動作制御式足ユニットのためのシステム及び方法
【課題】動作制御された肢、特に、足首が動作制御された義足を有するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】補装具100の下肢部材102の下端部は、旋回軸アセンブリ114で足ユニット104と連結される。図示されているように、下肢部材102は、足ユニット104のつま先部から略後方で且つ上向きに延びる足ユニット104の足首板と連結されている。旋回軸アセンブリ114は、下肢部材102に関する足ユニット104の角運動を可能にする。システムは、足ユニットと下肢部材との間の角度を積極的に制御又は調節するアクチュエータ116を備える。処理モジュールは、センサモジュールから得たデータをもとにアクチュエータの動きを制御する。例えば、検出するモジュールのデータは、使用者の歩行に関連する情報を含み、健常な足首の自然な動きを実質的にまねるように足ユニットを調節するために使用される。
【解決手段】補装具100の下肢部材102の下端部は、旋回軸アセンブリ114で足ユニット104と連結される。図示されているように、下肢部材102は、足ユニット104のつま先部から略後方で且つ上向きに延びる足ユニット104の足首板と連結されている。旋回軸アセンブリ114は、下肢部材102に関する足ユニット104の角運動を可能にする。システムは、足ユニットと下肢部材との間の角度を積極的に制御又は調節するアクチュエータ116を備える。処理モジュールは、センサモジュールから得たデータをもとにアクチュエータの動きを制御する。例えば、検出するモジュールのデータは、使用者の歩行に関連する情報を含み、健常な足首の自然な動きを実質的にまねるように足ユニットを調節するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の好ましい実施形態は、動作制御された肢、特に、足首が動作制御された足を有するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で何百万の人々が切断や衰弱のような身体障害を補い、損傷した肢のリハビリの助けをするための補装具及び/又は矯正具に依存している。矯正具は、奇形した身体を支持、整列、保護、防御、矯正、又は身体の可動部の機能の改善に使用される外部器具を含む。補装具は、腕や脚のような身体の失った部分のための人工代替物として用いられる器具を含む。
【0003】
身体障害者及び肢切断者の数は、糖尿病のような衰弱疾患が蔓延するように、個人の平均年齢の上昇と共に毎年増加している。その結果、補装具及び矯正具の必要性も高まっている。在来の矯正具は、個人の足首や膝のような関節を支えるためにしばしば用いられ、その矯正具の動きは、通常その使用者のエネルギーの消費のみに依存している。いくつかの従来の矯正具では、肢切断者と何ら相互作用することなしにその関節を人工的に動かす基本的制御機構を備え、基本動作のみを生成することができる。このような基本的制御機構では、作業環境の動的条件を考慮していない。これらの従来の補装具及び矯正具の受動的な性質により、通常、身体障害者や肢切断者にとって不安定な動作、高いエネルギー消費、歩行逸脱や他の短期的及び長期的なマイナスの効果をもたらす。これは特に脚の矯正具及び補装具においてそうである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の一実施形態としては、動力源を内蔵し、健常な肢の自然な動き、特に健常な足首の動きを模倣する補装具又は矯正具がある。本発明の別の実施形態では、身体障害者又は肢切断者の動作を助けるように補装具システム又は矯正具システムの動きを管理するセンサシステム及び制御システムを含む。
【0005】
本発明の一実施形態としては、肢の動きに関連付けられたシステムがある。一実施形態では、このシステムは、足ユニットと、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記足ユニットの第一位置に旋回可能に取り付けられている取付部材と、前記足ユニット及び取付部材に作動可能に取り付けられ、該取付部材と足ユニットとの間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備える。例えば、この足ユニットは、補装具又は矯正具であってもよい。
【0006】
本発明の別の実施形態としては、足首の自然な動きを模倣する補装具システムがある。一実施形態では、補装具システムは、義足と、前記義足における該義足の本来の足首の位置の近傍にある第一位置に取り付けられた旋回軸アッセンブリと、脛骨方向に延び、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記旋回軸アッセンブリに作動可能に連結されている下肢部材と、前記義足及び下肢部材に作動可能に連結され、前記旋回軸アッセンブリ周りに当該下肢部材と義足との間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態でとしては、肢の動きに関連付けられた装置を制御するための方法がある。一実施形態では、この方法は、少なくとも一つのセンサによって肢に関連付けられた作動装置の動きを監視するステップと、前記動きを示すデータを作成するステップと、前記作動装置の現在の動作状態を決定するために処理モジュールによってデータを処理するステップと、前記決定された動作状態に基づいて前記作動装置を調節するステップと、を備え、前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有する。例えば、作動装置は、補装具又は矯正具であってもよい。
【0008】
本発明の別の実施形態としては、足首補装具を制御するための方法がある。一実施形態では、この方法は、少なくとも一つのセンサによって作動可能な足首補装具の動きを監視するステップであって、前記少なくとも一つのセンサが前記足首補装具の動きを示すデータを作成するステップと、前記作動可能な足首補装具の現在の動作状態を決定するために制御モジュールによって前記データを受信及び処理するステップと、前記決定された動作状態に基づいて前記制御モジュールによって少なくとも一つの制御信号を出力するステップと、少なくとも前記制御信号に基づいて前記作動可能な足首補装具を調節するステップと、を備え、前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有する。
【0009】
一実施形態では、足首動作制御式足を有する補装具システム又は矯正具システムを提供する。補装具システム又は矯正具システムは、とりわけ、下肢部材、アクチュエータ及び足ユニットを備える。アクチュエータは、下肢部材と足ユニットとの間の角度を調節して足首の動きを模倣するように構成される。また、補装具システム又は矯正具システムは、下肢部材を他の補装具部材又は矯正具部材、肢切断者の基部、或いは別の構成要素との連結を容易にする取付部を備える。また、補装具システム又は矯正具システムは、このシステムにおけるアクチュエータ又は他の構成要素に動力を提供する充電式バッテリを備えてもよい。本発明の実施形態としては、下腿切断者及び大腿部切断者の両者のためのシステムを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態では、補装具システム又は矯正具システムは、補装具又は矯正具の位置及び動きに関する情報を得るのに用いられるセンサシステムを備える。この情報は、補装具又は矯正具の適切な動きを予測し、これにより補装具又は矯正具を調節するようにリアルタイムで処理されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、センサモジュール、中央演算処理装置、記憶装置、外部インターフェース、駆動制御モジュール、アクチュエータ及び足首器具を有するシステム構成が提供される。このシステム構成では、使用者や電子機器のような外部発信源から、外部インターフェースを通して命令及び/又はデータを受信してもよい。
【0012】
また、一実施形態では、矯正具又は補装具の動きを管理する制御システムが提供される。一実施形態では、制御システムは、スクリューモータのようなアクチュエータの動きを管理する。このような動作制御により、使用者は、上り斜面、下り勾配又は階段での動きを得る。一実施形態では、制御システムは、健常な肢の動きをセンサにより監視し、測定結果を用いて矯正具又は補装具の動き制御するように構成される。また、この制御システムは、矯正具又は補装具のアクチュエータ又は他の部分の制動を管理する。
【0013】
一実施形態では、補装具又は矯正具の作動を制御するための方法が提供される。この方法は、作動可能な補装具又は矯正具に一つ以上のセンサを提供するステップを備える。センサから受信したデータは、処理され、現在の補装具の歩行動作を決めるために使用される。処理装置は、センサから受信したデータの少なくとも一部を使用して、補装具又は矯正具の動きを予測する。一実施形態では、健常な足首の動きを模倣する足首補装具が提供される。一つ以上のセンサは、例えば、ジャイロスコープ及び/又は加速度計を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、処理装置によって使用者の歩行動作形式が所定の閾値以上の安全率になっていると判断しない限り、作動可能な補装具又は矯正具の調節を行わない。
【0014】
別の実施形態では、補装具又は矯正具の動作を特定するための方法が提供される。この方法は、矯正具又は補装具が動いている間に、この矯正具又は補装具に配置された一つ以上のセンサからデータを受信するステップを備える。このセンサによって受信されたデータから波形を作成する。この波形と特定の動作形式に関する既知の波形とを互いに関連付けることによって、矯正具又は補装具のための特定の動作が特定される。例えば、既知の波形は、使用者によって入力されたものであってもよいし、また、外部器具又はシステムからダウンロードされたものでもよい。また、この波形は、矯正具又は補装具の記憶装置に記憶させてもよい。
【0015】
別の実施形態では、足首補助器具を作動させるための方法が提供される。この器具は、コンピューター制御により該器具の第一部分と第二部分との相対運動を提供することによって作動する。一実施形態では、この器具は矯正具である。別の実施形態では、該器具は補装具である。一実施形態では、コンピューター制御によりこの器具の未来の動作を予測する。別の実施形態では、コンピューター制御によって、環境の変量及び/又は補装具又は矯正具の動き又は位置に関する情報を受信する少なくとも一つのセンサモジュールから入力信号を受信する。別の実施形態では、コンピューター制御によって、健常な肢の動き又は位置に関する情報を受信する少なくとも一つのセンサモジュールから入力信号を受信する。
【0016】
本発明を要約する目的で、本発明のある様態、利点及び新規特徴をここに記載した。これら全ての利点が必ずしも本発明のいずれかの特定の実施形態によって達成されるとは限らないことを理解する必要がある。従って、本発明は、ここに教示又は示唆したような他の利点を必ずしも達成せずに、ここに教示した一つの利点又は一群の利点を達成又は最適化するように具体化又は実施される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る足首動作制御式足ユニットを有する下肢補装具の透視図である。
【図2】補装具の内部構成要素を示すためにカバーを取り外した、図1の下肢補装具の透視図である。
【図3】図2の下肢補装具の側面図である。
【図4】図2の下肢補装具の背面図である。
【図5】カバーを部分的に取り外した図1の下肢補装具の側面図であり、足首動作制御式足が上り勾配に適応するように調節されている図である。
【図6】図5の下肢補装具の側面図であり、足首動作制御式足が下り勾配に適応するように調節されている図である。
【図7】補装具足ユニットの実施例における足首の旋回中心点と人間の足の本来の足関節との相互関係を示す概略図である。
【図8】補装具システム又は矯正具システムの実施例における平坦面での一歩幅間における足首の動作範囲を示すグラフである。
【図9】足首動作制御式足を有する補装具システム又は矯正具システムにおける制御システム構成の実施例としてのブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る補装具システム又は矯正具システムの足首角度の調節に使用可能な制御信号を示す表である。
【図11】補装具システム又は矯正具システムの制御と、対応する健常な肢の動きとの関係に関する実施例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここに記載する本発明のいくつかの好ましい実施形態は、通常、補装具システム又は矯正具システム、特に足首動作制御式足を有する補装具又は矯正具に関する。ここでの記述は、種々の実施形態に特有の詳細を説明するが、その記述は一例にすぎず、本発明を限定するものと解釈すべきではないことが分かるであろう。更に、本発明の種々の応用と、当技術の熟知者に起こるその修正もまたここに記述の一般的概念に含まれる。
【0019】
次に、このシステム及び方法の特徴を上に要約した図面を参考にして記述する。この全図面を通して、参照番号は、参照要素間の対応関係を示すために再使用される。この図面、関連する説明及び特定の手段は、本発明の実施形態を示すために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
ここで用いられる“補装具の(prosthetic)”及び“補装具(prosthesis)”という用語は、広義の用語であり、その通常の意味で用いられ、限定することなしに、身体部位の人工的代替物又は支持具として使用可能なあらゆるシステム、器具又は装置を意味する。
【0021】
ここで用いられる“矯正具の(orthotic)”及び“矯正具(orthosis)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、関節及び/又は肢のような身体部分の支持、整列、防御、保護、矯正、身体部分の固定、又は、身体部分の機能の改善に使用可能なあらゆるシステム、器具又は装置を意味する。
【0022】
ここで用いられる“足首装置(ankle device)”という用語は、広義の用語であり、その通常の意味で用いられ、あらゆる補装具、矯正具又は足首補助具に関するものである。
【0023】
ここで用いられる“下腿の(transtibial)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、人工膝関節を含む身体の膝関節と同じ位置又はそれより下に位置するあらゆる平面、方向、位置又は断面に関するものである。
【0024】
ここで用いられる“大腿の(transfemoral)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、人工膝関節を含む身体の膝関節と同じ位置又はそれより上に位置するあらゆる平面、方向、位置又は断面に関するものである。
【0025】
ここで用いられる“矢状の(sagittal)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、身体の正中面(即ち、身体を左右半分に縦方向に分割する面)、又はこの面に平行かほぼ平行ないずれかの平面に関連するか、位置するか、又はその面内か近傍にある記述、位置又は方向に関するものである。また、“矢状面(sagittal plane)”は、正中面に平行又はほぼ平行に身体を通り、且つ身体を均等又は非均等に左右部分に分割するあらゆる垂直な前後方向の平面を意味する。
【0026】
ここで用いられる“冠状の(coronal)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、身体の長軸を通る面に関連するか、位置するか、面内又は近傍にあるあらゆる記述、位置又は方向に関するものである。また、“冠状面(coronal plane)”は、身体を垂直又はほぼ垂直に通り、且つ正中面に直角又はほぼ直角で身体を前部と後部とに分割するあらゆる面を意味する。
【0027】
図1に、取付部材を有する足首動作制御式足をもつ下肢補装具100の一実施形態を示す。この補装具100は、足ユニット104に作動可能に連結された取付部材を下肢部材102の形態で備えている。ここで用いた“取付部材”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、足ユニット104に直接又は間接的に取り付けられ、且つ、例えば旋回運動により足ユニット104に関して可動であり、補装具100を基部又は中間の補装具と取り付けるのに用いられるあらゆる部材に関するものである。図示するように、この取付部材は、足首補装具の実施形態において下肢部材の形態をとる。他の実施形態、例えば矯正具の実施形態では、その取付部材は、支柱のようなもので身体部分に取り付けられ且つ身体部分を支持するように使用されてもよく、また、足ユニットのような第二部材に可動となるように連結され、また、足のような身体部分に取り付けられ且つ身体部分を支持するようになっている。一実施形態では、下肢部材102は、ほぼ脛骨方向、即ち本来の脛骨の軸に沿って通常延びる方向に延びている主縦軸を有する略細長い部材である。例えば、図1に、通常垂直方向にあるような下肢部材102を示す。
【0028】
別の実施形態では、下肢部材102は複数部分からなる。例えば下肢部材102は、脛骨方向にほぼ並行に延びて互いに連結された二つの細長い部分からなる。別の実施形態では、下肢部材102は、実質的に二つの対称部分を有して部分的に密閉した筺体を形成する二側面を有する室からなる。別の実施形態では、下肢部材102は、管状の構造のような中空部材からなる。他の実施形態では、下肢部材102は、細長い平面部か円形部からなる。また別の実施形態では、下肢部材102の構造は細長くない。例えば、下肢部材102は通常、円形、円筒状、半円形、ドーム型、卵形或いは長方形の構造である。下肢部材として可能な例の一つは、足首モジュール、及び2003年12月18日出願の“ロッカー部材を有する義足”(PROSTHETIC FOOT WITH ROCKER MEMBER)と題する米国特許出願第10/742,455号に記載の構造であり、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0029】
一実施形態では下肢部材102は通常アルミニウムのような機械金属か炭素繊維材から形成される。本発明の他実施形態では下肢部材102は補装具に適した他材料からなる。一実施形態では下肢部材102の高さは好都合には約12乃至15cmの間である。本発明の他実施形態では下肢部材102は使用者の大きさ及び/又は補装具100使用意図によるがその高さが12cm以下でも良く15cm以上である。例えば下肢部材102は約20cmの高さである。
一実施形態では、補装具100は、この補装具100が静止する位置の場合、下肢部材102の主縦軸が実質的に足ユニット104の底面に対し略直角となるように構成されている。別の実施形態では、下肢部材102は、足ユニット104が地面に静止している場合、平坦な地面に対し略直角である。このような構成により、使用者に対しての支持及び/又は安定性を好適に増強する。
【0030】
