説明

加工機の運転状態表示方法

【課題】 加工機械の運転状態である通電状態、アラーム状態等、非常停止状態等を数多く表示するほど表示灯は、タワー状態となり、従って背Lが高くなるので、機械の運搬および搬入の際に高さが妨げとなるということがあり、このことを取り除いた加工機の運転状態表示方法を提供する。
【解決手段】 加工機の周囲を覆うカバー面に運転状態により、予め定められた色を表示する平面状の照明装置を設けたことを特徴とする加工機の運転状態表示方法とした。また、この平面状の照明装置は、LED発光素子を使用して構成し、照明装置を制御する制御装置のソフトウェアにより、加工装置の運転状態を判別し、所望の発光色にて表示する。さらに加工機のカバーの凹部に配置される用設置されて、目にやさしい発光とするように構成される。また、この照明装置には、磁石を用いて所望の機械のカバー面に移設できるよう、取り外し、また貼り付けを可能とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械を一例とする金属の加工機、およびレーザー加工機などを一例とする精密加工用の加工機等に関し、より一層詳細には、加工機の運転における通電状態、アラーム状態、および制御状態等の運転の状態を監視・確認し、それを表示するための運転状態表示方法に関する。

【背景技術】
【0002】
従来から工作機械を始めとする加工機の運転状態表示方法においては、例えばアラーム状態の警告・表示を例にとると、作業者、監視者、操作者(オペレータ)などに向けて、運転状態を効率よく伝達するため、特許文献1に示すような回転する警告灯(回転警告灯)を用いることが知られている。
また別な例としては、図4に示すように、加工機1の上部に表示灯2を取り付けて運転状態を表示するように構成していた。そして、この表示灯2において、白色3、青色4、緑色5、黄色6、赤色7等の各種の色彩を発する信号灯を、縦方向に連続的に結合して取り付け、加工機用電源の通電状態(白色)、機械の準備状態(青色)正常運転状態(緑色)、注意・警告状態(黄色)、非常のアラーム状態(赤色)等、機械の運転状態に応じて、それぞれの信号灯を点灯あるいは点滅させ、機械の各種の運転状態を表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010−061979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような多彩な表示を多色な信号灯を用いて、全体的な表示灯とした積み重ね方式により、機械装置の運転状態を数多く表示するようにするほど、いろいろな信号灯が表示灯2として縦方向に連続して取り付けられことになり、すなわち表示灯2は、シグナルタワーの状況となり、背Lが高くなることとなって来ている。 そして、このような背Lの高さの増加する構造は、機械の搬入あるいは運搬等の際に、機械の高さ制限の故に、様々な障害や妨げとなっていた。
【0005】
本発明の目的は、前述のような表示方式における表示灯のシグナルタワー化の状況下においては、機械の背Lが高くなり、従って機械搬入時の高さ制限の妨げとなっているという欠点を取り除き、しかも各種の機械の状態を表示可能な、しかも加工機の意匠に好都合な表示方法を提供することにある。
【0006】


そのためには、シグナルタワーのような構造をさければ良く、それに替わり、機械装置周囲に適切な配置を可能とした運転状態の照明装置を設ければよいという結論に達し、本発明に至った。

【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため本発明は、加工機を
覆うカバー面の何れかに運転状態により都度予め定められた色に変化する平面状の照明装置を設けたことを特徴とする加工機の運転表示方法とした。
また前記平面状の照明装置は、LED発光素子を使用したものであることを特徴とする運転表示方法とした。
【0008】
さらに、前記照明装置は、機械の運転状態を判別するソフトウェアを使用した照明の制御装置により、前記ソフトウェアに基づき識別された機械の運転状態を、表示色を変えて予め指定された色彩で表示する構成とした。
またさらに前記照明装置は、前記加工機械のカバー部の構成された凹部に配置され、その凹部からの反射光により間接照明効果を有するように構成した。
さらにまた前記照明装置は、永久磁石を備えて構成し、前記加工機械のカバーの所望の場所に移動可能にされる構成とした。

