説明

半導体装置の製造方法

【課題】回路形成領域に配線を形成する際に成膜する金属膜を半導体基板の非回路形成領域に残して、回路形成領域と非回路形成領域との間の段差を低減した半導体装置の製造方法に関し、半導体基板の外周部の膜剥がれを防止して、半導体集積回路の歩留まりを向上させることのできる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】金属膜20上を覆うと共に、非回路形成領域Bに対応する金属膜20のうち、半導体基板11の外周部に位置する金属膜20を露出するようにポジ型レジスト膜24を形成後、非回路形成領域Bに対応する金属膜20上に、ポジ型レジスト膜24と重なるようにネガ型レジスト膜25を形成し、その後、露光及び現像処理されたポジ型レジスト膜24をマスクとして、金属膜20をエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に回路形成領域に配線を形成する際に成膜する金属膜を半導体基板の非回路形成領域に残して、回路形成領域と非回路形成領域との間の段差を低減した半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の中には、回路形成領域に配線を形成する際に成膜する金属膜を半導体基板の非回路形成領域に残して、回路形成領域と非回路形成領域との間の段差を低減した半導体装置がある(図26参照。)。
【0003】
図26は、従来の半導体装置の断面図である。図26において、Iは複数の半導体集積回路104が形成される領域(以下、「回路形成領域I」とする)、Jは回路形成領域Iを囲むように配置され、半導体集積回路104が形成されない領域(以下、「非回路形成領域J」とする)をそれぞれ示している。
【0004】
図26を参照するに、従来の半導体装置100は、半導体基板101と、絶縁膜102,103と、複数の半導体集積回路104と、金属膜105とを有する。
【0005】
半導体基板101は、複数の半導体集積回路104が形成される回路形成領域Iと、回路形成領域Iを囲むように配置され、半導体集積回路104が形成されない非回路形成領域Jとを有する。絶縁膜102は、回路形成領域I及び非回路形成領域Jに対応する半導体基板101上を覆うように設けられている。絶縁膜103は、絶縁膜102上を覆うように設けられている。
【0006】
複数の半導体集積回路104は、回路形成領域Iに対応する半導体基板101に設けられている。半導体集積回路104は、拡散層106と、絶縁膜102,103と、配線パターン108,111とを有する。拡散層106は、半導体基板101に設けられている。絶縁膜102は、半導体基板101と拡散層106の一部とを覆うように設けられている。絶縁膜102は、拡散層106の一部を露出する開口部102Aを有する。配線パターン108は、開口部102Aを充填すると共に、絶縁膜102上に亘って設けられている。配線パターン108は、拡散層106と電気的に接続されている。
【0007】
絶縁膜103は、絶縁膜102と配線パターン108の一部とを覆うように設けられている。絶縁膜103は、配線パターン108の一部を露出する開口部103Aを有する。配線パターン111は、開口部103Aを充填すると共に、絶縁膜103上に亘って設けられている。配線パターン111は、配線パターン108と電気的に接続されている。配線パターン111は、配線パターン108を介して、拡散層106と電気的に接続されている。
【0008】
金属膜105は、非回路形成領域Jに対応する絶縁膜102上に設けられている。金属膜105は、配線パターン108を形成する際に成膜した金属膜である。
【0009】
このように、半導体基板101の非回路形成領域Jに金属膜105を残して、回路形成領域Iと非回路形成領域Jとの間の段差を低減することにより、回路形成領域Iと非回路形成領域Jとの間における膜剥がれを防止することができる。
【0010】
図27〜図32は、従来の半導体装置の製造工程を示す図である。図27〜図32において、従来の半導体装置100と同一構成部分には同一符号を付す。
【0011】
始めに、図27に示す工程では、半導体基板101に拡散層106を形成し、続いて、半導体基板101上を覆うように開口部102Aを有した絶縁膜102を形成する。
【0012】
次いで、図28に示す工程では、絶縁膜102上を覆うと共に、開口部102Aを充填するように金属膜105を形成する。この金属膜105は、図30に示す工程において、パターニングされて配線パターン108となる膜である。次いで、図29に示す工程では、金属膜105上に開口部113Aを有したポジ型レジスト膜113を形成する。
【0013】
次いで、図30に示す工程では、ドライエッチング装置のクランプ115により、図29に示す構造体の外周部を固定して、ポジ型レジスト膜113をマスクとして金属膜105をエッチングする。これにより、回路形成領域Iに対応する絶縁膜102に配線パターン108が形成されると共に、非回路形成領域Jに対応する絶縁膜102上に金属膜105が残る。図29に示す構造体の外周部を固定する際、ドライエッチング装置のクランプ115は、ポジ型レジスト膜113と接触する。
