説明

処理温度を上昇させる排ガス処理方法、排ガス処理装置の運転方法、および排ガス処理装置

【課題】消費電力を押さえかつ分解処理剤の活性をより高くすることにより、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出す排ガス処理方法、排ガス処理装置の運転方法、および排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】所定の処理温度で排ガスを分解処理剤によって処理し、排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を備える排ガス処理方法であって、所定の処理温度を処理開始温度にして分解工程を開始し(ST01)、分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する(ST03:Y)度に、処理温度を破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度より上昇させて(ST04)、排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程(ST02)を、処理温度が予め定められた上限温度を超える(ST05:Y)まで繰り返す工程(ST02〜ST05)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理温度を管理しながら排ガスを処理する方法に関する。特に、排ガスに含まれる被分解ガスを分解処理剤で分解処理する温度を調節しながら排ガスを処理する方法、排ガス処理装置の運転方法、および排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶パネルの製造過程で排出されるガス中には地球温暖化係数の高いガスまたは一部の有害ガスが含まれ、これらのガスはそのままの状態で廃棄することができない。そのため、何らかの方法で無害化して廃棄する。その一手段として、これらのガスをガスに合わせた分解処理剤を用いて化学反応により分解処理し、別の無害物質として回収または廃棄する方法がある。こうした方法では、分解処理剤が被分解ガスを分解処理するのに適した温度で処理される必要がある。処理温度が低すぎると処理剤の活性が十分に得られず(化学反応が進まず)、処理温度が高すぎると、副反応を誘発するなどの不具合が生じ所望の結果が得られないからである。
【0003】
実際に、排ガス中に含まれるCF、C、C、C、C、C、C、COF、HF、SiFなどのフッ化ガスを除去する方法として、水酸化カルシウムを含む酸化カルシウム剤を用いて分解処理する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この分解処理剤を用いて上記のフッ化ガスを分解処理する場合、分解処理剤の充填槽の温度は100〜300℃に設定されるのが適当である。100℃未満の場合は、加熱効果が余り得られず(処理剤の活性が不十分と考えられる)、逆に300℃超の場合は、水分の離脱が促進されすぎて分解処理剤の反応性の低下を招く。
しかし、適した温度範囲内であっても、分解処理に適した温度には幅がある。上記の例では、100〜300℃であり温度の幅は200℃にもなる。
より高い処理温度の方が分解処理剤の活性は高いが、処理温度を上げすぎると分解処理剤が熱により劣化してしまう。また、より多くの電力を消費する。よって、消費電力を下げるためにはなるべく低温で処理したいが、処理温度が低すぎると分解処理剤の活性が低下する。実際には、これらのバランスのとれたところで分解処理を行っている。
【特許文献1】特開2007−237047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、消費電力を下げるためにより低い処理温度で分解処理をしようとすると、分解処理剤の活性が低くなり、分解処理剤の使用効率が低下する。一方、分解処理剤の活性を高くするために、より高い処理温度で分解処理しようとすると、消費電力が増加し、さらに温度が高すぎると処理剤が熱劣化する。
本発明は、消費電力を抑制しかつ分解処理剤の活性をより高くすることにより、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出し、分解処理剤の寿命(破過までの時間)をより長くする排ガス処理方法を提供することを目的とする。さらに、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出す排ガス処理方法を用いた排ガス処理装置の運転方法を提供するとともに、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出すことのできる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る排ガス処理方法では、例えば図2に示すように、所定の処理温度で排ガスを分解処理剤によって処理し、排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を備える排ガス処理方法であって、所定の処理温度を処理開始温度にして分解工程を開始し(ST01)、処理開始温度で排ガスを処理した後に(ST02)、処理温度を変えて分解工程を繰り返す工程(ST02〜ST05)であって、前記分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する(ST03:Y)度に、処理温度を破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度より上昇させて(ST04)、排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程(ST02)を、処理温度が予め定められた上限温度を超える(ST05:Y)まで繰り返す工程を備える。
なお、「上限温度を超えるまで繰り返す」とは、繰り返すことが上限温度までであり、分解工程は上限温度を超えたところで止めてもよいし、次に排ガスの分解効率を判断する指標となるガスの濃度が所定の濃度を超えるまで1回行ってもよい。また、ここで処理温度とは、排ガス処理装置の反応槽内部に充填された分解処理剤の温度を言う。
【0006】
このようにすると、被分解ガスの分解処理に適した温度範囲の中でより低い温度を処理開始温度とすることができ、処理開始温度での分解処理が不十分となった場合、処理温度を上げることによって分解処理剤の活性が増すので、分解処理を継続できる。さらに、処理温度を段階的に上げることにより分解処理剤を再活性化し、分解処理剤の能力を最大限に使いきり、かつ寿命(破過までの時間)を長くすることができる。その結果、分解処理剤を効率よく使用することができる。なお、「破過に近づいた状態」とは、分解処理剤の処理能力が衰え始めた状態ではあるが、破過に至る前のまだ処理能力を有する状態をいう。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る排ガス処理方法では、上記本発明の第1の態様において、分解処理剤は、AlとCaOの複合酸化物を含む分解処理剤であり、特に非晶質のAlを含むことを特徴とする。
【0008】
このようにすると、分解処理剤としてAlとCaOの複合酸化物を用いているため、排ガス中に含まれるPFCガスを効率よく分解処理することができ、かつ、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出すことができる。
なお、「PFC」とはパーフルオロ化合物を意味し、「パーフルオロ化合物」とはCFもしくはCなどのパーフルオロカーボン類、CHFもしくはCHなどのハイドロフルオロカーボン類、六弗化硫黄(SF)、または三弗化窒素(NF)のいずれかの化合物をいう。