図1に示したように、下肢部材102は、カバー106をさらに備える。このカバー106は、下肢部材102の内部構成要素を内蔵及び/又は保護している。別の実施形態では、カバー106は、丸みを帯びまたは人間の自然な足の形状であってもよい。
【0031】
下肢部材102は、この下肢部材102との連結を助ける取付部108を更に備える。例えば図1に示したように、下肢部材102の取付部108は、補装具100を支柱110と連結する。本発明の他の実施形態では、取付部108は、補装具100を肢切断者の基部又は別の補装具と連結するように配置される。また、図1には、補装具100に動力を供給し且つ/又は制御信号を通信するのに使用できる制御線112を示す。
【0032】
足ユニット104は、種々の形態の義足又は足矯正具を備えていてもよい。図1に示すように、足ユニット104には、2003年8月15日出願の本出願者の“薄型義足”(LOW PROFILE PROSTHETIC FOOT)と題する同時係属の米国特許出願第10/642,125号に記載の構成が取り入れられ、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。例えば、その足ユニット104としては、オサール社(Ossur)から市販の標準型エルピー バリ−フレックス(商標)(LP VARI-FLEX)ユニットを備えていてもよい。
【0033】
一実施形態では、足ユニット104は、この足ユニット104にかかる体重や衝撃水準に応じて機能するように構成される。更に、この足ユニット104は、踵に適度の負荷を与え及び/又は消費エネルギーを回復するための衝撃吸収材を備えていてもよい。足ユニット104は、足の全長を有する柔軟性を増強されたレバーを備えていてもよく、これによって健常な肢の歩幅長をまねた肢補装具の歩幅長を提供するようになる。更に、図1に示すように、足ユニット104は、平坦でない地形での動きを助ける分割型つま先を備えていてもよい。また、足ユニット104は、整容品や例えばオサール社(Oessur)から市販の標準型フレックス−フット(Flex-Foot)カバーのような足カバーが有していてもよい。
【0034】
図2に、カバー106を取り外した補装具100を示す。図示されているように、下肢部材102の下端部は、旋回軸アセンブリ114で足ユニット104と連結される。図示されているように、下肢部材102は、足ユニット104のつま先部から略後方で且つ上向きに延びる足ユニット104の足首板と連結されている。旋回軸アセンブリ114は、下肢部材102に関する足ユニット104の角運動を可能にする。例えば一実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、好適に、少なくとも一つの旋回軸ピンを備える。他の実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、ヒンジ、複数軸構成、多中心構成、これらの組み合わせ等を備えている。好ましくは、旋回軸アセンブリ114は、足ユニット104の本来の足首位置の近傍にある足ユニット104の部分に配置されている。本発明の他の実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、足ユニット104にボルトで留められるか、さもなければ取り外し可能なように連結される。
【0035】
更に、図2に、アクチュエータ116を有する補装具100を示す。一実施形態では、アクチュエータ116は、肢切断者の歩行運動に同期した角度変位を行うに十分なエネルギーを補装具100に好適に提供する。例えば、アクチュエータ116により、足ユニット104が人間の本来の足と同様の動きをするようになる。一実施形態では、アクチュエータ116の下端は、足ユニット104と第一取付点118で連結される。図示するように、足の取付点118は、好適には、足ユニット104の上面後部に位置する。アクチュエータ116の上端は、下肢部材102と第二取付点120で連結される。
【0036】
一実施形態では、アクチュエータ116の直線運動(或いは伸張と収縮)により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を制御するか積極的に調節する。図2に、モータにより足ユニット104の後部を下肢部材102に関して押したり引いたりするダブルスクリューモータを備えるアクチュエータ116を示す。他の実施形態では、このアクチュエータ116は、積極的な角度調節や多数部材間での動作を提供できる他の機構を備える。例えば、このアクチュエータ116は、シングルスクリューモータ、ピストンシリンダ型構造、サーボモータ、ステッピングモータ、ロータリーモータ、バネ、流体アクチュエータ等を備えていてもよい。更に、他の実施形態では、アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度で一方向だけを積極的に調節する。この実施形態では、使用者の体重を用いてアクチュエータ116の動きによる角度及び/又はその動きを制御する。
【0037】
図2は、後方に配置されたアクチュエータ116を示しており、アクチュエータ116が下肢部材102の背後に位置している。他の実施形態では、アクチュエータ116を下肢部材102の前面に配置した前部配置のアクチュエータ116を用いてもよい。本発明の別の実施形態では、アクチュエータ116は、自動調節式の足首構造を備えており、米国特許第5,957,981号に記載のような構成が組み込まれ、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。特定の配置又は構造を、人間の足首関節の自然な動き及び位置を最も良く模倣し、且つ補装具100を外部整容部に挿入し易いように選択してもよい。
【0038】
更に、アクチュエータ116は、好適には、使用者及び/又は他人が認知できる断続的な騒音のような大きな騒音を出さないように作動するように構成される。また、補装具100があるレベルを超すトルクを矢状面のようなもので受けた場合に、そのアクチュエータ116が作動しないか調節できるように構成されてもよい。例えば、そのトルクレベルが4ニュートンメーター(Nm)を超えた場合には、アクチュエータ116は作動停止するか警報を出すようにしてもよい。
【0039】
また、アクチュエータ116は、図1に示したように、このアクチュエータ116の一部が見えなく且つ/又は周囲に露出しないようにカバー106内に略密閉されてもよい。別の実施形態では、このアクチュエータが下肢部材102で少なくとも部分的に密閉されてもよい。
【0040】
更に、図2に、アクチュエータ116及び/又は足ユニット104の作動制御に使用可能な制御回路122を示す。一実施形態では、この制御回路122は、少なくとも一つのプリント基板(PCB)を備える。このPCBは、更に超小型演算装置を備えていてもよい。補装具100の動きの信号処理の実施及び/又は制御をするように、ソフトウェアをこのPCB上に備えてもよい。
【0041】
一実施形態では、補装具100は、制御回路122及び/又はアクチュエータ116に動力を供給するバッテリ(図示せず)を備える。一実施形態では、この電池は、好ましくは駆動時間が少なくとも12から16時間の充電式リチウムイオンバッテリを備える。他の実施形態では、バッテリの駆動時間が12時間以下か16時間以上であってもよい。本発明の他の実施形態では、このバッテリは、リチウムポリマーバッテリ、燃料電池技術、或いは、補装具100へ動力を提供するのに使用できる他のタイプのバッテリ又は技術を含む。更なる他の実施形態では、この電池を下肢部材102の背面や補装具100の他の部分に取り外し可能なように取り付けたり、補装具100から遠くに位置させたりする。他の実施形態では、バッテリを充電するために、この補装具100を壁にあるアダプターや自動車にあるアダプターなどの外部動力源と連結してもよい。
【0042】
一実施形態では、足ユニット104が平坦な地面に静止し、且つバッテリが動力を切らした状態又は動力が小さい状態にある場合、補装具100は、下肢部材102が平坦な地面に関して略垂直に配置されて中立位置に固定されるように構成される。このように固定することにより、使用者とっての動作の安全性、信頼性及び/又は安定性を提供する。また、この補装具100は、使用者にバッテリ状態(即ち充電)に関して警報を出すバッテリ状態画面を提供してもよい。別の実施形態では、この補装具100の動作制御機能を使用者が止めるか不能にした場合、補装具100は略中立位置に固定される。
【0043】
上述したように、補装具100により自然な外観や形状を与えるために、整容用材料や他の化粧材を補装具100と一緒に用いてもよい。更に、この整容材、化粧材又は他の充填材料を用いて、ゴミや水のような汚染物が補装具100の構成要素に接触することを防いでもよい。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る補装具100の側面図である。図3に示すように、アクチュエータ116は、主筺体124、下方伸張可能部126及び上方伸張可能部128をさらに備える。下方伸張可能部126は、アクチュエータ116の主筺体124を第一取付点118で足ユニット104と連結される。上方伸張可能部128はアクチュエータ116の主筺体124を第二取付点120で足ユニット104と連結される。この補装具100の作動中及び積極的な調節を行っている間に、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128がアクチュエータ116の主筺体124内から出入りして、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を調節するようになっている。
【0045】
例えば、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を増加させるには、アクチュエータ116によって下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128を収縮させるか主筺体124内に後退させる。例えば、伸張可能部126及び128の少なくとも一つが一方向(例えば時計回り方向)に回転して伸張可能部をアクチュエータの主筺体124に後退させるようにねじ切り面を有するようにしてもよい。他の実施形態では、伸張可能部126及び128の少なくとも一つが、伸縮自在である多数の部品を備え、これによって収縮時には、伸張可能部の多数の部品の一つが、主筺体124内に後退することなしに、別の多数の部品内に収縮するようになっている。同様に、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を減ずるには、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128を主筺体124から伸ばすようにする。
【0046】
アクチュエータ116を前面に配置した本発明の実施形態では、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128の伸張により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を増加させる。同様に、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128の収縮により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を減少させる。
【0047】
図4は、図1から図3に示した補装具100の背面図である。本発明の他の実施形態では、カバー106がこの補装具100の後部周りに延びて、アクチュエータ116の部分が周囲から見えないように且つ/又は周囲に露出しないようにアクチュエータ116の一部を収容するようになっている。
【0048】
図5及び図6に、上り勾配又は下り勾配に対して調節されている補装具100の一実施形態を示す。図5に関しては、この補装具100が上り勾配に調節されているものを示す。本実施形態では、アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度θを減少(又は“背屈”)させるように伸びる。背屈に関して、一実施形態では、この補装具100の動作角度範囲は、中立位置から0から10度である。また、他の実施形態では、揺動中に背屈を大きくするのを助長してもよい。
【0049】
図6に、補装具100が下り勾配に対して調節された場合を示す。アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度θを増加(又は“足底屈”)させるように伸びる。足底屈に関して、一実施形態では、この補装具100の動作角度範囲は、中立位置から0から20度である。このような足底屈により、自然な足首動作を模倣し且つ肢切断者や使用者により高い安定性を与える。一実施形態では、背屈及び足底屈の双方を含む補装具100の足首の旋回軸周りでの全動作範囲は、約30度かそれ以上である。
【0050】
上り勾配及び下り勾配での作動に加え、補装具100の動作制御式足は、様々な地形に好適に対応し、階段を上ったり下ったりしている間に作動し、また、平坦な地面での歩行を助ける。更に、この補装具100は、踵の高さの自動調節を提供してもよい。一実施形態では、踵の高さは、通常足ユニット104が地面に接地しているときに、下肢部材102の足首部から地面までとして測定することができる。例えば、使用者は、補装具100自体が適切な踵の高さに自動調節するように、一つ以上のボタンを押すなどして種々の踵の高さに調節する。一実施形態では、この補装具100は、複数の所定の踵の高さを含む。更に、他の実施形態では、補装具100は、使用者の入力の必要なしに踵の高さを自動調節するようにしてもよい。
【0051】
更に、図5及び図6に、取付部108の一実施形態を示す。取付部108により、肢切断者の本来の肢と補装具100とが位置調整され、圧力ピーク及び剪断力を減少させるように構成されている。例えば、取付部108を別の補装具、肢切断者の基部或いは別の構成要素に取り付けるように構成されていもよい。一実施形態では、取付部108は、ソケット接合具を備える。このソケット接合具は、32ミリねじ山要素、オスピラミッド型連結器又は他の構成要素を受けるように構成されていてもよい。他の実施形態では、また、取付部108は、メスピラミッド型アダプターを備えていてもよく、又は、それを受け入れるように構成されていてもよい。
【0052】
図5及び図6に示すように、旋回軸アセンブリ114は、人間の正常な足首軸をまねるように配置される。さらに、図7には、義足ユニット204における足首の旋回軸位置と人間の足の本来の足関節との相互関係を示す概略図を示す。特に、この義足ユニット204は、人の足242の足関節240に対応する旋回軸アセンブリ214を備えている。例えば、本発明の一実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、補装具100の機械足首の旋回軸中心近くに配置される。
【0053】
図8に、平坦面上での一歩幅間における補装具100の実施形態の足首の動作可能範囲を表すグラフを示す。図示のように、グラフにおけるX軸は、使用者の一歩幅間での種々な点を表す(即ち、0から100%)。Y軸は、補装具100の足首の角度(θ)を表す。一歩幅間に足首の角度(θ)は、約20度の足底屈(即ち、中立位置プラス20度)から約10度の背屈(即ち、中立位置マイナス20度)まで変化する。
【0054】
上記の実施形態では、動作角度範囲を調節する場合、緩衝機能は備わっていない。本発明の別の実施形態では、補装具100は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度変化に対する緩衝機能を与えたり、受動的で柔軟な抵抗手段を与えるように構成される。この緩衝機能を制御するシステムの一例は、米国特許第6,443,993号に開示され、参照してここに取り入れ、この明細書の一部とする。
【0055】
例えば、使用者が立った姿勢の場合、アクチュエータ116により使用者に安定性を与えるように抵抗を増加させる、又は緩衝を行うようにしてもよい。本発明の一実施形態では、補装具100の緩衝機能は、液圧式ダンパにより提供されてもよい。本発明の他の実施形態では、この分野で既知の他の構成要素や器具を用いて補装具100の緩衝機能を与えてもよい。更に、本発明の他の実施形態では、ダンパは、以下に詳述する電子制御システムによるように動的に制御されてもよい。更なる他の実施形態では、ダンパは、機械的構造及び/又は流体式構造により制御されてもよい。
【0056】
上記の記述は、通常、補装具システムや補装具を対象としているが、この記述は、矯正具システムや矯正具にも適応できる。例えば、本発明の一実施形態では、矯正具システムは、損傷した足首又は衰弱した足首と一緒に用いる矯正具の角度を積極的に制御する少なくとも一つのアクチュエータを含んでもよい。更に、矯正具システムの電子制御に加え、この矯正具システムは、使用者による制御や損傷した足首や損傷した脚の自然な動きを提供してもよい。
【0057】
更に、上記システムは、下腿又は膝下以外の補装具システム又は矯正具システムに使用してもよい。例えば、本発明の一実施形態では、補装具システム又は矯正具システムは、“磁気レオロジ的作動の人工膝(MAGNETORHEOLOGICALLY ACTUATED PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月7日出願の米国仮特許出願第60/569,512号、及び“磁気レオロジ的作動の人工膝(MAGNETORHEOLOGICALLY ACTUATED PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年11月3日出願の米国仮特許出願第60/624、986号に開示されているように、大腿システム又は膝上システムに使用され、それぞれの文献全体を参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。例えば、補装具システムや矯正具システムとして、足首補装具や足首矯正具及び/又は膝補装具や膝矯正具を含んでもよい。
【0058】
図9に、足首動作制御式足のための制御システム300のシステム構成の一実施形態としてのブロック図を示す。本発明の一実施形態では、制御システム300は、図1から図6に示した下肢補装具100に使用できる。本発明の他の実施形態では、制御システム300は、足首動作制御式足や他の動作制御式肢を有する矯正具システム又はリハビリシステムで使用できる。一実施形態では、制御システム300は、分散処理システムを基本としており、補装具システム又は矯正具システムによって行われる検出、データ処理又は作動のような異なる機能が、互いに通信する複数の超小型演算装置によって実行又は制御されるようになっている。図9に関しては、制御システム300として、センサモジュール302、足首器具304(例えば図1に示した補装具100のようなもの)、中央演算処理装置(“CPU”)305、記憶装置306、インターフェースモジュール308、駆動制御モジュール308、アクチュエータ316及び動力モジュール318を含む。
【0059】
一実施形態では、図9に示した制御システム300は、センサモジュール302から受信したデータをCPU305で処理する。CPU305は、駆動制御モジュール310と通信して足首器具304が自然な足首動作をまねるようにアクチュエータ316の動作を制御する。更に、制御システム300は、使用者の動きに適合するために、如何に足首器具304を調節する必要があるかを予測することができる。また、CPU305は、インターフェースモジュール308を通して使用者及び/又は他の器具から指令を受けることができる。動力モジュール318は、制御システム300の他の構成要素に動力を提供する。これらの各構成要素は、以下により詳細に記載する。