【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、表示装置によって、機械装置の背は高くならず、前述の欠点は解消され、また、各種の表示が可能であり、また機械の意匠についても、各種の形状に対応でき、好都合な結果をもたらすことが期待できる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明が適用される加工機における表示方法の概略図で、その斜視図である。
【図2】この発明の照明装置を表示するための構成の一例を示す図である。
【図3】この発明の照明装置を加工機のカバーの凹部へ設置した状態を示す図である。
【図4】従来の加工機の表示方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の一実施形態の例について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1において、符号10は、この発明の実施される加工機の一例であって、数値制御(NC)加工プログラムを用い、ナノメータ単位で位置決め制御され、半導体ウェハーの切断および表面加工などの精密加工や、金属の被加工物(ワーク)に溝入れ加工などの精密加工を主目的とする工作機械である。 また、符号11は、LCD(液晶)モニタ装置であり、この工作機械のオペレータへの表示と各種の操作をおこなうNC装置用の操作のための入力キーなども一緒に備えている装置である。
【0012】
この実施形態例においては、照明装置として、平面状で、また帯状に表示用のLED発光素子を配置したLED発光タイプのモニタ周辺照明部12を用いており、前述のLCDモニタ装置11の周辺を取り囲むように取り付けられている。 なおこの工作機械のばあいNC装置本体は、この機械の中に、すなわち外観で見られるカバーのなかに機械本体とともに内蔵されている。
【0013】
ここで、モニタ周囲照明部12は、工作機械10の運転状態により単純な電源ON通電状態(白色)、加工準備状態(青色)、加工の休止状態(緑色)、注意メッセージありの警告表示状態(黄色)、非常停止・アラーム状態(赤色)などに色変わりするよう、各色の半導体LED発光素子を平面に帯状配列したLED発光装置を集めており、各種の発光色を生ずるように構成されてある。さらにこの照明装置は、単色、二色、多色のいずれの発光でも可能な構成であって、希望により平面帯状のLED発光素子による照明用部材を組み合わせ採用する構成としている。あるいはプログラムによる条件設定にて、好みの発光色を制御できる。
【0014】
すなわち、この実施形態例において、前述のように各種の状態を各表示色により表示対応するために、照明装置を工作機械の各種状況により予め定められた発光色で発光するようプログラム制御のシーケンス制御装置を用いて制御している。
図2は、各色の発光素子210(白色)、発光素子212(青色)、...、および発光素子214(赤色)を備えた照明装置を駆動するための構成の一例を示す図であって、NC装置100、機械本体150は、シーケンス制御装置200と、発光素子210,212,214等と結合されている様子が示されている。
【0015】
さらに、シーケンス制御装置200は、シーケンス制御を制御するためのCPU制御部202、シーケンス制御のための制御メモリ部204、入力信号を入力する入力部20、照明装置を構成するLEDを使用した各発光素子210,212, ...214へ発光するよう出力する出力部20、およびこれらの入力信号によって表示素子への出力を制御するためのソフトウェアであるシーケンスプログラム210、等を備えて構成される。
ここでは上述の構成により、機械本体150の状態、およびNC装置100の動作や運転の状態は、シーケンス制御装置200の入力信号部206に入力され、シーケンスプログラム210により運転の状態が判別され、出力部208から発光素子210,発光素子212,発酵素子214へ信号が出力され、各種の運転状況が運転の状態に応じて表示される。
【0016】
また、シーケンス制御装置200は、機械本体150を制御するためのNC装置100からの信号、機械本体150からの各種の運転状態信号、そして機械を操作するための加工開始の押ボタンスイッチ等の各種の信号を入力するための入力部206を有しており、この入力部206へNC装置200の状態や機械入力する。 照明装置の発光素子210(白色),発光素子212(青色), ..., 発光素子214(赤色)にて名発光色を点燈するように出力する出力部208へ出力する機能は、シーケンスプログラム210により、各種の運転状態が判別判断され、照明色などを制御して実行される。 この実施形態の例では、NC装置に内装されているNC装置に内蔵のシーケンス制御装置を用いている。 しかし、ここで照明装置の制御のため、NC装置に内蔵のシーケンス制御装置NC装置に替わり、NC装置とは内蔵ではない、独立に動作する独立のシーケナンス装置のごとき構成としても良く、またマイクロプロセッサタイプのコンピュータやパーソナルコンピュータ(パソコン)などを使用した専用の制御装置としての構成にしても良い。
【0017】
この運転状態の判別・判断において、シーケンス制御装置は、加工機の加工休止などの運転状況、注意喚起・警告、および非常・故障などのアラーム状況などを、ソフトウェアのプログラムで判別して、シーケンス制御装置の出力部から出力し、照明装置の表示に反映する。
【0018】
また前述のように、この実施形態の例において、照明装置については、機械装置のモニタ装置11の操作面側にモニタ周囲照明部12を取り付けた例を説明したが、これに限らず、希望により機械装置のどの面につけても良い。
例えば図1に示すように、工作機械10のカバーの下部、すなわち下カバー16の横方向の周囲に、下カバー16の横方向周囲を一周するように、あるいは、所定のカバー面を選択して配置するような横方向照明部20としても良い。さらにまた、下カバー部16からカバーの上、すなわち上カバー14に渡って配置しても良い。無論、上カバー14、下カバー16の一部において、縦の方向に縦方向照明部22のように縦の配置としても良い。また横方向照明部20と縦方向照明部22とを、それぞれ組み合わせて照明装置を構成しても良い。さらに工作機械のカバーの表面に、水平垂直の方向とは異なって、ある角度を持って、すなわち斜め方向に取り付けても良い。すなわち、このような場合、上下のカバー部のいずれかの面あるいは組み合わせた面、のいずれの面でも、縦、横、斜めなど、照明装置の配置におけるデザイン構成が自在にできる。
【0019】
また、前述のような配置の場合、平面状の照明装置をカバーに貼り付ける構成としたが、さらに、上カバー14の表面の平面と、照明装置の表面とが同一の平面となるような構成、すなわち表面が凸状にならないようにすることもできて、この場合はデザイン上において好印象を与えることも可能となる。
【0020】
さらにまた、上述の構成、平面照明をカバーに貼り付ける構成あるいは、カバーと同一の平面となるような構成としたが、カバーの一部に凹部を設け、その凹部に平面帯状の照明装置を入れて構成しても良い。
図3は、このように下カバー16の一部へ凹部を設けた場合を示した図であってカバーの横断面を上から見たところを示している。この場合平面状で、かつ帯状の発光素子部210,212,214 を凹部のB面に設置した。このようにすると凹部のA面もしくはC面からの光の反射が発生する。 また凹部へ発光素子部が隠れることにより、光から生ずる凹部の陰影が強調される効果も得られるとともに、カバー表面から隠れる部分を構成することができる。 従って、直接的な発光部分からの照明を隠すことが可能となり、カバーの一部からの反射光を発生でき間接的な照明にもなるということが期待できる。これにより、直接光に比較して易しいソフトな発光状態を生ずることが期待できる。
【0021】
またさらに、このような照明装置は、平面状で細長い形状であるため、永久磁石を用いる構成とし、カバー表面に、単に貼り付けることが可能な構造としても良い。 この場合、鉄板などの磁性体と永久磁石とを組み合わせると好都合である。 このようにした場合は、上カバー14あるいは下カバー16の所望のカバー上の場所へ照明装置を移動できる。 またこのような場合、平面形状の磁性ゴムなどを採用することもでき、柔軟性もあることから取扱上、曲面などにも対応可能で、好都合である。
【0022】
上述のようにこの発明では。平面状の照明装置として、好適な半導体発光素子であるLED素子による帯状の発光素子を使用した例を示したが、これに限らず平面状の発光素子としてエレクトロルミネッセンス(EL)発光素子などを使用した平面状の照明装置でも良い。
【0023】
この発明は、上述のような構成となっているので、加工機などの機械装置の運転状態を多彩に表示する機能を有していても、従来のシグナルタワー構造になることを避けることができ、従って運転状態の表示装置により、工作機械などの加工機械は、背が高くならず、前述の欠点は解消された。 さらにまた、機械の意匠構成に関する柔軟性が期待できる。