【0009】
また、本発明の第3の態様に係る排ガス処理方法では、上記本発明の第2の態様において、複合酸化物は、平均粒子系(メディアン系)55μm以上160μm以下のAl(OH) と、Ca(OH) とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる複合酸化物である。
【0010】
このようにすると、AlとCaOの複合酸化物の原材料であるAl(OH) の平均粒子系が適した値となり、Al(OH) とCa(OH) との混合比(モル比)および焼成時の温度が適正範囲内となるので、より処理効率のよいAlとCaOの複合酸化物を用いることができる。
【0011】
また、本発明の第4の態様に係る排ガス処理方法では、上記本発明の第1乃至第3のいずれかの態様において、処理開始温度は、550〜650℃である。
【0012】
このようにすると、分解処理剤に適した処理温度の範囲が550℃以上である場合に、分解処理剤の活性を適度に得られる範囲で、分解処理に必要なエネルギー(上記の例では550℃以上の温度を維持するために必要なエネルギー)を押さえることができる排ガス処理方法となる。
【0013】
また、本発明の第5の態様に係る排ガス処理装置の運転方法では、例えば図5に示すように、の充填された2つの直列に接続された反応槽31と32を備える30により排ガスを処理し、排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を備える排ガス処理装置30の運転方法であって、2つの反応槽31と32のうち上流側の反応槽の処理温度を所定の処理開始温度にして分解工程を開始し(ST11、図6参照)、分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する度に(ST15:Y)、2つの反応槽31と32のうち上流側の反応槽の処理温度を破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度より上昇させて(ST16)、上流側の反応槽と下流側の反応槽で排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程(ST14)を、上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超える(ST17:Y)まで繰り返す工程(ST14〜ST17)を備える。
【0014】
このようにすると、上流側の反応槽については、より低い温度を処理開始温度とし、処理温度を段階的に上げることにより、分解処理剤の寿命(破過までの時間)をより長くすることができる。
通常、分解処理剤の破過が検知されたら、反応槽に充填した分解処理剤の交換を余儀なくされる。しかし、2つの反応槽を用いて一方の反応槽を上流側に配置し他方の反応槽をその下流に配置することにより、上流側の反応槽に充填された分解処理剤が破過した場合であっても、直列に接続された上流側および下流側の2つの反応槽において分解処理剤の破過が検知されなければ、分解処理を継続できる。その結果、上流側の反応槽に通ガスする時間を長くすることができる。
また破過が検知される手前(破過に近づいた状態)で処理温度を上げるようにすると、1台の反応槽でも、または複数台の反応槽を直列接続した場合でも、処理を継続できる。
【0015】
本発明の第6の態様に係る排ガス処理装置の運転方法では、上記本発明の第5の態様において、上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超えた後に、上流側の反応槽と下流側の反応槽の接続順序を入れ替えて、新たに下流側に配置される反応槽を新しい分解処理剤が充填された反応槽と交換し、本発明の第5の態様に係る排ガス処理装置の運転方法を繰り返す。
なお、「新しい分解処理剤」とは、一度も排ガスを通していない分解処理剤でも、すでに排ガスを通したものの再利用であってもよく、分解処理剤としての処理能力を十分に有するものであり、少なくとも処理剤としての処理能力が、交換が必要になったものよりも高いものをいう。
【0016】
このようにすると、当初下流側に配置された反応槽が上流側の反応槽となり、この上流側の反応槽内の処理温度を序々に上げていくことによって、反応槽内の分解処理剤の能力を最大限に引き出すことができる。
【0017】
また、本発明の第7の態様に係る排ガス処理装置では、例えば図7に示すように、排ガスを処理し、排ガス中の被分解ガスを分解する排ガス処理装置60であって、被分解ガスを分解処理する分解処理剤が充填された2つの反応槽31、32と、2つの反応槽31、32を直列に接続し、2つの反応槽31、32内に排ガスを導入する配管41〜44(図5参照)と、配管41〜44上に設置され、直列に接続された2つの反応槽31、32のうちの上流側の反応槽と下流側の反応槽の順序を開閉により逆にするバルブ51〜56と、2つの反応槽31と32の下流側に配置され、分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する破過予告装置36と、上流側の反応槽の温度を検知する温度センサー61と、2つの反応槽31と32で被分解ガスを分解した後、破過予告装置36が分解処理剤の破過に近づいた状態を検知する度に、上流側の反応槽の処理温度を破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度よりも上昇させることを、上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超えるまで繰り返す制御装置62とを備える。
【0018】
このように構成すると、分解処理剤を効率よく消費する排ガス処理装置となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被分解ガスの分解処理に適した温度範囲内において、より低い温度で分解処理を開始し、処理温度を段階的に上げることにより分解処理剤を再活性化し、分解処理剤の寿命(破過までの時間)をより長くすることができる。また、高温で処理し続ける場合とくらべて、処理温度を維持するためのエネルギーを押さえることができる。その結果、分解処理剤の使用効率およびエネルギー効率のよい排ガス処理方法、排ガス処理装置の運転方法が可能となる。
また、直列に接続された2筒の反応槽を用いて上流・下流の配置を入れ替えることにより、さらに分解処理剤の使用効率を上げることができ、分解処理剤の処理能力を十分に活かすことのできる、排ガス処理装置の運転方法および排ガス処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0021】
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法で使用する排ガス処理装置10について説明する。図1は、排ガス処理装置10の縦断面図である。排ガス処理装置10は、筒状の反応槽11を備える。反応槽11は、その外周にヒーターとしての電気ヒーター12を有し、分解処理剤21が充填される。さらに、排ガス処理装置10は、反応槽11への排ガスの通路となる導入管13、および排ガスの排出通路となる排出管14、反応槽11に排ガスを導入する減圧機器15(例えばブロワまたはエジェクタ)、検知ガスの濃度を検知する破過予告装置としてのガス検知器16を備える。ガス検知器16により、検知ガスの有無およびその濃度を測定する。なお、「検知ガス」とは、排ガスの分解効率を判断する指標となるガスであり、分解処理されずに排出された被分解ガスであってもよく、または、被分解ガスとは異なるが分解処理剤の分解能力が衰えてくるにつれて排出量が増加するガスであってもよい。以後、排ガスの分解効率を判断する指標となるガスを「検知ガス」とする。また、「破過予告」とは、分解処理剤の処理能力が衰え初めており、破過に近づいた状態であることを示すことをいう。さらに、「破過に近づいた状態」とは、分解処理剤の処理能力が衰え始めた状態ではあるが、破過に至る前のまだ処理能力を有する状態であって、例えば、上記検知ガスの濃度により破過を検知する場合は、破過値となる濃度よりも低い特定の濃度(例:破過値の濃度の60%にあたる濃度等)が検出された場合をいう。なお、破過値となる濃度よりも低い特定の濃度は、検知ガスの種類等により適宜変更することができる。
