再生装置および再生プログラム
【課題】コンテンツのエンディング音楽を継続して再生しながら、再生済みのコンテンツの映像を、抜粋して再生することにより、鑑賞済みコンテンツの感動の余韻を楽しむことのできる再生装置を提供する。
【解決手段】本発明の再生装置は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部43と、選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部44と、記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部45と、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と映像加工部45の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部46とを備える。
【解決手段】本発明の再生装置は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部43と、選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部44と、記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部45と、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と映像加工部45の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部46とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映画やドラマやアニメなどのコンテンツを再生する、再生装置および再生プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、テレビ放送などを受信してハードディスクなどの記録媒体に格納する際に自動的にチャプタを生成する再生装置が知られている(例えば特許文献1参照)。他の従来技術では、映像を縮小・編集(チャプタ分割等)するものが存在する(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これらの技術により、鑑賞したいシーンを効率的に探し出し、再生することができる。
【0003】
他方、映像をスライドショー等に加工する技術として、例えば、特許文献4のような技術が知られている。これらの技術により、映像を縮小、回転、重畳し、表示することができる。また、音声情報や映像情報から、ビデオ要約を作成することができる特許文献5のような技術が知られている。また、音声と音楽を判別する技術が知られている(例えば特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166422号公報
【特許文献2】特開2006−129523号公報
【特許文献3】特開平11−215466号公報
【特許文献4】特開2004−343472号公報
【特許文献5】特開2007−143114号公報
【特許文献6】特開2010−152015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映画やドラマやアニメなどのコンテンツの多くは、エンディングにそのコンテンツの内容を総括させるような魅力的なエンディング音楽が流れ、出演者や製作者などが映像上に文字で紹介される(以下、エンドロールと呼ぶ)。エンディング音楽を聴いていると、それまで鑑賞していた様々なシーンが思い起こされ、感動に浸ることがよくある。ここで、この音楽を聴きながら、もう一度、それまで鑑賞していた映像シーンを見たいと思うことがよくあったが、従来の再生装置ではそのようなことはできなかった。
【0006】
コンテンツの多くは、製作者が予め編集加工し、コンテンツ格納媒体に格納されたチャプタがあり、これを使って、シーンの検索を行うことができるが、チャプタ画面に移行する際に、再生されていたコンテンツの映像と音声は一旦途切れてしまう。そのため、映像と音声が途切れた瞬間に、それまで鑑賞していたコンテンツへの感動が冷めてしまうという課題があった。
【0007】
一方、コンテンツ格納媒体がブルーレイディスク(BD−ROM)の場合、製作者が予め編集加工し、コンテンツ格納媒体に格納してあるチャプタを、映像と音声の再生が途切れることなく、オンスクリーン表示することができる再生装置も存在する。しかし、その機能の目的が、シーンの検索を主眼としているため、複数のシーンの表示の大きさが変化しないこと、表示位置が移動しないこと、別のシーンを映像出力するために複数の操作を必要とすることなど、ユーザにとっては、回想シーンの演出を楽しむというよりは、検索する作業に意識が奪われ、同様に、鑑賞していたコンテンツへの感動が冷めてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、この従来の問題を解決するためになされたもので、コンテンツのエンディング音楽を継続して再生しながら、再生済みのコンテンツの映像を抜粋して、動きのある表示形態で再生することで、鑑賞時に得られた感動の余韻を断ち切ることなく映像を回想して楽しむことができる再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置に向けられている。本発明の再生装置は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部と、選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部と、記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部と、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部とを備えている。
【0010】
また、記憶部は再生装置の電源を切っても記憶した情報を保持し、次回電源投入時に記憶部に記憶した映像シーンの映像情報を使用することを特徴とする。
【0011】
また、記憶部はシーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、記憶部のシーン数がゼロであると映像切替部は映像加工部の出力を選択せず、コンテンツの排出または削除を検知すると、記憶部のシーン数をゼロに書き換えることを特徴とする。
【0012】
また、映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、前記記憶部は前記シーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、前記ユーザによる前記操作部の映像シーン選択操作を検知すると、選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴としている。
【0013】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、記憶部のシーン数がゼロか否かでソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としている。
【0014】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、映像切替部がコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいてソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としている。
【0015】
また、シーン選出部がコンテンツのエンドロールを検出すると、映像切替部は映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴としている。
【0016】
本発明の第2の局面は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置のコンピュータで実行される再生プログラムに向けられている。本発明の再生プログラムは、コンピュータに、コンテンツの再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出ステップと、シーン選出ステップで選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶ステップと、記憶ステップで記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工ステップと、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工ステップの出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンテンツの音声を途切れさせることなく、鑑賞したコンテンツの様々なシーンを振り返り、余韻を楽しむことができる効果を奏する。
【0018】
また、記憶部は、再生装置の電源を切っても情報を保持するため、次回電源投入時に記憶部に記憶したシーンを使用することができ、再びシーン情報が蓄積されるまでコンテンツ再生するような無駄な時間を省くことができるという効果を有する。
【0019】
また、記憶部はシーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、記憶部のシーン数がゼロであると映像切替部は映像加工部の出力を選択せず、コンテンツの排出または削除を検知すると、記憶部のシーン数をゼロに書き換えることを特徴としているので、コンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0020】
また、映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、記憶部はシーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、ユーザによる操作部の映像シーン選択操作を検知すると、選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴としているので、指定されたシーンの、AVコンテンツの映像、音声再生に復帰することができるという効果を有する。
【0021】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、記憶部のシーン数がゼロか否かでソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としているので、回想シーンを鑑賞することができるか否かがわかり、操作性を高めることができるという効果を有する。
【0022】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、映像切替部がコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいてソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としているので、回想シーンを再生中か、AVコンテンツを再生中かがわかり、操作性を高めることができるという効果を有する。
【0023】
また、シーン選出部がコンテンツのエンドロールを検出すると、映像切替部は映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴としているので、操作の手間を省かせることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における再生装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態における再生装置の外観図
【図3】本発明の実施の形態におけるシーン情報のデータ構成図
【図4】本発明の実施の形態における記憶部44のデータ構成図
【図5】本発明の実施の形態における記憶部44のシーン情報群44Sの構成図
【図6】本発明の実施の形態における電源ON指示時の動作フロー図
【図7】本発明の実施の形態における回想ボタン押下時の動作フロー図
【図8】本発明の実施の形態における排出指示時の動作フロー図
【図9】本発明の実施の形態における電源OFF指示時の動作フロー図
【図10】本発明の実施の形態における映像切替部46がデコード部42側(46D)の場合の映像出力部1の出力映像のイメージ図
【図11】本発明の実施の形態における図6のステップS601からステップS606の処理のタイミングチャート
【図12】本発明の実施の形態における映像切替部46がデコード部42側(46D)で、かつ、シーン数44Cがゼロの場合の映像出力部1の出力映像のイメージ図
【図13】本発明の実施の形態における映像切替部46が映像加工部45側(46C)の場合の、映像出力部1の出力映像の動画の画面イメージ図
