説明

切削ブレード先端形状検出方法

【課題】 切削ブレードの先端形状を効率良く検出し、切削ブレードの交換の要否を判断可能な切削ブレード先端形状検出方法を提供することである。
【解決手段】 チャックテーブルに保持された被加工物を切削する円板状の切削ブレードの先端形状を検出する切削ブレード先端形状検出方法であって、切り込み深さを複数回変化させて被加工物を切削し、深さの異なる複数の溝を形成する溝形成ステップと、該複数の溝をそれぞれ撮像手段の直下に位置付けて該複数の溝を撮像し、各溝の溝幅を測定する溝幅測定ステップと、該複数の溝の切り込み深さ及び該溝幅測定ステップで測定した該各溝幅に基づいて、該切削ブレードの先端形状を算出する形状算出ステップと、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する円板状の切削ブレードの先端形状を検出する切削ブレード先端形状検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハや電子部品、光学部品に使用されるセラミック基板、樹脂基板、ガラス基板等の被加工物は、切削装置によって個々のチップに分割され、分割されたチップは各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
これらの切削装置では、ダイアモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の超砥粒を金属や樹脂又はガラス等で固めた切削ブレードが回転しつつ被加工物に切り込むことで切削が遂行される。
【0004】
被加工物を切削するにつれて切削ブレード先端の古くなった超砥粒は切削ブレードから抜け落ち、その結果、新しい超砥粒が突出する自生発刃作用によって切削ブレードは磨耗しながらも常に切れ味を落とすことなく切削を行うことができる。
【0005】
一般に新品の切削ブレードの断面形状は図1(A)に示すように矩形であるが、切削に伴って切削ブレードの先端は左右均等に磨耗してゆき、その断面形状は図1(B)に示すようにRが刃厚の1/2となるR形状(円弧状)へと変化する。
【0006】
ところが、切削ブレードの先端が左右均等に磨耗しない、又は左右均等に磨耗したとしても先端に刃厚の1/2以下のRが形成されて先端が先細る、所謂側面痩せ等の偏磨耗が発生することがある。
【0007】
偏磨耗の形状には、例えば切削ブレードの先端が先細る図1(C)に示す先細りと呼ばれる形状や、切削ブレードの表裏面のうち一方面が多方面に比べてより多く磨耗する図1(D)に示す片減りと呼ばれる形状等がある。
【0008】
偏磨耗が発生する原因は種々考えられるが、例えば、切削ブレードの先端(径方向)の消耗が進まず、その結果先端の角部及び側面が発生する切削屑に研磨されるようにして先に磨耗してしまうことが原因としてあげられる。そうなると、形成される溝の幅が溝の上方と下方で異なってしまうため、切削して形成されたチップの側面壁には斜めの角度がついてしまう。
【0009】
こうした斜め切りチップの角部は鋭角に形成されているため、小さな衝撃が加わるだけで簡単に欠けてしまう。よって、チップのハンドリング中に問題が発生することが多く、チップの形状変化を発生させないために、切削ブレードの先端形状が変化する前に切削ブレードの交換をすることが必要となる。
【0010】
そこで、検査用片を所定位置に配設し、切削ブレードが検査用片の厚み方向途中まで切り込んで検査用溝を形成した後、検査用片を横倒ししてその溝底断面形状を撮像することで、切削ブレードの先端形状を検出し、交換の要否を判断したり(例えば、特開2007−296604号公報参照)、或いは撮像手段の真下に溝を位置付けて、撮像手段の焦点位置を上下方向に移動させることで任意の切り込み深さの溝幅を検出(例えば、特開2008−166546号公報参照)することにより、その先端形状を検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−296604号公報
【特許文献2】特開2008−166546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1に記載されているような検査用溝の溝底断面形状から切削ブレードの先端形状を検出するには、検査用片を横倒しにする機構、若しくは検査用片の側方から切削溝を撮像する機構が必要となり、装置構造が複雑化、大型化するという問題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載されているような撮像手段の焦点位置を上下方向に移動させることで任意の切り込み深さの溝幅を検出する方法では、実際に作成される非常に細い溝の連続する側面の一転に焦点を合わせるという現実では非常に困難な画像認識技術が必要であるという問題がある。
