割り出し可能な切削インサート及びその製造方法
切削インサートは、超硬質材料又は超硬質材料及び超硬合金を備えるボディと、ボディを貫通する孔と、ホルダに対するインサートの固定を許容するために孔内で予め成形された孔インレイと、を含んでいる。この切削インサートを製造する方法を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超硬質アブレッシブ材料から形成された切れ刃を有する切削インサート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景の説明は、所定の構造及び方法で作る参照文献に従うものであるが、このような参照文献は、これらの構造及び方法が、適用できる法定の規定の条件下で従来技術としてふさわしいものとして必ずしも構成されない。出願人は、参照された主題のいずれもが本発明に関しての従来例を構成するものではないということを明示するための権利を留保する。
【0003】
一般的な切削に関し、超硬質材料を使用する割り出し可能な切削インサートは、多角形のコーナに配置された超硬質材料を有する多角形状をなしている。立方晶窒化硼素や多結晶ダイヤモンド材料などの超硬質材料は、金属などの硬い被削材の切削に効果がある。これらの切削インサートは、コーナの一つ又は超硬質材料を含む領域が被削面に対して存在するように、切削工具に対する固定位置に取り付けられる。一定時間経過した後、超硬質材料の領域は摩耗する。その結果、切削インサートは切削工具から外され、新しいコーナ又は超硬質材料の領域が被削面に存するように回転される。
【0004】
これらのインサートを作るために二つの主要な方法がある。一つの技術によれば、積層構造が、硬い基材の第1の層と、基材上に積層される超硬質切削材料の層とを備えて形成される。切削チップは、この積層構造から切り出され、切削インサートボディ、一般的にはそのコーナにろう付けされる。参照によってここに組み込まれる、Kuroyamaらによる米国特許第5,183,362号明細書は、全体的に、このような技術を開示する。
【0005】
割り出し可能な切削インサートを形成するための第2の技術は、超硬質材料が充填されるポケットを有するブランク又は基材を提供することを含み、焼結工程においてブランクが焼結されることで、超硬材料が基材に対して結合する。次に、ブランクは、切削インサートにその最終的形状、すなわち、コーナに配置された超硬材料を有する多角形状体を与えるために加工される。参照によってここに組み込まれる、米国特許第5,676,496号明細書は、全体的に、このような技術を開示する。
【0006】
一般に、このような超硬質材料を含むインサートは、外部(トップ)クランプによって適所で保持される。例えば、米国特許第5,183,362号明細書の図25は、予備成形されたチップブレーカを有するトップクランプを示す。他の種類の切削インサートと共に使用される他の種類のクランプは、例えばインサートの中心にある孔を挿通するねじの使用を含んでいる。このような孔は、直線であったり、インサートの固定を援助するためにオフセット部分を含んであったりする。例えば、米国特許第5,147,158号明細書は、固定する目的のために、断面がラッパ状のクランプ孔を開示する。レーザ切断又はEDM(放電加工)は、超硬質材料を切削するために使用され、超硬質材料のラッパ状の孔の加工は非常に難しく、高価な加工になるということが理解される。
【0007】
米国特許第6,120,570号明細書では、高温及び高圧によって超硬合金基材上で焼結された超硬質材料の切削インサートの製造方法を開示する。孔は、基材と同じ超硬合金で作られたプラグの使用によってインサートに同時に形成される。プラグはインサートに接着せず、焼結後に取り除かれる。米国特許第6,120,570号明細書の図3では、孔はインサートの底に向かって先細になるように示されている。
【0008】
米国特許第5,536,119号明細書は、上部が円柱状で、残りの部分が丸天井面の形態で下方に向かって先細に形成されているスルーホールを有する通常の切削インサートを示す。
【0009】
したがって、上述などした問題を技術的に解決する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した問題点などを解決する装置及び方法を提供する。
【0011】
本発明は、改良された割り出し可能な切削インサート及びその改良された製造方法を提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、超硬質材料又は切削インサートをクランプするための孔を有する超硬合金に設けられた超硬質材料の基部を備え、孔が基部に設けられたインレイで形成されている切削インサートが提供される。
【0013】
他の態様において、超硬質層を形成することと、超硬質材料又は超硬合金の上に前記超硬質層を設けることと、前記超硬質層を貫通する孔を形成することと、前記孔内に予備成形されたホールインレイを設けること、を備える切削インサートの製造方法が提供される。
【0014】
以下において、発明の実施形態が、添付されている図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による典型的な構成及び技術は、図を参照することによって説明される。
【0016】
本発明によると、ブランクは、超硬質切削材料から形成されている。ブランクは、また、少なくとも一つの硬質材料及び少なくとも一つの超硬質材料から形成されることもできる。後者のブランクの実施形態が、図1A,1B,2A及び2Bに示されている。図示されるように、ブランク10は、最上層又は超硬質材料の部分11と、最下層又は硬質材料の部分11と、を備えている。ブランク10は多角形状を有するように示されているが、円形などの他の幾何学形状を有することも可能である。