【図14】本発明の実施の形態における図7のステップS702、ステップS704、ステップS705の処理のタイミングチャート
【図15】本発明の実施の形態におけるシーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージ図
【図16】本発明の実施の形態におけるシーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージ図
【図17】本発明の実施の形態におけるシーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージ図
【図18】本発明の実施の形態における映像切替部46が映像加工部45側(46C)の場合の、映像出力部1の出力映像の画面イメージ図
【図19】本発明の実施の形態における回想シーン選択中の、映像出力部1の出力映像の画面イメージ図
【図20】本発明の実施の形態における映像出力部1が複数ある場合の外観図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態における、再生装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態における再生装置100の機能ブロック図で、図2は、本発明の実施の形態における再生装置100の外観図である。図1、図2において、再生装置100は、映像出力部1、音声出力部2、操作部3、内機部4から構成されている。映像出力部1は、本再生装置100のユーザに映像を見せるための手段で、映像を表示するための装置として、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等で構成される。特に図示しないが、映像出力部1は映像調整などの信号処理手段を含んでいても構わない。
【0027】
音声出力部2は、本再生装置のユーザに、音を聞かせるための手段で、例えば、スピーカーや、イヤホン等を指す。特に図示しないが、音声出力部2は音量調整や、イコライジング、音場制御などの信号処理手段を含んでいても構わない。
【0028】
操作部3は、本再生装置100のユーザに、本再生装置を操作させるための手段で、例えば、エスカッションスイッチや、リモコン、映像出力部1に重ねて取り付けられたタッチパネル等を指す。特に図示しないが、内機部4との通信手段を含んでいるものとする。
【0029】
内機部4は、筺体に覆われた内部に、AVコンテンツが記録されたブルーレイディスク、DVD、SDカードなど(以下、AVコンテンツ格納媒体と呼ぶ)を挿入することができる、BDデッキ、SDカードリーダーライターなどを有し、CPU、RAM、フラッシュROM、専用回路、ハードディスク等を有する回路基板で構成される。内機部4は、映像出力部1、音声出力部2、操作部3と、無線、有線を問わない、必要な信号線で接続される。
【0030】
内機部4と映像出力部1との間には、開閉可能な可動機構があり、ユーザは、開閉部を開くことで、AVコンテンツ格納媒体を挿入することができる。内機部4には、少なくとも電源、および、GND(グランド)が供給される。
【0031】
次に、内機部4の機能ブロックの構成を説明する。図1に示すように、内機部4は、制御部41、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46の機能ブロックを有する。
【0032】
記憶部44は、フラッシュROM、ハードディスクなどで構成され、本再生装置へ電源がONからOFFとされた場合にも、記憶した情報は保持される。制御部41、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46は、専用回路を用いてハードウェア的に構成してもよいし、CPU内のプログラムとしてソフトウェア的に構成してもよい。図1の点線矢印は制御情報の接続を示している。
【0033】
制御部41は、操作部3、および、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46と、制御情報の接続を有する。制御部41は、操作部3からの通知をユーザ操作の制御情報として受け取り、内機部4の各機能ブロックを制御する。デコード部42は、本再生装置に挿入された、AVコンテンツ格納媒体から、AVコンテンツをデコードし、デコードした音声情報、映像情報、および、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報を出力する機能を有する。
【0034】
デコード部42の出力である音声情報は、シーン選出部43、および、音声出力部2に入力される。デコード部42の出力である映像情報は、シーン選出部43、映像加工部45、および、映像切替部46に入力される。
【0035】
デコード部42の出力である位置情報は、シーン選出部43に入力される。また、デコード部42は、AVコンテンツ格納媒体が本再生装置に挿入されている状態と、挿入されていない状態を監視する機能を有しており、制御部41からの問い合わせに応じて、制御部41にAVコンテンツ格納媒体の有無を通知する。
【0036】
また、デコード部42は、電源ON中は、最後に再生した映像のAVコンテンツ格納媒体上の格納位置をラスト位置として保持しており、デコード開始指示を制御部41より指示されたときは、この位置からAVコンテンツのデコードを開始する。AVコンテンツ挿入時には、このラスト位置は、AVコンテンツ格納媒体上の先頭位置となるため、AVコンテンツの先頭からデコードが開始される。
【0037】
シーン選出部43は、デコード部42の出力である、音声情報、映像情報、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報を入力とし、入力された音声情報、映像情報を、時間軸上で解析し、所定の条件に従って映像シーンを選出し、選出したシーンのシーン情報を記憶部44に出力する機能を有する。所定の条件とは、例えば、経過時間や、前フレームとの平均輝度の差が大きいことや、音声情報の振幅の変化などである。
【0038】
図3にシーン選出部43の出力するシーン情報のデータ構成を示す。図3に示すように、シーン情報は、該当するシーンの映像情報SVと、該当するシーンが格納されたAVコンテンツ上の格納位置を示す、位置情報SPからなる。記憶部44は、シーン選出部43の出力であるシーン情報を入力とし、シーン選出部43からシーン情報が入力されるたびに、シーン情報を追加して記憶する機能、および、シーン数を記憶する機能を有する。
【0039】
図4に記憶部44のデータ構成を示す。図4に示すように、記憶部44のデータは、選出されたシーン数が格納されるシーン数44Cと、シーン情報群44Sから成る。
【0040】
図5に、記憶部44における、シーン情報群44Sのデータ構成を示す。図5に示すように、シーン情報群44Sは、シーン数44C分のシーン情報からなり、シーン数44Cがn個の場合、シーン情報群44Sはシーン情報1(44S1)、シーン情報2(44S2)、・
・・、シーン情報n(44Sn)で構成される。
【0041】
以降、本書の説明では、シーン情報1の映像情報は44SV1、位置情報は44SP1、シーン情報2の映像情報は44SV2、位置情報は44SP2のように記載するものとする。
【0042】
図1における映像加工部45は、デコード部42の出力である動画としての映像情報と、記憶部44の静止画としての映像情報を入力として加工を施し、動画としての映像情報を映像切替部46に出力する機能を有する。映像加工部45は、少なくとも記憶部44のシーン情報群44Sの映像情報SVを順次加工出力の対象とすることを特徴とする。
【0043】
施す加工は、記憶部44のシーン情報群44Sの静止画としての映像情報SVの、1つまたは複数を、縮小させたり、回転させたりして、デコード部42の出力である動画としての映像情報に重畳させたり、ディゾルブ、ワイプなどで合成させたり、シーン情報群44Sの映像情報SVを拡大した中から一部の表示位置を抜き取り、時間軸に沿って、大きさや表示位置を少しずつ移動させる、いわゆるスライドショーのような動画として出力したりするものである。
【0044】
図1における映像切替部46は、デコード部42の出力映像情報と、映像加工部45の出力映像情報とを入力とし、制御部41の指示に従って、二つの入力からどちらか一つを選択し、映像情報を映像出力部1に出力する手段である。映像切替部46の入力端子46Dには、デコード部42の出力映像情報が、もう一つの入力端子46Cには、映像加工部45の出力映像情報が接続される。映像切替部46の出力映像情報は、映像出力部1に接続される。
【0045】
内機部4は以上のような機能ブロックにて構成される。
操作部3は、AVコンテンツの、再生、停止、ポーズ、早送り、巻き戻し、スキップ送り、スキップ戻し、音量調整、映像調整、などの操作手段と共に、少なくとも、電源ON、電源OFF、AVコンテンツの排出を指示する操作手段、および、映像切替部46の選択状態を切り替える回想ボタン31を有する。
【0046】
以上のように構成された本再生装置について、図6から図9を用いて、処理動作を説明する。
図6は、電源ON指示時の動作フロー、図7は、回想ボタン押下時の動作フロー、図8は、排出指示時の動作フロー、図9は、電源OFF指示時の動作フローを示す。本再生装置の立ち上がりは、電源ON指示時の動作フローである図6に示すフローで動作する。回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時には割り込みが入り、優先順位に応じて、処理が移行する。具体的には以下のように動作する。
【0047】
図6に示す電源ON指示時の動作フロー実行中に、回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時は、割り込みが入り、それまでの図6に示す電源ON指示時の処理を中断し、割り込み後の処理に移行する。また、図7に示す回想ボタン押下時の処理実行中に、回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時は、それまでの図7における処理を中断し、割り込み後の処理に動作が移行する。あえて記すが、図7に示す回想ボタン押下時の処理実行中に、回想ボタン押下時の割り込みも有効となる。この場合は、割り込み前の図7における処理を中断し、再び、図7におけるステップS701に処理が移行する。
【0048】
図8に示す排出指示時の処理実行中、および、図9に示す電源OFF指示時の処理実行中には、割り込みは受け付けず、動作フローが最後まで継続される。なお、図6から図9において、丸型の中に数字が記載されている図形を以降の説明で、フロー端子と呼ぶことにする。フロー端子は、処理の移行の目印のために存在し、処理は何も行なわず、次のステップに移行する。
【0049】
次に、図6を用いて、本装置の電源がONされた場合の動作フローを説明する。本再生装置の電源がONされると、図6におけるステップS601より動作が始まる。ステップS601はフロー端子で何も動作せずステップS602に進む。ステップS602で、制御部41は、デコード部42に問い合わせ、AVコンテンツの有無を確認する。AVコンテンツが有であれば、ステップS603へ進み、無であれば、ステップS602へ進む。すなわち、コンテンツが有になるか、回想ボタンが押下され、割り込みによりステップS701へ移行するか、排出指示されるか、電源OFFがユーザにより操作されるまで、ステップS602を繰り返す。
【0050】
ステップS603で、制御部41は、映像切替部46をデコード部側(46D)に切り替え、ステップS604に進む。ステップS604で、制御部41は、デコード部42にデコード開始を、また、シーン選出部43にシーン選出開始を指示する。デコード部42は、制御部41からのデコード開始指示によりデコードを開始し、映像情報、音声情報、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報の出力をする。以降、デコード部42は、制御部41からデコード停止指示があるまでデコードを継続する。
【0051】
デコードされた音声情報は、図1における音声出力部2に出力され、音声出力部2よりAVコンテンツの音声情報が音声出力される。デコードされた映像情報は、図1における映像切替部46を通り、映像出力部1に出力され、映像出力部1よりAVコンテンツの映像情報が映像出力される。これにより、映像出力部1には、例えば、図10に示すような画面が動画で表示される。
【0052】
また、シーン選出部43は、制御部41からのシーン選出開始指示によりシーン選出を開始し、シーン選出、すわなち、予め定められたシーン選出条件に合致するかの判定を開始する。これらの動作が図6におけるステップS604で行われた後、動作フローは、ステップS605に進む。
【0053】
ステップS605は、シーン選出部43によるシーン選出条件が合致したかの判定の分岐を示す。合致していれば、ステップ606に進み、合致していなければ、再びステップS605で次のフレームがシーン選出条件に合致するかの判定を行う。図1におけるシーン選出部43のシーン選出処理は、制御部41からのシーン選出停止指示があるまで継続して行われる。
