説明

内視鏡

【課題】挿入部を体腔内に挿入した状態で、観察方向を大きく変更する場合においても、術者が無理な姿勢をとることなく、術者の疲労を軽減できる内視鏡を提供する。
【解決手段】体腔内に挿入される挿入部12と、把持部17を有する操作部13と、前記挿入部12と前記操作部13とを回動可能に連結する回動連結部24とからなり、前記回動連結部24は、前記挿入部12の長手軸と前記操作部13の長手軸とが略直角になる第1の形態と前記挿入部12の長手軸と前記操作部13の長手軸とが略一致する第2の形態とで移動自在であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入する挿入部の基端部に把持部を有する操作部を備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の内視鏡において、体腔内に挿入する挿入部の基端部に把持部を有する操作部が設けられている。そして、術者は、一方の手で把持部を把持し、他方の手で挿入部を持って患者の体腔内に挿入して体腔内を観察および処置している。したがって、操作部には術者が把持部を把持したまま、湾曲操作および送気送水・吸引および写真撮影を操作できるように、把持部には湾曲操作レバー、各種操作スイッチが設けられている。
【0003】
しかも、従来の医療用の内視鏡は、挿入部の基端部に操作部が設けられているが、挿入部の長手軸と操作部の長手軸が略同軸的に一体に設けられ、操作部と挿入部とが一体に動作するようになっている。
【0004】
したがって、図11に示すように、例えば、硬性内視鏡aの挿入部bを患者cの体腔内dに挿入して観察中に、観察方向を変更するために挿入部bの先端構成部eを左右方向(矢印f)の振るためには、術者は操作部gを把持した腕hを長く伸ばし、挿入部bの先端構成部eの位置を変更する必要がある。このため、術者は腕hを長く伸ばしたり縮めたり、術者は無理な姿勢を強いられることになり、内視鏡観察時間が長くなると、術者の疲労も重なり、患者においても負担になる。
【0005】
そこで、挿入部の基端部に設けられた操作部を、挿入部に接続される操作部本体を接続部と把持部とから構成し、接続部と把持部とをピンによって回動自在に連結して接続部と把持部とがなす角度を任意に調整できるようにした内視鏡が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭60−171405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、操作部本体の接続部と把持部とをピンによって回動自在に連結する構造として、接続部側と把持部側に互いに面接合する片状部を設け、この片状部相互をピンによって回動自在に連結している。したがって、接続部と把持部とが回動する際に、前記片状部が摺動しながら重なり合ったり露出するため、内視鏡の使用後における洗浄時に隅々まで洗浄できないという問題がある。
【0007】
さらに、挿入部に接続される操作部本体は、挿入部の長手軸と一致する接続部に対して把持部が下方に傾斜したピストルタイプであるため、挿入部の長手軸に対して把持部は下方に突出している。したがって、挿入部を患者の腹部から体腔内に挿入して観察中に、把持部が患者の腹部に当たってしまい、観察方向を変更するために把持部を移動させようとしてもスムースに動かすことができず、操作性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、内視鏡の挿入部を体腔内に挿入した状態で、観察方向を大きく変更する場合においても、術者が無理な姿勢をとることなく、術者の疲労を軽減できるとともに、構造的に簡単で内視鏡の使用後における洗浄性も優れた内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、体腔内に挿入される挿入部と、把持部を有する操作部と、前記挿入部と前記操作部とを回動可能に連結する回動連結部とからなり、前記回動連結部は、前記挿入部の長手軸と前記操作部の長手軸とが略直角になる第1の形態と前記挿入部の長手軸と前記操作部の長手軸とが略一致する第2の形態との間を回動自在であることを特徴とする内視鏡にある。
【0010】
請求項2は、請求項1の前記回動連結部には、前記挿入部と操作部の位置関係が前記第1の形態および第2の形態のとき、前記挿入部と操作部の両者を弾性的に係合保持するクリック手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項3は、請求項1の前記回動連結部は、前記挿入部の長手軸に対して傾斜する傾斜面と前記操作部の長手軸に対して傾斜する傾斜面とを対面させた状態で、前記挿入部と前記操作部が回動自在に連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4は、請求項3の前記挿入部の傾斜面および前記操作部の傾斜面は、略45°であることを特徴とする。