【0017】
一般に、超硬質切削材料と硬質材料は、ディスク状の固体を形成するために、通常の高圧・高温技術を使用して一緒に焼結される。このような技術は、一般的なものであり、例えば、米国特許第5,676,496号明細書で開示されている。超硬質材料だけでつくられるとき、固形物は一つのステップで形成される。他の適切な製造方法の例は、米国特許第5,676,496号明細書と米国特許第5,115,697号明細書で説明されており、これら明細書の開示は全体として参照によってここに組み込まれている。ブランクの特別な形態は、ディスク(ディスク状の固体)から放電加工によって切断されることができる。少なくとも一つのブランク孔13は、圧縮中及び焼結中に形成されることができるが、製造後に機械加工されることが好ましい。ブランク孔の内壁は、上部及び下部のブランク孔の内壁は、介面17を形成する。
【0018】
図1B及び2Bの実施形態において、ブランク孔の形状は、予め成形された孔インレイ14によって規定されている。孔インレイ14は、インサートの介面内のブランク孔の場所で、取り付けられ、ろう付けされることが好ましい。この孔インレイ14は、最終的な取り付けに関して必要となるどんな特別な形状にも適用されるということが理解される。選択された材料に関して、適切な技術によって、例えば、超硬合金材料をプレスし焼結することによって、孔インレイ14を適用することにより、種々の形状が正確で比較的容易に作られる。孔インレイ14は、鋼や、粉末冶金成形鋼などの材料で作られることもできるが、超硬合金材料で作られることが好ましい。最も好ましくは、孔インレイ14の超硬合金は、基層12の超硬合金と同じである。仮に必要とされるなら、チップブレーキング形状が、超硬質層の適当な面に形成されることも可能である(例えば、放電加工によって)。
【0019】
ブランク孔13は、ボディを貫通して延長すべきであるが、孔インレイ14は、インサートが工具ホルダに固定されるとき、取付手段(図示しない)のための必要な取付サポートを提供する限り、孔インレイ13はボディを貫通して延びる必要はないということが理解される。例えば、切削インサートが両面タイプであるとき(図9にあるように)、二つの孔インレイが適切な取付サポートを形成するために使用されることがある。さらに、多数の孔インレイがあるうち、ボディを完全に貫通しないものもある。
【0020】
図2に示されるように、孔インレイ14は、一般的には、内壁15が超硬質層11の上面から硬質材料12の下面に向かって円錐状に収束する形状で実施されることが好ましい。このような設計は、インサートをホルダに取り付けるとき、ねじ(図示しない)を取付孔に堅固に固定することを助ける。取付孔は、また、他の取付システム、例えば、円柱状の取付孔にふさわしい設計を有することが理解される。
【0021】
図3は、孔インレイの形状が図1A及び2Aにあるように円以外の他の変形例を示す。これらの変形は、図3A〜3Fのように示されている。図3A〜3Fにおいて、切削インサートは、超硬質材料11の最上層及び孔インレイ14を有する上面が示されている。必要があれば、他の形状が使用されることが、当業者によって理解される。示されている場合の全てにおいて、取付孔16は丸く円錐状であるが、他の形状も可能である。
【0022】
図4A及び4Bは、発明の他の実施形態を示し、孔インレイ14がインサートの底面から下へ延びるような長さを有している。この場合、インサートは、片面使用インサートである。示されるように、底部15は、好ましくは非円形状を有し、工具ホルダ(図示しない)のキャビティに対応し、インサートを工具ホルダに堅固に固定するために役立っている。図示されていないが、取付孔は底部15を貫通して延びることが理解される。図4Aは、超硬質層11がインサートの上部にのみ提供されている実施形態を示す。このインサートでは、14がインレイを示している。一方、図4Bは、超硬質層が上部から底部まで延びているインサートを示す。
【0023】
図5A及び5Bは、孔インレイ14が上面及び下面を超えて延びているもの(図5B)、又は孔インレイ14が上面及び下面にあるもの(図5A)の両面使用インサートを示す。図5Cは、ブランク孔13の軸x−xが切削インサート20の平面軸y−yに垂直でないインサートを示す。必要であれば、ブランク孔13の軸x−xを取付孔インレイ14(図5D)の軸z−zに非平行にすることができる。孔インレイのキャビティは、工具ホルダ(図5A)の突出部に対応すべきである。逆に(図5B)、必要であれば、少なくとも二つの予め成形された部分(図示しない)で形成されることもできる。
【0024】
図6は、本発明の実施形態を示す。図6Aにおいて、孔インレイ14の外壁が、ブランク孔にある、又はボディを貫通する円錐形状の壁に対応する円錐形状に形成されている。孔インレイ14の壁とブランク孔は、同一平面になっている。図6Bにおいて、孔インレイ14の壁とブランク孔は同一平面ではなく、一方又は両方の壁が円柱状である。
【0025】
12の硬質材料は、適切な硬質材料から形成される。適切な硬質材料の一例は、超硬合金、サーメット、硬質合金を含んでいる。一つの適切な組成は、6〜20Co重量%のWC−CO超硬合金である。種々の好ましい実施形態では、9〜11Co重量%又は15〜17Co重量%を含むことができる。
【0026】
11の超硬質材料は、切削特性に関して選択された適切な材料を備えることができる。例えば、多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)、多結晶ダイヤモンド(PCD)、又は窒化珪素基及び/又はアルミナ基セラミックを備えることができる。超硬質材料は、また、周期律表の4a〜6a属から選択された金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、及び/又は硼化物などの他の材料を加えることができる。