【0014】
次いで、図31に示す工程では、ポジ型レジスト膜113を除去する。次いで、図32に示す工程では、図31に示す構造体上に、開口部103Aを有した絶縁膜103と、配線パターン111とを順次形成する。なお、絶縁膜103を形成する前には、前処理として図31に示す構造体を洗浄する。
【0015】
これにより、回路形成領域Iに複数の半導体集積回路104が形成され、複数の半導体集積回路104を備えた半導体装置100が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−142115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、ドライエッチングのマスクとして、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜113を用いた場合、ドライエッチング装置のクランプ115と接触した部分のポジ型レジスト膜113が剥がれて、半導体集積回路104の歩留まりが低下してしまうという問題があった。具体的には、例えば、剥がれたポジ型レジスト膜113が開口部113Aに露出された金属膜105に付着して、金属膜105をエッチング後に配線パターン108間を接続するように金属膜105が残った場合、配線パターン108間においてショートが発生して、半導体集積回路104の歩留まりが低下する。
【0017】
図33は、図31に示す構造体を平面視した図である。図33において、W1は正常に露光されたポジ型レジスト膜113をマスクにエッチングされた金属膜105の幅(以下、「幅W1」とする)、W2はフォーカスがずれた状態で露光されたポジ型レジスト膜113をマスクにエッチングされた金属膜105の幅(以下、「幅W2」とする)をそれぞれ示している。また、図33において、Kは幅W2の金属膜105が形成された領域(以下、「領域K」とする)を示している。
【0018】
また、半導体基板101の外周部がラウンド形状とされているため、ポジ型レジスト膜113を露光する際、半導体基板101の外周部ではフォーカスが合いにくく、現像後のポジ型レジスト膜113の幅が狭くなる。このため、図33に示すように、領域Kに対応する金属膜105の幅W2が狭くなり(幅W2<幅W1)、絶縁膜103を形成する直前の洗浄工程において、領域Kに対応する部分の金属膜105が剥がれて、半導体集積回路104の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【0019】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体基板の外周部の膜剥がれを防止して、半導体集積回路の歩留まりを向上させることのできる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一観点によれば、半導体集積回路(14)が形成される回路形成領域(A)と、前記回路形成領域(A)を囲むように配置され、前記半導体集積回路(14)が形成されない非回路形成領域(B)とを有する半導体基板(11)に前記半導体集積回路(14)を形成する半導体装置(40)の製造方法であって、前記半導体基板(11)に設けられた被加工物(20)のうち、前記回路形成領域(A)に対応する前記被加工物(20)上を覆うようにポジ型レジスト膜(24)を形成するポジ型レジスト形成工程と、前記非回路形成領域(B)に対応する前記被加工物(20)上に、前記ポジ型レジスト膜(24)と重なるようにネガ型レジスト膜(43)を形成するネガ型レジスト膜形成工程と、前記ポジ型レジスト膜(24)を露光、現像後に、前記ポジ型レジスト膜(24)をマスクとして、前記被加工物(20)をエッチングするエッチング工程とを含むことを特徴とする半導体装置(40)の製造方法が提供される。
【0021】
本発明によれば、被加工物(20)をエッチングするエッチング工程において、エッチング装置のクランプ(31)は機械的強度の強いネガ型レジスト膜(43)と接触するため、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜(24)とクランプ(31)とが接触することがなくなる。これにより、ポジ型レジスト膜(24)の膜剥がれを防止することが可能となるため、半導体集積回路(14)の歩留まりを向上させることができる。
【0022】
本発明の他の観点によれば、半導体集積回路(14)が形成される回路形成領域(A)と、前記回路形成領域(A)を囲むように配置され、前記半導体集積回路(14)が形成されない非回路形成領域(B)とを有する半導体基板(11)に前記半導体集積回路(14)を形成する半導体装置(10)の製造方法であって、前記半導体基板(11)に設けられた被加工物(20)上を覆うと共に、前記非回路形成領域(B)に対応する前記被加工物(20)のうち、前記半導体基板(11)の外周部に位置する前記被加工物(20)を露出するようにポジ型レジスト膜(24)を形成するポジ型レジスト形成工程と、前記半導体基板(11)の外周部に位置する前記被加工物(20)上に、前記ポジ型レジスト膜(24)と重なるようにネガ型レジスト膜(25)を形成するネガ型レジスト膜形成工程と、前記ポジ型レジスト膜(24)を露光、現像後に、前記ポジ型レジスト膜(24)をマスクとして、前記被加工物(20)をエッチングするエッチング工程とを含むことを特徴とする半導体装置(10)の製造方法が提供される。