【0054】
ステップS606で、制御部41は、記憶部44のシーン情報群44Sに、シーン選出部43から出力されたシーン情報を追加し、シーン数44Cを1つ増加する。増加前のシーン数が0であれば、シーン情報1(44S1)に、増加前のシーン数が1であれば、シーン情報2(44S2)に、シーン選出部43から出力されたシーン情報を書き込む。続いて、ステップS605に進み、シーン選出部43は、再び次のフレームがシーン選出条件に合致するかの判定を行う。
【0055】
図11に、図6におけるステップS601からステップS606の処理のタイミングチャートを示す。図11の横軸は時間軸である。図11に示すように、AVコンテンツ有の検出をトリガーに、デコード部42はデコードを開始し、シーン選出部43はシーン選出を開始する。シーン選出部43によるシーン選出の度に、記憶部44のシーン数44Cは増加され、シーン情報44Sも蓄積されていく。シーン選出とは無関係に、映像出力部1、音声出力部2では、AVコンテンツの映像出力、音声出力が行われる。
【0056】
以上のように、本再生装置は、電源ON指示時、AVコンテンツが有の場合、AVコンテンツの音声と映像が音声出力部2、映像出力部1から出力されると共に、予め定められた条件に合致したシーン情報が、記憶部44に蓄積されるという特徴を持つ。
【0057】
次に、図7を用いて、図1における操作部3の回想ボタン31が押下された場合の割り込み発生時の動作フローを説明する。電源ON指示時の動作、すなわち、図6に示す処理実行中に、回想ボタン31が押下されると、それまでの図6における処理は中断され、図7におけるステップS701に処理が移行する。ステップS701で、制御部41は、映像切替部46がデコード部42側(46D)であるかが判定する。デコード部42側(46D)であれば、ステップ702に進み、デコード部42側(46D)ではなく映像加工部45側(46C)であれば、図7の処理は終了し、図6におけるステップ601に進む。
【0058】
図1における映像切替部46が映像加工部45側(46C)であるのは、映像出力部1が、映像加工部45の出力である回想シーンを再生中であることを意味する。よって、回想シーン再生中に、回想ボタン31が押下されると、図6で説明したように、映像切替部46がデコード部42側(46D)に切り替わり、デコードがラスト位置より再開される。
すなわち、最後に再生された位置から、AVコンテンツの音声と映像が音声出力部2、映像出力部1から出力される。また、デコードがラスト位置より再開されるので、シーン選出処理も、ラスト位置から再開され、引き続き予め定められた条件に合致したシーン情報が、記憶部44に蓄積される。
【0059】
説明を図7の動作フローに戻す。図7におけるステップS702で、制御部41は、記憶部44のシーン数がゼロであるか判定する。ゼロであれば、ステップS703に進み、ゼロでなければ、ステップS704に進む。ステップS703で、制御部41は、例えば「回想シーンがありません」などの操作案内を、例えば1秒程度などの一定時間だけ、映像切替部46の出力映像情報に重畳して出力する。これにより、映像出力部1には、例えば、図12に示すような画面が表示される。続いて図7の処理は終了し、図6におけるステップ601に進む。
【0060】
このように、制御部41は、回想ボタン31が押下されると、映像切替部46の状態により処理を変え、特に、映像切替部46がデコード部42側(46D)にある場合は、記憶部44のシーン数44Cがゼロであるかを検査し、ゼロであれば、映像切替部46を映像加工部45側(46C)に切り替えないので、回想再生は行われないという特徴を持つ。
【0061】
次に、図7における、ステップS704からステップS705で、映像出力部1の映像がAVコンテンツの再生から、記憶部44に記憶したシーン情報群44Sを使って加工した映像である、回想シーンの再生に変化する部分の説明を行う。図7におけるステップS704で、制御部41は、映像加工部45に映像加工開始を指示する。図1における映像加工部45は、デコード部42の出力である、動画としての映像情報と、記憶部44の静止画としての映像情報を入力として加工を施し、動画としての映像情報を、映像切替部46に出力する。
【0062】
続いて図7におけるステップS705で、制御部41は、映像切替部46を映像加工部45側(46C)に切り替える。これにより、映像出力部1には、例えば、図13のような画面が表示される。図13は、動画としての映像情報をわかりやすく説明するため、映像出力部1の映像出力が変化する様子を、一定フレーム毎のコマ送りの静止画の画面イメージとして、(1)から(20)まで順番に示したものである。
【0063】
図13は、(6)のタイミングで、回想ボタンが押下された場合の映像出力部1の画面イメージを示している。図13の画面イメージは、AVコンテンツの終盤部分でよく見かけるエンドロールで、AVコンテンツに関わった出演者や製作にかかわった人々や会社などの名前が文字表示されたものが、画面の下から上に流れていく様子を示している。
【0064】
図14に、図7におけるステップS702、ステップS704、ステップS705の処理のタイミングチャートを示す。図14における、操作部3の操作として回想ボタン31が押下されるまでの処理は、既に図11にて説明した通りで、記憶部44にシーン情報1、シーン情報2、シーン情報3、を記憶していたものとする。また、シーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージは図15、シーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージは図16、シーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージは図17に示すものであったとする。
【0065】
図14に示すように、回想ボタン31押下により、映像加工部45は、映像出力を開始し、映像切替部46は、デコード部42側(46D)から、映像加工部45側(46C)に切り替わる。これにより、図14における、映像出力部1の映像出力は、AVコンテンツの映像出力1401、(図13では(1)から(5)が該当)から、映像加工部45の出力映像1402(図13の(6)から(20)が該当)に変化する。
【0066】
図13は、映像加工部45の加工方法が、デコード部42の映像出力に、記憶部44の映像情報をスライドショーで重ね合わせた例である。シーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージである図15が、図13の(6)から(10)にかけて、画面の左上からスタートして画面の右下に移動していく中で、縮小表示されたものがだんだん拡大表示され、図13(8)で画面いっぱいになり、再び、縮小表示され画面からなくなっていく様子を示している。図13の(11)から(15)は、シーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージである図16が同様に、画面の右下から左上に、図13の(16)から(20)は、シーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージである図17が同様に、画面の右上から左下に移動していく様子を示している。
【0067】
図14に示すように、本再生装置は、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合でも、デコード部42はデコード中であるため、図13のようにデコード部42の映像出力と記憶部44の映像情報を重畳したような映像加工を出力することができるとともに、図14に示すように、回想ボタン31押下によって、映像出力部1が映像加工部45の映像出力に切り替わっても、音声出力部2は引き続き、デコード部42の音声出力を継続するので、音声が途切れない状態で、回想シーンである映像加工部45の映像出力を行うことができる。
【0068】
なお、映像加工部45の加工方法は、既に説明したように、図13に示した例に限らずさまざまな加工が可能である。このようにして、回想ボタン31をユーザが押下すると、それまでシーン選出部43によりシーン選出され、記憶部44に蓄積されていたシーン情報群44Sの映像情報SVが、回想シーンとして、映像加工部45により自動的に順次加工される。映像切替部46のデコード部42側から映像加工部45側へ切り替わることにより、映像出力部1の出力映像が、AVコンテンツの映像から、映像加工部45の、自動時に順次加工出力される回想シーン映像に切り替わる。それにより、シーン検索作業のような、感動や余韻の断ち切りがなく、かつ、音声出力部2の出力は、AVコンテンツの音声が継続されるので、音声が無音になることもなく、感動や余韻の断ち切りのない、回想シーン鑑賞をすることができるという効果を有する。
【0069】
次に、再び、説明を図7の動作フローに戻し、回想再生中に、特定のシーンのAVコンテンツの再生に復帰するための動作を説明する。回想シーン鑑賞を開始した、図7におけるステップS705の動作は、続いて、ステップS706に進む。ステップS706では、図13のような映像加工部45の映像が出力されている状態で、回想シーン選択指示の検出判定を行う。検出されれば、ステップS707に進み、検出されなければ、ステップS706に進み、再び、回想ボタンが押下され、割り込みによりステップ701へ移行するか、排出指示されるか、電源OFFがユーザにより操作されるまで、ステップ706を繰り返す。
【0070】
復帰する回想シーンの選択指示は、ユーザにより操作部3を使って行われる。タッチパネルとしての操作部3により、回想中のシーンをタッチ選択することによって行ってもよいし、操作部3にカーソル移動ボタン、決定ボタンを設けて行ってもよい。例えば、図18は、映像加工部45の加工出力の一例として、シーン情報1、シーン情報2、シーン情報3の映像情報44SV1、44SV2、44SV3を重ね合わせたものであるが、この画面イメージの状態で、ユーザが操作部3のカーソル移動ボタンを押下すると、図19に示すように、回想シーンを太枠カーソルにより指し示し、決定ボタンにより回想シーンの選択指示を行ってもよい。
【0071】
また、画面イメージが図13の場合、図13の(6)から(10)のタイミングでタッチパネルをタッチしたり、決定ボタンを押下すると、シーン情報1(44S1)が選択されたものとして扱ってもよい。以上のようにして回想シーンが選択されると、図7におけるステップS707で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。また、制御部41は、ステップS706で復帰指示された、シーン情報の位置情報SPを記憶部44から取得し、デコード部42のデコード位置を、取得した格納位置に指示し、図6におけるステップS601に進む。
【0072】
既に説明したように、図6におけるステップS603で、映像切替部46がデコード部42側に切り替わり、デコード部42は、指定された位置よりデコードを開始する。これにより、映像出力部1、音声出力部2の出力は、指定されたシーンの、AVコンテンツの映像、音声再生に復帰することができる。なお、シーン選出部43のシーン選出条件に、記憶部44のシーン数から最後に記録したシーン情報の位置情報と、デコード部のラスト位置を比較することにより、すでに選出したシーンの記録を避けることができる。
【0073】
次に、図8を用いて、排出指示時の処理について説明する。既に説明したように、図6に示した電源ON指示時の処理中、および、図7に示した回想ボタン押下時の処理中に、排出指示がユーザにより指示されると、それまでの処理は中断され、図8におけるステップS801に処理が移行する。なお、図9に示す電源OFF指示時の処理中の排出指示は無視される。
【0074】
図8におけるステップS801で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。デコード部42は、制御部41からの指示を受け、デコード中であれば、デコードを停止する。デコード中でなければ何もしない。
シーン選出部43は、制御部41からの指示を受け、シーン選出中であれば、シーン選出を停止する。シーン選出中でなければ何もしない。次に、ステップS802に進み、制御部41は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換える。次に、ステップS803に進み、制御部41は、デコード部42にAVコンテンツを排出指示する。デコード部42は、AVコンテンツがあれば排出し、なければ何もしない。
【0075】
これで、図8の処理は終了し、図6におけるステップS601に進む。図6におけるステップS601からステップS602に進み、再びコンテンツ有が検出されるまで、ステップS602を繰り返す。このようにして、排出指示がユーザにより指示されると、記憶部44のシーン数がゼロに書き換えられるので、以降、ユーザにより回想ボタン31が押下されても図7におけるステップS702によりシーン数がゼロと判定され、回想シーンは再生されなくなる。すわなち、AVコンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0076】