【符号の説明】
【0024】
10 工作機械(加工機)
11 LCDモニタ装置
12 モニタ周囲照明部
14 上カバー
16 下カバー
20 横方向照明部
22 縦方向照明部
100 BC装置
200 シーケンス制御装置
202 CPU制御部
204 制御メモリ部
206 入力部
208 出力部
210 発光素子(白色)
212 発光素子(青色)
214 発光素子(赤色)






【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機を覆うカバー面の何れかに、運転状態により都度予め定められた色に変化する平面状の照明装置を設けて構成したことを特徴とする加工機の運転状態表示方法。
【請求項2】
前記照明装置は、前記平面状の照明用の発行素子として、半導体LED素子を使用したことを特徴とする請求項1記載の加工機の運転状態表示方法。
【請求項3】
前記照明装置は、機械の運転状態を判別するソフトウェアを使用した照明の制御装置により、前記ソフトウェアに基づき識別された機械の運転状態を、表示色を変えて予め指定された色彩で表示したことを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の加工機の運転状態表示方法。
【請求項4】
前記照明装置は、前記加工機のカバー部の構成された凹部に配置され、反射光により、間接照明効果を有するように構成されている請求項1乃至請求項3に記載の加工機の運転状態表示方法。
【請求項5】
前記照明装置は、磁石を備えて構成し、前記加工機を覆うカバーの所望の場所に移動可能に構成し、加工機の意匠変更にも柔軟に対応可能とした請求項1乃至請求項4に記載の加工機の運転状態表示方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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