【0023】
本発明によれば、被加工物(20)をエッチングするエッチング工程において、エッチング装置のクランプ(31)は機械的強度の強いネガ型レジスト膜(25)と接触するため、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜(24)とクランプ(31)とが接触することがなくなる。これにより、ポジ型レジスト膜(24)の膜剥がれを防止することが可能となるため、半導体集積回路(14)の歩留まりを向上させることができる。
【0024】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、半導体基板の外周部の膜剥がれを防止して、半導体集積回路の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。図1において、Aは複数の半導体集積回路14が形成される領域(以下、「回路形成領域A」とする)、Bは半導体集積回路14が形成されない領域(以下、「非回路形成領域B」とする)をそれぞれ示している。
【0028】
図1を参照するに、第1の実施の形態の半導体装置10は、半導体基板11と、絶縁膜12,13と、複数の半導体集積回路14と、金属膜15とを有する。
【0029】
半導体基板11は、複数の半導体集積回路14が形成される回路形成領域Aと、回路形成領域Aを囲むように配置され、半導体集積回路14が形成されない回路形成領域Bとを有する。半導体基板11としては、例えば、シリコンウエハを用いることができる。
【0030】
絶縁膜12は、回路形成領域A及び非回路形成領域Bに対応する半導体基板11上を覆うように設けられている。絶縁膜13は、絶縁膜12上を覆うように設けられている。絶縁膜12,13としては、例えば、酸化膜を用いることができる。
【0031】
半導体集積回路14は、回路形成領域Aに対応する半導体基板11に複数設けられている。半導体集積回路14は、拡散層16,17と、絶縁膜12,13と、配線パターン18,19,21,22とを有する。拡散層16,17は、半導体基板11の上面側に設けられている。絶縁膜12は、半導体基板11と拡散層16,17の一部とを覆うように設けられている。絶縁膜12は、拡散層16の一部を露出する開口部12Aと、拡散層17の一部を露出する開口部12Bとを有する。
【0032】
配線パターン18は、開口部12Aを充填すると共に、絶縁膜12上に亘って設けられている。配線パターン18は、拡散層16と接触している。配線パターン19は、開口部12Bを充填すると共に、絶縁膜12上に亘って設けられている。配線パターン19は、拡散層17と接触している。配線パターン18,19の材料としては、導電金属を用いることができ、具体的には、例えば、Alを用いることができる。
【0033】
絶縁膜13は、配線パターン18,19の一部を覆うように、絶縁膜12上に設けられている。絶縁膜13は、配線パターン18の一部を露出する開口部13Aと、配線パターン19の一部を露出する開口部13Bとを有する。配線パターン21は、開口部13Aを充填すると共に、絶縁膜13上に亘って設けられている。配線パターン21は、配線パターン18と接触している。配線パターン21は、配線パターン18を介して、拡散層16と電気的に接続されている。
【0034】
配線パターン22は、開口部13Bを充填すると共に、絶縁膜13上に亘って設けられている。配線パターン22は、配線パターン19と接触している。配線パターン22は、配線パターン19を介して、拡散層17と電気的に接続されている。配線パターン21,22の材料としては、導電金属を用いることができ、具体的には、例えば、Alを用いることができる。
【0035】
金属膜15は、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上に設けられている。金属膜15は、配線パターン18,19を形成する際に成膜する金属膜の一部である。金属膜15は、環状部15Aと、複数の突出部15Bとを有する(図19参照)。環状部15Aは、環状とされており、半導体基板11の外周部に位置する絶縁膜12上に設けられている。複数の突出部15Bは、環状部15Aと一体的に設けられている。複数の突出部15Bは、環状部15Aの内壁側に設けられている。
【0036】
本実施の形態の半導体装置によれば、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上に環状部15Aを有した金属膜15を設けることにより、従来の金属膜105(図33参照)と比較して金属膜15が剥がれにくくなるため、半導体集積回路14の歩留まりを向上させることができる。また、金属膜15に環状部15Aを設けることにより、金属膜15上に絶縁膜13を形成後の回路形成領域Aと非回路形成領域Bとの間における段差を小さくすることができる。
【0037】