【0060】
一実施形態では、センサモジュール302を用いて一歩行周期での足首器具304の位置及び/又は動きのような足首器具304に関する変数を測定する。このような実施形態では、センサモジュール320は、好適には、足首器具304に配置される。例えば、センサモジュール302は、図2に示したように、補装具100の旋回軸アセンブリ114のように足首器具304の機械足首の旋回軸中心の近くに配置されてもよい。別の実施形態では、センサモジュール302は、足首器具304に取り付けるか関連づけられた使用者の本来の肢に配置されてもよい。このような実施形態では、センサを用いて足首器具を調節するために使用者の足首器具側の自然な肢の動きに関連する情報を得る。
【0061】
一実施形態では、センサモジュール302は、好適には、プリント基板筺体、足首器具304の異なる軸での加速度を夫々測定する加速度計のような多くのセンサを含む。例えば、センサモジュール302は、足首器具304の3本の略互いに直角な軸での加速度を測定する三個の加速度計を備えてもよい。センサモジュール302に適した形態のセンサは、例えば、ダイナストリームイノベーション社(Dynastream Innovations, Inc.)(カナダ、アルバータ州)から入手できる。
【0062】
他の実施形態では、センサモジュール302は、加速度計と組み合わた一つ以上の他の種類のセンサ、又は加速度計の代わりの一つ以上の他の種類のセンサを含んでもよい。例えば、センサモジュール302は、身体部分及び/又は足首器具304の角速度を測定するように配置されたジャイロスコープを含んでもよい。他の実施形態では、センサモジュール302は、例えば、特定の足下領域での足底圧を測定するように配置された足底圧センサを含む。更に他の実施形態では、センサモジュール302は、使用者の本来の肢からデータを得るように構成された運動センサ、単軸ジャイロスコープ、単軸又は多軸加速度計、荷重センサ、屈曲センサ、又は筋電気センサのうちの一つ以上のものを含んでもよい。また、米国特許第5,955,667号、米国特許第6,301、964号及び米国特許第6,513,381号には、本発明の実施形態と一緒に使用されるセンサの例が示され、これら特許の全体を参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0063】
更に、センサモジュール302は、例えば、地面に対する足首器具304の位置、足首器具304の傾斜角、足首器具304の位置に対する重力方向、足首器具304が地面と接触するか(例えば“かかとの当たり”)、歩幅の中間位置にあるか、地面を離れるとき(例えば“つま先のはなれ”)のような使用者の歩幅に関する情報、最大揺動時の補装具100の地面からの距離(即ち揺動中の最大高さ)、最大揺動時のタイミング等のうちの一つ以上に関連した情報を得るのに用いられてもよい。
【0064】
更に他の実施形態では、センサモジュール302は、歩行パターン及び/又は歩行状態を検出するように配置される。例えば、センサモジュール302は、使用者が立ち姿勢/停止姿勢にあるか、平坦な地面を歩いているか、階段や傾斜面を上る及び/又は下る等を決める。他の実施形態では、センサモジュール302は、使用者が座った姿勢である場合を検出するために、足首器具304の踵の高さを検出又は測定する、及び/又は静止時の脛骨角度を決定するように構成される。
【0065】
図9に示したように、本発明の他の実施形態では、センサモジュール302は、地面の特徴、地面の角度、気温及び風による抵抗のうちの一つ以上を含む環境又は地形の変量を測定するようにさらに構成される。一実施形態では、測定された温度を用いて他のセンサのゲイン及び/又はバイアスを較正してもよい。
【0066】
他の実施形態では、センサモジュール302は、健常な脚のような使用者の自然な肢の動き及び/又は位置に関する情報を取得する。このような実施形態では、上り勾配又は下り勾配で作動しているとき、使用者の第一歩は健常な肢を使うのが好ましい。これにより、足首器具304を調節する前に健常な肢の自然な動きの測定が可能になる。本発明の一実施形態では、制御システム300は、使用者の歩行を検出し、足首器具304が第一歩の揺動状態にあるときに足首器具304を調節する。本発明の他の実施形態では、制御システム300が使用者の歩行を正確に決定し、足首器具304を適切に調節可能となるまでに一歩又は二歩分の待ち時間を必要としてもよい。
【0067】
本発明の一実施形態では、センサモジュール302は、100ヘルツ(Hz)の初期設定サンプリングレートを有する。他の実施形態では、サンプリングレートは、100Hzより高くても低くてもよく、また、使用者が調節してもよく、或いはソフトウエアやパラメータの設定により自動的に調節してもよい。更に、センサモジュール302により、検出したデータの種別間で同期性をもたせるか、時刻刻印してもよい。センサは、約0.5度の角度分解能を有し、足首器具304の微調整が可能なように構成されてもよい。
【0068】
一実施形態では、センサモジュール302は、例えば、使用者が座った姿勢かリクライニング姿勢でくつろいだ場合のように検出が不要な場合、“不活動”状態に入って電源を切るように構成される。このような実施形態では、センサモジュール302が動くか使用者が入力すると、センサモジュール302は活動停止状態から起動する。一実施形態では、センサモジュール302は、“活動”状態では約30ミリアンペア(mA)を、“不活動”状態では約0.1mAを消費する。
【0069】
図9に、CPU305と通信するセンサモジュール302を示す。一実施形態では、センサモジュール302は、好適には、CPU305及び/又は制御システム300の他の構成要素に測定データを提供する。一実施形態では、センサモジュール302は、この測定結果をCPU305に送信する、例えばブルートゥース(Bluetooth)(商標)送信機のような送信機と接続される。他の実施形態では、赤外線技術、ワイファイ(WiFi)(商標)技術や無線周波数(RF)技術のような他形式の送信機や無線技術を使用することができる。他の実施形態では、CPU305と通信するのに有線技術を用いることができる。
【0070】
一実施形態では、センサモジュール302は、様々な種類の情報を含むデータ列をCPU305に送る。例えばこのデータ列は、160ビットからなり、
[TS;AccX;AccY;AccZ;GyroX,GyroY、GyroZ、DegX、DegY,FS,M]の情報を含む。
ここで、TSは、時刻刻印; AccXは、X軸方向の足の直線加速度; AccYは、Y軸方向の足の直線加速度 ;AccXは、Z軸方向の足の直線加速度; GyroXは、X軸方向の足の角加速度;GyroYは、Y軸方向の足の角加速度; GyroZは、Z軸方向の足の角加速度; DegXは、冠状面内での足の傾斜角度; DegYは、矢状面内での足の傾斜角度; FSは、足首器具304のスイッチの論理状態; Mは、センサの方向である。本発明の他の実施形態では、さらに多いか少ない情報を含む他の長さのデータ列を用いてもよい。
【0071】
CPU305は、好ましくは、制御システム300の他の構成要素から受信したデータを処理する。本発明の一実施形態では、CPU305は、センサモジュール302から受信した情報のような使用者の歩行に関する情報を処理し、歩行運動の種類(即ち、歩行パターン)を決定し、且つ/又は駆動制御モジュール310に指令を送信する。例えば、センサモジュール302が得たデータを用いて、使用者の歩行や動きに関する情報を表す波形を発生させてもよい。この波形に続く変化をCPU305が特定し、使用者の今後の動きを予測し、それにより足首器具304を調節する。本発明の一実施形態では、CPU305は、歩行パターンが一分間に20歩ぐらいの遅さから一分間に125歩の速さまでを検出することができる。本発明の他の実施形態では、CPU305は、一分間に20歩より遅いか、一分間に125歩より速い歩行パターンを検出できる。
【0072】
本発明の一実施形態では、CPU305は、以下の表(表1)による状態遷移に関するデータを処理する。特に表1は、制御システム300で制御される、起こりうる状態遷移を示す。表1の第一列には、足首器具304の起こりうる初期状態を挙げ、第一行には、足首器具304の起こりうる第二状態を挙げている。表1によって、第一状態から第二状態への遷移の間にアクチュエータ316及び足首器具304の制御や積極的な調節にCPU305が用いるデータソースを決定する。ここで、“N”は、状態が遷移するために追加データが不必要であることを指し、“L”は、状態が遷移する間にCPU305が足首器具304の調節決定に遷移論理を使用することを示し、“I”は、CPUがインターフェース(例えばインターフェースモジュール308、外部使用者インターフェース、電子インターフェース等)からデータを受信することを示す。本発明の実施形態に使用できる遷移論理は、関連技術の通常の技術者により開発される。この発明の実施形態に類似のシステム及び方法に用いた遷移論理の例としては、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTEM AND METHOD FOR A PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月19日出願の米国仮特許出願第60/572,996号に開示され、参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0073】
【表1】
一実施形態では、表1の上記状態は、足首器具304の規定の状態である。例えば、“オフ(OFF)”状態は、足首器具304及びアクチュエータ316の機能が停止状態又は一時停止状態にあることを示す。“踵高さ計測(HEEL_HEIGHT_CAL)”状態は、例えば足首器具304が動いていないときのように静止センサ角度からの踵の高さの計測に関する。“センサ較正(SENSOR-CAL)”状態は、使用者が平坦面を歩くときの表面角度の較正に関する。“中立(NEUTRAL)”状態は、足首器具304が略固定位置に固定されたときに関する。“歩行(WALK)”状態は、使用者が平坦面又は傾斜面上を歩いているときに関する。“上り階段(STAIRS_UP)”及び“下り階段(STAIRS_DOWN)”状態は、使用者がそれぞれ階段を歩いて上る及び下りるときに関する。“リラックス(RELAX)”状態は、使用者がくつろいだ姿勢にあるときに関する。例えば、一実施形態では、“リラックス”状態は、使用者が足首器具304を有する肢を他の肢上に組んだ状態で座った姿勢の場合に関する。この実施形態では、制御システム300は、例えば、健常な足の本来の位置及び/又は外観をまねるように足首器具304を最大足底屈の位置に移動させる。“パンツ(PANTS)”状態は、使用者がパンツ、ズボン、ショーツ等を着た場合に関する。このような状態において、一実施形態における制御システム300では、この衣類を足首器具304上にかぶせるのを助けるように足首器具304を最大足底屈の位置に移動させる。
【0074】
本発明の他の実施形態では、他の状態を表1に特定した状態の代わりにして、又は組み合わせて足首器具304と一緒に使用できる。例えば、横たわるか、自転車に乗るか、はしごに登るか等に相当する状態を定義してもよい。更に、状態の遷移を制御する場合、CPU305及び/又は制御システム300は、表1に記載のもの以外のソースからデータを処理又は得てもよい。
【0075】
他実施形態では、CPU305は、種々の他の機能を実行してもよい。例えば、CPU305は、使用者のつまずきを検知するようにセンサモジュール302から受信した情報を使用してもよい。CPU305は、制御システム300の構成要素間でのやり取りを管理する機能を有してもよい。例えば、CPU305は、制御システム300の複数の構成要素間での通信バス用の主装置として機能してもよい。一実施形態で示すように、CPU305は、動力モジュール318とやり取りする。例えば、CPU305は、制御システム300の他の構成要素に動力を分配及び/又は変換し、バッテリの動力又はバッテリ寿命を監視するようにしてもよい。更に、CPU305は、使用者が座った姿勢や立ち姿勢の場合、制御システム300への動力を一時停止したり減じたりするように機能してもよい。このような制御により、使用頻度が少ない期間のエネルギーの節約が可能になる。また、CPU305は、構成要素間の通信が失敗した場合や、未認識信号や波形をセンサモジュール302から受信した場合、或いは駆動制御モジュール310や足首器具304からのフィードバックにより誤動作を生じるか故障を示すような場合には、エラー処理を行うようにしてもよい。
【0076】
本発明の更なる他の実施形態では、CPU305は、センサモジュール302の情報を分析し且つ/又は駆動制御モジュール310に指令を送信する場合に、安全率を使用するか計算する。例えば、安全率は、広範囲の値を含み、より高い値は使用者の決定した歩行運動状態の確実性がより高いことを示し、低い安全率は使用者の歩行運動状態の確実性がより低いことを示す。本発明の一実施形態では、使用者の歩行運動状態が既定の閾値以上の安全率で認識されなければ、足首器具304を調節しないようになっている。
【0077】
一実施形態では、CPU305は、ハードウエアやファームウエアで具体化された論理からなるか、例えばC++のようなプログラミング言語で書いたソフトウエア命令の集合からなるモジュールを含む。ソフトウエアモジュールを実行可能なプログラムにコンパイル又は関連付け、動的リンクライブラリにインストールするか、又はベーシック(BASIC)のような翻訳言語で記載するようにしてもよい。ソフトウエアモジュールを他のモジュールかそれ自身から呼ぶこともでき、且つ/又は検出対象や割り込みに対応して呼び出すことが分かるだろう。EPROMやEEPROMのようなソフトウエア命令をファームウエアに組み込む。ハードウエアモジュールは、ゲートやフリップフロップのような連結論理ユニットから構成され、且つ/又はプログラマブルゲートアレイや演算処理装置のようなプログラム可能ユニットから構成されることが更に分かるだろう。
【0078】
図9に、命令及び/又はデータ保存用の記憶装置306をさらに含むCPU305を示す。例えば記憶装置306は、以下の種類のデータ又は命令を一つ以上保存する。即ち、このデータ又は命令は、制御システム300の他の構成要素用のエラーログ、歩行パターン又は歩行曲線に関する情報、使用者の過去の行動に関する情報(例えば歩数)、制御パラメータ及び設定値、ソフトウエアデバッキング又はソフトウエア更新に関する情報、補装具システム又は矯正具システムの基本動作に関するプログラムされたアルゴリズム、センサモジュール302又は他の構成要素に関する較正値及びパラメータ、外部装置からダウンロードした命令、これらの組み合わせである。
【0079】
記憶装置306は、あらゆるバッファ、コンピュータ装置、或いは、別のコンピューター装置又はコンピュータ処理装置によって呼び出されるコンピュータ命令及び/又はデータを保存できるシステムを含んでもよい。一実施形態では、記憶装置306は、CPU305の一部であるキャッシュメモリである。本発明の他の実施形態では、記憶装置306は、CPU305から分離されている。本発明の他の実施形態では、記憶装置306は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は例えば読み出し専用メモリー(ROM)、プログラム可能ロム(PROM)や電気的消去可能ロム(EEPROM)のような他の集積及び呼び出し可能な記憶装置を含む。他の実施形態では、記憶装置306は、メモリカード、リムーバブルドライブ等のような脱着可能な記憶装置を含む。
【0080】
また、一実施形態では、CPU305は、使用者又は外部機器からの特定の使用又は動作命令をインターフェースモジュール308により受けるように構成されてもよい。また、CPU305は、既存の命令に対する更新を受信してもよい。更に、CPU305は、動作命令をダウンロードしたり受信したりするために、パソコン、携帯情報端末等と通信することができる。特定の動作命令としては、例えば、自転車にのること、車の運転、はしごの上り下り、雪又は砂に対する歩行対応等に関連したデータが挙げられる。
【0081】
一実施形態では、インターフェースモジュール308は、補装具システムや矯正具システムの一部や機能を制御又は管理するように使用者が使用するインターフェースを含む。一実施形態では、インターフェースモジュール308は、使用者からの情報を受信し且つ/又は使用者に情報を伝達するのに使用できる複数のボタン及び/又は複数の発光ダイオード(LED)を有する柔軟なキーパッドである。例えば、LEDは、バッテリの状態を示したり、使用者に確認信号を伝達したりできる。インターフェースモジュール308は、好適には、足首器具304に配置される。更に、インターフェースモジュール308は、パソコンのような外部コンピュータ装置との通信に使用できるUSBコネクターを含んでもよい。
【0082】
更なる実施形態では、インターフェースモジュール308は、オン/オフスイッチを含む。別の実施形態では、インターフェースモジュール308は、使用者の制御された踵の高さ、或いは補装具システム又は矯正具システムの強制的なリラックス状態に関する入力を受信する。他の実施形態では、使用者によって補装具の所望の応答形式に調整する、或いは足首器具304の特定の機能を実施可能か不能にするようにしてもよい。使用者による入力は、ボタンを操作するようなインターフェースモジュール308を通して直接入力するか、使用者による入力を遠隔制御により受信するようにしてもよい。
【0083】
インターフェースモジュール308は、タッチスクリーン、ボタン、スイッチ、バイブレータ、警報装置、又は使用者が制御システム300に命令を送るか、制御システム300から情報を受信できる他の入出力送受信構造物又は装置を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、インターフェースモジュール308は、家や車におけるような制御システム300に動力を供給するバッテリを充電するためのプラグのような追加の構造を含む。また、本発明の他の実施形態では、インターフェースモジュール308は、CPU305以外の制御システム300の構成要素と直接又は間接的に通信するようにしてもよい。
【0084】
駆動制御モジュール310は、CPU305から受信した高レベルプラン又は命令を、低レベル制御信号に変換してアクチュエータ316に送るために使用される。一実施形態では、駆動制御モジュール310は、アクチュエータ316の管理に関連した制御アルゴリズム及びタスクを組み込んだプリント基板を備える。更に、駆動制御モジュール310は、CPU305の決定過程をアクチュエータ316の実際のハードウエア定義に変換するハードウエア論理層を実行するために使用されてもよい。本発明の別の実施形態では、駆動制御モジュール310を用いて、アクチュエータ316又は足首器具304の位置又は動きに関してCPU305にフィードバックしてもよい。また、駆動制御モジュール310は、使用者が傾斜面を進んでいることをCPU305が検出したとき、アクチュエータ316を新たな“中立”に設定するように調節することができる。