【0013】
請求項5は、請求項1の前記回動連結部は、前記挿入部と前記操作部との間に設けられた連結部本体と、前記連結部本体の一端部に設けられ、前記挿入部の長手軸を中心として回動可能な第1の回動部と、前記連結部本体の他端部に設けられ、前記操作部の長手軸を中心として回動可能な第2の回動部とを有し、前記第1の回動部と第2の回動部は互いに逆方向に回動自在であることを特徴とする。
【0014】
請求項6は、請求項5の前記第1の回動部は、前記操作部の長手軸に対して傾斜する傾斜面と前記連結部本体の長手軸に対して略45°傾斜する傾斜面とを対面させた状態で、前記第2の回動部は、前記挿入部の長手軸に対して略直角な面と前記連結部本体の長手軸に対して略直角な面とを対面させた状態であることを特徴とする。
【0015】
請求項7は、請求項5の前記連結部本体は、前記挿入部および操作部に内蔵された内蔵物を挿通する空間部を有し、前記挿入部および操作部は、前記連結部本体に対して回動する際に、前記内蔵物に対して空回りすることを特徴とする。
【0016】
請求項8は、請求項1の前記操作部の把持部には、操作部の長手軸を中心として回動自在は操作台を有し、この操作台に、湾曲操作部、湾曲保持解除部および各種操作スイッチを設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項9は、請求項1の前記操作部の把持部には、操作台を有し、この操作台には湾曲保持解除レバーを回動可能に設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項10は、請求項1の前記操作部の把持部には、操作台を有し、この操作台には湾曲保持解除レバーを回動可能に設け、この湾曲保持解除レバーに各種操作スイッチを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、挿入部の長手軸と操作部の長手軸とが略直角になる第1の形態と挿入部の長手軸と操作部の長手軸とが略一致する第2の形態との間を回動自在であるため、内視鏡の挿入部を体腔内に挿入した状態で、観察方向を大きく変更する場合においても、術者が無理な姿勢をとることなく、術者の疲労を軽減できる。しかも、構造的に簡単で内視鏡の使用後における洗浄性も優れているという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図4は硬性内視鏡の第1の実施形態を示し、図1は挿入部の長手軸と操作部の長手軸とが略直角な状態の側面図、図2は挿入部の長手軸と操作部の長手軸とが略一致した状態の側面図、図3は挿入部と操作部とを回動可能に連結する回動連結部の縦断側面図、図4は図3のA−A線に沿う断面図である。
【0022】
図1および図2に示すように、硬性内視鏡11は体腔内に挿入される挿入部12と、この挿入部12の基端部に設けられた操作部13とから構成されている。挿入部12はパイプ状の硬性部14を有しており、硬性部14の先端側には湾曲部15を介して先端構成部16が設けられている。先端構成部16には照明窓、観察窓および送気送水・吸引口(いずれも図示しない)が設けられている。
【0023】
操作部13には術者が把持する把持部17が設けられ、把持部17の先端部には操作台18が設けられている。この操作台18には湾曲部15を湾曲操作する湾曲操作レバー19、送気送水・吸引等の操作スイッチ20、操作部13に内蔵されたカメラ本体(図示しない)を操作するシャッタースイッチ21および湾曲保持解除リング22が設けられている。そして、術者は把持部17を把持した状態で、手指によって湾曲操作レバー19、操作スイッチ20およびシャッタースイッチ21を操作できるようになっている。
【0024】
操作部13にはユニバーサルコード23が接続されている。図3に示すように、ユニバーサルコード23には挿入部12の先端構成部16に通じるライトガイドファイバー23a、映像信号線23b等が内装されている。そして、ユニバーサルコード23は光電源装置、カメラコントロールユニット(いずれも図示しない)に接続されている。カメラコントロールユニットにはTVモニタが接続され、カメラ本体から送信された内視鏡像が映し出されるようになっている。さらに、操作部13には挿入部12の湾曲部15に接続されるアングルワイヤ23cが内装されている。
【0025】
前記挿入部12の基端部12aと前記操作部13の基端部13aとは回動連結部24を介して回動可能に連結され、この回動連結部24の内部をライトガイドファイバー23a、映像信号線23bおよびアングルワイヤ23cが挿通している。