排ガス処理装置10の形成材料は特に制限されず、ニッケル系合金などこの種のガス処理装置に通常用いられる材料を適宜用いることができる。
【0022】
半導体製造装置等から排出された排ガスは、減圧機器15により吸引され導入管13を通り反応槽11に導入される。排ガス中に含まれる被分解ガスは、反応槽11に充填された分解処理剤21と接触し分解処理される。その後、排ガスは排出管14を通り熱交換器17により冷却された後、減圧機器15を通り排出される。
なお、半導体製造装置等から排出される排ガスには、一例としてCF、CHF、C、SiF、HF、HCl、HBr、Cl、Br、CO、COF、BCl、AlCl等が含まれるが、分解処理剤は分解対象となる被処理ガスに合わせて適宜用いられる。
また、分解処理剤が破過し(分解処理剤の寿命)交換が必要になった場合、処理剤の交換は排ガス処理装置10の反応槽11を交換することにより行われる。
【0023】
図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法について説明する。図2は、排ガス処理方法のフロー図である。図2に示すように、まず排ガス中に含まれる被分解ガスを分解処理する所定の処理温度を、処理開始温度として分解処理を開始する(ST01)。なお、処理温度とは、被分解ガスと分解処理剤を接触させる温度、つまり反応槽内の温度をいう。また、処理開始温度は、分解処理剤が被分解ガスを分解処理するのに適した温度範囲の中でより低めの温度にすることが好ましい。低めの温度で分解処理をすることにより、電気ヒーター12の消費電力をより押さえることができる。
【0024】
処理開始温度で排ガスの処理を継続し(ST02〜ST03:N)、処理後の排ガス中に含まれる、検知ガスの濃度が所定の濃度を超えたら(ST03:Y)、分解処理剤の破過に近づいたと判断し、処理温度を処理開始温度よりも高い温度に設定する(ST04)。このように、処理開始温度において処理能力の衰えた(破過に近づいた)分解処理剤であっても、処理温度を上昇させると再び活性化され処理能力が戻り、排出される検知ガスの濃度が減少する。その結果、検知ガスの濃度が一定値を超えて破過に近づいていることが検知された場合であっても、反応槽を交換せずに分解処理剤を継続して使用することができる。なお、上昇させる温度の幅は、より少ない方が分解処理剤を再活性化させる回数が増えるため好ましいが、少なくとも分解処理剤の処理能力が明らかに戻る(例えば検知ガスの濃度が適した範囲内となる)程度の温度が好ましい。
【0025】
上昇させた後の温度が所定の上限温度を超えていなければ(ST05:N)、上昇させた後の温度で処理を継続し(ST02〜ST03:N)、再び検知ガスの濃度が所定の濃度を超えたら(ST03:Y)、処理温度をさらに上昇させる(ST04)。上昇させる温度は、処理開始温度から上昇させた温度の幅と同じ幅の温度であってもよいし、または変更してもよい。このように、検知ガスの濃度が所定の濃度を超えるたびに処理温度を段階的に上昇させる。こうすることにより、各処理温度で処理能力の衰えた(破過に近づいた)分解処理剤であっても、処理温度を上げるたびに活性化され処理能力が戻るため、反応槽を交換することなく排ガスの継続処理が可能になる。
【0026】
処理温度を上昇させた結果、処理温度が所定の上限温度をこえたら(ST05:Y)、分解処理剤の寿命(破過した)と判断し反応槽(分解処理剤)を交換する(ST08)。なお、所定の上限温度は、分解処理に適した温度範囲における上限付近の温度とするのが好ましい。
また、図3のフロー図では、上昇後の処理温度が所定の上限温度を超えた後(ST05:Y)も次のST07を検知するまで処理を行ってから(ST06)反応槽を交換している(ST08)。こうすると、分解処理剤の能力をより使い切ることができるため好ましい。なお、好ましい処理温度には幅があるので、図2のフロー図では所定の上限温度を高めに、図3のフロー図では低めに設定するとよい。
【0027】
本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法において、分解処理剤にAlとCaOの複合酸化物を用いて、排ガス中に含まれるPFCガスを分解処理する場合を説明する。なお、AlとCaOの複合酸化物とは、本出願人によりすでに出願された発明(特願2008−071336)であり、排ガス中に含まれるPFCガスを分解しフッ素を回収するのに適した処理剤である。また、PFCとは、パーフルオロ化合物を意味し、「パーフルオロ化合物」とはCFもしくはCなどのパーフルオロカーボン類、CHFもしくはCHなどのハイドロフルオロカーボン類、六弗化硫黄(SF)、または三弗化窒素(NF)のいずれかの化合物をいう。
以下の実施の形態では、排ガスの分解効率を判断する指標となるガス(検知ガス)をCFとし、処理後の排ガス中に含まれるCF濃度が例えば30ppmを上回ると、分解処理剤の破過に近づいたと判断する。
【0028】
分解処理剤にAlとCaOの複合酸化物を用いると、PFCガスのうち例えばCFを分解処理する場合、下記のようにCFが分解されCOとCaFが生成される。
CF → C+4F(処理剤のAl部分の触媒作用によるCとFの分解)
4F+2CaO → 2CaF+2O(CaO部分による酸化還元反応)
C+2O → CO(CaO部分による酸化還元反応)
なお、上記のCaO部分による酸化還元反応は並行して起こる。
このように分解処理とは、排ガス中に含まれる特定のガスが分解処理剤により分解され、他の物質が生成されることをいう。
【0029】
AlとCaOの複合酸化物を用いてPFCガスを分解処理する場合の処理温度は、550℃〜850℃が好ましく、より好ましくは600〜800℃の範囲であるが、約650℃〜750℃が最も好ましい。したがって、処理開始温度は約550℃〜約650℃の範囲とするとよい。特に排ガス中に難分解性のCFガスを含む場合には、620℃以上が好ましい。なお、処理開始温度を分解処理に適した温度範囲の中でより低めの温度にすることにより、処理剤としての活性を維持できかつ電気ヒーター12の消費電力を押さえることができる。
【0030】
以下、図2および図3に基づいて説明する。まず、処理開始温度を例えば650℃として分解処理を開始する(ST01)。 650℃で排ガスの処理を継続し(ST02〜ST03:N)、処理後の排ガス中に含まれる、残存するCFガスの濃度が30ppm(破過予告値:破過に近づいた状態)を超えたら(ST03:Y)、処理温度を上昇させる(ST04)。なお、上昇させる温度は、650℃〜750℃の範囲で数回に分けて温度を上昇させられるように、30℃以下が好ましい。したがって、処理温度を680℃とする。また、検知ガスをCFとした場合の破過値(反応槽交換基準値)は50ppmであるため、その60%にあたる30ppmの流出が確認されたら破過に近づいたと判断し処理温度を上昇させる。このようにすると、処理温度上昇および分解処理剤の活性の回復までに多少の時間を要したとしても、その間に流出するCFの濃度が破過値を超えることなく排ガスの処理を継続することができる。
【0031】