【0085】
本発明の一実施形態では、駆動制御モジュール310は、足首器具304に配置される。他の実施形態では、駆動制御モジュール310は、ソケット上のように足首器具304の外部に配置されるか、足首器具304から離れて配置されてもよい。
【0086】
アクチュエータ316は、足首器具304の動作を制御するようになっている。一実施形態では、アクチュエータ316は、図1から図6に記載のアクチュエータ116と同様の働きをしており、アクチュエータ116により補装具100の足首動作を制御するようになっている。本発明の他の実施形態では、アクチュエータ316は、支柱や他の種類の支持構造のような矯正具の動作を制御するように構成してもよい。
【0087】
足首器具304は、足首のような関節運動を模倣するのに使用され、アクチュエータ316によって少なくとも部分的に制御されるあらゆる構造の装置を備える。特に、足首器具304は、補装具又は矯正具を備えていてもよい。
【0088】
動力モジュール318は、制御システム300に動力を供給するのに使用できる一個以上の動力源及び/又は連結具を含む。一実施形態では、動力モジュール318は、好ましくは、携帯型で、例えば上記のように充電式バッテリを備えることができる。図9に示すように、動力モジュール318は、駆動制御モジュール310及びCPU305と連絡している。他の実施形態では、動力モジュール318は、駆動制御モジュール310及びCPU305の代わりとして又はこれらと組み合わせて、他の制御システム300の構成要素と連絡している。例えば一実施形態では、動力モジュール318は、センサモジュール302と直接連絡している。更に、動力モジュール318は、使用者が制御システム300の一つ以上の構成要素に供給する動力を直接制御できるように、インターフェースモジュール308と連絡している。
【0089】
制御システム300の構成要素は、互いに種々の通信回線を通して通信しもよい。図9は、2種類の回線を示す。主通信回線は、構成要素間の実線で示され、副通信回線は、点線で示されている。一実施形態では、主通信回線は、規定のプロトコルで作動する。例えば、主通信回線は、制御システム300の物理的な構成要素間で働く。一方、副通信回線は、一次通信回線とは異なるプロトコル又はレベルで作動する。例えば、主通信回線と副通信回線とが衝突する場合には、主通信回線からのデータが副通信回線からのデータに対して優先される。副通信回線は、図9では、制御システム300と環境との間の通信チャネルとして示している。本発明の他の実施形態では、モジュールが互いにやり取りし且つ/又は他の形式の通信回線や方法により環境とやり取りする。例えば、全通信回線を同一プロトコル又は同一階層レベルで作動する。
【0090】
また、制御システム300の構成要素は、異なる形式で集積することも考えられる。例えば、構成要素を数個のサブ構成要素に分割するか、異なる場所に配置し、有線ネットワークや無線ネットワーク等を用いて互いにやり取りするより多くの装置に分割できる。例えば、一実施形態では、モジュールは、RS232やシリアル周辺装置インターフェース(SPI)チャネルを通してやり取りする。また複数の構成要素を単一の構成要素に結合してもよい。また、ここに記載の構成要素は、より少数のモジュールに集積することも考えられる。また、一個のモジュールを複数モジュールに分割してもよい。
【0091】
特定の実施形態に関して開示したが、制御システム300は、上記の構成要素より多くても少なくてもよい。例えば、制御システム300は、アクチュエータ316の位置を制御又は微調整するのに使用できるアクチュエータ電位差計をさらに備えてもよい。また、使用者は、アクチュエータ電位差計を用いて足首器具304の踵の高さを調節してもよい。一実施形態では、アクチュエータ電位差計は、CPU305とやり取りする。他の実施形態では、制御システム300として、バイブレータ、直流ジャック、ヒューズ、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0092】
類似の又は他の制御システム並びに他の関連構造物及び方法の例は、“膝上肢切断者用の作動義足(ACTUATED LEG PROSTHESIS FOR ABOVE-KNEE AMPUTEE)”と題され、現在米国特許公開第2004/0111163号として公開された、2003年6月17日出願の米国特許出願第10/463、495号、 “作動補装具制御用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING AN ACTUATED PROTHESIS)”と題され、現在米国特許公開第2004/0049290号として公開された、2003年6月20日出願の米国特許出願第10/600,725号、“人工下肢自己受容体の位置づけ(POSITIONING OF LOWER EXTREMITIES ARTIFICIAL PROPRIOCEPTORS)”と題され、現在米国特許公開第2004/0088057号として公開された、2003年7月25日出願の米国特許出願第10/627,503号、及び、“肢切断者用の作動補装具(ACTUATED PROSTHESIS FOR AMPUTEES)”と題され、現在米国特許公開第2004/0181289号に公開された、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,764号のその各々の全体がここに参照して取り入れられ、本明細書の一部とする。更に、本発明の実施形態で使用される他の形式の制御システムは、“人工膝用の制御システム(CONTROL SYSTME FOR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年3月10日出願の米国仮特許出願第60/551,717号、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTE,M AND METHOD F OR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月7日出願の米国仮特許出願第60/569、511号、及び、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTE,M AND METHOD F OR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月19日出願の米国仮特許出願第60/572,996号に開示され、その全体をここに本明細書の一部として参照して取り入れる。
【0093】
図10は、本発明の一実施形態により、使用者の歩行運動が異なる状態間や異なる形式間で移り変わっているときに、補装具又は矯正具における足首角度の調節に関連して予想される制御信号を示した表である。特に、列402に記載の状態は、使用者の第一状態を示し、行404に記載の状態は使用者の第二状態又は使用者が遷移している状態を示す。表の残りの部分は、足首角度に関して補装具又は矯正具が取り得る動作を示す。“使用者設定点”は、中立又は初期の値であり、靴の踵の高さ調節時の設定値である。特定の角度は、補装具又は矯正具の足首角度の変更例である。例えば、使用者が“立ち姿勢”状態から“上り階段”状態に移る場合、足首角度を例えばマイナス10度(又は背屈10度)のように階段の角度に対して調節される。“傾斜(上り)”列、及び“下り勾配”列に示した足首角度は、傾斜角度に依存して調節した足首角度の閾値を反映する。
【0094】
以下の表(表2)に、本発明の一実施形態で取り得る足首動作の戦略を示す。表2の第一列には、よく検出される異なる形式の歩行動作や歩行パターンを記載する。表2の第二列は、特定された各歩行動作形式での揺動状態中における補装具又は矯正具の足首角度の調節例を示す。
【0095】
【表2】
図11に、義足又は足矯正具の制御と健常で正常な足から得られる測定値との間の相互作用及び関係を表すグラフを示す。特に、図11は、使用者の一歩幅間における義足又は足矯正具の動きと健常な足の動きとを示す。例えば、歩幅の最初の約60%の間では、このグラフは、義足又は足矯正具が、“立ち姿勢”位置にあるか又は地面のような面上にしっかりと立っていることを示している。一実施形態では、立ち姿勢状態の初期部分で、義足又は足矯正具の足首角度は減少(背屈)してもよい。そして、立ち姿勢状態の終了に近づくにつれ、義足又は足矯正具の足首角度が、本来の歩幅での動作を助けるように増加(足底屈)される。本発明の他の実施形態では、義足又は足矯正具の足首角度は、立ち姿勢状態では積極的に調節しない。健常な足は、これと同じ期間の部分で、つまり約40%の点まで揺動姿勢にあり、健常な足は地面と接触していない。約40%の点と60%との点の間で両足が地面と接触している。
【0096】
約60%の点から100%(歩幅の終了点)の点まで、義足又は足矯正具は、揺動姿勢にあり、健常な足は地面と接触している。図11のグラフは、義足又は足矯正具の足首角度の揺動状態での調節を示す。この角度調節は、健常な足の揺動状態における健常な足の予め測定した結果に基づいている。一実施形態では、義足又は足矯正具の揺動状態の初期部分で、義足又は足矯正具の足首角度が減少する。これにより、例えば、義足又は足矯正具のつま先部が階段を乗り越えることができる。そして、義足又は足矯正具が揺動状態の後期で、義足又は足矯正具の足首角度は、地面に接触する前に増加する。他の実施形態では、角度調節は補装具側のセンサが取得した測定結果に基づく。
【0097】
図11は、ある条件下での本発明の一実施形態における機能を示すと理解すべきである。他の実施形態又は状況では、より長い又はより短い立ち姿勢又は揺動状態が必要になり、義足の足首角度に他の調節を必要とするかもしれない。
【0098】
本発明のある実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は実施例を提示することのみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。実際にここに記載の新規な方法及びシステムは種々の他法で具体化される。例えば、前述のものを膝や肩のような足首以外の関節の動作制御に適用してもよい。更に、ここに記載の方法及びシステムの形態で種々の省略、置換や変更が本発明の趣旨から逸脱することなしに行われてもよい。添付の特許請求の範囲とその同等物は、本発明の範囲と趣旨の範囲内にあるこのような形態又は変形例にも及ぶことを意図する。
【技術分野】
【0001】
本発明の好ましい実施形態は、動作制御された肢、特に、足首が動作制御された足を有するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で何百万の人々が切断や衰弱のような身体障害を補い、損傷した肢のリハビリの助けをするための補装具及び/又は矯正具に依存している。矯正具は、奇形した身体を支持、整列、保護、防御、矯正、又は身体の可動部の機能の改善に使用される外部器具を含む。補装具は、腕や脚のような身体の失った部分のための人工代替物として用いられる器具を含む。
【0003】
身体障害者及び肢切断者の数は、糖尿病のような衰弱疾患が蔓延するように、個人の平均年齢の上昇と共に毎年増加している。その結果、補装具及び矯正具の必要性も高まっている。在来の矯正具は、個人の足首や膝のような関節を支えるためにしばしば用いられ、その矯正具の動きは、通常その使用者のエネルギーの消費のみに依存している。いくつかの従来の矯正具では、肢切断者と何ら相互作用することなしにその関節を人工的に動かす基本的制御機構を備え、基本動作のみを生成することができる。このような基本的制御機構では、作業環境の動的条件を考慮していない。これらの従来の補装具及び矯正具の受動的な性質により、通常、身体障害者や肢切断者にとって不安定な動作、高いエネルギー消費、歩行逸脱や他の短期的及び長期的なマイナスの効果をもたらす。これは特に脚の矯正具及び補装具においてそうである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の一実施形態としては、動力源を内蔵し、健常な肢の自然な動き、特に健常な足首の動きを模倣する補装具又は矯正具がある。本発明の別の実施形態では、身体障害者又は肢切断者の動作を助けるように補装具システム又は矯正具システムの動きを管理するセンサシステム及び制御システムを含む。
【0005】
本発明の一実施形態としては、肢の動きに関連付けられたシステムがある。一実施形態では、このシステムは、足ユニットと、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記足ユニットの第一位置に旋回可能に取り付けられている取付部材と、前記足ユニット及び取付部材に作動可能に取り付けられ、該取付部材と足ユニットとの間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備える。例えば、この足ユニットは、補装具又は矯正具であってもよい。
【0006】
本発明の別の実施形態としては、足首の自然な動きを模倣する補装具システムがある。一実施形態では、補装具システムは、義足と、前記義足における該義足の本来の足首の位置の近傍にある第一位置に取り付けられた旋回軸アッセンブリと、脛骨方向に延び、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記旋回軸アッセンブリに作動可能に連結されている下肢部材と、前記義足及び下肢部材に作動可能に連結され、前記旋回軸アッセンブリ周りに当該下肢部材と義足との間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態でとしては、肢の動きに関連付けられた装置を制御するための方法がある。一実施形態では、この方法は、少なくとも一つのセンサによって肢に関連付けられた作動装置の動きを監視するステップと、前記動きを示すデータを作成するステップと、前記作動装置の現在の動作状態を決定するために処理モジュールによってデータを処理するステップと、前記決定された動作状態に基づいて前記作動装置を調節するステップと、を備え、前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有する。例えば、作動装置は、補装具又は矯正具であってもよい。
【0008】
本発明の別の実施形態としては、足首補装具を制御するための方法がある。一実施形態では、この方法は、少なくとも一つのセンサによって作動可能な足首補装具の動きを監視するステップであって、前記少なくとも一つのセンサが前記足首補装具の動きを示すデータを作成するステップと、前記作動可能な足首補装具の現在の動作状態を決定するために制御モジュールによって前記データを受信及び処理するステップと、前記決定された動作状態に基づいて前記制御モジュールによって少なくとも一つの制御信号を出力するステップと、少なくとも前記制御信号に基づいて前記作動可能な足首補装具を調節するステップと、を備え、前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有する。
【0009】
一実施形態では、足首動作制御式足を有する補装具システム又は矯正具システムを提供する。補装具システム又は矯正具システムは、とりわけ、下肢部材、アクチュエータ及び足ユニットを備える。アクチュエータは、下肢部材と足ユニットとの間の角度を調節して足首の動きを模倣するように構成される。また、補装具システム又は矯正具システムは、下肢部材を他の補装具部材又は矯正具部材、肢切断者の基部、或いは別の構成要素との連結を容易にする取付部を備える。また、補装具システム又は矯正具システムは、このシステムにおけるアクチュエータ又は他の構成要素に動力を提供する充電式バッテリを備えてもよい。本発明の実施形態としては、下腿切断者及び大腿部切断者の両者のためのシステムを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態では、補装具システム又は矯正具システムは、補装具又は矯正具の位置及び動きに関する情報を得るのに用いられるセンサシステムを備える。この情報は、補装具又は矯正具の適切な動きを予測し、これにより補装具又は矯正具を調節するようにリアルタイムで処理されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、センサモジュール、中央演算処理装置、記憶装置、外部インターフェース、駆動制御モジュール、アクチュエータ及び足首器具を有するシステム構成が提供される。このシステム構成では、使用者や電子機器のような外部発信源から、外部インターフェースを通して命令及び/又はデータを受信してもよい。
【0012】
また、一実施形態では、矯正具又は補装具の動きを管理する制御システムが提供される。一実施形態では、制御システムは、スクリューモータのようなアクチュエータの動きを管理する。このような動作制御により、使用者は、上り斜面、下り勾配又は階段での動きを得る。一実施形態では、制御システムは、健常な肢の動きをセンサにより監視し、測定結果を用いて矯正具又は補装具の動き制御するように構成される。また、この制御システムは、矯正具又は補装具のアクチュエータ又は他の部分の制動を管理する。
【0013】
一実施形態では、補装具又は矯正具の作動を制御するための方法が提供される。この方法は、作動可能な補装具又は矯正具に一つ以上のセンサを提供するステップを備える。センサから受信したデータは、処理され、現在の補装具の歩行動作を決めるために使用される。処理装置は、センサから受信したデータの少なくとも一部を使用して、補装具又は矯正具の動きを予測する。一実施形態では、健常な足首の動きを模倣する足首補装具が提供される。一つ以上のセンサは、例えば、ジャイロスコープ及び/又は加速度計を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、処理装置によって使用者の歩行動作形式が所定の閾値以上の安全率になっていると判断しない限り、作動可能な補装具又は矯正具の調節を行わない。
【0014】
別の実施形態では、補装具又は矯正具の動作を特定するための方法が提供される。この方法は、矯正具又は補装具が動いている間に、この矯正具又は補装具に配置された一つ以上のセンサからデータを受信するステップを備える。このセンサによって受信されたデータから波形を作成する。この波形と特定の動作形式に関する既知の波形とを互いに関連付けることによって、矯正具又は補装具のための特定の動作が特定される。例えば、既知の波形は、使用者によって入力されたものであってもよいし、また、外部器具又はシステムからダウンロードされたものでもよい。また、この波形は、矯正具又は補装具の記憶装置に記憶させてもよい。
【0015】
別の実施形態では、足首補助器具を作動させるための方法が提供される。この器具は、コンピューター制御により該器具の第一部分と第二部分との相対運動を提供することによって作動する。一実施形態では、この器具は矯正具である。別の実施形態では、該器具は補装具である。一実施形態では、コンピューター制御によりこの器具の未来の動作を予測する。別の実施形態では、コンピューター制御によって、環境の変量及び/又は補装具又は矯正具の動き又は位置に関する情報を受信する少なくとも一つのセンサモジュールから入力信号を受信する。別の実施形態では、コンピューター制御によって、健常な肢の動き又は位置に関する情報を受信する少なくとも一つのセンサモジュールから入力信号を受信する。
【0016】
