説明

冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置

【課題】ショーケース設置時の電源投入の際には電源の正逆相を判断する回路として機能させ、その後の通常運転中は保護回路の動作を検出する回路として機能させて、ひとつの回路をショーケース設置時とその後の通常運転中とで使い分け、検出回路部品の低減を図るともに、基板回路面積を縮小できる冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置を得る。
【解決手段】圧縮機1などの冷凍装置を備え、前記圧縮機1に過電流保護装置が接続されるとともに、ショーケース用制御器3でショーケースの運転を制御する冷凍冷蔵ショーケースにおいて、三相電源用ショーケース圧縮機1の前記過電流保護装置4の作動状態を取出す圧縮機保護動作検出回路の電源と、ショーケース用制御器3の電源とを三相電源2からの1相を共通とする2相をもってそれぞれ構成し、三相電源2の逆相接続を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵ショーケースの異常検知、特に圧縮機の三相電源の逆相検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍冷蔵ショーケースには、圧縮機などによる冷凍装置が設備され、ショーケース用制御器で運転を制御しているが、圧縮機は設置時の配設接続のミスなどによって逆回転させると容易に破損する。
【0003】
そこで、三相電源の場合、電源配線を間違えていた場合は、通電時に逆相であることを検出して通電されない構造となっており、そのための具体的方法として、三相電源の1つを基準にして他の位相の遅進を検出して、正常、逆相、同相の判定を行っている。
【0004】
図3は三相電源の1つを基準にして他の位相の遅進を検出した場合の波形図で、基準となる波形STに対して、別の波形RTが60度の位相差で遅れて検出されればこれは正相であると判断されるが、反対に、60度の位相差で早く検出されれば逆相であると判断する。
【0005】
そして、STとRTとを比較する場合、従来はそのために比較用の入力検知回路を別途設けている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−178736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧縮機電源の逆相を検出するためのものとして、ショーケースの設置時に電源を投入する際にだけしか使用されないものであるにもかかわらず、前記のように逆相検出のためだけを目的として比較用の入力検知回路を別途設けるのでは、部品点数が増加して基板回路面積がいたずらに増え、コスト高ともなる。
【0007】
一方、圧縮機には過電流保護装置や過温度保護装置などの保護装置が接続され、これら保護装置にはその動作を検出する保護動作検出回路が接続されており、かかる保護動作検出回路は通常運転中に機能するが、この検出回路は保護動作検出のためだけにしか使用されない。
【0008】
また、ショーケース用制御器には電源が接続されているが、前記保護装置はこの電源に接続されており、圧縮機用の三相電源とは別に配線接続される。
【0009】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、逆相を検出するための比較用の入力検知回路を別途格別に設けずに、また、ショーケース制御器用の電源も別途設けずに、圧縮機三相電源の一部を前記保護動作検出回路の電源とショーケース制御器用電源とにそれぞれ使用し、ショーケース設置時の電源投入の際には電源の正逆相を判断する回路として機能させ、その後の通常運転中は保護回路の動作を検出する回路として機能させて、ひとつの回路をショーケース設置時とその後の通常運転中とで使い分け、検出回路部品の低減を図るともに、基板回路面積を縮小できる冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、圧縮機などの冷凍装置を備え、前記圧縮機に過電流保護装置が接続されるとともに、ショーケース用制御器でショーケースの運転を制御する冷凍冷蔵ショーケースにおいて、三相電源用ショーケース圧縮機の前記過電流保護装置の作動状態を取出す圧縮機保護動作検出回路の電源と、ショーケース用制御器の電源とを三相電源からの1相を共通とする2相をもってそれぞれ構成し、三相電源の逆相接続を検出することを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように本発明の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置は、圧縮機三相電源の一部をショーケース用制御器の電源として圧縮機電源の逆相を検出するための比較用の入力検知回路を構成し、この回路に、圧縮機保護用の装置の保護動作検出回路を入れ込み、ショーケース設置時の電源投入の際には電源の正逆相を判断する回路として機能させ、その後の通常運転中は保護回路の動作を検出する回路として機能させるようにしたから、ひとつの回路をショーケース設置時の電源投入初期とその後の通常運転中とで回路機能を使い分け、検出回路部品の低減を図るともに、基板回路面積を縮小できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置の実施形態を示す回路図で、三相電源用ショーケースの圧縮機1の三相電源2のS相とT相とでショーケース用制御器3の電源回路6を構成し、前記三相電源2のR相とT相とで圧縮機1の保護装置である過電流保護装置4と過温度保護装置5の作動状態を検出する保護動作検出回路の電源回路7を構成する。
【0013】
これにより、ショーケース用制御器3の電源回路6と保護動作検出回路の電源回路7とは三相電源2からの2相をもって構成され、かつ、それぞれ1相であるT相が共通となる。さらに、過電流保護装置4の作動状態を取出す圧縮機保護動作検出回路に過温度保護装置5の接点を直列に接続して、過電流保護装置4および過温度保護装置5のいずれかが作動すれば、保護動作検出回路の電源回路7が遮断されるように構成した。
【0014】