【0027】
本発明について説明された実施形態は、限定するというよりも具体的に示すことを意図したものであり、全ての可能な実施形態を示すことを意図したものではない。種々の改良が、法の下で文字通りに及び等価に、クレームに記載の発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態で成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】ブランクの平面図である。
【図1B】本発明により作られた最終製品の切削インサートの平面図である。
【図2A】ブランクの側面図である。
【図2B】図1の最終製品の切削インサートの側面図である。
【図3A】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3B】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3C】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3D】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3E】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3F】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図4A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図4B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5C】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5D】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図6A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図6B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超硬質アブレッシブ材料から形成された切れ刃を有する切削インサート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景の説明は、所定の構造及び方法で作る参照文献に従うものであるが、このような参照文献は、これらの構造及び方法が、適用できる法定の規定の条件下で従来技術としてふさわしいものとして必ずしも構成されない。出願人は、参照された主題のいずれもが本発明に関しての従来例を構成するものではないということを明示するための権利を留保する。
【0003】
一般的な切削に関し、超硬質材料を使用する割り出し可能な切削インサートは、多角形のコーナに配置された超硬質材料を有する多角形状をなしている。立方晶窒化硼素や多結晶ダイヤモンド材料などの超硬質材料は、金属などの硬い被削材の切削に効果がある。これらの切削インサートは、コーナの一つ又は超硬質材料を含む領域が被削面に対して存在するように、切削工具に対する固定位置に取り付けられる。一定時間経過した後、超硬質材料の領域は摩耗する。その結果、切削インサートは切削工具から外され、新しいコーナ又は超硬質材料の領域が被削面に存するように回転される。
【0004】
これらのインサートを作るために二つの主要な方法がある。一つの技術によれば、積層構造が、硬い基材の第1の層と、基材上に積層される超硬質切削材料の層とを備えて形成される。切削チップは、この積層構造から切り出され、切削インサートボディ、一般的にはそのコーナにろう付けされる。参照によってここに組み込まれる、Kuroyamaらによる米国特許第5,183,362号明細書は、全体的に、このような技術を開示する。
【0005】
割り出し可能な切削インサートを形成するための第2の技術は、超硬質材料が充填されるポケットを有するブランク又は基材を提供することを含み、焼結工程においてブランクが焼結されることで、超硬材料が基材に対して結合する。次に、ブランクは、切削インサートにその最終的形状、すなわち、コーナに配置された超硬材料を有する多角形状体を与えるために加工される。参照によってここに組み込まれる、米国特許第5,676,496号明細書は、全体的に、このような技術を開示する。
【0006】
一般に、このような超硬質材料を含むインサートは、外部(トップ)クランプによって適所で保持される。例えば、米国特許第5,183,362号明細書の図25は、予備成形されたチップブレーカを有するトップクランプを示す。他の種類の切削インサートと共に使用される他の種類のクランプは、例えばインサートの中心にある孔を挿通するねじの使用を含んでいる。このような孔は、直線であったり、インサートの固定を援助するためにオフセット部分を含んであったりする。例えば、米国特許第5,147,158号明細書は、固定する目的のために、断面がラッパ状のクランプ孔を開示する。レーザ切断又はEDM(放電加工)は、超硬質材料を切削するために使用され、超硬質材料のラッパ状の孔の加工は非常に難しく、高価な加工になるということが理解される。
【0007】
米国特許第6,120,570号明細書では、高温及び高圧によって超硬合金基材上で焼結された超硬質材料の切削インサートの製造方法を開示する。孔は、基材と同じ超硬合金で作られたプラグの使用によってインサートに同時に形成される。プラグはインサートに接着せず、焼結後に取り除かれる。米国特許第6,120,570号明細書の図3では、孔はインサートの底に向かって先細になるように示されている。
【0008】