【0026】
回動連結部24は、図3および図4に示すように構成されている。すなわち、挿入部12の基端部12aには挿入部12の長手軸の軸線Sに対して略45°の傾斜面25が設けられ、操作部13の基端部13aには操作部13の長手軸の軸線Sに対して略45°の傾斜面26が設けられている。挿入部12の傾斜面25には基端部12aの周方向に環状溝25aが設けられている。この環状溝25aにはOリング27が嵌合され、このOリング27は操作部13の傾斜面26に密着して挿入部12と操作部13とを水密にシールしている。
【0027】
さらに、挿入部12の傾斜面25には内側に突出するフランジ部28が設けられ、操作部13の傾斜面26にも内側に突出するフランジ部29が設けられている。フランジ部28,29の内側には円環状の結合リング30が設けられている。結合リング30には操作部13のフランジ部29に係合する係合鍔部30aが設けられている。結合リング30の外周面にはねじ部30bが設けられ、このねじ部30bには挿入部12のフランジ部28に係合する締付けリング31が螺合されている。したがって、結合リング30と締付けリング31によって傾斜面25,26は接合状態で回動自在に結合されている。
【0028】
さらに、操作部13のフランジ部29における内周面には略180°に亘ってガイド溝32が設けられ、このガイド溝32の両端部にはガイド溝32より深い凹部からなる係合凹部33が設けられている。結合リング30の周方向の一部には径方向に貫通孔34が穿設され、この貫通孔34には付勢ばね35によって径方向外方に押圧された係合子36が設けられている。この係合子36はガイド溝32に係合しており、係合子36はガイド溝32に係合した状態で、結合リング30が挿入部12と一体的に回動するようになっている。したがって、操作部13に対して挿入部12を右方向または左方向に180°回動したとき、係合子36が係合凹部33に落ち込み係合して弾性的に係合するクリック手段を構成している。
【0029】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
【0030】
図1に示す状態は、挿入部12の長手軸の軸線Sに対して操作部13の長手軸の軸線Sが直角(第1の形態)であり、挿入部12の長手軸が水平状態に位置し、操作部13の長手軸は鉛直方向で、把持部17は挿入部12の上部にある。このとき、回動連結部24においては、係合子36が係合凹部33に落ち込み、弾性的に係合しているため、挿入部12に対して操作部13が不用意に回動することはない。この状態で、操作部13の把持部17を左手で把持し、操作部13を左右方向に回動して挿入部12の軸線Sを中心として回動して先端構成部16の向き(視野方向)を変更することができる。同時に、術者は、例えば親指で湾曲操作レバー19を、人差し指で、送気送水・吸引等の操作スイッチ20およびシャッタースイッチ21を操作することができる。
【0031】
このとき、挿入部12の長手軸が水平状態であっても操作部13の長手軸は上部にあるため、操作部13が患者の腹部等と干渉することはなく、操作部13を左右方向に回動して視野を変更でき、操作性に優れている。
【0032】
また、操作部13に内蔵されたカメラ本体で撮像した内視鏡像はカメラコントロールユニットのTVモニタに映し出され、術者はTVモニタ上の内視鏡像を見ながら操作できる。
【0033】
図2に示す状態は、図1の状態から回動連結部24において、操作部13に対して挿入部12の長手軸の軸線Sを中心として180°回動し、挿入部12の長手軸の軸線Sに対して操作部13の長手軸の軸線Sを略一致した直線上(第2の形態)であり、挿入部12の長手軸と操作部13の長手軸が一直線上にある。
【0034】
すなわち、図1の状態から、操作部13の基端部13aを固定した状態で、挿入部12を軸線Sを軸心として回動させると、回動連結部24の挿入部12の傾斜面25と操作部13の傾斜面26とが摺動しながら回動する。このとき、係合子36と係合凹部33との係合がいったん解除され、係合子36がガイド溝32にガイドされながら180°回動し、他端側の係合凹部33に落ち込み係合して弾性的に係合する。したがって、挿入部12の長手軸の軸線Sに対して操作部13の長手軸の軸線Sを略一致した直線上で固定的に保持される。
【0035】
この状態においても、操作部13の把持部17を右手で把持し、操作部13を左右方向に回動して挿入部12の軸線Sを中心として回動して先端構成部16の向き(視野方向)を変更することができる。同時に、例えば、親指で湾曲操作レバー19を、人差し指で、送気送水・吸引等の操作スイッチ20およびシャッタースイッチ21を操作することができる。