本発明を要約する目的で、本発明のある様態、利点及び新規特徴をここに記載した。これら全ての利点が必ずしも本発明のいずれかの特定の実施形態によって達成されるとは限らないことを理解する必要がある。従って、本発明は、ここに教示又は示唆したような他の利点を必ずしも達成せずに、ここに教示した一つの利点又は一群の利点を達成又は最適化するように具体化又は実施される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る足首動作制御式足ユニットを有する下肢補装具の透視図である。
【図2】補装具の内部構成要素を示すためにカバーを取り外した、図1の下肢補装具の透視図である。
【図3】図2の下肢補装具の側面図である。
【図4】図2の下肢補装具の背面図である。
【図5】カバーを部分的に取り外した図1の下肢補装具の側面図であり、足首動作制御式足が上り勾配に適応するように調節されている図である。
【図6】図5の下肢補装具の側面図であり、足首動作制御式足が下り勾配に適応するように調節されている図である。
【図7】補装具足ユニットの実施例における足首の旋回中心点と人間の足の本来の足関節との相互関係を示す概略図である。
【図8】補装具システム又は矯正具システムの実施例における平坦面での一歩幅間における足首の動作範囲を示すグラフである。
【図9】足首動作制御式足を有する補装具システム又は矯正具システムにおける制御システム構成の実施例としてのブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る補装具システム又は矯正具システムの足首角度の調節に使用可能な制御信号を示す表である。
【図11】補装具システム又は矯正具システムの制御と、対応する健常な肢の動きとの関係に関する実施例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここに記載する本発明のいくつかの好ましい実施形態は、通常、補装具システム又は矯正具システム、特に足首動作制御式足を有する補装具又は矯正具に関する。ここでの記述は、種々の実施形態に特有の詳細を説明するが、その記述は一例にすぎず、本発明を限定するものと解釈すべきではないことが分かるであろう。更に、本発明の種々の応用と、当技術の熟知者に起こるその修正もまたここに記述の一般的概念に含まれる。
【0019】
次に、このシステム及び方法の特徴を上に要約した図面を参考にして記述する。この全図面を通して、参照番号は、参照要素間の対応関係を示すために再使用される。この図面、関連する説明及び特定の手段は、本発明の実施形態を示すために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
ここで用いられる“補装具の(prosthetic)”及び“補装具(prosthesis)”という用語は、広義の用語であり、その通常の意味で用いられ、限定することなしに、身体部位の人工的代替物又は支持具として使用可能なあらゆるシステム、器具又は装置を意味する。
【0021】
ここで用いられる“矯正具の(orthotic)”及び“矯正具(orthosis)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、関節及び/又は肢のような身体部分の支持、整列、防御、保護、矯正、身体部分の固定、又は、身体部分の機能の改善に使用可能なあらゆるシステム、器具又は装置を意味する。
【0022】
ここで用いられる“足首装置(ankle device)”という用語は、広義の用語であり、その通常の意味で用いられ、あらゆる補装具、矯正具又は足首補助具に関するものである。
【0023】
ここで用いられる“下腿の(transtibial)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、人工膝関節を含む身体の膝関節と同じ位置又はそれより下に位置するあらゆる平面、方向、位置又は断面に関するものである。
【0024】
ここで用いられる“大腿の(transfemoral)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、人工膝関節を含む身体の膝関節と同じ位置又はそれより上に位置するあらゆる平面、方向、位置又は断面に関するものである。
【0025】
ここで用いられる“矢状の(sagittal)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、身体の正中面(即ち、身体を左右半分に縦方向に分割する面)、又はこの面に平行かほぼ平行ないずれかの平面に関連するか、位置するか、又はその面内か近傍にある記述、位置又は方向に関するものである。また、“矢状面(sagittal plane)”は、正中面に平行又はほぼ平行に身体を通り、且つ身体を均等又は非均等に左右部分に分割するあらゆる垂直な前後方向の平面を意味する。
【0026】
ここで用いられる“冠状の(coronal)”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、身体の長軸を通る面に関連するか、位置するか、面内又は近傍にあるあらゆる記述、位置又は方向に関するものである。また、“冠状面(coronal plane)”は、身体を垂直又はほぼ垂直に通り、且つ正中面に直角又はほぼ直角で身体を前部と後部とに分割するあらゆる面を意味する。
【0027】
図1に、取付部材を有する足首動作制御式足をもつ下肢補装具100の一実施形態を示す。この補装具100は、足ユニット104に作動可能に連結された取付部材を下肢部材102の形態で備えている。ここで用いた“取付部材”という用語は、広義の用語であり、通常の意味で用いられ、限定することなしに、足ユニット104に直接又は間接的に取り付けられ、且つ、例えば旋回運動により足ユニット104に関して可動であり、補装具100を基部又は中間の補装具と取り付けるのに用いられるあらゆる部材に関するものである。図示するように、この取付部材は、足首補装具の実施形態において下肢部材の形態をとる。他の実施形態、例えば矯正具の実施形態では、その取付部材は、支柱のようなもので身体部分に取り付けられ且つ身体部分を支持するように使用されてもよく、また、足ユニットのような第二部材に可動となるように連結され、また、足のような身体部分に取り付けられ且つ身体部分を支持するようになっている。一実施形態では、下肢部材102は、ほぼ脛骨方向、即ち本来の脛骨の軸に沿って通常延びる方向に延びている主縦軸を有する略細長い部材である。例えば、図1に、通常垂直方向にあるような下肢部材102を示す。
【0028】
別の実施形態では、下肢部材102は複数部分からなる。例えば下肢部材102は、脛骨方向にほぼ並行に延びて互いに連結された二つの細長い部分からなる。別の実施形態では、下肢部材102は、実質的に二つの対称部分を有して部分的に密閉した筺体を形成する二側面を有する室からなる。別の実施形態では、下肢部材102は、管状の構造のような中空部材からなる。他の実施形態では、下肢部材102は、細長い平面部か円形部からなる。また別の実施形態では、下肢部材102の構造は細長くない。例えば、下肢部材102は通常、円形、円筒状、半円形、ドーム型、卵形或いは長方形の構造である。下肢部材として可能な例の一つは、足首モジュール、及び2003年12月18日出願の“ロッカー部材を有する義足”(PROSTHETIC FOOT WITH ROCKER MEMBER)と題する米国特許出願第10/742,455号に記載の構造であり、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0029】
一実施形態では下肢部材102は通常アルミニウムのような機械金属か炭素繊維材から形成される。本発明の他実施形態では下肢部材102は補装具に適した他材料からなる。一実施形態では下肢部材102の高さは好都合には約12乃至15cmの間である。本発明の他実施形態では下肢部材102は使用者の大きさ及び/又は補装具100使用意図によるがその高さが12cm以下でも良く15cm以上である。例えば下肢部材102は約20cmの高さである。
一実施形態では、補装具100は、この補装具100が静止する位置の場合、下肢部材102の主縦軸が実質的に足ユニット104の底面に対し略直角となるように構成されている。別の実施形態では、下肢部材102は、足ユニット104が地面に静止している場合、平坦な地面に対し略直角である。このような構成により、使用者に対しての支持及び/又は安定性を好適に増強する。
【0030】
図1に示したように、下肢部材102は、カバー106をさらに備える。このカバー106は、下肢部材102の内部構成要素を内蔵及び/又は保護している。別の実施形態では、カバー106は、丸みを帯びまたは人間の自然な足の形状であってもよい。
【0031】
下肢部材102は、この下肢部材102との連結を助ける取付部108を更に備える。例えば図1に示したように、下肢部材102の取付部108は、補装具100を支柱110と連結する。本発明の他の実施形態では、取付部108は、補装具100を肢切断者の基部又は別の補装具と連結するように配置される。また、図1には、補装具100に動力を供給し且つ/又は制御信号を通信するのに使用できる制御線112を示す。
【0032】
足ユニット104は、種々の形態の義足又は足矯正具を備えていてもよい。図1に示すように、足ユニット104には、2003年8月15日出願の本出願者の“薄型義足”(LOW PROFILE PROSTHETIC FOOT)と題する同時係属の米国特許出願第10/642,125号に記載の構成が取り入れられ、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。例えば、その足ユニット104としては、オサール社(Ossur)から市販の標準型エルピー バリ−フレックス(商標)(LP VARI-FLEX)ユニットを備えていてもよい。
【0033】
一実施形態では、足ユニット104は、この足ユニット104にかかる体重や衝撃水準に応じて機能するように構成される。更に、この足ユニット104は、踵に適度の負荷を与え及び/又は消費エネルギーを回復するための衝撃吸収材を備えていてもよい。足ユニット104は、足の全長を有する柔軟性を増強されたレバーを備えていてもよく、これによって健常な肢の歩幅長をまねた肢補装具の歩幅長を提供するようになる。更に、図1に示すように、足ユニット104は、平坦でない地形での動きを助ける分割型つま先を備えていてもよい。また、足ユニット104は、整容品や例えばオサール社(Oessur)から市販の標準型フレックス−フット(Flex-Foot)カバーのような足カバーが有していてもよい。
【0034】
図2に、カバー106を取り外した補装具100を示す。図示されているように、下肢部材102の下端部は、旋回軸アセンブリ114で足ユニット104と連結される。図示されているように、下肢部材102は、足ユニット104のつま先部から略後方で且つ上向きに延びる足ユニット104の足首板と連結されている。旋回軸アセンブリ114は、下肢部材102に関する足ユニット104の角運動を可能にする。例えば一実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、好適に、少なくとも一つの旋回軸ピンを備える。他の実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、ヒンジ、複数軸構成、多中心構成、これらの組み合わせ等を備えている。好ましくは、旋回軸アセンブリ114は、足ユニット104の本来の足首位置の近傍にある足ユニット104の部分に配置されている。本発明の他の実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、足ユニット104にボルトで留められるか、さもなければ取り外し可能なように連結される。
【0035】
更に、図2に、アクチュエータ116を有する補装具100を示す。一実施形態では、アクチュエータ116は、肢切断者の歩行運動に同期した角度変位を行うに十分なエネルギーを補装具100に好適に提供する。例えば、アクチュエータ116により、足ユニット104が人間の本来の足と同様の動きをするようになる。一実施形態では、アクチュエータ116の下端は、足ユニット104と第一取付点118で連結される。図示するように、足の取付点118は、好適には、足ユニット104の上面後部に位置する。アクチュエータ116の上端は、下肢部材102と第二取付点120で連結される。
【0036】
一実施形態では、アクチュエータ116の直線運動(或いは伸張と収縮)により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を制御するか積極的に調節する。図2に、モータにより足ユニット104の後部を下肢部材102に関して押したり引いたりするダブルスクリューモータを備えるアクチュエータ116を示す。他の実施形態では、このアクチュエータ116は、積極的な角度調節や多数部材間での動作を提供できる他の機構を備える。例えば、このアクチュエータ116は、シングルスクリューモータ、ピストンシリンダ型構造、サーボモータ、ステッピングモータ、ロータリーモータ、バネ、流体アクチュエータ等を備えていてもよい。更に、他の実施形態では、アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度で一方向だけを積極的に調節する。この実施形態では、使用者の体重を用いてアクチュエータ116の動きによる角度及び/又はその動きを制御する。
【0037】
図2は、後方に配置されたアクチュエータ116を示しており、アクチュエータ116が下肢部材102の背後に位置している。他の実施形態では、アクチュエータ116を下肢部材102の前面に配置した前部配置のアクチュエータ116を用いてもよい。本発明の別の実施形態では、アクチュエータ116は、自動調節式の足首構造を備えており、米国特許第5,957,981号に記載のような構成が組み込まれ、その文献全体をここに取り入れ、本明細書の一部とする。特定の配置又は構造を、人間の足首関節の自然な動き及び位置を最も良く模倣し、且つ補装具100を外部整容部に挿入し易いように選択してもよい。
【0038】
更に、アクチュエータ116は、好適には、使用者及び/又は他人が認知できる断続的な騒音のような大きな騒音を出さないように作動するように構成される。また、補装具100があるレベルを超すトルクを矢状面のようなもので受けた場合に、そのアクチュエータ116が作動しないか調節できるように構成されてもよい。例えば、そのトルクレベルが4ニュートンメーター(Nm)を超えた場合には、アクチュエータ116は作動停止するか警報を出すようにしてもよい。
【0039】
また、アクチュエータ116は、図1に示したように、このアクチュエータ116の一部が見えなく且つ/又は周囲に露出しないようにカバー106内に略密閉されてもよい。別の実施形態では、このアクチュエータが下肢部材102で少なくとも部分的に密閉されてもよい。
【0040】
更に、図2に、アクチュエータ116及び/又は足ユニット104の作動制御に使用可能な制御回路122を示す。一実施形態では、この制御回路122は、少なくとも一つのプリント基板(PCB)を備える。このPCBは、更に超小型演算装置を備えていてもよい。補装具100の動きの信号処理の実施及び/又は制御をするように、ソフトウェアをこのPCB上に備えてもよい。
【0041】
一実施形態では、補装具100は、制御回路122及び/又はアクチュエータ116に動力を供給するバッテリ(図示せず)を備える。一実施形態では、この電池は、好ましくは駆動時間が少なくとも12から16時間の充電式リチウムイオンバッテリを備える。他の実施形態では、バッテリの駆動時間が12時間以下か16時間以上であってもよい。本発明の他の実施形態では、このバッテリは、リチウムポリマーバッテリ、燃料電池技術、或いは、補装具100へ動力を提供するのに使用できる他のタイプのバッテリ又は技術を含む。更なる他の実施形態では、この電池を下肢部材102の背面や補装具100の他の部分に取り外し可能なように取り付けたり、補装具100から遠くに位置させたりする。他の実施形態では、バッテリを充電するために、この補装具100を壁にあるアダプターや自動車にあるアダプターなどの外部動力源と連結してもよい。
【0042】
一実施形態では、足ユニット104が平坦な地面に静止し、且つバッテリが動力を切らした状態又は動力が小さい状態にある場合、補装具100は、下肢部材102が平坦な地面に関して略垂直に配置されて中立位置に固定されるように構成される。このように固定することにより、使用者とっての動作の安全性、信頼性及び/又は安定性を提供する。また、この補装具100は、使用者にバッテリ状態(即ち充電)に関して警報を出すバッテリ状態画面を提供してもよい。別の実施形態では、この補装具100の動作制御機能を使用者が止めるか不能にした場合、補装具100は略中立位置に固定される。
【0043】
上述したように、補装具100により自然な外観や形状を与えるために、整容用材料や他の化粧材を補装具100と一緒に用いてもよい。更に、この整容材、化粧材又は他の充填材料を用いて、ゴミや水のような汚染物が補装具100の構成要素に接触することを防いでもよい。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る補装具100の側面図である。図3に示すように、アクチュエータ116は、主筺体124、下方伸張可能部126及び上方伸張可能部128をさらに備える。下方伸張可能部126は、アクチュエータ116の主筺体124を第一取付点118で足ユニット104と連結される。上方伸張可能部128はアクチュエータ116の主筺体124を第二取付点120で足ユニット104と連結される。この補装具100の作動中及び積極的な調節を行っている間に、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128がアクチュエータ116の主筺体124内から出入りして、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を調節するようになっている。
【0045】
例えば、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を増加させるには、アクチュエータ116によって下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128を収縮させるか主筺体124内に後退させる。例えば、伸張可能部126及び128の少なくとも一つが一方向(例えば時計回り方向)に回転して伸張可能部をアクチュエータの主筺体124に後退させるようにねじ切り面を有するようにしてもよい。他の実施形態では、伸張可能部126及び128の少なくとも一つが、伸縮自在である多数の部品を備え、これによって収縮時には、伸張可能部の多数の部品の一つが、主筺体124内に後退することなしに、別の多数の部品内に収縮するようになっている。同様に、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を減ずるには、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128を主筺体124から伸ばすようにする。
【0046】