よって、このST相とRT相の位相を検出することで従来と同様の方法で位相の遅進を検出して逆相に接続されたかを判断できる。この場合、位相の検出のための比較回路を別途設けずに、圧縮機1の電源回路でショーケース制御器3の電源回路6と、保護動作検出回路の電源回路7とを構成し、この2つの電源回路6,7の位相をもって逆相を検出できる。
【0015】
次に、逆相検知の具体的動作を図2のフローチャートについて説明する。ショーケース設置時に三相電源2を投入したとき(ステップ1)、過電流が過電流保護装置4の動作検出回路で検出されたり、過温度が過温度保護装置5の動作検出回路で検出されて、これらの回路が作動してしまうとここからの電源回路7への電圧入力がなく(ステップ2)、圧縮機保護機能が作動中であるためその旨を警報として発令する(ステップ3)。
【0016】
この発令は、電源投入初期のものとして、通常の運転中に過電流保護装置または過温度保護装置が作動したときに行う警報とは異なる態様の警報を行い、通常運転中のものとは区別する。
【0017】
そして、時間が経過して圧縮機1の温度が下がれば、保護動作検出回路が復帰して、ここから電圧入力がされる(ステップ4)。よって、その後、電源2の逆相検知を行う。
【0018】
逆相検知は、ショーケース制御器3の電源回路6(ST相)と、保護動作検出回路の電源回路7(RT相)とを使用し、三相電源2の1相であるT相を共通とするこの2つの電源回路6,7の位相差を検出し、位相差が+60度であれば(ステップ5)、三相電源2が正常に接続されている判断する(ステップ8)。
【0019】
その後、ショーケースの運転が開始され、庫内温度制御が開始して(ステップ9)、通常運転となる。この通常運転中は、電源回路は、逆相検知回路としてではなく、保護装置動作の検出回路としてのみ機能する。
【0020】
一方、前記(ステップ5)の段階で、位相差が+60度でなかった場合は、さらにその位相差が0度であるか判定して、0度の場合は(ステップ6)、ショーケース制御器3に記憶させてある圧縮機1の仕様が単相であるかを判定する(ステップ7)。
【0021】
判定の結果、圧縮機1の仕様が単相であれば、位相差が0度ということは電源2は正常接続されているものと判断できる(ステップ8)。このように位相差が60度でなかった場合、直ちに逆相と判断するのではなく、電源が単相の場合であれば、位相差が0度は正常接続となるから、その判定を行う。
【0022】
一方、位相差が0度のとき、圧縮機1の仕様が単相仕様でなければ(ステップ7)、三相電源2の接続は異常と判断できるから、異常警報を発令する(ステップ10)。
【0023】
このようにして、圧縮機1の三相電源2の、1相を共通とする2相でそれぞれ構成する保護動作検出回路の電源回路7と、ショーケース用制御器の電源回路6とで位相差を検出して逆相か否かを判断する。
【0024】
そして、通常運転中は、電源回路は、逆相検知回路としてではなく、保護装置動作の検出回路としてのみ機能する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置の実施形態を示す回路図である。
【図2】本発明の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置の実施形態を示す逆相検知動作のフローチャートである。
【図3】本発明の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置の実施形態を示す位相差を示す波形図である。
【符号の説明】
【0026】
1 圧縮機 2 三相電源
3 ショーケース用制御器 4 過電流保護装置
5 過温度保護装置 6,7 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機などの冷凍装置を備え、前記圧縮機に過電流保護装置が接続されるとともに、ショーケース用制御器でショーケースの運転を制御する冷凍冷蔵ショーケースにおいて、三相電源用ショーケース圧縮機の前記過電流保護装置の作動状態を取出す圧縮機保護動作検出回路の電源と、ショーケース用制御器の電源とを三相電源からの1相を共通とする2相をもってそれぞれ構成し、三相電源の逆相接続を検出することを特徴とする冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。
【請求項2】
前記過電流保護装置の作動状態を取出す圧縮機保護動作検出回路に過温度保護装置の接点を直列に接続したことを特徴とする請求項1記載の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。
【請求項3】
前記電源投入時に、過電流保護装置または過温度保護装置が作動している場合は、その復帰をまってから電源の逆相検知を開始することを特徴とする請求項2に記載の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。
【請求項4】
前記電源投入時に過電流保護装置または過温度保護装置が作動していた場合は、通常の運転中に過電流保護装置または過温度保護装置が作動したときに行う警報とは異なる警報を行うことを特徴とする請求項3に記載の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。
【請求項5】
三相電源の1相を共通とする二つの位相差を検出し、電源の逆相検知を行ったとき、同相であると判断されたときは通常運転に移行することを特徴とする請求項1記載の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。
【請求項6】
同相であると判断されて通常運転に移行した場合、ショーケース用制御器に予め記憶させておいた当該ショーケースの圧縮機の電源仕様によって、検出した電源の相の順序での異常判定を異ならせることを特徴とする請求項5記載の冷凍冷蔵ショーケースの異常検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−259641(P2007−259641A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82981(P2006−82981)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】