【0014】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切削ブレードの先端形状を効率良く検出し、切削ブレードの交換の要否を判断可能な切削ブレード先端形状検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によると、チャックテーブルに保持された被加工物を切削する円板状の切削ブレードの先端形状を検出する切削ブレード先端形状検出方法であって、切り込み深さを複数回変化させて被加工物を切削し、深さの異なる複数の溝を形成する溝形成ステップと、該複数の溝をそれぞれ撮像手段の直下に位置付けて該複数の溝を撮像し、各溝の溝幅を測定する溝幅測定ステップと、該複数の溝の切り込み深さ及び該溝幅測定ステップで測定した該各溝幅に基づいて、該切削ブレードの先端形状を算出する形状算出ステップと、を具備したことを特徴とする切削ブレード先端形状検出方法が提供される。
【0016】
好ましくは、切削ブレード先端形状検出方法は、前記複数の溝の切り込み深さ毎に許容可能な溝幅許容範囲を設定し、該溝幅許容範囲を記憶手段で記憶する溝幅記憶ステップと、前記溝幅測定ステップで測定した前記溝幅と該溝幅記憶ステップで設定された該溝幅許容範囲とを比較して、該切削ブレードの交換の要否を判別する溝幅判別ステップと、を更に具備している。
【0017】
好ましくは、切削ブレード先端形状検出方法は、前記複数の溝の切り込み深さ毎に前記撮像手段の基準線に対して許容可能な溝幅の片寄り許容範囲を設定し、該片寄り許容範囲を記憶手段で記憶する片寄り記憶ステップと、前記溝幅測定ステップで測定した溝幅の片寄りを該片寄り記憶ステップで設定された該片寄り許容範囲とを比較して、前記切削ブレードの交換の要否を判別する片寄り溝幅判別ステップと、を更に具備している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の切削ブレード先端形状検出方法では、複数の異なる切り込み深さで検査用に溝を形成し、溝幅を画像認識で測定し、各溝幅から溝形状即ち切削ブレードの先端形状を算出するため、新たに検査片を回転させる等の機構を必要とせず、画像認識もダイシング装置でよく用いられている溝幅自動測定技術を転用することができるため、複雑な機構を必要とせずに実現性のある切削ブレード先端形状検出方法を提供することができる。
【0019】
また、既存の技術であるチャックテーブル近傍にドレス用チャックテーブルを備えた装置を用いれば、溝幅の検出が容易なドレスボードを用いて溝幅検出を専門に実施できることから、製品となる被加工物の溝の画像認識の難易度を気にせずに溝形状の検出が可能となる。
【0020】
更には、偏磨耗が発生していない切削ブレードが切削する溝の中心となる撮像手段中に設定した基準線を手がかりに溝の片寄りも検出できるため、切削ブレードの片面のみの偏磨耗(痩せ)も検出可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】切削ブレードの各種先端断面形状を示す図である。
【図2】切削装置の斜視図である。
【図3】ダイシングテープを介してフレームに支持された半導体ウエーハを示す斜視図である。
【図4】溝形成ステップを示す一部断面側面図である。
【図5】撮像ステップを示す一部断面側面図である。
【図6】溝幅測定ステップを示す説明図である。
【図7】形状算出ステップを示す断面図である。
【図8】図8(A)は溝幅判別ステップを説明する断面図、図8(B)は片寄り溝幅判別ステップを説明する断面図である。
【図9】図8(B)に示す偏磨耗した切削ブレードによる溝を撮像した画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図2を参照すると、本発明の切削ブレード先端形状検出方法を実施するのに適した切削装置2の斜視図が示されている。
【0023】
切削装置2の前面側には、オペレータが加工条件等の装置に対する指示を入力するための操作パネル4が設けられている。装置上部には、オペレータに対する案内画面や後述する撮像手段によって撮像された画像が表示されるCRT等の表示モニタ6が設けられている。
【0024】
図3に示すように、ダイシング対象の半導体ウエーハ11の表面においては、複数のストリート(分割予定ライン)13が直交して形成されており、交差するストリート13によって区画された各領域にデバイス15がウエーハ11上に形成されている。
【0025】
