分散干渉アライメントシステム
【課題】干渉アライメントを自律的に実現可能な分散干渉アライメント技術を提供する。
【解決手段】分散干渉アライメントシステムは、取得モジュール、判定モジュールおよびプリコーディングモジュールを備える。取得モジュールは、ソースデータを取得する。判定モジュールは、1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を表すデータを生成する。プリコーディングモジュールは、1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュールは、取得モジュールと通信可能に結合されており、ソースデータを取得する。プリコーディングモジュールは、プリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。
【解決手段】分散干渉アライメントシステムは、取得モジュール、判定モジュールおよびプリコーディングモジュールを備える。取得モジュールは、ソースデータを取得する。判定モジュールは、1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を表すデータを生成する。プリコーディングモジュールは、1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュールは、取得モジュールと通信可能に結合されており、ソースデータを取得する。プリコーディングモジュールは、プリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、干渉アライメントシステムに関する。詳細には、本明細書は、自律的に分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉アライメント(IA:Interference Alignment)は受信側での干渉を抑制するための技術である。この技術を適用することで、それぞれの送信側のシステムが送信信号を制御して、ノイズや干渉成分をアライメントさせて、受信側でノイズや干渉成分が無いようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011−519519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のIAシステムには多くの問題がある。例えば、既存のシステムでは、同じ無線資源を利用する全ての通信システムを同期して制御している。その結果、これらのシステムで安定した車車間通信を達成するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法を提供することで、少なくとも部分的に従来技術の不完全性および限界を打開する。本発明に係るシステムは、取得モジュール、判定モジュールおよびプリコーディングモジュールを備える。取得モジュールは、ソースデータを取り出す。判定モジュールは、取得モジュールに通信可能に接続される。判定モジュールは、1または複数の関連するIAグループに対する1または複数の要件を表すデータを生成する。プリコーディングモジュールは、判定モジュールに通信可能に接続される。プリコーディングモジュールは、1または複数の関連するIAグループに対する1または複数の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを計算する。プリコーディングモジュールは、取得モジュールにも通信可能に結合されて、ソースデータを受信する。プリコーディングモジュールは、プリコーディングベクタおよびソースデータに基づいて送信信号を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信システムによる自律的な処理によって干渉アライメントを実現することができる。また、その結果として安定した通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態における分散干渉アライメントシステムを説明する概要ブロック図である。
【図2】一実施形態における通信ノードを含む通信システムを詳細に説明するブロック図である。
【図3】一実施形態における通信モジュールを示すブロック図である。
【図4】一実施形態における記憶装置を示すブロック図である。
【図5】一実施形態における送信信号を制御する方法を示すフローチャートである。
【図6】一実施形態における送信信号を制御する方法の別の例を示すフローチャートである。
【図7】一実施形態における干渉を除去する方法を示すフローチャートである。
【図8A】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8B】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8C】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8D】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明および添付の図面は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定するものではない。図面においては、同様の要素には同一の参照符号を付してある。
【0009】
分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法について説明する。以下の説明では、本発明を十分に理解できるように、多くの詳細について説明する。しかしながら、各実施形態はこれらの具体的な詳細無しでも良いことは当業者にとって明らかであろう。また、説明が不明瞭になることを避けるために、構造や装置をブロック図の形式で表すこともある。たとえば、一実施形態は、ユーザインタフェースおよび特定のハードウェアとともに説明される。しかし、ここでの説明は、データおよびコマンドを受信する任意のタイプの計算装置および任意の周辺機器について適用できる。
【0010】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」等という用語は、その実施形態と関連づけて説明される特定の特徴・構造・性質が少なくとも本発明の一つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態における」等という用語は本明細書内で複数用いられるが、これらは必ずしも同一の実施形態を示すものとは限らない。
【0011】
以下の詳細な説明の一部は、非一時的(non-transitory)なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたデータビットに対する動作のアルゴリズムおよび記号的表現として提供される。これらのアルゴリズム的な説明および表現は、データ処理技術分野の当業者によって、他の当業者に対して自らの成果の本質を最も効果的に説明するために用いられるものである。なお、本明細書において(また一般に)アルゴリズムとは、所望の結果を得るための論理的な手順を意味する。処理のステップは、物理量を物理的に操作するものである。必ずしも必須ではないが、通常は、これらの量は記憶・伝送・結合・比較およびその他の処理が可能な電気的または磁気的信号の形式を取る。通例にしたがって、これらの信号をビット・値・要素・エレメント・シンボル・キャラクタ・項・数値などとして称することが簡便である
【0012】
なお、これらの用語および類似する用語はいずれも、適切な物理量と関連付いているものであり、これら物理量に対する簡易的なラベルに過ぎないということに留意する必要がある。以下の説明から明らかなように、特に断らない限りは、本明細書において「処理」「計算」「コンピュータ計算(処理)」「判断」「表示」等の用語を用いた説明は、コンピュータシステムや類似の電子的計算装置の動作および処理であって、コンピュータシステムのレジスタやメモリ内の物理的(電子的)量を、他のメモリやレジスタまたは同様の情報ストレージや通信装置、表示装置内の物理量として表される他のデータへ操作および変形する動作および処理を意味する。
【0013】
本発明は、本明細書で説明される動作を実行する装置にも関する。この装置は要求される目的のための特別に製造されるものであっても良いし、汎用コンピュータを用いて構成しコンピュータ内に格納されるプログラムによって選択的に実行されたり再構成されたり
するものであっても良い。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な、例えばフロッピー(登録商標)ディスク・光ディスク・CD−ROM・MOディスク・磁気ディスクなど任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体などの、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0014】
発明の具体的な実施形態は、完全にハードウェアによって実現されるものでも良いし、完全にソフトウェアによって実現されるものでも良いし、ハードウェアとソフトウェアの両方によって実現されるものでも良い。好ましい実施形態は、ソフトウェアによって実現される。ここでソフトウェアとは、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードやその他のソフトウェアを含むものである。
【0015】
さらに、ある実施形態は、コンピュータが利用あるいは読み込み可能な記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムプロダクトの形態を取る。この記憶媒体は、コンピュータや任意の命令実行システムによってあるいはそれらと共に利用されるプログラムコードを提供する。コンピュータが利用あるいは読み込み可能な記憶媒体とは、命令実行システムや装置によってあるいはそれらと共に利用されるプログラムを、保持、格納、通信、伝搬および転送可能な任意の装置を指す。
【0016】
プログラムコードを格納・実行するために適したデータ処理システムは、システムバスを介して記憶素子に直接または間接的に接続された少なくとも1つのプロセッサを有する。記憶素子は、プログラムコードの実際の実行に際して使われるローカルメモリや、大容量記憶装置や、実行中に大容量記憶装置からデータを取得する回数を減らすためにいくつかのプログラムコードを一時的に記憶するキャッシュメモリなどを含む。
【0017】
入力/出力(I/O)装置は、例えばキーボード、ディスプレイ、ポインティング装置などであるが、これらはI/Oコントローラを介して直接あるいは間接的にシステムに接続される。
【0018】
システムにはネットワークアダプタも接続されており、これにより、私的ネットワークや公共ネットワークを介して他のデータ処理システムやリモートにあるプリンタや記憶装置に接続される。モデム、ケーブルモデム、イーサネット(登録商標)は、現在利用可能なネットワークアダプタのほんの一例である。
【0019】
最後に、本明細書において提示されるアルゴリズムおよび表示は特定のコンピュータや他の装置と本来的に関連するものではない。本明細書における説明にしたがってプログラムを有する種々の汎用システムを用いることができるし、また要求された処理ステップを実行するための特定用途の装置を製作することが適した場合もある。これら種々のシステムに要求される構成は、以下の説明において明らかにされる。さらに、本発明は、任意の特定のプログラミング言語と関連づけられるものではない。本明細書で説明される本発明の内容を実装するために種々のプログラミング言語を利用できることは明らかであろう。
【0020】
<システム概要>
図1は、一実施形態に係る分散干渉アライメントを実現するためのシステム100のブロック図を示す。図示されるシステム100は、ユーザ125a、125b、125n(それぞれあるいは全体としてユーザ125と称する)によってアクセスされる通信システム103a、103b、103n(それぞれあるいは全体として通信システム103と称する)と、統合クラウドデータベース150とを含む。図示される実施形態では、通信システム103と統合クラウドデータベース150はネットワーク105を介して通信可能
に接続されている。例えば、通信システム103はネットワーク105を介して互いに通信可能に接続されており、ユーザ125と通信システム103の間で情報(例えば、交通情報)の送受信を可能とする。
【0021】
図1には3つの通信システム103a、103b、103nおよび1つの統合クラウドデータベース150が図示されているが、当業者であればネットワーク105に接続される通信システム103および統合クラウドデータベース150の数はいくつであっても良いことを理解できるであろう。さらに、図では1つのみのネットワーク105が通信システム103および統合クラウドデータベース150に接続されているが、当業者であれば、通信システム103および統合クラウドデータベース150に接続されるネットワークの数はいくつであってもよいことを理解できるであろう。
【0022】
ネットワーク105は、有線ネットワークであっても無線ネットワークであっても良く、また、スター型、トークンリング型やその他当業者に知られているその他の構成を取ることができる。さらに、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)や、複数の装置が通信可能な相互接続される任意のデータパスを含む。さらに別の形態では、ネットワーク105はピアツーピアネットワークであってもよい。ネットワーク105は、複数の異なる通信プロトコルでデータ送信するための通信ネットワークと接続されたり、そのような通信ネットワークを含んでいても良い。例えば、ネットワーク105は3Gネットワークや4Gネットワークである。さらに別の実施形態では、ネットワーク105は、ブルートゥース(登録商標)通信ネットワークや携帯通信ネットワークを含み、SMS(ショートメッセージサービス)、MMS(マルチメディアメッセージサービス)、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)、直接データ接続、WAP、電子メールなどのデータを送受信する。さらに別の実施形態では、ネットワーク105内の全てまたは一部のリンクは、既存の暗号技術によって暗号化される。このような暗号化技術は、SSL、セキュアHTTP、VPNなどを含む。
【0023】
本実施形態において、統合クラウドデータベース150は、信号線151や信号線153(無線リンク)を介してネットワーク105と通信可能に接続されている。通信システム103aは、無線リンク119を介してネットワーク105と通信可能に接続されている。ユーザ125aは、通信システム103aとやりとりする。信号線117はこのやりとりを示している。通信システム103b、103nとユーザ125b、125nもそれぞれ同様にやりとりする。
【0024】
通信システム103は、他の通信システム103との間でデータの送受信が行えるシステムであれば任意のものであって良い。通信システム103は、ネットワーク105を介して他の通信システム103と情報を交換する。通信シナリオにおいて信号を送信する通信システム103のことを、本明細書では、送信側通信システム103と称する。通信シナリオにおいて信号を受信する通信システム103のことを、本明細書では、受信側通信システム103と称する。一実施形態においては、通信システム103は、ネットワーク105に接続される、送信側通信システム103あるいは受信側通信システム103のいずれかとして機能する。別の実施形態においては、通信システム103は、ネットワーク105に接続される、送信側通信システム103および受信側通信システム103の両方として機能する。
【0025】
一実施形態では、通信システム103は車両に組み込まれる。車両に組み込まれるとは、通信システム103が車両に固定的に設置されることと、通信システム103が持ち運び可能でありユーザ125によって車両内に持ち込まれて使用されることの両方を意味する。別の実施形態では、通信システム103は路側機に含まれる。例えば、車両内の通信
システム103は情報(例えば、安全警告や渋滞情報)を、他の車両内の通信システム103と交換する。
【0026】
本実施形態では、通信システム103aは、アンテナ110および通信ノード101を有する。アンテナ110は、信号線111を介して通信ノードに通信可能に結合される。アンテナ110および通信ノード101は通信システム103aについてのみ示されているが、当業者であれば、他の通信システム103もこれらの要素を有することを理解できるであろう。アンテナ110は、信号線119(無線リンク)を介してネットワーク105と通信可能に接続される。
【0027】
統合クラウドデータベース150は、ネットワーク105からアクセス可能なオンラインデータベースである。例えば、統合クラウドデータベース150は、異なる企業によってホスティングされる複数の仮想サーバ上にデータが格納されるデータベースである。一実施形態においては、統合クラウドデータベース150は、システム100の機能を提供するための任意のデータを格納する。別の実施形態では、統合クラウドデータベース150は、車両内の通信システムから受信されたデータを格納する。
【0028】
<通信ノード101>
図2は、通信システム103の実施形態200を示しており、ここでは通信ノード101がより詳細に示されている。図示される通信ノード101は、制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230を有する。制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230は図2において1つのみしか描かれていないが、当業者であれば任意の数の制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230を通信ノードが有して良いことを理解できるであろう。さらに、当業者であれば、通信ノード101は、図2に示されていない要素、例えばカメラや入力装置などを含んでも良いことが分かるであろう。
【0029】
図示される実施形態では、センサ231は信号線221を介して制御部202と通信可能に接続されている。インタフェース212は、信号線215を介して制御部202と通信可能に接続されている。ユーザ125aは、インタフェース212とやりとりし、信号線117はこのやりとりを表している。記憶装置240は、信号線241を介して制御部202と通信可能に結合されている。送受信部230は、信号線213を介して制御部202と通信可能に結合されている。送受信部230は、信号線111を介してアンテナ110とも通信可能に結合されている。
【0030】
通信ノード101は、信号を送信し、受信した信号を処理できる装置であれば、どのようなものであっても良い。例えば、通信ノード101は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)装置である。一実施形態においては、通信ノード101は車両内に
組み込まれる。別の実施形態では、通信ノード101は、路側機内に組み込まれる。
【0031】
一実施形態においては、通信ノード101は、アンテナ110を介して信号を送受信する。アンテナ110は、ネットワーク105との間で無線により信号を送受信する。一実施形態においては、車両内の通信ノード101は、ネットワーク105を介して、他の車両内の通信ノード101との間で信号を送受信する。別の実施形態においては、車両内の通信ノード101は、路側機に組み込まれた通信ノード101との間で信号を送受信する。
【0032】
制御部202は、任意のプロセッサ型の計算装置である。例えば、制御部202は、車両内に実装される電子制御ユニット(ECU)である。一実施形態では、制御部202は
、システムオンチップ(SOC)のような単一の集積回路を用いて実装される。一実施形態では、制御部202は、センサ231からセンサ信号を受信する。制御部202は、このセンサ信号を処理する。制御部202は、処理されたセンサ信号に基づいてセンサデータを生成する。制御部202は、センサデータを記憶装置240に送って記憶する。例えば、制御部202は、車両の速度を表すセンサ信号を受信する。制御部202は、このセンサ信号を解析して、少なくとも部分的に解析結果に基づいてセンサデータを生成する。生成されたセンサデータは、車両の速度を示す。制御部202は、その後センサデータを記憶装置240へ送って記憶する。
【0033】
一実施形態では、制御部202は、センサデータに基づいてソースデータを生成する。ソースデータは、センサデータに基づいて生成されるデータであり、他の車両に送信する送信データに含めるデータである。例えば、制御部202は、センサデータに基づいて車両にとって有用な情報を決定する。制御部202は、車両にとって有用な情報を記憶装置240へ送る。記憶装置240は、この情報をソースデータとして記憶する。例えば、センサデータは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれか、またはこれらのうちの複数を含む。車両の状態は、例えば、正常または制御不能を表すものである。車両の動作は、例えば、加速、車線変更、高速道路からの離脱などである。一実施形態では、制御部202はソースデータを送受信部230へ送り、車両にとって有用な情報を他の車両内の通信システム103に提供する。
