図11は実施例3の内視鏡装置を用いた特殊光観察における光学特性の一例を示す説明図で、(a)は照明光のスペクトルを示すグラフ、(b)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(c)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(d)は近赤外光観察モードでの第2の可変分光光学素子を構成する2枚の光学基板同士の距離及び角度を示す図、(e)は近赤外光観察モードでの第1の可変分光光学素子の分光透過率を示すグラフ、(f)は近赤外光観察モードにおける第1の可変分光光学素子の分光特性と第2の可変分光光学素子の分光特性とを合わせた分光特性を示すグラフである。
【0082】
実施例3の内視鏡装置は、可変分光光学素子13dが、直列に配置された第1の可変分光光学素子13d’と第2の可変分光光学素子13d”とで構成されている。第1の可変分光光学素子13d’は、対向する表面に反射膜として誘電体多層膜13d11’,13d21’が設けられた対向する2枚の光学基板13d1’,13d2’を有してなり、対向する2枚の光学基板13d1’,13d2’同士の距離または角度を変えることにより分光特性が可変となる、エタロン型の可変分光光学素子として構成されている。第2の可変分光光学素子13d”は、対向する表面に反射膜として誘電体多層膜13d11”,13d21”が設けられた対向する2枚の光学基板13d1”,13d2”を有してなり、対向する2枚の光学基板13d1”,13d2”同士の距離または角度を変えることにより分光特性が可変となる、エタロン型の可変分光光学素子として構成されている。
【0083】
また、第1の可変分光光学素子13d’と第2の可変分光光学素子13d”は、狭帯域光観察モードでは狭帯域光観察モード制御部14bを介して、白色光の波長帯域内において互いに同じ所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、近赤外光観察モードでは近赤外光観察モード制御部14cを介して、図11(c)、図11(e)に示すように、白色光の波長帯域内において互いの透過波長が重ならない異なる所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、夫々の対向する2枚の光学基板同士(図11(b)に示す光学基板13d1’,13d2’同士、及び図9(d)に示す光学基板13d1”,13d2”同士)の距離及び角度が制御されるようになっている。
【0084】
より詳しくは、図11の例では、第1の可変分光光学素子13d’は、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは、図11(c)に示すように、白色光の波長帯域内における第1の狭帯域A1を透過するように、図11(b)に示すように、対向する2枚の光学基板13d1’,13d2’同士を平行に保持しながらその間隔が第1の距離D1離れるように制御される構成となっている。また、第2の可変分光光学素子13d”は、近赤外光観察モード制御部14cを介して、近赤外光観察モードでは、図11(e)に示すように、白色光の波長帯域内における第1の狭帯域A1とは重ならない第2の狭帯域A2(図11(e)の例では、図11(c)に示すピーク波長の波長帯域から、ピーク波長の半値幅の2倍以上である50nm離れた波長帯域としてある)を透過するように、図11(b)に示すように、対向する2枚の光学基板13d1’,13d2’同士を平行に保持しながらその間隔が第1の所定距離D1とは異なる第2の距離D2離れるように制御される構成となっている。
その他の構成は、図2に示したとおりである。
【0085】
実施例3の内視鏡装置では、近赤外光観察モードでは、可変分光光学素子13dに入射する光のうち、白色光の波長帯域の光が、直列に配置された第1の可変分光光学素子13d’と第2の可変分光光学素子13d”のいずれかでカットされる。その結果、第1の可変分光光学素子13d’と第2の可変分光光学素子13d”を経て特殊光画像取得部5の撮像面に入射する光は近赤外蛍光のみとなる。
このため、実施例3の内視鏡装置によれば、近赤外蛍光観察時に白色光のノイズ成分が除去された高SNで十分な明るさの近赤外蛍光画像を取得することができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1の内視鏡装置と略同じである。
【0086】
なお、上記各実施例の内視鏡装置の説明においては、生体組織10に近赤外蛍光観察用の蛍光成分として、インドシアニングリーン(ICG)を用いたが、ICGの代わりに、例えば、腫瘍部に蓄積する蛍光薬剤を用いて、腫瘍部を発光させて強調表示させる特殊光観察を行うようにしてもよい。
【0087】
また、上記各実施例の内視鏡装置では、特殊光観察において、観察モード入力部14gが狭帯域光観察モードと近赤外光観察モードのいずれかを入力できる構成としたが、さらに、白色光画像と共に狭帯域光画像観察と近赤外蛍光画像観察などの複数の特殊光画像を観察するモードを第3のモードとして選択できるようにするとともに、第3の観察モードにおいて、観察モード切替部14fが狭帯域光観察モードと近赤外光観察モードなどの複数の特殊光観察モードを時分割で切り替えて、複数の特殊光観察画像を時分割で取得できるようにし、白色光画像上に時分割で取得した複数の特殊光画像を重畳させるようにするとよい。
詳しくは、観察モード入力部14gを介して第3のモードが選択された場合、観察モード切替部14fが、光源部11の近赤外励起光源11bのON・OFF制御を例えば1ms未満の時間的な間隔でもって連続して行うとともに、近赤外光観察モード制御部14c、狭帯域光観察モード制御部14bの駆動切替制御を行う。
可変分光光学素子は、電気的な制御により狭帯域光観察モードや近赤外光観察モードを1ms未満の時間的な間隔で高速に切り替えることができる。このため、観察モード切替部14fが狭帯域光観察モードと近赤外光観察モードなどの複数の特殊光観察モードを時分割で切り替えるようにすれば、白色光画像と共に取得する特殊光画像として、高フレームレートな狭帯域光画像及び近赤外蛍光画像などの複数の特殊光画像を取得できる。
【0088】
その他、上記各実施例の内視鏡装置は、光路分岐部が、第2の光路L2に導く白色光の光学濃度がOD=2となる光学特性を持つようにしてもよい。
詳しくは、ビームスプリッタ13bは、例えば、可視光領域での反射率が10%、近赤外領域での反射率が100%の反射率特性を持つようにするとよい。
近赤外光観察モードにおいては、可変分光光学素子のみによる分光では、若干、可視光領域で漏れ光が生じる。しかるに、ビームスプリッタ13bの光学特性を可視光領域OD=2程度に抑え、近赤外領域では100%反射するようにすれば、近赤外蛍光のSNが向上する。なお、この場合、狭帯域光画像が暗くなるが、特殊光観察用CCD13eに高感度のものを用いれば、狭帯域光画像の観察は可能である。
【0089】
以上、本発明の内視鏡装置の実施形態及び実施例を説明したが、本発明の内視鏡装置は、これらに限定されるものではなく、各実施形態及び実施例における特徴的な構成を組み合わせたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の内視鏡装置は、生体組織に励起光及び可視光を照射し、前記生体組織の白色光画像を常時表示させ、且つ、狭帯域光画像や近赤外蛍光画像などの特殊光画像を同時に表示させる内視鏡装置に有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 照明部
2 光路分岐部
3 白色光画像取得部
4 可変分光光学素子
5 特殊光画像取得部
6 制御部
7 画像合成部
8 表示部
10 生体組織
11 光源部
11a 白色光源
11b 近赤外励起光源
11c ビームスプリッタ
11d レンズ
12 内視鏡先端挿入部
12a ライトガイド
12b 対物光学系
13 カメラアダプタ部
13a 結像光学系
13b ビームスプリッタ