米国特許第5,536,119号明細書は、上部が円柱状で、残りの部分が丸天井面の形態で下方に向かって先細に形成されているスルーホールを有する通常の切削インサートを示す。
【0009】
したがって、上述などした問題を技術的に解決する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した問題点などを解決する装置及び方法を提供する。
【0011】
本発明は、改良された割り出し可能な切削インサート及びその改良された製造方法を提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、超硬質材料又は切削インサートをクランプするための孔を有する超硬合金に設けられた超硬質材料の基部を備え、孔が基部に設けられたインレイで形成されている切削インサートが提供される。
【0013】
他の態様において、超硬質層を形成することと、超硬質材料又は超硬合金の上に前記超硬質層を設けることと、前記超硬質層を貫通する孔を形成することと、前記孔内に予備成形されたホールインレイを設けること、を備える切削インサートの製造方法が提供される。
【0014】
以下において、発明の実施形態が、添付されている図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による典型的な構成及び技術は、図を参照することによって説明される。
【0016】
本発明によると、ブランクは、超硬質切削材料から形成されている。ブランクは、また、少なくとも一つの硬質材料及び少なくとも一つの超硬質材料から形成されることもできる。後者のブランクの実施形態が、図1A,1B,2A及び2Bに示されている。図示されるように、ブランク10は、最上層又は超硬質材料の部分11と、最下層又は硬質材料の部分11と、を備えている。ブランク10は多角形状を有するように示されているが、円形などの他の幾何学形状を有することも可能である。
【0017】
一般に、超硬質切削材料と硬質材料は、ディスク状の固体を形成するために、通常の高圧・高温技術を使用して一緒に焼結される。このような技術は、一般的なものであり、例えば、米国特許第5,676,496号明細書で開示されている。超硬質材料だけでつくられるとき、固形物は一つのステップで形成される。他の適切な製造方法の例は、米国特許第5,676,496号明細書と米国特許第5,115,697号明細書で説明されており、これら明細書の開示は全体として参照によってここに組み込まれている。ブランクの特別な形態は、ディスク(ディスク状の固体)から放電加工によって切断されることができる。少なくとも一つのブランク孔13は、圧縮中及び焼結中に形成されることができるが、製造後に機械加工されることが好ましい。ブランク孔の内壁は、上部及び下部のブランク孔の内壁は、介面17を形成する。
【0018】
図1B及び2Bの実施形態において、ブランク孔の形状は、予め成形された孔インレイ14によって規定されている。孔インレイ14は、インサートの介面内のブランク孔の場所で、取り付けられ、ろう付けされることが好ましい。この孔インレイ14は、最終的な取り付けに関して必要となるどんな特別な形状にも適用されるということが理解される。選択された材料に関して、適切な技術によって、例えば、超硬合金材料をプレスし焼結することによって、孔インレイ14を適用することにより、種々の形状が正確で比較的容易に作られる。孔インレイ14は、鋼や、粉末冶金成形鋼などの材料で作られることもできるが、超硬合金材料で作られることが好ましい。最も好ましくは、孔インレイ14の超硬合金は、基層12の超硬合金と同じである。仮に必要とされるなら、チップブレーキング形状が、超硬質層の適当な面に形成されることも可能である(例えば、放電加工によって)。
【0019】
ブランク孔13は、ボディを貫通して延長すべきであるが、孔インレイ14は、インサートが工具ホルダに固定されるとき、取付手段(図示しない)のための必要な取付サポートを提供する限り、孔インレイ13はボディを貫通して延びる必要はないということが理解される。例えば、切削インサートが両面タイプであるとき(図9にあるように)、二つの孔インレイが適切な取付サポートを形成するために使用されることがある。さらに、多数の孔インレイがあるうち、ボディを完全に貫通しないものもある。
【0020】
図2に示されるように、孔インレイ14は、一般的には、内壁15が超硬質層11の上面から硬質材料12の下面に向かって円錐状に収束する形状で実施されることが好ましい。このような設計は、インサートをホルダに取り付けるとき、ねじ(図示しない)を取付孔に堅固に固定することを助ける。取付孔は、また、他の取付システム、例えば、円柱状の取付孔にふさわしい設計を有することが理解される。
【0021】
図3は、孔インレイの形状が図1A及び2Aにあるように円以外の他の変形例を示す。これらの変形は、図3A〜3Fのように示されている。図3A〜3Fにおいて、切削インサートは、超硬質材料11の最上層及び孔インレイ14を有する上面が示されている。必要があれば、他の形状が使用されることが、当業者によって理解される。示されている場合の全てにおいて、取付孔16は丸く円錐状であるが、他の形状も可能である。
【0022】
図4A及び4Bは、発明の他の実施形態を示し、孔インレイ14がインサートの底面から下へ延びるような長さを有している。この場合、インサートは、片面使用インサートである。示されるように、底部15は、好ましくは非円形状を有し、工具ホルダ(図示しない)のキャビティに対応し、インサートを工具ホルダに堅固に固定するために役立っている。図示されていないが、取付孔は底部15を貫通して延びることが理解される。図4Aは、超硬質層11がインサートの上部にのみ提供されている実施形態を示す。このインサートでは、14がインレイを示している。一方、図4Bは、超硬質層が上部から底部まで延びているインサートを示す。