続いて、図9を用いて、電源OFF指示時の処理について説明する。既に説明したように、図6に示した電源ON指示時の処理中、および、図7に示した回想ボタン押下時の処理中に、電源OFF指示がユーザにより指示されると、それまでの処理は中断され、図9におけるステップS901に処理が移行する。図8に示す排出指示時の処理中の電源OFF指示はステップS803の排出処理が終了し、図6におけるステップS601に処理が移行してから、図9におけるステップS901が開始される。
【0077】
図9におけるステップS901で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。デコード部42は、制御部41からの指示を受け、デコード中であれば、デコードを停止する。デコード中でなければ何もしない。シーン選出部43は、制御部41からの指示を受け、シーン選出中であれば、シーン選出を停止する。シーン選出中でなければ何もしない。
【0078】
次に、ステップS902に進み、制御部41は、本装置の電源をOFFし、本再生装置の動作が終了する。ここで、電源OFF指示時の処理と、排出指示時の処理の違いは、図8に示した排出指示時の処理において、ステップS802で、制御部41が記憶部44のシーン数をゼロに書き換えているのに対して、図9に示した電源OFF指示時の処理では、記憶部44のシーン数をゼロに書き換える処理を行わない点である。
【0079】
このように、電源OFF指示時は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換えないので、AVコンテンツが本装置に存在していれば、引き続き、電源ON指示時の処理が開始されたとき、記憶部44に記憶された選出シーンである回想シーンは、そのまま維持される。そのため、AVコンテンツの終了まで鑑賞していない状態で電源をOFFしても、次回、電源ON時に再び、記憶部44に記憶された回想シーンを生かして、回想シーンの鑑賞を楽しむことができるという効果を有する。
【0080】
以上のように、本再生装置では、回想ボタン31をユーザが押下すると、それまでシーン選出部43によりシーン選出され、記憶部44に蓄積されていたシーン情報群44Sの映像情報SVが、回想シーンとして、映像加工部45により自動的に順次加工され、映像切替部46のデコード部42側から映像加工部45側へ切り替わる。それにより、映像出力部1の出力映像が、AVコンテンツの映像から、映像加工部45の、自動時に順次加工出力される回想シーン映像に切り替わるので、シーン検索作業のような、感動や余韻の断ち切りがなく、かつ、音声出力部2の出力は、AVコンテンツの音声が継続されるので、音声が無音になることもなく、感動や余韻の断ち切りのない、回想シーン鑑賞をすることができるという効果を有する。
【0081】
また、制御部41は、回想ボタン31押下時にシーン数44Cを検査し、ゼロの場合は、映像加工部45側(46C)に切り替えない処理を行っており、排出指示がユーザにより指示されると、記憶部44のシーン数がゼロに書き換えるので、AVコンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0082】
また、電源OFF指示時は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換えないので、AVコンテンツが本装置に存在していれば、次回、電源ON時に、再びシーン情報が蓄積されるまでAVコンテンツ再生するような無駄な時間を省き、記憶部44に記憶された回想シーンを生かして、回想シーンの鑑賞を楽しむことができるという効果を有する。
【0083】
なお、AVコンテンツはDVDやブルーレイディスクなどの光ディスクや、SDカード等の記憶媒体に限定されるものではなく、例えばハードディスクを記憶媒体とする場合であっても、同様の効果を実現できる。AVコンテンツがハードディスクに記憶されている場合は、前記排出と記された部分を削除と読み替えることによって、同様の効果を実現できる。このようにすることによって、例えばテレビジョン放送などを録画する機能を有する再生装置にも、本発明を適用することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、記憶部44に保存する映像情報は1フレーム分の静止画としたが、1フレーム分に限定されるものではなく、動画であっても良い。この場合は記憶部44の記憶容量を大きくする必要があるが、より魅力的な回想シーンの鑑賞を提供することができる。
【0085】
また、操作部3の回想ボタン31は、本実施の形態では、リモコンやエスカッションスイッチの物理的ボタンを押下することを想定して説明したが、リモコンやエスカッションスイッチに限らず、画面上に設置されタッチパネルのタッチで押下するようなソフトウェアスイッチであってもよい。このようにすることで、部品点数を減らし、本再生装置の製作コストを抑えることができる。
【0086】
また、記憶部44のシーン数44Cがゼロより大きくなった場合に、物理的回想ボタンを光らせて点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけるなどすることで選択可能となったことをユーザに知らせたり、ソフトウェアスイッチとして、シーン数44Cがゼロの場合は表示せず、ゼロより大きくなった場合に表示させるなど表示形態を変えてもよい。このようにすることで、回想シーンを鑑賞することができるか否かがわかり、操作性を高めることができる。
【0087】
また、物理的回想ボタンを光らせ、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合とデコード部42側(46D)にある場合で光の点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけるなどすることで表示形態を変えてもよい。このようにすることで、回想シーンを再生中か、AVコンテンツを再生中かがわかり、操作性を高めることができる。上記同様に物理的回想ボタンに変えて、ソフトウェアスイッチとして、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合とデコード部42側(46D)にある場合で表示形態を変えても同様の効果が得られる。
【0088】
また、シーン選出部43に、映画などのエンドロール(終幕に流されるスタッフロール)を検出して制御部41に通知する機能を持たせ、制御部41は映像加工部45、映像切替部46にエンドロールを検出したことを通知することにより、操作部3の操作を行わずに、自動的に回想再生に移行するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザに操作の手間を省かせることができる。また、この場合は、自動回想再生機能を有効、無効にする設定を設けてもよい。このようにすることで、自動回想再生を望まないユーザの要望にもこたえることができる。また、エンドロールを検出した場合に記憶部44のシーン数44Cがゼロより大きければ、それ以外の状態と異なる表示状態に操作部3を変えてもよい。このようにすることで、より適切なタイミングで、かつ、ユーザの、回想再生を望む、望まないの、その時の要望にこたえることができる。物理的回想ボタンの表示状態の変化は、点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけることができる。また、ソフトウェアスイッチとして表示する、しないの区別などで変化をつけてもよい。いずれにしても、鑑賞の気分を損ねないよう、映像より目立たないことが望ましい。
【0089】
エンドロールを検出する方法としては、文字が流れていることを検出する、AVコンテンツの時間情報が終盤であることを検出する、音楽が流れている事を検出する等の方法がある。
【0090】
また、本発明の再生装置は、映像出力部1を一つに限定するものではなく、図20に示すように、映像出力部1を複数持つような装置においても、適用することができる。このようにすることで、複数のユーザが同時に回想再生を鑑賞することができる。
【0091】
また、本発明の再生装置の、映像出力部1と音声出力部2は、単に、映像出力端子、音声出力端子とし、映像を見せるためのディスプレイ、音を聞かせるためのスピーカーなどを、別の装置に備えたものを使った構成とすることもできる。このようにすることで、再生装置の小型化を図ることができると共に、ユーザが所望の表示装置、音声出力装置を使用することができる。
【0092】
また、本発明は、上述した実施の形態を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図に示すフロー図に対応したプログラム)が装置に供給され、その装置のコンピュータが、供給されたプログラムを読出して、実行することによっても達成させる場合を含む。したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現させるための再生プログラムも含む。
【0093】
このように、本発明によれば、コンテンツの音声を途切れさせることなく、鑑賞したコンテンツの様々なシーンを振り返り、余韻を楽しむことができる再生装置および再生プログラムを提供することができる。
【0094】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の再生装置は、鑑賞していたAVコンテンツの余韻を楽しむことができるという効果を有し、家庭に設置されたホーム用、車に設置された車載用、持ち運び可能なポータブル用等の再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 映像出力部
2 音声出力部
3 操作部
4 内機部
31 回想ボタン
41 制御部
42 デコード部
43 シーン選出部
44 記憶部
44C シーン数
44S シーン情報群
44SV シーン情報の映像情報
44SP シーン情報の位置情報
45 映像加工部
46 映像切替部
100 再生装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、映画やドラマやアニメなどのコンテンツを再生する、再生装置および再生プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、テレビ放送などを受信してハードディスクなどの記録媒体に格納する際に自動的にチャプタを生成する再生装置が知られている(例えば特許文献1参照)。他の従来技術では、映像を縮小・編集(チャプタ分割等)するものが存在する(例えば特許文献2、特許文献3参照)。これらの技術により、鑑賞したいシーンを効率的に探し出し、再生することができる。
【0003】
他方、映像をスライドショー等に加工する技術として、例えば、特許文献4のような技術が知られている。これらの技術により、映像を縮小、回転、重畳し、表示することができる。また、音声情報や映像情報から、ビデオ要約を作成することができる特許文献5のような技術が知られている。また、音声と音楽を判別する技術が知られている(例えば特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166422号公報
【特許文献2】特開2006−129523号公報
【特許文献3】特開平11−215466号公報
【特許文献4】特開2004−343472号公報
【特許文献5】特開2007−143114号公報
【特許文献6】特開2010−152015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映画やドラマやアニメなどのコンテンツの多くは、エンディングにそのコンテンツの内容を総括させるような魅力的なエンディング音楽が流れ、出演者や製作者などが映像上に文字で紹介される(以下、エンドロールと呼ぶ)。エンディング音楽を聴いていると、それまで鑑賞していた様々なシーンが思い起こされ、感動に浸ることがよくある。ここで、この音楽を聴きながら、もう一度、それまで鑑賞していた映像シーンを見たいと思うことがよくあったが、従来の再生装置ではそのようなことはできなかった。
【0006】
コンテンツの多くは、製作者が予め編集加工し、コンテンツ格納媒体に格納されたチャプタがあり、これを使って、シーンの検索を行うことができるが、チャプタ画面に移行する際に、再生されていたコンテンツの映像と音声は一旦途切れてしまう。そのため、映像と音声が途切れた瞬間に、それまで鑑賞していたコンテンツへの感動が冷めてしまうという課題があった。
【0007】