処理温度680℃で処理を継続し(ST02〜ST03:N)、CFガスの濃度が再び30ppmを超えたら(ST03:Y)、さらに処理温度を上昇させ710℃にする(ST04)。このように、CFガスの濃度が30ppmを超えるたび、処理温度を段階的に上昇させることを繰り返す。こうすることにより、一旦処理能力の衰えたAlとCaOの複合酸化物が、温度を上げるたびに活性化され処理能力が戻り、排出されるCFガスの濃度が減少するため、反応槽を交換することなく分解処理剤を継続して使用することができる。
【0032】
処理温度を上昇させた結果、処理温度が750℃を超えたら(ST05:Y)、AlとCaOの複合酸化物の寿命と判断し反応槽を交換する(ST08)。なお、図3のフロー図では、処理温度を上昇させ750℃を超えた後(ST05:Y)でも次のST07を検知するまで処理を行ってから(ST06)反応槽(分解処理剤)を交換している。これは、600〜800℃の範囲も処理温度として好ましい温度範囲であり、分解処理剤をより使いきるためである。また、処理温度が上限温度である750℃を超えた後の処理では、検出されるCFの濃度は例えば50ppm(破過値)を超えた場合に分解処理剤を完全に使い切ったと判断し反応槽を交換してもよい。なお、いずれの温度の場合も、破過値(50ppm)を超えた場合は、反応槽交換要の警報を発し、反応槽を交換することが好ましい。
【0033】
図4は、AlとCaOの複合酸化物を用いてPFCガスを分解処理した場合の、処理温度とCFの流出濃度(CF検知濃度)の関係を表す模式図である。図4に示すように、650℃で分解処理を開始すると、ある時点でCFの検知濃度が増加し始める(分解処理剤が劣化し始める)。よって、処理温度を680℃に上昇させてさらに処理を継続すると、増加したCFの濃度が下がり許容範囲値以下となる。このように、処理温度を上げると一旦増加した未処理のCFの濃度が減少するので、反応槽(分解処理剤)を交換することなく処理を継続できる。
【0034】
上記の実施例では検知ガスをCFとしたが、CFの代わりに分解処理剤の分解能力が衰えてくるにつれて排出量が増加する他のガスであってもよい。例えば、分解処理剤としてのAlとCaOの複合酸化物の性能が落ちてくると、CFだけでなくCOも同時に排出されることが分かっている。よって、検知ガスをCOとしてもよい。
COの発生は、CFの分解反応においてCaOの残量が少なくなりCの酸化が不十分になるためと考えられる。
CF → C+4F
4F+2CaO → 2CaF+2O
C+2O → CO(Cの酸化)
【0035】
COを検知ガスとした場合、CFの濃度を検知するガス検知器よりも安価な一酸化炭素のガス検知器(不図示)を取り付けることができる。
また、COのような有害性ガスを検知ガスとした場合には、検知濃度をTLV−TWA(時間荷重平均限界値)以下の濃度にすることが好ましい。本実施例では、TLV−TWAの60%にあたる15ppmを超えたら、破過が近づいたと判断し、処理温度を上昇させる。さらに、処理温度が所定の上限温度を超えたときは、検出されるCOの濃度が25ppm(TLV−TWA)を超えたら、分解処理剤を完全に使い切った(破過)と判断し反応槽(分解処理剤)を交換している。
なお、本発明では分解処理剤の破過が近づいたことを検知できれば良いので、被検知ガスの濃度を検知するガス検知器に限らず、その他の手段を用いて判断しても良い。例えば、被検知ガスの色を検知させる方法や、分解処理にともなう分解処理剤の重量の変化を利用した重量計測手段等がある。たとえば、分解処理剤にAlとCaOの複合酸化物を用いた場合には、CaOがCaFに変化するため、処理開始時に約70kgの処理剤の重量が破過時(処理剤交換時)には約90kgになる。したがって、分解処理剤が充填された反応槽の重量を計測することにより、分解処理剤が破過に近づいたことを検知させてもよい。
【0036】
上記の実施例で説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法では、排ガス処理に適した温度範囲において、分解処理剤がまだ新しい状態では低い温度で処理を開始しても十分に処理性能が高いため低い温度で処理を開始し、処理剤の破過が近づくたびに処理温度を段階的に高い温度に上げていくことにより、分解処理剤を活性化させ処理を継続する。その結果、電気ヒーターにより処理開始温度まで昇温させるために要する時間を短縮でき、かつ電気ヒーターの消費電力をより少なくすることができる。さらに、分解処理剤の能力を最大限に引き出すことができ、結果、分解処理剤の寿命をより長くすることができる。そのため、分解処理剤の交換回数を減らすことができる。
【0037】
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置の運転方法で使用する排ガス処理装置30について説明する。図5は、排ガス処理装置30の縦断面図である。排ガス処理装置30は、2筒の反応槽(第1の反応槽31と第2の反応槽32)を備え、排ガスを流入させる1本の配管41が二股に分かれ(41−1、41−2)、第1の反応槽31と第2の反応槽32の上部に接続される。また、処理された排ガスを第1の反応槽31から流出させる配管42−1と、第2の反応槽32から流出させる配管42−2は、第1の反応槽31と第2の反応槽32の下部にそれぞれ接続され、2本の配管はある地点で合流し1本の配管42になる。さらに、配管41−1から枝分かれした配管44は、第2の反応槽32に接続された配管42−2に接続される。同様に、配管41−2から枝分かれした配管43は、第1の反応槽31に接続された配管42−1に接続される。さらに、配管41−1の途中にバルブ51、配管41−2の途中にバルブ54、配管42−1の途中にバルブ56、配管42−2の途中にバルブ53、配管43の途中にバルブ52、配管44の途中にバルブ55がそれぞれ設置される。
【0038】
このように構成すると、配管41−1上のバルブ51、配管43上のバルブ52、配管42−2上のバルブ53を開け、配管41−2上のバルブ54、配管44上のバルブ55、配管42−1上のバルブ56を閉めることにより、排ガス処理装置30に導入される排ガスは配管41、41−1を通りまず第1の反応槽31に流入する。第1の反応槽31を通過した排ガスは、配管42−1、43、41−2を通り第2の反応槽32に流入する。つまり、第1の反応槽31と第2の反応槽32は排ガスの流れに対して直列に配置され、第1の反応槽31が上流側に第2の反応槽32が下流側に配置される。
一方で、バルブ51、52、53を閉め、バルブ54、55、56を開けることにより、排ガスの流れに対して第2の反応槽32を上流側に第1の反応槽31を下流側に配置することができる。このように、排ガス処理装置30では、バルブの開閉により第1の反応槽31と第2の反応槽32を直列に配置し、さらに上流側・下流側の位置を逆にすることができる。
【0039】
第1の反応槽31と第2の反応槽32はヒーターとしての電気ヒーター33、34を有し、第1の反応槽31、32には分解処理剤21が充填される。さらに、排ガス処理装置30は、第1の反応槽31、第2の反応槽32に排ガスを導入するために、第1の反応槽31、第2の反応槽32内を減圧する減圧機器35(例えばブロワまたはエジェクタ)、処理後の排ガス中に含まれる検知ガスの濃度を検知する破過予告装置としてのガス検知器36、処理後の排ガスを冷却する熱交換器37を備える。