図2〜図14は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。また、図15は半導体基板の平面視した図であり、図16は図6に示す構造体を平面視した図である。図17は図7に示す構造体を平面視した図であり、図18は図11に示す構造体を平面視した図であり、図19は図12に示す構造体を平面視した図である。図2〜図19において、第1の実施の形態の半導体装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0038】
図2〜図19を参照して、第1の実施の形態の半導体装置10の製造方法について説明する。また、本実施の形態では、被加工物として金属膜15を用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0039】
始めに、図2に示す工程では、複数の半導体集積回路14が形成される回路形成領域Aと、回路形成領域Aを囲むように配置され、半導体集積回路14が形成されない回路形成領域Bとを有した半導体基板11を準備する(図15参照)。
【0040】
次いで、図3に示す工程では、周知の手法により、半導体基板11の上面側に拡散層16,17を形成し、続いて、半導体基板11と拡散層16,17の一部とを覆うように開口部12A,12Bを有した絶縁膜12を形成する。開口部12Aは、拡散層16を露出するように形成し、開口部12Bは、拡散層17を露出するように形成する。絶縁膜12としては、例えば、酸化膜を用いることができる。
【0041】
次いで、図4に示す工程では、絶縁膜12上を覆うと共に、開口部12A,12Bを充填するように被加工物である金属膜20を形成する。金属膜20としては、例えば、Al膜を用いることができる。金属膜20の厚さM1(絶縁膜12上に形成された金属膜20の厚さ)は、例えば、0.5μmとすることができる。
【0042】
金属膜20は、後述する図11に示す工程において、エッチングされて金属膜15及び配線パターン18,19となる膜である。
【0043】
次いで、図5に示す工程では、金属膜20の上面を覆うように、ポジ型レジスト膜24を形成する。具体的には、例えば、コータ装置を用いて、図4に示す構造体を回転(例えば、回転数は3000rpm)させながら、ポジ型レジスト液を金属膜20上に滴下することでポジ型レジスト膜24を形成する。このとき、半導体基板11の外周部にもポジ型レジスト膜24が形成される。金属膜20の厚さM1が0.5μmの場合、ポジ型レジスト膜24の厚さM2は、例えば、1.0μmとすることができる。
【0044】
次いで、図6に示す工程では、半導体基板11の外周縁、及び半導体基板11の外周部に形成された金属膜20を露出するように、非回路形成領域Bに形成されたポジ型レジスト膜24を環状に除去する(図16参照)。具体的には、図5に示す構造体を回転(例えば、回転数は1000pm)させながら、図5に示す構造体の下方から図5に示す構造体の外周部にシンナーをかけてポジ型レジスト膜24を環状に除去する。
【0045】
図6及び図16において、Cは半導体基板11の外周縁を基準としたときのポジ型レジスト膜24の除去幅(以下、「除去幅C」とする)を示している。非回路形成領域Bの幅が3mmの場合、ポジ型レジスト膜24の除去幅Cは、例えば、0.5mmとすることができる。なお、上記説明した図5及び図6に示す工程がポジ型レジスト膜形成工程に相当する。
【0046】
次いで、図7に示す工程では、非回路形成領域Bに対応する金属膜20上に、非回路形成領域Bに配置されたポジ型レジスト膜24と重なるようにネガ型レジスト膜25を環状に形成する(ネガ型レジスト膜形成工程)。このとき、ネガ型レジスト膜25は、図6に示す構造体の外周部を覆うように形成する(図17を参照)。具体的には、コータ装置を用いて、図6に示す構造体を回転(例えば、回転数は500〜1000rpm)させながら、ネガ型レジスト液を図6に示す構造体の外周部に滴下させることで環状のネガ型レジスト膜25を形成する。
【0047】
ネガ型レジスト膜25は、ポジ型レジスト膜24と比較して機械的強度の強いレジスト膜である。ポジ型レジスト膜24上におけるネガ型レジスト膜25の厚さM3は、例えば、0.5μmとすることができる。図7及び図17において、Dは半導体基板11の外周縁を基準としたときのネガ型レジスト膜25の幅(以下、「幅D」とする)を示している。ネガ型レジスト膜25の幅Dは、ドライエッチング装置のクランプ31(図11参照)とポジ型レジスト膜24とが接触しないような値とする。ネガ型レジスト膜25の幅Dは、例えば、2mmとすることができる。
【0048】
このように、図6に示す構造体の外周部を覆うように環状のネガ型レジスト膜25を形成することにより、後述する図11に示すエッチング工程において、ドライエッチング装置のクランプ31と機械的強度の弱いポジ型レジスト膜24とが接触することがなくなるため、クランプ31が接触することによるポジ型レジスト膜24の剥がれを防止することが可能となるため、半導体装置10の歩留まりを向上させることができる。
【0049】
次いで、図8に示す工程では、開口部27Aを有したマスク27を介して、ポジ型レジスト膜24を露光する(露光工程)。図8において、Eは露光された部分のポジ型レジスト膜24(以下、「露光領域E」とする)を示している。