【0036】
このように、挿入部12を体腔内に挿入した状態で、挿入部12を軸線Sを中心として回動して先端構成部16の向き(視野方向)を大きく変更する場合においても、術者が無理な姿勢をとることなく、術者の疲労を軽減できる。また、挿入部12の傾斜面25と傾斜面26との間にはOリング27が介在され、挿入部12に対して操作部13が同様な角度に回動してもOリング27によって水密にシールされている。しかも、挿入部12に対して操作部13がどのような角度であっても、傾斜面25と傾斜面26とは常に対向状態で、露出したり、隠れたりすることはなく、内視鏡の使用後における洗浄性も優れている。
【0037】
また、操作部13に対して挿入部12の長手軸の軸線Sを中心として180°回動すると、TVモニタに映し出される内視鏡像は、倒立状態となるが、回動連結部24において回動角を検知し、その検知信号によってTVモニタに映し出される内視鏡像を正立状態に補正することも可能である。
【0038】
図5および図6は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態は、挿入部12の基端部12aと操作部13の基端部13aとの間に連結部本体としての連結筒体41が設けられている。連結筒体41には第1の回動連結部42aと第2の回動連結部42bとが設けられ、互いに逆方向に回動可能になっている。
【0040】
連結筒体41は円筒状に形成され、この一端部に設けられた第1の回動連結部42aは基本的に第1の実施形態の回動連結部24と同一であり、挿入部12の長手軸の軸線Sに対して略45°の傾斜面25が設けられ、操作部13の基端部13aには操作部13の長手軸の軸線Sに対して略45°の傾斜面26が設けられており、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
連結筒体41の一端部に設けられた第2の回動連結部42bについて説明すると、連結筒体41の端部には挿入部12の長手軸の軸線Sに対して直角のフランジ部43が設けられている。フランジ部43における内周面には略180°に亘ってガイド溝44が設けられ、このガイド溝44の両端部にはガイド溝44より深い凹部からなる係合凹部45が設けられている。
【0042】
連結筒体41の一端部における内部にはフランジ部43に係合する係合鍔部46aを有する円環状の結合リング46が設けられている。結合リング46の外周面にはねじ部46bが設けられ、このねじ部46bには挿入部12の基端部12aに嵌合された締付けリング47が螺合されている。
【0043】
したがって、結合リング46と締付けリング47によって連結筒体41と結合リング46とは接合状態で回動自在に結合されている。さらに、結合リング46の周方向の一部には径方向に貫通孔48が穿設され、この貫通孔48には付勢ばね49によって径方向外方に押圧された係合子50が設けられている。この係合子50はガイド溝44に係合しており、係合子50はガイド溝44に係合した状態で、連結筒体41と結合リング46とが回動するようになっており、挿入部12に対して操作部13を右方向または左方向に180°回動したとき、係合子50が係合凹部45に落ち込み係合して弾性的に係合するクリック手段を構成している。
【0044】
なお、結合リング46の係合鍔部46aには環状溝51が設けられている。この環状溝51にはOリング52が嵌合され、このOリング52は連結筒体41のフランジ部43の内面に密着して挿入部12と連結筒体41とを水密にシールしている。
【0045】
また、図6(a)(b)に示すように、第1の回動連結部42aと第2の回動連結部42bに設けられたガイド溝32,44は鉛直線を境界として左右が逆方向に180°に亘って設けられており、第1の回動連結部42aは操作部13に対して連結筒体41が例えば右方向に回動可能であるが、第2の回動連結部42bは連結筒体41に対して挿入部12が例えば左方向に回動可能である。
【0046】
さらに、連結筒体41は、円筒状で、内部に空間部41aが設けられ、空間部41aをライトガイドファイバー23a、映像信号線23bおよびアングルワイヤ23c等の内蔵物が挿通している。したがって、連結筒体41の回転時に内容物に対して空回りするようになっており、内蔵物の捩れ、絡み付きを防止できる。
【0047】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
【0048】