なお、図5では、熱交換器37は配管42−1および42−2上の2箇所に設置されているが、配管42上の1箇所に設置してもよい。このようにすると、熱交換器を節約することができる。また、図5に示すように、配管42−1から配管43が枝分かれした位置よりも下流に熱交換機37を配置すると、第1の反応槽31が上流側反応槽の場合に、第1の反応槽31内で加熱された排ガスは熱交換機37により冷却されることなく第2の反応槽32に送られる。そのため、排ガスの有する熱により第2の反応槽32に充填された分解処理剤の活性を高めることができる。なお、配管42−1、43、41−2には耐熱性に優れたニッケル系合金やステンレスを用いることが好ましい(配管42−2、44、41−1についても同様である)。または、配管42−1から配管43が枝分かれした位置よりも上流に熱交換機37を配置すると、第1の反応槽31内で加熱された排ガスは熱交換器37により冷却されるため、配管42−1、43、41−2が排ガスの有する熱により劣化することを防ぐことができる。
【0040】
図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置の運転方法について説明する。図6は、排ガス処理装置の運転方法のフロー図である。排ガス処理装置の運転方法は、図5に示すように2筒の反応槽(第1の反応槽31と第2の反応槽32)を備える30で実施される。また、分解処理剤にはAlとCaOの複合酸化物を用い、排ガス中に含まれるPFCガスを分解処理する場合として説明する。排ガスの分解効率を判断する指標となる検知ガスは、CFガスとする。または、処理剤の分解能力が衰えてくるにつれて流出量が増加するガス(例えばCO)であってもよい。
【0041】
まず、図5に示すバルブ51〜53を開けバルブ54〜56を閉め、排ガスの流れに対して第1の反応槽31を上流側反応槽とし、第2の反応槽32を下流側反応槽とする。図6に示すように、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を、処理開始温度(650℃)にし、下流側反応槽(第2の反応槽32)の電気ヒーター34をオフにし、処理を開始する(ST11)。このように、処理開始当初は上流側反応槽1筒でも十分な処理能力を有するので、下流側反応槽(第2の反応槽32)は排ガスを通過させるのみとすると、バルブの開閉を少なくでき、さらに第2の反応槽32の消費電力を削減することができる。上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度は、分解処理剤が被分解ガスを分解処理するのに適した温度範囲の中で低めの温度に設定することが好ましい。低めの温度に設定することにより、電気ヒーター33の消費電力を押さえることができる。
【0042】
下流側反応槽(第2の反応槽32)から流出するCFガスの濃度が30ppm(COの場合は15ppm)を超えたら(ST12:Y)、下流側反応槽(第2の反応槽32)内の温度を処理開始温度(650℃)にし(ST13)処理を継続する(ST14)。なお、下流側反応槽の処理開始温度は、上流側反応槽の処理開始温度と異なってもよい。
【0043】
下流側反応槽(第2の反応槽32)から流出するCFガスの濃度が30ppmを超えたら(ST15:Y)、下流側反応槽(第2の反応槽32)内の温度は変えずに、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を処理開始温度よりも30℃高くする(ST16)。上流側反応槽(第1の反応槽31)と下流側反応槽(第2の反応槽32)でPFCガスの分解処理を継続する(ST17:N、ST14)。
【0044】
下流側反応槽(第2の反応槽32)から流出するCFガスの濃度が30ppmを超えたら(ST15:Y)、上流側反応槽内の温度をさらに30℃上昇させる(ST15)。上昇させる温度は、+30℃でなく変更してもよい。このように、下流側反応槽(第2の反応槽32)から流出するCFガスの濃度が30ppmを超えるたびに、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を段階的に上昇させ、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度が750℃を超えるまで繰り返す(ST14〜ST17:N)。こうすることにより、上流側反応槽(第1の反応槽31)において、一旦処理能力の衰えた分解処理剤であっても、温度を上昇させるたびに活性化され処理能力が戻るため、上流側反応槽を交換することなく継続して使用することができる。
【0045】
上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を段階的に上昇させた結果、処理温度が750℃を超えたら(ST17:Y)破過した(分解処理剤の寿命)と判断する。なお、図6のST18、ST19(点線部分)のように、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を上昇させ750℃を超えた後も、もう一度ST19でガス濃度の上昇を検知するまで処理を行ってもよい。600〜800℃の範囲も処理温度として好ましい温度範囲であり、分解処理剤をより使いきるためである。また、処理温度が上限温度である750℃を超えた後の処理では、検出されるCFの濃度は例えば50ppm(COの場合は25ppm)を超えた場合に分解処理剤を完全に使い切ったと判断してもよい。
または、上流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度が750℃を超えた後、ST18、ST19の工程を経なくてもよい。
なお、破過した(分解処理剤の寿命)と判断された場合は、上流側反応槽の交換を指示する警報等を出してもよい。
【0046】
分解処理剤の寿命と判断されたら、図5に示すバルブ51、52、55、56を閉め、バルブ53、54を開け、下流側であった反応槽(第2の反応槽32)で単槽処理をする(ST20)。このとき、下流側であった反応槽(第2の反応槽32)内の温度を30℃以下の範囲で上昇させ、例えば680℃として単槽処理をしてもよい。
上流側であった反応槽(第1の反応槽31)を交換し、バルブ55、56を開けバルブ53を閉めることにより、第2の反応槽32を上流側に、第1の反応槽31を第2の反応槽32の下流側に配置する(ST20)。なお、第1の反応槽31の交換時に新たに充填される分解処理剤は、分解処理可能な処理剤であればよく必ずしも通ガスをしていないものでなくても良い。
【0047】
同様に、当初は下流側反応槽(第1の反応槽31)の電気ヒーターをオフにし通ガスをする(ST11)。この状態で分解処理を継続し(ST11〜ST12:N)、下流側反応槽(第1の反応槽31)から流出するCFガスの濃度が30ppmを超えたら(ST12:Y)、下流側反応槽(第1の反応槽31)内の温度を650℃にし(ST13)分解処理を継続する(ST14)。再びCFガスの濃度が30ppmを超えたら(ST15:Y)、上流側反応槽(第2の反応槽32)の温度を上昇させる(ST16)。
【0048】
このように、下流側反応槽内の温度が処理開始温度となった後は、検知ガスの濃度が所定の濃度を超えるたびに、下流側反応槽内の温度は上昇させずに、上流側反応槽内の温度を上昇させる。上流側反応槽内の温度が所定の上限温度を超えたら、下流側反応槽を上流側反応槽とし、下流側には分解処理剤を交換した反応槽を配置させて同様に分解処理を繰り返す。その結果、つねに上流側反応槽に充填された分解処理剤の処理能力を最大限に引き出すことができる。
【0049】
図7に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る排ガス処理装置は、図5に記載された排ガス処理装置30において、第1の反応槽31および第2の反応槽32内の温度を検出する温度センサー61と、被検知ガスの濃度を検知することにより第1の反応槽31と第2の反応槽32内の温度を制御し、上流側反応槽内の温度が上限を超えた場合はバルブ51〜56の開閉を制御する制御装置62とを備える。
【0050】