アクチュエータ116を前面に配置した本発明の実施形態では、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128の伸張により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を増加させる。同様に、下方伸張可能部126及び/又は上方伸張可能部128の収縮により、足ユニット104と下肢部材102との間の角度を減少させる。
【0047】
図4は、図1から図3に示した補装具100の背面図である。本発明の他の実施形態では、カバー106がこの補装具100の後部周りに延びて、アクチュエータ116の部分が周囲から見えないように且つ/又は周囲に露出しないようにアクチュエータ116の一部を収容するようになっている。
【0048】
図5及び図6に、上り勾配又は下り勾配に対して調節されている補装具100の一実施形態を示す。図5に関しては、この補装具100が上り勾配に調節されているものを示す。本実施形態では、アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度θを減少(又は“背屈”)させるように伸びる。背屈に関して、一実施形態では、この補装具100の動作角度範囲は、中立位置から0から10度である。また、他の実施形態では、揺動中に背屈を大きくするのを助長してもよい。
【0049】
図6に、補装具100が下り勾配に対して調節された場合を示す。アクチュエータ116は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度θを増加(又は“足底屈”)させるように伸びる。足底屈に関して、一実施形態では、この補装具100の動作角度範囲は、中立位置から0から20度である。このような足底屈により、自然な足首動作を模倣し且つ肢切断者や使用者により高い安定性を与える。一実施形態では、背屈及び足底屈の双方を含む補装具100の足首の旋回軸周りでの全動作範囲は、約30度かそれ以上である。
【0050】
上り勾配及び下り勾配での作動に加え、補装具100の動作制御式足は、様々な地形に好適に対応し、階段を上ったり下ったりしている間に作動し、また、平坦な地面での歩行を助ける。更に、この補装具100は、踵の高さの自動調節を提供してもよい。一実施形態では、踵の高さは、通常足ユニット104が地面に接地しているときに、下肢部材102の足首部から地面までとして測定することができる。例えば、使用者は、補装具100自体が適切な踵の高さに自動調節するように、一つ以上のボタンを押すなどして種々の踵の高さに調節する。一実施形態では、この補装具100は、複数の所定の踵の高さを含む。更に、他の実施形態では、補装具100は、使用者の入力の必要なしに踵の高さを自動調節するようにしてもよい。
【0051】
更に、図5及び図6に、取付部108の一実施形態を示す。取付部108により、肢切断者の本来の肢と補装具100とが位置調整され、圧力ピーク及び剪断力を減少させるように構成されている。例えば、取付部108を別の補装具、肢切断者の基部或いは別の構成要素に取り付けるように構成されていもよい。一実施形態では、取付部108は、ソケット接合具を備える。このソケット接合具は、32ミリねじ山要素、オスピラミッド型連結器又は他の構成要素を受けるように構成されていてもよい。他の実施形態では、また、取付部108は、メスピラミッド型アダプターを備えていてもよく、又は、それを受け入れるように構成されていてもよい。
【0052】
図5及び図6に示すように、旋回軸アセンブリ114は、人間の正常な足首軸をまねるように配置される。さらに、図7には、義足ユニット204における足首の旋回軸位置と人間の足の本来の足関節との相互関係を示す概略図を示す。特に、この義足ユニット204は、人の足242の足関節240に対応する旋回軸アセンブリ214を備えている。例えば、本発明の一実施形態では、旋回軸アセンブリ114は、補装具100の機械足首の旋回軸中心近くに配置される。
【0053】
図8に、平坦面上での一歩幅間における補装具100の実施形態の足首の動作可能範囲を表すグラフを示す。図示のように、グラフにおけるX軸は、使用者の一歩幅間での種々な点を表す(即ち、0から100%)。Y軸は、補装具100の足首の角度(θ)を表す。一歩幅間に足首の角度(θ)は、約20度の足底屈(即ち、中立位置プラス20度)から約10度の背屈(即ち、中立位置マイナス20度)まで変化する。
【0054】
上記の実施形態では、動作角度範囲を調節する場合、緩衝機能は備わっていない。本発明の別の実施形態では、補装具100は、下肢部材102と足ユニット104との間の角度変化に対する緩衝機能を与えたり、受動的で柔軟な抵抗手段を与えるように構成される。この緩衝機能を制御するシステムの一例は、米国特許第6,443,993号に開示され、参照してここに取り入れ、この明細書の一部とする。
【0055】
例えば、使用者が立った姿勢の場合、アクチュエータ116により使用者に安定性を与えるように抵抗を増加させる、又は緩衝を行うようにしてもよい。本発明の一実施形態では、補装具100の緩衝機能は、液圧式ダンパにより提供されてもよい。本発明の他の実施形態では、この分野で既知の他の構成要素や器具を用いて補装具100の緩衝機能を与えてもよい。更に、本発明の他の実施形態では、ダンパは、以下に詳述する電子制御システムによるように動的に制御されてもよい。更なる他の実施形態では、ダンパは、機械的構造及び/又は流体式構造により制御されてもよい。
【0056】
上記の記述は、通常、補装具システムや補装具を対象としているが、この記述は、矯正具システムや矯正具にも適応できる。例えば、本発明の一実施形態では、矯正具システムは、損傷した足首又は衰弱した足首と一緒に用いる矯正具の角度を積極的に制御する少なくとも一つのアクチュエータを含んでもよい。更に、矯正具システムの電子制御に加え、この矯正具システムは、使用者による制御や損傷した足首や損傷した脚の自然な動きを提供してもよい。
【0057】
更に、上記システムは、下腿又は膝下以外の補装具システム又は矯正具システムに使用してもよい。例えば、本発明の一実施形態では、補装具システム又は矯正具システムは、“磁気レオロジ的作動の人工膝(MAGNETORHEOLOGICALLY ACTUATED PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月7日出願の米国仮特許出願第60/569,512号、及び“磁気レオロジ的作動の人工膝(MAGNETORHEOLOGICALLY ACTUATED PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年11月3日出願の米国仮特許出願第60/624、986号に開示されているように、大腿システム又は膝上システムに使用され、それぞれの文献全体を参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。例えば、補装具システムや矯正具システムとして、足首補装具や足首矯正具及び/又は膝補装具や膝矯正具を含んでもよい。
【0058】
図9に、足首動作制御式足のための制御システム300のシステム構成の一実施形態としてのブロック図を示す。本発明の一実施形態では、制御システム300は、図1から図6に示した下肢補装具100に使用できる。本発明の他の実施形態では、制御システム300は、足首動作制御式足や他の動作制御式肢を有する矯正具システム又はリハビリシステムで使用できる。一実施形態では、制御システム300は、分散処理システムを基本としており、補装具システム又は矯正具システムによって行われる検出、データ処理又は作動のような異なる機能が、互いに通信する複数の超小型演算装置によって実行又は制御されるようになっている。図9に関しては、制御システム300として、センサモジュール302、足首器具304(例えば図1に示した補装具100のようなもの)、中央演算処理装置(“CPU”)305、記憶装置306、インターフェースモジュール308、駆動制御モジュール308、アクチュエータ316及び動力モジュール318を含む。
【0059】
一実施形態では、図9に示した制御システム300は、センサモジュール302から受信したデータをCPU305で処理する。CPU305は、駆動制御モジュール310と通信して足首器具304が自然な足首動作をまねるようにアクチュエータ316の動作を制御する。更に、制御システム300は、使用者の動きに適合するために、如何に足首器具304を調節する必要があるかを予測することができる。また、CPU305は、インターフェースモジュール308を通して使用者及び/又は他の器具から指令を受けることができる。動力モジュール318は、制御システム300の他の構成要素に動力を提供する。これらの各構成要素は、以下により詳細に記載する。
【0060】
一実施形態では、センサモジュール302を用いて一歩行周期での足首器具304の位置及び/又は動きのような足首器具304に関する変数を測定する。このような実施形態では、センサモジュール320は、好適には、足首器具304に配置される。例えば、センサモジュール302は、図2に示したように、補装具100の旋回軸アセンブリ114のように足首器具304の機械足首の旋回軸中心の近くに配置されてもよい。別の実施形態では、センサモジュール302は、足首器具304に取り付けるか関連づけられた使用者の本来の肢に配置されてもよい。このような実施形態では、センサを用いて足首器具を調節するために使用者の足首器具側の自然な肢の動きに関連する情報を得る。
【0061】
一実施形態では、センサモジュール302は、好適には、プリント基板筺体、足首器具304の異なる軸での加速度を夫々測定する加速度計のような多くのセンサを含む。例えば、センサモジュール302は、足首器具304の3本の略互いに直角な軸での加速度を測定する三個の加速度計を備えてもよい。センサモジュール302に適した形態のセンサは、例えば、ダイナストリームイノベーション社(Dynastream Innovations, Inc.)(カナダ、アルバータ州)から入手できる。
【0062】
他の実施形態では、センサモジュール302は、加速度計と組み合わた一つ以上の他の種類のセンサ、又は加速度計の代わりの一つ以上の他の種類のセンサを含んでもよい。例えば、センサモジュール302は、身体部分及び/又は足首器具304の角速度を測定するように配置されたジャイロスコープを含んでもよい。他の実施形態では、センサモジュール302は、例えば、特定の足下領域での足底圧を測定するように配置された足底圧センサを含む。更に他の実施形態では、センサモジュール302は、使用者の本来の肢からデータを得るように構成された運動センサ、単軸ジャイロスコープ、単軸又は多軸加速度計、荷重センサ、屈曲センサ、又は筋電気センサのうちの一つ以上のものを含んでもよい。また、米国特許第5,955,667号、米国特許第6,301、964号及び米国特許第6,513,381号には、本発明の実施形態と一緒に使用されるセンサの例が示され、これら特許の全体を参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0063】
更に、センサモジュール302は、例えば、地面に対する足首器具304の位置、足首器具304の傾斜角、足首器具304の位置に対する重力方向、足首器具304が地面と接触するか(例えば“かかとの当たり”)、歩幅の中間位置にあるか、地面を離れるとき(例えば“つま先のはなれ”)のような使用者の歩幅に関する情報、最大揺動時の補装具100の地面からの距離(即ち揺動中の最大高さ)、最大揺動時のタイミング等のうちの一つ以上に関連した情報を得るのに用いられてもよい。
【0064】
更に他の実施形態では、センサモジュール302は、歩行パターン及び/又は歩行状態を検出するように配置される。例えば、センサモジュール302は、使用者が立ち姿勢/停止姿勢にあるか、平坦な地面を歩いているか、階段や傾斜面を上る及び/又は下る等を決める。他の実施形態では、センサモジュール302は、使用者が座った姿勢である場合を検出するために、足首器具304の踵の高さを検出又は測定する、及び/又は静止時の脛骨角度を決定するように構成される。
【0065】
図9に示したように、本発明の他の実施形態では、センサモジュール302は、地面の特徴、地面の角度、気温及び風による抵抗のうちの一つ以上を含む環境又は地形の変量を測定するようにさらに構成される。一実施形態では、測定された温度を用いて他のセンサのゲイン及び/又はバイアスを較正してもよい。
【0066】
他の実施形態では、センサモジュール302は、健常な脚のような使用者の自然な肢の動き及び/又は位置に関する情報を取得する。このような実施形態では、上り勾配又は下り勾配で作動しているとき、使用者の第一歩は健常な肢を使うのが好ましい。これにより、足首器具304を調節する前に健常な肢の自然な動きの測定が可能になる。本発明の一実施形態では、制御システム300は、使用者の歩行を検出し、足首器具304が第一歩の揺動状態にあるときに足首器具304を調節する。本発明の他の実施形態では、制御システム300が使用者の歩行を正確に決定し、足首器具304を適切に調節可能となるまでに一歩又は二歩分の待ち時間を必要としてもよい。
【0067】
本発明の一実施形態では、センサモジュール302は、100ヘルツ(Hz)の初期設定サンプリングレートを有する。他の実施形態では、サンプリングレートは、100Hzより高くても低くてもよく、また、使用者が調節してもよく、或いはソフトウエアやパラメータの設定により自動的に調節してもよい。更に、センサモジュール302により、検出したデータの種別間で同期性をもたせるか、時刻刻印してもよい。センサは、約0.5度の角度分解能を有し、足首器具304の微調整が可能なように構成されてもよい。
【0068】
一実施形態では、センサモジュール302は、例えば、使用者が座った姿勢かリクライニング姿勢でくつろいだ場合のように検出が不要な場合、“不活動”状態に入って電源を切るように構成される。このような実施形態では、センサモジュール302が動くか使用者が入力すると、センサモジュール302は活動停止状態から起動する。一実施形態では、センサモジュール302は、“活動”状態では約30ミリアンペア(mA)を、“不活動”状態では約0.1mAを消費する。
【0069】
図9に、CPU305と通信するセンサモジュール302を示す。一実施形態では、センサモジュール302は、好適には、CPU305及び/又は制御システム300の他の構成要素に測定データを提供する。一実施形態では、センサモジュール302は、この測定結果をCPU305に送信する、例えばブルートゥース(Bluetooth)(商標)送信機のような送信機と接続される。他の実施形態では、赤外線技術、ワイファイ(WiFi)(商標)技術や無線周波数(RF)技術のような他形式の送信機や無線技術を使用することができる。他の実施形態では、CPU305と通信するのに有線技術を用いることができる。
【0070】
一実施形態では、センサモジュール302は、様々な種類の情報を含むデータ列をCPU305に送る。例えばこのデータ列は、160ビットからなり、
[TS;AccX;AccY;AccZ;GyroX,GyroY、GyroZ、DegX、DegY,FS,M]の情報を含む。
ここで、TSは、時刻刻印; AccXは、X軸方向の足の直線加速度; AccYは、Y軸方向の足の直線加速度 ;AccXは、Z軸方向の足の直線加速度; GyroXは、X軸方向の足の角加速度;GyroYは、Y軸方向の足の角加速度; GyroZは、Z軸方向の足の角加速度; DegXは、冠状面内での足の傾斜角度; DegYは、矢状面内での足の傾斜角度; FSは、足首器具304のスイッチの論理状態; Mは、センサの方向である。本発明の他の実施形態では、さらに多いか少ない情報を含む他の長さのデータ列を用いてもよい。
【0071】
CPU305は、好ましくは、制御システム300の他の構成要素から受信したデータを処理する。本発明の一実施形態では、CPU305は、センサモジュール302から受信した情報のような使用者の歩行に関する情報を処理し、歩行運動の種類(即ち、歩行パターン)を決定し、且つ/又は駆動制御モジュール310に指令を送信する。例えば、センサモジュール302が得たデータを用いて、使用者の歩行や動きに関する情報を表す波形を発生させてもよい。この波形に続く変化をCPU305が特定し、使用者の今後の動きを予測し、それにより足首器具304を調節する。本発明の一実施形態では、CPU305は、歩行パターンが一分間に20歩ぐらいの遅さから一分間に125歩の速さまでを検出することができる。本発明の他の実施形態では、CPU305は、一分間に20歩より遅いか、一分間に125歩より速い歩行パターンを検出できる。
【0072】
本発明の一実施形態では、CPU305は、以下の表(表1)による状態遷移に関するデータを処理する。特に表1は、制御システム300で制御される、起こりうる状態遷移を示す。表1の第一列には、足首器具304の起こりうる初期状態を挙げ、第一行には、足首器具304の起こりうる第二状態を挙げている。表1によって、第一状態から第二状態への遷移の間にアクチュエータ316及び足首器具304の制御や積極的な調節にCPU305が用いるデータソースを決定する。ここで、“N”は、状態が遷移するために追加データが不必要であることを指し、“L”は、状態が遷移する間にCPU305が足首器具304の調節決定に遷移論理を使用することを示し、“I”は、CPUがインターフェース(例えばインターフェースモジュール308、外部使用者インターフェース、電子インターフェース等)からデータを受信することを示す。本発明の実施形態に使用できる遷移論理は、関連技術の通常の技術者により開発される。この発明の実施形態に類似のシステム及び方法に用いた遷移論理の例としては、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTEM AND METHOD FOR A PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月19日出願の米国仮特許出願第60/572,996号に開示され、参照してここに取り入れ、本明細書の一部とする。
【0073】
【表1】
一実施形態では、表1の上記状態は、足首器具304の規定の状態である。例えば、“オフ(OFF)”状態は、足首器具304及びアクチュエータ316の機能が停止状態又は一時停止状態にあることを示す。“踵高さ計測(HEEL_HEIGHT_CAL)”状態は、例えば足首器具304が動いていないときのように静止センサ角度からの踵の高さの計測に関する。“センサ較正(SENSOR-CAL)”状態は、使用者が平坦面を歩くときの表面角度の較正に関する。“中立(NEUTRAL)”状態は、足首器具304が略固定位置に固定されたときに関する。“歩行(WALK)”状態は、使用者が平坦面又は傾斜面上を歩いているときに関する。“上り階段(STAIRS_UP)”及び“下り階段(STAIRS_DOWN)”状態は、使用者がそれぞれ階段を歩いて上る及び下りるときに関する。“リラックス(RELAX)”状態は、使用者がくつろいだ姿勢にあるときに関する。例えば、一実施形態では、“リラックス”状態は、使用者が足首器具304を有する肢を他の肢上に組んだ状態で座った姿勢の場合に関する。この実施形態では、制御システム300は、例えば、健常な足の本来の位置及び/又は外観をまねるように足首器具304を最大足底屈の位置に移動させる。“パンツ(PANTS)”状態は、使用者がパンツ、ズボン、ショーツ等を着た場合に関する。このような状態において、一実施形態における制御システム300では、この衣類を足首器具304上にかぶせるのを助けるように足首器具304を最大足底屈の位置に移動させる。