13c 白色光観察用CCD
13d,13d’,13d” 可変分光光学素子
13d1,13d2,13d1’,13d2’,13d1”,13d2” 光学基板
13d11,13d21,13d11’,13d21’,13d11”,13d21”
誘電体多層膜
13e 特殊光観察用CCD
13f 近赤外励起光カットフィルタ
14 画像処理・制御部
14a 白色光画像生成部
14b 狭帯域光観察モード制御部
14c 近赤外光観察モード制御部
14d 特殊光画像生成部
14e 画像合成部
14f 観察モード切替部
14g 観察モード入力部
15 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に白色光と近赤外励起光を照射する照明部と、
前記被写体で反射した光を第1及び第2の光路に分岐し、且つ、前記被写体から発生した近赤外蛍光を前記第2の光路のみに導く光路分岐部と、
前記第1の光路上に配置され、前記被写体で反射した白色光画像を取得する白色光画像取得部と、
前記第2の光路上に配置され、対向する表面に誘電体多層膜が設けられた対向する2枚の光学基板を有してなり、前記対向する2枚の光学基板同士の距離または角度を変えることにより分光特性が可変となる、少なくとも1つの可変分光光学素子と、
前記可変分光光学素子を透過した光を受光し、狭帯域光画像または近赤外蛍光画像を取得する特殊光画像取得部と、
白色光画像と共に狭帯域光画像を観察する狭帯域光観察モードと白色光画像と共に近赤外光画像を観察する近赤外蛍光観察モードとのいずれかに観察モードを切替える観察モード切替部と、
観察モード切替部による観察モードの切替えに応じて、前記可変分光光学素子における前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度を制御する制御部を有し、
前記可変分光素子は、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外蛍光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域内において透過ピークを存在させず、且つ、少なくとも近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記可変分光光学素子は、前記近赤外蛍光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失するように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記可変分光光学素子は、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域外の所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外蛍光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度に制御されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記可変分光光学素子は、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、
前記可変分光光学素子は、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域よりも長波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、
前記可変分光光学素子は、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の第1の所定の狭帯域及び白色光の波長帯域よりも長波長側の第2の所定の狭帯域に透過ピークがシフトするように、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外蛍光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が紫外光の波長帯域と近赤外蛍光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離に制御されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記可変分光光学素子は、直列に配置された第1の可変分光光学素子と第2の可変分光光学素子からなり、
前記第1の可変分光光学素子と前記第2の可変分光光学素子は、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内において互いに同じ所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域内において互いの透過波長が重ならない異なる所定の狭帯域に透過ピークを存在させるように、前記制御部を介して夫々の前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、
前記可変分光光学素子は、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外蛍光観察モードでは紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失し、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
近赤外励起波長をカットするフィルターが、前記第2の光路上に設けられ、
前記可変分光光学素子は、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるとともに、少なくとも白色光の波長帯域を間に含む、近赤外励起光の波長帯域よりも短波長側の所定の波長帯域内において所定の波長幅で透過波長を変化させうる特性を有し、前記制御部を介して前記対向する2枚の光学基板同士の距離及び角度が制御されることにより、前記狭帯域光観察モードでは白色光の波長帯域内における所望の狭帯域に透過ピークを存在させ、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させ、前記近赤外蛍光観察モードでは白色光の波長帯域よりも短波長側の所定の狭帯域に透過ピークがシフトし、且つ、近赤外励起波長及び近赤外蛍光波長を透過させるように、分光特性が切替わることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外蛍光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が平行でない所定の角度に制御されることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡装置。
【請求項13】
前記可変分光光学素子は、前記制御部を介して、前記狭帯域光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士の角度が平行に保持された状態で所定の距離に制御され、前記近赤外蛍光観察モードでは前記対向する2枚の光学基板同士が紫外光の波長帯域と近赤外励起光の波長帯域との間の波長帯域内において透過ピークが消失する程度離れた所定の距離に制御されることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡装置。
【請求項14】
前記観察モード切替部が、前記狭帯域光観察モードと前記近赤外蛍光観察モードとを時分割で切替えるように構成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−157383(P2012−157383A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17085(P2011−17085)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】