【0023】
図5A及び5Bは、孔インレイ14が上面及び下面を超えて延びているもの(図5B)、又は孔インレイ14が上面及び下面にあるもの(図5A)の両面使用インサートを示す。図5Cは、ブランク孔13の軸x−xが切削インサート20の平面軸y−yに垂直でないインサートを示す。必要であれば、ブランク孔13の軸x−xを取付孔インレイ14(図5D)の軸z−zに非平行にすることができる。孔インレイのキャビティは、工具ホルダ(図5A)の突出部に対応すべきである。逆に(図5B)、必要であれば、少なくとも二つの予め成形された部分(図示しない)で形成されることもできる。
【0024】
図6は、本発明の実施形態を示す。図6Aにおいて、孔インレイ14の外壁が、ブランク孔にある、又はボディを貫通する円錐形状の壁に対応する円錐形状に形成されている。孔インレイ14の壁とブランク孔は、同一平面になっている。図6Bにおいて、孔インレイ14の壁とブランク孔は同一平面ではなく、一方又は両方の壁が円柱状である。
【0025】
12の硬質材料は、適切な硬質材料から形成される。適切な硬質材料の一例は、超硬合金、サーメット、硬質合金を含んでいる。一つの適切な組成は、6〜20Co重量%のWC−CO超硬合金である。種々の好ましい実施形態では、9〜11Co重量%又は15〜17Co重量%を含むことができる。
【0026】
11の超硬質材料は、切削特性に関して選択された適切な材料を備えることができる。例えば、多結晶立方晶窒化硼素(PCBN)、多結晶ダイヤモンド(PCD)、又は窒化珪素基及び/又はアルミナ基セラミックを備えることができる。超硬質材料は、また、周期律表の4a〜6a属から選択された金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、及び/又は硼化物などの他の材料を加えることができる。
【0027】
本発明について説明された実施形態は、限定するというよりも具体的に示すことを意図したものであり、全ての可能な実施形態を示すことを意図したものではない。種々の改良が、法の下で文字通りに及び等価に、クレームに記載の発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態で成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】ブランクの平面図である。
【図1B】本発明により作られた最終製品の切削インサートの平面図である。
【図2A】ブランクの側面図である。
【図2B】図1の最終製品の切削インサートの側面図である。
【図3A】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3B】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3C】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3D】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3E】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図3F】本発明による他の実施形態の平面図である。
【図4A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図4B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5C】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図5D】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図6A】本発明による他の実施形態の側面図である。
【図6B】本発明による他の実施形態の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付用の孔を有する、超硬合金に設けられた超硬質材料又は超硬質材料の基部を備え、前記孔が前記基部に設けられたインレイで形成された切削インサート。
【請求項2】
前記基部が、超硬合金と、焼結によって前記超硬合金に設けられた超硬質材料の層と、を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記孔インレイ体が、ろう付けによって前記基部に設けられた請求項1に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記孔インレイが超硬合金で構成されている請求項1に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記超硬質材料が立方晶窒化硼素又は多結晶ダイヤモンドである請求項1に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記超硬質層がチップブレーカ部分を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記孔インレイが前記基部の下に配置された部分を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記部分が工具ホルダの対応する形状部分に嵌合するように形成されている請求項7に記載の切削インサート。
【請求項9】
前記孔インレイ、工具ホルダの対応する形状部分に嵌合するように形成された部分を含む請求項7に記載の切削インサート。
【請求項10】
前記部分が前記切削インサートの上面に配置されている請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記部分が前記切削インサートの下面に配置されている請求項10に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記切削インサートの中心軸が前記インサートの軸に垂直でない請求項1に記載の切削インサート。