【0034】
一実施形態では、制御部202は送受信部230からの着信データを受信する。着信データは、他の車両から送信される信号から生成されるデータである。例えば、送受信部230を介して他の車両内の通信システム103からの信号が受信される。送受信部230は、受信した信号を処理して、着信データを生成する。制御部202は、着信データを記憶装置240へ格納する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれか、またはこれらのうちの複数を含む。一実施形態では、着信データは、他の車両内の通信システム103から渡された、車両にとって有用な情報を含む。
【0035】
一実施形態では、制御部202は、インタフェース212を介してユーザ125に受信した着信データを表示する。例えば、制御部202は、前方に濃い霧があることを示す着信データを受信する。制御部202は、「前方に濃霧あり」というメッセージをインタフェース212上に表示して、ドライバーなどのユーザ125に対してメッセージを伝える。他の実施形態では、制御部202は、音声案内により着信データをユーザ125へ通知する。
【0036】
一実施形態では、制御部202はプロセッサ(不図示)を含む。別の実施形態では、制御部202は、メモリ(不図示)やI/Oインタフェース(不図示)などの制御部が従来持つような他の要素を含む。
【0037】
プロセッサ(不図示)は、演算論理ユニット、マイクロプロセッサ、汎用制御装置や、その他のプロセッサアレイを有し、計算を実行したり記憶装置240に格納されたデータを取得したりする。プロセッサはデジタル信号を処理する。プロセッサのアーキテクチャはCISC(Complex Instruction Set Computer)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)、これら両方の命令セットの組合せとして実装されたアーキテクチャなど任意である。プロセッサの処理能力は、画像の表示や、画像の取得および送信に限られていても構わない。プロセッサの処理能力は、様々なタイプの特徴量抽出などのようなより複雑な処理を実行できるようなものであっても良い。当業者であれば、その他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサ、表示装置および物理的構成を採用可能であることは明らかであろう。
【0038】
送受信部230は、少なくともソースデータに基づいて送信信号を生成し、アンテナ110から受信される信号を処理可能な計算装置であれば、任意のものであって良い。本実施形態では、送受信部230は、受信モジュール232と送信モジュール234を含む。図では送受信部230に対して1つの受信モジュール232と送信モジュール234のみが示されているが、当業者であれば、受信モジュール232と送信モジュールの数は任意であって良いことを理解できるであろう。
【0039】
受信モジュール232は、受信信号を処理するためのコードおよびルーチンである。例えば、受信モジュール232は、無線信号を、無線変調波から、音声や映像などの利用可能な情報に変換する。一実施形態では、受信モジュール232は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアを用いて実装される。別の実施形態では、受信モジュール232はハードウェアとソフトウェアの両方を用いて実装される。
【0040】
一実施形態においては、受信モジュール232は受信信号を着信データに変換する。例えば、受信モジュール232はアンテナ110を介してネットワーク105から無線信号を受信する。この無線信号は、他の通信システム103から送信されるものである。受信モジュール232は、受信した無線信号に対して、復調や復号などの処理を施す。受信モジュール232は、処理された無線信号に少なくとも部分的に基づいて、利用可能なデータを決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれかまたはこれらのうちの複数を表す。
【0041】
一実施形態では、受信モジュール232は受信信号から干渉信号を除去する。例えば、受信信号には、所望信号の他に1つまたは複数の干渉信号が含まれる。この干渉信号は、後述するようなIA制御によって、所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に存在する。したがって、受信モジュール232は、干渉信号と所望信号とを容易に区別することができる。そして、受信モジュール232は、受信信号から干渉信号を取り除く。例えば、受信モジュール232は、干渉信号が含まれる信号部分空間内の信号をフィルタリングすることによって、受信信号から干渉信号を取り除く。このようにして、受信モジュール232は所望信号を取得する。一実施形態では、受信モジュール232は、所望信号に基づいて着信データを生成する。
【0042】
一実施形態では、受信モジュール232は、着信データを制御部202に送る。制御部202は、着信データを記憶装置240へ送って記憶する。一実施形態では、制御部202は、インタフェース212上でユーザ125に対して着信データを表示する。例えば、着信データは、車が前方の交差点で動けないことを示す。制御部202は、「前方の交差点で車が動けない」というメッセージをインタフェース212上に表示して、ドライバーなどのユーザ125に対してメッセージを伝える。
【0043】
送信モジュール234は、送信信号を生成するためのコードおよびルーチンである。例えば、送信モジュール234は無線信号を生成する。送信モジュール234はアンテナ110に無線信号を送り、ネットワーク105に対して無線信号を送信する。一実施形態では、送信モジュール234は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC
(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアを用いて実装される
。別の実施形態では、送信モジュール234はハードウェアとソフトウェアの両方を用いて実装される。
【0044】
一実施形態では、送信モジュール234はソースデータに基づいて送信信号を生成する。例えば、送信モジュール234は制御部202からソースデータを受信する。送信モジ
ュール234はソースデータに対して変調や符号化などの処理を施す。送信モジュール234は、処理されたソースデータに基づいて送信信号を生成する。送信モジュール234は、アンテナ110を介してネットワーク105へ送信信号を送る。一実施形態では、送信モジュール234は、制御部202を介して送信信号を記憶装置240へも送る。
【0045】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連する干渉アライメント(IA:Interference Alignment)グループを決定する。例えば、IAグループは、ある受信側通信システム103に対する干渉領域内に位置する1つまたは複数の送信側通信システム103から構成される。干渉領域は、干渉範囲閾値によって画定される。送信側通信システム103(送信モジュール234を含む)に関連するIAグループとは、その送信側通信システム103が属するIAグループである。したがって、一実施形態では、送信モジュール234は、当該送信モジュール234を含む送信側通信システム103が属するIAグループを検出することにより、関連するIAグループを決定する。説明の明確化および簡素化のために、本明細書では送信側通信システム103に対する言及を省略することがある。例えば、以下では、上記のシナリオを、送信モジュール234が当該送信モジュール234の属するIAグループを検出すると記述する。
【0046】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連IAグループに対する要件を決定する。例えば、関連IAグループに対する要件とは、全ての干渉信号が所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に存在するようにするためのIA制御を実現するための制約条件である。
【0047】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連IAグループに対する要件に少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを算出する。例えば、プリコーディングベクトルは、複数の信号に対する1つまたは複数のウェイト(重み)である。一実施形態においては、送信モジュール234は、プリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。例えば、送信モジュール234は、ソースデータにプリコーディングベクトルを掛けて、送信信号を生成する。
【0048】
送信モジュール234の詳細は、図3を参照しながら後ほど説明する。
【0049】
センサ231は、データを収集するための既存のセンサであり、どのようなデータを収集するかや、センサのタイプなどは任意であって良い。例えば、LIDAR(光検出および測距)センサ、赤外線センサ、モーションセンサ、温度センサ、音感センサなどを、センサ231の例として挙げることができる。当業者であれば、その他のタイプのセンサも利用可能であることを理解できるであろう。一実施形態においては、センサ231は車両に関する状態を測る。センサ231は、測定に基づいて現在の状態を表すセンサ信号を生成する。例えば、センサ231は、車両の操舵角、ブレーキ操作量、速度、加減速度や、車両内の温度や、フォグライトが点灯しているか否か、ワイパーが作動しているか否かなどを測定する。センサ231は、これらの測定結果を表すセンサ信号を生成する。別の実施形態では、センサ231は、車両の外部である環境の状況を測定し、その測定結果を表すセンサ信号を生成する。例えば、センサ231は、環境の湿度を測定して、その測定結果を表すセンサ信号を生成する。センサ231は、センサ信号を制御部202へ送る。
【0050】
一実施形態においては、通信ノード101は、異なるタイプの複数のセンサ231を有する。例えば、通信ノード101は、車両のハンドル装置の操舵角を監視する第1のセンサ231と、車両の速度を監視する第2のセンサ231と、車両のブレーキ装置のブレーキ操作量を監視する第3のセンサを有する。
【0051】
一実施形態では、通信ノード101は、制御部202に接続されるカメラ(不図示)も
有する。カメラは、画像を記録するための光学装置である。例えば、カメラは、車両が道路上を走行中に、車両の外部にある、道路、交通信号、車両、道路を横断する歩行者などの画像を撮像する。一実施形態では、カメラは画像を取得して、センサデータとして記憶装置240に格納する。一実施形態では、カメラは車両の前方に取り付けられる。他の実施形態では、カメラは車両の別の部分に取り付けられる。一実施形態では、カメラは動画を撮影可能である。動画は、車両が走行中における道路周辺の環境を表す複数の連続するフレームを含む。カメラは画像を制御部202へ送る。制御部202は、この画像に少なくとも部分的に基づいて、ソースデータ(例えば、交通情報や安全情報)を決定する。
【0052】
インタフェース212は、ユーザ125と制御部202の間のやりとりを処理するように構成された装置である。例えば、インタフェース212は、ユーザ125からの入力を受け取るタッチスクリーンや、ユーザ125が発する音声入力を取得するマイクなどを含む。インタフェース212は、ユーザ125からの入力を制御部202へ送る。一実施形態では、インタフェース212は、制御部202からの出力をユーザ125へ伝えるように構成される。例えば、インタフェース212は、ユーザ125に対して安全警告を知らせる音声案内を再生するオーディオシステムを含む。他の実施形態では、インタフェース212は路面状況をユーザ125に伝える表示装置を含む。当業者であれば、インタフェース212は、ここで記載された機能を提供するためのその他の任意のタイプの装置を含むことを理解できるであろう。
【0053】
ユーザ125aは、人間である。一実施形態では、ユーザ125aは、道路上の車両を運転するドライバーである。ユーザ125aは、インタフェース212とやりとりするか、あるいはその他の方法で入力を提供する。インタフェース212は、制御部202との間で種々のタイプのデータを送受信する。例えば、インタフェース212はタッチスクリーンであり、ユーザ125aはタッチスクリーンの一部を指やスタイラスなどで触ることで入力指示を提供する。
【0054】
記憶装置240は、データを格納する非一時的(non-transitory)なメモリである。例えば、記憶装置240は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリやその他の既存のメモリ装置である。一実施形態では、記憶装置240は、不揮発性のメモリや永久記憶装置を含んでも良い。例として、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD−ROM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、DVD−RW装置、フラッシュメモリ装置などが挙げることができるが、その他の既存の不揮発性記憶装置を採用しても良い。記憶装置240の詳細は、図4を参照しながら後ほど説明する。
【0055】
<送信モジュール234>
図3には、送信モジュール234の詳細が示されている。図3は、一実施形態にかかる送信モジュール234を示すブロック図である。送信モジュール234は、通信モジュール301、取得モジュール303、判定モジュール305、プリコーディングモジュール307、GUIモジュール311を含む。送信モジュール234のこれらの要素は、バス320に通信可能に接続されており、互いに通信可能である。本実施形態では、プロセッサ335は、信号線336を介してバス320に通信可能に接続されている。データ格納装置380は、信号線382を介してバス320に通信可能に接続されている。
【0056】
プロセッサ335は、算術演算回路、マイクロプロセッサ、汎用制御装置や、その他のプロセッサアレイを有し、計算を実行したりデータ格納装置380に格納されたデータを取得したりする。プロセッサ335はデジタル信号を処理する。プロセッサ335のアーキテクチャはCISC(Complex Instruction Set Computer)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)、これら両方の命令セットの組合せとして実装されたアーキテクチャなど任意である。プロセッサ335の処理能力は、画像の表示や、画像の取得および
送信に限られていても構わない。プロセッサの処理能力は、様々なタイプの特徴量抽出やサンプリングなどのようなより複雑な処理を実行できるようなものであっても良い。当業者であれば、その他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサ、表示装置および物理的構成を採用可能であることは明らかであろう。
【0057】
データ格納装置380は、データを格納する非一時的(non-transitory)な記憶媒体である。例えば、データ格納装置380は、どのようなメモリでも構わない。データ格納装置380は、送信モジュール234がその機能を実現するために必要なデータを格納する。例えば、データ格納装置380は、制御部202から受け取ったソースデータを記憶あるいはバッファするために格納する。また別の例として、データ格納装置380はプリコーディングモジュール307から受け取った1つまたは複数の送信信号を、記憶あるいはバッファするために格納する。
【0058】
通信モジュール301は、送信モジュール234の各要素と通信ノード101の他の要素との間での通信を処理するための、コードおよびルーチンである。例えば、通信モジュール301は、取得モジュール303からソースデータの要求を受け取り、制御部202にソースデータの要求を送る。別の例では、通信モジュール301は、制御部202からソースデータを受け取り、取得モジュール303にソースデータを配信する。通信モジュール301は、信号線322を介してバス320に通信可能に接続されている。
【0059】
一実施形態では、通信モジュール301は、プリコーディングモジュール307から1つまたは複数の送信信号を受け取り、この送信信号をアンテナ110へ送る。アンテナ110は、この送信信号をネットワーク105へ送信する。一実施形態では、通信モジュール301は、送信信号をアンテナ110へ配信する前に増幅する。例えば、通信モジュール301は、従来の増幅技術を用いて送信信号を増幅する。
【0060】
別の実施形態では、通信モジュール301は、GUIモジュール311からグラフィックデータを受け取る。通信モジュール301は、制御部202を介してインタフェース212にグラフィックデータを送信し、ユーザ125に情報提示を行う。例えば、グラフィックデータは、送信ソースデータ(例えば、安全警告、交通情報、路面状況、車両の状態や動作など)をユーザ125に表示するためのユーザインタフェースを生成するために用いられる。
【0061】
一実施形態では、通信モジュール301は、送信モジュール234以外の要素からデータを受け取り、制御部202を介してそのデータを記憶装置240へ格納する。例えば、通信モジュール301は、判定モジュール305から1つまたは複数の関連IAグループの1つまたは複数の要件を表すデータを受け取る。そして通信モジュール301は、この1つまたは複数の関連IAグループの1つまたは複数の要件を表すデータを、制御部202を介して記憶装置240に格納する。別の例では、通信モジュール301はプリコーディングモジュール307から一つ以上のプリコーディングベクトルと一つ以上の送信信号を受け取る。通信モジュール301は、制御部202を介して一つ以上のプリコーディングベクトルと一つ以上の送信信号を記憶装置240に格納する。
【0062】
一実施形態においては、通信モジュール301は、送信モジュール234内の他のサブモジュール303、305、307、311間の通信も取り扱う。例えば、通信モジュール301は、判定モジュール305およびプリコーディングモジュール307と通信し、判定モジュール305の出力(例えば一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を示すデータ)をプリコーディングモジュール307に渡す。説明の明確化および簡素化のために、本明細書では通信モジュール301に対する言及をしばしば省略することがある。たとえば、明確さと便宜のために、上記のシナリオは、判定モジュールモジュール305
が、1つ以上の関連IAグループについての1つ以上の要件を表すデータを、プリコーディングモジュール307へ渡す、と記述する。
【0063】
取得モジュール303は、データを取得するためのコードおよびルーチンである。一実施形態においては、取得モジュール303は、制御部202を介して記憶装置240からデータを取得する。取得モジュール303は、データを送信モジュール234の他の構成要素に送る。一実施形態においては、取得モジュール303はデータ格納装置380にもデータを送って、記憶またはバッファリングする。取得モジュール303は、信号線324を介してバス320と通信可能に接続されている。
【0064】
一実施形態においては、取得モジュール303はソースデータ要求を生成する。たとえば、取得モジュール303は最新の交通情報を記述しているソースデータを求める要求を生成する。別の例では、取得モジュール303は安全警告を示しているソースデータを求める要求を生成する。一実施形態においては、取得モジュール303は通信モジュール301を介して制御部202にソースデータを求める要求を送る。制御部202は、ソースデータを記憶装置240から取り出し、通信モジュール301を介してソースデータを取得モジュール303へ送る。取得モジュール303は、ソースデータをプリコーディングモジュール307に送る。
【0065】
別の実施形態においては、取得モジュール303は一つ以上の送信信号を求める要求を生成する。取得モジュール303は、要求を制御部202に送る。制御部202は、一つ以上の送信信号を記憶装置240から取り出し、通信モジュール301を介して取得モジュール303に一つ以上の送信信号を配信する。取得モジュール303は、この一つ以上の送信信号をアンテナ110に送って送信する。
【0066】