一方、コンテンツ格納媒体がブルーレイディスク(BD−ROM)の場合、製作者が予め編集加工し、コンテンツ格納媒体に格納してあるチャプタを、映像と音声の再生が途切れることなく、オンスクリーン表示することができる再生装置も存在する。しかし、その機能の目的が、シーンの検索を主眼としているため、複数のシーンの表示の大きさが変化しないこと、表示位置が移動しないこと、別のシーンを映像出力するために複数の操作を必要とすることなど、ユーザにとっては、回想シーンの演出を楽しむというよりは、検索する作業に意識が奪われ、同様に、鑑賞していたコンテンツへの感動が冷めてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、この従来の問題を解決するためになされたもので、コンテンツのエンディング音楽を継続して再生しながら、再生済みのコンテンツの映像を抜粋して、動きのある表示形態で再生することで、鑑賞時に得られた感動の余韻を断ち切ることなく映像を回想して楽しむことができる再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置に向けられている。本発明の再生装置は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部と、選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部と、記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部と、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部とを備えている。
【0010】
また、記憶部は再生装置の電源を切っても記憶した情報を保持し、次回電源投入時に記憶部に記憶した映像シーンの映像情報を使用することを特徴とする。
【0011】
また、記憶部はシーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、記憶部のシーン数がゼロであると映像切替部は映像加工部の出力を選択せず、コンテンツの排出または削除を検知すると、記憶部のシーン数をゼロに書き換えることを特徴とする。
【0012】
また、映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、前記記憶部は前記シーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、前記ユーザによる前記操作部の映像シーン選択操作を検知すると、選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴としている。
【0013】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、記憶部のシーン数がゼロか否かでソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としている。
【0014】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、映像切替部がコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいてソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としている。
【0015】
また、シーン選出部がコンテンツのエンドロールを検出すると、映像切替部は映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴としている。
【0016】
本発明の第2の局面は、映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置のコンピュータで実行される再生プログラムに向けられている。本発明の再生プログラムは、コンピュータに、コンテンツの再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出ステップと、シーン選出ステップで選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶ステップと、記憶ステップで記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工ステップと、音声情報の再生を継続したままで、再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工ステップの出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンテンツの音声を途切れさせることなく、鑑賞したコンテンツの様々なシーンを振り返り、余韻を楽しむことができる効果を奏する。
【0018】
また、記憶部は、再生装置の電源を切っても情報を保持するため、次回電源投入時に記憶部に記憶したシーンを使用することができ、再びシーン情報が蓄積されるまでコンテンツ再生するような無駄な時間を省くことができるという効果を有する。
【0019】
また、記憶部はシーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、記憶部のシーン数がゼロであると映像切替部は映像加工部の出力を選択せず、コンテンツの排出または削除を検知すると、記憶部のシーン数をゼロに書き換えることを特徴としているので、コンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0020】
また、映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、記憶部はシーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、ユーザによる操作部の映像シーン選択操作を検知すると、選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴としているので、指定されたシーンの、AVコンテンツの映像、音声再生に復帰することができるという効果を有する。
【0021】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、記憶部のシーン数がゼロか否かでソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としているので、回想シーンを鑑賞することができるか否かがわかり、操作性を高めることができるという効果を有する。
【0022】
また、ユーザが操作する操作部をさらに備え、操作部は画面上に設置されタッチパネルの押下を検出するソフトウェアスイッチで構成され、映像切替部がコンテンツの映像情報と映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいてソフトウェアスイッチの表示形態を変えることを特徴としているので、回想シーンを再生中か、AVコンテンツを再生中かがわかり、操作性を高めることができるという効果を有する。
【0023】
また、シーン選出部がコンテンツのエンドロールを検出すると、映像切替部は映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴としているので、操作の手間を省かせることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における再生装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態における再生装置の外観図
【図3】本発明の実施の形態におけるシーン情報のデータ構成図
【図4】本発明の実施の形態における記憶部44のデータ構成図
【図5】本発明の実施の形態における記憶部44のシーン情報群44Sの構成図
【図6】本発明の実施の形態における電源ON指示時の動作フロー図
【図7】本発明の実施の形態における回想ボタン押下時の動作フロー図
【図8】本発明の実施の形態における排出指示時の動作フロー図
【図9】本発明の実施の形態における電源OFF指示時の動作フロー図
【図10】本発明の実施の形態における映像切替部46がデコード部42側(46D)の場合の映像出力部1の出力映像のイメージ図
【図11】本発明の実施の形態における図6のステップS601からステップS606の処理のタイミングチャート
【図12】本発明の実施の形態における映像切替部46がデコード部42側(46D)で、かつ、シーン数44Cがゼロの場合の映像出力部1の出力映像のイメージ図
【図13】本発明の実施の形態における映像切替部46が映像加工部45側(46C)の場合の、映像出力部1の出力映像の動画の画面イメージ図
【図14】本発明の実施の形態における図7のステップS702、ステップS704、ステップS705の処理のタイミングチャート
【図15】本発明の実施の形態におけるシーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージ図
【図16】本発明の実施の形態におけるシーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージ図
【図17】本発明の実施の形態におけるシーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージ図
【図18】本発明の実施の形態における映像切替部46が映像加工部45側(46C)の場合の、映像出力部1の出力映像の画面イメージ図
【図19】本発明の実施の形態における回想シーン選択中の、映像出力部1の出力映像の画面イメージ図
【図20】本発明の実施の形態における映像出力部1が複数ある場合の外観図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態における、再生装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態における再生装置100の機能ブロック図で、図2は、本発明の実施の形態における再生装置100の外観図である。図1、図2において、再生装置100は、映像出力部1、音声出力部2、操作部3、内機部4から構成されている。映像出力部1は、本再生装置100のユーザに映像を見せるための手段で、映像を表示するための装置として、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等で構成される。特に図示しないが、映像出力部1は映像調整などの信号処理手段を含んでいても構わない。
【0027】
音声出力部2は、本再生装置のユーザに、音を聞かせるための手段で、例えば、スピーカーや、イヤホン等を指す。特に図示しないが、音声出力部2は音量調整や、イコライジング、音場制御などの信号処理手段を含んでいても構わない。
【0028】
操作部3は、本再生装置100のユーザに、本再生装置を操作させるための手段で、例えば、エスカッションスイッチや、リモコン、映像出力部1に重ねて取り付けられたタッチパネル等を指す。特に図示しないが、内機部4との通信手段を含んでいるものとする。
【0029】
内機部4は、筺体に覆われた内部に、AVコンテンツが記録されたブルーレイディスク、DVD、SDカードなど(以下、AVコンテンツ格納媒体と呼ぶ)を挿入することができる、BDデッキ、SDカードリーダーライターなどを有し、CPU、RAM、フラッシュROM、専用回路、ハードディスク等を有する回路基板で構成される。内機部4は、映像出力部1、音声出力部2、操作部3と、無線、有線を問わない、必要な信号線で接続される。
【0030】
内機部4と映像出力部1との間には、開閉可能な可動機構があり、ユーザは、開閉部を開くことで、AVコンテンツ格納媒体を挿入することができる。内機部4には、少なくとも電源、および、GND(グランド)が供給される。
【0031】
次に、内機部4の機能ブロックの構成を説明する。図1に示すように、内機部4は、制御部41、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46の機能ブロックを有する。
【0032】
記憶部44は、フラッシュROM、ハードディスクなどで構成され、本再生装置へ電源がONからOFFとされた場合にも、記憶した情報は保持される。制御部41、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46は、専用回路を用いてハードウェア的に構成してもよいし、CPU内のプログラムとしてソフトウェア的に構成してもよい。図1の点線矢印は制御情報の接続を示している。
【0033】
制御部41は、操作部3、および、デコード部42、シーン選出部43、記憶部44、映像加工部45、映像切替部46と、制御情報の接続を有する。制御部41は、操作部3からの通知をユーザ操作の制御情報として受け取り、内機部4の各機能ブロックを制御する。デコード部42は、本再生装置に挿入された、AVコンテンツ格納媒体から、AVコンテンツをデコードし、デコードした音声情報、映像情報、および、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報を出力する機能を有する。
【0034】