【請求項13】
前記孔インレイの中止軸が前記取付孔の軸に垂直でない請求項1に記載の切削インサート。
【請求項14】
超硬質材料の層を形成することと、
超硬質材料又は超硬合金基材に前記層を設けること、
前記層を貫通する孔を形成すること、
前記孔に予め成形された孔インレイを設けること、
を備える切削インサートを製造する方法。
【請求項15】
前記予め成形された孔インレイが、円錐形状の貫通孔を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材は超硬合金であり、前記層は焼結によって前記基材に設けられている請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記予め成形された孔インレイがろう付けによって設けられている請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記層及び前記基材の両方が超硬質材料で作られている請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記予め成形された孔インレイが、工具ホルダの対応する形状に形成されたキャビティに嵌合するように形成された部分を含んでいる請求項14に記載の方法。
【請求項1】
取付用の孔を有する、超硬合金に設けられた超硬質材料又は超硬質材料の基部を備え、前記孔が前記基部に設けられたインレイで形成された切削インサート。
【請求項2】
前記基部が、超硬合金と、焼結によって前記超硬合金に設けられた超硬質材料の層と、を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記孔インレイ体が、ろう付けによって前記基部に設けられた請求項1に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記孔インレイが超硬合金で構成されている請求項1に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記超硬質材料が立方晶窒化硼素又は多結晶ダイヤモンドである請求項1に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記超硬質層がチップブレーカ部分を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記孔インレイが前記基部の下に配置された部分を含む請求項1に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記部分が工具ホルダの対応する形状部分に嵌合するように形成されている請求項7に記載の切削インサート。
【請求項9】
前記孔インレイ、工具ホルダの対応する形状部分に嵌合するように形成された部分を含む請求項7に記載の切削インサート。
【請求項10】
前記部分が前記切削インサートの上面に配置されている請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記部分が前記切削インサートの下面に配置されている請求項10に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記切削インサートの中心軸が前記インサートの軸に垂直でない請求項1に記載の切削インサート。
【請求項13】
前記孔インレイの中止軸が前記取付孔の軸に垂直でない請求項1に記載の切削インサート。
【請求項14】
超硬質材料の層を形成することと、
超硬質材料又は超硬合金基材に前記層を設けること、
前記層を貫通する孔を形成すること、
前記孔に予め成形された孔インレイを設けること、
を備える切削インサートを製造する方法。
【請求項15】
前記予め成形された孔インレイが、円錐形状の貫通孔を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材は超硬合金であり、前記層は焼結によって前記基材に設けられている請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記予め成形された孔インレイがろう付けによって設けられている請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記層及び前記基材の両方が超硬質材料で作られている請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記予め成形された孔インレイが、工具ホルダの対応する形状に形成されたキャビティに嵌合するように形成された部分を含んでいる請求項14に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2008−501539(P2008−501539A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515544(P2007−515544)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019321
【国際公開番号】WO2005/118188
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019321
【国際公開番号】WO2005/118188
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
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