【0074】
本発明の他の実施形態では、他の状態を表1に特定した状態の代わりにして、又は組み合わせて足首器具304と一緒に使用できる。例えば、横たわるか、自転車に乗るか、はしごに登るか等に相当する状態を定義してもよい。更に、状態の遷移を制御する場合、CPU305及び/又は制御システム300は、表1に記載のもの以外のソースからデータを処理又は得てもよい。
【0075】
他実施形態では、CPU305は、種々の他の機能を実行してもよい。例えば、CPU305は、使用者のつまずきを検知するようにセンサモジュール302から受信した情報を使用してもよい。CPU305は、制御システム300の構成要素間でのやり取りを管理する機能を有してもよい。例えば、CPU305は、制御システム300の複数の構成要素間での通信バス用の主装置として機能してもよい。一実施形態で示すように、CPU305は、動力モジュール318とやり取りする。例えば、CPU305は、制御システム300の他の構成要素に動力を分配及び/又は変換し、バッテリの動力又はバッテリ寿命を監視するようにしてもよい。更に、CPU305は、使用者が座った姿勢や立ち姿勢の場合、制御システム300への動力を一時停止したり減じたりするように機能してもよい。このような制御により、使用頻度が少ない期間のエネルギーの節約が可能になる。また、CPU305は、構成要素間の通信が失敗した場合や、未認識信号や波形をセンサモジュール302から受信した場合、或いは駆動制御モジュール310や足首器具304からのフィードバックにより誤動作を生じるか故障を示すような場合には、エラー処理を行うようにしてもよい。
【0076】
本発明の更なる他の実施形態では、CPU305は、センサモジュール302の情報を分析し且つ/又は駆動制御モジュール310に指令を送信する場合に、安全率を使用するか計算する。例えば、安全率は、広範囲の値を含み、より高い値は使用者の決定した歩行運動状態の確実性がより高いことを示し、低い安全率は使用者の歩行運動状態の確実性がより低いことを示す。本発明の一実施形態では、使用者の歩行運動状態が既定の閾値以上の安全率で認識されなければ、足首器具304を調節しないようになっている。
【0077】
一実施形態では、CPU305は、ハードウエアやファームウエアで具体化された論理からなるか、例えばC++のようなプログラミング言語で書いたソフトウエア命令の集合からなるモジュールを含む。ソフトウエアモジュールを実行可能なプログラムにコンパイル又は関連付け、動的リンクライブラリにインストールするか、又はベーシック(BASIC)のような翻訳言語で記載するようにしてもよい。ソフトウエアモジュールを他のモジュールかそれ自身から呼ぶこともでき、且つ/又は検出対象や割り込みに対応して呼び出すことが分かるだろう。EPROMやEEPROMのようなソフトウエア命令をファームウエアに組み込む。ハードウエアモジュールは、ゲートやフリップフロップのような連結論理ユニットから構成され、且つ/又はプログラマブルゲートアレイや演算処理装置のようなプログラム可能ユニットから構成されることが更に分かるだろう。
【0078】
図9に、命令及び/又はデータ保存用の記憶装置306をさらに含むCPU305を示す。例えば記憶装置306は、以下の種類のデータ又は命令を一つ以上保存する。即ち、このデータ又は命令は、制御システム300の他の構成要素用のエラーログ、歩行パターン又は歩行曲線に関する情報、使用者の過去の行動に関する情報(例えば歩数)、制御パラメータ及び設定値、ソフトウエアデバッキング又はソフトウエア更新に関する情報、補装具システム又は矯正具システムの基本動作に関するプログラムされたアルゴリズム、センサモジュール302又は他の構成要素に関する較正値及びパラメータ、外部装置からダウンロードした命令、これらの組み合わせである。
【0079】
記憶装置306は、あらゆるバッファ、コンピュータ装置、或いは、別のコンピューター装置又はコンピュータ処理装置によって呼び出されるコンピュータ命令及び/又はデータを保存できるシステムを含んでもよい。一実施形態では、記憶装置306は、CPU305の一部であるキャッシュメモリである。本発明の他の実施形態では、記憶装置306は、CPU305から分離されている。本発明の他の実施形態では、記憶装置306は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は例えば読み出し専用メモリー(ROM)、プログラム可能ロム(PROM)や電気的消去可能ロム(EEPROM)のような他の集積及び呼び出し可能な記憶装置を含む。他の実施形態では、記憶装置306は、メモリカード、リムーバブルドライブ等のような脱着可能な記憶装置を含む。
【0080】
また、一実施形態では、CPU305は、使用者又は外部機器からの特定の使用又は動作命令をインターフェースモジュール308により受けるように構成されてもよい。また、CPU305は、既存の命令に対する更新を受信してもよい。更に、CPU305は、動作命令をダウンロードしたり受信したりするために、パソコン、携帯情報端末等と通信することができる。特定の動作命令としては、例えば、自転車にのること、車の運転、はしごの上り下り、雪又は砂に対する歩行対応等に関連したデータが挙げられる。
【0081】
一実施形態では、インターフェースモジュール308は、補装具システムや矯正具システムの一部や機能を制御又は管理するように使用者が使用するインターフェースを含む。一実施形態では、インターフェースモジュール308は、使用者からの情報を受信し且つ/又は使用者に情報を伝達するのに使用できる複数のボタン及び/又は複数の発光ダイオード(LED)を有する柔軟なキーパッドである。例えば、LEDは、バッテリの状態を示したり、使用者に確認信号を伝達したりできる。インターフェースモジュール308は、好適には、足首器具304に配置される。更に、インターフェースモジュール308は、パソコンのような外部コンピュータ装置との通信に使用できるUSBコネクターを含んでもよい。
【0082】
更なる実施形態では、インターフェースモジュール308は、オン/オフスイッチを含む。別の実施形態では、インターフェースモジュール308は、使用者の制御された踵の高さ、或いは補装具システム又は矯正具システムの強制的なリラックス状態に関する入力を受信する。他の実施形態では、使用者によって補装具の所望の応答形式に調整する、或いは足首器具304の特定の機能を実施可能か不能にするようにしてもよい。使用者による入力は、ボタンを操作するようなインターフェースモジュール308を通して直接入力するか、使用者による入力を遠隔制御により受信するようにしてもよい。
【0083】
インターフェースモジュール308は、タッチスクリーン、ボタン、スイッチ、バイブレータ、警報装置、又は使用者が制御システム300に命令を送るか、制御システム300から情報を受信できる他の入出力送受信構造物又は装置を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、インターフェースモジュール308は、家や車におけるような制御システム300に動力を供給するバッテリを充電するためのプラグのような追加の構造を含む。また、本発明の他の実施形態では、インターフェースモジュール308は、CPU305以外の制御システム300の構成要素と直接又は間接的に通信するようにしてもよい。
【0084】
駆動制御モジュール310は、CPU305から受信した高レベルプラン又は命令を、低レベル制御信号に変換してアクチュエータ316に送るために使用される。一実施形態では、駆動制御モジュール310は、アクチュエータ316の管理に関連した制御アルゴリズム及びタスクを組み込んだプリント基板を備える。更に、駆動制御モジュール310は、CPU305の決定過程をアクチュエータ316の実際のハードウエア定義に変換するハードウエア論理層を実行するために使用されてもよい。本発明の別の実施形態では、駆動制御モジュール310を用いて、アクチュエータ316又は足首器具304の位置又は動きに関してCPU305にフィードバックしてもよい。また、駆動制御モジュール310は、使用者が傾斜面を進んでいることをCPU305が検出したとき、アクチュエータ316を新たな“中立”に設定するように調節することができる。
【0085】
本発明の一実施形態では、駆動制御モジュール310は、足首器具304に配置される。他の実施形態では、駆動制御モジュール310は、ソケット上のように足首器具304の外部に配置されるか、足首器具304から離れて配置されてもよい。
【0086】
アクチュエータ316は、足首器具304の動作を制御するようになっている。一実施形態では、アクチュエータ316は、図1から図6に記載のアクチュエータ116と同様の働きをしており、アクチュエータ116により補装具100の足首動作を制御するようになっている。本発明の他の実施形態では、アクチュエータ316は、支柱や他の種類の支持構造のような矯正具の動作を制御するように構成してもよい。
【0087】
足首器具304は、足首のような関節運動を模倣するのに使用され、アクチュエータ316によって少なくとも部分的に制御されるあらゆる構造の装置を備える。特に、足首器具304は、補装具又は矯正具を備えていてもよい。
【0088】
動力モジュール318は、制御システム300に動力を供給するのに使用できる一個以上の動力源及び/又は連結具を含む。一実施形態では、動力モジュール318は、好ましくは、携帯型で、例えば上記のように充電式バッテリを備えることができる。図9に示すように、動力モジュール318は、駆動制御モジュール310及びCPU305と連絡している。他の実施形態では、動力モジュール318は、駆動制御モジュール310及びCPU305の代わりとして又はこれらと組み合わせて、他の制御システム300の構成要素と連絡している。例えば一実施形態では、動力モジュール318は、センサモジュール302と直接連絡している。更に、動力モジュール318は、使用者が制御システム300の一つ以上の構成要素に供給する動力を直接制御できるように、インターフェースモジュール308と連絡している。
【0089】
制御システム300の構成要素は、互いに種々の通信回線を通して通信しもよい。図9は、2種類の回線を示す。主通信回線は、構成要素間の実線で示され、副通信回線は、点線で示されている。一実施形態では、主通信回線は、規定のプロトコルで作動する。例えば、主通信回線は、制御システム300の物理的な構成要素間で働く。一方、副通信回線は、一次通信回線とは異なるプロトコル又はレベルで作動する。例えば、主通信回線と副通信回線とが衝突する場合には、主通信回線からのデータが副通信回線からのデータに対して優先される。副通信回線は、図9では、制御システム300と環境との間の通信チャネルとして示している。本発明の他の実施形態では、モジュールが互いにやり取りし且つ/又は他の形式の通信回線や方法により環境とやり取りする。例えば、全通信回線を同一プロトコル又は同一階層レベルで作動する。
【0090】
また、制御システム300の構成要素は、異なる形式で集積することも考えられる。例えば、構成要素を数個のサブ構成要素に分割するか、異なる場所に配置し、有線ネットワークや無線ネットワーク等を用いて互いにやり取りするより多くの装置に分割できる。例えば、一実施形態では、モジュールは、RS232やシリアル周辺装置インターフェース(SPI)チャネルを通してやり取りする。また複数の構成要素を単一の構成要素に結合してもよい。また、ここに記載の構成要素は、より少数のモジュールに集積することも考えられる。また、一個のモジュールを複数モジュールに分割してもよい。
【0091】
特定の実施形態に関して開示したが、制御システム300は、上記の構成要素より多くても少なくてもよい。例えば、制御システム300は、アクチュエータ316の位置を制御又は微調整するのに使用できるアクチュエータ電位差計をさらに備えてもよい。また、使用者は、アクチュエータ電位差計を用いて足首器具304の踵の高さを調節してもよい。一実施形態では、アクチュエータ電位差計は、CPU305とやり取りする。他の実施形態では、制御システム300として、バイブレータ、直流ジャック、ヒューズ、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0092】
類似の又は他の制御システム並びに他の関連構造物及び方法の例は、“膝上肢切断者用の作動義足(ACTUATED LEG PROSTHESIS FOR ABOVE-KNEE AMPUTEE)”と題され、現在米国特許公開第2004/0111163号として公開された、2003年6月17日出願の米国特許出願第10/463、495号、 “作動補装具制御用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING AN ACTUATED PROTHESIS)”と題され、現在米国特許公開第2004/0049290号として公開された、2003年6月20日出願の米国特許出願第10/600,725号、“人工下肢自己受容体の位置づけ(POSITIONING OF LOWER EXTREMITIES ARTIFICIAL PROPRIOCEPTORS)”と題され、現在米国特許公開第2004/0088057号として公開された、2003年7月25日出願の米国特許出願第10/627,503号、及び、“肢切断者用の作動補装具(ACTUATED PROSTHESIS FOR AMPUTEES)”と題され、現在米国特許公開第2004/0181289号に公開された、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,764号のその各々の全体がここに参照して取り入れられ、本明細書の一部とする。更に、本発明の実施形態で使用される他の形式の制御システムは、“人工膝用の制御システム(CONTROL SYSTME FOR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年3月10日出願の米国仮特許出願第60/551,717号、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTE,M AND METHOD F OR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月7日出願の米国仮特許出願第60/569、511号、及び、“人工膝用の制御システム及び方法(CONTROL SYSTE,M AND METHOD F OR PROSTHETIC KNEE)”と題する2004年5月19日出願の米国仮特許出願第60/572,996号に開示され、その全体をここに本明細書の一部として参照して取り入れる。
【0093】
図10は、本発明の一実施形態により、使用者の歩行運動が異なる状態間や異なる形式間で移り変わっているときに、補装具又は矯正具における足首角度の調節に関連して予想される制御信号を示した表である。特に、列402に記載の状態は、使用者の第一状態を示し、行404に記載の状態は使用者の第二状態又は使用者が遷移している状態を示す。表の残りの部分は、足首角度に関して補装具又は矯正具が取り得る動作を示す。“使用者設定点”は、中立又は初期の値であり、靴の踵の高さ調節時の設定値である。特定の角度は、補装具又は矯正具の足首角度の変更例である。例えば、使用者が“立ち姿勢”状態から“上り階段”状態に移る場合、足首角度を例えばマイナス10度(又は背屈10度)のように階段の角度に対して調節される。“傾斜(上り)”列、及び“下り勾配”列に示した足首角度は、傾斜角度に依存して調節した足首角度の閾値を反映する。
【0094】
以下の表(表2)に、本発明の一実施形態で取り得る足首動作の戦略を示す。表2の第一列には、よく検出される異なる形式の歩行動作や歩行パターンを記載する。表2の第二列は、特定された各歩行動作形式での揺動状態中における補装具又は矯正具の足首角度の調節例を示す。
【0095】
【表2】
図11に、義足又は足矯正具の制御と健常で正常な足から得られる測定値との間の相互作用及び関係を表すグラフを示す。特に、図11は、使用者の一歩幅間における義足又は足矯正具の動きと健常な足の動きとを示す。例えば、歩幅の最初の約60%の間では、このグラフは、義足又は足矯正具が、“立ち姿勢”位置にあるか又は地面のような面上にしっかりと立っていることを示している。一実施形態では、立ち姿勢状態の初期部分で、義足又は足矯正具の足首角度は減少(背屈)してもよい。そして、立ち姿勢状態の終了に近づくにつれ、義足又は足矯正具の足首角度が、本来の歩幅での動作を助けるように増加(足底屈)される。本発明の他の実施形態では、義足又は足矯正具の足首角度は、立ち姿勢状態では積極的に調節しない。健常な足は、これと同じ期間の部分で、つまり約40%の点まで揺動姿勢にあり、健常な足は地面と接触していない。約40%の点と60%との点の間で両足が地面と接触している。
【0096】
約60%の点から100%(歩幅の終了点)の点まで、義足又は足矯正具は、揺動姿勢にあり、健常な足は地面と接触している。図11のグラフは、義足又は足矯正具の足首角度の揺動状態での調節を示す。この角度調節は、健常な足の揺動状態における健常な足の予め測定した結果に基づいている。一実施形態では、義足又は足矯正具の揺動状態の初期部分で、義足又は足矯正具の足首角度が減少する。これにより、例えば、義足又は足矯正具のつま先部が階段を乗り越えることができる。そして、義足又は足矯正具が揺動状態の後期で、義足又は足矯正具の足首角度は、地面に接触する前に増加する。他の実施形態では、角度調節は補装具側のセンサが取得した測定結果に基づく。
【0097】
図11は、ある条件下での本発明の一実施形態における機能を示すと理解すべきである。他の実施形態又は状況では、より長い又はより短い立ち姿勢又は揺動状態が必要になり、義足の足首角度に他の調節を必要とするかもしれない。
【0098】
本発明のある実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は実施例を提示することのみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。実際にここに記載の新規な方法及びシステムは種々の他法で具体化される。例えば、前述のものを膝や肩のような足首以外の関節の動作制御に適用してもよい。更に、ここに記載の方法及びシステムの形態で種々の省略、置換や変更が本発明の趣旨から逸脱することなしに行われてもよい。添付の特許請求の範囲とその同等物は、本発明の範囲と趣旨の範囲内にあるこのような形態又は変形例にも及ぶことを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肢の動きに関連付けられたシステムであって、
足ユニットと、
上端部及び下端部を有し、該下端部が前記足ユニットの第一位置に旋回可能に取り付けられている取付部材と、