一実施形態においては、取得モジュール303はデータを求める要求を定期的に送る。たとえば、取得モジュール303は、所定の時間間隔(例えば1秒、5秒、30秒、1分、5分など)で、制御部202にソースデータを求める要求を送る。別の実施形態においては、データが生成されると、取得モジュール303はデータを取得する。たとえば、ソースデータが制御部202によって生成および保存されると、取得モジュール303はそのソースデータを取得する。たとえば、制御部202は、センサ231からの一つ以上のセンサ信号に少なくとも部分的に基づいてセンサデータを生成する。そして、制御部202は、このセンサデータに基づいてソースデータを生成する。たとえば、ソースデータは道路状態を示す。制御部202は、ソースデータを記憶装置240に送って記憶する。制御部202も、ソースデータを取得モジュール303に送る。
【0067】
判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定するためのコードおよびルーチンである。たとえば、判定モジュール305は送信モジュール234(判定モジュール305を含んでいる)が属している一つ以上のIAグループを見つけることによって、一つ以上の関連IAグループを決定する。そして、判定モジュール305は、この一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。判定モジュール305は、信号線326を介してバス320と通信可能に結合されている。
【0068】
一実施形態においては、判定モジュール305は、干渉範囲閾値に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、制御部202を介して記憶装置240からセンサデータを取り出す。センサデータは、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)と受信側通信システム103の間の距離の測定値を記述するものである。取り出すセンサデータは、送信側通信システム103の位置を記述するものと、受信側通信システム103の位置を記述するものとし、これらのセンサデータから両者間の距離を算出しても
構わない。判定モジュール305は、距離の測定値を干渉範囲閾値と比較する。たとえば、干渉範囲閾値は、50メートル以上100メートル以下である。別の例では、干渉範囲閾値は、50メートル以上数百メートル以下である。距離測定値が干渉範囲閾値より大きくなければ、判定モジュール305は、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)が受信側通信システム103のIAグループに属していると判定する。このIAグループは、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)の関連IAグループである。同様に、判定モジュール305は送信側通信システム103の他の関連IAグループを決定することができる。
【0069】
別の実施形態においては、判定モジュール305は予め定められた制御方法に少なくとも部分的に基づいて、一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、制御部202を介して記憶装置240からセンサデータを受信する。このセンサデータが、予め定められた制御方法のためのパラメータとして使われる。たとえば、このパラメータは、車両の速度、温度、湿気、環境状態などを含む。判定モジュール305は、パラメータに基づく予め定められた制御方法を用いて、一つ以上の関連IAグループを決定する。
【0070】
一実施形態においては、関連IAグループが決定されると、判定モジュール305はその関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。判定モジュール305は、関連IAグループの要件を表すデータを生成する。たとえば、この要件は、関連IAグループに対する次のような制約条件である。すなわち、受信側通信システム103において各干渉信号が所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間になるようにIA制御を実現するための、関連IAグループに対する制約条件である。干渉信号は、したがって、受信側通信システム103で簡単に除くことができる。一実施形態においては、判定モジュール305はすべての関連IAグループについてすべての要件を決定する。送信信号は、IA制御を実現するためのこれら全ての要件を満たすように制御される。
【0071】
干渉信号は、受信側通信システム103で希望されない信号である。一実施形態においては、受信側通信システム103の通信領域の外からの信号は、受信側通信システム103への干渉信号である。他の実施形態において、通信領域の外からの信号は、干渉信号と異なる信号である。所望信号は、受信側通信システム103の通信領域内からの信号である。たとえば、通信領域は、受信側通信システム103を中心とする円形領域である。この円形領域の半径は、たとえば、0メートルから50メートルである。
【0072】
一実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を、予め定められた方法を用いて決定する。たとえば、予め定められた方法は、前の経験に基づく。判定モジュール305は、予め定められた方法を適用することによって、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を表すデータを生成する。
【0073】
一実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータをプリコーディングモジュール307に送る。別の実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを記憶装置240にも送って記憶する。さらに別の実施形態では、判定モジュール305は一つ以上の関連IAグループのための一つ以上の要件を記述しているデータをデータ格納装置308へ送って記憶あるいはバッファリングする。
【0074】
プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルを生成し、一つ以上の送信信号を生成するためのコードおよびルーチンである。たとえば、プリコーディングモジュール307は一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述して
いるデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータを用いて、一つ以上の送信信号を生み出す。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の送信信号を通信モジュール301を介してアンテナ110に送って送信する。一実施形態では、プリコーディングモジュール307は、制御部202を介して一つ以上の送信信号を記憶装置240へも送って記憶する。別の実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、データ格納装置380に一つ以上の送信信号を送って記憶またはバッファリングする。プリコーディングモジュール307は、信号線328を介してバス320と通信可能に結合されている。
【0075】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを判定モジュール305から受ける。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを計算する。たとえば、プリコーディングモジュール307は一つ以上のプリコーディングウェイト(precoding weight)を含むプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングベクトルは、一つ以上の受信信号が受信側通信システム103において整列するように一つ以上の送信信号を制御するために用いられる。一実施形態において、プリコーディングモジュール307は、すべての関連IAグループのすべての要件を記述しているデータに基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。
【0076】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。たとえば、プリコーディングモジュール307は、取得モジュール303からソースデータを受け取る。プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルにソースデータを乗算して、一つ以上の送信信号を生成する。プリコーディングモジュール307は、この一つ以上の送信信号をアンテナ110に送って送信する。このように、一つ以上の送信信号は、受信側通信システム103において干渉アライメント(IA)が実現するように制御される。
【0077】
一実施形態においては、受信側通信システム103は、送信時に一つ以上の送信側通信システム103によって制御される一つ以上の送信信号を受ける。この一つ以上の送信信号は、受信側通信システム103にとって干渉信号または所望信号でありえる。
【0078】
一実施形態において、受信側通信システム103で、各々の干渉信号は、一つ以上の所望信号が存在する信号部分空間と異なる1つの信号部分空間に整列されている。たとえば、2つ以上の干渉信号は、所望信号が存在する部分空間と異なる同一の部分空間に存在する。他の実施形態においては、受信側通信システム103で、2つ以上の干渉信号は、異なりはするが互いに近い部分空間に存在する。たとえば、2つ以上の干渉信号は、空間距離という意味において、または、相関関係という意味において互いの近くに存在する。これら2つ以上の干渉信号が存在する部分空間は全て、所望信号が存在する部分空間と異なる。したがって、受信側通信システム103は、これら2つ以上の干渉信号を簡単に取り除くことができる。
【0079】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、他の送信側通信システム103からの送信信号と同期して受信側通信システム103に達するように、一つ以上の送信信号を制御する。たとえば、同じIAグループ内の全ての通信システム103(各々がプリコーディングモジュール307を含む送信モジュール234を含んでいる)は、IAグループの要件を満たすために、時間同期して送信信号を送る。このように、同じIAグループのすべての送信側通信システム103は、同期して受信側通信システム103
に達するように、送信信号を制御する。他の例では、同じIAグループのすべての送信側通信システム103は、上記とは異なった協調的な方法で送信信号を制御して、受信側通信システム103に同期して達するようにする。
【0080】
GUIモジュール311は、ユーザ125にグラフィックデータを与えるためのコードおよびルーチンである。GUIモジュール311は、信号線332を介してバス320と通信可能に結合されている。一実施形態においては、GUIモジュール311は、ソースデータが送られたことをユーザ125に通知するユーザインタフェースを表すためのグラフィックデータを生み出す。たとえば、ソースデータは、「路面が凍結している」などの安全警告を示す。グラフィックデータは、「『路面が凍結している』という警告が送信された」などの安全警告が送信されたことを表示するユーザインタフェースを生成するために用いられる。別の実施形態では、GUIモジュール311は、ユーザ125が通信システム103に情報を入力するユーザインタフェースを描くためのグラフィックデータを生成する。GUIモジュール311は、生成されたグラフィックデータをインタフェース212に送り、インタフェース212がユーザ125にユーザインタフェースを提供する。
【0081】
<記憶装置240>
図4は、一実施形態における記憶装置240を示しているブロック図400である。記憶装置240は、センサデータ401、ソースデータ403、IAグループ要件データ405、プリコーディングベクトルデータ407、送信信号データ409と着信データ411を含む。当業者であれば、記憶装置240がここに記述される機能を提供するために他のデータを含んでもよいことを理解できるだろう。
【0082】
センサデータ401は、センサ231からの一つ以上のセンサ信号に基づいて制御部202によって生成されるデータである。たとえば、センサデータ401は、ブレーキデータ、速度データ、ステアリングデータ、ワイパーデータ、ライトデータ、温度データなどの一つ以上を含む。センサデータ401は、車両と関連した一つ以上の環境要因を含む。一つ以上の環境要因は、気象データ、道路タイプデータ、交通データと状況タイプデータなどを含む。別の例では、センサデータ401は、制御部202に結合されたカメラから取得される一つ以上の画像も含む。
【0083】
ソースデータ403は、センサデータ401に基づいて制御部202によって生成されるデータである。ソースデータは、送信データを生成するために用いられる。たとえば、ソースデータ403は交通状況、安全警告、路面状態、車両の状態や動作や、車両にとって有用なその他の情報を記述しているデータを含む。
【0084】
IAグループ要件データ405は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータである。たとえば、要件は関連IAグループがIA制御を実現するための制約条件である。
【0085】
プリコーディングベクトルデータ407は、一つ以上のプリコーディングベクトルを含む。たとえば、プリコーディングベクトルは一つ以上のプリコーディングウェイトを含む。プリコーディングベクトルは、受信側通信システム103において整列して受信される一つ以上の送信信号を生成するために用いられる。
【0086】
送信信号データ409は、一つ以上の送信信号を含む。たとえば、一つ以上の送信信号は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに基づいて生成される。プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを乗算することによって、一つ以上の送信信号を生み出す。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の送信信号を記憶装置240に送って、記憶する。
【0087】
着信データ411は、他の通信システム103からの信号に基づいて受信モジュール232によって生成されるデータである。たとえば、受信モジュール232は他の通信システム103から一つ以上の信号を受け取る。受信モジュール232は、受信した信号を処理して、この信号に基づいて利用可能な情報を決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。受信モジュール232は、制御部202を介して着信データを記憶装置240に保存する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれかまたはこれらのうちの複数を表す。
【0088】
<方法>
ここでは図5から図7を参照して、本発明に係る方法の種々の実施形態について説明する。
【0089】
図5は、一実施形態における送信信号の制御方法を示すフローチャートである。取得モジュール303は、ソースデータを取得する(502)。ソースデータは、センサデータに基づいて生成される。たとえば、ソースデータは交通状況、安全警告、その他の一つ以上を含む。一実施形態においては、取得モジュール303はソースデータを求める要求を生成する。取得モジュール303は、ソースデータを求める要求を、通信モジュール301を介して制御部202に送る。制御部202はソースデータを記憶装置240から取り出して、ソースデータを取得モジュール303に送る。
【0090】
ステップ504で、プリコーディングモジュール307は送信信号を生成する。一実施形態において、プリコーディングモジュール307は取得モジュール303からソースデータを受け取る。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを判定モジュール305から受け取る。そして、プリコーディングモジュール307は一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュール307は、ソースデータと一つ以上のプリコーディングベクトルに少なくとも部分的に基づいて一つ以上の送信信号を生成する。例えば、プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを掛けて、一つ以上の送信信号を生成する。
【0091】
ステップ506で、プリコーディングモジュール307は送信信号を送る。たとえば、プリコーディングモジュール307はアンテナ110に一つ以上の送信信号を送る。アンテナ110は、一つ以上の送信信号をネットワーク105に送る。ネットワーク105に結合している一つ以上の他の通信システム103は、一つ以上の送信信号を受けることができる。
【0092】
図6は、別の実施形態における送信信号を制御する方法600の別の例を示すフローチャートである。取得モジュール303は、ソースデータを取得する(602)。一実施形態では、取得モジュール303は、制御部202を介してソースデータを記憶装置240から取得する。ソースデータは、交通状況、安全警告、その他の一つ以上を含む。
【0093】
ステップ604で、判定モジュール305は関連IAグループを決定する。関連IAグループは、送信モジュール234(判定モジュール305を含んでいる)が属しているIAグループである。一実施形態においては、判定モジュール305は干渉範囲閾値に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)と他の通信システム103の間の距離を、80メートルのような干渉範囲閾値と比較する。そして、判定モジュール305は、比較に基づいて一つ以上の関
連IAグループを決定する。別の実施形態においては、判定モジュール305は、予め定められた制御方法に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。判定モジュール305は、一つ以上のパラメータを入力として用いて、予め定められた制御方法を呼び出す。たとえば、一つ以上のパラメータは、記憶装置240から得られるセンサデータを含む。そして、判定モジュール305は、呼び出しの出力にしたがって、一つ以上の関連IAグループを決定する。
【0094】
ステップ606で、判定モジュール305は要件を決定する。たとえば、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。たとえば、要件は、関連IAグループがIA制御を実現するための制約条件である。判定モジュール305は、1または複数の関連IAグループに対する1または複数の要件を表すデータを生成する。具体的には、例えば、判定モジュール305が他の通信システム103の通信領域内に存在する、すなわち他の通信システム103との間の距離が通信範囲閾値以下か判定し、そうであれば、送信信号を他の通信システム103の所望信号と判定する。そして、送信信号が干渉信号と異なる同一の信号部分空間に存在するように要件を決定する。また、判定モジュールが他の通信システム103の干渉領域に存在する、すなわち他の通信システム103との間の距離が通信範囲閾値より大きく干渉範囲閾値以下か判定し、そうであれば、送信信号を他の通信システム103の干渉信号と判定する。そして、送信信号が所望信号と異なる同一の信号部分空間に存在するように要件を決定する。
【0095】
ステップ608で、プリコーディングモジュール307はプリコーディングベクトルを算出する。一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループに一つ以上の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。たとえば、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングウェイトを含むプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングウェイトは、受信側通信システム103に一つ以上の送信信号が整列して到着するように制御するために用いられる。
【0096】
ステップ610で、プリコーディングモジュール307は送信信号を生成する。一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上の送信信号を生成する。例えば、プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを掛けて、一つ以上の送信信号を生成する。
【0097】