デコード部42の出力である音声情報は、シーン選出部43、および、音声出力部2に入力される。デコード部42の出力である映像情報は、シーン選出部43、映像加工部45、および、映像切替部46に入力される。
【0035】
デコード部42の出力である位置情報は、シーン選出部43に入力される。また、デコード部42は、AVコンテンツ格納媒体が本再生装置に挿入されている状態と、挿入されていない状態を監視する機能を有しており、制御部41からの問い合わせに応じて、制御部41にAVコンテンツ格納媒体の有無を通知する。
【0036】
また、デコード部42は、電源ON中は、最後に再生した映像のAVコンテンツ格納媒体上の格納位置をラスト位置として保持しており、デコード開始指示を制御部41より指示されたときは、この位置からAVコンテンツのデコードを開始する。AVコンテンツ挿入時には、このラスト位置は、AVコンテンツ格納媒体上の先頭位置となるため、AVコンテンツの先頭からデコードが開始される。
【0037】
シーン選出部43は、デコード部42の出力である、音声情報、映像情報、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報を入力とし、入力された音声情報、映像情報を、時間軸上で解析し、所定の条件に従って映像シーンを選出し、選出したシーンのシーン情報を記憶部44に出力する機能を有する。所定の条件とは、例えば、経過時間や、前フレームとの平均輝度の差が大きいことや、音声情報の振幅の変化などである。
【0038】
図3にシーン選出部43の出力するシーン情報のデータ構成を示す。図3に示すように、シーン情報は、該当するシーンの映像情報SVと、該当するシーンが格納されたAVコンテンツ上の格納位置を示す、位置情報SPからなる。記憶部44は、シーン選出部43の出力であるシーン情報を入力とし、シーン選出部43からシーン情報が入力されるたびに、シーン情報を追加して記憶する機能、および、シーン数を記憶する機能を有する。
【0039】
図4に記憶部44のデータ構成を示す。図4に示すように、記憶部44のデータは、選出されたシーン数が格納されるシーン数44Cと、シーン情報群44Sから成る。
【0040】
図5に、記憶部44における、シーン情報群44Sのデータ構成を示す。図5に示すように、シーン情報群44Sは、シーン数44C分のシーン情報からなり、シーン数44Cがn個の場合、シーン情報群44Sはシーン情報1(44S1)、シーン情報2(44S2)、・
・・、シーン情報n(44Sn)で構成される。
【0041】
以降、本書の説明では、シーン情報1の映像情報は44SV1、位置情報は44SP1、シーン情報2の映像情報は44SV2、位置情報は44SP2のように記載するものとする。
【0042】
図1における映像加工部45は、デコード部42の出力である動画としての映像情報と、記憶部44の静止画としての映像情報を入力として加工を施し、動画としての映像情報を映像切替部46に出力する機能を有する。映像加工部45は、少なくとも記憶部44のシーン情報群44Sの映像情報SVを順次加工出力の対象とすることを特徴とする。
【0043】
施す加工は、記憶部44のシーン情報群44Sの静止画としての映像情報SVの、1つまたは複数を、縮小させたり、回転させたりして、デコード部42の出力である動画としての映像情報に重畳させたり、ディゾルブ、ワイプなどで合成させたり、シーン情報群44Sの映像情報SVを拡大した中から一部の表示位置を抜き取り、時間軸に沿って、大きさや表示位置を少しずつ移動させる、いわゆるスライドショーのような動画として出力したりするものである。
【0044】
図1における映像切替部46は、デコード部42の出力映像情報と、映像加工部45の出力映像情報とを入力とし、制御部41の指示に従って、二つの入力からどちらか一つを選択し、映像情報を映像出力部1に出力する手段である。映像切替部46の入力端子46Dには、デコード部42の出力映像情報が、もう一つの入力端子46Cには、映像加工部45の出力映像情報が接続される。映像切替部46の出力映像情報は、映像出力部1に接続される。
【0045】
内機部4は以上のような機能ブロックにて構成される。
操作部3は、AVコンテンツの、再生、停止、ポーズ、早送り、巻き戻し、スキップ送り、スキップ戻し、音量調整、映像調整、などの操作手段と共に、少なくとも、電源ON、電源OFF、AVコンテンツの排出を指示する操作手段、および、映像切替部46の選択状態を切り替える回想ボタン31を有する。
【0046】
以上のように構成された本再生装置について、図6から図9を用いて、処理動作を説明する。
図6は、電源ON指示時の動作フロー、図7は、回想ボタン押下時の動作フロー、図8は、排出指示時の動作フロー、図9は、電源OFF指示時の動作フローを示す。本再生装置の立ち上がりは、電源ON指示時の動作フローである図6に示すフローで動作する。回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時には割り込みが入り、優先順位に応じて、処理が移行する。具体的には以下のように動作する。
【0047】
図6に示す電源ON指示時の動作フロー実行中に、回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時は、割り込みが入り、それまでの図6に示す電源ON指示時の処理を中断し、割り込み後の処理に移行する。また、図7に示す回想ボタン押下時の処理実行中に、回想ボタン押下時、排出指示時、電源OFF指示時は、それまでの図7における処理を中断し、割り込み後の処理に動作が移行する。あえて記すが、図7に示す回想ボタン押下時の処理実行中に、回想ボタン押下時の割り込みも有効となる。この場合は、割り込み前の図7における処理を中断し、再び、図7におけるステップS701に処理が移行する。
【0048】
図8に示す排出指示時の処理実行中、および、図9に示す電源OFF指示時の処理実行中には、割り込みは受け付けず、動作フローが最後まで継続される。なお、図6から図9において、丸型の中に数字が記載されている図形を以降の説明で、フロー端子と呼ぶことにする。フロー端子は、処理の移行の目印のために存在し、処理は何も行なわず、次のステップに移行する。
【0049】
次に、図6を用いて、本装置の電源がONされた場合の動作フローを説明する。本再生装置の電源がONされると、図6におけるステップS601より動作が始まる。ステップS601はフロー端子で何も動作せずステップS602に進む。ステップS602で、制御部41は、デコード部42に問い合わせ、AVコンテンツの有無を確認する。AVコンテンツが有であれば、ステップS603へ進み、無であれば、ステップS602へ進む。すなわち、コンテンツが有になるか、回想ボタンが押下され、割り込みによりステップS701へ移行するか、排出指示されるか、電源OFFがユーザにより操作されるまで、ステップS602を繰り返す。
【0050】
ステップS603で、制御部41は、映像切替部46をデコード部側(46D)に切り替え、ステップS604に進む。ステップS604で、制御部41は、デコード部42にデコード開始を、また、シーン選出部43にシーン選出開始を指示する。デコード部42は、制御部41からのデコード開始指示によりデコードを開始し、映像情報、音声情報、AVコンテンツ格納媒体上の位置情報の出力をする。以降、デコード部42は、制御部41からデコード停止指示があるまでデコードを継続する。
【0051】
デコードされた音声情報は、図1における音声出力部2に出力され、音声出力部2よりAVコンテンツの音声情報が音声出力される。デコードされた映像情報は、図1における映像切替部46を通り、映像出力部1に出力され、映像出力部1よりAVコンテンツの映像情報が映像出力される。これにより、映像出力部1には、例えば、図10に示すような画面が動画で表示される。
【0052】
また、シーン選出部43は、制御部41からのシーン選出開始指示によりシーン選出を開始し、シーン選出、すわなち、予め定められたシーン選出条件に合致するかの判定を開始する。これらの動作が図6におけるステップS604で行われた後、動作フローは、ステップS605に進む。
【0053】
ステップS605は、シーン選出部43によるシーン選出条件が合致したかの判定の分岐を示す。合致していれば、ステップ606に進み、合致していなければ、再びステップS605で次のフレームがシーン選出条件に合致するかの判定を行う。図1におけるシーン選出部43のシーン選出処理は、制御部41からのシーン選出停止指示があるまで継続して行われる。
【0054】
ステップS606で、制御部41は、記憶部44のシーン情報群44Sに、シーン選出部43から出力されたシーン情報を追加し、シーン数44Cを1つ増加する。増加前のシーン数が0であれば、シーン情報1(44S1)に、増加前のシーン数が1であれば、シーン情報2(44S2)に、シーン選出部43から出力されたシーン情報を書き込む。続いて、ステップS605に進み、シーン選出部43は、再び次のフレームがシーン選出条件に合致するかの判定を行う。
【0055】
図11に、図6におけるステップS601からステップS606の処理のタイミングチャートを示す。図11の横軸は時間軸である。図11に示すように、AVコンテンツ有の検出をトリガーに、デコード部42はデコードを開始し、シーン選出部43はシーン選出を開始する。シーン選出部43によるシーン選出の度に、記憶部44のシーン数44Cは増加され、シーン情報44Sも蓄積されていく。シーン選出とは無関係に、映像出力部1、音声出力部2では、AVコンテンツの映像出力、音声出力が行われる。
【0056】
以上のように、本再生装置は、電源ON指示時、AVコンテンツが有の場合、AVコンテンツの音声と映像が音声出力部2、映像出力部1から出力されると共に、予め定められた条件に合致したシーン情報が、記憶部44に蓄積されるという特徴を持つ。
【0057】
次に、図7を用いて、図1における操作部3の回想ボタン31が押下された場合の割り込み発生時の動作フローを説明する。電源ON指示時の動作、すなわち、図6に示す処理実行中に、回想ボタン31が押下されると、それまでの図6における処理は中断され、図7におけるステップS701に処理が移行する。ステップS701で、制御部41は、映像切替部46がデコード部42側(46D)であるかが判定する。デコード部42側(46D)であれば、ステップ702に進み、デコード部42側(46D)ではなく映像加工部45側(46C)であれば、図7の処理は終了し、図6におけるステップ601に進む。
【0058】
図1における映像切替部46が映像加工部45側(46C)であるのは、映像出力部1が、映像加工部45の出力である回想シーンを再生中であることを意味する。よって、回想シーン再生中に、回想ボタン31が押下されると、図6で説明したように、映像切替部46がデコード部42側(46D)に切り替わり、デコードがラスト位置より再開される。
すなわち、最後に再生された位置から、AVコンテンツの音声と映像が音声出力部2、映像出力部1から出力される。また、デコードがラスト位置より再開されるので、シーン選出処理も、ラスト位置から再開され、引き続き予め定められた条件に合致したシーン情報が、記憶部44に蓄積される。
【0059】
説明を図7の動作フローに戻す。図7におけるステップS702で、制御部41は、記憶部44のシーン数がゼロであるか判定する。ゼロであれば、ステップS703に進み、ゼロでなければ、ステップS704に進む。ステップS703で、制御部41は、例えば「回想シーンがありません」などの操作案内を、例えば1秒程度などの一定時間だけ、映像切替部46の出力映像情報に重畳して出力する。これにより、映像出力部1には、例えば、図12に示すような画面が表示される。続いて図7の処理は終了し、図6におけるステップ601に進む。
【0060】
このように、制御部41は、回想ボタン31が押下されると、映像切替部46の状態により処理を変え、特に、映像切替部46がデコード部42側(46D)にある場合は、記憶部44のシーン数44Cがゼロであるかを検査し、ゼロであれば、映像切替部46を映像加工部45側(46C)に切り替えないので、回想再生は行われないという特徴を持つ。
【0061】
次に、図7における、ステップS704からステップS705で、映像出力部1の映像がAVコンテンツの再生から、記憶部44に記憶したシーン情報群44Sを使って加工した映像である、回想シーンの再生に変化する部分の説明を行う。図7におけるステップS704で、制御部41は、映像加工部45に映像加工開始を指示する。図1における映像加工部45は、デコード部42の出力である、動画としての映像情報と、記憶部44の静止画としての映像情報を入力として加工を施し、動画としての映像情報を、映像切替部46に出力する。
【0062】
続いて図7におけるステップS705で、制御部41は、映像切替部46を映像加工部45側(46C)に切り替える。これにより、映像出力部1には、例えば、図13のような画面が表示される。図13は、動画としての映像情報をわかりやすく説明するため、映像出力部1の映像出力が変化する様子を、一定フレーム毎のコマ送りの静止画の画面イメージとして、(1)から(20)まで順番に示したものである。