半導体ウエーハ11はその表面11aに、多数のデバイス15が形成されたデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を有している。このように構成されたウエーハ11は、切削加工に際して粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周部が環状フレームFに貼着される。
【0026】
これにより、ウエーハ11はダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態となり、図2に示したウエーハカセット8中にウエーハが複数枚(例えば25枚)収容される。ウエーハカセット8は上下動可能なカセットエレベータ9上に載置される。
【0027】
ウエーハカセット8の後方には、ウエーハカセット8から切削前のウエーハ11を搬出するとともに、切削後のウエーハをウエーハカセット8に搬入する搬出入機構10が配設されている。ウエーハカセット8と搬出入機構10との間には、搬出入対象のウエーハ11が一時的に載置される領域である仮置き領域12が設けられており、仮置き領域12には、ウエーハ11を一定の位置に位置合わせする位置合わせ機構14が配設されている。
【0028】
仮置き領域12の近傍には、ウエーハ11と一体となったフレームFを吸着して搬送する旋回アームを有する搬送機構16が配設されており、仮置き領域12に搬出されたウエーハ11は、搬送機構16により吸着されてチャックテーブル18上に搬送され、このチャックテーブル18に吸引されるとともに、複数の固定手段(クランプ)19によりフレームFが固定されることでチャックテーブル18上に保持される。
【0029】
チャックテーブル18は、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル18のX軸方向の移動経路の上方には、ウエーハ11の切削すべきストリートを検出するアライメントユニット20が配設されている。
【0030】
アライメントユニット20は、ウエーハ11の表面を撮像する撮像ユニット22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の処理によって切削すべきストリートを検出することができる。撮像ユニット22によって取得された画像は、表示モニタ6に表示される。
【0031】
アライメントユニット20の左側には、チャックテーブル18に保持されたウエーハ11に対して切削加工を施す切削手段(切削ユニット)24が配設されている。切削ユニット24はアライメントユニット20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0032】
切削ユニット24は、回転可能なスピンドル26の先端に切削ブレード28が装着されて構成され、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。切削ブレード28は撮像ユニット22のX軸方向の延長線上に位置している。
【0033】
25は切削が終了したウエーハ11を洗浄装置27まで搬送する搬送機構であり、洗浄装置27では、ウエーハ11を洗浄するとともにエアノズルからエアを噴出させてウエーハ11を乾燥する。
【0034】
チャックテーブル18に隣接して、ドレスボードを吸引保持するドレステーブル30が配設されている。ドレステーブル30にドレスボードを装着することにより、切削ブレード28の使用前や使用途中、任意のタイミングで切削ブレード28のドレッシング作業を行うことができる。
【0035】
このような切削装置2では、切削加工に際して、事前に切削装置2に搭載された撮像ユニット22のカメラの基準線と切削ブレード28の中心線を合わせる作業(ヘアライン合わせ)を実施する。
【0036】
このヘアライン合わせ作業は、具体的には一度切削ブレード28にてウエーハ11の上面に切削溝を形成し、その切削溝を撮像して画像処理を行って切削溝の中心を検出し、この溝の中心位置とカメラの基準線位置とのずれ量を算出し、このずれ量を座標位置に加減することにより、切削溝の中心位置とカメラの基準線位置とを合致させた原点位置を切削装置のコントローラに記憶させることで行っている。
【0037】
本発明の切削ブレード先端形状検出方法では、まず切り込み深さを複数回変化させてウエーハ11を切削し、深さの異なる複数の溝を形成する溝形成ステップを実施する。この溝形成ステップでは、図4(A)に示すように、切削ブレード28でウエーハ11に第1の深さ切り込んで第1切削溝21aを形成し、次いで図4(B)に示すように、第1の深さより浅い第2の深さ切り込んで第2切削溝21bを形成し、更に図4(C)に示すように、第2の深さより浅い第3の深さ切り込んで第3切削溝21cを形成する。
【0038】
そして、第1乃至第3切削溝21a〜21c形成時の切削ブレード28の最下端の高さ位置(Z方向位置)の座標を切削装置2のコントローラ32の記憶部38に記憶する。