ステップ612で、通信モジュール301は送信信号を増幅する。たとえば、通信モジュール301は、プリコーディングモジュール307から一つ以上の送信信号を受け取る。通信モジュール301は、デジタル増幅技術を用いて、一つ以上の送信信号を増幅する。ステップ612は、図6において点線で示されているが、これは、ステップ612が方法600における省略可能なステップであることを示している。
【0098】
ステップ614で、通信モジュール301は送信信号を送信する。たとえば、通信モジュール301はアンテナ110に一つ以上の送信信号を送る。アンテナ110は、一つ以上の送信信号をネットワーク105に送信する。ネットワーク105に結合された他の通信システム103は、ネットワーク105を介して、一つ以上の送信信号を受信できる。
【0099】
図7は、一実施形態における干渉除去方法700を示すフローチャートである。受信モジュール232は、一つ以上の信号を受信する(702)。一実施形態においては、受信モジュール232は、アンテナ110を介してネットワーク105から一つ以上の信号を受信する。たとえば、一つ以上の受信信号は、ネットワーク105に結合された他の通信システム103からの一つ以上の送信信号である。
【0100】
受信モジュール232は、一つ以上の信号をデコードして(704)、一つ以上の干渉信号を除去する(706)。たとえば、受信モジュール232は、受信した送信信号をデコードする。受信した送信信号は送信側通信システム103内の送信モジュール234において一つ以上のプリコーディングベクトルを用いて処理されているので、受信した送信信号は、受信側通信システム103(受信モジュール232を含んでいる)で整列している。したがって、受信した送信信号のすべての干渉信号は、一つ以上の所望信号の信号部分空間とは異なる同一の信号部分空間に存在する。受信モジュール232は、干渉信号が存在する信号部分空間内のすべての信号を削除することによって、受信した送信信号からすべての干渉信号を除く。
【0101】
受信モジュール232は、データを格納する(708)。たとえば、受信信号から干渉信号を除いた後に、受信モジュール232は一つ以上の所望信号を得る。そして、受信モジュール232は、一つ以上の所望信号に基づいて利用可能な情報を決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。受信モジュール232は、着信データを制御部202を介して記憶装置240に送る。記憶装置240は、着信データを保存する。
【0102】
<図式説明>
図8A〜図8Dは、本明細書で記載された一実施形態における方法を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオを、図式表示したものである。
【0103】
図8Aには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現が描かれている。要素802aは、受信側通信システム802aの図式表示である。たとえば、受信側通信システム802aは、図1−3とともに詳述した通信システム103である。要素804aは、受信側通信システム802aの通信領域804aの図式表示である。図示される実施形態では、通信領域804aは、受信側通信システム802aを中心とする円である。たとえば、円の半径は、0メートルから50メートルの間にある。一実施形態においては、通信領域804aの外からの信号は、干渉信号である。
【0104】
要素806aは、受信側通信システム802aのIAグループ領域806aの図式表示である。IAグループ領域806aは、干渉範囲閾値によって定義される。たとえば、干渉範囲閾値は、50メートル以上100メートル以下である。図示された実施形態においては、IAグループ領域806aは、干渉範囲閾値に等しい半径を有する円である。一実施形態においては、IAグループ領域806aの外からの信号は干渉信号であるが、受信側通信システム802aとの距離が長いため影響を与えず、あえて除去する必要は無い。
【0105】
要素810は、送信側通信システム810の図式表示である。たとえば、送信側通信システム810は、図1−3で詳述した上述の通信システム103である。要素812は、送信側通信システム810から受信側通信システム802aまで送られる送信信号812の図式表示である。たとえば、送信側通信システム810が受信側通信システム802aの通信領域804aの中に存在するので、送信信号812は受信側通信システム802aに対する所望信号である。送信信号812は、受信側通信システム802aで一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に存在するように、送信側通信システム810によって制御される。
【0106】
要素820、830、840は、送信側通信システム820、830、840の図式表示である。たとえば、送信側通信システム820、830、840は図1−3とともに詳述した上記の通信システム103である。要素822、832、842は、送信側通信シ
ステム820、830、840から、受信側通信システム802aへの送信信号である。
【0107】
図示された実施形態においては、送信信号822は、通信領域804aの外からであって、IAグループ領域806aの中から送信される。送信信号822は、受信側通信システム802aにおいて整列するように、送信側通信システム820によって送信時に制御される。つまり、送信信号822は、受信側通信システム802aにおける送信信号812の信号部分空間と異なる信号部分空間に存在する。送信信号832、842は、IAグループ領域806aの外から送信される。したがって、送信信号832、842は、送信側通信システム830、840によって整列するように制御されていないし、受信側通信システム802aによって除去されもしない。
【0108】
要約すると、送信側通信システム810、820が、それぞれ送信信号812、822をIA制御する。
【0109】
図8Bには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現870が描かれている。要素802b、804b、806bはそれぞれ、受信側通信システム802b、通信領域804b、およびIAグループ領域806bの図式表示である。要素810、820、830、840はそれぞれ送信側通信システム810、820、830、840の図式表示である。要素814、824、834、844はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840から受信側通信システム802bに送信される送信信号814、824、834、844の図式表示である。
【0110】
図示された実施形態において、送信信号814はIAグループ領域806bの外から送信される。したがって、送信信号814は、送信側通信システム810によって整列制御されず、受信側通信システム802bでも除去されない。送信信号824、834は、通信領域804b内から送信される。したがって、これらの送信信号824,834は、受信側通信システム802bにとって所望信号である。これらの信号は、一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で整列するように送信側通信システム820、830によって制御される。送信信号844は、通信領域804bの外からであり、IAグループ領域806bの中から送信される。送信信号844は、受信側通信システム802によって、送信信号824、834の信号部分空間と異なる信号部分空間で整列するように送信側通信システム840によって制御される。
【0111】
要約すると、送信側通信システム820、830、840が、それぞれの送信信号824、834、844をIA制御する。
【0112】
図8Cには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現880が描かれている。要素802c、804c、806cはそれぞれ、受信側通信システム802c、通信領域804c、およびIAグループ領域806cの図式表示である。要素810、820、830、840はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840の図式表示である。要素816、826、836、846はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840から受信側通信システム802cまで送信される送信信号816、826、836、846の図式表示である。
【0113】
図示された実施形態において、送信信号816、826はIAグループ領域806cの外から送信される。したがって、これらの送信信号816,826は、送信側通信システム810、820によって制御されないし、受信側通信システム802cによっても除去されない。送信信号836は、通信領域804cの外からであり、IAグループ領域80
6cの中から送信される。送信信号836は、受信側通信システム802bでの所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列される。送信信号846は、通信領域804cの中から送信される。したがって、送信信号846は、受信側通信システム802cの所望信号である。整列制御は、送信側通信システム840によって行われる。たとえば、送信信号846は、送信信号836の信号部分空間と異なる信号部分空間にある。
【0114】
要約すると、送信側通信システム830、840は、それぞれの送信信号836、846をIA制御する。
【0115】
図8Dには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表示890が図示される。要素802a、802b、802cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cの図式表示である。要素804a、804b、804cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cの通信領域804a、804b、804cの図式表示である。要素806a、806b、806cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cのIAグループ領域806a、806b、806cの図式表示である。
【0116】
要素820は、送信側通信システム820の図式表示である。要素822は、送信側通信システム820から受信側通信システム802aへの送信信号822の図式表示である。要素824は、送信側通信システム820から受信側通信システム802bへの送信信号824の図式表示である。図示された実施形態において、送信側通信システム820は、受信側通信システム802aのIAグループ領域806a内と、受信側通信システム802bの通信領域804b内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム820は送信信号822、824を制御して、送信信号822が受信側通信システム802aの一つ以上の所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列するようにし、送信信号824が受信側通信システム802bの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにする。言い換えると、送信側通信システム820は、両方のIAグループ領域806a、806bの要件を満たすように、送信信号822、824を制御する。
【0117】
要素830、840は、送信側通信システム830、840の図式表示である。要素834、836は、それぞれ、送信側通信システム830から受信側通信システム802b、802cへ送信される送信信号834、836の図式表示である。同様に、要素844、846は、それぞれ、送信側通信システム840から受信側通信システム802b、802cへ送信される送信信号844、846の図式表示である。
【0118】
図示された実施形態において、送信側通信システム830は、受信側通信システム802bの通信領域804b内と、受信側通信システム802cのIAグループ領域806c内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム830は送信信号834,836を制御して、送信信号834が受信側通信システム802bの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにし、送信信号836が受信側通信システム802cの一つ以上の所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列されるようにする。言い換えると、送信側通信システム830は、IAグループ領域806b、806cの両方の要件を満たすように、送信信号834、836を制御する。
【0119】
同様に、送信側通信システム840は、受信側通信システム802bのIAグループ領域806b内と、受信側通信システム802cの通信領域804c内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム840は送信信号844,846を制御して、送信信号844が受信側通信システム802bの一つ以上の所望信号の信号
部分空間と異なる信号部分空間に整列し、かつ、送信信号846が受信側通信システム802cの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにする。言い換えると、送信側通信システム840は、両方のIAグループ領域806b、806cの要件を満たすために、送信信号844、846を制御する。
【0120】
実施形態の前述の説明は、例示と説明を目的として行われたものである。したがって、開示された実施形態が本発明の全てではないし、本発明を上記の実施形態に限定するものでもない。本発明は、上記の開示にしたがって、種々の変形が可能である。本発明の範囲は上述の実施形態に限定解釈されるべきではなく、特許請求の範囲にしたがって解釈されるべきである。本発明の技術に詳しい者であれば、本発明はその思想や本質的特徴から離れることなくその他の種々の形態で実現できることを理解できるであろう。同様に、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様に関する名前付けや分割方法は必須なものでものないし重要でもない。また、本発明やその特徴を実装する機構は異なる名前や分割方法や構成を備えていても構わない。さらに、当業者であれば、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアもしくはこれらの組合せとして実装できることを理解できるであろう。また、本発明をソフトウェアとして実装する場合には、モジュールなどの各要素は、どのような様式で実装されても良い。例えば、スタンドアローンのプログラム、大きなプログラムの一部、異なる複数のプログラム、静的あるいは動的なリンクライブラリー、カーネルローダブルモジュール、デバイスドライバー、その他コンピュータプログラミングの当業者にとって既知な方式として実装することができる。さらに、本発明の実装は特定のプログラミング言語に限定されるものではないし、特定のオペレーティングシステムや環境に限定されるものでもない。以上のように、上記の本発明の説明は限定的なものではなく例示的なものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲にしたがって定められる。
【符号の説明】
【0121】
101 通信ノード
103 通信システム
150 統合クラウドデータベース
202 制御部
230 送受信部
232 受信モジュール
234 送信モジュール
240 記憶装置
802a,b,c 受信側通信システム
804a,b,c 通信領域
806a,b,c IAグループ領域
810,820,830,840 送信側通信システム
【技術分野】
【0001】
本明細書は、干渉アライメントシステムに関する。詳細には、本明細書は、自律的に分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉アライメント(IA:Interference Alignment)は受信側での干渉を抑制するための技術である。この技術を適用することで、それぞれの送信側のシステムが送信信号を制御して、ノイズや干渉成分をアライメントさせて、受信側でノイズや干渉成分が無いようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011−519519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のIAシステムには多くの問題がある。例えば、既存のシステムでは、同じ無線資源を利用する全ての通信システムを同期して制御している。その結果、これらのシステムで安定した車車間通信を達成するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法を提供することで、少なくとも部分的に従来技術の不完全性および限界を打開する。本発明に係るシステムは、取得モジュール、判定モジュールおよびプリコーディングモジュールを備える。取得モジュールは、ソースデータを取り出す。判定モジュールは、取得モジュールに通信可能に接続される。判定モジュールは、1または複数の関連するIAグループに対する1または複数の要件を表すデータを生成する。プリコーディングモジュールは、判定モジュールに通信可能に接続される。プリコーディングモジュールは、1または複数の関連するIAグループに対する1または複数の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを計算する。プリコーディングモジュールは、取得モジュールにも通信可能に結合されて、ソースデータを受信する。プリコーディングモジュールは、プリコーディングベクタおよびソースデータに基づいて送信信号を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信システムによる自律的な処理によって干渉アライメントを実現することができる。また、その結果として安定した通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態における分散干渉アライメントシステムを説明する概要ブロック図である。
【図2】一実施形態における通信ノードを含む通信システムを詳細に説明するブロック図である。
【図3】一実施形態における通信モジュールを示すブロック図である。
【図4】一実施形態における記憶装置を示すブロック図である。
【図5】一実施形態における送信信号を制御する方法を示すフローチャートである。
【図6】一実施形態における送信信号を制御する方法の別の例を示すフローチャートである。
【図7】一実施形態における干渉を除去する方法を示すフローチャートである。
【図8A】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8B】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8C】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図。
【図8D】一実施形態における方法を用いて実現される分散干渉アライメントにおける通信シナリオを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明および添付の図面は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定するものではない。図面においては、同様の要素には同一の参照符号を付してある。
【0009】
分散干渉アライメントを実現するためのシステムおよび方法について説明する。以下の説明では、本発明を十分に理解できるように、多くの詳細について説明する。しかしながら、各実施形態はこれらの具体的な詳細無しでも良いことは当業者にとって明らかであろう。また、説明が不明瞭になることを避けるために、構造や装置をブロック図の形式で表すこともある。たとえば、一実施形態は、ユーザインタフェースおよび特定のハードウェアとともに説明される。しかし、ここでの説明は、データおよびコマンドを受信する任意のタイプの計算装置および任意の周辺機器について適用できる。
【0010】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」等という用語は、その実施形態と関連づけて説明される特定の特徴・構造・性質が少なくとも本発明の一つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態における」等という用語は本明細書内で複数用いられるが、これらは必ずしも同一の実施形態を示すものとは限らない。
【0011】