【0050】
次いで、図9に示す工程では、光ファイバー28からネガ型レジスト膜25に向けて光を照射して、ネガ型レジスト膜25を重合させる(重合工程)。これにより、ネガ型レジスト膜25が硬化するため、ネガ型レジスト膜25は、ポジ型の現像液に溶けなくなる。この重合工程は、必要に応じて行えばよく、必ずしも必要ではない。
【0051】
次いで、図10に示す工程では、ポジ型の現像液を用いて、ポジ型レジスト膜24を現像する(現像工程)。これにより、露光領域Eに対応する部分のポジ型レジスト膜24が溶解されて、ポジ型レジスト膜24に開口部24Aが形成される。
【0052】
次いで、図11に示す工程では、ドライエッチング装置のクランプ31とネガ型レジスト膜25とを接触させて図10に示す構造体の外周部を固定後(図18参照)、開口部24Aを有したポジ型レジスト膜24をマスクとして、金属膜20をエッチングする(エッチング工程)。これにより、回路形成領域Aに対応する絶縁膜12に配線パターン18,19が形成され、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上に環状部15A及び突出部15Bを有した金属膜15が形成される。
【0053】
このように、ドライエッチング装置のクランプ31とネガ型レジスト膜25とを接触させて、図10に示す構造体を固定して、金属膜20をエッチングすることにより、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜24とクランプ31とが接触することがなくなるため、ポジ型レジスト膜24の剥がれを防止することが可能となるので、半導体装置10の歩留まりを向上させることができる。
【0054】
次いで、図12に示す工程では、ネガ型レジスト膜25を除去し、その後、絶縁膜13を形成するための前処理として、図12に示す構造体の洗浄を行う。このとき、先に説明したように、金属膜15は環状とされているため、図12に示す洗浄工程において、金属膜15は剥がれにくくなるので、半導体装置10の歩留まりを向上させることができる。
【0055】
次いで、図13に示す工程では、絶縁膜12上に金属膜15と配線パターン18,19の一部とを覆うように開口部13A,13Bを有した絶縁膜13を形成する。絶縁膜13としては、例えば、酸化膜を用いることができる。
【0056】
次いで、図14に示す工程では、周知の手法により、開口部13Aを充填すると共に絶縁膜13上に亘る配線パターン21と、開口部13Bを充填すると共に絶縁膜13上に亘る配線パターン22とを同時に形成する。これにより、回路形成領域Aに対応する半導体基板11に複数の半導体集積回路14が形成されて、複数の半導体集積回路14を有した半導体装置10が製造される。
【0057】
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、金属膜20上を覆うと共に、非回路形成領域Bに対応する金属膜20のうち、半導体基板11の外周部に位置する金属膜20を露出するようにポジ型レジスト膜24を形成後、非回路形成領域Bに対応する金属膜20上に、ポジ型レジスト膜24と重なるようにネガ型レジスト膜25を形成し、その後、露光及び現像処理されたポジ型レジスト膜24をマスクとして、金属膜20をエッチングすることにより、エッチング装置のクランプ31が機械的強度の強いネガ型レジスト膜25と接触するため、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜24とクランプ31とが接触することがなくなる。これにより、エッチング工程におけるポジ型レジスト膜24の剥がれを防止することが可能となるため、半導体集積回路14の歩留まりを向上させることができる。
【0058】
なお、本実施の形態は、配線パターンが3層以上積層された半導体集積回路を備えた半導体装置にも適用可能である。配線パターンが3層以上積層された半導体集積回路を備えた半導体装置は、最上層に設けられた配線パターン以外の配線パターンを先に説明した図4〜図12に示す工程と同様な手法により形成し、最上層の配線パターンは図14に示す工程と同様な手法により形成することで製造できる。また、このような製造方法においても、本実施の形態の半導体装置10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。図20において、第1の実施の形態の半導体装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0060】
図20を参照するに、第2の実施の形態の半導体装置40は、第1の実施の形態の半導体装置10に設けられた金属膜15の代わりに金属膜41を設けた以外は半導体装置10と同様に構成される。
【0061】
図21は、金属膜の形状を説明するための図である。図21において、本実施の形態の半導体装置40と同一構成部分には同一符号を付す。
【0062】