【0039】
第1乃至第3切削溝21a〜21cの形成は、例えば半導体ウエーハ11の未加工部分のストリート13をハーフカットすることにより実施する。或いは、半導体ウエーハ11の外周余剰領域19をハーフカットすることにより実施してもよい。
【0040】
尚、本実施形態では深さの深い第1切削溝21aから順々に深さの浅い第2切削溝21b、より浅い第3切削溝21cを形成しているが、この順序は逆にしてもよいし、ランダムに溝の深さを変化させるようにしてもよい。
【0041】
また、切削溝の本数は3本に限定されるものではなく、深さの異なる2本以上の切削溝を形成すれば良い。深さの異なる切削溝の本数が多いほど、切削ブレード28の先端形状の検出の精度を上げることができる。
【0042】
溝形成ステップ実施後、各切削溝21a,21b,21cを撮像する撮像ステップを実施する。この撮像ステップでは、図5に示すように、撮像ユニット22をY方向に移動して第1切削溝21aを撮像ユニット22の直下に位置付けて第1切削溝21aを撮像する。
【0043】
次いで、撮像ユニット22をY方向に移動して第2切削溝21bを撮像ユニット22の直下に位置付けて第2切削溝21bを撮像する。更に、撮像ユニット22をY方向に移動して第3切削溝21cを撮像ユニット22の直下に位置付けて第3切削溝21cを撮像する。
【0044】
図6を参照すると、第1切削溝21aを撮像した撮像ユニット22の撮像画像42が示されている。この撮像画像では、第1切削溝21aの中心は撮像ユニット22のカメラの基準線42aに一致しており、23は第1切削溝21aの縁である。また、符号25はチッピングを示している。
【0045】
この撮像画像42をコントローラ32の画像処理部34で画像処理して、第1切削溝21aの溝幅W1を容易に検出することができる。同様に、第2切削溝21b、及び第3切削溝21cを撮像した撮像画像を画像処理部34で画像処理して、第2切削溝21b及び第3切削溝23cの溝幅も容易に検出することができる。検出した溝幅は記憶部38に記憶する。
【0046】
溝幅測定ステップ実施後、複数の溝21a〜21cの切り込み深さ及び溝幅測定ステップで測定した各溝幅に基づいて、切削ブレード28の先端形状をコントローラ32の形状算出部36で算出する。
【0047】
この形状算出ステップを、図7を参照して説明する。記憶部38に記憶されている第1切削溝21aの切り込み深さ(切削ブレード28の最下端の高さ位置)及び溝幅測定ステップで測定した第1切削溝21cの溝幅W1に基づいて、図7(B)における切削ブレード28の28a部分の幅をW1と算出することができる。
【0048】
更に、第2切削溝21bの切り込み深さ及び溝幅測定ステップで測定した溝幅に基づいて、切削ブレード28の28b部分の幅を算出することができ、第3切削溝21cの切り込み深さ及び溝幅測定ステップで測定した溝幅に基づいて、切削ブレード28の28c部分の幅を算出することができる。形状算出部36では、このようにして算出した3点28a〜28cの幅に基づいて、補間法により切削ブレード28の先端形状を検出することができる。
【0049】
次に、図8(A)を参照して、先端先細り形状の切削ブレード28aの先端形状検出方法について説明する。図7(A)と同様に、切り込み深さの異なる3つの切削溝を形成したものとする。これらの切削溝を撮像ユニット22で撮像して、撮像画像を画像処理部34で画像処理することにより、それぞれの切削溝の溝幅を検出する。
【0050】
切り込み深さの一番深い切削溝の溝幅は切削ブレード28Aの28a部分の幅に相当し、切り込み深さが中間の切削溝の溝幅は28b部分の切削ブレードの幅に相当し、切り込み深さが一番浅い切削溝の溝幅は28c部分の切削ブレードの幅に相当する。よって、形状算出部36でこれら3点28a〜28cの切削ブレードの幅に基づいて、補間法により切削ブレード28Aの先端形状を検出する。
【0051】
本実施形態では、複数の溝の切り込み深さ毎に許容可能な溝幅許容範囲を設定し、この溝幅許容範囲をコントローラ32の記憶部38で記憶する。そして、溝幅測定ステップで測定した溝幅と記憶部38に記憶している溝幅許容範囲とを比較して、判別部40で切削ブレード28Aの交換の要否を判別する。
【0052】
即ち、切削ブレード28Aの先細り形状が溝幅許容範囲を超えて先細りとなっていると判別部40で判別したならば、切削ブレード28Aの交換が必要と判別し、例えば表示モニタ6上に切削ブレードの交換を促す表示をする。
【0053】
次に、図8(B)及び図9を参照して、切削ブレード28Bの片寄り溝幅判別ステップについて説明する。図7(A)と同様に、切削ブレード28Bで切り込み深さを替えて3つの切削溝を形成し、撮像ユニット22でこれらの切削溝を撮像して撮像画像を画像処理部34で画像処理することによりそれぞれの切削溝の溝幅を検出する。