以下の詳細な説明の一部は、非一時的(non-transitory)なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたデータビットに対する動作のアルゴリズムおよび記号的表現として提供される。これらのアルゴリズム的な説明および表現は、データ処理技術分野の当業者によって、他の当業者に対して自らの成果の本質を最も効果的に説明するために用いられるものである。なお、本明細書において(また一般に)アルゴリズムとは、所望の結果を得るための論理的な手順を意味する。処理のステップは、物理量を物理的に操作するものである。必ずしも必須ではないが、通常は、これらの量は記憶・伝送・結合・比較およびその他の処理が可能な電気的または磁気的信号の形式を取る。通例にしたがって、これらの信号をビット・値・要素・エレメント・シンボル・キャラクタ・項・数値などとして称することが簡便である
【0012】
なお、これらの用語および類似する用語はいずれも、適切な物理量と関連付いているものであり、これら物理量に対する簡易的なラベルに過ぎないということに留意する必要がある。以下の説明から明らかなように、特に断らない限りは、本明細書において「処理」「計算」「コンピュータ計算(処理)」「判断」「表示」等の用語を用いた説明は、コンピュータシステムや類似の電子的計算装置の動作および処理であって、コンピュータシステムのレジスタやメモリ内の物理的(電子的)量を、他のメモリやレジスタまたは同様の情報ストレージや通信装置、表示装置内の物理量として表される他のデータへ操作および変形する動作および処理を意味する。
【0013】
本発明は、本明細書で説明される動作を実行する装置にも関する。この装置は要求される目的のための特別に製造されるものであっても良いし、汎用コンピュータを用いて構成しコンピュータ内に格納されるプログラムによって選択的に実行されたり再構成されたり
するものであっても良い。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な、例えばフロッピー(登録商標)ディスク・光ディスク・CD−ROM・MOディスク・磁気ディスクなど任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体などの、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0014】
発明の具体的な実施形態は、完全にハードウェアによって実現されるものでも良いし、完全にソフトウェアによって実現されるものでも良いし、ハードウェアとソフトウェアの両方によって実現されるものでも良い。好ましい実施形態は、ソフトウェアによって実現される。ここでソフトウェアとは、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードやその他のソフトウェアを含むものである。
【0015】
さらに、ある実施形態は、コンピュータが利用あるいは読み込み可能な記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムプロダクトの形態を取る。この記憶媒体は、コンピュータや任意の命令実行システムによってあるいはそれらと共に利用されるプログラムコードを提供する。コンピュータが利用あるいは読み込み可能な記憶媒体とは、命令実行システムや装置によってあるいはそれらと共に利用されるプログラムを、保持、格納、通信、伝搬および転送可能な任意の装置を指す。
【0016】
プログラムコードを格納・実行するために適したデータ処理システムは、システムバスを介して記憶素子に直接または間接的に接続された少なくとも1つのプロセッサを有する。記憶素子は、プログラムコードの実際の実行に際して使われるローカルメモリや、大容量記憶装置や、実行中に大容量記憶装置からデータを取得する回数を減らすためにいくつかのプログラムコードを一時的に記憶するキャッシュメモリなどを含む。
【0017】
入力/出力(I/O)装置は、例えばキーボード、ディスプレイ、ポインティング装置などであるが、これらはI/Oコントローラを介して直接あるいは間接的にシステムに接続される。
【0018】
システムにはネットワークアダプタも接続されており、これにより、私的ネットワークや公共ネットワークを介して他のデータ処理システムやリモートにあるプリンタや記憶装置に接続される。モデム、ケーブルモデム、イーサネット(登録商標)は、現在利用可能なネットワークアダプタのほんの一例である。
【0019】
最後に、本明細書において提示されるアルゴリズムおよび表示は特定のコンピュータや他の装置と本来的に関連するものではない。本明細書における説明にしたがってプログラムを有する種々の汎用システムを用いることができるし、また要求された処理ステップを実行するための特定用途の装置を製作することが適した場合もある。これら種々のシステムに要求される構成は、以下の説明において明らかにされる。さらに、本発明は、任意の特定のプログラミング言語と関連づけられるものではない。本明細書で説明される本発明の内容を実装するために種々のプログラミング言語を利用できることは明らかであろう。
【0020】
<システム概要>
図1は、一実施形態に係る分散干渉アライメントを実現するためのシステム100のブロック図を示す。図示されるシステム100は、ユーザ125a、125b、125n(それぞれあるいは全体としてユーザ125と称する)によってアクセスされる通信システム103a、103b、103n(それぞれあるいは全体として通信システム103と称する)と、統合クラウドデータベース150とを含む。図示される実施形態では、通信システム103と統合クラウドデータベース150はネットワーク105を介して通信可能
に接続されている。例えば、通信システム103はネットワーク105を介して互いに通信可能に接続されており、ユーザ125と通信システム103の間で情報(例えば、交通情報)の送受信を可能とする。
【0021】
図1には3つの通信システム103a、103b、103nおよび1つの統合クラウドデータベース150が図示されているが、当業者であればネットワーク105に接続される通信システム103および統合クラウドデータベース150の数はいくつであっても良いことを理解できるであろう。さらに、図では1つのみのネットワーク105が通信システム103および統合クラウドデータベース150に接続されているが、当業者であれば、通信システム103および統合クラウドデータベース150に接続されるネットワークの数はいくつであってもよいことを理解できるであろう。
【0022】
ネットワーク105は、有線ネットワークであっても無線ネットワークであっても良く、また、スター型、トークンリング型やその他当業者に知られているその他の構成を取ることができる。さらに、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)や、複数の装置が通信可能な相互接続される任意のデータパスを含む。さらに別の形態では、ネットワーク105はピアツーピアネットワークであってもよい。ネットワーク105は、複数の異なる通信プロトコルでデータ送信するための通信ネットワークと接続されたり、そのような通信ネットワークを含んでいても良い。例えば、ネットワーク105は3Gネットワークや4Gネットワークである。さらに別の実施形態では、ネットワーク105は、ブルートゥース(登録商標)通信ネットワークや携帯通信ネットワークを含み、SMS(ショートメッセージサービス)、MMS(マルチメディアメッセージサービス)、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)、直接データ接続、WAP、電子メールなどのデータを送受信する。さらに別の実施形態では、ネットワーク105内の全てまたは一部のリンクは、既存の暗号技術によって暗号化される。このような暗号化技術は、SSL、セキュアHTTP、VPNなどを含む。
【0023】
本実施形態において、統合クラウドデータベース150は、信号線151や信号線153(無線リンク)を介してネットワーク105と通信可能に接続されている。通信システム103aは、無線リンク119を介してネットワーク105と通信可能に接続されている。ユーザ125aは、通信システム103aとやりとりする。信号線117はこのやりとりを示している。通信システム103b、103nとユーザ125b、125nもそれぞれ同様にやりとりする。
【0024】
通信システム103は、他の通信システム103との間でデータの送受信が行えるシステムであれば任意のものであって良い。通信システム103は、ネットワーク105を介して他の通信システム103と情報を交換する。通信シナリオにおいて信号を送信する通信システム103のことを、本明細書では、送信側通信システム103と称する。通信シナリオにおいて信号を受信する通信システム103のことを、本明細書では、受信側通信システム103と称する。一実施形態においては、通信システム103は、ネットワーク105に接続される、送信側通信システム103あるいは受信側通信システム103のいずれかとして機能する。別の実施形態においては、通信システム103は、ネットワーク105に接続される、送信側通信システム103および受信側通信システム103の両方として機能する。
【0025】
一実施形態では、通信システム103は車両に組み込まれる。車両に組み込まれるとは、通信システム103が車両に固定的に設置されることと、通信システム103が持ち運び可能でありユーザ125によって車両内に持ち込まれて使用されることの両方を意味する。別の実施形態では、通信システム103は路側機に含まれる。例えば、車両内の通信
システム103は情報(例えば、安全警告や渋滞情報)を、他の車両内の通信システム103と交換する。
【0026】
本実施形態では、通信システム103aは、アンテナ110および通信ノード101を有する。アンテナ110は、信号線111を介して通信ノードに通信可能に結合される。アンテナ110および通信ノード101は通信システム103aについてのみ示されているが、当業者であれば、他の通信システム103もこれらの要素を有することを理解できるであろう。アンテナ110は、信号線119(無線リンク)を介してネットワーク105と通信可能に接続される。
【0027】
統合クラウドデータベース150は、ネットワーク105からアクセス可能なオンラインデータベースである。例えば、統合クラウドデータベース150は、異なる企業によってホスティングされる複数の仮想サーバ上にデータが格納されるデータベースである。一実施形態においては、統合クラウドデータベース150は、システム100の機能を提供するための任意のデータを格納する。別の実施形態では、統合クラウドデータベース150は、車両内の通信システムから受信されたデータを格納する。
【0028】
<通信ノード101>
図2は、通信システム103の実施形態200を示しており、ここでは通信ノード101がより詳細に示されている。図示される通信ノード101は、制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230を有する。制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230は図2において1つのみしか描かれていないが、当業者であれば任意の数の制御部202、センサ231、インタフェース212、記憶装置240、および送受信部230を通信ノードが有して良いことを理解できるであろう。さらに、当業者であれば、通信ノード101は、図2に示されていない要素、例えばカメラや入力装置などを含んでも良いことが分かるであろう。
【0029】
図示される実施形態では、センサ231は信号線221を介して制御部202と通信可能に接続されている。インタフェース212は、信号線215を介して制御部202と通信可能に接続されている。ユーザ125aは、インタフェース212とやりとりし、信号線117はこのやりとりを表している。記憶装置240は、信号線241を介して制御部202と通信可能に結合されている。送受信部230は、信号線213を介して制御部202と通信可能に結合されている。送受信部230は、信号線111を介してアンテナ110とも通信可能に結合されている。
【0030】
通信ノード101は、信号を送信し、受信した信号を処理できる装置であれば、どのようなものであっても良い。例えば、通信ノード101は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)装置である。一実施形態においては、通信ノード101は車両内に
組み込まれる。別の実施形態では、通信ノード101は、路側機内に組み込まれる。
【0031】
一実施形態においては、通信ノード101は、アンテナ110を介して信号を送受信する。アンテナ110は、ネットワーク105との間で無線により信号を送受信する。一実施形態においては、車両内の通信ノード101は、ネットワーク105を介して、他の車両内の通信ノード101との間で信号を送受信する。別の実施形態においては、車両内の通信ノード101は、路側機に組み込まれた通信ノード101との間で信号を送受信する。
【0032】
制御部202は、任意のプロセッサ型の計算装置である。例えば、制御部202は、車両内に実装される電子制御ユニット(ECU)である。一実施形態では、制御部202は
、システムオンチップ(SOC)のような単一の集積回路を用いて実装される。一実施形態では、制御部202は、センサ231からセンサ信号を受信する。制御部202は、このセンサ信号を処理する。制御部202は、処理されたセンサ信号に基づいてセンサデータを生成する。制御部202は、センサデータを記憶装置240に送って記憶する。例えば、制御部202は、車両の速度を表すセンサ信号を受信する。制御部202は、このセンサ信号を解析して、少なくとも部分的に解析結果に基づいてセンサデータを生成する。生成されたセンサデータは、車両の速度を示す。制御部202は、その後センサデータを記憶装置240へ送って記憶する。
【0033】
一実施形態では、制御部202は、センサデータに基づいてソースデータを生成する。ソースデータは、センサデータに基づいて生成されるデータであり、他の車両に送信する送信データに含めるデータである。例えば、制御部202は、センサデータに基づいて車両にとって有用な情報を決定する。制御部202は、車両にとって有用な情報を記憶装置240へ送る。記憶装置240は、この情報をソースデータとして記憶する。例えば、センサデータは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれか、またはこれらのうちの複数を含む。車両の状態は、例えば、正常または制御不能を表すものである。車両の動作は、例えば、加速、車線変更、高速道路からの離脱などである。一実施形態では、制御部202はソースデータを送受信部230へ送り、車両にとって有用な情報を他の車両内の通信システム103に提供する。
【0034】
一実施形態では、制御部202は送受信部230からの着信データを受信する。着信データは、他の車両から送信される信号から生成されるデータである。例えば、送受信部230を介して他の車両内の通信システム103からの信号が受信される。送受信部230は、受信した信号を処理して、着信データを生成する。制御部202は、着信データを記憶装置240へ格納する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれか、またはこれらのうちの複数を含む。一実施形態では、着信データは、他の車両内の通信システム103から渡された、車両にとって有用な情報を含む。
【0035】
一実施形態では、制御部202は、インタフェース212を介してユーザ125に受信した着信データを表示する。例えば、制御部202は、前方に濃い霧があることを示す着信データを受信する。制御部202は、「前方に濃霧あり」というメッセージをインタフェース212上に表示して、ドライバーなどのユーザ125に対してメッセージを伝える。他の実施形態では、制御部202は、音声案内により着信データをユーザ125へ通知する。
【0036】
一実施形態では、制御部202はプロセッサ(不図示)を含む。別の実施形態では、制御部202は、メモリ(不図示)やI/Oインタフェース(不図示)などの制御部が従来持つような他の要素を含む。
【0037】
プロセッサ(不図示)は、演算論理ユニット、マイクロプロセッサ、汎用制御装置や、その他のプロセッサアレイを有し、計算を実行したり記憶装置240に格納されたデータを取得したりする。プロセッサはデジタル信号を処理する。プロセッサのアーキテクチャはCISC(Complex Instruction Set Computer)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)、これら両方の命令セットの組合せとして実装されたアーキテクチャなど任意である。プロセッサの処理能力は、画像の表示や、画像の取得および送信に限られていても構わない。プロセッサの処理能力は、様々なタイプの特徴量抽出などのようなより複雑な処理を実行できるようなものであっても良い。当業者であれば、その他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサ、表示装置および物理的構成を採用可能であることは明らかであろう。
【0038】
送受信部230は、少なくともソースデータに基づいて送信信号を生成し、アンテナ110から受信される信号を処理可能な計算装置であれば、任意のものであって良い。本実施形態では、送受信部230は、受信モジュール232と送信モジュール234を含む。図では送受信部230に対して1つの受信モジュール232と送信モジュール234のみが示されているが、当業者であれば、受信モジュール232と送信モジュールの数は任意であって良いことを理解できるであろう。
【0039】
受信モジュール232は、受信信号を処理するためのコードおよびルーチンである。例えば、受信モジュール232は、無線信号を、無線変調波から、音声や映像などの利用可能な情報に変換する。一実施形態では、受信モジュール232は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアを用いて実装される。別の実施形態では、受信モジュール232はハードウェアとソフトウェアの両方を用いて実装される。
【0040】
一実施形態においては、受信モジュール232は受信信号を着信データに変換する。例えば、受信モジュール232はアンテナ110を介してネットワーク105から無線信号を受信する。この無線信号は、他の通信システム103から送信されるものである。受信モジュール232は、受信した無線信号に対して、復調や復号などの処理を施す。受信モジュール232は、処理された無線信号に少なくとも部分的に基づいて、利用可能なデータを決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれかまたはこれらのうちの複数を表す。
【0041】
一実施形態では、受信モジュール232は受信信号から干渉信号を除去する。例えば、受信信号には、所望信号の他に1つまたは複数の干渉信号が含まれる。この干渉信号は、後述するようなIA制御によって、所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に存在する。したがって、受信モジュール232は、干渉信号と所望信号とを容易に区別することができる。そして、受信モジュール232は、受信信号から干渉信号を取り除く。例えば、受信モジュール232は、干渉信号が含まれる信号部分空間内の信号をフィルタリングすることによって、受信信号から干渉信号を取り除く。このようにして、受信モジュール232は所望信号を取得する。一実施形態では、受信モジュール232は、所望信号に基づいて着信データを生成する。
【0042】
一実施形態では、受信モジュール232は、着信データを制御部202に送る。制御部202は、着信データを記憶装置240へ送って記憶する。一実施形態では、制御部202は、インタフェース212上でユーザ125に対して着信データを表示する。例えば、着信データは、車が前方の交差点で動けないことを示す。制御部202は、「前方の交差点で車が動けない」というメッセージをインタフェース212上に表示して、ドライバーなどのユーザ125に対してメッセージを伝える。
【0043】
送信モジュール234は、送信信号を生成するためのコードおよびルーチンである。例えば、送信モジュール234は無線信号を生成する。送信モジュール234はアンテナ110に無線信号を送り、ネットワーク105に対して無線信号を送信する。一実施形態では、送信モジュール234は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC
(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアを用いて実装される
。別の実施形態では、送信モジュール234はハードウェアとソフトウェアの両方を用いて実装される。
【0044】
一実施形態では、送信モジュール234はソースデータに基づいて送信信号を生成する。例えば、送信モジュール234は制御部202からソースデータを受信する。送信モジ