前記足ユニット及び取付部材に作動可能に取り付けられ、該取付部材と足ユニットとの間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、リニアアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータは、スクリューモータを含むことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、ロータリーアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムの動きを監視するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのセンサは、加速度計を備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つのセンサは、ジャイロスコープを備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータへ動力を供給するように構成された動力源をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記取付部材と肢切断者の基部との連結を容易にするように構成された取付部を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記取付部材と支柱部材との連結を容易にするように構成された取付部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記足ユニットは、矯正具を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記足ユニットは、補装具を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記足ユニットにおける前記第一位置は、当該足ユニットの本来の足首の位置に位置することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
足首の自然な動きを模倣するための補装具システムであって、
義足と、
前記義足における該義足の本来の足首の位置の近傍にある第一位置に取り付けられた旋回軸アッセンブリと、
脛骨方向に延び、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記旋回軸アッセンブリに作動可能に連結されている下肢部材と、
前記義足及び下肢部材に作動可能に連結され、前記旋回軸アッセンブリ周りに当該下肢部材と義足との間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備えることを特徴とする、補装具システム。
【請求項15】
前記アクチュエータは、リニアアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項16】
前記アクチュエータは、延在する前記下肢部材に関して後方の位置に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記下肢部材に関して前方の位置に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項18】
前記補装具システムの動特性を測定するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのセンサは、加速度計を備えることを特徴とする、請求項18に記載の補装具システム。
【請求項20】
前記アクチュエータへ動力を供給するように構成された充電式バッテリをさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項21】
前記アクチュエータは、前記下肢部材と義足との間の角度を中立位置における角度より少なくとも10度大きく調節するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項22】
前記アクチュエータは、前記下肢部材と義足との間の角度を中立位置における角度より少なくとも20度小さく調節するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項23】
前記アクチュエータが第一端部と第二端部とを備え、当該アクチュエータの第一端部が前記義足における第二位置と連結され、当該アクチュエータの第二端部が前記下肢部材と連結されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項24】
肢の動きに関連付けられた装置を制御するための方法であって、
少なくとも一つのセンサによって肢に関連する作動装置の動きを監視するステップと、
前記動きを示すデータを作成するステップと、
前記作動装置の現在の動作状態を決定するために処理モジュールによってデータを処理するステップと、
前記決定された動作状態に基づいて前記作動装置を調節するステップと、を備え、
前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記作動装置は、矯正具を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記作動装置は、補装具を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
安全率を決定するステップをさらに備え、当該安全率が所定の閾値を超えた場合にのみ前記作動装置を調節することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
バッテリの動力レベルが所定の閾値以下に低下した場合、前記作動装置を固定位置に実質的に固定するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも一つのセンサは、作動装置に配置されていることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記作動装置を調節するステップは、アクチュエータを伸縮させるステップを備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記作動装置の踵の高さを調節するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも一つのセンサは、前記肢に配置されていることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
足首補装具を制御するための方法であって、
少なくとも一つのセンサによって作動可能な足首補装具の動きを監視するステップであって、前記少なくとも一つのセンサが前記足首補装具の動きを示すデータを作成するステップと、
前記作動可能な足首補装具の現在の動作状態を決定するために制御モジュールによって前記データを受信及び処理するステップと、
前記決定された動作状態に基づいて前記制御モジュールによって少なくとも一つの制御信号を出力するステップと、
少なくとも前記制御信号に基づいて前記作動可能な足首補装具を調節するステップと、を備え、
前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項34】
少なくとも一つの地形の変量を示すデータを受信及び処理するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記健常な足首の動きを実質的に模倣するステップは、前記作動可能な足首補装具を背屈で約10度から足底屈で約20度まで動かすステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つのセンサは、前記足首補装具に配置されていることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも一つの加速度計を備えることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記作動可能な足首補装具の動きを監視するステップは、前記作動可能な足首補装具の動きを異なる3つの軸において監視するステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記作動可能な足首補装具の無用な動きを抑制する緩衝機能を提供するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記作動可能な足首補装具に関連する動力源が特定の閾値以下の動力レベルに低下した場合、前記作動可能な足首補装具を所定の角度に実質的に固定するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
踵の高さを調節することを示す第二信号を使用者から受信するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記作動可能な足首補装具を調節するステップは、前記足首補装具の旋回軸位置周りの回転を生じさせるステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも一つの地形の変量は、地面の傾斜を示すデータを含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項1】
肢の動きに関連付けられたシステムであって、
足ユニットと、
上端部及び下端部を有し、該下端部が前記足ユニットの第一位置に旋回可能に取り付けられている取付部材と、
前記足ユニット及び取付部材に作動可能に取り付けられ、該取付部材と足ユニットとの間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、リニアアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータは、スクリューモータを含むことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、ロータリーアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムの動きを監視するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのセンサは、加速度計を備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つのセンサは、ジャイロスコープを備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータへ動力を供給するように構成された動力源をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記取付部材と肢切断者の基部との連結を容易にするように構成された取付部を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記取付部材と支柱部材との連結を容易にするように構成された取付部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記足ユニットは、矯正具を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記足ユニットは、補装具を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記足ユニットにおける前記第一位置は、当該足ユニットの本来の足首の位置に位置することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
足首の自然な動きを模倣するための補装具システムであって、
義足と、
前記義足における該義足の本来の足首の位置の近傍にある第一位置に取り付けられた旋回軸アッセンブリと、
脛骨方向に延び、上端部及び下端部を有し、該下端部が前記旋回軸アッセンブリに作動可能に連結されている下肢部材と、
前記義足及び下肢部材に作動可能に連結され、前記旋回軸アッセンブリ周りに当該下肢部材と義足との間の角度を積極的に調節するように構成されているアクチュエータと、を備えることを特徴とする、補装具システム。
【請求項15】
前記アクチュエータは、リニアアクチュエータを含むことを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項16】
前記アクチュエータは、延在する前記下肢部材に関して後方の位置に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記下肢部材に関して前方の位置に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項18】
前記補装具システムの動特性を測定するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのセンサは、加速度計を備えることを特徴とする、請求項18に記載の補装具システム。
【請求項20】
前記アクチュエータへ動力を供給するように構成された充電式バッテリをさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項21】
前記アクチュエータは、前記下肢部材と義足との間の角度を中立位置における角度より少なくとも10度大きく調節するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項22】
前記アクチュエータは、前記下肢部材と義足との間の角度を中立位置における角度より少なくとも20度小さく調節するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項23】
前記アクチュエータが第一端部と第二端部とを備え、当該アクチュエータの第一端部が前記義足における第二位置と連結され、当該アクチュエータの第二端部が前記下肢部材と連結されていることを特徴とする、請求項14に記載の補装具システム。
【請求項24】
肢の動きに関連付けられた装置を制御するための方法であって、
少なくとも一つのセンサによって肢に関連する作動装置の動きを監視するステップと、
前記動きを示すデータを作成するステップと、
前記作動装置の現在の動作状態を決定するために処理モジュールによってデータを処理するステップと、
前記決定された動作状態に基づいて前記作動装置を調節するステップと、を備え、
前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記作動装置は、矯正具を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記作動装置は、補装具を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
安全率を決定するステップをさらに備え、当該安全率が所定の閾値を超えた場合にのみ前記作動装置を調節することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
バッテリの動力レベルが所定の閾値以下に低下した場合、前記作動装置を固定位置に実質的に固定するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも一つのセンサは、作動装置に配置されていることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記作動装置を調節するステップは、アクチュエータを伸縮させるステップを備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記作動装置の踵の高さを調節するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも一つのセンサは、前記肢に配置されていることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
足首補装具を制御するための方法であって、
少なくとも一つのセンサによって作動可能な足首補装具の動きを監視するステップであって、前記少なくとも一つのセンサが前記足首補装具の動きを示すデータを作成するステップと、
前記作動可能な足首補装具の現在の動作状態を決定するために制御モジュールによって前記データを受信及び処理するステップと、
前記決定された動作状態に基づいて前記制御モジュールによって少なくとも一つの制御信号を出力するステップと、
少なくとも前記制御信号に基づいて前記作動可能な足首補装具を調節するステップと、を備え、
前記調節するステップは、健常な足首の動きを実質的に模倣するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項34】
少なくとも一つの地形の変量を示すデータを受信及び処理するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記健常な足首の動きを実質的に模倣するステップは、前記作動可能な足首補装具を背屈で約10度から足底屈で約20度まで動かすステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つのセンサは、前記足首補装具に配置されていることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも一つの加速度計を備えることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記作動可能な足首補装具の動きを監視するステップは、前記作動可能な足首補装具の動きを異なる3つの軸において監視するステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記作動可能な足首補装具の無用な動きを抑制する緩衝機能を提供するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記作動可能な足首補装具に関連する動力源が特定の閾値以下の動力レベルに低下した場合、前記作動可能な足首補装具を所定の角度に実質的に固定するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
踵の高さを調節することを示す第二信号を使用者から受信するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記作動可能な足首補装具を調節するステップは、前記足首補装具の旋回軸位置周りの回転を生じさせるステップを備えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも一つの地形の変量は、地面の傾斜を示すデータを含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−130711(P2012−130711A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−14833(P2012−14833)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2006−553355(P2006−553355)の分割
【原出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【出願人】(503155980)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14833(P2012−14833)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2006−553355(P2006−553355)の分割
【原出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【出願人】(503155980)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]