【0054】
図9を参照すると、切り込み深さが中間の深さである第2切削溝21bの撮像画像42が示されている。42aは撮像ユニット22のカメラの基準線であり、23は切削溝21bの縁を示している。D1及びD2は基準線42aから縁23までの距離であり、D3は片磨耗する前の縁23までの距離であり、D1に等しい。
【0055】
図9の撮像画像から、切削ブレード28Bが片磨耗していると検出することができ、距離D1及びD2より図8(B)に示した28b部分の切削ブレード28Bの形状を検出することができる。
【0056】
28a及び28c部分の切削ブレード28Bの形状も同様に検出することができ、これら3点28a〜28cの形状に基づいて形状算出部36で補間法により切削ブレード28Bの先端形状を検出することができる。
【0057】
本実施形態では、複数の溝の切り込み深さ毎に撮像ユニット22の基準線42aに対して許容可能な溝幅の片寄り許容範囲を設定し、この片寄り許容範囲をコントローラ32の記憶部38に記憶させておく。そして、溝幅測定ステップで測定した溝幅の片寄りを記憶部38で記憶している片寄り許容範囲とを比較して、判別部40で切削ブレードの交換の要否を判別する。
【0058】
即ち、切削ブレード28Bの片磨耗の程度が、記憶部38に記憶されている片寄り許容範囲を超えた場合には、切削ブレード28Bの交換が必要と判別し、例えば表示モニタ6上に切削ブレードの交換の必要性を表示する。
【0059】
上述した実施形態では、ウエーハ11上に深さの異なる複数の溝21a〜21cを形成しているが、切削装置2はドレスボードを吸引保持するドレステーブル30を具備しているので、ドレステーブル30にドレスボードを装着し、ドレスボードに切れ込み深さの異なる複数の溝を形成し、画像処理により溝幅を検出するようにしてもよい。ドレスボードに形成された切削溝の溝幅は画像処理により検出が容易である。
【0060】
また、図8(B)及び図9を参照して説明した片寄り溝幅判別ステップでは、溝の中心から縁までの距離を予め規定して、それを基準に切削ブレードの交換の要否を判別するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11 半導体ウエーハ
13 ストリート(分割予定ライン)
15 デバイス
18 チャックテーブル
21a〜21c 切削溝
22 撮像ユニット
28,28A,28B 切削ブレード
32 コントローラ
34 画像処理部
36 形状算出部
38 記憶部
40 判別部
42 撮像画像
42a 基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルに保持された被加工物を切削する円板状の切削ブレードの先端形状を検出する切削ブレード先端形状検出方法であって、
切り込み深さを複数回変化させて被加工物を切削し、深さの異なる複数の溝を形成する溝形成ステップと、
該複数の溝をそれぞれ撮像手段の直下に位置付けて該複数の溝を撮像し、各溝の溝幅を測定する溝幅測定ステップと、
該複数の溝の切り込み深さ及び該溝幅測定ステップで測定した該各溝幅に基づいて、該切削ブレードの先端形状を算出する形状算出ステップと、
を具備したことを特徴とする切削ブレード先端形状検出方法。
【請求項2】
前記複数の溝の切り込み深さ毎に許容可能な溝幅許容範囲を設定し、該溝幅許容範囲を記憶手段で記憶する溝幅記憶ステップと、
前記溝幅測定ステップで測定した前記溝幅と該溝幅記憶ステップで設定された該溝幅許容範囲とを比較して、該切削ブレードの交換の要否を判別する溝幅判別ステップと、
を更に具備したことを特徴とする請求項1記載の切削ブレード先端形状検出方法。
【請求項3】
前記複数の溝の切り込み深さ毎に前記撮像手段の基準線に対して許容可能な溝幅の片寄り許容範囲を設定し、該片寄り許容範囲を記憶手段で記憶する片寄り記憶ステップと、
前記溝幅測定ステップで測定した溝幅の片寄りを該片寄り記憶ステップで設定された該片寄り許容範囲とを比較して、前記切削ブレードの交換の要否を判別する片寄り溝幅判別ステップと、
を更に具備したことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の切削ブレード先端形状検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59833(P2013−59833A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200732(P2011−200732)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】