このように構成された排ガス処理装置60では、例えば第1の反応槽31を上流側反応槽、第2の反応槽32を下流側反応槽とした場合、図7に示すように、制御装置62は第1の反応槽31の電気ヒーター33を制御し第1の反応槽31を処理開始温度に設定する。ガス検知器36により所定の検知ガスの濃度を検知したら、第2の反応槽32の電気ヒーター34を制御し処理開始温度に設定する。さらに、ガス検知器36により検知ガスの濃度を検知するたびに、第1の反応槽31の電気ヒーター33を制御し、第1の反応槽31内の温度を上昇させることを繰り返す。第1の反応槽31の処理温度が上限温度を超え、ガス検知器36により所定の検知ガスの濃度が検知されたら、制御装置62は、バルブ51〜56を開閉し、第2の反応槽32の単槽処理とする。第1の反応槽31の交換が終了したら、制御装置62は、バルブ51〜56を開閉し、排ガスの流れに対して第2の反応槽32を上流側に、第1の反応槽31を下流側に配置させ、排ガス中に含まれる被分解ガスの分解処理を繰り返す。
なお、排ガス処理装置60を用いて、排ガス中に含まれるPFCガスを分解処理する場合は、分解処理剤としてのAlとCaOの複合酸化物を、第1の反応槽31と第2の反応槽32に充填する。
【0051】
このように、排ガス処理装置60を用いると、処理温度を段階的に上げていくことにより、消費電力を押さえつつ分解処理剤を活性化させ、分解処理剤の処理能力を最大限に引き出すことができる。また、反応槽を2筒直列に配置することにより、上流側反応槽内に排ガスを通ガスする時間を長くすることができ、分解処理剤の使用効率をさらに上げることができる。その結果、排ガス処理装置60は、分解処理剤の使用時間をより長くすることができるため、分解処理剤の交換回数を減らすことができ、排ガスの処理効率が向上し、さらに分解処理剤を含めた排ガス処理装置のランニングコストを低減させることができる。
【0052】
以下に、本発明の実施の形態で用いた分解処理剤の一例として、AlとCaOの複合酸化物について説明する。AlとCaOの複合酸化物とは、水酸化アルミニウム(Al(OH))と水酸化カルシウム(Ca(OH))の混合物を所定の温度範囲で焼成して得られる複合酸化物である。以下、AlとCaOの複合酸化物をPFC分解処理剤と称する。
【0053】
詳しくは、平均粒子径(メディアン径)55μm以上160μm以下のAl(OH)と、Ca(OH)とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる非晶質のAlとCaOの複合酸化物である。
または、平均粒子径(メディアン径)60μm以上160μm以下のAl(OH)と、Ca(OH)とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られるAlとCaOの複合酸化物である。なお、焼成温度は、排ガスを処理する処理温度と同程度かそれより低くすることが好ましい。
【0054】
[AlとCaOの複合酸化物の原材料]
AlとCaOの複合酸化物の原材料であるAl(OH)は、その平均粒子径が55μm以上、好ましくは60μm以上160μm以下、より好ましくは90μm以上120μm以下である。ここで、平均粒子径とは、メディアン径を意味し、粒子径ごとに頻度(含有量)を積算し、含有量の累積が最小粒子径からはじめて50%になる点での粒子径である。なお、メディアン径の測定では、レーザ回折・散乱法を使用し、体積基準でD50を測定する。その他の測定方法として、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定、水銀圧入法による細孔分布測定、定容積膨張法による乾式密度測定を用いても良い。
【0055】
平均粒子径が上記範囲外であると、PFC分解処理剤としての所望の処理性能が得られず、短時間でCF除去率が95%以下に劣化してしまい、実用に耐えない。
【0056】
AlとCaOの複合酸化物の原材料であるCa(OH)の平均粒子径はAl(OH)の平均粒径によって変動するが、Al(OH)よりもCa(OH)の平均粒子径(メディアン径)は小さい方が好ましい。Ca(OH)の平均粒子径(メディアン径)としては、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは3μm以上8μm以下、最も好ましくは4μm以上6μm以下である。
【0057】
Al(OH)とCa(OH)とは、平均粒子径の大きいAl(OH)を核にして、その表層にCa(OH)が効率よく配置されることで活性が維持されると考えられる。よって、Ca(OH)の粒径がAl(OH)の平均粒径に比べて小さすぎるとAl(OH)の表面全体を隙間なく覆い、PFCとの接触を阻止して結果的にPFCの分解を阻害し、逆にCa(OH)の粒径がAl(OH)の平均粒径に比べて大きすぎるとPFC分解時のFとの接触効率が低下し結果的に分解が不充分となり、何れの場合もPFCの分解効率を下げると考えられる。
【0058】
上記混合物におけるAl(OH)とCa(OH)とのモル比は、3:7〜5:5、好ましくは3:7〜4:6である。Al(OH)とCa(OH)とのモル比が上記範囲外であると、PFC分解処理剤としての所望の処理性能が得られず、短時間でCF除去率が95%以下に劣化してしまい、実用に耐えない。
【0059】
[AlとCaOの複合酸化物の調製方法]
AlとCaOの複合酸化物は、上記混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲、好ましくは580℃〜850℃、より好ましくは650℃〜780℃の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られる。
【0060】
Al(OH)とCa(OH)との混合物の焼成温度は、脱水可能な温度であってかつ失活しない温度範囲であることが必要になる。Al(OH)の脱水温度は約270℃であり、Ca(OH)の脱水温度は約430℃であるから、少なくとも430℃以上であることが好ましい。温度範囲が890℃を超えると、CF除去率が低下する。これは、高熱処理により酸化アルミニウムが結晶化してしまい、活性が劣化することによると考えられる。なお、焼成温度は、排ガスを処理する処理温度と同程度かそれより低くすることが好ましい。
【0061】
Al(OH)とCa(OH)との混合物は、窒素流又は空気流中で焼成する。窒素流又は空気流は一定時間で流入方向を逆転させることが好ましい。焼成により進行する脱水反応の結果、発生する水分を混合物周囲に滞留させず、速やかに蒸発・退去させるためである。高熱高湿雰囲気でAl(OH)とCa(OH)との混合物を焼成し続けると、水分の存在により酸化アルミニウムが結晶化(活性点における微細構造レベルでの結晶化を意味する)してしまい、活性が劣化すると考えられる。よって、Al(OH)や焼成により得られる酸化アルミニウムなどの周囲に不活性ガスを流すことによって、発生する水分を速やかに除去することが必要である。窒素流又は空気流の向流気流は、例えば、Al(OH)とCa(OH)との混合物をカラムに充填して、カラムの上下から窒素流又は空気流を送るなどして与えることができる。
【0062】
焼成時間は特に限定されず、使用するAl(OH)とCa(OH)との量によっても変動するが、一般的に6〜12時間とするのが脱水効果やエネルギー消費効率の点で好ましく、8〜10時間とするのがさらに好ましい。技術的にはCa(OH)が脱水する温度(約430℃)まで昇温した後、さらに1〜2時間焼成することで充分であると考えられる。焼成温度に達するまでの昇温速度が速すぎると脱水が不充分な場合が生じ、遅すぎると経済的理由(エネルギーや時間を消費する)から好ましくない。通常は、100℃/hrの昇温速度が最適である。また、焼成時間が長すぎると、PFC分解処理剤が焼成中に燃料から発生するCOを過吸着してしまい、フッ素吸着性能が低下するので好ましくない。
【0063】