挿入部12の長手軸の軸線Sに対して操作部13の長手軸の軸線Sが直角であり、挿入部12の長手軸が水平状態に位置し、操作部13の長手軸は鉛直方向で、挿入部12の上部にある。このとき、第1の回動連結部42aおよび第2の回動連結部42bにおいては、係合子36,50が係合凹部33,45に落ち込み、弾性的に係合しているため、挿入部12に対して操作部13が不用意に回動することはない。この状態で、操作部13の把持部17を左手で把持し、操作部13を左右方向に回動して挿入部12の軸線Sを中心として回動して先端構成部16の向き(視野方向)を変更することができる。
【0049】
また、連結筒体41を固定的に保持した状態で、挿入部12を軸線Sを中心として回動すると、係合子50と係合凹部45との係合がいったん解除され、係合子50がガイド溝44にガイドされながら180°回動し、他端側の係合凹部45に落ち込み係合して弾性的に係合する。したがって、挿入部12の長手軸の軸線Sに対して操作部13の長手軸の軸線Sを略一致させた直線上で固定的に保持される。
【0050】
次に、連結筒体41を固定的に保持した状態で、操作部13を軸線Sを中心として回動すると、係合子36と係合凹部33との係合がいったん解除され、係合子36がガイド溝32にガイドされながら180°回動し、他端側の係合凹部33に落ち込み係合して弾性的に係合する。したがって、TVモニタに映し出される内視鏡像が上下逆になることはなく、第1および第2の回動連結部24a,24bにおいて回動角を検知し、その検知信号によってTVモニタに映し出される内視鏡像を正立状態に補正する必要もない。
【0051】
図7は第3の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、操作部13には術者が把持する把持部17が設けられ、把持部17の先端部には第2の回動連結部55を介して操作台56が設けられている。操作台56は操作部13の長手軸の軸線Sを軸心として180°回動自在であり、この操作台56には湾曲部15を湾曲操作する湾曲操作レバー57、送気送水・吸引等の操作スイッチ58、操作部13に内蔵されたカメラ本体(図示しない)を操作するシャッタースイッチ59および湾曲保持解除リング60が設けられている。
【0052】
本実施形態によれば、把持部17に対して操作台56が操作部13の長手軸の軸線Sを軸心として180°回動自在であるため、術者が把持部17を把持した状態で、操作スイッチ58およびシャッタースイッチ59を任意の向きに移動でき、操作性を向上できる。
【0053】
図8は第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、操作部13には術者が把持する把持部17が設けられ、把持部17の先端部には操作台61が設けられている。操作台61の両側部には上下湾曲と左右湾曲用の一対の湾曲保持解除レバー62(一方のみ図示)がピン63を支点として回動自在に設けられている。一対の湾曲保持解除レバー62は、手指によって回動することにより、湾曲部15の上下・左右の湾曲状態を保持・解除できる。
【0054】
図9は第5の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、操作部13には術者が把持する把持部17が設けられ、把持部17の先端部には操作台61が設けられている。操作台61には湾曲保持解除レバー64がピン65を支点として回動自在に設けられている。湾曲保持解除レバー64を手指によって回動することにより、湾曲部15の湾曲状態を保持・解除できる。さらに、湾曲保持解除レバー64には送気送水・吸引等の操作スイッチ58が設けられている。
【0055】
図10は開示例を示し、第1、3の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。本開示例は、操作部13にはボールジョイント等の第1の自在継手66aを介して術者が把持する把持部17が設けられている。さらに、把持部17の先端部にはボールジョイント等の第2の自在継手66bを介して操作台56が設けられている。したがって、操作部13に対して把持部17は任意に方向に傾倒自在であり、把持部17に対して操作台56は任意に方向に傾倒自在である。この操作台56には湾曲部15を湾曲操作する湾曲操作レバー57、送気送水・吸引等の操作スイッチ58、操作部13に内蔵されたカメラ本体(図示しない)を操作するシャッタースイッチ59および湾曲保持解除リング60が設けられている。
【0056】
本開示例によれば、把持部17および操作台56が任意の方向に傾倒自在であるため、術者が把持部17および操作台56を任意の位置に傾倒した状態で、操作スイッチ58およびシャッタースイッチ59を操作できる。
【0057】
なお、前記各実施形態においては、内視鏡として硬性内視鏡について説明したが、各種軟性内視鏡にも適用できることは勿論である。また、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、内視鏡の側面図。