【0063】
図13は、(6)のタイミングで、回想ボタンが押下された場合の映像出力部1の画面イメージを示している。図13の画面イメージは、AVコンテンツの終盤部分でよく見かけるエンドロールで、AVコンテンツに関わった出演者や製作にかかわった人々や会社などの名前が文字表示されたものが、画面の下から上に流れていく様子を示している。
【0064】
図14に、図7におけるステップS702、ステップS704、ステップS705の処理のタイミングチャートを示す。図14における、操作部3の操作として回想ボタン31が押下されるまでの処理は、既に図11にて説明した通りで、記憶部44にシーン情報1、シーン情報2、シーン情報3、を記憶していたものとする。また、シーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージは図15、シーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージは図16、シーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージは図17に示すものであったとする。
【0065】
図14に示すように、回想ボタン31押下により、映像加工部45は、映像出力を開始し、映像切替部46は、デコード部42側(46D)から、映像加工部45側(46C)に切り替わる。これにより、図14における、映像出力部1の映像出力は、AVコンテンツの映像出力1401、(図13では(1)から(5)が該当)から、映像加工部45の出力映像1402(図13の(6)から(20)が該当)に変化する。
【0066】
図13は、映像加工部45の加工方法が、デコード部42の映像出力に、記憶部44の映像情報をスライドショーで重ね合わせた例である。シーン情報1の映像情報44SV1の画面イメージである図15が、図13の(6)から(10)にかけて、画面の左上からスタートして画面の右下に移動していく中で、縮小表示されたものがだんだん拡大表示され、図13(8)で画面いっぱいになり、再び、縮小表示され画面からなくなっていく様子を示している。図13の(11)から(15)は、シーン情報2の映像情報44SV2の画面イメージである図16が同様に、画面の右下から左上に、図13の(16)から(20)は、シーン情報3の映像情報44SV3の画面イメージである図17が同様に、画面の右上から左下に移動していく様子を示している。
【0067】
図14に示すように、本再生装置は、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合でも、デコード部42はデコード中であるため、図13のようにデコード部42の映像出力と記憶部44の映像情報を重畳したような映像加工を出力することができるとともに、図14に示すように、回想ボタン31押下によって、映像出力部1が映像加工部45の映像出力に切り替わっても、音声出力部2は引き続き、デコード部42の音声出力を継続するので、音声が途切れない状態で、回想シーンである映像加工部45の映像出力を行うことができる。
【0068】
なお、映像加工部45の加工方法は、既に説明したように、図13に示した例に限らずさまざまな加工が可能である。このようにして、回想ボタン31をユーザが押下すると、それまでシーン選出部43によりシーン選出され、記憶部44に蓄積されていたシーン情報群44Sの映像情報SVが、回想シーンとして、映像加工部45により自動的に順次加工される。映像切替部46のデコード部42側から映像加工部45側へ切り替わることにより、映像出力部1の出力映像が、AVコンテンツの映像から、映像加工部45の、自動時に順次加工出力される回想シーン映像に切り替わる。それにより、シーン検索作業のような、感動や余韻の断ち切りがなく、かつ、音声出力部2の出力は、AVコンテンツの音声が継続されるので、音声が無音になることもなく、感動や余韻の断ち切りのない、回想シーン鑑賞をすることができるという効果を有する。
【0069】
次に、再び、説明を図7の動作フローに戻し、回想再生中に、特定のシーンのAVコンテンツの再生に復帰するための動作を説明する。回想シーン鑑賞を開始した、図7におけるステップS705の動作は、続いて、ステップS706に進む。ステップS706では、図13のような映像加工部45の映像が出力されている状態で、回想シーン選択指示の検出判定を行う。検出されれば、ステップS707に進み、検出されなければ、ステップS706に進み、再び、回想ボタンが押下され、割り込みによりステップ701へ移行するか、排出指示されるか、電源OFFがユーザにより操作されるまで、ステップ706を繰り返す。
【0070】
復帰する回想シーンの選択指示は、ユーザにより操作部3を使って行われる。タッチパネルとしての操作部3により、回想中のシーンをタッチ選択することによって行ってもよいし、操作部3にカーソル移動ボタン、決定ボタンを設けて行ってもよい。例えば、図18は、映像加工部45の加工出力の一例として、シーン情報1、シーン情報2、シーン情報3の映像情報44SV1、44SV2、44SV3を重ね合わせたものであるが、この画面イメージの状態で、ユーザが操作部3のカーソル移動ボタンを押下すると、図19に示すように、回想シーンを太枠カーソルにより指し示し、決定ボタンにより回想シーンの選択指示を行ってもよい。
【0071】
また、画面イメージが図13の場合、図13の(6)から(10)のタイミングでタッチパネルをタッチしたり、決定ボタンを押下すると、シーン情報1(44S1)が選択されたものとして扱ってもよい。以上のようにして回想シーンが選択されると、図7におけるステップS707で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。また、制御部41は、ステップS706で復帰指示された、シーン情報の位置情報SPを記憶部44から取得し、デコード部42のデコード位置を、取得した格納位置に指示し、図6におけるステップS601に進む。
【0072】
既に説明したように、図6におけるステップS603で、映像切替部46がデコード部42側に切り替わり、デコード部42は、指定された位置よりデコードを開始する。これにより、映像出力部1、音声出力部2の出力は、指定されたシーンの、AVコンテンツの映像、音声再生に復帰することができる。なお、シーン選出部43のシーン選出条件に、記憶部44のシーン数から最後に記録したシーン情報の位置情報と、デコード部のラスト位置を比較することにより、すでに選出したシーンの記録を避けることができる。
【0073】
次に、図8を用いて、排出指示時の処理について説明する。既に説明したように、図6に示した電源ON指示時の処理中、および、図7に示した回想ボタン押下時の処理中に、排出指示がユーザにより指示されると、それまでの処理は中断され、図8におけるステップS801に処理が移行する。なお、図9に示す電源OFF指示時の処理中の排出指示は無視される。
【0074】
図8におけるステップS801で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。デコード部42は、制御部41からの指示を受け、デコード中であれば、デコードを停止する。デコード中でなければ何もしない。
シーン選出部43は、制御部41からの指示を受け、シーン選出中であれば、シーン選出を停止する。シーン選出中でなければ何もしない。次に、ステップS802に進み、制御部41は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換える。次に、ステップS803に進み、制御部41は、デコード部42にAVコンテンツを排出指示する。デコード部42は、AVコンテンツがあれば排出し、なければ何もしない。
【0075】
これで、図8の処理は終了し、図6におけるステップS601に進む。図6におけるステップS601からステップS602に進み、再びコンテンツ有が検出されるまで、ステップS602を繰り返す。このようにして、排出指示がユーザにより指示されると、記憶部44のシーン数がゼロに書き換えられるので、以降、ユーザにより回想ボタン31が押下されても図7におけるステップS702によりシーン数がゼロと判定され、回想シーンは再生されなくなる。すわなち、AVコンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0076】
続いて、図9を用いて、電源OFF指示時の処理について説明する。既に説明したように、図6に示した電源ON指示時の処理中、および、図7に示した回想ボタン押下時の処理中に、電源OFF指示がユーザにより指示されると、それまでの処理は中断され、図9におけるステップS901に処理が移行する。図8に示す排出指示時の処理中の電源OFF指示はステップS803の排出処理が終了し、図6におけるステップS601に処理が移行してから、図9におけるステップS901が開始される。
【0077】
図9におけるステップS901で、制御部41は、デコード部42にデコード停止を、シーン選出部43にシーン選出停止を指示する。デコード部42は、制御部41からの指示を受け、デコード中であれば、デコードを停止する。デコード中でなければ何もしない。シーン選出部43は、制御部41からの指示を受け、シーン選出中であれば、シーン選出を停止する。シーン選出中でなければ何もしない。
【0078】
次に、ステップS902に進み、制御部41は、本装置の電源をOFFし、本再生装置の動作が終了する。ここで、電源OFF指示時の処理と、排出指示時の処理の違いは、図8に示した排出指示時の処理において、ステップS802で、制御部41が記憶部44のシーン数をゼロに書き換えているのに対して、図9に示した電源OFF指示時の処理では、記憶部44のシーン数をゼロに書き換える処理を行わない点である。
【0079】
このように、電源OFF指示時は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換えないので、AVコンテンツが本装置に存在していれば、引き続き、電源ON指示時の処理が開始されたとき、記憶部44に記憶された選出シーンである回想シーンは、そのまま維持される。そのため、AVコンテンツの終了まで鑑賞していない状態で電源をOFFしても、次回、電源ON時に再び、記憶部44に記憶された回想シーンを生かして、回想シーンの鑑賞を楽しむことができるという効果を有する。
【0080】
以上のように、本再生装置では、回想ボタン31をユーザが押下すると、それまでシーン選出部43によりシーン選出され、記憶部44に蓄積されていたシーン情報群44Sの映像情報SVが、回想シーンとして、映像加工部45により自動的に順次加工され、映像切替部46のデコード部42側から映像加工部45側へ切り替わる。それにより、映像出力部1の出力映像が、AVコンテンツの映像から、映像加工部45の、自動時に順次加工出力される回想シーン映像に切り替わるので、シーン検索作業のような、感動や余韻の断ち切りがなく、かつ、音声出力部2の出力は、AVコンテンツの音声が継続されるので、音声が無音になることもなく、感動や余韻の断ち切りのない、回想シーン鑑賞をすることができるという効果を有する。
【0081】
また、制御部41は、回想ボタン31押下時にシーン数44Cを検査し、ゼロの場合は、映像加工部45側(46C)に切り替えない処理を行っており、排出指示がユーザにより指示されると、記憶部44のシーン数がゼロに書き換えるので、AVコンテンツが本再生装置に存在していなければ、回想シーンを鑑賞することはできなくなり、AVコンテンツ製作者の著作権を侵害することがないという効果を有する。
【0082】
また、電源OFF指示時は、記憶部44のシーン数をゼロに書き換えないので、AVコンテンツが本装置に存在していれば、次回、電源ON時に、再びシーン情報が蓄積されるまでAVコンテンツ再生するような無駄な時間を省き、記憶部44に記憶された回想シーンを生かして、回想シーンの鑑賞を楽しむことができるという効果を有する。
【0083】
なお、AVコンテンツはDVDやブルーレイディスクなどの光ディスクや、SDカード等の記憶媒体に限定されるものではなく、例えばハードディスクを記憶媒体とする場合であっても、同様の効果を実現できる。AVコンテンツがハードディスクに記憶されている場合は、前記排出と記された部分を削除と読み替えることによって、同様の効果を実現できる。このようにすることによって、例えばテレビジョン放送などを録画する機能を有する再生装置にも、本発明を適用することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、記憶部44に保存する映像情報は1フレーム分の静止画としたが、1フレーム分に限定されるものではなく、動画であっても良い。この場合は記憶部44の記憶容量を大きくする必要があるが、より魅力的な回想シーンの鑑賞を提供することができる。
【0085】