上記の調製方法により得られるAlとCaOの複合酸化物は、後述するXRD(X線回折)分析により示されるように非晶質AlとCaOとの複合酸化物である。上記複合酸化物における非晶質AlとCaOとの含有比は、モル比でAl:CaO=1:10.5〜1:12.5であるのが、PFC分解処理剤としての活性維持の点で好ましく、1:10.5〜1:12であるのが更に好ましい。
【0064】
[AlとCaOの複合酸化物の特性]
また上記の製法により得られるAlとCaOの複合酸化物は、その水分含量が5wt%よりも低いことが好ましく、0.8wt%以上5wt%以下であることがより好ましく、1.5wt%以上3.5wt%以下であるとさらに好ましい。なお、最も好ましくは、2.7wt%以下である。水分含量が高くなると、CF除去率が低下する。従来、水分含量が高いほどCF除去率は高くなると考えられており、フッ素含有被処理物の処理時には水分を添加していたことを考え合わせると、このPFC分解処理剤において水分含量が少ないほどCF除去率が高くなるという知見は特異的である。
【0065】
PFC分解処理剤には、さらに耐熱性向上剤を混合することもできる。耐熱性向上剤としては、ZrO、Laを好ましく挙げることができる。耐熱性向上剤の配合比率は、好ましくはAl(OH)1モルに対して0.01〜0.5モルであり、より好ましくはAl(OH)1モルに対して0.05〜0.4モルであり、最も好ましくはAl(OH)1モルに対して0.08〜0.35モルである。耐熱性向上剤の配合比率が上記範囲外であると、その使用温度においてPFC分解処理剤の結晶化が徐々に進んで、長期に渡る活性の維持が困難となる。
【0066】
PFC分解処理剤は、Al(OH)とCa(OH)の混合物の焼成品のNa含有量が0.03wt%以下であることが好ましい。Naが多量に存在すると、PFCの分解作用を起こす活性点にNa+が選択的に吸着してしまい、PFCの分解反応を阻害するので好ましくない。
【0067】
PFC分解処理剤には、さらに酸化力向上助剤を混合することもできる。酸化力向上助剤としては、Pd、Pt、Rh、Ruなどを好ましく挙げることができる。酸化力向上助剤の配合割合は、好ましくはAl(OH)1モルに対して0.005〜0.1モルであり、より好ましくはAl(OH)1モルに対して0.01〜0.07モルであり、最も好ましくはAl(OH)1モルに対して0.02〜0.05モルである。酸化力向上助剤の配合比率が上記範囲外であると、PFCのうち炭素数の多いCやC等の分解が進まず、比較的早期に除去性能の低下が始まる。
【0068】
PFC分解処理剤により処理することのできるフッ素含有化合物としては,CHF、CF、C、C、SF、NFなどのパーフルオロ化合物等を挙げることができる。このようなパーフルオロ化合物(PFC)を含むガスとしては、半導体工業で半導体製造装置の内面等をドライクリーニングする工程や、各種成膜をエッチングする工程で排出される排ガスなどを挙げることができる。
【0069】
また、PFC分解処理剤は、PFCなどに加えて、酸化性ガス、酸性ガスなども分解処理することができる。半導体製造工程から排出される排ガス中には、PFCばかりでなく、他にF、Cl、Br等の酸化性ガス、HF、SiF、COF、HCl、HBr、SiCl、SiBr等の酸性ガスなどが含まれる場合がある。従来、F、Cl、Br等の酸化性ガスを湿式処理する方法があるが、水だけでは完全に処理することができず、アルカリ剤や還元剤を併用するため管理や装置が複雑になる上にコストがかかる等の問題点があった。PFC分解処理剤によれば、これらの酸化性ガスや酸性ガスも、PFC等のフッ素含有化合物と共に分解処理することができる。
【0070】
[AlとCaOの複合酸化物の構造と反応]
AlとCaOの複合酸化物は、以下のように酸素を介して緩やかに結合していると考えられる。
【0071】
【化1】

【0072】
AlとCaOの複合酸化物をフッ素化合物と接触させると、(Al_O)部分の触媒作用により
CF→C+4F
の分解反応が進み、(O_Ca)部分からの酸素(O)とカルシウム(Ca)とにより
C+2O→CO
4F+2Ca→2CaF
の酸化還元反応が進むと考えられる。
【0073】
このように、AlとCaOの複合酸化物を用いてフッ素含有化合物を含む排ガスを処理すると、PFCが分解されて、反応途中にHF等の中間生成物が生成されることなく、フッ化カルシウム(CaF)が生成する。フッ化カルシウムは、フッ素製造の原料として知られる蛍石の主成分であり、酸で処理することによってフッ素ガスを発生させることができる。したがって、AlとCaOの複合酸化物を用いると、極めて効率的にフッ素含有化合物を含むガスからフッ素を再利用可能な形態で回収することができる。
【0074】
また、AlとCaOの複合酸化物と、フッ素含有化合物を含む被処理ガスとを接触させることを特徴とする、フッ素含有化合物を含む被処理ガスからのフッ素回収方法が提供される。このとき、AlとCaOの複合酸化物と、フッ素含有化合物を含む被処理ガスとを550℃〜850℃の温度で接触させることが好ましく、より好ましくは600〜800℃の範囲であり、約650℃〜750℃が最も好ましい。
【0075】
PFC分解処理剤のXRD分析チャートを図9に示す。上段のピークデータはPFC分解処理剤の生データからの解析ピークであり、下段のカードピークはライブラリーデータからのCaOの特性ピークである。得られたPFC分解処理剤のピークはCaOのライブラリーデータピークと完全に一致する。参考として図10に結晶性アルミナの標準X線回折スペクトルを示すが、PFC分解処理剤にはAlの特性ピークが見られない。また、Ca(OH)は全量が焼成によりCaOに変化しているといえる。これらのことから、本願で用いたPFC分解処理剤には、焼成により発生する水分がすべて除かれ、水熱反応が進まないため、結晶性Alが生じていないと考えられる。
[試験例]
【0076】
処理温度と、PFC分解処理剤の処理性能との関係を求めた。まず、次の条件でPFC分解処理剤を調整した。PFC分解処理剤は、Al(OH)の平均粒子径90μm、Ca(OH)の平均粒子径5μmを、Al(OH)とCa(OH)とのモル比での配合比率を3対7として混合し、ミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充てんし、これをセラミックス製管状炉に装着し、N 410mL/minを送気しながら、600℃で5時間焼成した。
【0077】
次に、このPFC分解処理剤49mLを図8に示すガス処理システムのミニカラムに充てんし、CF 流入濃度:1.0%、ガス流量:129ml/min、SV:158hr−1、処理温度:600℃、650℃、700℃で通ガスし、CF除去率が95%および90%に低下するまでの処理時間を求めた。なお、処理温度は、ミニカラム内の温度、つまりPFC分解処理剤の温度である。
【0078】
図11は、600℃、650℃、700℃での各処理温度ごとのCF除去率の経時変化を示す図である。
下記表1は、CFの除去率95%、および90%に至るまでの処理時間を各処理温度ごとに比較したものである。650℃での処理時間を1としたときの割合を示している。
【表1】

CFの除去率95%、および90%のどちらに至る場合も、処理温度が高いほど処理時間が長くなっている。つまり、処理されずに排出されるCFの量が5%、または10%に至るまでの時間は処理温度が高いほど長いことがわかる。
【0079】
下記表2は、CFの除去率95%、および90%に至るまでに処理されたCFの積算量を各処理温度ごとに比較したものである。650℃での処理量を1としたときの割合を示している。
【表2】

CFの除去率95%、および90%のどちらに至る場合も、処理温度が高いほど処理されたCFの積算量は多くなっている。つまり、処理されずに排出されるCFの量が5%、または10%に至るまでに処理されるCFの量は処理温度が高いほど多く、処理温度が高いほどPFC分解処理剤の活性が高いことがわかる。