【図2】同実施形態を示し、内視鏡の側面図。
【図3】同実施形態を示し、挿入部と操作部の回動連結部の縦断側面図。
【図4】同実施形態を示し、図3のA−A線に沿う断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示し、内視鏡の縦断側面図。
【図6】同実施形態を示し、(a)は図5のB−B線に沿う断面図、(b)は図5のC−C線に沿う断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示し、内視鏡の側面図。
【図8】本発明の第4の実施形態を示し、内視鏡の側面図。
【図9】本発明の第5の実施形態を示し、内視鏡の側面図。
【図10】本発明の開示例を示し、内視鏡の側面図。
【図11】従来の内視鏡の使用説明図。
【符号の説明】
【0059】
12…挿入部、13…操作部、17…把持部、19…湾曲操作レバー、20…操作スイッチ、21…シャッタースイッチ、22…湾曲保持解除リング、24…回動連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部と、
把持部を有する操作部と、
前記挿入部と前記操作部とを回動可能に連結する回動連結部とからなり、
前記回動連結部は、前記挿入部の長手軸と前記操作部の長手軸とが略直角になる第1の形態と前記挿入部の長手軸と前記操作部の長手軸とが略一致する第2の形態との間を回動自在であることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記回動連結部には、前記挿入部と操作部の位置関係が前記第1の形態および第2の形態のとき、前記挿入部と操作部の両者を弾性的に係合保持するクリック手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記回動連結部は、前記挿入部の長手軸に対して傾斜する傾斜面と前記操作部の長手軸に対して傾斜する傾斜面とを対面させた状態で、前記挿入部と前記操作部が回動自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部の傾斜面および前記操作部の傾斜面は、略45°であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記回動連結部は、前記挿入部と前記操作部との間に設けられた連結部本体と、前記連結部本体の一端部に設けられ、前記挿入部の長手軸を中心として回動可能な第1の回動部と、前記連結部本体の他端部に設けられ、前記操作部の長手軸を中心として回動可能な第2の回動部とを有し、前記第1の回動部と第2の回動部は互いに逆方向に回動自在であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第1の回動部は、前記操作部の長手軸に対して傾斜する傾斜面と前記連結部本体の長手軸に対して略45°傾斜する傾斜面とを対面させた状態で、前記第2の回動部は、前記挿入部の長手軸に対して略直角な面と前記連結部本体の長手軸に対して略直角な面とを対面させた状態であることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記連結部本体は、前記挿入部および操作部に内蔵された内蔵物を挿通する空間部を有し、前記挿入部および操作部は、前記連結部本体に対して回動する際に、前記内蔵物に対して空回りすることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記操作部の把持部には、操作部の長手軸を中心として回動自在は操作台を有し、この操作台に、湾曲操作部、湾曲保持解除部および各種操作スイッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記操作部の把持部には、操作台を有し、この操作台には湾曲保持解除レバーを回動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記操作部の把持部には、操作台を有し、この操作台には湾曲保持解除レバーを回動可能に設け、この湾曲保持解除レバーに各種操作スイッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−268523(P2009−268523A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119265(P2008−119265)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】