図21を参照するに、金属膜41は、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上を覆うように設けられている。金属膜41は、配線パターン18,19を形成する際に成膜する金属膜の一部である。金属膜41の形状は、環状とされている。
【0063】
本実施の形態の半導体装置によれば、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上に環状とされた金属膜41を設けることにより、金属膜41が剥がれにくくなるため、半導体集積回路14の歩留まりを向上させることができる。また、絶縁膜12上に環状とされた金属膜41を設けることにより、金属膜41上に絶縁膜13を形成後の回路形成領域Aと非回路形成領域Bとの間に形成される段差を小さくすることができる。
【0064】
図22〜図25は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。図22〜図25において、第2の実施の形態の半導体装置40と同一構成部分には同一符号を付す。
【0065】
始めに、第1の実施の形態で説明した図2〜図5に示す工程と同様な処理を行って、図5に示す構造体を形成する。次いで、図22に示す工程では、半導体基板11の外周縁と半導体基板11の外周部に形成された金属膜20とを露出するように、非回路形成領域Bに形成されたポジ型レジスト膜24を環状に除去する。具体的には、図5に示す構造体を回転(例えば、回転数は1000pm)させながら、図5に示す構造体の上部側から図5に示す構造体の外周部にシンナーをかけてポジ型レジスト膜24を環状に除去する。また、図22において、Fは半導体基板11の外周縁を基準としたときのポジ型レジスト膜24の除去幅(以下、「除去幅F」とする)を示している。非回路形成領域Bの幅が3mmの場合、ポジ型レジスト膜24の除去幅Fは、例えば、2.5mmとすることができる。なお、本実施の形態では、図5及び図22に示す工程がポジ型レジスト膜形成工程に相当する。
【0066】
次いで、図23に示す工程では、非回路形成領域Bに対応する金属膜20及びポジ型レジスト膜24を覆うように環状のネガ型レジスト膜43を形成する(ネガ型レジスト膜形成工程)。このとき、ネガ型レジスト膜43は、図23に示す構造体の外周部を覆うように形成する。具体的には、コータ装置を用いて、図6に示す構造体を回転(例えば、回転数は500〜1000rpm)させながら、ネガ型レジスト液を図22に示す構造体の外周部に滴下させることで環状のネガ型レジスト膜43を形成する。
【0067】
ネガ型レジスト膜43は、ポジ型レジスト膜24と比較して機械的強度の強いレジスト膜である。ポジ型レジスト膜24上におけるネガ型レジスト膜43の厚さM4は、例えば、0.5μmとすることができる。
【0068】
次いで、図24に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図8〜図10に示す工程と同様な処理を行ってポジ型レジスト膜24に開口部24Bを形成する。
【0069】
次いで、図25に示す工程では、ドライエッチング装置のクランプ31とネガ型レジスト膜43とを接触させて、図24に示す構造体の外周部を固定後、開口部24Bを有したポジ型レジスト膜24をマスクとして、金属膜20をエッチングする(エッチング工程)。これにより、回路形成領域Aに対応する絶縁膜12に配線パターン18,19が形成され、非回路形成領域Bに対応する絶縁膜12上に金属膜41が形成される。
【0070】
このように、ドライエッチング装置のクランプ31とネガ型レジスト膜43とを接触させて図24に示す構造体を固定して、金属膜20をエッチングすることにより、機械的強度の弱いポジ型レジスト膜24とクランプ31とが接触することがなくなるため、ポジ型レジスト膜24の剥がれを防止することが可能となるので、半導体装置40の歩留まりを向上させることができる。
【0071】
その後、第1の実施の形態で説明した図12〜図14に示す工程と同様な処理を行うことにより、図20に示す半導体装置40が製造される。
【0072】
なお、本実施の形態は、配線パターンが3層以上積層された半導体集積回路を備えた半導体装置にも適用可能である。配線パターンが3層以上積層された半導体集積回路を備えた半導体装置は、最上層に設けられた配線パターン以外の配線パターンを先に説明した図2〜図5、図22〜図25、及び図12に示す工程と同様な手法により形成し、最上層の配線パターンは図14に示す工程と同様な手法により形成することで製造できる。また、このような製造方法においても、本実施の形態の半導体装置40の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、回路形成領域に配線を形成する際に成膜する金属膜を半導体基板の非回路形成領域に残して、回路形成領域と非回路形成領域との間の段差を低減した半導体装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その12)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その13)である。
【図15】半導体基板の平面視した図である。
【図16】図6に示す構造体を平面視した図である。