また、操作部3の回想ボタン31は、本実施の形態では、リモコンやエスカッションスイッチの物理的ボタンを押下することを想定して説明したが、リモコンやエスカッションスイッチに限らず、画面上に設置されタッチパネルのタッチで押下するようなソフトウェアスイッチであってもよい。このようにすることで、部品点数を減らし、本再生装置の製作コストを抑えることができる。
【0086】
また、記憶部44のシーン数44Cがゼロより大きくなった場合に、物理的回想ボタンを光らせて点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけるなどすることで選択可能となったことをユーザに知らせたり、ソフトウェアスイッチとして、シーン数44Cがゼロの場合は表示せず、ゼロより大きくなった場合に表示させるなど表示形態を変えてもよい。このようにすることで、回想シーンを鑑賞することができるか否かがわかり、操作性を高めることができる。
【0087】
また、物理的回想ボタンを光らせ、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合とデコード部42側(46D)にある場合で光の点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけるなどすることで表示形態を変えてもよい。このようにすることで、回想シーンを再生中か、AVコンテンツを再生中かがわかり、操作性を高めることができる。上記同様に物理的回想ボタンに変えて、ソフトウェアスイッチとして、映像切替部46が映像加工部45側(46C)にある場合とデコード部42側(46D)にある場合で表示形態を変えても同様の効果が得られる。
【0088】
また、シーン選出部43に、映画などのエンドロール(終幕に流されるスタッフロール)を検出して制御部41に通知する機能を持たせ、制御部41は映像加工部45、映像切替部46にエンドロールを検出したことを通知することにより、操作部3の操作を行わずに、自動的に回想再生に移行するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザに操作の手間を省かせることができる。また、この場合は、自動回想再生機能を有効、無効にする設定を設けてもよい。このようにすることで、自動回想再生を望まないユーザの要望にもこたえることができる。また、エンドロールを検出した場合に記憶部44のシーン数44Cがゼロより大きければ、それ以外の状態と異なる表示状態に操作部3を変えてもよい。このようにすることで、より適切なタイミングで、かつ、ユーザの、回想再生を望む、望まないの、その時の要望にこたえることができる。物理的回想ボタンの表示状態の変化は、点滅、点灯、明るさ、色などで変化をつけることができる。また、ソフトウェアスイッチとして表示する、しないの区別などで変化をつけてもよい。いずれにしても、鑑賞の気分を損ねないよう、映像より目立たないことが望ましい。
【0089】
エンドロールを検出する方法としては、文字が流れていることを検出する、AVコンテンツの時間情報が終盤であることを検出する、音楽が流れている事を検出する等の方法がある。
【0090】
また、本発明の再生装置は、映像出力部1を一つに限定するものではなく、図20に示すように、映像出力部1を複数持つような装置においても、適用することができる。このようにすることで、複数のユーザが同時に回想再生を鑑賞することができる。
【0091】
また、本発明の再生装置の、映像出力部1と音声出力部2は、単に、映像出力端子、音声出力端子とし、映像を見せるためのディスプレイ、音を聞かせるためのスピーカーなどを、別の装置に備えたものを使った構成とすることもできる。このようにすることで、再生装置の小型化を図ることができると共に、ユーザが所望の表示装置、音声出力装置を使用することができる。
【0092】
また、本発明は、上述した実施の形態を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図に示すフロー図に対応したプログラム)が装置に供給され、その装置のコンピュータが、供給されたプログラムを読出して、実行することによっても達成させる場合を含む。したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現させるための再生プログラムも含む。
【0093】
このように、本発明によれば、コンテンツの音声を途切れさせることなく、鑑賞したコンテンツの様々なシーンを振り返り、余韻を楽しむことができる再生装置および再生プログラムを提供することができる。
【0094】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の再生装置は、鑑賞していたAVコンテンツの余韻を楽しむことができるという効果を有し、家庭に設置されたホーム用、車に設置された車載用、持ち運び可能なポータブル用等の再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 映像出力部
2 音声出力部
3 操作部
4 内機部
31 回想ボタン
41 制御部
42 デコード部
43 シーン選出部
44 記憶部
44C シーン数
44S シーン情報群
44SV シーン情報の映像情報
44SP シーン情報の位置情報
45 映像加工部
46 映像切替部
100 再生装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部と、前記選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部と、前記記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部と、前記音声情報の再生を継続したままで、前記再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工部の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部とを備えた再生装置。
【請求項2】
前記記憶部は再生装置の電源を切っても前記記憶した情報を保持し、次回電源投入時に前記記憶部に記憶した映像シーンの映像情報を使用することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記記憶部は前記シーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、前記記憶部の前記シーン数がゼロであると前記映像切替部は前記映像加工部の出力を選択せず、前記コンテンツの排出または削除を検知すると、前記記憶部の前記シーン数をゼロに書き換えることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、前記記憶部は前記シーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、前記ユーザによる前記操作部の映像シーン選択操作を検知すると、前記選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の再生装置。
【請求項5】
ユーザが操作する操作部をさらに備え、前記記憶部の前記シーン数がゼロか否かで前記操作部の表示形態を変えることを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項6】
ユーザが操作する操作部をさらに備え、前記映像切替部がコンテンツの映像情報と前記映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいて前記操作部の表示形態を変えることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項7】
前記シーン選出部が前記コンテンツのエンドロールを検出すると、前記映像切替部は前記映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項8】
映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置のコンピュータで実行される再生プログラムであって、前記コンピュータに、前記コンテンツの再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出ステップと、前記シーン選出ステップで選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工ステップと、前記音声情報の再生を継続したままで、前記再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工ステップの出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替ステップとを実行させる再生プログラム。
【請求項1】
映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出部と、前記選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶部と、前記記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工部と、前記音声情報の再生を継続したままで、前記再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工部の出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替部とを備えた再生装置。
【請求項2】
前記記憶部は再生装置の電源を切っても前記記憶した情報を保持し、次回電源投入時に前記記憶部に記憶した映像シーンの映像情報を使用することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記記憶部は前記シーン選出部が選出した映像シーンのシーン数を記憶し、前記記憶部の前記シーン数がゼロであると前記映像切替部は前記映像加工部の出力を選択せず、前記コンテンツの排出または削除を検知すると、前記記憶部の前記シーン数をゼロに書き換えることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記映像加工部が出力中の映像シーンの一つをユーザが選択可能な操作部をさらに備え、前記記憶部は前記シーン選出部で選出された映像シーンの映像情報とともに当該映像情報のコンテンツ上の格納位置を示す位置情報を記憶し、前記ユーザによる前記操作部の映像シーン選択操作を検知すると、前記選択操作で選択された映像シーンの映像情報に対応する位置情報の位置からコンテンツの再生を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の再生装置。
【請求項5】
ユーザが操作する操作部をさらに備え、前記記憶部の前記シーン数がゼロか否かで前記操作部の表示形態を変えることを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項6】
ユーザが操作する操作部をさらに備え、前記映像切替部がコンテンツの映像情報と前記映像加工部の出力のいずれを選択しているかに基づいて前記操作部の表示形態を変えることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項7】
前記シーン選出部が前記コンテンツのエンドロールを検出すると、前記映像切替部は前記映像加工部の出力を選択して映像出力することを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項8】
映像情報と音声情報とを含むコンテンツを再生する再生装置のコンピュータで実行される再生プログラムであって、前記コンピュータに、前記コンテンツの再生中に前記映像情報の中から所定の条件に基づいて映像シーンを選出するシーン選出ステップと、前記シーン選出ステップで選出した映像シーンの映像情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶した映像シーンの映像情報を加工して出力する映像加工ステップと、前記音声情報の再生を継続したままで、前記再生中のコンテンツの映像情報と前記映像加工ステップの出力のいずれかを選択して映像出力する映像切替ステップとを実行させる再生プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図20】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図20】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−256998(P2012−256998A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127884(P2011−127884)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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