【0080】
なお、本発明者らは、加熱によって装置内に発生する水分が蒸発せず水分過剰の状態になって、酸化アルミニウムがα化(結晶化)してアルミニウムの活性が低下すること(活性点での微細構造の変化、例えば、OH基が活性点に吸着することによる変質や活性点での局所的なα化が進み、不活性化すること)を確認し、焼成時に水分過剰の状態を回避して結晶化を阻止することでアルミニウムの活性を高く維持したPFC分解処理剤を得ることができることを見出し、PFC分解処理剤(AlとCaOの複合酸化物)を完成するに至った。さらに、AlとCaOの複合酸化物では、AlとCaOの単純混合物よりも分解処理剤としての処理性能を向上させることができることを解明した。
【0081】
以上、本発明の実施の形態については、半導体の製造過程における排ガスを処理する工程におけるものとして説明したが、半導体の製造過程における排ガスの処理に限定されるものではなく、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々の変更が加えられることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法で使用する排ガス処理装置の構成図(一部断面図)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理方法のフロー図である。
【図3】図2のフロー図にさらに処理工程を追加した場合のフロー図である。
【図4】処理温度とCFの流出濃度(CF検知濃度)の関係を表す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置の運転方法で使用する排ガス処理装置の構成図(一部断面図)である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置の運転方法のフロー図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る排ガス処理装置の構成図(一部断面図)である。
【図8】CF処理システムを示す概略図である。
【図9】PFC分解処理剤のXRD分析データである。
【図10】XRD分析による結晶性Alのライブラリーピークデータである。
【図11】各処理温度でのCF除去率の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
10 排ガス処理装置
11 反応槽
12 電気ヒーター
13 導入管
14 排出管
15 減圧機器
16 破過予告装置、ガス検知器
17 熱交換器
21 分解処理剤
30 排ガス処理装置
31 第1の反応槽
32 第2の反応槽
33 電気ヒーター
34 電気ヒーター
35 減圧機器
36 破過予告装置、ガス検知器
37 熱交換器
41、41−1、41−2 配管
42、42−1、42−2 配管
43 配管
44 配管
51 バルブ
52 バルブ
53 バルブ
54 バルブ
55 バルブ
56 バルブ
60 排ガス処理装置
61 温度センサー
62 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理温度で排ガスを分解処理剤によって処理し、前記排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を備える、排ガス処理方法であって;
前記所定の処理温度を処理開始温度にして、前記分解工程を開始し;
前記処理開始温度で前記排ガスを処理した後に、前記処理温度を変えて前記分解工程を繰り返す工程であって、前記分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する度に、前記処理温度を前記破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度より上昇させて、前記排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を、前記処理温度が予め定められた上限温度を超えるまで繰り返す工程を備える;
排ガス処理方法。
【請求項2】
前記分解処理剤は、AlとCaOの複合酸化物を含む分解処理剤である;
請求項1に記載の排ガス処理方法。
【請求項3】
前記複合酸化物は、平均粒子系(メディアン系)55μm以上160μm以下のAl(OH) と、Ca(OH) のモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる複合酸化物である;
請求項2に記載の排ガス処理方法。
【請求項4】
前記処理開始温度は、550〜650℃である;
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の排ガス処理方法。
【請求項5】
分解処理剤の充填された2つの直列に接続された反応槽を備える排ガス処理装置により排ガスを処理し、前記排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を備える排ガス処理装置の運転方法であって;
前記2つの反応槽のうち上流側の反応槽の処理温度を所定の処理開始温度にして、前記分解工程を開始し;
前記分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する度に、前記2つの反応槽のうち前記上流側の反応槽の処理温度を前記破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度より上昇させて、前記上流側の反応槽と下流側の反応槽で前記排ガス中の被分解ガスを分解する分解工程を、前記上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超えるまで繰り返す工程を備える;
排ガス処理装置の運転方法。
【請求項6】
前記上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超えた後に、前記上流側の反応槽と下流側の反応槽の接続順序を入れ替えて、新たに下流側に配置される反応槽を新しい分解処理剤が充填された反応槽と交換し、請求項5に記載の排ガス処理装置の運転方法を繰り返す;
排ガス処理装置の運転方法。
【請求項7】
排ガスを処理し、前記排ガス中の被分解ガスを分解する排ガス処理装置であって;
前記被分解ガスを分解処理する分解処理剤が充填された2つの反応槽と;
前記2つの反応槽を直列に接続し、前記2つの反応槽内に前記排ガスを導入する配管と;
前記配管上に設置され、開閉により直列に接続された前記2つの反応槽の上流側の反応槽と下流側の反応槽の順序を逆にするバルブと;
前記2つの反応槽の下流側に配置され、前記分解処理剤が破過に近づいた状態を検知する破過予告装置と;
前記上流側の反応槽の温度を検知する温度センサーと;
前記2つの反応槽で前記被分解ガスを分解した後、前記破過予告装置が前記分解処理剤の破過に近づいた状態を検知する度に、前記上流側の反応槽の処理温度を前記破過に近づいた状態が検知された時点での処理温度よりも上昇させることを、前記上流側の反応槽の処理温度が予め定められた上限温度を超えるまで繰り返す制御装置とを備える;
排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−149084(P2010−149084A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332459(P2008−332459)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】