【図17】図7に示す構造体を平面視した図である。
【図18】図11に示す構造体を平面視した図である。
【図19】図12に示す構造体を平面視した図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図21】金属膜の形状を説明するための図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図26】従来の半導体装置の断面図である。
【図27】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図28】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図29】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図30】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図31】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図32】従来の半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図33】図31に示す構造体を平面視した図である。
【符号の説明】
【0076】
10,40 半導体装置
11 半導体基板
12,13 絶縁膜
12A,12B,13A,13B,24A,24B,27A 開口部
14 半導体集積回路
15,20,41 金属膜
15A 環状部
15B 突出部
16,17 拡散層
18,19,21,22 配線パターン
24 ポジ型レジスト膜
25,43 ネガ型レジスト膜
27 マスク
28 光ファイバー
31 クランプ
A 回路形成領域
B 非回路形成領域
C,F 除去幅
D 幅
E 露光領域
M1〜M4 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路が形成される回路形成領域と、前記回路形成領域を囲むように配置され、前記半導体集積回路が形成されない非回路形成領域とを有する半導体基板に前記半導体集積回路を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板に設けられた被加工物のうち、前記回路形成領域に対応する前記被加工物上を覆うようにポジ型レジスト膜を形成するポジ型レジスト形成工程と、
前記非回路形成領域に対応する前記被加工物上に、前記ポジ型レジスト膜と重なるようにネガ型レジスト膜を形成するネガ型レジスト膜形成工程と、
前記ポジ型レジスト膜を露光、現像後に、前記ポジ型レジスト膜をマスクとして、前記被加工物をエッチングするエッチング工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ネガ型レジスト膜は、前記非回路形成領域に対応する前記被加工物上を連続して覆うように形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ポジ型レジスト膜を露光する露光工程と前記ポジ型レジスト膜を現像する現像工程との間に、前記ネガ型レジスト膜を重合させる重合工程をさらに設けたことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体集積回路が形成される回路形成領域と、前記回路形成領域を囲むように配置され、前記半導体集積回路が形成されない非回路形成領域とを有する半導体基板に前記半導体集積回路を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板に設けられた被加工物上を覆うと共に、前記非回路形成領域に対応する前記被加工物のうち、前記半導体基板の外周部に位置する前記被加工物を露出するようにポジ型レジスト膜を形成するポジ型レジスト形成工程と、
前記半導体基板の外周部に位置する前記被加工物上に、前記ポジ型レジスト膜と重なるようにネガ型レジスト膜を形成するネガ型レジスト膜形成工程と、
前記ポジ型レジスト膜を露光、現像後に、前記ポジ型レジスト膜をマスクとして、前記被加工物をエッチングするエッチング工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ネガ型レジスト膜は、前記半導体基板の外周部に位置する前記被加工物上を連続して覆うように形成することを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ポジ型レジスト膜を露光する露光工程と前記ポジ型レジスト膜を現像する現像工程との間に、前記ネガ型レジスト膜を重合させる重合工程をさらに設けたことを特徴とする請求項4または5記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2007−311507(P2007−311507A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138316(P2006−138316)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】