ュール234はソースデータに対して変調や符号化などの処理を施す。送信モジュール234は、処理されたソースデータに基づいて送信信号を生成する。送信モジュール234は、アンテナ110を介してネットワーク105へ送信信号を送る。一実施形態では、送信モジュール234は、制御部202を介して送信信号を記憶装置240へも送る。
【0045】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連する干渉アライメント(IA:Interference Alignment)グループを決定する。例えば、IAグループは、ある受信側通信システム103に対する干渉領域内に位置する1つまたは複数の送信側通信システム103から構成される。干渉領域は、干渉範囲閾値によって画定される。送信側通信システム103(送信モジュール234を含む)に関連するIAグループとは、その送信側通信システム103が属するIAグループである。したがって、一実施形態では、送信モジュール234は、当該送信モジュール234を含む送信側通信システム103が属するIAグループを検出することにより、関連するIAグループを決定する。説明の明確化および簡素化のために、本明細書では送信側通信システム103に対する言及を省略することがある。例えば、以下では、上記のシナリオを、送信モジュール234が当該送信モジュール234の属するIAグループを検出すると記述する。
【0046】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連IAグループに対する要件を決定する。例えば、関連IAグループに対する要件とは、全ての干渉信号が所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に存在するようにするためのIA制御を実現するための制約条件である。
【0047】
一実施形態においては、送信モジュール234は、関連IAグループに対する要件に少なくとも部分的に基づいて、プリコーディングベクトルを算出する。例えば、プリコーディングベクトルは、複数の信号に対する1つまたは複数のウェイト(重み)である。一実施形態においては、送信モジュール234は、プリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。例えば、送信モジュール234は、ソースデータにプリコーディングベクトルを掛けて、送信信号を生成する。
【0048】
送信モジュール234の詳細は、図3を参照しながら後ほど説明する。
【0049】
センサ231は、データを収集するための既存のセンサであり、どのようなデータを収集するかや、センサのタイプなどは任意であって良い。例えば、LIDAR(光検出および測距)センサ、赤外線センサ、モーションセンサ、温度センサ、音感センサなどを、センサ231の例として挙げることができる。当業者であれば、その他のタイプのセンサも利用可能であることを理解できるであろう。一実施形態においては、センサ231は車両に関する状態を測る。センサ231は、測定に基づいて現在の状態を表すセンサ信号を生成する。例えば、センサ231は、車両の操舵角、ブレーキ操作量、速度、加減速度や、車両内の温度や、フォグライトが点灯しているか否か、ワイパーが作動しているか否かなどを測定する。センサ231は、これらの測定結果を表すセンサ信号を生成する。別の実施形態では、センサ231は、車両の外部である環境の状況を測定し、その測定結果を表すセンサ信号を生成する。例えば、センサ231は、環境の湿度を測定して、その測定結果を表すセンサ信号を生成する。センサ231は、センサ信号を制御部202へ送る。
【0050】
一実施形態においては、通信ノード101は、異なるタイプの複数のセンサ231を有する。例えば、通信ノード101は、車両のハンドル装置の操舵角を監視する第1のセンサ231と、車両の速度を監視する第2のセンサ231と、車両のブレーキ装置のブレーキ操作量を監視する第3のセンサを有する。
【0051】
一実施形態では、通信ノード101は、制御部202に接続されるカメラ(不図示)も
有する。カメラは、画像を記録するための光学装置である。例えば、カメラは、車両が道路上を走行中に、車両の外部にある、道路、交通信号、車両、道路を横断する歩行者などの画像を撮像する。一実施形態では、カメラは画像を取得して、センサデータとして記憶装置240に格納する。一実施形態では、カメラは車両の前方に取り付けられる。他の実施形態では、カメラは車両の別の部分に取り付けられる。一実施形態では、カメラは動画を撮影可能である。動画は、車両が走行中における道路周辺の環境を表す複数の連続するフレームを含む。カメラは画像を制御部202へ送る。制御部202は、この画像に少なくとも部分的に基づいて、ソースデータ(例えば、交通情報や安全情報)を決定する。
【0052】
インタフェース212は、ユーザ125と制御部202の間のやりとりを処理するように構成された装置である。例えば、インタフェース212は、ユーザ125からの入力を受け取るタッチスクリーンや、ユーザ125が発する音声入力を取得するマイクなどを含む。インタフェース212は、ユーザ125からの入力を制御部202へ送る。一実施形態では、インタフェース212は、制御部202からの出力をユーザ125へ伝えるように構成される。例えば、インタフェース212は、ユーザ125に対して安全警告を知らせる音声案内を再生するオーディオシステムを含む。他の実施形態では、インタフェース212は路面状況をユーザ125に伝える表示装置を含む。当業者であれば、インタフェース212は、ここで記載された機能を提供するためのその他の任意のタイプの装置を含むことを理解できるであろう。
【0053】
ユーザ125aは、人間である。一実施形態では、ユーザ125aは、道路上の車両を運転するドライバーである。ユーザ125aは、インタフェース212とやりとりするか、あるいはその他の方法で入力を提供する。インタフェース212は、制御部202との間で種々のタイプのデータを送受信する。例えば、インタフェース212はタッチスクリーンであり、ユーザ125aはタッチスクリーンの一部を指やスタイラスなどで触ることで入力指示を提供する。
【0054】
記憶装置240は、データを格納する非一時的(non-transitory)なメモリである。例えば、記憶装置240は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリやその他の既存のメモリ装置である。一実施形態では、記憶装置240は、不揮発性のメモリや永久記憶装置を含んでも良い。例として、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD−ROM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、DVD−RW装置、フラッシュメモリ装置などが挙げることができるが、その他の既存の不揮発性記憶装置を採用しても良い。記憶装置240の詳細は、図4を参照しながら後ほど説明する。
【0055】
<送信モジュール234>
図3には、送信モジュール234の詳細が示されている。図3は、一実施形態にかかる送信モジュール234を示すブロック図である。送信モジュール234は、通信モジュール301、取得モジュール303、判定モジュール305、プリコーディングモジュール307、GUIモジュール311を含む。送信モジュール234のこれらの要素は、バス320に通信可能に接続されており、互いに通信可能である。本実施形態では、プロセッサ335は、信号線336を介してバス320に通信可能に接続されている。データ格納装置380は、信号線382を介してバス320に通信可能に接続されている。
【0056】
プロセッサ335は、算術演算回路、マイクロプロセッサ、汎用制御装置や、その他のプロセッサアレイを有し、計算を実行したりデータ格納装置380に格納されたデータを取得したりする。プロセッサ335はデジタル信号を処理する。プロセッサ335のアーキテクチャはCISC(Complex Instruction Set Computer)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)、これら両方の命令セットの組合せとして実装されたアーキテクチャなど任意である。プロセッサ335の処理能力は、画像の表示や、画像の取得および
送信に限られていても構わない。プロセッサの処理能力は、様々なタイプの特徴量抽出やサンプリングなどのようなより複雑な処理を実行できるようなものであっても良い。当業者であれば、その他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサ、表示装置および物理的構成を採用可能であることは明らかであろう。
【0057】
データ格納装置380は、データを格納する非一時的(non-transitory)な記憶媒体である。例えば、データ格納装置380は、どのようなメモリでも構わない。データ格納装置380は、送信モジュール234がその機能を実現するために必要なデータを格納する。例えば、データ格納装置380は、制御部202から受け取ったソースデータを記憶あるいはバッファするために格納する。また別の例として、データ格納装置380はプリコーディングモジュール307から受け取った1つまたは複数の送信信号を、記憶あるいはバッファするために格納する。
【0058】
通信モジュール301は、送信モジュール234の各要素と通信ノード101の他の要素との間での通信を処理するための、コードおよびルーチンである。例えば、通信モジュール301は、取得モジュール303からソースデータの要求を受け取り、制御部202にソースデータの要求を送る。別の例では、通信モジュール301は、制御部202からソースデータを受け取り、取得モジュール303にソースデータを配信する。通信モジュール301は、信号線322を介してバス320に通信可能に接続されている。
【0059】
一実施形態では、通信モジュール301は、プリコーディングモジュール307から1つまたは複数の送信信号を受け取り、この送信信号をアンテナ110へ送る。アンテナ110は、この送信信号をネットワーク105へ送信する。一実施形態では、通信モジュール301は、送信信号をアンテナ110へ配信する前に増幅する。例えば、通信モジュール301は、従来の増幅技術を用いて送信信号を増幅する。
【0060】
別の実施形態では、通信モジュール301は、GUIモジュール311からグラフィックデータを受け取る。通信モジュール301は、制御部202を介してインタフェース212にグラフィックデータを送信し、ユーザ125に情報提示を行う。例えば、グラフィックデータは、送信ソースデータ(例えば、安全警告、交通情報、路面状況、車両の状態や動作など)をユーザ125に表示するためのユーザインタフェースを生成するために用いられる。
【0061】
一実施形態では、通信モジュール301は、送信モジュール234以外の要素からデータを受け取り、制御部202を介してそのデータを記憶装置240へ格納する。例えば、通信モジュール301は、判定モジュール305から1つまたは複数の関連IAグループの1つまたは複数の要件を表すデータを受け取る。そして通信モジュール301は、この1つまたは複数の関連IAグループの1つまたは複数の要件を表すデータを、制御部202を介して記憶装置240に格納する。別の例では、通信モジュール301はプリコーディングモジュール307から一つ以上のプリコーディングベクトルと一つ以上の送信信号を受け取る。通信モジュール301は、制御部202を介して一つ以上のプリコーディングベクトルと一つ以上の送信信号を記憶装置240に格納する。
【0062】
一実施形態においては、通信モジュール301は、送信モジュール234内の他のサブモジュール303、305、307、311間の通信も取り扱う。例えば、通信モジュール301は、判定モジュール305およびプリコーディングモジュール307と通信し、判定モジュール305の出力(例えば一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を示すデータ)をプリコーディングモジュール307に渡す。説明の明確化および簡素化のために、本明細書では通信モジュール301に対する言及をしばしば省略することがある。たとえば、明確さと便宜のために、上記のシナリオは、判定モジュールモジュール305
が、1つ以上の関連IAグループについての1つ以上の要件を表すデータを、プリコーディングモジュール307へ渡す、と記述する。
【0063】
取得モジュール303は、データを取得するためのコードおよびルーチンである。一実施形態においては、取得モジュール303は、制御部202を介して記憶装置240からデータを取得する。取得モジュール303は、データを送信モジュール234の他の構成要素に送る。一実施形態においては、取得モジュール303はデータ格納装置380にもデータを送って、記憶またはバッファリングする。取得モジュール303は、信号線324を介してバス320と通信可能に接続されている。
【0064】
一実施形態においては、取得モジュール303はソースデータ要求を生成する。たとえば、取得モジュール303は最新の交通情報を記述しているソースデータを求める要求を生成する。別の例では、取得モジュール303は安全警告を示しているソースデータを求める要求を生成する。一実施形態においては、取得モジュール303は通信モジュール301を介して制御部202にソースデータを求める要求を送る。制御部202は、ソースデータを記憶装置240から取り出し、通信モジュール301を介してソースデータを取得モジュール303へ送る。取得モジュール303は、ソースデータをプリコーディングモジュール307に送る。
【0065】
別の実施形態においては、取得モジュール303は一つ以上の送信信号を求める要求を生成する。取得モジュール303は、要求を制御部202に送る。制御部202は、一つ以上の送信信号を記憶装置240から取り出し、通信モジュール301を介して取得モジュール303に一つ以上の送信信号を配信する。取得モジュール303は、この一つ以上の送信信号をアンテナ110に送って送信する。
【0066】
一実施形態においては、取得モジュール303はデータを求める要求を定期的に送る。たとえば、取得モジュール303は、所定の時間間隔(例えば1秒、5秒、30秒、1分、5分など)で、制御部202にソースデータを求める要求を送る。別の実施形態においては、データが生成されると、取得モジュール303はデータを取得する。たとえば、ソースデータが制御部202によって生成および保存されると、取得モジュール303はそのソースデータを取得する。たとえば、制御部202は、センサ231からの一つ以上のセンサ信号に少なくとも部分的に基づいてセンサデータを生成する。そして、制御部202は、このセンサデータに基づいてソースデータを生成する。たとえば、ソースデータは道路状態を示す。制御部202は、ソースデータを記憶装置240に送って記憶する。制御部202も、ソースデータを取得モジュール303に送る。
【0067】
判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定するためのコードおよびルーチンである。たとえば、判定モジュール305は送信モジュール234(判定モジュール305を含んでいる)が属している一つ以上のIAグループを見つけることによって、一つ以上の関連IAグループを決定する。そして、判定モジュール305は、この一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。判定モジュール305は、信号線326を介してバス320と通信可能に結合されている。
【0068】
一実施形態においては、判定モジュール305は、干渉範囲閾値に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、制御部202を介して記憶装置240からセンサデータを取り出す。センサデータは、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)と受信側通信システム103の間の距離の測定値を記述するものである。取り出すセンサデータは、送信側通信システム103の位置を記述するものと、受信側通信システム103の位置を記述するものとし、これらのセンサデータから両者間の距離を算出しても
構わない。判定モジュール305は、距離の測定値を干渉範囲閾値と比較する。たとえば、干渉範囲閾値は、50メートル以上100メートル以下である。別の例では、干渉範囲閾値は、50メートル以上数百メートル以下である。距離測定値が干渉範囲閾値より大きくなければ、判定モジュール305は、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)が受信側通信システム103のIAグループに属していると判定する。このIAグループは、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)の関連IAグループである。同様に、判定モジュール305は送信側通信システム103の他の関連IAグループを決定することができる。
【0069】
別の実施形態においては、判定モジュール305は予め定められた制御方法に少なくとも部分的に基づいて、一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、制御部202を介して記憶装置240からセンサデータを受信する。このセンサデータが、予め定められた制御方法のためのパラメータとして使われる。たとえば、このパラメータは、車両の速度、温度、湿気、環境状態などを含む。判定モジュール305は、パラメータに基づく予め定められた制御方法を用いて、一つ以上の関連IAグループを決定する。
【0070】
一実施形態においては、関連IAグループが決定されると、判定モジュール305はその関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。判定モジュール305は、関連IAグループの要件を表すデータを生成する。たとえば、この要件は、関連IAグループに対する次のような制約条件である。すなわち、受信側通信システム103において各干渉信号が所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間になるようにIA制御を実現するための、関連IAグループに対する制約条件である。干渉信号は、したがって、受信側通信システム103で簡単に除くことができる。一実施形態においては、判定モジュール305はすべての関連IAグループについてすべての要件を決定する。送信信号は、IA制御を実現するためのこれら全ての要件を満たすように制御される。
【0071】
干渉信号は、受信側通信システム103で希望されない信号である。一実施形態においては、受信側通信システム103の通信領域の外からの信号は、受信側通信システム103への干渉信号である。他の実施形態において、通信領域の外からの信号は、干渉信号と異なる信号である。所望信号は、受信側通信システム103の通信領域内からの信号である。たとえば、通信領域は、受信側通信システム103を中心とする円形領域である。この円形領域の半径は、たとえば、0メートルから50メートルである。
【0072】
一実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を、予め定められた方法を用いて決定する。たとえば、予め定められた方法は、前の経験に基づく。判定モジュール305は、予め定められた方法を適用することによって、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を表すデータを生成する。
【0073】
一実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータをプリコーディングモジュール307に送る。別の実施形態においては、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを記憶装置240にも送って記憶する。さらに別の実施形態では、判定モジュール305は一つ以上の関連IAグループのための一つ以上の要件を記述しているデータをデータ格納装置308へ送って記憶あるいはバッファリングする。
【0074】
プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルを生成し、一つ以上の送信信号を生成するためのコードおよびルーチンである。たとえば、プリコーディングモジュール307は一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述して
いるデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータを用いて、一つ以上の送信信号を生み出す。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の送信信号を通信モジュール301を介してアンテナ110に送って送信する。一実施形態では、プリコーディングモジュール307は、制御部202を介して一つ以上の送信信号を記憶装置240へも送って記憶する。別の実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、データ格納装置380に一つ以上の送信信号を送って記憶またはバッファリングする。プリコーディングモジュール307は、信号線328を介してバス320と通信可能に結合されている。
【0075】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを判定モジュール305から受ける。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを計算する。たとえば、プリコーディングモジュール307は一つ以上のプリコーディングウェイト(precoding weight)を含むプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングベクトルは、一つ以上の受信信号が受信側通信システム103において整列するように一つ以上の送信信号を制御するために用いられる。一実施形態において、プリコーディングモジュール307は、すべての関連IAグループのすべての要件を記述しているデータに基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。
【0076】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて送信信号を生成する。たとえば、プリコーディングモジュール307は、取得モジュール303からソースデータを受け取る。プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルにソースデータを乗算して、一つ以上の送信信号を生成する。プリコーディングモジュール307は、この一つ以上の送信信号をアンテナ110に送って送信する。このように、一つ以上の送信信号は、受信側通信システム103において干渉アライメント(IA)が実現するように制御される。
【0077】
一実施形態においては、受信側通信システム103は、送信時に一つ以上の送信側通信システム103によって制御される一つ以上の送信信号を受ける。この一つ以上の送信信号は、受信側通信システム103にとって干渉信号または所望信号でありえる。
【0078】
一実施形態において、受信側通信システム103で、各々の干渉信号は、一つ以上の所望信号が存在する信号部分空間と異なる1つの信号部分空間に整列されている。たとえば、2つ以上の干渉信号は、所望信号が存在する部分空間と異なる同一の部分空間に存在する。他の実施形態においては、受信側通信システム103で、2つ以上の干渉信号は、異なりはするが互いに近い部分空間に存在する。たとえば、2つ以上の干渉信号は、空間距離という意味において、または、相関関係という意味において互いの近くに存在する。これら2つ以上の干渉信号が存在する部分空間は全て、所望信号が存在する部分空間と異なる。したがって、受信側通信システム103は、これら2つ以上の干渉信号を簡単に取り除くことができる。
【0079】
一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、他の送信側通信システム103からの送信信号と同期して受信側通信システム103に達するように、一つ以上の送信信号を制御する。たとえば、同じIAグループ内の全ての通信システム103(各々がプリコーディングモジュール307を含む送信モジュール234を含んでいる)は、IAグループの要件を満たすために、時間同期して送信信号を送る。このように、同じIAグループのすべての送信側通信システム103は、同期して受信側通信システム103
に達するように、送信信号を制御する。他の例では、同じIAグループのすべての送信側通信システム103は、上記とは異なった協調的な方法で送信信号を制御して、受信側通信システム103に同期して達するようにする。
【0080】
GUIモジュール311は、ユーザ125にグラフィックデータを与えるためのコードおよびルーチンである。GUIモジュール311は、信号線332を介してバス320と通信可能に結合されている。一実施形態においては、GUIモジュール311は、ソースデータが送られたことをユーザ125に通知するユーザインタフェースを表すためのグラフィックデータを生み出す。たとえば、ソースデータは、「路面が凍結している」などの安全警告を示す。グラフィックデータは、「『路面が凍結している』という警告が送信された」などの安全警告が送信されたことを表示するユーザインタフェースを生成するために用いられる。別の実施形態では、GUIモジュール311は、ユーザ125が通信システム103に情報を入力するユーザインタフェースを描くためのグラフィックデータを生成する。GUIモジュール311は、生成されたグラフィックデータをインタフェース212に送り、インタフェース212がユーザ125にユーザインタフェースを提供する。
【0081】
<記憶装置240>
図4は、一実施形態における記憶装置240を示しているブロック図400である。記憶装置240は、センサデータ401、ソースデータ403、IAグループ要件データ405、プリコーディングベクトルデータ407、送信信号データ409と着信データ411を含む。当業者であれば、記憶装置240がここに記述される機能を提供するために他のデータを含んでもよいことを理解できるだろう。
【0082】
センサデータ401は、センサ231からの一つ以上のセンサ信号に基づいて制御部202によって生成されるデータである。たとえば、センサデータ401は、ブレーキデータ、速度データ、ステアリングデータ、ワイパーデータ、ライトデータ、温度データなどの一つ以上を含む。センサデータ401は、車両と関連した一つ以上の環境要因を含む。一つ以上の環境要因は、気象データ、道路タイプデータ、交通データと状況タイプデータなどを含む。別の例では、センサデータ401は、制御部202に結合されたカメラから取得される一つ以上の画像も含む。
【0083】
ソースデータ403は、センサデータ401に基づいて制御部202によって生成されるデータである。ソースデータは、送信データを生成するために用いられる。たとえば、ソースデータ403は交通状況、安全警告、路面状態、車両の状態や動作や、車両にとって有用なその他の情報を記述しているデータを含む。
【0084】
IAグループ要件データ405は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータである。たとえば、要件は関連IAグループがIA制御を実現するための制約条件である。
【0085】
プリコーディングベクトルデータ407は、一つ以上のプリコーディングベクトルを含む。たとえば、プリコーディングベクトルは一つ以上のプリコーディングウェイトを含む。プリコーディングベクトルは、受信側通信システム103において整列して受信される一つ以上の送信信号を生成するために用いられる。
【0086】
送信信号データ409は、一つ以上の送信信号を含む。たとえば、一つ以上の送信信号は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに基づいて生成される。プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを乗算することによって、一つ以上の送信信号を生み出す。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の送信信号を記憶装置240に送って、記憶する。
【0087】
着信データ411は、他の通信システム103からの信号に基づいて受信モジュール232によって生成されるデータである。たとえば、受信モジュール232は他の通信システム103から一つ以上の信号を受け取る。受信モジュール232は、受信した信号を処理して、この信号に基づいて利用可能な情報を決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。受信モジュール232は、制御部202を介して着信データを記憶装置240に保存する。例えば、着信データは、交通状況、安全警告、路面状況、車両の状態や動作のいずれかまたはこれらのうちの複数を表す。
【0088】
<方法>
ここでは図5から図7を参照して、本発明に係る方法の種々の実施形態について説明する。
【0089】
図5は、一実施形態における送信信号の制御方法を示すフローチャートである。取得モジュール303は、ソースデータを取得する(502)。ソースデータは、センサデータに基づいて生成される。たとえば、ソースデータは交通状況、安全警告、その他の一つ以上を含む。一実施形態においては、取得モジュール303はソースデータを求める要求を生成する。取得モジュール303は、ソースデータを求める要求を、通信モジュール301を介して制御部202に送る。制御部202はソースデータを記憶装置240から取り出して、ソースデータを取得モジュール303に送る。
【0090】
ステップ504で、プリコーディングモジュール307は送信信号を生成する。一実施形態において、プリコーディングモジュール307は取得モジュール303からソースデータを受け取る。プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータを判定モジュール305から受け取る。そして、プリコーディングモジュール307は一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を記述しているデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングモジュール307は、ソースデータと一つ以上のプリコーディングベクトルに少なくとも部分的に基づいて一つ以上の送信信号を生成する。例えば、プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを掛けて、一つ以上の送信信号を生成する。
【0091】
ステップ506で、プリコーディングモジュール307は送信信号を送る。たとえば、プリコーディングモジュール307はアンテナ110に一つ以上の送信信号を送る。アンテナ110は、一つ以上の送信信号をネットワーク105に送る。ネットワーク105に結合している一つ以上の他の通信システム103は、一つ以上の送信信号を受けることができる。
【0092】
図6は、別の実施形態における送信信号を制御する方法600の別の例を示すフローチャートである。取得モジュール303は、ソースデータを取得する(602)。一実施形態では、取得モジュール303は、制御部202を介してソースデータを記憶装置240から取得する。ソースデータは、交通状況、安全警告、その他の一つ以上を含む。
【0093】
ステップ604で、判定モジュール305は関連IAグループを決定する。関連IAグループは、送信モジュール234(判定モジュール305を含んでいる)が属しているIAグループである。一実施形態においては、判定モジュール305は干渉範囲閾値に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。たとえば、判定モジュール305は、送信側通信システム103(判定モジュール305を含む送信モジュール234を含んでいる)と他の通信システム103の間の距離を、80メートルのような干渉範囲閾値と比較する。そして、判定モジュール305は、比較に基づいて一つ以上の関
連IAグループを決定する。別の実施形態においては、判定モジュール305は、予め定められた制御方法に少なくとも部分的に基づいて一つ以上の関連IAグループを決定する。判定モジュール305は、一つ以上のパラメータを入力として用いて、予め定められた制御方法を呼び出す。たとえば、一つ以上のパラメータは、記憶装置240から得られるセンサデータを含む。そして、判定モジュール305は、呼び出しの出力にしたがって、一つ以上の関連IAグループを決定する。
【0094】
ステップ606で、判定モジュール305は要件を決定する。たとえば、判定モジュール305は、一つ以上の関連IAグループの一つ以上の要件を決定する。たとえば、要件は、関連IAグループがIA制御を実現するための制約条件である。判定モジュール305は、1または複数の関連IAグループに対する1または複数の要件を表すデータを生成する。具体的には、例えば、判定モジュール305が他の通信システム103の通信領域内に存在する、すなわち他の通信システム103との間の距離が通信範囲閾値以下か判定し、そうであれば、送信信号を他の通信システム103の所望信号と判定する。そして、送信信号が干渉信号と異なる同一の信号部分空間に存在するように要件を決定する。また、判定モジュールが他の通信システム103の干渉領域に存在する、すなわち他の通信システム103との間の距離が通信範囲閾値より大きく干渉範囲閾値以下か判定し、そうであれば、送信信号を他の通信システム103の干渉信号と判定する。そして、送信信号が所望信号と異なる同一の信号部分空間に存在するように要件を決定する。
【0095】
ステップ608で、プリコーディングモジュール307はプリコーディングベクトルを算出する。一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上の関連IAグループに一つ以上の要件を表すデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上のプリコーディングベクトルを算出する。たとえば、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングウェイトを含むプリコーディングベクトルを算出する。プリコーディングウェイトは、受信側通信システム103に一つ以上の送信信号が整列して到着するように制御するために用いられる。
【0096】
ステップ610で、プリコーディングモジュール307は送信信号を生成する。一実施形態においては、プリコーディングモジュール307は、一つ以上のプリコーディングベクトルとソースデータに少なくとも部分的に基づいて、一つ以上の送信信号を生成する。例えば、プリコーディングモジュール307は、ソースデータに一つ以上のプリコーディングベクトルを掛けて、一つ以上の送信信号を生成する。
【0097】
ステップ612で、通信モジュール301は送信信号を増幅する。たとえば、通信モジュール301は、プリコーディングモジュール307から一つ以上の送信信号を受け取る。通信モジュール301は、デジタル増幅技術を用いて、一つ以上の送信信号を増幅する。ステップ612は、図6において点線で示されているが、これは、ステップ612が方法600における省略可能なステップであることを示している。
【0098】
ステップ614で、通信モジュール301は送信信号を送信する。たとえば、通信モジュール301はアンテナ110に一つ以上の送信信号を送る。アンテナ110は、一つ以上の送信信号をネットワーク105に送信する。ネットワーク105に結合された他の通信システム103は、ネットワーク105を介して、一つ以上の送信信号を受信できる。
【0099】
図7は、一実施形態における干渉除去方法700を示すフローチャートである。受信モジュール232は、一つ以上の信号を受信する(702)。一実施形態においては、受信モジュール232は、アンテナ110を介してネットワーク105から一つ以上の信号を受信する。たとえば、一つ以上の受信信号は、ネットワーク105に結合された他の通信システム103からの一つ以上の送信信号である。
【0100】
受信モジュール232は、一つ以上の信号をデコードして(704)、一つ以上の干渉信号を除去する(706)。たとえば、受信モジュール232は、受信した送信信号をデコードする。受信した送信信号は送信側通信システム103内の送信モジュール234において一つ以上のプリコーディングベクトルを用いて処理されているので、受信した送信信号は、受信側通信システム103(受信モジュール232を含んでいる)で整列している。したがって、受信した送信信号のすべての干渉信号は、一つ以上の所望信号の信号部分空間とは異なる同一の信号部分空間に存在する。受信モジュール232は、干渉信号が存在する信号部分空間内のすべての信号を削除することによって、受信した送信信号からすべての干渉信号を除く。
【0101】
受信モジュール232は、データを格納する(708)。たとえば、受信信号から干渉信号を除いた後に、受信モジュール232は一つ以上の所望信号を得る。そして、受信モジュール232は、一つ以上の所望信号に基づいて利用可能な情報を決定する。受信モジュール232は、利用可能なデータを用いて着信データを生成する。受信モジュール232は、着信データを制御部202を介して記憶装置240に送る。記憶装置240は、着信データを保存する。
【0102】
<図式説明>
図8A〜図8Dは、本明細書で記載された一実施形態における方法を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオを、図式表示したものである。
【0103】
図8Aには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現が描かれている。要素802aは、受信側通信システム802aの図式表示である。たとえば、受信側通信システム802aは、図1−3とともに詳述した通信システム103である。要素804aは、受信側通信システム802aの通信領域804aの図式表示である。図示される実施形態では、通信領域804aは、受信側通信システム802aを中心とする円である。たとえば、円の半径は、0メートルから50メートルの間にある。一実施形態においては、通信領域804aの外からの信号は、干渉信号である。
【0104】
要素806aは、受信側通信システム802aのIAグループ領域806aの図式表示である。IAグループ領域806aは、干渉範囲閾値によって定義される。たとえば、干渉範囲閾値は、50メートル以上100メートル以下である。図示された実施形態においては、IAグループ領域806aは、干渉範囲閾値に等しい半径を有する円である。一実施形態においては、IAグループ領域806aの外からの信号は干渉信号であるが、受信側通信システム802aとの距離が長いため影響を与えず、あえて除去する必要は無い。
【0105】
要素810は、送信側通信システム810の図式表示である。たとえば、送信側通信システム810は、図1−3で詳述した上述の通信システム103である。要素812は、送信側通信システム810から受信側通信システム802aまで送られる送信信号812の図式表示である。たとえば、送信側通信システム810が受信側通信システム802aの通信領域804aの中に存在するので、送信信号812は受信側通信システム802aに対する所望信号である。送信信号812は、受信側通信システム802aで一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に存在するように、送信側通信システム810によって制御される。
【0106】
要素820、830、840は、送信側通信システム820、830、840の図式表示である。たとえば、送信側通信システム820、830、840は図1−3とともに詳述した上記の通信システム103である。要素822、832、842は、送信側通信シ
ステム820、830、840から、受信側通信システム802aへの送信信号である。
【0107】
図示された実施形態においては、送信信号822は、通信領域804aの外からであって、IAグループ領域806aの中から送信される。送信信号822は、受信側通信システム802aにおいて整列するように、送信側通信システム820によって送信時に制御される。つまり、送信信号822は、受信側通信システム802aにおける送信信号812の信号部分空間と異なる信号部分空間に存在する。送信信号832、842は、IAグループ領域806aの外から送信される。したがって、送信信号832、842は、送信側通信システム830、840によって整列するように制御されていないし、受信側通信システム802aによって除去されもしない。
【0108】
要約すると、送信側通信システム810、820が、それぞれ送信信号812、822をIA制御する。
【0109】
図8Bには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現870が描かれている。要素802b、804b、806bはそれぞれ、受信側通信システム802b、通信領域804b、およびIAグループ領域806bの図式表示である。要素810、820、830、840はそれぞれ送信側通信システム810、820、830、840の図式表示である。要素814、824、834、844はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840から受信側通信システム802bに送信される送信信号814、824、834、844の図式表示である。
【0110】
図示された実施形態において、送信信号814はIAグループ領域806bの外から送信される。したがって、送信信号814は、送信側通信システム810によって整列制御されず、受信側通信システム802bでも除去されない。送信信号824、834は、通信領域804b内から送信される。したがって、これらの送信信号824,834は、受信側通信システム802bにとって所望信号である。これらの信号は、一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で整列するように送信側通信システム820、830によって制御される。送信信号844は、通信領域804bの外からであり、IAグループ領域806bの中から送信される。送信信号844は、受信側通信システム802によって、送信信号824、834の信号部分空間と異なる信号部分空間で整列するように送信側通信システム840によって制御される。
【0111】
要約すると、送信側通信システム820、830、840が、それぞれの送信信号824、834、844をIA制御する。
【0112】
図8Cには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表現880が描かれている。要素802c、804c、806cはそれぞれ、受信側通信システム802c、通信領域804c、およびIAグループ領域806cの図式表示である。要素810、820、830、840はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840の図式表示である。要素816、826、836、846はそれぞれ、送信側通信システム810、820、830、840から受信側通信システム802cまで送信される送信信号816、826、836、846の図式表示である。
【0113】
図示された実施形態において、送信信号816、826はIAグループ領域806cの外から送信される。したがって、これらの送信信号816,826は、送信側通信システム810、820によって制御されないし、受信側通信システム802cによっても除去されない。送信信号836は、通信領域804cの外からであり、IAグループ領域80
6cの中から送信される。送信信号836は、受信側通信システム802bでの所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列される。送信信号846は、通信領域804cの中から送信される。したがって、送信信号846は、受信側通信システム802cの所望信号である。整列制御は、送信側通信システム840によって行われる。たとえば、送信信号846は、送信信号836の信号部分空間と異なる信号部分空間にある。
【0114】
要約すると、送信側通信システム830、840は、それぞれの送信信号836、846をIA制御する。
【0115】
図8Dには、上記で説明された実施形態を用いて分散干渉アライメントが実現される通信シナリオの図式表示890が図示される。要素802a、802b、802cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cの図式表示である。要素804a、804b、804cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cの通信領域804a、804b、804cの図式表示である。要素806a、806b、806cはそれぞれ、受信側通信システム802a、802b、802cのIAグループ領域806a、806b、806cの図式表示である。
【0116】
要素820は、送信側通信システム820の図式表示である。要素822は、送信側通信システム820から受信側通信システム802aへの送信信号822の図式表示である。要素824は、送信側通信システム820から受信側通信システム802bへの送信信号824の図式表示である。図示された実施形態において、送信側通信システム820は、受信側通信システム802aのIAグループ領域806a内と、受信側通信システム802bの通信領域804b内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム820は送信信号822、824を制御して、送信信号822が受信側通信システム802aの一つ以上の所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列するようにし、送信信号824が受信側通信システム802bの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにする。言い換えると、送信側通信システム820は、両方のIAグループ領域806a、806bの要件を満たすように、送信信号822、824を制御する。
【0117】
要素830、840は、送信側通信システム830、840の図式表示である。要素834、836は、それぞれ、送信側通信システム830から受信側通信システム802b、802cへ送信される送信信号834、836の図式表示である。同様に、要素844、846は、それぞれ、送信側通信システム840から受信側通信システム802b、802cへ送信される送信信号844、846の図式表示である。
【0118】
図示された実施形態において、送信側通信システム830は、受信側通信システム802bの通信領域804b内と、受信側通信システム802cのIAグループ領域806c内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム830は送信信号834,836を制御して、送信信号834が受信側通信システム802bの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにし、送信信号836が受信側通信システム802cの一つ以上の所望信号の信号部分空間と異なる信号部分空間に整列されるようにする。言い換えると、送信側通信システム830は、IAグループ領域806b、806cの両方の要件を満たすように、送信信号834、836を制御する。
【0119】
同様に、送信側通信システム840は、受信側通信システム802bのIAグループ領域806b内と、受信側通信システム802cの通信領域804c内の両方に位置する。したがって、一実施形態において、送信側通信システム840は送信信号844,846を制御して、送信信号844が受信側通信システム802bの一つ以上の所望信号の信号
部分空間と異なる信号部分空間に整列し、かつ、送信信号846が受信側通信システム802cの一つ以上の干渉信号の信号部分空間と異なる信号部分空間で受信されるようにする。言い換えると、送信側通信システム840は、両方のIAグループ領域806b、806cの要件を満たすために、送信信号844、846を制御する。
【0120】
実施形態の前述の説明は、例示と説明を目的として行われたものである。したがって、開示された実施形態が本発明の全てではないし、本発明を上記の実施形態に限定するものでもない。本発明は、上記の開示にしたがって、種々の変形が可能である。本発明の範囲は上述の実施形態に限定解釈されるべきではなく、特許請求の範囲にしたがって解釈されるべきである。本発明の技術に詳しい者であれば、本発明はその思想や本質的特徴から離れることなくその他の種々の形態で実現できることを理解できるであろう。同様に、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様に関する名前付けや分割方法は必須なものでものないし重要でもない。また、本発明やその特徴を実装する機構は異なる名前や分割方法や構成を備えていても構わない。さらに、当業者であれば、モジュール・処理・特徴・属性・方法およびその他の本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアもしくはこれらの組合せとして実装できることを理解できるであろう。また、本発明をソフトウェアとして実装する場合には、モジュールなどの各要素は、どのような様式で実装されても良い。例えば、スタンドアローンのプログラム、大きなプログラムの一部、異なる複数のプログラム、静的あるいは動的なリンクライブラリー、カーネルローダブルモジュール、デバイスドライバー、その他コンピュータプログラミングの当業者にとって既知な方式として実装することができる。さらに、本発明の実装は特定のプログラミング言語に限定されるものではないし、特定のオペレーティングシステムや環境に限定されるものでもない。以上のように、上記の本発明の説明は限定的なものではなく例示的なものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲にしたがって定められる。
【符号の説明】
【0121】
101 通信ノード
103 通信システム
150 統合クラウドデータベース
202 制御部
230 送受信部
232 受信モジュール
234 送信モジュール
240 記憶装置
802a,b,c 受信側通信システム
804a,b,c 通信領域
806a,b,c IAグループ領域
810,820,830,840 送信側通信システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムによって実行される分散干渉アライメント方法であって、
ソースデータを取得するステップと、
1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを生成するステップと、
前記1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を記述するデータに少なくとも部分的に基づいてプリコーディングベクトルを算出するステップと、
少なくとも前記プリコーディングベクトルと前記ソースデータとに部分的に基づいて送信信号を生成するステップと、
を含む分散干渉アライメント方法。
【請求項2】
前記プリコーディングベクトルは1つまたは複数のプリコーディングウェイトを含む、
請求項1に記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項3】
前記送信信号は受信側通信システムに対する干渉信号であり、当該干渉信号は前記受信側通信システムに対する他の干渉信号と同じ信号部分空間に整列される、
請求項1または2に記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項4】
前記送信信号を生成するステップでは、前記ソースデータに前記プリコーディングベクトルを掛けることによって前記送信信号を生成する、
請求項1〜3のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項5】
前記送信信号が1つまたは複数の受信側通信システムに時間同期して到着するように、前記送信信号を制御する、
請求項1〜4のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを生成するステップは、
通信領域内であると判断するための第1の閾値と、干渉領域内であると判断するための前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とをあらかじめ記憶する工程と、
他の通信システムとの間の距離を取得する工程と、
前記距離が前記第1の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は所望信号であると判断する工程と、
前記距離が前記第1の閾値よりも大きく前記第2の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は干渉信号であると判断する工程と、
前記他の通信システムへの干渉信号が前記他の通信システムへの所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に整列するような制約条件として前記要件を生成する工程と、
を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項7】
分散干渉アラインメントを実現する通信システムであって、
ソースデータを取得する取得モジュールと、
前記取得モジュールと通信可能に結合され、1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを判定する判定モジュールと、
前記判定モジュールおよび前記取得モジュールと通信可能に結合され、1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を記述するデータに少なくとも部分的に基づいてプリコーディングベクトルを算出し、少なくとも前記プリコーディングベクトルと前記ソースデータとに部分的に基づいて送信信号を生成するプリコーディングモジュールと、
を備える通信システム。
【請求項8】
前記プリコーディングベクトルは1つまたは複数のプリコーディングウェイトを含む、
請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記送信信号は受信側通信システムに対する干渉信号であり、当該干渉信号は前記受信側通信システムに対する他の干渉信号と同じ信号部分空間に整列される、
請求項7または8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記プリコーディングモジュールは、前記ソースデータに前記プリコーディングベクトルを掛けることによって前記送信信号を生成する、
請求項7〜9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記プリコーディングモジュールは、前記送信信号が1つまたは複数の受信側通信システムに時間同期して到着するように、前記送信信号を制御する、
請求項7〜10のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】
前記判定モジュールは、
通信領域内である判断するための第1の閾値と、干渉領域内であると判断するための前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とをあらかじめ記憶し、
他の通信システムとの間の距離を取得し、
前記距離が前記第1の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は所望信号であると判断し、
前記距離が前記第1の閾値よりも大きく前記第2の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は干渉信号であると判断し、
前記他の通信システムへの干渉信号が前記他の通信システムへの所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に整列するような制約条件として前記要件を生成する、
請求項7〜11のいずれかに記載の通信システム。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
通信システムによって実行される分散干渉アライメント方法であって、
ソースデータを取得するステップと、
1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを生成するステップと、
前記1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を記述するデータに少なくとも部分的に基づいてプリコーディングベクトルを算出するステップと、
少なくとも前記プリコーディングベクトルと前記ソースデータとに部分的に基づいて送信信号を生成するステップと、
を含む分散干渉アライメント方法。
【請求項2】
前記プリコーディングベクトルは1つまたは複数のプリコーディングウェイトを含む、
請求項1に記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項3】
前記送信信号は受信側通信システムに対する干渉信号であり、当該干渉信号は前記受信側通信システムに対する他の干渉信号と同じ信号部分空間に整列される、
請求項1または2に記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項4】
前記送信信号を生成するステップでは、前記ソースデータに前記プリコーディングベクトルを掛けることによって前記送信信号を生成する、
請求項1〜3のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項5】
前記送信信号が1つまたは複数の受信側通信システムに時間同期して到着するように、前記送信信号を制御する、
請求項1〜4のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを生成するステップは、
通信領域内であると判断するための第1の閾値と、干渉領域内であると判断するための前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とをあらかじめ記憶する工程と、
他の通信システムとの間の距離を取得する工程と、
前記距離が前記第1の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は所望信号であると判断する工程と、
前記距離が前記第1の閾値よりも大きく前記第2の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は干渉信号であると判断する工程と、
前記他の通信システムへの干渉信号が前記他の通信システムへの所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に整列するような制約条件として前記要件を生成する工程と、
を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の分散干渉アライメント方法。
【請求項7】
分散干渉アラインメントを実現する通信システムであって、
ソースデータを取得する取得モジュールと、
前記取得モジュールと通信可能に結合され、1つまたは複数の干渉アライメント(IA)グループについての1つまたは複数の要件を記述するデータを判定する判定モジュールと、
前記判定モジュールおよび前記取得モジュールと通信可能に結合され、1つまたは複数のIAグループについての1つまたは複数の要件を記述するデータに少なくとも部分的に基づいてプリコーディングベクトルを算出し、少なくとも前記プリコーディングベクトルと前記ソースデータとに部分的に基づいて送信信号を生成するプリコーディングモジュールと、
を備える通信システム。
【請求項8】
前記プリコーディングベクトルは1つまたは複数のプリコーディングウェイトを含む、
請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記送信信号は受信側通信システムに対する干渉信号であり、当該干渉信号は前記受信側通信システムに対する他の干渉信号と同じ信号部分空間に整列される、
請求項7または8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記プリコーディングモジュールは、前記ソースデータに前記プリコーディングベクトルを掛けることによって前記送信信号を生成する、
請求項7〜9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記プリコーディングモジュールは、前記送信信号が1つまたは複数の受信側通信システムに時間同期して到着するように、前記送信信号を制御する、
請求項7〜10のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】
前記判定モジュールは、
通信領域内である判断するための第1の閾値と、干渉領域内であると判断するための前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とをあらかじめ記憶し、
他の通信システムとの間の距離を取得し、
前記距離が前記第1の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は所望信号であると判断し、
前記距離が前記第1の閾値よりも大きく前記第2の閾値以下であれば、前記他の通信システムへの送信信号は干渉信号であると判断し、
前記他の通信システムへの干渉信号が前記他の通信システムへの所望信号の信号部分空間とは異なる信号部分空間に整列するような制約条件として前記要件を生成する、
請求項7〜11のいずれかに記載の通信システム。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公開番号】特開2013−106340(P2013−106340A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92086(P2012−92086)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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